JP5065845B2 - 液体吐出ヘッド、液体吐出装置、画像形成装置 - Google Patents

液体吐出ヘッド、液体吐出装置、画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は液体吐出ヘッド、液体吐出装置、画像形成装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば、記録液(液体)の液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)で構成した記録ヘッドを含む液体吐出装置を用いて、媒体(以下「用紙」ともいうが材質を限定するものではなく、また、被記録媒体、記録媒体、転写材、記録紙なども同義で使用する。)を搬送しながら、液体としての記録液(以下、インクともいう。)を用紙に付着させて画像形成(記録、印刷、印写、印字も同義語で用いる。)を行なうものがある。
なお、画像形成装置は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与することをも意味する。また、液体とは記録液、インクに限るものではなく、画像形成を行うことができる液体であれば特に限定されるものではない。また、液体吐出装置とは、液体吐出ヘッドから液体を吐出する装置を意味し、画像を形成するものに限らない。
このような液体吐出装置ないし画像形成装置は、捺染装置や金属配線などの産業用システムにまで利用されるようになってきている。近年、より高品位な画像を、より速い印刷速度で出力できることが求められるようになっている。前者の要求に対してノズルの数、密度共に増加する傾向にある。それに伴い、各加圧液室間隔は狭まっている。また、エネルギー印加の周波数も高くなる傾向にある。後者の要求に対しては、記録ヘッドの長尺化が試みられており、最近記録媒体の幅全領域を覆うことのできる、いわゆるライン型ヘッドの実用化が進められている。
また、液体吐出ヘッドとしては、液滴を吐出するノズル、ノズルが連通する個別液室(加圧液室、吐出室、圧力室、液体流路などとも称される。)、圧力室内の液体を加圧する圧力(エネルギー)を発生する圧力発生手段(エネルギー発生手段)と、各圧力室に液体を供給する比較的容積の大きな共通液室とを備えて、圧力発生手段で発生させる圧力で圧力室内の液体を加圧することによってノズルから液滴を吐出させる。ここで、圧力発生手段としては、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマル方式、圧電素子(本願では電気機械変換素子と同義語として用いる。)などを用いる圧電方式、静電力を発生する静電型アクチュエータを用いる静電方式などが知られている。
ところで、上述したように、より高品位な画像を出力するためにエネルギー印加の周波数を高くするには、圧力室の共振周期を短くし、周波数の応答性を高めなければならない。この液室の共振周期を短くするには、液室の体積を小さくすることが最も簡単な方法である。しかしながら、圧力室の体積を小さくすると、一回に吐出させられる液体の体積が小さくなる。そのため、記録媒体上に抜けなく液滴を着弾させるためには、ノズルの密度を高くしたり、シリアル型画像形成装置では走査の回数を増やしたりしなければならない。これでは、ヘッドの製作が困難になり、あるいは、走査回数を増加することによる印刷速度の低下を招くことになる。
そこで、圧力室の共振周期は圧力室を構成する部材のコンプライアンスに反比例することから、例えば特許文献1、2には圧力室を構成する部材の剛性を上げることで液室の共振周期を短くすることが記載されている。
特許第3687481号公報 特開2001-293865号公報
また、特許文献3には、圧力室を構成する部材の構造コンプライアンスを圧力室内の記録材(液体)の圧縮性コンプライアンスよりも小さくすることで圧力室を構成する部材、特に振動板の製造上のバラツキによる特性のバラツキを防ぐことができると記載されている。
特開2002-347249号公報
特許文献4には、圧力室の壁面を形成する振動板を三層構造として選択的に剛性の高い部分と低い部分を設けることが記載されている。
特開2003−266683号公報
その他、特許文献5には静電型ヘッドにおいて使用インクのコンプライアンスC1(C1=ψ・V、但し、ψ:インクの圧縮率V:インク圧力室の体積)と振動板のコンプライアンスC2の比C2/C1を、5.4から10までの範囲内の値とすることが記載されている。
特開2002−205392号公報
特許文献6には同じく静電型ヘッドにおいて任意の一つのインクノズルのみからインク液滴を吐出させた時の振動板が個別電極に吸着された際のインク圧力室のコンプライアンスと、複数の全てのインクノズルからインク液滴を吐出させた時の振動板が個別電極に吸着された際のインク圧力室のコンプライアンスとの比が1.1以下とすることが記載されている。
特開2002−301819号公報
