JP2011182683A - 容器詰炭酸飲料及び容器詰炭酸飲料における刺激性酸味抑制方法 - Google Patents

容器詰炭酸飲料及び容器詰炭酸飲料における刺激性酸味抑制方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ビタミンCや酸味料などのように飲料に酸味を与える酸度付与剤を含有する炭酸飲料において、刺激性酸味を抑制でき、カロリーを高めることなくボディ感を高めることができる、新たな容器詰炭酸飲料を提供する。
【解決手段】クエン酸換算量での酸度が0.02〜0.75質量%である容器詰炭酸飲料において、カテキン類を3mg/100g以上29mg/100g未満の割合で含有することを特徴とする容器詰炭酸飲料を提案する。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸味を呈する容器詰炭酸飲料に関し、特に刺激性のある酸味を抑制することができる容器詰炭酸飲料に関する。
炭酸飲料は、炭酸ガスの刺激によって飲んだ時に清涼感を得ることができる清涼飲料であるが、従来の炭酸飲料は刺激が強過ぎると感じる人もいたため、炭酸飲料の刺激を抑制する方法が提案されている。
例えば特許文献1や特許文献2などには、サポニンを配合することで、炭酸飲料の刺激を緩和する方法が提案されている。
また、特許文献3には、刺激性、クリーミー性、コク味などの味質を改善した炭酸飲料の製造方法として、炭酸飲料中にDE6〜30の澱粉分解物を0.5〜5質量%添加する方法が開示されている。
他方、特許文献4には、カテキン類を高濃度に含有する発泡性容器詰飲料として、茶抽出物の精製物を配合し、(A)非重合体カテキン類を0.08〜0.5質量%、(B)甘味料を0.0001〜20質量%、及び(C)炭酸ガスを含有し、ガス容積が0.5容積%から4.0容積%であり、(D)非重合体カテキン類の非エピ体率が5〜25質量%、(E)非重合体カテキン類中の(E)ガレート体類の比率([(E)/(A)]×100)が5〜55質量%、(F)pHが2.5〜5.1である発泡性容器詰飲料が開示されている。
また、特許文献5には、カテキン類を含有する容器詰炭酸飲料として、(A)非重合体カテキン類0.005〜1.0質量%、(B)プロアントシアニジン0.001〜0.7質量%及び(C)炭酸ガス0〜1.0質量%を含有し、(D)非重合体カテキン類/総ポリフェノールの質量比が0.4〜0.95である容器詰飲料が開示されている。
特開平60−126065号公報 特開平5ー38275号公報 特開2002−330735号公報 特開2008−29321号公報 特開2009−247215号公報
ところで、炭酸飲料は、食品衛生法上、pHを4.0未満に調整する必要があり、pH調整剤としてビタミンCや果実酸などの酸性物質が添加されることが多いため、酸味を有する炭酸飲料がほとんどである。
しかし、炭酸の刺激によって酸味が強調されるため、このような刺激を伴った酸味(「刺激性酸味」と称する)が苦手である一方、炭酸飲料はボディ感が足りないと感じる人もいた。
その際、食物繊維や糖質いわゆる炭水化物を添加すれば、ボディ感は上がるものの、カロリーも上がってしまう。
そこで本発明は、ビタミンCや酸味料などのように飲料に酸味を与える酸度付与剤を含有する炭酸飲料において、刺激性酸味を抑制することができると共に、カロリーを高めることなくボディ感を高めることができる、新たな容器詰炭酸飲料を提供せんとするものである。
本発明は、クエン酸換算量での酸度が0.02〜0.75質量%である容器詰炭酸飲料において、カフェイン含有量が19.8mg/100g未満であり、且つ、カテキン類を3mg/100g以上29mg/100g未満の割合で含有することを特徴とする容器詰炭酸飲料を提案する。
