JP5068154B2 - 電圧源回路及び電圧源回路を使用した温度検出回路 - Google Patents
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図8において、高濃度N型ゲートを有するデプレッション型の電界効果トランジスタM101と、高濃度P型ゲートを有するデプレッション型の電界効果トランジスタM102で構成され、電界効果トランジスタM101及びM102は、電源電圧VDDと接地電圧との間に直列に接続されている。電界効果トランジスタM101及びM102は、それぞれチャネルドープの不純物濃度が等しく、電界効果トランジスタM101において、サブストレートゲート(バックゲートともいう)はソースに接続され、電界効果トランジスタM102のサブストレートゲートは接地電圧に接続されている。また、電界効果トランジスタM101及びM102の各ゲートは、電界効果トランジスタM101とM102との接続部にそれぞれ接続されており、該接続部から電圧Vpnが出力される。
電界効果トランジスタM101における、チャネル幅をWn、チャネル長をLn、しきい値電圧をVthn、移動度をμn、伝導係数をCoxとし、電界効果トランジスタM102における、チャネル幅をWp、チャネル長をLp、しきい値電圧をVthp、移動度をμp、伝導係数をCoxとする。電界効果トランジスタM101に流れる電流をinとし、電界効果トランジスタM102に流れる電流をipとすると、電流inは下記(a)式のようになり、電流ipは下記(b)式のようになる。
in=1/2×Wn/Lp×μn×Cox×(−Vthn)2………………(a)
ip=1/2×Wp/Lp×μp×Cox×(Vpn−Vthp)2………………(b)
Vpn=Vthp−(Lp/Ln)1/2×Vthn………………(c)
図9の電圧源回路は、図8と同様に、高濃度N型ゲートを有するデプレッション型の電界効果トランジスタM101と、高濃度P型ゲートを有するデプレッション型の電界効果トランジスタM102が直列に接続されてなる。
図9における図8との相違点は、電界効果トランジスタM101及びM102の各サブストレートゲートがそれぞれ接地電圧に接続されていることにあり、これ以外は図8の回路と同じである。
図9において、電界効果トランジスタM101に流れる電流inは前記(a)式のようになり、電界効果トランジスタM102に流れる電流ipは前記(b)式のようになる。ただし、図8の回路と異なるのは、電界効果トランジスタM101のサブストレートゲートが接地電圧であるため、バックバイアス効果によって電界効果トランジスタM101のしきい値電圧が上昇する点である。このため、しきい値電圧Vthnは、下記(d)式のように示すことができる。
Vthn=Vthn0+γ×{(2×φF+Vpn)1/2−(2×φF)1/2}………………(d)
なお、Vthn0は、バックバイアス効果が生じていないときの電界効果トランジスタM101のしきい値電圧を示している。
γ=(2×q×εsi×Nsub/Cox)1/2×Vthn……………(e)
φF=k×T/q×log(Nsub/ni)………………(f)
なお、前記(e)式及び(f)式において、qは電子の電荷量、εsiはシリコンの誘電率、Nsubは基板の不純物濃度、niは真性半導体のキャリア濃度をそれぞれ示している。
Vpn=Vthp−(Lp/Ln)1/2×[Vthn0+γ×{(2×φF+Vpn)1/2−(2×φF)1/2}]………………(g)
Vpn=[(2×A+Lp/Ln×γ2)−{Lp/Ln×(4×A+γ2×Lp/Ln+8×φF)}1/2]/2………………(h)
ただし、前記(h)式において、
A=Vthp−(Lp/Ln)1/2×Vthn0+γ×(2×φF×Lp/Ln)1/2
である。
