本発明の第1実施形態である打抜き装置101について説明する。図1は、打抜き装置101の構成を正面からながめたときの模式図である。打抜き装置101は、打抜き刃1を備える打抜き型2と、打抜き刃1に囲まれるように配置された第1押し片3と、打抜き型2および第1押し片3を固定するベース4と、ベース4を上昇および下降させる第1プレス機構5と、シート材を載せるステージ6と、シート材を送出す送出しローラ7a〜7e(各送出しローラを区別しない場合には、送出しローラ7と表す)と、シート材を巻取る巻取りローラ8と、打抜き型2よりもシート材の搬送方向下流側に配置される押え付け部9と、打抜き後のシート材を取出すシート材取出部10と、打抜き装置101に備えられる各部材を制御する制御部11とを含む。以下において、下方向とは打抜き型2から眺めてステージ6の方向であり、上方向とはその逆の方向である。また、搬送方向とは上下方向に垂直な方向であって、送出しローラ7eから眺めた巻取りローラ8の方向に平行な方向である。搬送方向において、送出しローラ7e側を上流、巻取りローラ8側を下流と呼ぶ。
本実施形態では、打抜き刃1と、打抜き型2と、第1押し片3と、ベース4と、第1プレス機構5と、ステージ6とが打抜き手段を構成し、送出しローラ7と、巻取りローラ8と、シート材取出部10とが搬送手段を構成し、押え付け部9が押え付け手段を構成し、制御部11が制御手段を構成する。
打抜き刃1は、シート材を切断するための部材であり、シート材を打抜くために閉じた形状となっている。打抜き刃1および打抜き型2は、直線状に形成された打抜き刃1が打抜き型2に埋め込むようにして作製されるトムソン型、鋼材をエッチングして作製されるピナクル型、または鋼材を切削加工して作製される彫刻刃型などの中から選択できる。打抜き刃1は打抜かれるシート材の材質および要求される品質などに応じて選択すれば良い。本実施形態では、打抜き刃1は矩形状であり、打抜き刃1および打抜き型2はピナクル型である。また打抜き刃1は、振動しながらシート材の切断を行えるように、超音波によって加振できるよう構成されていてもよい。
第1押し片3は、シート材に打抜き刃1が到達する前に、シート材を押え付けることで打抜きを容易にする部材である。また第1押し片3は、打抜き後において、打抜かれたシート材が打抜き刃1とともに上昇することを防ぐ。第1押し片3には、シート材を押え付ける際にシート材を傷つけないように、発泡ウレタンフォームなどの反発弾性が小さく、変形率が大きい材料が用いられる。第1押し片3は、第1押し片3の高さ(シート材と接する部分からベース4までの上下方向の距離)が、打抜き刃1の高さ(刃先からベース4までの上下方向の距離)よりも大きくなるように構成される。
ベース4は、第1プレス機構5と一体になっており、第1プレス機構5が上下方向に移動することでベース4も上下方向に移動する。ベース4が下方向に移動することで、打抜き型2および第1押し片3が下方向に移動しステージ6上のシート材が打抜かれる。
第1プレス機構5は制御部11と接続される。制御部11からの命令によって、第1プレス機構5は上下方向に移動する。第1プレス機構5の上方向への移動速度は約100mm/sec、下方向への移動速度は約100mm/secである。
送出しローラ7a,7b,7c,7dは、光学シート原反12a,12b,12c,12dを搬送方向下流に送出す。また、送出しローラ7eは、キャリアテープ13を搬送方向下流に送出す。送出しローラ7a〜7eは、制御部11と接続されており、シート材の送出しは制御部11によって制御される。打抜き装置101に備えられる送出しローラの数は積層される光学シートの枚数によって異なる。本実施形態は、4枚の光学シートを積層するために、5つの送出しローラを備える。
光学シート原反12a〜12dおよびキャリアテープ13のシート材は長尺の帯状の材料であり、それぞれロール状に巻回された原反ロールから引出されて用いられる。光学シート原反12a〜12dは、たとえば、アクリル樹脂またはポリエステル樹脂などからなる厚さ数十μmの帯状の光学シートである。キャリアテープ13は、打抜き刃1の摩耗を防止し、また、打抜き後の光学シートの搬出手段としても機能する。キャリアテープ13の材料は、特に限定されることはなく、従来公知のものを含め、種々様々なものを採用することができる。
巻取りローラ8は、光学シート原反12a〜12dおよびキャリアテープ13を巻取る。巻取りローラ8は、制御部11と接続されており、シート材の巻取りは制御部11によって制御される。
押え付け部9は、打抜き後のシート材を押え付ける第2押し片14と、第2押し片14が取付けられる第2押し片取付部15と、第2押し片取付部15を上昇および下降させる第2プレス機構16とを含む。
第2押し片14は、打抜き後のシート材を下方向に押え付ける。シート材を押え付ける際にシート材がずれないためには、シート材にかかる力は下方向成分のみであることが望ましいけれども、シート材にかかるステージ6の面方向の力が存在しても、その面方向の力が、シート材が面方向に動こうとするときに働く静止摩擦力よりも小さければ、問題無くシート材を押え付けることができる。具体的には、積層されたシート材間の静止摩擦係数が約0.4であるので、面方向の力は、下方向の力に0.4を乗じた値よりも小さければよい。また、本実施形態では、シート材を傷つけることがないように、シート材にかかる下方向の力は3N/cm2以下としている。
第2押し片14は、シート材を押え付ける際にシート材を傷つけないように、弾性部材で構成されることが望ましい。また、シート材を押え付けた後、シート材が第2押し片14に貼り付いたまま第2押し片14とともに上昇しないように、第2押し片14はシート材が貼り付きにくいものであることが望ましい。さらに、第2押し片14は、繰返しシート材を押え付けるので、耐摩耗性が優れる材料で構成されることが望ましい。また、第2押し片14は、繰返しシート材を押え付けることで帯電しやすい。したがって、帯電した第2押し片14にシート材が静電引力で引寄せられることがないように、第2押し片14は、導電性の材料で構成されるか、または、帯電防止処理が施されることが望ましい。第2押し片14には、たとえばニトリルゴムが用いられる。