ビタミンCや酸味料などのような酸度付与剤を含有する炭酸飲料では、刺激を伴った酸味(刺激性酸味)を強く感じることが通常であるが、本発明のように、所定量のカテキン類を添加することで、刺激性酸味を抑えることができ、しかもカロリーを増やさずにボディ感を高めることができることが分かった。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明が下記実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る容器詰炭酸飲料(以下「本炭酸飲料」と称する)は、酸度付与剤、炭酸ガスおよびカテキン類を含有する容器詰炭酸飲料である。
(酸度付与剤)
酸度付与剤とは、ビタミンCや酸味料などのように、pHを低下することができ、且つ飲料に酸味を与える物質である。
酸味料としては、例えばクエン酸、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸及びそれらの塩類から選ばれる1種を単独で使用することもできるし、また、2種類以上を併用することもできる。中でも、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、アジピン酸などが好ましい。
酸度付与剤の配合量は、その種類や目的とする酸度によって適宜調整するのが好ましい。目安としては、本炭酸飲料中に0.02〜2.10質量%含有されるのが好ましい。2.10質量%を超える濃度では、酸味が強過ぎ、他の風味を感じにくくなり、味のバランスが悪くなる。0.02未満であれば酸味が足らず十分な爽快さが得られなくなる。よって、かかる観点から、0.02〜2.10質量%、特に0.04〜2.10質量%、中でも特に0.1〜1.40質量%であるのがさらに好ましい。
(炭酸ガス)
炭酸ガスは、二酸化炭素のみからなるガスであっても、二酸化炭素と他のガス、例えば酸素、水素、窒素等との2種類以上の混合ガスであってもよい。
本炭酸飲料中の炭酸ガスの量は、適宜調整可能であるが、飲料中に溶解している二酸化炭素量として、0.2〜0.9質量%であるのが好ましい。0.9質量%以上であれば炭酸気泡による刺激が強くなりすぎ、且つ容器詰め飲料では、開栓時に泡立ちとともに吹きこぼれやすくなり、0.2質量%以下であれば炭酸飲料独特の気泡からくる刺激感を感じにくくなり、炭酸飲料としての価値が乏しい。よって、かかる観点から、0.2〜0.9質量%、特に0.3〜0.8質量%、中でも特に0.4〜0.7質量%であるのがさらに好ましい。
(カテキン類)
カテキン類は、フラバン−3−オ−ル骨格を有する化合物であり、(−)−エピガロカテキンガレ−ト(EGCg)、(−)−エピカテキンガレ−ト(ECg)、(−)−エピガロカテキン(EGC)、(−)−エピカテキン(EC)、(−)−ガロカテキンガレ−ト(GCg)、(−)−カテキンガレ−ト(Cg)、(±)−ガロカテキン(GC)及び(±)−カテキン(C)の8種のカテキンの存在が知られている。
本発明において、カテキン類の量とは、これら8種のカテキンの総量を意味する。
本炭酸飲料においては、刺激性酸味の抑制とボディ感増強の観点から、カテキン類を3mg/100g(飲料100g当たりの含有量である。他も同様)以上29mg/100g未満の割合で含有するのが好ましく、中でも3mg/100g以上20mg/100g未満、特に3mg/100g以上9.6mg/100g未満の割合で含有するのが好ましい。
また、同じく刺激性酸味の抑制とボディ感増強という観点から、炭酸ガス量に対するカテキン類の含有量の比率(カテキン類×1000/炭酸ガス)を、3以上、65未満とするのが好ましい。この際、カテキン類の含有量が炭酸ガスに対して3以上であれば、刺激性酸味を効果的に抑制することができ、他方、65未満であれば、カテキン類の渋みを抑えて飲み易い飲料とすることができる。
かかる観点から、炭酸ガス量に対するカテキン類の含有量の比率(カテキン類×1000/炭酸ガス)を、3以上、65未満とするのが好ましく、中でも6以上、65未満、特に6以上、42未満とするのがさらに好ましい。
中でも、炭酸ガス量に対するEGCgの含有量の比率(EGCg×1000/炭酸ガス)を、3以上、50未満とするのが好ましく、特に5以上、50未満、中でも特に5以上、33未満とするのがさらに好ましい。
