JP6077159B1 - 飲料及びルテインの飲料中安定性を調節する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ルテインの安定性に優れる飲料、この飲料を含む容器詰め飲料、容器詰め飲料の作製方法、及び容器詰め飲料の流通又は保存方法、並びにルテインの飲料中安定性を調節する方法を提供すること。【解決手段】本発明の飲料は、総ルテインにおけるトランス体ルテインの含有割合が50質量%超である。総ルテインの含有量は飲料に対して10ppm以上であることが好ましい。また、本発明の飲料は、透明容器に容器詰されていてもよい。ルテインを含む飲料に光照射することにより、トランス体ルテインの含有量を調節することが可能である。【選択図】図1

Description

本発明は、ルテインを含有する飲料、この飲料を含む容器詰め飲料、容器詰め飲料の作製方法、及び容器詰め飲料の流通又は保存方法、並びにルテインの飲料中安定性を調節する方法に関する。
ルテインは、強力な抗酸化作用を持つカロテノイドの1種で、ホウレンソウやケールなどの緑黄色野菜に多く含まれている。このルテインは、眼の網膜の保護や治癒に有益な成分として知られており、さらに眼の視覚機能向上、眼精疲労からくる肩こりや全身の倦怠感の緩和にも効果を発揮することから、飲料をはじめとする様々な食品に配合されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2005−65525号公報 特開2009−142180号公報
しかしながら、飲料に含有されるルテインは光、熱、酸素などの外部刺激によって経時的に減少することが確認されており、ルテインの安定性の向上が求められている。
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、ルテインの安定性に優れる飲料、この飲料を含む容器詰め飲料、容器詰め飲料の作製方法、及び容器詰め飲料の流通又は保存方法、並びにルテインの飲料中安定性を調節する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ルテインの立体異性体の種類によって飲料中におけるルテインの安定性が異なることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 総ルテインにおけるトランス体ルテインの含有割合が50質量%超である飲料。
(2) 総ルテインの含有量が飲料に対して10ppm以上である(1)記載の飲料。
(3) (1)又は(2)記載の飲料を容器内に含む容器詰め飲料。
(4) 前記容器は、透明容器である(3)記載の容器詰め飲料。
(5) ルテインを含む飲料に光を照射する工程を含む(1)もしくは(2)記載の飲料、又は(3)もしくは(4)記載の容器詰め飲料の作製方法。
(6) (3)又は(4)記載の容器詰め飲料の流通又は保存方法であって、前記飲料を10℃超の常温で保管する方法。
(7) 飲料に含まれる総ルテインにおけるトランス体ルテインの含有割合を調節することで、ルテインの飲料中安定性を調節する方法。
(8) 前記調節は、ルテインを含む飲料に光を照射する工程を含む(7)記載の方法。
(9)前記飲料は、透明容器に容器詰めされるものである(7)又は(8)記載の方法。
本発明によれば、ルテインの安定性に優れる飲料、この飲料を含む容器詰め飲料、容器詰め飲料の作製方法、及び容器詰め飲料の流通又は保存方法、並びにルテインの飲料中安定性を調節する方法を提供できる。
本発明の飲料におけるルテインの残存率と初期のトランス体ルテインの比率との関係を示す特性図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<飲料>
本発明の飲料は、ルテインを含有する。ルテインには、トランス体とシス体の立体異性体があることが知られているが、飲料などの水系においてはトランス体ルテインがシス体ルテインに比べ安定性が高いことが明らかになった。シス体ルテインとトランス体ルテインとは、眼の網膜の保護や治癒に有益な成分としての機能に違いがなく、飲料に必要とされる退色性、味、乳化性(沈殿)などにも違いがない。よって、本発明の飲料は、ルテインの安定性を向上させて、ルテインの摂取量を確実に確保し、しかも、その結果ルテインの摂取効果の向上を期待できる。なお、本発明のルテインは、フリー体ルテインである。ただし、ルテインは飲料中フリー体又はエステル体で存在し得ることができ、本発明の飲料がフリー体のルテイン以外にエステル体のルテインを含んでいてもよいし、含まなくてもよい。
