JP5066406B2 - 容器詰飲料 - Google Patents

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Description

本発明は非重合体カテキン類及び着色料を含有する容器詰飲料に関する。
カテキン類の効果としては、コレステロール上昇抑制作用やαアミラーゼ活性阻害作用などが報告されている(特許文献1、2)。このような生理効果を発現させるためには、より簡便に大量のカテキン類を摂取するために、飲料にカテキン類を高濃度配合する技術が望まれていた。
天然物由来のカロテノイド系又はアントシアニン系などの色素は熱、光又は酸素などによって酸化され退色又は変色することはよく知られている。このように不安定な色素類の変色、退色防止方法に関して既に多くの提案がなされている。
カロテノイド系色素の退色防止剤として、柑橘類果皮または全果のエタノール抽出物で水易溶性フラボノール類と水溶性抗酸化剤との併用も提案されている(例えば特許文献3、4)。さらに、食品添加物として使用されているアントシアニン系色素は退色しやすく、その防止剤としては、例えばアピゲニンなどのフラボン系化合物、ミリセチン、ケンフェロール、フィチン、フィチン酸、水易溶性フラボノイド配糖体、水易溶性フラボノールと水溶性抗酸化剤、または水易溶性フラボノールとリン酸塩の併用などが提案されている(例えば特許文献5〜9)。
特開平3−168046号公報 特開平10−4919号公報 特開昭59−85272号公報 特開平2−135070号公報 特公昭56−41666号公報 特開昭62−19068号公報 特開平2−99563号公報 特開平2−110164号公報 特開平2−214780号公報
本発明の目的は、飲料に含まれる色素の退色防止手段を提供することにある。
そこで本発明者は、高濃度の非重合体カテキン類と天然着色料とを併用することにより、過酷な条件下でも退色防止効果に優れ、良好な色調である容器詰飲料が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、
(A)非重合体カテキン類0.05〜0.5質量%、
(B)天然着色料0.0001〜1.0質量%、及び、
(C)果糖、ブドウ糖、ショ糖及び果糖ブドウ糖液糖から選ばれる1種以上を0.0001〜20質量%含有し、
(D)pHが2.5〜5.1である容器詰飲料を提供するものである。
本発明によれば、非重合体カテキン類を高濃度で含む容器詰飲料であって、保存中の退色防止効果に優れた飲料が得られる。
本発明で非重合体カテキン類とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート及びガロカテキンガレートなどの非エピ体カテキン類及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類をあわせてたものの総称である。ここでいう非重合体カテキン類の濃度は、上記の合計8種の合計量に基づいて定義される。
本発明の容器詰飲料中には、(A)非重合体カテキン類を0.05〜0.5質量%、より好ましくは0.07〜0.4質量%、さらに好ましくは0.08〜0.3質量%、最も好ましくは0.09〜0.2質量%含有する。非重合体カテキン類がこの範囲内であれば保存中の退色防止効果に優れた飲料が得られる。
本発明の容器詰飲料中の非重合体カテキン類にはエピガロカテキンガレート、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピカテキンからなるエピ体と、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、ガロカテキン及びカテキンからなる非エピ体がある。非エピ体は本来自然界には殆ど存在せず、エピ体の熱変性により生成する。本発明の容器詰飲料に使用できる(A)非重合体カテキン類中の(E)非重合体カテキン類の非エピ体類の割合([(E)/(A)]×100)は5〜25質量%が好ましく、さらに8〜20質量%、特に10〜15質量%であることが風味及び保存安定性の観点から好ましい。
本発明の容器詰飲料中の非重合体カテキン類にはエピガロカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート及びカテキンガレートからなるガレート体と、エピガロカテキン、ガロカテキン、エピカテキン及びカテキンからなる非ガレート体がある。エステル型非重合体カテキン類であるガレート体は苦味が強いことから、本発明の容器詰飲料に使用できる(A)非重合体カテキン類中の(F)非重合体カテキン類のガレート体類の割合([(F)/(A)]×100)は5〜51質量%、さらに8〜51質量%、特に10〜46質量%であることが苦味抑制の観点から好ましい。又、本発明容器詰飲料における非重合体カテキン類のガレート体類の濃度は、30〜100mg/100mLの範囲であれば後味のキレがよくなるため好ましい。