このようなカテキン類は、分離精製されたカテキン類或いはEGCgをそれぞれ飲料に配合してもよいが、茶抽出物或いはその濃縮物、或いはその精製物(これらをまとめて「カテキン組成物」と称する)として飲料に配合することもできる。
なお、茶抽出物は、不発酵茶、半発酵茶及び発酵茶のいずれから得られる抽出物であってもよい。このような茶抽出物を濃縮することにより、カテキン濃度の高い茶抽出物濃縮物を得ることができる。さらに、茶抽出物や茶抽出物濃縮物を、溶媒抽出やクロマトグラフィーにかけることにより、カテキン精製組成物を得ることができる。
市販のカテキン組成物を用いることもできる。例えば、テアフラン30A(伊藤園社製)は、緑茶を熱水抽出処理し、この抽出物を乾燥させてカテキン濃度を30%とした緑茶抽出物であり、テアフラン90S(伊藤園社製)は、緑茶を熱水抽出処理して得た抽出物を、水と低・高濃度アルコールを使って吸着カラムにて分離し乾燥させ、茶ポリフェノール濃度を85〜99.5%とした緑茶抽出物である。
その他、市販のカテキン組成物として、例えばテアフラン30E、テアフランW(いずれも(株)伊藤園製)、サンフェノン(太陽化学(株))ポリフェノン70A、ポリフェノンE(三井農林(株))、テアカロン90S((株)常盤植物化学研究所)、CTP−95(シティメックス社)、グリーンセレクト(インディナ社)、ティーフレッシュ80S(日本葉緑素(株))、TEAVIGO(DMS社)等を用いることができる。
カテキン類はその種類によって味の傾向が異なっており、(−)−エピガロカテキンガレ−ト(EGCg)や(−)−エピカテキンガレ−ト(ECg)などのガレートタイプのエステル型カテキン類は強い苦渋味を有していることが知られている(社団法人静岡県茶業会議所「新茶業全書」p476〜477(昭和63年10月1日))。
本発明では、このような強い苦渋味を有するガレートタイプのエステル型カテキン、特にEGCgに、炭酸ガスと酸度付与剤とによって生じる刺激性酸味を効果的に抑制できる効果があることを新たに見出したものである。
よって、本炭酸飲料に添加するカテキン類としては、強い苦渋味を有しているガレートタイプのエステル型カテキン類を全カテキン類の40質量%以上(EGCg30質量%以上)、特に90質量%以上(EGCg60質量%以上)含有するカテキン組成物を使用するのが好ましい。
なお、EGCgは、pH5〜7領域下での加熱、特に90度以上での長時間加熱によって熱異性化するため、このような条件下で抽出〜濃縮・精製されたカテキン組成物ではないカテキン組成物を使用するのが好ましい。
(カフェイン)
カフェインは、飲料に苦味を付与し、他の成分とのバランスにより重要な味構成成分にもなりうるが、炭酸飲料の爽快さを得るためには、強い苦味の付与は避けるべきで、その量が多くなり過ぎないことが好ましい。
かかる観点から、カフェイン含有量(飲料100g当たりの含有量)は19.8mg/100g未満であることが重要であり、4mg/100g未満、特に2mg/100g未満、中でも1mg/100g未満、さらにその中でも0.1mg/100g未満であるのが好ましく、もちろん実質ゼロであってもよい。なお、実質ゼロとは、HPLC法で測定した際に、測定限界未満となることを意味するものである。
なお、カテキン組成物などにはカフェインが若干含まれることがあるため、カフェインを配合する意図はなくても、0.1mg/100g以上、場合によっては1mg/100g以上含有される場合もあり得る。
さらに、カテキン類、中でもEGCGとともにカフェインがある一定濃度で存在すると、EGCG由来の苦渋味を増強するため、EGCGとカフェインの量と比率を管理して、炭酸飲料を製造することが好ましい。
かかる観点から、(−)−エピガロカテキンガレ−ト(EGCg)の含有量に対するカフェイン含有量の比率を1.7未満とするのが好ましい。1.7未満であれば、EGCGの苦渋味に対する増強効果が強く出ることなく飲み易くなる。
よって、EGCgの含有量に対するカフェイン含有量を1.7未満、中でも0.9未満、中でも特に0.5未満、その中でも特に0.134未満とするのがより一層好ましい。
(その他成分)