本発明の飲料は、総ルテイン(トランス体ルテイン+シス体ルテイン)におけるトランス体ルテインの含有割合が50質量%超であることを特徴とし、好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上(72%質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上など)である。飲料中の総ルテインにおけるトランス体ルテインの比率が上記範囲であることにより、ルテインが光、熱、酸素などの外部刺激によっても分解されにくく安定性が向上し、経時的に減少することが抑制される。総ルテインにおけるトランス体ルテインの含有割合の上限は、特に限定されず、100%質量%以下、95質量%以下、90質量%以下などである。ルテインにおけるトランス体及びシス体との組成比は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)により分析する。
本発明の飲料の総ルテインの含有量は、飲料に対して10ppm以上であることが好ましく、12ppm以上がより好ましく、18ppm以上であることがさらに好ましい。総ルテインの含有量が10ppm以上であることにより、ルテインの摂取効果を期待できる。一方、本発明の飲料におけるルテインの安定性は高いことから、飲料に過剰のルテインを含有させる必要性は低い。よって、嗜好性の観点から、総ルテインの含有量は飲料に対して、50ppm以下が好ましく、30ppm以下がより好ましい。
ルテインは、光や熱などの刺激によって分解し経時的にその量が減少する一方、シス体ルテインは、光などの刺激によってその一部がトランス体に変位することが確認されている。よって、ルテインを含む飲料においては、経時的に総ルテインにおけるトランス体ルテインの含有割合が増大することが予想される。しかし、飲料に対して総ルテインの含有量が10ppm未満となる飲料では、トランス体ルテインの含有割合が高くなっても、ルテインによる摂取効果が小さくなるため好ましくない。
また、本発明の飲料は、従来の飲料に含まれる公知の成分を、ルテインによる効果を損なわない範囲で含んでもよいし、含まなくてもよい。飲料に含まれる成分としては、通常飲料に供される糖類、果汁、人工甘味料などの甘味料、pH調整剤(酸味料)、香料、ビタミン類、ミネラル類、薬効成分、ハーブ成分のほか、安定剤、増粘剤、酸化防止剤などが挙げられ、これら成分を配合することによって飲料としての嗜好性を適宜調整するとよい。
上記糖類としては、ブドウ糖、果糖、ガラクトース、異性果糖などの単糖類、ショ糖、乳糖、パラチノースなどの二糖類、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、パラチノースなどのオリゴ糖類や、例えば、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトールなどの単糖アルコール類、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトールなどの二糖アルコール類、マルトトリイトール、イソマルトトリイトール、パニトールなどの三糖アルコール類、オリゴ糖アルコールなどの四糖以上アルコール類、粉末還元麦芽糖水飴などの糖アルコールが挙げられることができ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記人工甘味料としては、例えば、ステビア、アスパラテーム、サッカリン、グルチルリチン、ソーマチン、スクラロースなどが挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記pH調整剤としては、特に制限はなく、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコン酸、L−酒石酸、リンゴ酸、乳酸、アジピン酸、コハク酸、酢酸及びこれらの誘導体を好ましく挙げることができ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。pH調整剤としては、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、乳酸及びこれらの誘導体であることがより好ましい。