図8又は図9の回路では、高濃度P型ゲートを有したデプレッション型の電界効果トランジスタと、高濃度N型ゲートを有した電界効果トランジスタとのチャネル長Lの比(以下、L比と呼ぶ)を変えることによって、出力電圧Vpnの温度特性を正又は負にしたり、ほぼ温度に依存しない特性にしたりすることができる。このような温度特性を有する回路は、温度検出回路、いわゆる温度センサーに使用することができ、温度に依存しない特性の回路は基準電圧源、いわゆるVREF回路として使用することができる。温度に依存しない特性を得るためのL比は、図8の電圧源回路と図9の電圧源回路で値が異なる。実際に試作した結果、図9の電圧源回路では0.400であり、図8の電圧源回路では0.563であることが判明した。
正側電源入力端と、
負側電源入力端と、
一端が前記正側電源入力端に接続された第1の抵抗と、
該第1の抵抗の他端と前記負側電源入力端との間に接続され、ゲート及びサブストレートゲートがそれぞれ前記負側電源入力端に接続された第1の電界効果トランジスタと、
一端が前記正側電源入力端に接続された第2の抵抗と、
前記出力端と前記負側電源入力端との間に接続され、ゲートが前記出力端に接続されると共にサブストレートゲートが前記負側電源入力端に接続された、前記第2の抵抗から出力された電流が流れる第2の電界効果トランジスタと、
前記第1の抵抗と前記第1の電界効果トランジスタとの接続部の電圧である第1の電圧と、前記第2の抵抗の他端の電圧である第2の電圧が等しくなるように、前記第2の抵抗の他端から前記第2の電界効果トランジスタに流れる電流を制御する電圧制御回路部と、
を備え、
前記第1及び第2の各電界効果トランジスタは、ゲート電極の導電型の極性が異なるポリシリコンゲートを有するものである。
前記第2の抵抗の他端と前記出力端との間に接続された第3の電界効果トランジスタと、
前記第1の電圧と前記第2の電圧が等しくなるように該第3の電界効果トランジスタの動作制御を行う演算増幅回路と、
を備えるようにした。
複数の電界効果トランジスタにおけるゲート電極の仕事関数差を用いて、温度係数を有する電圧を生成する第1の電圧源回路部と、
複数の電界効果トランジスタにおけるゲート電極の仕事関数差を用いて、温度変化に依存しない所定の基準電圧を生成する第2の電圧源回路部と、
前記第1の電圧源回路部で生成された電圧と前記基準電圧との減算を行って前記温度検出電圧を生成する減算回路部と、
を有し、
前記第1及び第2の各電圧源回路部は、
前記生成した電圧を出力する出力端と、
正側電源入力端と、
負側電源入力端と、
一端が前記正側電源入力端に接続された第1の抵抗と、
該第1の抵抗の他端と前記負側電源入力端との間に接続され、ゲート及びサブストレートゲートがそれぞれ前記負側電源入力端に接続された第1の電界効果トランジスタと、
一端が前記正側電源入力端に接続された第2の抵抗と、
前記出力端と前記負側電源入力端との間に接続され、ゲートが前記出力端に接続されると共にサブストレートゲートが前記負側電源入力端に接続された、前記第2の抵抗から出力された電流が流れる第2の電界効果トランジスタと、
前記第1の抵抗と前記第1の電界効果トランジスタとの接続部の電圧である第1の電圧と、前記第2の抵抗の他端の電圧である第2の電圧が等しくなるように、前記第2の抵抗の他端から前記第2の電界効果トランジスタに流れる電流を制御する電圧制御回路部と、
をそれぞれ備え、
前記第1及び第2の各電界効果トランジスタは、ゲート電極の導電型の極性が異なるポリシリコンゲートを有するものである。
前記第2の抵抗の他端と前記出力端との間に接続された第3の電界効果トランジスタと、
前記第1の電圧と前記第2の電圧が等しくなるように該第3の電界効果トランジスタの動作制御を行う演算増幅回路と、
を備えるようにした。
第1の実施の形態.