第2押し片取付部15は、第2プレス機構16によって上下方向に移動する。第2押し片取付部15が下方向に移動することで、第2押し片14が下方向に移動しステージ6上の打抜き後のシート材が押え付けられる。第2押し片取付部15は、シート材の押え付けの際、変形することがないように、少なくとも第2押し片14より硬い材料で構成される。第2押し片取付部15の上方向への移動速度は約100mm/sec、下方向への移動速度は約100mm/secである。
第2プレス機構16は、図示しない支持部に固定され、制御部11と接続される。制御部11からの命令によって、第2プレス機構16は、第2押し片取付部15を上下方向に移動させる。
シート材取出部10は、打抜き後のシート材を受取るシート材受け17と、シート材受け17が取付けられるシート材受け取付部18と、シート材受け取付部18が回転する際の軸となる回転軸19とを含む。
シート材受け17は、第1シート材受け17aと第2シート材受け17bとからなり、第1シート材受け17aおよび第2シート材受け17bの少なくとも一方は、キャリアテープ13によって搬送された打抜き後のシート材を受取ることが可能な位置に配置される。シート材受け17は、回転軸19が回転する際に、積層されたシート材間にずれが生じないように、上下方向からシート材を挟み込むように構成されることが好ましい。
シート材受け取付部18は回転軸19と一体となっており、回転軸19が半回転するのに伴って、シート材受け取付部18は回転軸19を中心に半回転し、第1シート材受け17aの位置と第2シート材受け17bの位置とが入れ替わる。したがって、シート材受け17によって受取られた打抜き後のシート材は、受取られた位置とは異なる位置へと移動する。移動した打抜き後のシート材は、その後の工程を行う他の装置へ渡される。
回転軸19は、制御部11と接続されており、シート材受け17にシート材が受取られると、回転軸19が回転するように構成される。
制御部11は、PC(Personal Computer)またはPLC(Programmable Logic
Controller)等で実現され、第1プレス機構5、送出しローラ7、巻取りローラ8、第2プレス機構16、および回転軸19と接続される。制御部11は、第1プレス機構5および第2プレス機構16の上昇および下降速度、ならびに上昇および下降のタイミングを制御する。また制御部11は、送出しローラ7による送出し速度および送出しのタイミング、ならびに巻取りローラ8による巻取り速度および巻取りのタイミングを制御する。また制御部11は、回転軸19の回転の速度およびタイミングを制御する。
打抜き装置101によるシート材の打抜きおよび搬送について、図2、図3A、図3B、および図4を用いて説明する。図2は打抜き装置101による打抜き搬送の工程図である。図3Aおよび図3Bは各工程における打抜き装置101の一部を模式的に示す正面図である。図4は打抜きの際の打抜き刃1の周辺を示す図である。打抜き装置101は、光学シート原反12a〜12dおよびキャリアテープ13の搬送停止中に打抜きを行い、1回打抜きを行うごとに所定距離の光学シート原反12a〜12dおよびキャリアテープ13を巻取って搬送するというように、打抜きと搬送とを交互に繰り返す、間欠駆動の打抜き装置である。
打抜き装置101は、図3A(a)の状態(第1実施形態において、「初期状態」と称する)にあるとする。初期状態では、上から順に光学シート原反12a,12b,12c,12dが積層された光学シート原反積層体12がステージ6上に存在し、光学シート原反積層体12を打抜いた後の光学シート積層体(以下、単に「積層体」と称する)20a〜20cがキャリアテープ13上に存在する。初期状態において、積層体20a,20b,20c(各積層体を区別しない場合には、積層体20と表す)は、搬送方向下流側から順に、積層体20a、20b、20cの順に並んでいる。なお、打抜かれたシート材である積層体20は、図3A、図3Bにおいて斜線部で表されている。また、初期状態では、光学シート原反12a〜12d、キャリアテープ13、および積層体20は、その搬送が停止されている。また、初期状態において、打抜き刃1、第1押し片3、および第2押し片14は、光学シート原反積層体12および積層体20から離間している。
打抜き装置101は、初期状態から、まず、押え付け部9による積層体20cの押え付けを行う(ステップS1)。次に、積層体20cの押え付けを行ったまま、光学シート原反積層体12の打抜きを行う(ステップS2)。光学シート原反積層体12の打抜きが終了すると、ベース4の上昇が開始される(ステップS3)。ベース4の上昇開始後、押え付け部9は第2押し片取付部15を上昇させて、第2押し片14による積層体20cの押え付けを終了する(ステップS4)。第2押し片14が積層体20cから離間後、巻取りローラ8によって、光学シート原反積層体12およびキャリアテープ13は巻取られ、積層体20a〜20dは搬送される(ステップS5)。以下に、各ステップS1〜S5について詳細に説明する。
ステップS1について説明する。図3A(b)は、積層体20cが押え付けられている様子を示す。押え付け部9は、第2押し片取付部15を下降させることで、第2押し片取付部15に取付けられた第2押し片14を積層体20cに当接させ、さらに第2押し片取付部15を下降させて、積層体20cに下方向の所定の力を加える。積層体20cは、このように押え付けられることで、積層体20cを構成する4枚の光学シートが互いに貼り付き、光学シート間の位置がずれにくくなる。