特許文献7には圧力室の一壁面を形成し、薄肉部によって囲まれた島状突起部を有する振動板について島状突起部の長手方向の端部近傍の薄肉部の厚みが他の薄肉部の厚みよりも厚く形成されているものが記載されている。
特開平07−156387号公報
特許文献8には振動板の圧電素子との接合部分の厚みを他の部分よりも厚くすることが記載されている。
特開2004−074806号公報
しかしながら、特許文献1、2のように圧力室自体の剛性を上げる場合、圧力室は剛性の高い、SiやSUS、Ni等の金属部材で形成することができるものの、圧力室の一壁面を形成する振動板については、エネルギー発生手段のエネルギーを圧力室に伝達するエネルギー伝達領域では剛性を低くしなければならないことから、圧力室全体の剛性を高くすることはできないという課題がある。
一方、特許文献3のように圧力室全体に剛性を低くしてしまうと、圧力室のコンプライアンスが大きくなる。そのため、上述した特許文献4のように三層からなる振動板で選択的に剛性の高い部分と低い部分を設けることも考えられるが、振動板のレイアウトや製作方法に大きな制約を受けることとなるという課題がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、より簡単な構成で圧力室の共振周期を短くして高周波での液滴吐出を可能にした液体吐出ヘッド、この液体吐出ヘッドを備えることでより高速、高密度の画像形成が可能な液体吐出装置、画像形成装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液滴を吐出するノズルと、ノズルが連通する圧力室と、前記圧力室内の液体を加圧するエネルギーを発生するエネルギー発生手段と、前記圧力室の壁面を形成し、前記エネルギー発生手段で発生するエネルギーを前記圧力室に伝達するエネルギー伝達領域を有する振動板部材と、複数の圧力室に液体を供給する共通液室と備える液体吐出ヘッドにおいて、
前記振動板部材は、前記共通液室と前記エネルギー伝達領域との間に、前記圧力室内の液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域を有する
構成とした。
ここで、液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域の液体の流れ方向の長さは、液体の流れ方向と直交する方向の長さの半分以上の長さを有する構成とすることが好ましく、更には、液体の流れ方向と直交する方向の長さ以上の長さを有する構成とすることが好ましい。また、液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域は、共通液室と圧力室との間に設けられた圧力室よりも流体抵抗の高い領域とエネルギー伝達領域との間に設けられている構成とすることもできる。
本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液滴を吐出するノズルと、ノズルが連通する圧力室と、前記圧力室内の液体を加圧するエネルギーを発生するエネルギー発生手段と、前記圧力室の壁面を形成し、前記エネルギー発生手段で発生するエネルギーを前記圧力室に伝達するエネルギー伝達領域を有する振動板部材と、複数の圧力室に液体を供給する共通液室と備える液体吐出ヘッドにおいて、
前記共通液室と前記エネルギー伝達領域との間の前記振動板部材の領域に対向する前記圧力室の壁面に、前記圧力室内の液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域を有する
構成とした。
本発明に係る液体吐出装置は、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えたものである。
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えたものである。
本発明に係る液体吐出ヘッドによれば、簡単な構成で共振周期を短くすることができる。
本発明に係る液体吐出装置、本発明に係る画像形成装置によれば、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高速で、高画質画像を形成することができるようになる。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る液体吐出ヘッドの第1実施形態について図1ないし図4を参照して説明する。なお、図1は同液体吐出ヘッドの外観斜視説明図、図2は図1のA−A線に沿う液室長手方向(液室の並び方向と直交する方向)に沿う断面説明図、図3は同じく液室短手方向(液室の並び方向)に沿う断面説明図、図4は加圧液室部分の圧電素子側から見た平面説明図である。
この液体吐出ヘッドは、SUS基板で形成した流路基板(液室基板)1と、この流路基板1の下面に接合した振動板部材2と、流路基板1の上面に接合したノズル板3とを有し、これらによって液滴(液体の滴)を吐出するノズル4が連通する圧力室(以下「加圧液室」という。)6を形成し、各加圧液室6に液体であるインク(記録液)を供給する共通液室8は後述するフレーム部材17に形成している。
