JP5068977B2 - フォークリフト - Google Patents

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本発明は、フォークリフトに関するものである。
フォークリフトの中には、荷物を保持するフォーク部が設けられた昇降体(キャリッジともいう)を、外側マスト体に昇降可能に案内された内側マスト体にチェーンを用いずに昇降させるようにしたもの、すなわち内側マスト体に配置されたフリーリフトシリンダにより、直接、昇降させるようにしたものがある。なお、内側マスト体は左右のリフトシリンダにより昇降が行われる。
ところで、フリーリフトシリンダを設けた場合、リフトシリンダに加えて、フリーリフトシリンダにも油圧を供給する必要があるため、内側マスト体の内側に多くの油圧配管が配置されて作業者の視界が悪くなるという問題があり、この問題を解決するために、油圧配管、例えばホースガイド、パイプなどを前後方向で重なるように配置したものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開平07−187593号公報
しかし、上述した構成によると、ホースガイド、パイプなどについては、なるべく視界の邪魔にならいように配置されているが、フリーリフトシリンダについては、内側マスト体の中央に配置されているため、やはり、作業者の視界が悪いという問題が残っている。
そこで、本発明は、作業者の視界の向上を一層図り得るフォークリフトを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るフォークリフトは、車両本体の前方に配置されて荷物を保持して昇降させ得る荷物昇降装置を、
車両本体の前端に傾動自在に設けられた外側マスト体と、この外側マスト体の内側で昇降自在に設けられた枠状の内側マスト体と、この内側マスト体に昇降自在に案内されるとともに荷物を載置し得るフォーク部を有する昇降体と、上記外側マスト体の左右に配置されて内側マスト体を昇降させる左右一対の第1昇降用油圧シリンダと、上記内側マスト体内に配置されて当該内側マスト体に対して上記昇降体を昇降させる第2昇降用油圧シリンダとから構成し、
且つ上記第2昇降用油圧シリンダを、車両本体の左右いずれかに配置された運転席とは異なる位置に設け、
さらに内側マスト体および昇降体の自重並びに荷役荷重である定格負荷に基づき決定される左右の第1昇降用油圧シリンダにおけるシリンダ室の断面積を、第2昇降用油圧シリンダに対する定格負荷を各第1昇降用油圧シリンダから第2昇降用油圧シリンダまでの各距離に逆比例して分割させてなる分割負荷値に上記内側マスト体および昇降体の自重の半分を加算してなる合計荷重に対応する大きさにしたものである。
また、請求項2に係るフォークリフトは、請求項1に記載のフォークリフトにおいて、外側マスト体および内側マスト体の自重および荷役荷重である定格負荷に基づき決定される左右の第1昇降用油圧シリンダにおけるシリンダ室の断面積を、各第1昇降用油圧シリンダに対する定格負荷を各第1昇降用油圧シリンダから第2昇降用油圧シリンダまでの各距離に逆比例して分割させてなる分割負荷値に上記両マスト体による合計自重の半分を加算してなる合計荷重に対応する大きさにしたものである。
上記の構成によると、第2昇降用油圧シリンダを運転席とは反対側に配置したので、例えば第2昇降用油圧シリンダを車両本体の中央に配置したものに比べて、作業者前方の視界が一層良好となり、作業性が格段に向上する。
また、第2昇降用油圧シリンダの偏心した位置に応じて、左右の第1昇降用油圧シリンダに作用する負荷に応じた支持力を発生し得るようにしたので、内側マスト体の昇降動作をスムーズに行わせることができる。
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態に係るフォークリフトを、図1〜図5に基づき説明する。
このフォークリフトは、図1に示すように、フリーマスト式のもので、大きく分けて、走行車輪を有するとともに運転席(図示せず)が例えば左側に設けられた車両本体1と、この車両本体1の前方に設けられて荷物を保持して昇降を行う荷物昇降装置2とから構成されており、以下、荷物昇降装置2について詳しく説明する。