図1は、本発明の第1の実施の形態における電圧源回路の回路例を示した図である。
図1において、電圧源回路1は、ゲート電極の導電型の極性が異なるポリシリコンゲートを有するNチャネル型の電界効果トランジスタM1,M2、Pチャネル型の電界効果トランジスタM3、演算増幅回路OP1、及び同一の特性を有する抵抗R1,R2で構成されている。電圧源回路1は、2つの電界効果トランジスタM1及びM2のゲート電極の仕事関数差の原理を用いて所定の出力電圧Vpnを生成し出力する。電界効果トランジスタM1は、高濃度N型ゲートを有するデプレッション型のトランジスタであり、電界効果トランジスタM2は、高濃度P型ゲートを有するトランジスタである。
図2において、電界効果トランジスタM1のしきい値電圧Vthnが通常−0.5V付近であり、電界効果トランジスタM2のしきい値電圧Vthpは通常0.7V付近である。電界効果トランジスタM1とM2において、各ドレイン電流が等しいときの各ゲート電圧Vgの電圧差が出力電圧Vpnとなって出力される。なお、電界効果トランジスタM2のソースとサブストレートゲートが共に接地電圧に接続されていることから、電界効果トランジスタM2にバックバイアス効果が発生することはない。
一般的にトランジスタの製造工程は複雑で、例えばCMOSプロセスであればシリコン基板への複数回の不純物注入、ゲート酸化膜生成、ゲート電極デポジション、ゲート電極エッチング等の工程を経るため、同一チップ上に同じ特性の素子を製造する場合にばらつきが発生しやすかった。言い換えると、特性の揃ったペア性の良い2つのトランジスタを安定して製造することは高度な製造技術が必要となっていた。歩留まりを低下させても特性の揃ったものだけを選別する方法もあるが、製造コストの上昇を避けることができなかった。
図3において、L比が1であるときの温度係数TCは約−0.5mV/℃である。この温度係数値でよければ問題はないが、他の温度係数値が必要な場合や、温度に依存しない特性(TC=0)を得たい場合は、電界効果トランジスタM1とM2のL比を変えて対応することも可能である。
電界効果トランジスタM1とM2は幾何学的に同一(L比=1)になるようにしておく。このようにすることにより、電界効果トランジスタM1とM2の仕上がり寸法精度を確保することができる。次に、電界効果トランジスタM2に流す電流が1/2になるように抵抗R2とR1の抵抗値の比を1:2とする。このようにすることで、電界効果トランジスタM2のドレインに流れる電流i2は、i1/2になり、従来回路においてL比を2にしたことと同じ動作となるため、同じ電圧、及び同じ温度特性が得られる。すなわち、従来技術のL比の値は抵抗R2とR1の抵抗値の比の逆数に対応しており、抵抗R2とR1の抵抗値の比を任意に変えることにより、出力電圧Vpnに所望の温度特性を持たせることができる。
なお、電界効果トランジスタM1とM2は、幾何学的に同一になるようにしても、抵抗R2とR1の抵抗値の比を1:1以外にすることによって、抵抗R2とR1の抵抗値の比に誤差が生じる可能性があるという問題については、以下のようにすることにより解決することができる。
抵抗R1とR2を最小単位の複数の抵抗でそれぞれ構成し、該抵抗の数の比が抵抗R2とR1の抵抗値の比になるようにすればよく、更にコモンセントロイド配置する等の工夫で抵抗値の比の精度やばらつきを向上させることができる。
図5において、温度検出回路10は、第1の電圧源回路1aと、第2の電圧源回路1bと、減算器2とで構成されており、第1及び第2の各電圧源回路1a,1bは、それぞれ図1の電圧源回路1と同じ回路構成をなしている。第1の電圧源回路1aは、電界効果トランジスタM1a,M2a、Pチャネル型の電界効果トランジスタM3a、演算増幅回路OP1a、及び同一の特性を有する抵抗R1a,R2aで構成され、第2の電圧源回路1bは、電界効果トランジスタM1b,M2b、Pチャネル型の電界効果トランジスタM3b、演算増幅回路OP1b、及び同一の特性を有する抵抗R1b,R2bで構成されている。なお、減算器2は減算回路部をなす。
しかし、高精度の温度検出回路を実現しようとすると、図4からも分かるように、製造プロセスのばらつきによって出力電圧が変動することから、出力電圧の調整を行う必要がある。このような場合、図5の温度検出回路に、基準電圧VREF及び電圧VPNの少なくとも一方の電圧レベルを上下させるレベル調整回路を設けるようにすればよい。
図6における図5との相違点は、レベル調整回路5を追加したことにあり、これに伴って、図5の温度検出回路10を温度検出回路15にした。
図6において、温度検出回路15は、第1の電圧源回路1aと、第2の電圧源回路1bと、減算器2と、レベル調整回路5とで構成されている。レベル調整回路5は、入力された基準電圧VREFを所定の電圧だけシフトさせて減算器2の非反転入力端+に出力する。減算器2は、レベル調整回路5から入力された電圧から電圧VPNを減算した、正の温度係数を有する出力電圧Vtempを生成して出力する。なお、レベル調整回路5は調整回路部をなす。
