以下、図面を参照しながら、この発明に係る実施形態としての切断片収容具及び用紙処理装置について説明をする。図1は、本発明に係る切断片収容具を備えた実施形態として用紙処理装置100の構成例を示す説明図である。
図1に示す用紙処理装置100はコピー機や印刷機から出力される記録紙(以下単に用紙3という)にパンチ処理を施し、その後、綴じ処理等の後処理をして排出する装置であり、もちろん、所定の用紙3にパンチ孔3aを穿孔してそのまま排紙する機能を備えた用紙穿孔装置に適用してよい。
用紙処理装置100は装置本体部101(筐体)を有している。用紙処理装置100は複写機や印刷機(画像形成装置)等と並べて使用されることが好ましく、装置本体部101は、複写機や印刷機等と同程度の高さを有している。装置本体部101は用紙搬送部10、パンチ処理部20及び後処理部30を有して構成される。
装置本体部101内には用紙搬送部10が備えられる。用紙搬送部10は、第1の搬送路11及び第2の搬送路12を有している。搬送路11は、給紙口13及び排出口14を有しており、給紙口13から引き込んだ用紙3を所定の位置となる排出口14へ向けて搬送するスルーパス機能を有している。
このスルーパス機能では、上流側の複写機や印刷機等と下流側の他の用紙処理装置の間に位置する搬送路11が、複写機や印刷機等から他の用紙処理装置へ用紙3を直接受け渡すようになされる。このスルーパス機能が選択された場合は、パンチ処理を省略するようになされる。用紙3は、通常、片面コピーの場合に、フェースダウンの状態で送られてくる。給紙口13には給紙センサ111が取付けられ、用紙3の先端を検知して給紙検知信号S11を制御部50へ出力するようになされる。
搬送路12は、当該搬送路11から搬送経路が切り替え可能なスイッチバック機能を有している。このスイッチバック機能では、搬送路11の所定の位置で用紙3の搬送を減速及び停止し、その後、搬送路11から搬送路12に用紙3の搬送経路を切り替え、かつ、当該用紙3を逆方向に送出するようになされる。搬送路11には、フラップ15が設けられ、搬送路11から搬送路12に搬送経路を切換えるようになされる。
また、搬送路11と搬送路12との切換え点には、3連の搬送ローラ17c、19a’、19aが設けられる。搬送ローラ17c及び19aは時計方向回りに回転し、搬送ローラ19a’は半時計方向回りに回転する。例えば、搬送ローラ19a’が駆動ローラで搬送ローラ17c及び19aが従動ローラとなっている。搬送ローラ17c及び19a’により取り込まれた用紙3は、減速及び停止するが、フラップ15が上方から下方に切換えられると、搬送ローラ19a’及び19aにより給紙されて搬送路12に搬送される。3連の搬送ローラ17c、19a’、19aの手前には用紙検知センサ114が配設され、用紙の前端及び後端を検知して用紙検知信号S14を制御部50へ出力するようになされる。
用紙搬送部10の下流側にはパンチ処理部20が設けられ、所定の用紙に一以上のパンチ孔を穿孔するようになされる。搬送路12の下流側に設けられたパンチ処理部20は、上述の搬送路11と搬送路12との間が所定の角度を有するように設計されている。例えば、搬送路11の搬送面とパンチ処理部20の用紙被穿孔面の間には、俯角θ1が設定されている。ここに用紙被穿孔面とは、用紙3にパンチ孔3aを穿孔する面をいう。パンチ処理部20は、搬送路11の搬送面を基準にして俯角θ1を有する位置に用紙被穿孔面を設定するように配置される。
パンチ処理部20では、搬送路11からスイッチバックし、搬送路12によって搬送される用紙3の一端に1以上の綴じ用のパンチ孔3aを穿孔するようになされる。パンチ処理部20は、例えば、往復動作可能なパンチ刃21を駆動するモータ22を有している。用紙3はモータ22によって駆動されるパンチ刃21によって、1枚づつ穿孔される。