本発明における高濃度の非重合体カテキン類を有する容器詰飲料は、茶抽出物の濃縮物、特に緑茶抽出物の濃縮物を配合して非重合体カテキン類濃度を調整して得ることができる。具体的には、緑茶抽出物の濃縮物、あるいは当該緑茶抽出物の濃縮物に緑茶抽出液、半発酵茶抽出液又は発酵茶抽出液を配合したものが挙げられる。ここでいう緑茶抽出物の濃縮物とは、緑茶葉から熱水もしくは水溶性有機溶媒により抽出した溶液から水分を一部除去し、場合によっては精製して非重合体カテキン類濃度を高めたものであり、形態としては、固体、水溶液、スラリー状など種々のものが挙げられる。また、緑茶抽出液とは濃縮や精製操作を行わない抽出液のことをいう。
非重合体カテキン類を含有する緑茶抽出物の濃縮物としては市販の三井農林(株)「ポリフェノン」、伊藤園(株)「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」などから選択でき、またこれらを精製してもよい。精製の方法としては、例えば緑茶抽出物の濃縮物を水又は水とエタノールなどの有機溶媒の混合物に懸濁して生じた沈殿を除去し、次いで溶媒を留去する方法がある。あるいは茶葉から熱水もしくはエタノールなどの水溶性有機溶媒により抽出した抽出物を濃縮したものを更に精製したもの、あるいは抽出物を直接精製したものを用いてもよい。
本発明に用いる非重合体カテキン類は、緑茶抽出物又はその濃縮物をタンナーゼ処理することにより、ガレート体率を低下することができる。タンナーゼ処理は、緑茶抽出物の非重合体カテキン類に対してタンナーゼを0.5〜10質量%の範囲になるように添加することが好ましい。タンナーゼ処理の温度は、酵素活性が得られる15〜40℃が好ましく、さらに好ましくは20〜30℃である。タンナーゼ処理時のpHは、酵素活性が得られる4〜6が好ましく、さらに好ましくは4.5〜6であり、特に好ましくは5〜6である。
本発明の容器詰飲料における(A)非重合体カテキン類と(G)カフェインとの含有質量比(G)カフェイン/(A)非重合体カテキン類は0.0001〜0.16が好ましく、より好ましくは0.001〜0.15、更に好ましくは0.01〜0.014、更に好ましくは0.05〜0.13である。非重合体カテキン類に対するカフェインの比率が低すぎると、風味バランス上好ましくない。また非重合体カテキン類に対するカフェインの比率が高すぎると、飲料本来の外観を害し好ましくない。カフェインは、原料として用いる緑茶抽出物、香料、果汁及び他の成分中に天然で存在するカフェインであっても、容器詰飲料に新たに加えられたカフェインであってもよい。
本発明の容器詰飲料に用いる(B)天然着色料は、天然物を原料とするため、自然界にみられる発色が得られるという特徴がある。さらに、原材料の香りや味を生かすことによる付加価値もある。本発明に用いる天然着色料としては、アントシアニン類を含有するブドウ色素又は紫トウモロコシ色素;クルクミンを含有するウコン色素;カロテノイド類を含有するマリーゴールド色素、イモカロテン色素、ニンジンカロテン色素、パーム油カロテン色素又はアナトー色素;アスタキサンチンを含有するファフィア色素又はヘマトコッカス藻色素;ベタニン類を含有するビートレッド色素;カラメル色素等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合せて使用できる。
本発明に用いる天然着色料の中で、アントシアニン類を含有するブドウ色素は、一般式(I)で表されるアントシアニジンをアグリコンとする配糖体を含有する。
Figure 0005066406
〔式中、R1は水素、ヒドロキシ基又はメトキシ基であり、R2はヒドロキシ基であり、R3は水素、ヒドロキシ基又はメトキシ基であり、R4は水素又はヒドロキシ基であり、R5はヒドロキシ基又はメトキシ基であり、R6は水素又はヒドロキシ基であり、R7はヒドロキシ基又はメトキシ基であり、R1〜R7のヒドロキシ基は糖と結合し得る。〕