このようにすることにより、温度検出回路は、所望の出力電圧特性を得ることができる。
1a 第1の電圧源回路
1b,1c 第2の電圧源回路
2 減算器
5 レベル調整回路
10,15,20 温度検出回路
M1〜M3,M1a,M2a,M3a,M1b,M2b,M3b 電界効果トランジスタ
OP1,OP1a,OP1b 演算増幅回路
R1,R2,R1a,R2a,R1b,R2b 抵抗
Claims (8)
- 複数の電界効果トランジスタにおけるゲート電極の仕事関数差を用いて生成した電圧を出力端から出力する電圧源回路において、
正側電源入力端と、
負側電源入力端と、
一端が前記正側電源入力端に接続された第1の抵抗と、
該第1の抵抗の他端と前記負側電源入力端との間に接続され、ゲート及びサブストレートゲートがそれぞれ前記負側電源入力端に接続された第1の電界効果トランジスタと、
一端が前記正側電源入力端に接続された第2の抵抗と、
前記出力端と前記負側電源入力端との間に接続され、ゲートが前記出力端に接続されると共にサブストレートゲートが前記負側電源入力端に接続された、前記第2の抵抗から出力された電流が流れる第2の電界効果トランジスタと、
前記第1の抵抗と前記第1の電界効果トランジスタとの接続部の電圧である第1の電圧と、前記第2の抵抗の他端の電圧である第2の電圧が等しくなるように、前記第2の抵抗の他端から前記第2の電界効果トランジスタに流れる電流を制御する電圧制御回路部と、
を備え、
前記第1及び第2の各電界効果トランジスタは、ゲート電極の導電型の極性が異なるポリシリコンゲートを有することを特徴とする電圧源回路。 - 前記第1及び第2の各電界効果トランジスタは、幾何学的に同一形状であることを特徴とする請求項1記載の電圧源回路。
- 前記電圧制御回路部は、
前記第2の抵抗の他端と前記出力端との間に接続された第3の電界効果トランジスタと、
前記第1の電圧と前記第2の電圧が等しくなるように該第3の電界効果トランジスタの動作制御を行う演算増幅回路と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の電圧源回路。 - 検出した温度に応じた電圧を生成して温度検出電圧として出力する温度検出回路において、
複数の電界効果トランジスタにおけるゲート電極の仕事関数差を用いて、温度係数を有する電圧を生成する第1の電圧源回路部と、
複数の電界効果トランジスタにおけるゲート電極の仕事関数差を用いて、温度変化に依存しない所定の基準電圧を生成する第2の電圧源回路部と、
前記第1の電圧源回路部で生成された電圧と前記基準電圧との減算を行って前記温度検出電圧を生成する減算回路部と、
を有し、
前記第1及び第2の各電圧源回路部は、
前記生成した電圧を出力する出力端と、
正側電源入力端と、
負側電源入力端と、
一端が前記正側電源入力端に接続された第1の抵抗と、
該第1の抵抗の他端と前記負側電源入力端との間に接続され、ゲート及びサブストレートゲートがそれぞれ前記負側電源入力端に接続された第1の電界効果トランジスタと、
一端が前記正側電源入力端に接続された第2の抵抗と、
前記出力端と前記負側電源入力端との間に接続され、ゲートが前記出力端に接続されると共にサブストレートゲートが前記負側電源入力端に接続された、前記第2の抵抗から出力された電流が流れる第2の電界効果トランジスタと、
前記第1の抵抗と前記第1の電界効果トランジスタとの接続部の電圧である第1の電圧と、前記第2の抵抗の他端の電圧である第2の電圧が等しくなるように、前記第2の抵抗の他端から前記第2の電界効果トランジスタに流れる電流を制御する電圧制御回路部と、
をそれぞれ備え、
前記第1及び第2の各電界効果トランジスタは、ゲート電極の導電型の極性が異なるポリシリコンゲートを有することを特徴とする温度検出回路。 - 前記第1及び第2の各電界効果トランジスタは、幾何学的に同一形状であることを特徴とする請求項4記載の温度検出回路。
- 前記電圧制御回路部は、
前記第2の抵抗の他端と前記出力端との間に接続された第3の電界効果トランジスタと、
前記第1の電圧と前記第2の電圧が等しくなるように該第3の電界効果トランジスタの動作制御を行う演算増幅回路と、
を備えることを特徴とする請求項4又は5記載の温度検出回路。 - 前記第1及び第2の各電圧源回路部は、前記第1の抵抗と前記第2の抵抗の抵抗値の比が異なることを特徴とする請求項4、5又は6記載の温度検出回路。
- 前記第1の電圧源回路部で生成された電圧及び前記基準電圧の少なくとも一方の電圧値の調整を行う調整回路部を備え、該調整回路部は、該電圧値の調整を行う電圧を出力する前記電圧源回路部の前記出力端と前記減算回路部の入力端との間に設けられることを特徴とする請求項4、5、6又は7記載の温度検出回路。
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