パンチ処理部20内には、パンチ孔3aの開孔位置の基準となる開閉可能なフェンス24が設けられ、用紙3を当てつけるように使用される。更に、パンチ処理部20には、サイドジョーガー23が設けられ、用紙3の姿勢を修正するようになされる。例えば、用紙3の先端が開閉可能なフェンス24に均等に当接するようになされる。フェンス24は用紙端部の揃え時の位置基準となる。サイドジョーガー23の手前には用紙検知センサ118が配設され、用紙の前端及び後端を検知して用紙検知信号S18を制御部50へ出力するようになされる。
パンチ処理部20は、用紙3をフェンス24に当接させて停止させ、その後、当該用紙3の先端を穿孔する。パンチ処理部20の下流側には、排紙ローラ25が設けられ、用紙穿孔後の用紙3を次段の後処理部30へ搬送するようになされる。パンチ処理部20の下方には、パンチ屑集積部26が設けられる。パンチ屑集積部26は容器格納部60(ブラケット)及び、切断片収容具であるパンチ屑ポット61から構成され、パンチ処理部20のパンチ刃21によって穿孔されたパンチ孔3aから切り落とされたパンチ屑33(カス)を収容して集積するようになされる。
ここで、図2A〜Dを参照して、用紙処理装置100の機能例について説明する。図2Aに示す用紙3は、当該用紙処理装置100の上流側から給紙されたものである。パンチ孔3aが開孔されていないものである。用紙3は、図1に示した搬送路11の所定の位置に向けて搬送され、搬送路11の所定の位置で減速及び停止される。その後、搬送路11から搬送路12に用紙3の搬送経路が切り替えられ、かつ、当該用紙3を逆方向に送出されてパンチ処理部20に搬送される。
パンチ処理部20では、図2Bに示すように用紙3の一端に所定の数の綴じ用のパンチ孔3aが穿孔される。このときに、パンチ刃21によって穿孔されたパンチ孔3aからパンチ屑33が切り落とされる。綴じ用のパンチ孔3aが穿孔された用紙3’は、後処理部30へ搬送される。後処理部30では、用紙3’が予め設定された用紙枚数に到達すると、図2Cに示す用紙束3”のパンチ孔3aの位置が揃えられる。その後、図2Dに示すような綴じ部品43をそのパンチ孔3aへ嵌合して綴じるようになされる。これにより、綴じ部品43で嵌合された冊子90を得ることができる。
続いて、容器格納部60(ブラケット)及びパンチ屑ポット61の構成例について説明する。図3A及びBは、容器格納部60及びパンチ屑ポット61の構成例を示す斜視図である。この例で、図1に示した装置本体部101には有底寸胴状の容器格納部60が設けられ、この容器格納部60にパンチ屑ポット61を装着するように操作される。
図3Aに示す容器格納部60は、図1に示した装置本体部101に取り付けられる。容器格納部60は断面五角形の有底寸胴状を有している。容器格納部60は、亜鉛メッキが施された鉄板をプレス及び折り曲げ加工して寸胴状に形成される。容器格納部60は、例えば、装置本体部101に対してボルト・ナット又は鉄板ビスを使用して取り付けられる。
容器格納部60には検知部の一例を構成する屑満杯センサ70が設けられる。屑満杯センサ70は、所定の位置に光通過用の窓部を有しており、パンチ屑33の満杯有無を検知してパンチ屑検知信号S70を出力する。屑満杯センサ70には透過型の光学センサが使用される。屑満杯センサ70は、発光素子71及び受光素子72を有して構成される。
屑満杯センサ70を成す発光素子71は、容器格納部60の一方の側の壁面上部位に配置される。例えば、容器格納部60の一方の側の壁面上部位には、コ状のセンサ取付部60aが設けられ、このセンサ取付部60aに発光素子71が取り付けられる。発光素子71は、光軸をパンチ屑ポット61の一方の側の検知孔61aに向けるようになされる。