上記香料としては、例えば天然香料及び合成香料などが挙げられる。上記天然香料としては、例えば草根、木皮、花、果実、果皮又はその他動植物を素材として常法に従って調整された香成分含有物などが挙げられる。上記天然香料は、天然素材を水蒸気蒸留法、圧搾法又は抽出法などによって処理して分離した精油なども含まれる。
上記合成香料としては、例えば、コーヒー由来香料、紅茶由来香料、緑茶由来香料、ウーロン茶由来香料、ココア由来香料、ハーブ由来香料、スパイス由来香料及びフルーツ由来香料などが挙げられる。
また、本発明の飲料の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、炭酸飲料であってもよいし、非炭酸飲料であってもよい。また、飲料は、果汁飲料、スポーツ飲料、水、茶飲料などであってもよい。また、飲料は、ノンアルコール飲料であってもよいし、アルコール飲料であってもよい。
<容器詰め飲料>
本発明の飲料の提供形態は特に限定されないが、容器内に詰められる容器詰め飲料であることが好ましい。本発明の飲料は、ルテインの安定性に優れていることから、容器に詰めて長期間保存しても、ルテインの残存率を高く保持できる。容器は、飲料に通常用いられるものであれば目的に応じて任意に選択することができ、PETボトルなどの透明容器、スチールやアルミなどの金属缶、紙パックなどの密閉容器が挙げられる。特に、後述するように、トランス体ルテインの含有割合を所望の値に調節する観点からは、容器は透明容器(半透明も含む)であることが好ましい。透明容器は、全体が透明であってもよいし、一部が透明であってもよい。
<容器詰め飲料の作製方法>
本発明の容器詰め飲料の作製方法は、ルテインを含む飲料に光を照射する工程を含んでもよい。ルテインを含む飲料に光照射する工程を含むことにより、飲料中のトランス体ルテインの含有割合を高め、ルテインの安定化を図ることが可能である。
ルテインは、上述したように光などの刺激によってシス体ルテインがトランス体ルテインに変位することが確認されている。よって、容器詰め飲料の作製工程で容器に供給する飲料自体は、必ずしも50質量%超でなくてもよい。飲料中のトランス体ルテインの含有割合が所望する割合より低い、例えば50質量%未満である場合には、飲料に光を照射することにより、飲料中の総ルテインにおけるトランス体ルテインの含有割合を高め、例えば50質量%超となるように調節するとよい。光を照射すると、ルテインが光により分解されるデメリットが予想されるが、光照射によりシス体ルテインをトランス体ルテインに変位させることによりルテイン自体の安定性が高まるメリットが、前述したデメリットを上回る。但し、過剰な光照射はルテインの分解が懸念される。よって、光照射は光照射される飲料のトランス体ルテインの含有割合が90質量%を超えない範囲で行うことが好ましく、80質量%を超えない範囲で行うことがより好ましい。また、光照射される飲料のトランス体ルテインの含有割合が低すぎると、やはり過剰な光照射が必要となり、光照射によるルテインの分解が懸念される。よって、光照射される飲料のトランス体ルテインの比率は、30質量%以上が好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。
上記光照射のタイミングは、飲料の調製過程で行われてもよいが、飲料が透明容器に容器詰めされる場合には、飲料の調製過程、飲料の容器詰め過程、容器詰めから出荷されるまでの過程、出荷後のいずれの過程であってもよい。いずれの過程でも、ルテインを含む飲料に光照射する工程を含むことにより、飲料中のトランス体ルテインの含有割合を高め、ルテインの安定化を図ることが可能である。
上記光照射は、光照射装置による光照射であってもよいし、飲料が透明容器に容器詰めされる場合は、通常の環境下において、昼光や照明に晒される形態であってもよい。光照射装置を用いる場合には、疑似太陽光を照射可能な光照射装置などを用いることができ、その強度、時間は、所望のトランス体ルテインの比率によって調整すればよい。
飲料のルテインの原料としては、ホウレンソウやケールなどの緑黄色野菜、果物、花(マリーゴールド)などの抽出物を使用してもよいし、市販の食品グレードのルテインを使用してもよい。飲料中のルテインのトランス体ルテインの含有割合は、光照射などの調節方法によって適宜調整することが可能である。
また、ルテインは、油溶性であるため、水系である飲料に含有させるに際しては、ルテインを乳化物にすることが好ましい。ルテインを乳化するに際しては、乳化剤、分散剤、又は前述したルテイン以外の成分を使用して、公知の方法により乳化物にすればよい。