アントシアニン類としては、具体的にはコーリャン等に含まれるアピゲニニジン(Apigeninidin)、ブドウ、紫トウモロコシ等に含まれるシアニジン(Cyanidin)、ブルーベリー等に含まれるデルフィニジン(Delphinidin)、デルフィニン(Delphinin)、デルフィン(Delphin)、ソルガム等に含まれるルテオリニジン(Luteolinidin)、ウスベニアオイ等に含まれるマルビン(Malvin)、赤シソ等に含まれるマロニルシソニン(Malonylshisonin)、シソニン(Shisonin)、ナス等に含まれるナスニン(Nasunin)、紫ジャガイモ等に含まれるペラニン(Pelanin)、ペタイン(Petanin)、及びオランダイチゴ等に含まれるペラルゴニジン(Pelargonidin)等が挙げられる。
アントシアニン類の発色団はアグリコン部分で、ペラルゴニジンは鮮赤色、シアニジンは赤紫色、デルフィニジンは紫赤色であり、pH により色調は変化し、酸性条件下で赤色、アルカリ性条件下で青色となる。
本発明に用いるアントシアニン類は、特にブドウ果皮色素又はブドウ果汁色素から得られるものが風味の観点から好ましい。ブドウ果皮色素は、ワイン又は果汁を製造するためブドウを圧搾した後に残るしぼり粕を水に浸して得られる液を濾過、濃縮あるいは粉末化して得られ、清涼飲料、炭酸飲料の着色に使用されている。
本発明に用いる天然着色料の中で、ウコン色素は、一般式(II)で表されるクルクミンを含有する。クルクミンは、pH により色調は変化し、酸性条件下で黄色、アルカリ性条件下で赤色〜褐色となり、光に対する安定性が劣る。
Figure 0005066406
〔式中、R8、R9は水素又はメトキシ基である。〕
本発明に用いる天然着色料の中で、カロテノイド類(アスタキサンチンは除く)は、一般式(III)で表されるポリエン構造を骨格とする。カロテノイド系の色素はニンジン、カボチャ、卵黄、バター等、動植物界を通じて広く分布する黄色〜赤色の色素である。このようなカロテノイドのポリエン構造は、共役二重結合の炭化水素で空気酸化及び光酸化を受けやすい。
Figure 0005066406
カロテノイド色素のうち、ニンジンカロテン色素、パーム油カロテン色素及びイモカロテン色素は、ルテイン、ゼアキサンチン、カンタキサンチン、β−クリプトキサンチン、エキネノン、リコペン、トルレン、α−カロテン及びβ−カロテン等から構成される。また、アナトー色素はベニノキの種子から得られ、ビキシン、ノルビキシンから構成される。マリーゴールド色素はその花弁から得られ、ヘレニエン色素から構成される。
本発明に用いる天然着色料の中で、ビートレッド色素は、一般式(IV)で表されるベタニン又はイソベタニンなどのベタイン類を含有する。
Figure 0005066406
〔式中、ベタイン類はRが水素であり、ベタニンはRがグルコース残基であり、C15のエピマーがそれぞれ、イソベタニジン、イソベタニンである。〕
ビートレッド色素は、鮮明な赤色色素で、pHによる色調変化が少なく、特にpH4〜7で安定であるが、熱に対し不安定で、さらに耐光性はよくないが、アスコルビン酸の添加で安定化することが知られている。
本発明に用いる天然着色料の中で、カラメル色素は、デンプン加水分解物、糖蜜または糖類の食用炭水化物を、熱処理して得たれたもの又は酸もしくはアルカリを加えて熱処理して得られたものである。カラメル色素のうち亜硫酸化合物及びアンモニウム化合物を使用していないカラメルIが風味及び退色性の観点から好ましい。
本発明においては、高濃度の非重合体カテキン類を含むことにより天然着色料の退色を防止することができる。さらに、本発明で使用する天然着色料は、0.0001〜1.0質量%の範囲内で含有させれば十分な色調を得ることができる。1.0質量%以下の含有量で、長期の保存中の退色を避けることができる。
本発明の容器詰飲料には(C)果糖、ブドウ糖、ショ糖及び果糖ブドウ糖液類から選ばれる1種以上を含有する。これらの甘味料は、本発明の容器詰飲料中に0.0001〜20質量%含有され、さらに0.001〜15質量%、特に0.01〜10質量%含有するのが好ましい。
本発明の容器詰飲料は、甘味料が少なすぎると甘みがほとんどなく、酸味、塩味とのバランスがとれないのでショ糖を1としたときの甘味度が2以上であることが好ましい(参考文献:JISZ8144、官能評価分析−用語、番号3011、甘味;JISZ9080、官能評価分析−方法、試験方法;飲料用語辞典4−2甘味度の分類、資料11(ビバレッジジャパン社);特性等級試験mAG試験、ISO 6564−1985(E)、「Sensory Analysis−Methodology−Flavour profile method」等)。一方、甘味度が8以上になると、甘すぎて喉にひっかかる感覚が強く、喉越しが低下する。尚、これらの甘味料は茶抽出物中のものも含む。