また、屑満杯センサ70を成す受光素子72は、容器格納部60の他方の側の壁面上部位に配置される。例えば、容器格納部60の他方の側の壁面上部位にも、コ状のセンサ取付部60bが設けられ、このセンサ取付部60bに受光素子72が取り付けられる。受光素子72は光軸をパンチ屑ポット61の他方の側の検知孔61bに向けるように取り付けられる。
屑満杯センサ70によれば、図示しないパンチ屑33が非満杯状態のときは、発光素子71から出射した光がパンチ屑ポット61の一方の側の検知孔61aを通過して、当該パンチ屑ポット61の他方の側の検知孔61bを通過して受光素子72に至り、当該受光素子72より受光される。この結果、受光素子72はロー・レベル(以下で「L」レベルという)のパンチ屑検知信号S70を制御部50に出力する。
また、パンチ屑ポット61にパンチ屑33が満杯になると、発光素子71から出射した光が、パンチ屑ポット61の一方の側の検知孔61aを通過しても、パンチ屑33に遮られ、当該パンチ屑ポット61の他方の側の検知孔61bに到達できなくなる。この結果、受光素子72は受光しないので、ハイ・レベル(以下で「H」レベルという)のパンチ屑検知信号S70を制御部50に出力する。
制御部50は、「L」レベルのパンチ屑検知信号S70が得られた場合は、パンチ屑33が非満杯状態である旨を検知できる。「H」レベルのパンチ屑検知信号S70が得られた場合、制御部50は、パンチ屑33が満杯状態である旨を報知できるようになる。例えば、制御部50は表示モニタ80等(図13参照)に「パンチ屑が満杯状態となった旨」を表示し、ユーザに知らせるようになる。
図3Aに示した容器格納部60には、図3Bに示すようなパンチ屑ポット61が摺動自在に装着するようになされる。パンチ屑ポット61は、例えば、パンチ屑除去用のブラシ部62を備えて構成される。パンチ屑ポット61は、上面が開放された断面五角形のバルーン状を有している。パンチ屑ポット61は、長さがL[mm]で幅がW[mm]で高さがH[mm]である。
パンチ屑ポット61は、所定の高さの位置に配設された検知孔61a,61bを有し、かつ、パンチ屑33を受け入れる開口部61cを有して容器格納部60に装着され、当該パンチ屑33を収容するものである。検知孔61a,61bは各々が所定の大きさの円形状を有している。例えば、検知孔61aは一方の側の壁面上部位に設けられ、検知孔61bは当該一方の側の壁面に対峙する他方の側の壁面上部位に設けられている(図3B及び図4参照)。
パンチ屑ポット61は、外側の形状を象った金型に内側から樹脂を押し付け、その後、所定の位置に開口部61cを設けるバルーン成形法により形成される。開口部61cはパンチ屑33を導入する部分となるので、バルーン成形されたパンチ屑ポット61の上面を切削具を使用して切り取られて開口される。パンチ屑ポット61は、長手方向の一端面に取っ手61dを有している。パンチ屑処理時に、ユーザは片手で取っ手61dを持って容器格納部60からパンチ屑ポット61を引き出すように操作される。
図4は、パンチ屑ポット61におけるブラシ取付例を示す側面図であり、取っ手61dを取り付た面を正面側とし、この面を左側にしてパンチ屑ポット61を側面から観察した図である。図4に示すパンチ屑ポット61の検知孔61bは開口径dを有しており、開口径dは直径6mm程度であり、屑満杯センサ70の光軸を通すためにパンチ屑33の大きさよりも大きくなされる。反対側の検知孔61aも、検知孔61bと同様に形成される。
この検知孔61bの右側には切断片除去用の突出部材の一例を構成するブラシ部62bが設けられ、屑満杯センサ70を成す受光素子72の窓部上に不本意に付着したパンチ屑33をパンチ屑ポット61の挿入移動時に除去するようになされる。反対側の検知孔61aの右側にも、図示しないブラシ部62aが設けられ、屑満杯センサ70を成す発光素子71の窓部上に不本意に付着したパンチ屑33を除去するようになされる。