ステップS2について説明する。打抜きはベース4をステージ6に向けて下降させ、第1押し片3および打抜き刃1を光学シート原反積層体12に当接させて行われる。ベース4が下降すると、まず第1押し片3が光学シート原反積層体12に当接する(図3A(c))。ベース4がさらに下降すると、第1押し片3は圧縮されて、光学シート原反積層体12は固定される。ベース4はさらに下降し、第1押し片3が圧縮された状態で光学シート原反積層体12の打抜きが行われる(図3A(d))。ベース4の下降開始のタイミングは、第2押し片取付部15の下降が停止して積層体20cが固定された後であってもよいし、第2押し片取付部15の下降開始から下降停止までの間であってもよい。下降開始のタイミングは、初期位置(図3A(a)の位置)におけるベース4と積層体20cとの距離、ならびに第2押し片取付部15の下降速度およびベース4の下降速度によって異なり、積層体20cがベース4との静電引力によって移動し始める前に、第2押し片14による積層体20cの固定が完了するようなタイミングに調節されればよい。このように、積層体20cの押え付けを行って、ベース4の下降のタイミングを調節することで、帯電しやすい光学シートからなる積層体20cが、ベース4に貼り付いたり、打抜きによって光学シート原反積層体12に形成された枠(以下、「打抜き枠」と称する)内から飛出したりすることがなくなる。また、打抜きの際に打抜き枠が変形しても、積層体20cが打抜き枠内から飛出すことがなくなる。したがって、積層体20cは安定して搬送される。また、図4に示すように、打抜き刃1はZ方向(上下方向)において、その先端が高さHの位置に到るまで下降する。高さDはキャリアテープ13の厚さを表しており、0<H<Dであるので、打抜きの際、打抜き刃1はキャリアテープ13に食込む。このように、充分に深く打抜き刃1が下降するので、複数枚の光学シートが重ねられた光学シート原反積層体12であっても、精確に打抜きを行うことができる。
ステップS3について説明する。図3B(e),(f)に示すように、ベース4が上昇するとともに、圧縮されていた第1押し片3は元の形状に戻ろうとし、打抜きによって新しくできた積層体20dは、第1押し片3が元の形状に戻ろうとする力によって、下方向に押え付けられる。したがって積層体20dが打抜き刃1とともに上昇することがない。
ステップS4について説明する。第2押し片取付部15の上昇開始のタイミングは、第2押し片取付部15の上昇開始時点におけるベース4と積層体20cとの距離によって定まり、積層体20cがベース4との静電引力によって移動しない距離までベース4が上昇した時点以降に、第2押し片取付部15の上昇が開始されればよい。このように、積層体20cの押え付けを行って、第2押し片取付部15の上昇のタイミングを調節することで、積層体20cが、ベース4に貼り付いたり、打抜き枠内から飛出したりすることがなくなるので、積層体20cは安定して搬送される。
ステップS5について説明する。巻取りローラ8によって、積層体20の搬送方向の長さ+積層体20同士の間隔分の、光学シート原反積層体12およびキャリアテープ13が巻取られると、積層体20は光学シート原反積層体12およびキャリアテープ13とともに搬送され、巻取りローラ8の巻取りは停止し、積層体20の搬送が停止される。図3B(g)に示すように、積層体20aはシート材受け17aに受取られ、積層体20dは積層体20cがあった位置に搬送される。その後、図3B(h)に示すように、シート材取出部10が回転することで、シート材受け17aとシート材受け17bとの位置が入れ替わり、シート材受け17aに受取られた積層体20aは、別の工程を行う装置または人に渡される。搬送の際、光学シート原反積層体12は搬送方向に引張られるので、打抜き枠は変形する。しかしながら、積層体20cは、押え付け部9によって押え付けられたことで、積層体20cを構成する光学シート同士が貼り付いており、打抜き枠が変形しても打抜き枠内から飛出さないので、安定して搬送される。
積層体20aが別工程に渡されると、打抜き装置101は、初期状態と同様の状態になり、以降図3A(a)〜図3A(d)、図3B(e)〜図3B(h)と同様の工程を経て、次々と積層体20が製造および搬送される。
このように、本発明の打抜き装置101によれば、積層体20を接合することなく安定して搬送することが可能である。また、本発明の打抜き方法は、打抜き装置101を用いてシート材の打抜きを行うことで実現される。
次に、本発明の第2実施形態である打抜き装置102について説明する。図5は、打抜き装置102の構成を正面からながめたときの模式図である。本実施形態において、打抜き装置101と共通する部材には共通の参照符号を付しており、共通する部材の共通の機能についての説明は省略する。打抜き装置102は、打抜き装置101と異なり、3つの押え付け部9a,9b,9cを有し、押え付け部9a〜9cは光学シート原反積層体12およびキャリアテープ13の搬送に同期して、搬送方向に移動可能である。打抜き装置102は、打抜き刃1を備える打抜き型2と、打抜き刃1に囲まれるように配置された第1押し片3と、打抜き型2および第1押し片3を固定するベース4と、ベース4を上昇および下降させる第1プレス機構5と、シート材を載せるステージ6と、シート材を送出す送出しローラ7a〜7eと、シート材を巻取る巻取りローラ8と、打抜き型2よりもシート材の搬送方向下流側に配置される押え付け部9a〜9cと、打抜き後のシート材を取出すシート材取出部10と、打抜き装置102に備えられる各部材を制御する制御部11とを含む。また、送出しローラ7a〜7dは、光学シート原反12a〜12dを搬送方向下流に送出し、送出しローラ7eは、キャリアテープ13を搬送方向下流に送出す。
本実施形態では、打抜き刃1と、打抜き型2と、第1押し片3と、ベース4と、第1プレス機構5と、ステージ6とが打抜き手段を構成し、送出しローラ7と、巻取りローラ8と、シート材取出部10とが搬送手段を構成し、押え付け部9a〜9cが押え付け手段を構成し、制御部11が制御手段を構成する。
押え付け部9a〜9cは、搬送方向に並んだ共通の構成の部材である。したがって、押え付け部9aについて説明する。押え付け部9aは、打抜き後のシート材を押え付ける第2押し片14aと、第2押し片14aが取付けられる第2押し片取付部15aと、第2押し片取付部15aを上昇および下降させる第2プレス機構16aとを含む。