本発明の容器詰飲料中のブドウ糖含有量は、好ましくは0.0001〜20質量%、さらに好ましくは0.001〜15質量%、特に好ましくは0.01〜10質量%である。本発明の容器詰飲料中の果糖含有量は、好ましくは0.0001〜20質量%、さらに好ましくは0.001〜15質量%、特に好ましくは0.01〜10質量%である。果糖ブドウ糖液糖の含有量は0.01〜7質量%、さらに好ましくは0.1〜6質量%、特に好ましくは1〜5質量%である。これらの甘味料は、合計20質量%以下配合すると飲料の保存中に褐変による着色を防ぐことができる。
ショ糖の形態としては、グラニュー糖、液糖、上白糖等があり、これらをいずれも使用できる。本発明の容器詰飲料中のショ糖含有量は、好ましくは0.001〜20質量%、さらに好ましくは0.01〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
本発明の容器詰飲料には、上記の甘味料以外に、複合多糖、グリセロール類、糖アルコール、人工甘味料などを使用できる。グリセロール類は、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、本発明の容器詰飲料に使用できる。
複合多糖としては、マルトデキストリン、コーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ、アガペエキス、メイプルシロップ、シュガーケーン、蜂蜜等が挙げられ、好ましい例はマルトデキストリンである。複合多糖は、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.2〜10質量%、本発明の容器詰飲料に使用できる。
本発明の容器詰飲料に用いられる糖アルコールとしては、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、マルチトール、ラクチトール、パラチノース、マンニトール等が挙げられる。これらのうち、カロリーがなく、最大無作用摂取量が最も高いエリスリトールが好ましい。本発明容器詰飲料中の糖アルコール含有量は、0.0001〜20質量%が好ましい。
本発明の容器詰飲料に用いられる人工甘味料としてはアスパルテーム、スクラロース、サッカリン、シクラメート、アセスルフェーム−K、L−アスパルチル−L−フェニルアラニン低級アルキルエステル、L−アスパルチル−D−アラニンアミド、L−アスパルチル−D−セリンアミド、L−アスパルチル−ヒドロキシメチルアルカンアミド、L−アスパルチル−1−ヒドロキシエチルアルカンアミド、スクラロースなどの高甘度甘味料、グリチルリチン、合成アルコキシ芳香族化合物等が挙げられる。これらの人工甘味料の含有量は、0.0001〜20質量%が好ましい。また、ソーマチン、ステビノシド及び他の天然源の甘味料も使用できる。
本発明の容器詰飲料では、風味及び保存安定性の観点で(D)pHが2.5〜5.1の範囲である。更に好ましくは3.0〜4.5であり、特に好ましくは3.8〜4.2である。すなわち、pHが2.5〜pHが5.1とすることで長期の保存においても非重合体カテキン類が減少することもなく、天然着色料による十分な色調を発揮することができる。pHの調整は、アスコルビン酸又はその塩やクエン酸などで前記範囲にすることにより、長期の保存が可能で適度な酸味を有する飲料となる。
本発明の容器詰飲料には、酸味料が使用できる。酸味料の濃度が少ない場合には、苦味、渋味は抑制できるが酸味が弱すぎる。一方、酸味料の濃度が多い場合には、酸味が強くなるが苦みや渋みも強くなる。本発明における酸味料はアスコルビン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸及びリンゴ酸及びそれらの塩酸から選ばれる1種以上である。これら単独でも長期の保存に対応可能なpHになるが、適度な酸味を得るにはこれらの酸とそれらの塩類との併用が好ましい。具体的にはクエン酸3ナトリウム、クエン酸1カリウム、クエン酸3カリウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸3ナトリウム、酒石酸水素カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、フマル酸ナトリウム等が挙げられる。
その他の酸味料としては、アジピン酸、天然成分から抽出した果汁類が挙げられる。酸味料は全体として本発明の容器詰飲料中に0.01〜0.7質量%、特に0.02〜0.6質量%含有するのが好ましい。また無機酸類、無機酸塩類も使用することがでる。無機酸類、無機酸塩類としてはリン酸水素2アンモニウム、リン酸2水素アンモニウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム、メタリン酸3ナトリウム、リン酸3カリウム等が挙げられる。これらの無機酸類、無機酸塩類は、本発明の容器詰飲料中0.02〜0.5質量%、特に0.02〜0.3質量%が好ましい。