この例で、屑満杯センサ70の窓部上に不本意に付着した状態で、当該屑満杯センサ70が「H」レベルのパンチ屑検知信号S70を制御部50に出力した場合、パンチ屑ポット61を容器格納部60に対して前後に摺動操作することにより、屑満杯センサ70の窓部上をパンチ屑除去用の1対のブラシ部62a,62bを往復させるようになされる。ブラシ部62a,62bが屑満杯センサ70の発光素子71や受光素子72等の窓部上のパンチ屑33を除去すると、屑満杯センサ70は「L」レベルのパンチ屑検知信号S70を制御部50に出力するようになる。
この例で、パンチ屑ポット61の側面上部の両側にブラシ部62b(片面のみ図示)が取り付けられる。ブラシ部62bはパンチ屑ポット61の検知孔61bの配設位置よりも奥側の位置に設けられ、着脱自在に取り付けられる。ここでいう奥側とは、パンチ屑ポット61の検知孔61bを基準にして取っ手61dを設けた正面側に対し、その反対側となる背面側に近い側をいう。
ブラシ部62bは、パンチ屑ポット61の検知孔61bを含む摺動直線I上に配設されている。ここで摺動直線Iとは、検知孔61bの中心点とブラシ部62bの取付位置のビス孔の中心点とを結ぶ線分をいう。ブラシ部62bは屑満杯センサ70を成す受光素子72の窓部上に毛脚部601を再現性良く接触させるために、摺動直線上に配置するようになされる。毛脚部601はブラシ部62b等を構成するものである(図5参照)。
この例でパンチ屑ポット61の側面の四隅部位は半球面状の凸部を有している。パンチ屑ポット61は、4つの半球面状の凸部63a〜63dを容器格納部60の内側に摺動するように出し入れ操作される。半球面状の凸部63a〜63dを設けたのは、容器格納部60とパンチ屑ポット61との間の摺動抵抗を軽減するため、及び、パンチ屑ポット61の装着がたつきを防止するためである(図6参照)。
図5A及びBはブラシ部62a等の構成例を示す上面図及び正面図である。図5に示すブラシ部62aは、毛脚部601とベース部材602(基布)から構成される。この例で、毛脚部601はパンチ屑33を除去する(弾き飛ばす)ためのブラシ部62aなので、毛の材質は、非導電性の材料であるナイロンを使用した。毛の材質は、ナイロンに限られることはなく、アクリル部材でもよい。
ベース部材602には、所定の厚みを有した、例えば、樹脂製の織込布が使用される。ベース部材602の長さをL1とすると、その長さL1は44±0.5mm程度である。ベース部材602にはブラシ取付用の長丸孔603と丸孔604が開口されている。長丸孔603と丸孔604(直径4mm程度)を結ぶ線分がパンチ屑ポット61の検知孔61bを含む摺動直線Iを構成する。
毛脚部601は、例えば、ベース部材602に対してナイロン製のパイル糸を植毛処理して形成する。パイル糸には、ナイロン235T/3×8本撚りを使用する。パイル糸の植毛列数は12列程度である。毛脚部601の植毛長さをlとすると、その長さlは15±2mm程度である。毛脚部601の幅をwとすると、その幅wは、8±0.5mm程度である。毛脚部601の高さ(垂直方向の毛の長さに相当)をhとすると、その高さhは13.5±0.5mm程度である。これらによりブラシ部62aを構成し、当該ブラシ部62aを長丸孔603と丸孔604を介してパンチ屑ポット61の側面上部に取り付けられる。ブラシ部62bもブラシ部62aと同様にして構成されるので、その説明を省略する。
図6は、容器格納部60へのパンチ屑ポット61の装着例を示す断面図である。この例で、パンチ屑ポット61の両側面上部は、段差状に内側に変形した肩状部位61e,61fとなされる。この肩状部位61eにはブラシ部62a及び検知孔61aが配置される。肩状部位61fにブラシ部62b及び検知孔61bが配置される。(図4参照)。