ここで、流路基板1は、SUS基板を、酸性エッチング液を用いてエッチング、あるいは打ち抜き(プレス)などの機械加工することで、各加圧液室6などの開口をそれぞれ形成している。
振動板部材2は、例えば、SUS基板などの金属部材21に金属部材21よりも線膨張係数を大きく調製した樹脂を直接塗布(塗工)して加熱、固化させた樹脂層(樹脂部材)22を直接成膜して形成したものであり、樹脂層22で液室6の壁面となる変形可能な部分(振動領域)2Aを形成し、この振動領域2Aの液室6と反対側には金属部材21からなる島状の突起部(島状凸部)2Bを形成している。また、この振動板部材2には流路基板1の液室間隔壁部6Aに対応する位置には金属部材21による厚肉部2Dが形成(残存)されている。この他、振動板部材2は、樹脂部材と金属部材とを接着剤で接合したもの、Niなどの電鋳で形成したものなどを用いることもできる。
ノズル板3は、各加圧液室6に対応して直径10〜30μmの多数のノズル4を形成し、流路基板1のリストリクタプレート1Aに接着剤接合している。このノズル板3としては、ステンレス、ニッケルなどの金属、ポリイミド樹脂フィルムなどの樹脂、シリコン、及びそれらの組み合わせからなるものを用いることができる。また、ノズル面(吐出方向の表面:吐出面)には、インクとの撥水性を確保するため、メッキ被膜、あるいは撥水剤コーティングなどの周知の方法で撥水膜を形成している。
そして、振動板部材2の面外側(加圧液室6と反対面側)にエネルギー伝達領域(島状凸部)2Bを介して各加圧液室6に対応して圧力発生手段(アクチュエータ手段)を構成する積層型圧電素子12をそれぞれ接合し、これらの積層型圧電素子12をベース部材13に接合している。
複数の圧電素子12は、1つの圧電素子部材12Aにハーフカットの溝加工(スリット加工)によって分断することなくことなく形成したものであり、圧電素子部材12Aは複数個の圧電素子12の並び方向に沿ってベース部材13上に固定配置している。また、圧電素子12の一端面には駆動波形を与えるためのFPCケーブル14を接続している。この場合、1列に並ぶ複数の圧電素子12は、交互に駆動する圧電素子12と単なる支柱部となる駆動されない圧電素子12(これを「支柱部16」と表記する。)となる。そして、振動板部材2の樹脂層22には流路基板1の液室間隔壁部6Aを接着剤で接合し、また、島状凸部2Bには駆動部となる圧電素子12を接着剤で接合し、液室間隔壁部6Aに対応する厚肉部2Dには支柱部となる圧電素子12(支柱部16)を接着剤で接合している。
圧電素子12は、例えば厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極層とを交互に積層したものであり、内部電極を交互に端面の端面電極(外部電極)である個別電極及び共通電極にそれぞれ電気的に接続したものである。この圧電定数がd33(d33は内部電極面に垂直(厚み方向)の伸び縮みを指す。)である圧電素子12の伸縮により振動領域2Aを変位させて液室6を収縮、膨張させるようになっている。圧電素子12に駆動信号が印加され充電が行われると伸長し、また圧電素子12に充電された電荷が放電すると反対方向に収縮する。
なお、圧電素子12の圧電方向としてd33方向の変位を用いて加圧液室6内インクを加圧する構成とすることも、圧電素子12の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室6内インクを加圧する構成とすることもできる。本実施形態ではd33方向の変位を用いた構成をとっている。
ベース部材13は金属材料で形成することが好ましい。ベース部材13の材質(材料)が金属であれば、圧電素子12の自己発熱による蓄熱を防止することができる。さらに、ベース部材13の線膨張係数が大きいと、高温又は低温でベース部材13と圧電素子12の接合界面で接着剤の剥離が発生することがある。すなわち、圧電素子の全長が長くないときには、環境変動による温度差で圧電素子とベース部材が剥離する問題はほとんどなかったが、圧電素子一本当たり300dpiで約400ノズル程度を有する場合、圧電素子の一本当たりの長さが30〜40mm以上になることで、この問題が顕著化するようになった。したがって、ベース部材13の材質としては、線膨張係数が10E−6/℃以下の材質を用いることが好ましい。特に、圧電素子12に接着接合される部品の熱膨張係数数を全て10E−6/℃以下にすると接合界面の剥離に対し、非常に効果的であることが確認された。具体的な一例として、ステンレス鋼板で材質を揃えることが可能である。
さらに、振動板部材2の周囲にはフレーム部材17を接着剤で接合している。そして、このフレーム部材17には各液室6に液体を供給する共通液室8を形成している。この共通液室8から振動板部材2に形成した供給口9を介して液室6に液体(記録液)が供給される。