ルテインを乳化する際の加熱条件により、トランス体ルテインの含有割合を調節することも可能である。加熱条件が厳しいと、トランス体ルテインからシス体ルテインに変位する場合がある。よって、原料のルテインのトランス体ルテインの含有割合や所望のトランス体ルテインの含有割合に応じて、適宜加熱条件を設定するとよい。
<容器詰め飲料の流通又は保存方法>
本発明の飲料は、総ルテインにおけるトランス体ルテインの含有割合が50質量%超であることから、光に対する安定性だけではなく熱安定性にも優れ、10℃超の常温下においてもルテインの残存率が高い。よって、本発明の容器詰め飲料の流通又は保存方法は、10℃超の常温、10℃以下のチルドなど特に限定されない。なお、10℃超の常温での流通又は保存方法は、全工程で10℃超の常温であっても、一部の工程で10℃超の常温であってもよい。本発明の容器詰め飲料の流通又は保存方法は、設備、コストなどの観点からは、10℃超の常温下が好ましい。
<ルテインの飲料中安定性を調節する方法>
本発明のルテインの飲料中安定性を調節する方法は、飲料に含まれる総ルテインにおけるトランス体ルテインの含有割合を調節することを特徴とする。上述したように、飲料中の総ルテインにおけるトランス体ルテインの含有割合を高めることにより、ルテインの飲料中安定性を向上させることができる。その結果、飲料中のルテインの経時的な減少を抑制することが可能となる。
シス体ルテインは光によってその一部がトランス体ルテインに変位する。よって、総ルテインにおけるトランス体ルテインの含有割合が所望の値よりも低い飲料に対しては、光を照射することにより、トランス体ルテインの含有割合を高めて、ルテインの飲料中安定性を向上させることができる。上述したように、光照射は、シス体ルテインがトランス体ルテインに変位しルテインの安定性が高まるメリットが、ルテインの一部が光照射により分解されるデメリットを上回る範囲内で行うことが好ましい。
光照射のタイミングは、上述したように、飲料の調製過程、飲料の容器詰め過程、容器詰めから出荷されるまでの過程、出荷後のいずれの過程であってもよい。光照射は、上述したように、光照射装置による光照射であってもよいし、飲料が透明容器に容器詰めされる場合には、通常の環境下において、昼光や照明に晒される形態であってもよい。光照射装置を用いる場合には、疑似太陽光を照射可能な光照射装置などを用いることができ、その強度、時間は、所望のトランス体ルテインの比率によって調整すればよい。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜6]
常法に従い、果糖ブドウ糖液糖5.5質量%、ビタミンC0.1質量%、ルテインを1.0質量%含有するルテイン製剤0.18質量%を水に溶解し、微量の健康素材(アミノ酸、カフェインなど)と人工甘味料を加え、酸味料(無水クエン酸)にてpH3.6となるように調合し、フラッシュ・パスツリゼーション殺菌装置(FP)(93℃で15秒間)により殺菌した。そして、ガス圧2.7vol前後となるように炭酸ガスを圧入させ、可溶性固形成分(Brix)が4.8%、無水クエン酸換算酸度が0.2g/100ml前後、トランス体ルテインの含有割合(以下、初期のトランス体比率という)が表1に示すとおりである炭酸飲料を得た。この炭酸飲料をPETボトル容器に容器詰めした。
可溶性固形分(Brix)は、デジタル屈折計RX−5000α(株式会社アタゴ製)を用いて20℃で測定したときの値(単位:%)である。
無水クエン酸換算酸度は、平沼自動滴定装置COM−1700(平沼産業株式会社製)を用い、JAS法に従い、サンプルを0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液でpH8.1まで滴定したときの滴定量から算出したときのサンプル100ml中の有機酸量である。
そして、4℃下で保管の各実施例の飲料を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により下記の条件にて分析し、トランス体ルテイン量、シス体ルテイン量、総ルテイン量(以下、初期の総ルテイン量という)を定量した。測定試料は、アスタキサンチン工業会のアスタキサンチン分析法に従い、前処理を行った。なお、フリー体のルテインを使用したため、酵素処理の工程は省いた。ルテインの抽出は、試料にアセトン、硫酸ナトリウム、石油エーテルを加えて行った。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の測定条件は、Analytical Biochemistry 381(2008)129‐134に従った。これにより、初期のトランス体比率[トランス体ルテイン量/初期の総ルテイン量(トランス体ルテイン量+シス体ルテイン量)]を算出した。