この例で、容器格納部60の一方の側には屑満杯センサ70を構成する発光素子71が設けられ、他方の側には屑満杯センサ70を構成する受光素子72が設けられる。発光素子71及び受光素子72は、所定の位置に光通過用の窓部を有しており、パンチ屑33の満杯有無を検知するようになされる。
この例では、容器格納部60の一方の側の壁面上部に配置された発光素子71の光軸と、容器格納部60の他方の側の壁面上部に配置された受光素子72の光軸とを結ぶ光軸線II上に、パンチ屑ポット61の一方の側の検知孔61aと、パンチ屑ポット61の他方の側の検知孔61bとが1直線上に並んでいる。また、ブラシ部62aの毛脚部601の中心部位は、パンチ屑除去時に、ブラシ部62bの毛脚部601の中心部位と共に、その光軸線II上を横切るようになされる。ブラシ部62a,62bを光軸線IIを横切る摺動直線I上に配置するようにしたのは、屑満杯センサ70の発光素子71の窓部(光軸)上にブラシ部62aの毛脚部601を再現性良く接触させ、その受光素子72の窓部(光軸)上にブラシ部62bの毛脚部601を再現性良く接触させるためである。
ブラシ部62aは、発光素子71の窓部に届く長さ(高さh)を有してパンチ屑ポット61の検知孔61aを配設した位置と同じ高さH1の位置に取り付けられる。同様にして、ブラシ部62bは、受光素子72の窓部に届く長さ(高さh)を有してパンチ屑ポット61の検知孔61bを配設した位置と同じ高さH1の位置に取り付けられる。ブラシ部62a,62bの取り付け高さH1を同一にしたのは、屑満杯センサ70を成す発光素子71及び受光素子72の窓部上に不本意に付着したパンチ屑33を再現性良く除去するためである。
次に、図7及び図8を参照してパンチ屑ポット61の動作例(その1,2)について説明する。図7Aは、待機時のパンチ屑ポット61の係合例、及び、図7Bは、摺動時の動作例を示す上面図である。
この例では、パンチ屑ポット61の検知孔61aの奥側にブラシ部62aを設け、また、その検知孔61bの奥側にブラシ部62bを設け、この検知孔61a,61bを介して不本意にパンチ屑ポット61の外側に抜け出し、屑満杯センサを成す発光素子71や受光素子72の窓部(光軸)上に貼り付いたパンチ屑33を除去する(弾き飛ばす)ようになされる。
図7Aに示す待機時のパンチ屑ポット61は容器格納部60に係合される。例えば、断面五角形の有底寸胴状の容器格納部60に対して、パンチ屑ポット61の取っ手61dを取り付けていない側の面(背面)が当接するように収納される。この収納状態で、ブラシ部62aは発光素子71よりも奥側の位置に存在するようになる。ブラシ部62bは受光素子72よりも奥側の位置に存在するようになる。この状態は、パンチ屑ポット61がホームポジションに待機している状態である。
図7Bに示す摺動操作時のパンチ屑ポット61によれば、図7Aに示したパンチ屑ポット61のホームポジションの待機位置から、パンチ屑ポット61の取っ手61dを持って手前に引いた状態(図中、白抜き矢印に示すように、左側から右側に引いた状態)である。このとき、ブラシ部62aの毛脚部601は発光素子71の窓部に摺動するように接触され、ブラシ部62bの毛脚部601は受光素子72の窓部に摺動するように接触される。
従って、発光素子71の窓部上にパンチ屑33が不本意に付着していたような場合に、発光素子71の窓部上へのブラシ部62aの毛脚部601の接触や、受光素子72の窓部上にパンチ屑33が不本意に付着していたような場合に、受光素子72の窓部上へのブラシ部62bの毛脚部601の接触等によって、再現性良くパンチ屑33を除去できるようになる。
図8は、ブラシ抜け出し時のパンチ屑ポット61の動作例を示す上面図である。図8に示すブラシ抜け出し時のパンチ屑ポット61によれば、図7Bに示した発光素子71の窓部上への毛脚部601の接触位置及び、受光素子72の窓部上への毛脚部601の接触位置から、パンチ屑ポット61の取っ手61dを持って更に手前に引いた状態(図中では左側から右側に更に引いた状態)である。