第2押し片14aは、打抜き後のシート材を下方向に押え付ける。シート材を押え付ける際にシート材がずれないためには、シート材にかかる力は下方向成分のみであることが望ましいけれども、シート材にかかるステージ6の面方向の力が存在しても、その面方向の力が、シート材が面方向に動こうとするときに働く静止摩擦力よりも小さければ、問題無くシート材を押え付けることができる。具体的には、積層されたシート材間の静止摩擦係数が約0.4であるので、面方向の力は、下方向の力に0.4を乗じた値よりも小さければよい。また、本実施形態では、シート材を傷つけることがないように、シート材にかかる下方向の力は3N/cm2以下としている。第2押し片14aは、第2押し片14と同様の材料で構成される。
第2押し片取付部15aは、第2プレス機構16aによって上下方向に移動する。第2押し片取付部15aが下方向に移動することで、第2押し片14aが下方向に移動しステージ6上の打抜き後のシート材が押え付けられる。第2押し片取付部15aは、第2押し片取付部15と同様の材料で構成される。第2押し片取付部15aの上方向への移動速度は約100mm/sec、下方向への移動速度は約100mm/secである。
第2プレス機構16aは、図示しない移動部に固定され、制御部11と接続される。制御部11からの命令によって、第2プレス機構16aは、第2押し片取付部15aを上下方向に移動させる。また、制御部11からの移動部に対する命令によって、第2プレス機構16aは搬送方向に移動する。第2プレス機構16aが搬送方向に移動するのに伴って、第2押し片取付部15aおよび第2押し片取付部15aに取付けられる第2押し片14aも搬送方向に移動する。
制御部11は、PCまたはPLC等で実現され、第1プレス機構5、送出しローラ7、巻取りローラ8、第2プレス機構16a〜16c、第2プレス機構16a〜16cが固定される移動部、および回転軸19と接続される。制御部11は、第1プレス機構5および第2プレス機構16a〜16cの上昇および下降速度、ならびに上昇および下降のタイミングを制御する。また制御部11は、第2プレス機構16a〜16cの搬送方向への移動速度および移動のタイミングを制御する。また制御部11は、送出しローラ7による送出し速度および送出しのタイミング、ならびに巻取りローラ8による巻取り速度および巻取りのタイミングを制御する。また制御部11は、回転軸19の回転の速度およびタイミングを制御する。
打抜き装置102によるシート材の打抜きおよび搬送について、図6および図7A、図7Bを用いて説明する。図6は打抜き装置102による打抜き搬送の工程図である。図7Aおよび図7Bは各工程における打抜き装置102の一部を模式的に示す正面図である。打抜き装置102は、打抜き装置101と同様に、間欠駆動の打抜き装置である。
打抜き装置102は、図7A(a)の状態(第2実施形態において、「初期状態」と称する)にあるとする。第2実施形態の初期状態は、第1実施形態の初期状態と同様の状態である。また、第2実施形態の初期状態では、打抜き装置101には備えられていない第2押し片14a,14bも光学シート原反積層体12および積層体20から離間している。
打抜き装置102は、初期状態から、押え付け部9aによる積層体20aの押え付け、押え付け部9bによる積層体20bの押え付け、押え付け部9cによる積層体20cの押え付けをそれぞれ行う(ステップS11)。次に、積層体20a〜20cの押え付けを行ったまま、光学シート原反積層体12の打抜きを行う(ステップS12)。光学シート原反積層体12の打抜きが終了すると、ベース4の上昇が開始される(ステップS13)。第1押し片3が積層体20dから離間後、第2押し片14a〜14cによる積層体20a〜20cの押え付けが行われたまま、巻取りローラ8によって、光学シート原反積層体12およびキャリアテープ13は巻取られ、積層体20a〜20dは搬送される(ステップS14)。巻取りローラ8の巻取り停止後、押え付け部9a〜9cは第2押し片取付部15a〜15cを上昇させて、第2押し片14b,14cによる積層体20b,20cの押え付けを終了する(ステップS15)。押え付けを終了した押え付け部9a〜9cは、搬送方向上流に移動して初期位置に戻る(ステップS16)。以下に、各ステップS11〜S16について詳細に説明する。
ステップS11について説明する。図7A(b)は、積層体20a〜20cが押え付けられている様子を示す。押え付け部9a〜9cは、第2押し片取付部15a〜15cを下降させることで、第2押し片取付部15a〜15cに取付けられた第2押し片14a〜14cを積層体20a〜20cに当接させ、さらに第2押し片取付部15a〜15cを下降させて、積層体20a〜20cに下方向の所定の力を加える。このように第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、すべての積層体20a〜20cが押え付けられることで、積層体20a〜20cを構成する4枚の光学シートが互いに貼り付き、光学シート間の位置がずれにくくなる。
ステップS12について説明する。第1実施形態と同様に、ベース4が下降することで第1押し片3が光学シート原反積層体12に当接し(図7A(c))、さらにベース4が下降することで、第1押し片3が圧縮されて、光学シート原反積層体12が固定され、さらにベース4が下降することで、第1押し片3が圧縮された状態で光学シート原反積層体12が打抜かれる(図7A(d))。ベース4の下降開始のタイミングおよび下降する位置も、第1実施形態と同様である。
ステップS13について説明する。第1実施形態と同様に、図7B(e)、図7B(f)に示すように、ベース4が上昇するとともに、圧縮されていた第1押し片3は元の形状に戻ろうとし、打抜きによって新しくできた積層体20dは、第1押し片3が元の形状に戻ろうとする力によって、下方向に押え付けられる。