本発明の容器詰飲料ではさらにミネラルとしてナトリウム、カリウムを使用することができる。本発明に用いられるナトリウムとしては、アスコルビン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、酒石酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等及びそれらの混合物のような容易に入手しうるナトリウム塩を配合することができる。又、ナトリウムは加えられた果汁又は茶の成分由来のものも含まれる。ナトリウム濃度が高くなるほど、飲料の変色する度合いが高くなる。安定性の観点から、本発明の容器詰飲料中のナトリウム含有量は、0.001〜0.5質量%が好ましく、より好ましくは0.002〜0.4質量%、さらに好ましくは0.003〜0.2質量%である。
本発明に用いられるカリウムとしては、茶抽出液に含有するカリウム以外の化合物を添加してその濃度を高めることができる。例えば、カリウム塩化物、炭酸カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸水素カリウム、クエン酸カリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、酒石酸カリウム、ソルビン酸カリウム等又はそれらの混合物のようなカリウム塩を配合してもよいし、加えられた果汁または香料由来のものも含まれる。カリウム濃度は、ナトリウム濃度に比べて、長期間高温保存時での色調への影響が大きい。このようなカリウム濃度の安定性の観点から、本発明の容器詰飲料中のカリウム含有量は、0.001〜0.2質量%が好ましく、より好ましくは0.002〜0.15質量%、さらに好ましくは0.003〜0.12質量%である。
ここで、ナトリウム及びカリウムの合計濃度は、0.001〜0.5質量%が好ましく、この合計濃度がこの0.001質量%未満であると、飲む場面によっては味的に物足りなく感じ、好ましくない。一方、0.5質量%を超えると、塩類自体の味が強く、長期間の飲用に好ましくない。
本発明の容器詰飲料ではさらにナトリウム、カリウム以外のミネラルを使用することができる。カルシウムの金属塩は、クエン酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、焼成カルシウム(うに殻焼成カルシウム、貝殻焼成カルシウム、骨焼成カルシウム)等及びそれらの混合物のような容易に入手しうる塩を配合できる。本発明の容器詰飲料で使用するカルシウム総量としては、1日所要量(米国RDI基準:US2005/0003068記載:U.S.Reference Daily Intake)の少なくとも10質量%以上である0.0012〜0.12質量%であることが好ましい。
マグネシウムの金属塩は、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、リン酸三マグネシウム等及びそれらの混合物のような容易に入手しうる塩を配合できる。本発明の容器詰飲料で使用するマグネシウム総量としては、1日所要量(米国RDI基準)の少なくとも10質量%以上である0.00012〜0.006質量%であることが好ましい。
さらに血糖の調整に大切なインシュリンを構成する要素である亜鉛の金属塩は、亜鉛塩類、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛等及びそれらの混合物のような容易に入手しうる塩を配合できる。本発明で使用する亜鉛総量としては、1日所要量(米国RDI基準)の少なくとも10質量%以上である0.000048〜0.0024質量%であることが好ましい。
鉄の金属塩は、塩化第二鉄、クエン酸鉄、ピロリン酸第二鉄、ピロリン酸第二鉄液、硫酸第一鉄、クエン酸鉄アンモニウム、グルコン酸第一鉄、乳酸鉄等及びそれらの混合物のような容易に入手しうる塩を配合できる。本発明の容器詰飲料で使用する鉄総量としては、1日所要量(米国RDI基準)の少なくとも10質量%以上である0.00004〜0.002質量%であることが好ましい。