このとき、ブラシ部62aは発光素子71を交わした位置に移動し、ブラシ部62bは受光素子72を交わした位置に移動している。このようなブラシ部62a,62bをパンチ屑ポット61に設けたことで、仮に屑満杯センサ70が満杯状態を誤検知したとしても、パンチ屑ポット61の出し入れを1回乃至3回程度繰り返すことで、発光素子71の窓部上のパンチ屑33や、受光素子72の窓部上のパンチ屑33等が除去され、満杯誤検知が解除され、用紙処理装置が動作可能となる。
次に、屑満杯センサ70へのパンチ屑33の貼り付き除去方法について説明する。図9は、変形例としての容器格納部60’への除電プレート付きのパンチ屑ポット61’の装着例を示す斜視図である。
図9に示すパンチ屑ポット61’はブラシ部62a,62bの他に除電用の金属製のスライド板64及び除電プレート65を有している。スライド板64は、パンチ屑ポット61’の外側に取り付けられる。パンチ屑ポット61’の内側には所定の大きさを有した除電プレート65が設けられる(図11参照)。スライド板64や除電プレート65等には、鉄板を所定の形状に切り抜いたものが使用される。スライド板64と除電プレート65とは電気的に接続される。
スライド板64には双頭状の接触子66が係合される。接触子66は容器格納部60’に取り付けられ、当該容器格納部60’からパンチ屑ポット61’を抜き取るまで、ほぼ接触状態を維持するようになされる。接触子66は鉄板、銅板又は銅合金板を切り曲げ加工したものから構成される。接触子66の双頭状部位は先端が例えば、「く」字状に折り曲げられ、弾性を有してスライド板64に接触される。他端は五角形状を有した取付部位となされる。
図10は、容器格納部60’へのパンチ屑ポット61’の装着時の構成例を示す斜視図である。図10に示す容器格納部60’の側面には、スライド板64を見通せる位置に開口部61gが設けられる。開口部61gには接触子66が取り付けられる。接触子66は五角形状の取付部位を有しており、その取付部位は、例えば、ボルト・ナットや鉄板ビス等により容器格納部60’の開口周縁部位に固定される。パンチ屑ポット61’は、装着時、スライド板64と接触子66との機械的な接触状態を維持し、スライド板64に接触子66を電気的に接続して静電気の発生を防止するようになされる。
図11は、パンチ屑ポット61’への除電プレート65等の組立例を示す斜視図である。図11に示すパンチ屑ポット61’によれば、ブラシ部62bが取り付けられた一方の側にスライド板64が取り付けられる。スライド板64には、鉄板を長手定規状に切ったものが使用される。スライド板64は、パンチ屑ポット61’の外側に設けられた浅い溝部内に取り付けられる。
除電プレート65は左上部が欠けた屈曲状を有している。除電プレート65には、鉄板を所定の大きさの屈曲状に切り抜いたものが使用される。除電プレート65はパンチ屑ポット61’の内側に取り付けられる。例えば、スライド板64と除電プレート65とを電気的に接続するために、スライド板64と除電プレート65とでパンチ屑ポット61’の壁面を挟んで、3組のボルト611及び袋ナット621、ボルト612及び袋ナット622、ボルト613及び袋ナット623で締め付けるようにして固定される。
図12は、容器格納部60’へのパンチ屑ポット61’の装着例を示す断面図である。図12に示すパンチ屑ポット61’のスライド板64には、容器格納部60’に取り付けられた双頭状の接触子66が係合される。接触子66はパンチ屑ポット61’が容器格納部60’に装着されている間中、電気的な接触状態を維持するようになされる。この例で、容器格納部60’を接地(アース)することで、不本意に発生した静電気による電荷を大地(GND)に逃がすようになされる。これにより、パンチ屑33への静電気の誘導を低減できるので、パンチ屑33の外部への飛び出しを防止できるようになる。
