JP4249945B2 - 電界効果トランジスタを用いた基準電圧源回路 - Google Patents

電界効果トランジスタを用いた基準電圧源回路 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電界効果トランジスタを用いた基準電圧源回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電界効果トランジスタ(以下、単にトランジスタという)を用いた電圧発生回路及び基準電圧源回路として、特開2001-284464公報があり、その回路を図1に示す。高い不純物濃度で導電型の極性のみが異なるゲートを有する第1のペアのトランジスタM1、M2と、同じ極性の導電型で不純物濃度のみが異なるゲートを有する第2のペアのトランジスタM3、M4からなり、ゲート材の仕事関数差を利用して基準電圧を得ている。
【0003】
第1のペアトランジスタは、両トランジスタM1、M2に同一の電流が流れるため、出力電圧V1は負の温度係数を有する電圧Vpnが得られ、第2のペアトランジスタは、両トランジスタM3、M4に同一の電流が流れるため、出力電圧であるゲート・ソース間電圧Vgsは、正の温度係数を有する電圧−Vptatが得られる。前記電圧V1(=Vpn)を抵抗R1、R2で分圧して得た電圧V2と、Vgs(=−Vptat)とを加算して当該回路より出力電圧V3を得ている。
【0004】
前記電圧Vpnおよび電圧Vptatにおける負および正の温度係数が相殺されるように分圧比を設定すれば、出力電圧V3には、温度係数を持たない基準電圧Vrefが得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の基準電圧源回路では、ペアトランジスタの作製時、ゲート材作製工程以外は同じ工程で作製することにより、同じ絶縁膜厚、チャンネルドープ、チャンネル長、チャンネル幅を持たせ、ペアをなす二つのトランジスタのチャンネルドープの濃度制御などプロセスによる変動要因を極力無くすようにしている。
【0006】
しかしながら、ペアトランジスタのゲートは、しきい値Vtの差を作り出すために、同じように作製することはできず個別にコントロールしなければならない。第1のペアトランジスタのように、高濃度ゲートの場合はプロセスによる特性変動が小さいが、特に第2のペアトランジスタのように、低濃度ゲートのトランジスタM4を含む場合は、特性への影響が大きく、所望の温度特性を持ったゲート材を安定に作ることは困難であった。
【0007】
本発明では、ゲート材の不純物濃度がプロセスにより変動しても温度係数がほとんど変化しない条件を見出すことにより、プロセス変動に強く安定して所望の温度特性を有する基準電圧源を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
基準電圧源回路は、導電型の極性が互いに異なるゲートを有する“第1のペア電界効果トランジスタ回路”と、同一の導電型で不純物の濃度が互いに異なるゲートを有する“第2のペア電界効果トランジスタ回路”と、第1及び第2のペア電界効果トランジスタのゲート電極の仕事関数差を任意の比で合成するための“合成回路”からなる。
本発明では、“第2のペア電界効果トランジスタ”における低不純物濃度トランジスタのゲート不純物濃度が、該低不純物濃度トランジスタの温度係数が最大値となる値を含むと共に他の範囲よりも安定した温度特性をなす、1.1E19/cm以上で1.6E19/cm以下であるようにした。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の1実施形態になる基準電圧源回路の構成としては図1のものと同じであるため、再度、その図1を用いて説明する。同図において、トランジスタM1,M2,M3,M4,M5はすべてnチャンネルで、基板やチャンネルドープの不純物濃度は等しく、n型基板の独立したpウェル内に形成され、各トランジスタの基板電位はソース電位と等しくしてある。チャンネル幅Wとチャンネル長Lの比(S/W)は、トランジスタM1とM2とで等しく、また、トランジスタM3とM4とで等しい。
【0010】
トランジスタM1は高濃度n型のゲートを持ち、トランジスタM2は、高濃度p型のゲートを持ち、トランジスタM1とM2はペアをなす。また、トランジスタM3は、高濃度n型のゲートを持ち、トランジスタM4は、低濃度n型のゲートを持ち、トランジスタM3とM4はペアをなす。
【0011】
トランジスタM1はゲートをソースに結線して定電流源としている。トランジスタM1と直列的に接続されたトランジスタM2のゲートには、トランジスタM5と抵抗R1、R2からなるソースフォロア回路の出力が供給される。
【0012】