その他、水、精製水、生理食塩水のほか、現在公知の飲料に含まれる材料(成分)に含まれる材料(成分)を配合することが可能である。
例えば糖類、甘味料、香料、ミネラル分、ビタミン類、色素成分、栄養成分、機能性成分などを挙げることができる。
糖類としては、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、還元麦芽糖などを挙げることができる。
甘味料としては、例えば砂糖、異性化糖、フラクトース、グルコース、キシリトール、ステビア抽出物、パラチノース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ステビア、サッカリン、サッカリンナトリウムなどを挙げることができる。シュガーレスバルク甘味料、バルク砂糖甘味料、高甘味度甘味料などを含んでいてもよい。また、ソルビトールなどの糖アルコールを用いることもできる。
香料としては、柑橘その他果実から抽出した香料、果汁または果実ビューレ、植物の種実、根茎、木皮、葉等またはこれらの抽出物、乳または乳製品、合成香料などを挙げることができる。
ビタミン類としては、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンD及びビタミンBなどを挙げることができる。
ミネラル分としては、カルシウム、クロム、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、セレン、ケイ素、モリブデン及び亜鉛等を挙げることができる。
色素成分としては、例えばクロレラ、葉緑素などを挙げることができる。
栄養成分としては、例えばL−アスコルビン酸やそのナトリウム塩などを挙げることができる。
機能性成分としては、例えばコラーゲン、鮫軟骨、牡蛎エキス、キトサン、プロポリス、オクタコサノール、トコフェロール、カロチン、ポリフェノール、梅エキス、アロエ、乳酸菌、霊芝、アガリクスなどを挙げることができる。
その他、各種エステル類、乳化剤、保存料、調味料、ガム、油、アミノ酸、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤等の成分を単独又は併用して配合することもできる。
(酸度)
本炭酸飲料の酸度は、クエン酸換算量として0.02〜0.75質量%であるのが好ましく、特に0.04〜0.5質量%、その中でも0.1〜0.5質量%であるのがより好ましい。
本炭酸飲料の酸度は、酸度付与剤の種類と配合量を調整することによって調整可能である。
なお、本炭酸飲料の酸度は、脱ガスした状態で測定した場合の酸度である。
(pH)
本炭酸飲料のpH(25℃)は、2〜6が好ましく、特にpH4未満であるのが好ましい。
(容器)
本炭酸飲料を充填する容器は、例えばプラスチック製ボトル(ポリエチレンテレフタレートを主成分とするPETボトルなど)、金属缶、紙パック、瓶等を挙げることができるが、炭酸飲料を含む気泡ガス含有飲料のガス圧を考慮すると、プラスチック製ボトル、金属缶、瓶などの非紙製容器であるのが特に好ましい。
(製法)
本発明の飲料の製造方法は、飲料の酸度及びカテキン類、カフェイン含有量を本発明の規定範囲内に調整することが重要であるが、それ以外は通常の炭酸飲料の製造方法で製造することができる。すなわち、クエン酸換算量での酸度が0.02〜0.75質量%である容器詰炭酸飲料において、カフェイン含有量を19.8mg/100g未満に調整し、且つ、カテキン類含有量を3mg/100g以上29mg/100g未満の割合に調整することが重要であり、それ以外は通常の炭酸飲料の製造方法で製造することができる。
例えば、飲用適の水に、ビタミンC等の酸度付与剤、カテキン組成物、その他必要に応じて甘味料、フレーバリング等を調製・調合し、必要に応じて加熱殺菌をしてから冷却した後、炭酸ガスをガス封入(カーボネーション)し、容器に充填し、殺菌する工程により製造することができる。
なお、炭酸飲料の製法には、プレミックス法とポストミックス法とがあるが、いずれを採用してもよい。
<容器詰炭酸飲料における刺激性酸味抑制方法>