図13は、用紙処理装置100の制御系の構成例を示すブロック図である。図13に示す用紙処理装置100には制御部50が備えられ、用紙搬送部10、パンチ処理部20、後処理部30及び表示モニタ80を制御するようになされる。制御部50は図1に示した装置本体部101内に設けられる。制御部50には操作部40が接続され、用紙3へのパンチ処理を実行する際に操作される。例えば、操作部40から制御部50には操作開始信号S40等が出力され、制御部50は、操作開始信号S40に基づいて用紙3へのパンチ処理を実行する。
制御部50には用紙搬送部10が接続され、用紙処理装置100に取り込まれる用紙3を所定の方向へ搬送するようになされる。制御部50には、給紙センサ111が接続され、用紙処理装置100に取り込まれる用紙3を検知するようになされる。給紙センサ111は、例えば、用紙3の先端を検知して給紙検知信号S11を制御部50へ出力する。
制御部50には、給紙センサ111の他に用紙検知センサ114が接続され、スイッチバック地点への用紙3の到達を検知するようになされる。用紙検知センサ114は、例えば、用紙3の前端及び後端を検知して用紙検知信号S14を制御部50へ出力するようになされる。
制御部50は用紙検知信号S14に基づいて、例えば、スイッチバック地点へ到達した用紙3の搬送方向をパンチ処理部20への搬送方向に変更するように用紙搬送部10を制御する。制御部50は用紙搬送部10で図示しない駆動モータ等に用紙搬送信号S10を出力して用紙搬送制御を実行する。
制御部50には用紙検知センサ118が接続され、パンチ処理部20への用紙3の到達を検知するようになされる。用紙検知センサ118は、例えば、用紙3の前端及び後端を検知して用紙検知信号S18を制御部50へ出力する。
制御部50はパンチ処理部20を制御する。例えば、搬送路11からスイッチバックし、搬送路12によって搬送される用紙3は、パンチ処理部20内に設けられたフェンス24に当てつけるようになされる。用紙3をフェンス24に当てつけることで、パンチ孔3aの開孔位置の基準となされる。
更に、制御部50は、パンチ処理部20のサイドジョーガー23を制御し、用紙3の横方向から振動を与え、用紙3の姿勢を修正するようになされる。その後、パンチ処理部20では、用紙3の一端に1以上の綴じ用のパンチ孔3aを穿孔するようになされる。例えば、制御部50はパンチ処理部20にパンチ制御信号S20を出力し、図1に示したパンチ処理部20のモータ22がパンチ制御信号S20に基づいてパンチ刃21を往復動作させる。
用紙3はモータ22によって往復駆動されるパンチ刃21によって、1枚づつ穿孔される。このとき、パンチ屑集積部26では、パンチ刃21によって穿孔されたパンチ孔3aから切り落とされたパンチ屑33(カス)がパンチ屑ポット61,61’内に収容されて集積される。なお、穿孔後の用紙3’は、パンチ処理部20の下流側に設けられた排紙ローラ25によって、次段の後処理部30へ搬送するようになされる。後処理部30では綴じ処理等がなされる。例えば、制御部50は後処理部30に綴じ制御信号S30を出力し、後処理部30で図示しない駆動モータが綴じ制御信号S30に基づいて綴じ部品43を用紙束3”のパンチ孔3aに綴じ処理するような制御がなされる。
上述の制御部50には、給紙センサ111、用紙検知センサ114及び用紙検知センサ118の他に屑満杯センサ70が接続され、パンチ屑ポット61,61’内のパンチ屑33の満杯有無を検知してパンチ屑検知信号S70を出力する。屑満杯センサ70によれば、パンチ屑33が非満杯状態のときは、「L」レベルのパンチ屑検知信号S70を制御部50に出力する。また、パンチ屑ポット61,61’にパンチ屑33が満杯になると「H」レベルのパンチ屑検知信号S70を制御部50に出力する。