本発明の容器詰飲料には、ビタミンを更に含有させることができる。好ましくは、ビタミンA、ビタミンB及びビタミンEが加えられる。またビタミンDのような他のビタミンを加えてもよい。ビタミンBとしてはイノシトール、チアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩、リボフラビン、リボフラビン5’−リン酸エステルナトリウム、ナイアシン、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、ピリドキシ塩酸塩、シアノコバラミンから選ばれるビタミンB群があげられ、葉酸、ビオチンミネラルも本発明の飲料に用いることができる。これらのビタミンBは1日所要量(米国RDI基準)の少なくとも10質量%以上であることが好ましい。
香料(フレーバー)や果汁(フルーツジュース)は嗜好性を高めるために本発明の容器詰飲料に配合できる。天然又は合成香料や果汁が本発明で使用できる。これらはフルーツジュース、フルーツフレーバー、植物フレーバー又はそれらの混合物から選択できる。特に、フルーツジュースと一緒に茶フレーバー、好ましくは緑茶又は黒茶フレーバーの組合せが好ましい。好ましい果汁はプルーン、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリー、ストロベリー、アップル、ナシ、レモン、ライム、マンダリン、グレープフルーツ、クランベリー、オレンジ、ストロベリー、グレープ、キゥイ、パイナップル、パッションフルーツ、マンゴ、グァバ、ラズベリー及びチェリーを使用できる。特にグレープ、プルーン、ブルーベリー、クランベリー、ラズベリー、ブラックベリー、ストロベリー、チェリー、アップル、オレンジ又はそれらの混合物が最も好ましい。好ましい天然フレーバーはジャスミン、カミツレ、バラ、ペパーミント、サンザシ、キク、ヒシ、サトウキビ、レイシ、タケノコ等である。果汁は本発明飲料中に0.001〜99.5質量%、更に0.002〜10質量%含有するのが好ましい。特に好ましい香料はオレンジフレーバー、レモンフレーバー、ライムフレーバー及びグレープフルーツフレーバーを含めたシトラスフレーバーである。シトラスフレーバー以外にも、リンゴフレーバー、ブドウフレーバー、ラズベリーフレーバー、クランベリーフレーバー、チェリーフレーバー、パイナップルフレーバー等のような様々な他のフルーツフレーバーが使用できる。これらのフレーバーはフルーツジュース及び香油のような天然源から誘導しても、又は合成してもよい。
香料には、様々なフレーバーのブレンド、例えばレモン及びライムフレーバー、シトラスフレーバーと選択されたスパイス(典型的コーラソフトドリンクフレーバー)等を含めることができる。このような香料は本発明飲料に好ましくは0.0001〜5質量%、より好ましくは0.001〜3質量%を配合できる。
本発明の容器詰飲料には、非重合体カテキン類の苦味を抑制させるためにサイクロデキストリンを併用することができる。サイクロデキストリンは、α−サイクロデキストリン、β−サイクロデキストリン、γ−サイクロデキストリンが挙げられる。これらのサイクロデキストリンは、本発明の容器詰飲料中に好ましくは、0.005〜0.5質量%、さらに好ましくは0.02〜0.3質量%、特に好ましくは0.05〜0.25質量%となるように添加する。
このように本発明の容器詰飲料には、茶由来の成分にあわせて、香料、各種エステル類、有機酸塩類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤などの添加剤を単独、あるいは併用して配合しても良い。
本発明の容器詰飲料は、非炭酸飲料とすることができるが、炭酸飲料とすることもできる。すなわち、炭酸ガスにより適度な起泡性を有することにより、非重合体カテキン類の苦味を抑制させることができ、さらにソフト感および清涼感を継続して付与することもできる。茶系飲料としては、緑茶飲料等の本発明茶飲料、烏龍茶飲料等の半発酵茶飲料、紅茶飲料等の発酵茶飲料が挙げられる。また、本発明の容器詰飲料は、機能性飲料とすることもでき、例えばエンハンスドウォーター、スポーツドリンク、ニアウォーター等の非茶系飲料やボトルドウォーターとすることもできる。
本発明の容器詰飲料としては、茶系飲料のほかに豆乳飲料、ミルクコーヒー、ミルクココアなどの乳化飲料とすることもできる。
乳化飲料や豆乳飲料を製造する際に、乳化剤としてグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸モノ及びジグリセリド、モノ及びジグリセリドの酢酸エステル、モノ及びジグリセリドのクエン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、エステルガム、酵素分解レシチン、植物レシチン胆汁末分別レシチン、卵黄レシチンが使用できる。