ステップS14について説明する。第1実施形態と同様に、図7B(g)に示すように、積層体20aはシート材受け17aに受取られ、積層体20dは積層体20cがあった位置に搬送される。搬送の際、第1実施形態とは異なり、積層体20a,20b,20cは、それぞれ押え付け部9a,9b,9cによって押え付けられたまま搬送されるので、打抜き枠が変形しても打抜き枠内から飛出さず、安定して搬送される。なお、この搬送の間、押え付け部9a,9b,9cは、それぞれ積層体20a,20b,20cに同一面が接触した状態となる。ここで、押え付け部9a,9b,9cの同一面とは、押え付け部9a,9b,9cのそれぞれの底面である。
ステップS15について説明する。第1実施形態と同様に、巻取りローラ8によって、積層体20の搬送方向の長さ+積層体20同士の間隔分の、光学シート原反積層体12およびキャリアテープ13が巻取られると、積層体20は光学シート原反積層体12およびキャリアテープ13とともに搬送され、巻取りローラ8の巻取りは停止し、積層体20の搬送が停止される。
ステップS16について説明する。第1実施形態と同様に、図3B(h)に示すように、シート材取出部10が回転することで、シート材受け17aとシート材受け17bとの位置が入れ替わり、シート材受け17aに受取られた積層体20aは、別の工程を行う装置または人に渡される。
積層体20aが別工程に渡されると、打抜き装置102は、初期状態と同様の状態になり、以降図7A(a)〜図7A(d)、図7B(e)〜図7B(h)と同様の工程を経て、次々と積層体20が製造および搬送される。
このように、本発明の打抜き装置102によれば、積層体20を接合することなく安定して搬送することが可能である。また、本発明の打抜き方法は、打抜き装置102を用いてシート材の打抜きを行うことで実現される。
次に、本発明の第3実施形態である打抜き装置103について説明する。図8は、打抜き装置103の構成を正面からながめたときの模式図である。本実施形態において、打抜き装置101と共通する部材には共通の参照符号を付しており、共通する部材の共通の機能についての説明は省略する。打抜き装置103は、打抜き装置101と異なり、押え付け手段である第3押し片22が共通ベース21に固定され、打抜き手段と押え付け手段とが一体化されている。打抜き装置103は、打抜き刃1を備える打抜き型2と、打抜き刃1に囲まれるように配置された第1押し片3と、打抜き型2、第1押し片3、および第3押し片22を固定する共通ベース21と、共通ベース21を上昇および下降させる第1プレス機構5と、シート材を載せるステージ6と、シート材を送出す送出しローラ7a〜7eと、シート材を巻取る巻取りローラ8と、共通ベース21の、打抜き型2よりもシート材の搬送方向下流側に取付けられる第3押し片22と、打抜き後のシート材を取出すシート材取出部10と、打抜き装置103に備えられる各部材を制御する制御部11とを含む。また、送出しローラ7a〜7dは、光学シート原反12a〜12dを搬送方向下流に送出し、送出しローラ7eは、キャリアテープ13を搬送方向下流に送出す。
本実施形態では、打抜き刃1と、打抜き型2と、第1押し片3と、共通ベース21と、第1プレス機構5と、ステージ6とが打抜き手段を構成し、送出しローラ7と、巻取りローラ8と、シート材取出部10とが搬送手段を構成し、第3押し片22が押え付け手段を構成し、制御部11が制御手段を構成する。
共通ベース21は、第1プレス機構5と一体になっており、第1プレス機構5が上下方向に移動することで共通ベース21も上下方向に移動する。ここで、下方向とは打抜き型2に対するステージ6の方向であり、上方向とはその逆の方向である。共通ベース21が下方向に移動することで、打抜き型2および第1押し片3が下方向に移動しステージ6上のシート材が打抜かれる。また、共通ベース21が下方向に移動することで、第3押し片22が下方向に移動しステージ6上の打抜き後のシート材が押え付けられる。
第1プレス機構5は制御部11と接続される。制御部11からの命令によって、第1プレス機構5は上下方向に移動する。第1プレス機構5の上方向への移動速度は約100mm/sec、下方向への移動速度は約100mm/secである。
第3押し片22は、打抜き後のシート材を下方向に押え付ける。シート材を押え付ける際にシート材がずれないためには、シート材にかかる力は下方向成分のみであることが望ましいけれども、シート材にかかるステージ6の面方向の力が存在しても、その面方向の力が、シート材が面方向に動こうとするときに働く静止摩擦力よりも小さければ、問題無くシート材を押え付けることができる。具体的には、積層されたシート材間の静止摩擦係数が約0.4であるので、面方向の力は、下方向の力に0.4を乗じた値よりも小さければよい。また、本実施形態では、シート材を傷つけることがないように、シート材にかかる下方向の力は3N/cm2以下としている。
第3押し片22は、発泡ウレタンフォームなどの反発弾性が小さく、変形率が大きい材料が用いられる。また、シート材を押え付けた後、シート材が第3押し片22に貼り付いたまま第3押し片22とともに上昇しないように、第3押し片22はシート材が貼り付きにくいものであることが望ましい。さらに、第3押し片22は、繰返しシート材を押え付けるので、耐摩耗性が優れる材料で構成されることが望ましい。また、第3押し片22は、繰返しシート材を押え付けることで帯電しやすい。したがって、帯電した第3押し片22にシート材が静電引力で引寄せられることがないように、第3押し片22は、導電性の材料で構成されるか、または、帯電防止処理が施されることが望ましい。また、第3押し22は、第3押し片22の高さ(シート材と接する部分から共通ベース21までの上下方向の距離)が、打抜き刃1の高さ(刃先から共通ベース21までの上下方向の距離)よりも大きいことが望ましい。
制御部11は、PCまたはPLC等で実現され、第1プレス機構5、送出しローラ7、巻取りローラ8、および回転軸19と接続される。制御部11は、第1プレス機構5の上昇および下降速度、ならびに上昇および下降のタイミングを制御する。また制御部11は送出しローラ7による送出し速度および送出しのタイミング、ならびに巻取りローラ8による巻取り速度および巻取りのタイミングを制御する。また制御部11は、回転軸19の回転の速度およびタイミングを制御する。