本発明はまた、容器詰炭酸飲料における刺激性酸味の抑制方法として、クエン酸換算量での酸度が0.02〜0.75質量%である容器詰炭酸飲料において、カフェイン含有量(飲料100g当たりの含有量)を19.8mg/100g未満とし、且つカテキン類を3mg/100g以上29mg/100g未満の割合(飲料100g当たりの含有量)で配合することによって刺激性酸味を抑制することを特徴とする、容器詰炭酸飲料における刺激性酸味の抑制方法を提案する。
刺激性酸味の抑制とボディ感増強の観点から、カテキン類を3mg/100g以上29mg/100g未満の割合(飲料100g当たりの含有量)で含有するのが好ましく、特に3mg/100g以上20mg/100g未満、特に3mg/100g以上9.6mg/100g未満の割合で含有するのが好ましい。
また、同じく刺激性酸味の抑制とボディ感増強という観点から、炭酸ガス量に対するカテキン類の含有量の比率(カテキン類×1000/炭酸ガス)を、3以上、65未満とするのが好ましい。この際、カテキン類の含有量が炭酸ガスに対して3以上であれば、刺激性酸味を効果的に抑制することができ、他方、65未満であれば、カテキン類の渋みを抑えて飲み易い飲料とすることができる。
かかる観点から、炭酸ガス量に対するカテキン類の含有量の比率(カテキン類×1000/炭酸ガス)を、3以上、65未満とするのが好ましく、中でも6以上、65未満、特に6以上、42未満とするのがさらに好ましい。
中でも、炭酸ガス量に対するEGCgの含有量の比率(EGCg×1000/炭酸ガス)を、3以上、50未満とするのが好ましく、特に5以上、50未満、中でも特に5以上、33未満とするのがさらに好ましい。
<刺激性酸味抑制剤>
本発明はまた、カテキン類、特に(−)−エピガロカテキンガレ−ト(EGCg)を有効成分とする刺激性酸味抑制剤(「本刺激性酸味抑制剤」と称する)、特に炭酸飲料の刺激性酸味抑制剤を提供することができる。
また、本刺激性酸味抑制剤を炭酸飲料或いはその他の飲料に配合することにより、刺激性酸味を抑制した飲料を提供することができる。
上述のように、強い苦渋味を有するガレートタイプのエステル型カテキン類、特にEGCgに、炭酸ガスと酸度付与剤とによって生じる刺激性酸味を効果的に抑制できる効果があることが見出されている。
よって、本刺激性酸味抑制剤を調製する際は、強い苦渋味を有しているガレートタイプのエステル型カテキン類を全カテキン類の40質量%以上(EGCg30質量%以上)、特に90質量%以上(EGCg60質量%以上)含有するカテキン組成物を配合するのが好ましい。
本刺激性酸味抑制剤は、上述のカテキン組成物をそのまま単独で刺激性酸味抑制剤として利用することもできるが、該カテキン組成物に賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤化剤、崩壊剤、表面活性剤、潤滑剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤などを用いて常法により製剤化することもできる。
例えば乳糖、果糖、ブドウ糖、でん粉、ゼラチン、炭酸マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、シロップ、ワセリン、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、クエン酸、塩化ナトリウム、亜硫酸ソーダ、リン酸ナトリウムなどの無毒性の添加剤を配合することも可能である。
本刺激性酸味抑制剤を炭酸飲料に配合する際は、刺激性酸味の抑制とボディ感増強の観点から、カテキン類を3mg/100g以上29mg/100g未満の割合(飲料100g当たりの含有量)で含有するように配合するのが好ましく、特に3mg/100g以上20mg/100g未満、特に3mg/100g以上9.6mg/100g未満の割合で含有するように配合するのが好ましい。
また、同じく刺激性酸味の抑制とボディ感増強という観点から、炭酸ガス量に対するカテキン類の含有量の比率(カテキン類×1000/炭酸ガス)を、3以上、65未満とするのが好ましい。この際、カテキン類の含有量が炭酸ガスに対して3以上であれば、刺激性酸味を効果的に抑制することができ、他方、65未満であれば、カテキン類の渋みを抑えて飲み易い飲料とすることができる。