さらに、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロース、カゼインNa、アラビアガム、アラビノガラクタン、ガティーガム、カードラン、カラギナン、加工ユーケマ藻類、精製カラギナンユーケマ藻末、ポリソルベート80添加カラギナンカラギナンの塩、カラヤガム、カロブビーンガム(ローカストビ−ンガム)、キサンタンガム、グァーガム、サイリウムシードガム、ジェランガム、トラガンドガム、微小繊維状セルロース(微結晶セルロース)、ファーセレラン、ペクチン、寒天、シクロデキストリン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリデキストロース等の増粘安定剤が使用できる。
本発明の容器詰飲料に使用できる容器は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶などの通常の形態で提供することができる。ここでいう容器詰飲料とは希釈せずに飲用できるものをいう。
また本発明の容器詰飲料は、例えば、金属缶のような容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた殺菌条件で製造できる。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用できる。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。さらに、酸性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを中性に戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に戻すなどの操作も可能である。
非重合体カテキン類及びカフェインの測定
メンブランフィルター(0.8μm)でろ過し、次いで蒸留水で希釈した試料を、島津製作所製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム L−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により測定した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有の蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有のアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った(通常カテキン類及びカフェインの濃度は、質量/体積%(%[w/v])で表すが、実施例中の含有量は液量を掛けて質量で示した)。
保存試験(加速試験)
調製した飲料を55℃で2週間保存し、保存前後での飲料の色調変化を5名のパネラーに目視で以下の基準で評点をつけ、さらにUV吸収を測定した。
露光試験
退色性を確認するために、350mLPETボトルに充填した飲料を、フェードメーター(ATLAS Xenon Weather-meter 東洋精機製作所、40℃恒温、光源:キセノンランプ、中心波長400〜500nm)で所定時間(8時間、24時間)照射した後、UV吸収を測定した。
保存試験及び露光試験後のUV測定波長は、カロテン色素:450nm、ウコン色素:450nm、アスタキサンチン色素:480nm、ブドウ色素:520nm、ビートレッド540nm、カラメル色素555nmで行い、初期の吸光度I0、試験後の吸光度I1として残存率(%)=[(I0−I1)/I0]×100で表した。
風味の評価
パネラー5名により飲用試験を行った。
実施例1
市販の緑茶抽出物の濃縮物(三井農林(株)「ポリフェノンHG」)100gを90.0質量%エタノール900gに分散させ、活性炭(クラレコールGLC、クラレケミカル社製)20gと酸性白土(ミズカエース#600、水澤化学社製)50gを投入後、約10分間攪拌を続けた。その後30分熟成し、2号濾紙及び孔径0.2μmの濾紙で濾過し、水200mLを加えて減圧濃縮することによって精製物を得た。得られた精製物中の非重合体カテキン類は15.2質量%、非重合体カテキンガレート体類の割合は58.1質量%であった。得られた非重合体カテキン類組成物のうち75.0gをステンレス容器に投入し、イオン交換水で全量を1,000gとし、5質量%重炭酸ナトリウム水溶液3.0gを添加してpH5.5に調整した。次いで、22℃、150r/minの攪拌条件下で、イオン交換水1.07g中にキッコーマンタンナーゼKTFH(Industrial Grade、500U/g以上)0.27g(非重合体カテキン類に対して2.4%)を溶解した液を添加し、55分後にpHが4.24に低下した時点で酵素反応を終了した。次いで95℃の温浴にステンレス容器を浸漬し、90℃、10分間保持して酵素活性を完全に失活した後、25℃まで冷却した後に濃縮処理を行った。タンナーゼ処理後に得られた緑茶抽出物の精製物の非重合体カテキン類は15.0質量%、非重合体ガレート体率は45.1質量%であった。この緑茶抽出物の精製物5.3g、中国産緑茶抽出物粉末2.2g、天然着色料としてサンレッドNo.2L(アントシアニン類1.0%含有、三栄源エフェフアイ(株))0.3gを水に溶解した。次に、無水結晶果糖、エリスリトール、L-アスコルビン酸ナトリウム、緑茶香料を添加して全量を1,000gとした。配合後、UHT殺菌しPETボトルに充填した。この容器詰緑茶飲料の組成、風味評価結果を表1に示す。