この荷物昇降装置2は、図1〜図4に示すように、車両本体1の車軸11側に回動自在に支持されるとともチルト用油圧シリンダ(図示せず)により前後方向で傾動自在に設けられるとともに枠状に形成された外側マスト体12と、この外側マスト体12内に昇降自在に案内されるとともに枠状に形成された内側マスト体13と、この内側マスト体13に昇降自在に設けられるとともに前方に突出するフォーク部14を有する昇降体(キャリッジともいう)15と、上記外側マスト体12の下部と内側マスト体13の上部とに亘って設けられた第1昇降用油圧シリンダ16と、一端部が内側マスト体13側に連結されるとともに他端部が昇降体15に連結されたチェーン体17と、上記内側マスト体13に設けられて上記チェーン体17の途中に下方から係合されたスプロケット18を昇降させることにより当該チェーン体17を介して昇降体15を昇降させ得る第2昇降用油圧シリンダ19とから構成されている。なお、上記チェーン体17およびスプロケット18は一対ずつ設けられており、また上記チェーン体17の一端側を第2昇降用油圧シリンダ19のシリンダ本体側に連結してもよい。
上記内側マスト体13の外側マスト体12に対する案内機構、および昇降体15の内側マスト体13に対する案内機構について簡単に説明すると、この案内機構は、各マスト体12,13の支柱部12a,13aが溝型状にされるとともに、この溝部内に相手方の支柱部13aおよび昇降体15の側部15aに設けられたガイドローラ20,21が配置されて、上下方向で移動自在に案内されることにより構成されている。
ところで、上記第1昇降用油圧シリンダ16は、外側マスト体12の左右側部に一対(16A,16B)でもって配置されており、また上記第2昇降用油圧シリンダ19は、内側マスト体13の内側で且つ運転席が設けられていない右側に配置されている。すなわち、第2昇降用油圧シリンダ19は、車両本体1の中心線Cに対して、右側に所定距離(以下、偏心距離ともいう)Dだけ離れた位置に設けられている(立設されている)。なお、運転席がもし右側に配置されているような場合には、第2昇降用油圧シリンダ19は、逆の左側に設けられることになる。また、上記第1昇降用油圧シリンダ16のシリンダ本体16aは、外側マスト体12の端部位置で且つ下部に設けられた支持ブラケット22を介して支持されるとともに、そのピストンロッド部16bの先端は内側マスト体13の上部後方に突設された連結板材23の両端部に連結されている。
次に、各昇降用油圧シリンダ16,19に作用する力について、図5に基づき説明する。
内側マスト体13と昇降体15とを加算した部材重量(自重である)をWとし、荷物の荷重(荷役荷重または設計用の定格荷重である)をFとし、また左右の第1昇降用油圧シリンダ16A,16Bに対する第2昇降用油圧シリンダ19までの距離を、それぞれLおよびLとすると、左右の第1昇降用油圧シリンダ16A,16Bに作用する力FおよびFは、下記のように表される。
=W/2+F×L/(L+L
=W/2+F×L/(L+L
上述したように、第2昇降用油圧シリンダ19が中心線Cから偏心距離Dでもってずれた位置に設けられている場合には、その偏心距離Dに応じて、左右の第2昇降用油圧シリンダ16A,16Bに作用する力が異なることになり、この異なる力を、支持力(油圧力)が同一の油圧シリンダを用いて支持すると、内側マスト体13に対して昇降体15が傾き、昇降体15をスムーズに昇降させることができなくなってしまう。
これを防ぐために、本実施の形態(本発明)においては、両側の第1昇降用油圧シリンダ16A,16Bにて発生される支持力が、内側マスト体13の各側部に作用する力F,Fに対応する大きさ(力)にされている。
具体的に言えば、各第1昇降用油圧シリンダ16A,16Bにより、FおよびFの作用力を支持しようとすると、両第1昇降用油圧シリンダ16A,16Bにおけるシリンダ室の断面積S,Sの比率(S/S)を上記作用力F,Fの比率(F/F)と同じ値にすればよい。勿論、両第1昇降用油圧シリンダ16A,16Bに供給される油圧の圧力値は同一である。
すなわち、両第1昇降用油圧シリンダ16A,16Bにおけるシリンダ本体のシリンダ室の断面積S,Sが左右で異なるように、すなわち大きい荷重が加わる方の第1昇降用油圧シリンダ16の断面積が、小さい荷重が加わる方の第1昇降用油圧シリンダ16よりも広くされている。