打抜き装置103によるシート材の打抜きおよび搬送について、図4、図9、および図10A、図10Bを用いて説明する。図9は打抜き装置103による打抜き搬送の工程図である。図10は各工程における打抜き装置103の一部を模式的に示す正面図である。打抜き装置103は、打抜き装置101,102と同様に、間欠駆動の打抜き装置である。
打抜き装置103は、図10A(a)の状態(第3実施形態において、「初期状態」と称する)にあるとする。第3実施形態の初期状態は、第1実施形態の初期状態と同様の状態である。また、第3実施形態の初期状態では、打抜き装置101には備えられていない第3押し片22も光学シート原反積層体12および積層体20から離間している。
打抜き装置103は、初期状態から、共通ベース21を下降させて、打抜きと第3押し片22による積層体20cの押え付けとを行う(ステップS21)。光学シート原反積層体12の打抜きが終了すると、共通ベース21の上昇が開始される(ステップS22)。第1押し片3が積層体20dから離間し、第3押し片22が積層体20cから離間した後、巻取りローラ8によって、光学シート原反積層体12およびキャリアテープ13は巻取られ、積層体20a〜20dは搬送される(ステップS23)。以下に、各ステップS21〜S23について詳細に説明する。
ステップS21について説明する。打抜き装置103は、共通ベース21を下降させ、第1押し片3を光学シート原反積層体12に当接させる。このとき、押え付け手段である第3押し片22は、第1実施形態とは異なり、共通ベース21と一体化しているので、共通ベース21とともに下降し、積層体20cに当接する(図10A(b))。共通ベース21はさらに下降し、第1押し片3は圧縮されて光学シート原反積層体12は固定され、第3押し片22は圧縮されて、積層体20cに下方向の所定の力を加える。共通ベース21はさらに下降し、第1押し片3および第3押し片22が圧縮された状態で、光学シート原反積層体12の打抜きが行われる(図10A(c))。第1実施形態と同様に、図4に示すように、打抜き刃1はZ方向(上下方向)において、その先端が高さHの位置に到るまで下降する。積層体20cは、第1実施形態と同様に、押え付けられることで、積層体20cを構成する4枚の光学シートが互いに貼り付き、光学シート間の位置がずれにくくなる。また、第1実施形態と同様に、積層体20cの押え付けを行いながら、打抜きを行うことで、帯電しやすい光学シートからなる積層体20cが、共通ベース21に貼り付いたり、打抜き枠内から飛出したりすることがなくなる。第3押し片22の高さが打抜き刃1の高さよりも大きい場合には、打抜き刃1が光学シート原反積層体12に到達する前に、第3押し片22による積層体20cの押え付けが行われるので、打抜きの際に打抜き枠が変形しても、積層体20cが打抜き枠内から飛出すことがなくなる。したがって、積層体20cは安定して搬送される。また、打抜き装置103は、打抜き装置101に備えられるような押え付け部9を備えなくとも、共通ベース21に取付けられる第3押し片22によって、積層体20cの押え付けを行うことができるので、複雑な機構を必要とせず、打抜き装置103を小型化することができる。
ステップS22について説明する。第1実施形態と同様に、図10B(d),図10B(e)に示すように、共通ベース21が上昇するとともに、圧縮されていた第1押し片3は元の形状に戻ろうとし、打抜きによって新しくできた積層体20dは、第1押し片3が元の形状に戻ろうとする力によって、下方向に押え付けられる。また、打抜き装置103は、積層体20cの押え付けを行いながら、共通ベース21を上昇させる。したがって、第1実施形態と同様に、積層体20cが、共通ベース21に貼り付いたり、打抜き枠内から飛出したりすることがなくなるので、積層体20cは安定して搬送される。
ステップS23について説明する。第1実施形態と同様に、図10B(f)に示すように、積層体20aはシート材受け17aに受取られ、積層体20dは積層体20cがあった位置に搬送される。第1実施形態と同様に、巻取りローラ8によって、積層体20の搬送方向の長さ+積層体20同士の間隔分の、光学シート原反積層体12およびキャリアテープ13が巻取られると、積層体20は光学シート原反積層体12およびキャリアテープ13とともに搬送され、巻取りローラ8の巻取りは停止し、積層体20の搬送が停止される。第1実施形態と同様に、図10B(g)に示すように、シート材取出部10が回転することで、シート材受け17aとシート材受け17bとの位置が入れ替わり、シート材受け17aに受取られた積層体20aは、別の工程を行う装置または人に渡される。第1実施形態と同様に、積層体20cは、第3押し片22によって押え付けられたことで、積層体20cを構成する光学シート同士が貼り付いており、打抜き枠が変形しても打抜き枠内から飛出さないので、安定して搬送される。
積層体20aが別工程に渡されると、打抜き装置103は、初期状態と同様の状態になり、以降図10A(a)〜図10A(d)、図10B(e)〜図10B(g)と同様の工程を経て、次々と積層体20が製造および搬送される。
このように、本発明の打抜き装置103によれば、積層体20を接合することなく安定して搬送することが可能である。また、本発明の打抜き方法は、打抜き装置103を用いてシート材の打抜きを行うことで実現される。