制御部50は、「L」レベルのパンチ屑検知信号S70が得られた場合は、パンチ屑33が非満杯状態である旨を検知できる。「H」レベルのパンチ屑検知信号S70が得られた場合、制御部50は、パンチ屑33が満杯状態である旨を報知できるようになる。例えば、制御部50は表示モニタ80等に「パンチ屑33が満杯状態となった旨」を表示し、ユーザに知らせるようになる。
上述の制御部50には、給紙センサ111、用紙検知センサ114、用紙検知センサ118及び屑満杯センサ70の他に、表示モニタ80が接続される。制御部50では、屑満杯センサ70から「H」レベルのパンチ屑検知信号S70が入力されると、制御部50は表示モニタ80に表示制御信号S80を出力して、「パンチ屑ポット61,61’が満杯になりました。」等のメッセージを表示するようになされる。
この例では、発光素子71や受光素子72等の窓部上に不本意に付着した場合も、受光素子72から制御部50へ「H」レベルのパンチ屑検知信号S70が出力される。この場合も、表示モニタ80には表示制御信号S80に基づく「パンチ屑ポット61,61’が満杯になりました。」等のメッセージが表示されるが、この例では、発光素子71や受光素子72等の窓部上に不本意に付着した状態である。
従って、ユーザはパンチ屑ポット61,61’を容器格納部60,60’に対して前後に摺動操作することにより、発光素子71や受光素子72等の窓部上をパンチ屑除去用のブラシ部62a,62bを往復させるようになされる。これにより、ブラシ部62aが発光素子71の窓部上のパンチ屑33や、ブラシ部62bが受光素子72の窓部上のパンチ屑33を除去するので、受光素子72は「L」レベルのパンチ屑検知信号S70を制御部50に出力するようになる。この結果、パンチ処理を継続できるようになる。
このように、実施形態としての用紙処理装置100によれば、本発明に係る切断片収容具がパンチ屑集積部26に応用され、装置本体部101に対してパンチ屑ポット61,61’を前後に摺動操作することにより、屑満杯センサ70の窓部上にパンチ屑除去用のブラシ部62a,62bを往復させることができる。従って、温度や湿気等により不本意に装置本体部101側の発光素子71や受光素子72等の窓部上に貼り付いたパンチ屑33を再現性良く除去できるようになる。
これにより、パンチ屑33の満杯検知が誤ってなされた場合であっても、容器格納部60,60’に対するパンチ屑ポット61,61’の着脱操作を1回乃至3回程度繰り返すことで、パンチ屑検知信号S70が「H」レベルから「L」レベルに変化して満杯検知状態が解除され、パンチ屑33の非満杯検知状態に即時復帰できるようになった。
上述の実施形態では、ブラシ部62a,62bの毛脚部601に非導電性のナイロン製のパイル糸を使用する場合について説明したが、これに限られることはなく、その毛脚部601に導電性の材料であるカーボンやステンレス、鉄、真鍮、サンダーロン等を使用してもよい。更に、これらの導電性の毛脚部601の材料によるブラシ部62a,62bに、スライド板64や除電プレート65等の除電効果も含めた形態であっても良い。もちろん、コスト面を考慮して、非導電性の毛脚部601と導電性の毛脚部601とを混在したブラシ部62a,62bの形態であってもよい。
また、上述した実施形態では切断片除去用の突出部材がブラシ部62a,62bである場合について説明したが、これに限られることはなく、パンチ屑33を除去する目的に沿うものであれば何でもよい。例えば、フィルムやスボンジ、コシのある布、モヘヤ等をパンチ屑除去用の突出部材に適用した場合であっても同様の効果が得られる。