かかる観点から、炭酸ガス量に対するカテキン類の含有量の比率(カテキン類×1000/炭酸ガス)を、3以上、65未満とするのが好ましく、中でも6以上、65未満、特に6以上、42未満とするのがさらに好ましい。
中でも、炭酸ガス量に対するEGCgの含有量の比率(EGCg×1000/炭酸ガス)を、3以上、50未満とするのが好ましく、特に5以上、50未満、中でも特に5以上、33未満とするのがさらに好ましい。
(用語の説明)
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
また、「X以上」或いは「Y以下」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
次に、試験例に基づいて本発明について更に説明するが、本発明が以下に示す実施例に限定されるものではない。
<サンプルの作製>
表2に示すように、酸度付与剤としてのクエン酸、アスコルビン酸(ビタミンC)と、アスコルビン酸ナトリウム(ビタミンCNa)及びカフェイン製剤(白鳥製薬(株)製「茶の素」)と共に、果糖ぶどう糖液糖(Brix75〜76、日本食品化工(株)製)5.5質量%、アセスルファムK(キリン協和フーズ(株)製)0.022質量%を、常温(20℃)の純水に添加溶解する一方、テアフラン90S((株)伊藤園製、表1の組成、「TF90S」)を50℃の温純水にて溶解後添加し、これらの溶液を混合して最終規定量の1/5量のカテキン類含有シロップ液を作り、98℃約5秒の殺菌を行い、その後5℃まで冷却した。
得られたカテキン類含有シロップ液に対して、無菌水或いは無添加炭酸水と無菌水によって規定量にメスアップし、洗浄殺菌済みのPETボトルに充填した。その後、コールドスポットで65℃10分が確保できる後殺菌を行い、容器詰炭酸飲料(サンプル)を得た。
なお、表2に示すように、カフェイン含有量が1.0mg/100g以上を示すサンプルのみ、カフェイン製剤(白鳥製薬(株)製、カフェイン濃度98.5質量%以上)を添加している。
また、表2に示す炭酸ガス含有量(g/100g)は、炭酸ガスボリューム(l/l)=1.9768g/Lとして換算した。(社団法人全国清涼飲料工業会「最新ソフトドリンクス」参考資料p1050(平成15年9月30日)
Figure 2011182683
(酸度の測定方法)
容器詰炭酸飲料の飲料(サンプル)から二酸化炭素を完全に脱気した後、飲料(サンプル)を、フェノールフタレイン指示薬を用いて水酸化ナトリウムで滴定し、クエン酸の相当量として算出した(JAS法に基づく検査方法)。
(炭酸ガス量の測定方法)
JAS法に基づく検査方法に準拠し、容器詰炭酸飲料(サンプル)を高温水槽に30分以上入れて20℃に調整した後、容器詰炭酸飲料(サンプル)を静かに取り出し、ガス内圧計を取り付けて針先で、キャップを穿孔し、一度活栓を開いてガス抜き(以下『スニフト』という。)し、直ちに活栓を閉じてから激しく振とうし、ゲージの指針が一定の位置に達したときの値(MPa)を読み取り記録した。
スニフトした後ガス内圧計を取り外し、開栓して温度計で液温を測定し記録した。測定して得たガス内圧力と液温を炭酸ガス吸収係数表に当てはめ、必要なガス内圧力の温度補正を行い炭酸ガスボリュームを導いた。
炭酸ガス含有量(g/100g)は、炭酸ガスボリューム(l/l)=1.9768g/Lより換算した。(社団法人全国清涼飲料工業会「最新ソフトドリンクス」参考資料p1050(平成15年9月30日)
(カテキン類の測定方法)
Gotoらの方法(T.Goto,Y.yoshida,M.kiso and H.Nagashima,Journal of chromatography A,749(1996)295-299)に準拠し、HPLC法によりカテキン類の定量を行った。
(カフェインの測定方法)
Gotoらの方法(T.Goto,Y.yoshida,M.kiso and H.Nagashima,Journal of chromatography A,749(1996)295-299)に準拠し、HPLC法によりカフェインの定量を行った。