(HPLC測定条件)
装置名:株式会社島津製作所 超高速液体クロマトグラフ Nexera
カラム:YMC Carotenoid C30 内径4.6mm×長さ250mm、粒子径5μm
移動相A:
3.9mmol/L酢酸アンモニウム含有メタノール:MTBE:超純水=83:15:2溶液
移動相B:
2.6mmol/L酢酸アンモニウム含有メタノール:MTBE:超純水=8:90:2 溶液
試料注入量:10μl
流量:1.0mL/分
カラムオーブン温度:20℃
測定波長:443nm
リテンションタイム:トランス体のルテインを80℃2時間加温して得られたピークとする。例えば、トランス体のリテンションタイムは6.4分、シス体のリテンションタイムが4.7分、4.9分、5.8分、7.8分である。
[実施例7]
ルテイン製剤を0.225質量%使用した以外は、実施例1と同様の条件により飲料を得て、初期のトランス体比率が表1に示すとおりである飲料を得た。
[実施例8]
健康素材、人工甘味料を加えず、炭酸ガスの圧入を行わなかった以外は、実施例1と同様の条件により飲料を調合し、初期のトランス体比率が表1に示すとおりである飲料を得た。
[実施例9]
超高温瞬間殺菌装置(UHT)(124℃以上、30秒)により殺菌を行った以外は、実施例1と同様の条件により飲料を得て、初期のトランス体比率が表1に示すとおりである飲料を得た。
[実施例10]
アルミ缶に容器詰め(光及び酸素から遮断)した以外は、実施例1と同様の条件により飲料を得て、初期のトランス体比率が表1に示すとおりである飲料を得た。
[実施例11]
実施例1と同様の方法で得られた飲料(トランス体比率70.2%)に光照射装置(装置名:LST−300、東京理化器械社製)により疑似太陽光を照射し、表1に示すように、初期のトランス体比率を87.7%に調節した飲料を得た。
実施例1〜11で得られた飲料を遮光下、37℃で2週間放置した後、上述したHPLC測定条件で総ルテイン量(以下、残存ルテイン量という)を定量し、ルテインの残存率(残存ルテイン量/初期の総ルテイン量)を算出した。その結果を表1と図1に示す。
Figure 0006077159
図1の結果から明らかなように、実施例1〜8では、ルテインの残存率と、初期のトランス体比率は、高い相関性(相関係数:0.826)を示すことが確認された。これにより、飲料中のトランス体比率を調節することにより、ルテインの飲料中安定性を高めることが可能であることがわかる。また、実施例1〜11のように、トランス体比率が調整された飲料は、37℃で2週間という高温環境下においてもルテインの残存率が高く、熱安定性に優れることがわかる。
実施例9より、トランス体ルテインの含有割合が高ければ、UHTという超高温条件にさらされても、優れるルテイン安定性を提供できることがわかる。
実施例10より、トランス体ルテインの含有割合が高ければ、容器の性質にかかわらず、優れるルテイン安定性を提供できることがわかる。ただし、実施例1等の透明容器におけるルテイン残存率の方が高いことは、意外な効果といえる。
実施例11より、光を照射すると、シス体ルテインをトランス体ルテインに変位させることができ、それによってルテイン自体の安定性が高まるメリットが、ルテインが光により分解されるデメリットを上回ることがわかる。

Claims (4)

  1. 総ルテインにおけるトランス体ルテインの含有割合が50質量%超である飲料の作製方法であって、総ルテインにおけるトランス体ルテインの含有割合が30質量%以上であるルテインを含む飲料に光を照射する工程を含む飲料の作製方法。
  2. 総ルテインの含有量が飲料に対して10ppm以上である請求項1記載の飲料の作製方法。
  3. 飲料に含まれる総ルテインにおけるトランス体ルテインの含有割合を高める調節することで、ルテインの飲料中安定性を調節する方法であって、該調節は、総ルテインにおけるトランス体ルテインの含有割合が30質量%以上であるルテインを含む飲料に光を照射する工程を含むルテインの飲料中安定性を調節する方法。
  4. 前記飲料は、透明容器に詰められるものである請求項1〜3何れかに記載の方法。
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