より正確に言えば、内側マスト体13および昇降体15の自重並びに荷役荷重である定格負荷に基づき決定される左右の第1昇降用油圧シリンダ16におけるシリンダ室の断面積が、第2昇降用油圧シリンダ19に対する定格負荷を各第1昇降用油圧シリンダ16から第2昇降用油圧シリンダ19までの各距離L,Lに逆比例(反比例)して分割させてなる分割負荷値[F×L/(L+L),F×L/(L+L)]に上記内側マスト体13および昇降体15の合計自重Wの半分(W/2)を加算してなる合計荷重(F,F)に対応し得る広さ(大きさ)にされている。
このように、内側マスト体13を昇降させる左右の第1昇降用油圧シリンダ16にて発生される支持力を、第2昇降用油圧シリンダ19の偏心距離Dに応じて内側マスト体13の各側部で発生する作用力F,Fに対応するような大きさにしたので、つまり、偏心により大きい力が作用する側ではその支持力が大きくされるとともに、偏心により小さい力が作用する側ではその支持力が小さくされており、したがって第2昇降用油圧シリンダ19を偏心させて配置した場合でも、内側マスト体13の両側部をそれぞれの作用力に応じて支持することができるので、昇降体15の昇降動作をスムーズに行わせることができる。
なお、上記第2昇降用油圧シリンダ19への油圧配管(油圧管路)は、図示しないが、一方の第1昇降用油圧シリンダ16のピストンロッド部16bの内部に形成された油圧導入管路を介して供給するように構成されるとともに、当該ピストンロッド部16bから第2昇降用油圧シリンダ19までの油圧配管は、前後方向から見て当該第2昇降用油圧シリンダ19に重なるように配置されているため、内側マスト体13内に配置された第2昇降用油圧シリンダ19以外に、視界を遮るものは殆ど設けられておらず、したがって、より一層、視界がよくなる。
上記フォークリフトの構成によると、第2昇降用油圧シリンダ19が運転席と反対側に配置されているので、運転席の前方の視界が一層良好となり、作業性が格段に向上し、しかも第2昇降用油圧シリンダ19の偏心した配置に基づき内側マスト体13に加わる作用力に応じた支持力が、各第1昇降用油圧シリンダ16で得られるように、各シリンダ室の断面積が調整されているので、内側マスト体13の昇降動作をスムーズに行うことができる。
さらに、第2昇降用油圧シリンダ19への油圧配管(油圧管路)については、第1昇降用油圧シリンダ16のピストンロッド部16bを利用したので、すなわちピストンロッド部16bの内部に形成された油圧導入管路を用いたので、内側マスト体13の内側で作業者の視界を遮る部材が非常に少なくなり、したがって、より一層、作業者の視界の向上を図ることができ、延いては、作業性を格段に向上させることができる。
本発明の実施の形態に係るフォークリフトにおける荷物昇降装置の斜視図である。 同荷物昇降装置の側面図である。 同荷物昇降装置の平面図である。 同荷物昇降装置の要部背面図である。 同荷物昇降装置における昇降用油圧シリンダに作用する力を説明する模式図である。
符号の説明
1 車両本体
2 荷物昇降装置
11 支持軸体
12 外側マスト体
13 内側マスト体
14 フォーク部
15 昇降体
16 第1昇降用油圧シリンダ
17 チェーン体
18 スプロケット
19 第2昇降用油圧シリンダ

Claims (1)

  1. 車両本体の前方に配置されて荷物を保持して昇降させ得る荷物昇降装置を、
    車両本体の前端に傾動自在に設けられた外側マスト体と、この外側マスト体の内側で昇降自在に設けられた枠状の内側マスト体と、この内側マスト体に昇降自在に案内されるとともに荷物を載置し得るフォーク部を有する昇降体と、上記外側マスト体の左右に配置されて内側マスト体を昇降させる左右一対の第1昇降用油圧シリンダと、上記内側マスト体内に配置されて当該内側マスト体に対して上記昇降体を昇降させる第2昇降用油圧シリンダとから構成し、
    且つ上記第2昇降用油圧シリンダを、車両本体の左右いずれかに配置された運転席とは異なる位置に設け、
    さらに内側マスト体および昇降体の自重並びに荷役荷重である定格負荷に基づき決定される左右の第1昇降用油圧シリンダにおけるシリンダ室の断面積を、第2昇降用油圧シリンダに対する定格負荷を各第1昇降用油圧シリンダから第2昇降用油圧シリンダまでの各距離に逆比例して分割させてなる分割負荷値に上記内側マスト体および昇降体の自重の半分を加算してなる合計荷重に対応する大きさにしたことを特徴とするフォークリフト。
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