実施例2
実施例1においてインド産紅茶抽出物粉末0.5g、紅茶香料を使用した以外は実施例1と同様にして容器詰紅茶飲料を製造した。組成、風味評価結果を表1に示す。
実施例3
実施例1で得られた緑茶抽出物の精製物のうち8.5gとサンレッドNo.2L0.3gを水に溶解した。次に、無水結晶果糖、エリスリトール、無水クエン酸、クエン酸3Na、L-アスコルビン酸、レモンライム香料を添加して全量を1,000gとした。配合後、UHT殺菌しPETボトルに充填した。この容器詰非茶系飲料の組成、風味評価結果を表1に示す。
実施例4
天然着色料としてクルクミンAL(ウコン色素9.2%含有、三栄源エフェフアイ(株))を0.2g使用した以外は実施例3と同様に容器詰非茶系飲料を製造した。組成、風味評価結果を表1に示す。
実施例5
天然着色料としてキャロットベース160R(ニンジンカロテン色素含有1.6%、三栄源エフェフアイ(株))を0.5g使用した以外は実施例3と同様に容器詰非茶系飲料を製造した。組成、風味評価結果を表1に示す。
実施例6
天然着色料としてアスタレッドNo.35324(ヘマトコッカス藻色素5%含有、三栄源エフェフアイ(株))を0.3g使用した以外は実施例3と同様に容器詰非茶系飲料を製造した。組成、風味評価結果を表1に示す。
実施例7
天然着色料としてサンビートL(ベタニン90%含有、三栄源エフェフアイ(株))を0.3g使用した以外は実施例3と同様に容器詰非茶系飲料を製造した。組成、風味評価結果を表1に示す。
実施例8
天然着色料としてカラメルS(カラメルIタイプ、池田糖化(株))を2.5g使用した以外は実施例3と同様に容器詰非茶系飲料を製造した。組成、風味評価結果を表1に示す。
比較例1
クエン酸1.0g、クエン酸3ナトリウムを15.0gに変更してpHを6.02とした以外は実施例3と同様にして容器詰非茶系飲料を製造した。組成、風味評価、保存試験結果を表2に示す。同様の飲料を製造した。この容器詰果汁飲料の組成、風味評価結果を表2に示す。
比較例2〜7
実施例1で得られた緑茶抽出物の精製物を添加せずに、実施例3〜8と同様の飲料を製造した。この容器詰飲料の組成、風味評価結果を表2に示す。
表1、2から明らかなように、天然着色料を含有する容器詰飲料に、高濃度の非重合体カテキン類を配合することにより、良好な色相を保持しつつ色素の退色を抑制することができた。
Figure 0005066406
Figure 0005066406

Claims (5)

  1. (A)非重合体カテキン類 0.05〜0.5質量%、
    (B)カロテノイド類を含有するニンジンカロテン色素、アスタキサンチンを含有するヘマトコッカス藻色素、及びカラメル色素から選ばれる1種以上の天然着色料 0.0001〜1.0質量%、及び、
    (C)果糖、ブドウ糖、ショ糖及び果糖ブドウ糖液糖から選ばれる1種以上 0.00110質量%
    含有し、
    (A)非重合体カテキン類中の(F)非重合体カテキン類のガレート体類の割合([(F)/(A)]×100)が5〜46質量%であり、かつ
    (D)pHが2.5〜4.5である非茶系容器詰飲料。
  2. (E)非重合体カテキン類の非エピ体類が5〜25質量%である請求項1記載の非茶系容器詰飲料。
  3. (G)カフェインと(A)非重合体カテキン類との含有質量比[(G)/(A)]が0.0001〜0.16である請求項1又は2記載の非茶系容器詰飲料。
  4. さらに、糖アルコール及び人工甘味料から選ばれる1種以上を含有する請求項1〜のいずれか1項記載の非茶系容器詰飲料。
  5. さらに、酸味料としてアスコルビン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸及びそれらの塩類から選ばれる1種以上を含有する請求項1〜のいずれか1項記載の非茶系容器詰飲料。
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