次に、本発明の第4実施形態である打抜き装置104について説明する。図11は、打抜き装置104の構成を正面からながめたときの模式図である。本実施形態において、打抜き装置102または打抜き装置103と共通する部材には共通の参照符号を付しており、共通する部材の共通の機能についての説明は省略する。打抜き装置104は、打抜き装置103と同様に、押え付け手段である第3押し片22が共通ベース21に固定され、打抜き手段と押え付け手段とが一体化されている。また、打抜き装置104は、打抜き装置103と異なり、2つの押え付け部9a,9bを有し、押え付け部9a,9bは光学シート原反積層体12およびキャリアテープ13の搬送に同期して、搬送方向に移動可能である。打抜き装置104は、打抜き刃1を備える打抜き型2と、打抜き刃1に囲まれるように配置された第1押し片3と、打抜き型2、第1押し片3、および第3押し片22を固定する共通ベース21と、共通ベース21を上昇および下降させる第1プレス機構5と、シート材を載せるステージ6と、シート材を送出す送出しローラ7a〜7eと、シート材を巻取る巻取りローラ8と、共通ベース21の、打抜き型2よりもシート材の搬送方向下流側に取付けられる第3押し片22と、打抜き型2よりもシート材の搬送方向下流側に配置される押え付け部9a,9bと、打抜き後のシート材を取出すシート材取出部10と、打抜き装置104に備えられる各部材を制御する制御部11とを含む。また、送出しローラ7a〜7dは、光学シート原反12a〜12dを搬送方向下流に送出し、送出しローラ7eは、キャリアテープ13を搬送方向下流に送出す。
本実施形態では、打抜き刃1と、打抜き型2と、第1押し片3と、共通ベース21と、第1プレス機構5と、ステージ6とが打抜き手段を構成し、送出しローラ7と、巻取りローラ8と、シート材取出部10とが搬送手段を構成し、第3押し片22と押え付け部9a,9bとが押え付け手段を構成し、制御部11が制御手段を構成する。
第1プレス機構5は制御部11と接続される。制御部11からの命令によって、第1プレス機構5は上下方向に移動する。第1プレス機構5の上方向への移動速度は100mm/sec、下方向への移動速度は100mm/secである。
制御部11は、PCまたはPLC等で実現され、第1プレス機構5、送出しローラ7、巻取りローラ8、第2プレス機構16a,16b、第2プレス機構16a,16bが固定される移動部、および回転軸19と接続される。制御部11は、第1プレス機構5および第2プレス機構16a,16bの上昇および下降速度、ならびに上昇および下降のタイミングを制御する。また制御部11は、第2プレス機構16a,16bの搬送方向への移動速度および移動のタイミングを制御する。また制御部11は、送出しローラ7による送出し速度および送出しのタイミング、ならびに巻取りローラ8による巻取り速度および巻取りのタイミングを制御する。また制御部11は、回転軸19の回転の速度およびタイミングを制御する。
打抜き装置104によるシート材の打抜きおよび搬送について、図12および図13A、図13Bを用いて説明する。図12は打抜き装置104による打抜き搬送の工程図である。図13は各工程における打抜き装置104の一部を模式的に示す正面図である。打抜き装置104は、打抜き装置101,102,103と同様に、間欠駆動の打抜き装置である。
打抜き装置104は、図13A(a)の状態(第4実施形態において、「初期状態」と称する)にあるとする。第4実施形態の初期状態は、第3実施形態の初期状態と同様の状態である。また、第4実施形態の初期状態では、打抜き装置103には備えられていない第2押し片14a,14bも光学シート原反積層体12および積層体20から離間している。
打抜き装置104は、初期状態から、押え付け部9aによる積層体20aの押え付け、押え付け部9bによる積層体20bの押え付けをそれぞれ行う(ステップS31)。次に、積層体20a,20bの押え付けを行ったまま、共通ベース21を下降させて、打抜きと第3押し片22による積層体20cの押え付けとを行う(ステップS32)。光学シート原反積層体12の打抜きが終了すると、共通ベース21の上昇が開始される(ステップS33)。第1押し片3が積層体20dから離間し、第3押し片22が積層体20cから離間した後、第2押し片14a,14bによる積層体20a,20bの押え付けが行われたまま、巻取りローラ8によって、光学シート原反積層体12およびキャリアテープ13は巻取られ、積層体20a〜20dは搬送される(ステップS34)。巻取りローラ8の巻取り停止後、押え付け部9a,9bは第2押し片取付部15a,15bを上昇させて、第2押し片14bによる積層体20bの押え付けを終了する(ステップS35)。押え付けを終了した押え付け部9a,9bは、搬送方向上流に移動して初期位置に戻る(ステップS36)。以下に、各ステップS31〜S36について詳細に説明する。
ステップS31について説明する。図13A(b)は、積層体20a,20bが押え付けられている様子を示す。第2実施形態と同様に、押え付け部9a,9bは、第2押し片取付部15a,15bを下降させることで、第2押し片取付部15a,15bに取付けられた第2押し片14a,14bを積層体20a,20bに当接させ、さらに第2押し片取付部15a,15bを下降させて、積層体20a,20bに下方向の所定の力を加える。
ステップS32について説明する。打抜き装置104は、第3実施形態と同様に、共通ベース21を下降させることで、第1押し片3を光学シート原反積層体12に当接させる。このとき、押え付け手段である第3押し片22は、第3実施形態と同様に、共通ベース21と一体化しているので、共通ベース21とともに下降し、積層体20cに当接する(図13A(c))。打抜き装置104は、共通ベース21をさらに下降させることで、第1押し片3を圧縮して光学シート原反積層体12を固定し、第3押し片22を圧縮して、積層体20cに下方向の所定の力を加えた状態で、光学シート原反積層体12の打抜きを行う(図13A(d))。共通ベース21の下降する位置も、第3実施形態と同様である。
ステップS33について説明する。第3実施形態と同様に、図13B(e),図13B(f)に示すように、共通ベース21が上昇するとともに、圧縮されていた第1押し片3は元の形状に戻ろうとし、打抜きによって新しくできた積層体20dは、第1押し片3が元の形状に戻ろうとする力によって、下方向に押え付けられる。また、第3実施形態と同様に、打抜き装置104は、積層体20cの押え付けを行いながら、共通ベース21を上昇させる。
ステップS34について説明する。第2実施形態と同様に、図13B(g)に示すように、積層体20aはシート材受け17aに受取られ、積層体20dは積層体20cがあった位置に搬送される。搬送の際、第2実施形態と同様に、積層体20a,20bは、それぞれ押え付け部9a,9bによって押え付けられたまま搬送される。なお、この搬送の間、押え付け部9a,9bは、それぞれ積層体20a,20bに同一面が接触した状態となる。ここで、押え付け部9a,9bの同一面とは、押え付け部9a,9bのそれぞれの底面である。