トランジスタM3と直列的に接続したトランジスタM4は、ゲートをソースに結線して定電流源としている。
【0013】
第1のペアトランジスタM1とM2には同一電流が流れるため、トランジスタM1、M2のゲート・ソース間電圧の差は、両トランジスタのしきい値電圧Vthの差に等しく、これが負の温度係数を有する電圧Vpnとなる。図1では、トランジスタM1のゲート・ソース間電圧が0で、また、トランジスタM2のソース電圧が0のため、前記ゲート・ソース間電圧の差は、トランジスタM2のゲート電圧V1に等しく、これがVpnとなる。
【0014】
また、第2のペアトランジスタM3とM4も、同一電流が流れるため、トランジスタM3、M4のゲート・ソース間電圧の差は、トランジスタM4のゲート・ソース間電圧が0のため、トランジスタM3のゲート・ソース間電圧Vgsに等しくなり、これが正の温度係数を有する電圧(−Vptat)となる。
【0015】
トランジスタM3のソース電位をV3とすれば、
V2=V3+Vgs、V2=V1*R2/(R1+R2)の関係から
V3=V2+Vptat=V1*R2/(R1+R2)+Vptat
=Vpn*R2/(R1+R2)+Vptat
となり、既述したように、分圧比を適宜設定することにより、もしくはゲートの不純物濃度を変える(VpnおよびVgsが変化)ことにより、V3には、温度特性を持たない基準電圧Vrefが得られる。
【0016】
さて、Vptatを発生させるトランジスタは、ゲートが高濃度n型のM3と低濃度n型のトランジスタM4である。図2は、トランジスタM4のゲートの不純物濃度(横軸)に対するVptatの温度係数(縦軸)を示すグラフである。
【0017】
ペアトランジスタのゲートサイズ(ゲート幅/ゲート長=50μm/100μm)やゲート酸化膜厚(300Å)は等しい。図2からわかるように、温度特性(温度係数)の変化の度合から、ゲート不純物濃度を三つの区間に分けることができる。ゲート不純物濃度が 1.1E19/cm3までの区間では温度特性は急激に増加するが、1.1E19/cm3〜1.6E19/cm3の間ではほとんど変化せず、1.6E19/cm3より大きくなると、今度は緩やかに減少している。
【0018】
これは、ゲート不純物濃度が1.1E19/cm3〜1.6E19/cm3の間以外ではゲート不純物濃度による温度特性の変化が非常に激しいため、プロセスによる変動の影響を受けやすく所望の温度特性を有するゲート材を作製することが難しいことを示している。
【0019】
一方、ゲート不純物濃度が1.1E19/cm3〜1.6E19/cm3の間ではゲート不純物濃度による温度特性の変化はほとんどないため、若干のプロセスの変動があっても安定して所望の温度特性を有する基準電圧源回路を実現することができる。また、この区間で温度係数が最大値をとることもVpnの負の温度特性をキャンセルする上で重要となる。
【0020】
例えば、ゲート不純物濃度を、1.6E19/cm3とした場合、Vptatの温度係数は1.95E−4V/℃、Vpnの温度係数は−4.92E−4V/℃となり、R2/(R1+R2)=1/2.47の比で加算することで、極めて温度係数の小さい(約50ppm/℃)の良好な基準電圧Vrefが得られた。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、所望の温度特性を有する電界効果トランジスタを用いた基準電圧発生回路を実現することが可能となる。詳しくは、請求項1に記載の発明で、ゲート不純物濃度が1.1E19/cm3〜1.6E19/cm3の範囲内ではゲート不純物濃度による温度特性の変化がほとんどないため、プロセス変動に強い安定した所望の温度特性を有する基準電圧発生回路を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施形態を示した基準電圧源回路の図
【図2】 ゲートの不純物濃度の変化に対するVptatの温度特性図
【符号の説明】
M1、M2、M3、M4、M5 電界効果トランジスタ、R 抵抗

Claims (1)

  1. 導電型の極性が互いに異なるゲートを有する第1のペア電界効果トランジスタ回路と、同一の導電型で不純物の濃度が互いに異なるゲートを有する第2のペア電界効果トランジスタ回路と、第1及び第2のペア電界効果トランジスタのゲート電極の仕事関数差を任意の比で合成するための合成回路から構成される基準電圧源回路において、
    第2のペア電界効果トランジスタにおける低不純物濃度トランジスタのゲート不純物濃度が、該低不純物濃度トランジスタの温度係数が最大値となる値を含むと共に他の範囲よりも安定した温度特性をなす、1.1E19/cm以上で1.6E19/cm以下であることを特徴とする基準電圧源回路。
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