Figure 2011182683
(官能評価)
7名のパネラーがそれぞれサンプル50gを試飲し、刺激性酸味、味の厚み(ボディ感)、苦渋味、総合評価について、次の表3に示す基準で5段階の点数評価し、最も多かった点数評価を表4に示した。
なお、本炭酸飲料における「ボディ感」とは、味の厚みを指し、具体的には、口に含んだ後の味の立ち上がりが速く、味強度があり、香味や刺激感との一体感がある状態を指す。
Figure 2011182683
Figure 2011182683
(考察)
酸度付与剤を含有し、酸度が0.02〜0.75質量%である容器詰炭酸飲料において、カテキン類を一定の割合で添加することで、刺激性酸味を抑えることができ、且つボディ感を高めることができることが確認された。
かかる観点から、本炭酸飲料においては、カテキン類を3mg/100g以上29mg/100g未満の割合で含有するのが好ましく、特に3mg/100g以上20mg/100g未満、特に3.0mg/100g以上9.6mg/100g未満の割合で含有するのが好ましいことが分かった。
炭酸ガス量に対するカテキン類の含有量の比率(カテキン類×1000/炭酸ガス)の観点からは、3以上、65未満とするのが好ましく、中でも6以上、65未満、特に6以上、42未満とするのがさらに好ましいことが分かった。
炭酸ガス量に対するEGCgの含有量の比率(EGCg×1000/炭酸ガス)の観点からは、3以上、50未満とするのが好ましく、特に5以上、50未満、中でも特に5以上、33未満とするのがさらに好ましいことが分かった。
また、カテキン類、特にEGCGと共にカフェインがある一定濃度以上で存在すると、EGCG由来の苦渋味を増強する傾向が認められた。
かかる観点から、EGCgの含有量に対するカフェイン含有量の比率を1.7未満とするのが好ましく、中でも0.9未満、中でも特に0.5未満、その中でも特に0.134未満とするのがより一層好ましいことが分かった。

Claims (9)

  1. クエン酸換算量での酸度が0.02〜0.75質量%である容器詰炭酸飲料において、カフェイン含有量が19.8mg/100g未満であり、且つ、カテキン類を3mg/100g以上29mg/100g未満の割合で含有することを特徴とする容器詰炭酸飲料。
  2. 炭酸ガス量に対するカテキン類の含有量の比率(カテキン類×1000/炭酸ガス)が、3以上65未満であることを特徴とする請求項1に記載の容器詰炭酸飲料。
  3. 炭酸ガス量に対する(−)−エピガロカテキンガレ−ト(EGCg)の含有量の比率(EGCg×1000/炭酸ガス)が、3以上50未満であることを特徴とする請求項1に記載の容器詰炭酸飲料。
  4. (−)−エピガロカテキンガレ−ト(EGCg)の含有量に対するカフェイン含有量の比率が1.7未満であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の容器詰炭酸飲料。
  5. クエン酸換算量での酸度が0.02〜0.75質量%である容器詰炭酸飲料において、カフェイン含有量を19.8mg/100g未満に調整し、且つ、カテキン類含有量を3mg/100g以上29mg/100g未満の割合に調整することを特徴とする容器詰炭酸飲料の製造方法。
  6. クエン酸換算量での酸度が0.02〜0.75質量%である容器詰炭酸飲料において、カフェイン含有量を19.8mg/100g未満とし、且つカテキン類を3mg/100g以上29mg/100g未満の割合で配合することによって刺激性酸味を抑制することを特徴とする、容器詰炭酸飲料における刺激性酸味の抑制方法。
  7. カテキン類を有効成分とする刺激性酸味抑制剤。
  8. (−)−エピガロカテキンガレ−ト(EGCg)を有効成分とする刺激性酸味抑制剤。
  9. 請求項7又は8に記載の刺激性酸味抑制剤を配合した飲食物。
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