ステップS35について説明する。第2実施形態と同様に、巻取りローラ8によって、積層体20の搬送方向の長さ+積層体20同士の間隔分の、光学シート原反積層体12およびキャリアテープ13が巻取られると、積層体20は光学シート原反積層体12およびキャリアテープ13とともに搬送され、巻取りローラ8の巻取りは停止し、積層体20の搬送が停止される。
ステップS36について説明する。第2実施形態と同様に、図13B(h)に示すように、シート材取出部10が回転することで、シート材受け17aとシート材受け17bとの位置が入れ替わり、シート材受け17aに受取られた積層体20aは、別の工程を行う装置または人に渡される。
積層体20aが別工程に渡されると、打抜き装置104は、初期状態と同様の状態になり、以降図13A(a)〜図13A(d)、図13B(e)〜図13B(h)と同様の工程を経て、次々と積層体20が製造および搬送される。
このように、本発明の打抜き装置104によれば、積層体20を接合することなく安定して搬送することが可能である。また、本発明の打抜き方法は、打抜き装置104を用いてシート材の打抜きを行うことで実現される。
次に、上記実施形態において用いられる第2押し片14および第3押し片22等の、切断後のシート材を押え付けるために用いられる押し片(以下、「押え付け用押し片」と称する)23の先端の形状について説明する。図14は打抜き刃1の周辺の模式的な平面図である。打抜き刃1より搬送方向下流にある積層体20の、押え付け用押し片23の先端によって押え付けられる領域24は、図14において斜線で描かれている。図14(a)では、積層体20のみが押え付けられており、押え付け用押し片23の先端はそのような押え付けが可能な形状となっている。図14(b)〜図14(d)では、積層体20の端部と、その端部に対向する打抜き枠の端部とが同時に押え付けられている。図14(b)では、打抜き枠の端部の一部および積層体20の端部の一部が同時に押え付けられており、押え付け用押し片23の先端はそのような押え付けが可能な形状となっている。図14(c)では、打抜き枠の端部の一部および積層体20の端部の一部が、2箇所において同時に押え付けられており、押え付け用押し片23の先端はそのような押え付けが可能な形状となっている。図14(d)では、積層体20全体および打抜き枠の端部全体が押え付けられており、押え付け用押し片23の先端はそのような押え付けが可能な形状となっている。
図14(a)〜図14(d)に示すように、押え付け用押し片23の先端は様々な形状とすることが可能であり、図14に示したものに限らず、打抜き形状、打抜きサイズ、および押え付け用押し片23の配置スペースなどに応じて、適宜選択することが可能である。押え付け用押し片23の先端が、図14(b)〜図14(d)に示したような、積層体20の端部と、その端部に対向する打抜き枠の端部とを同時に押え付けるような形状であれば、積層体20の端部が打抜き枠内から飛出して光学シート原反積層体12に乗り上げることがなくなり、より安定して積層体20を搬送することが可能となる。
また、押え付け用押し片23の先端が、図14(c)に示したような、2箇所において押え付けを行うような形状である場合、押え付け用押し片23の正面図は、図15に示す、2通りの正面図のどちらであってもよい。図15(a)は、先端が2つに分かれている押え付け用押し片23aの正面図であり、図15(b)は、2つの部材からなる押え付け用押し片23bの正面図である。積層体20が押え付ける際に、積層体20に加わる力は下方向の成分しか持たないことが理想的であるので、下方向に力を加えやすい図15(b)に示す押え付け用押し片23bがより好ましい。
本発明の打抜き装置の実施例を示す。実施例は、第1実施形態の打抜き装置101であって、第2押し片14の形状を図15(b)に示す形状とした装置とした。また、比較例は、打抜き装置101から押え付け部9を取り除いた装置とした。実施例および比較例における各部材は以下の構成であった。
打抜き刃1および打抜き型2はピナクル型であって、刃の先端から付け根までの距離は1.5mmであった。また、打抜き形状は搬送方向の長さが40mm、幅方向の長さが30mmの略矩形状であった。
第1押し片3には、ゴムスポンジを用い、第1押し片3の高さは2.0mmとした。
光学シート原反12aは第1拡散シート(厚さ50μm)、光学シート原反12bは第1プリズムシート(厚さ70μm)、光学シート原反12cは第2プリズムシート(厚さ70μm)、光学シート原反12dは第2拡散シート(厚さ50μm)とした。また、キャリアテープ13には、厚さ75μmのPET(PolyEthylene Terephthalate)(東レ株式会社製、ルミラー/タイプS)を用いた。打抜き刃1の先端が到達するZ方向の高さHは50μmとした。
第2押し片14には第1押し片3と同じ、高さ2.0mmのゴムスポンジを2つ用いた。第2押し片14の1つの寸法は、搬送方向の長さを10mm、幅方向の長さを40mmとした。
各部材を上記の構成とした上で、シート材の打抜き搬送を行なった。なお、実施例および比較例の打抜き位置よりも上流側において、除電ブローによるシート材の除電を行っており、打抜き前のシート材の表面電位は0Vであった。また、打抜き後のシート材の表面電位は計測すると、マイナス数kVであった。
実施例の打抜き装置を流動して、積層されて打抜かれたシート材4枚を1組のシート体として、100組のシート体の打抜き搬送を行った結果、シート体の中のシート材が1枚でも、ベース4に貼り付いたり、位置ずれしたり、打抜き枠内から飛出したりするようなシート体は存在しなかった。
比較例の打抜き装置を流動して、100組のシート体の打抜き搬送を行なった結果、シート体の中のシート材の少なくとも1枚が、ベース4に貼り付いたシート体が7組、打抜き枠内から飛出したシート体が28組存在した。