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば圧電素子12に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子12が収縮し、振動板2が下降して加圧液室6の容積が膨張することで、加圧液室6内にインクが流入し、その後圧電素子12に印加する電圧を上げて圧電素子12を積層方向に伸長させ、振動板2をノズル4方向に変形させて加圧液室6の容積/体積を収縮させることにより、加圧液室6内の記録液が加圧され、ノズル4から記録液の滴が吐出(噴射)される。
そして、圧電素子12に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板2が初期位置に復元し、加圧液室6が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室8から加圧液室6内に記録液が充填される。そこで、ノズル4のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。引き打ちとは、基準電位から電位を下げて圧電素子を収縮させて加圧液室の内容積を増加し後電位を基準電位まで戻すことによって振動板を初期位置に復帰させて液滴を吐出させる打ち方、押し打ちとは基準電位から電位を上げて振動板を加圧液室側に押し込むことで液滴を吐出させる打ち方である。
次に、この液体吐出ヘッドにおける振動板部材2の詳細について説明する。振動板部材2は、前述した島状凸部2Bに対応するエネルギー伝達領域31と共通液室8との間に振動領域2Aと同じく樹脂層22で形成された領域32を有し、この領域32を加圧液室(圧力室)6内の液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域としている。また、この領域32のうち、図2及び図4におけるエネルギー伝達領域31の左側領域に対応する右側の領域を除いた領域(これらで「振動領域2A」を構成している。)を本発明に係る薄層領域32Aとする。
これにより、加圧液室6は圧電素子12によって加圧液室6内の液体を加圧するときにノズル4から領域32までで共振を生じることになり、共振周期は共振空間が短いほど短くなることから、共振周期を短くすることができる。これに対して、領域32がない場合にはノズル4から共通液室8までで共振を生じることになり、共振周期が相対的に長くなることになる。
この点について具体的に説明する。本実施形態では加圧液室(圧力室)6はノズル方向の高さを50μm、幅(ノズルの並び方向の幅:短手方向の幅)を120μm、長さ(ノズルの並び方向と直交する方向の長さ:長手方向の長さ)を2000μmとしている。
この加圧液室(圧力室)6の容積Vにおける、液体の圧縮性コンプライアンスCinkは、液体の体積弾性率をKとするとき、次の(1)式で求められる。
Figure 0005065845
通常、液体としてインクが用いられるが、このような液体の体積弾性率は約2E9Paである。したがって、本実施形態における加圧液室6内の液体の圧縮性コンプライアンスCinkは、Cink=6E-21m/Pa程度である。
一方、エネルギー伝達領域2Bと共通液室8との間にある樹脂層(ここでは、ポリイミド)だけからなる領域32の構造コンプライアンスCsは、領域32の長さ(液体の流れの方向における長さ)をL、幅(液体の流れ方向と直交する方向における幅)をW、ヤング率をE、厚さをtとしたとき、次の(2)式で表される。なお、この(2)式は本実施形態のように領域32が略長方形と看做せる場合にのみ適用できる。
Figure 0005065845
本実施形態では、L=300μm、W=120μm、E=5.3E9Pa、t=6μmであるので、Cs=9.9E−20m/Paであり、Cink<Csとなる。
ところで、従前は従来の技術で説明したように、このように構造コンプライアンスの大きい領域があると、圧力室(加圧液室)の共振周期は長くなると認識されていた。しかしながら、本発明者は、鋭意検討した結果、領域32の構造コンプライアンスを一定の値以上大きくすると、この領域32の構造コンプライアンスが小さい場合に比べて共振周期が短くなることを見出した。
つまり、領域32の構造コンプライアンスCsをパラメータとして、ノズルに形成された液体のメニスカスが、圧電素子を単純インパルス波形で駆動したときにどのような挙動を示すかをシミュレートした。この結果を図5に示している。このシミュレーション結果から、圧力室の共振周期を知ることができる。この例では、圧力室の長さ2000μm、幅120μm、高さ50μmで計算している。この図5から分かるように、領域32の構造コンプライアンスCsが大きい方が共振周期が短くなっている。領域32の構造コンプライアンスCsが5.9E−20m/Paのとき、共振周期は約2μsである。これに対し、領域32の構造コンプライアンスCsを1.2E−22m/Pa、5.9E−22m/Paにしたとき、共振周期は約4μsと長くなる。
また、図6(a)には実際のヘッドで測定したパルス幅Pw特性の結果を示している。パルス幅Pw特性とは、同図(b)に示す入力波形(単純な引き打ち波形)の保持時間Pwをパラメータにして、ノズルより噴射する滴の速度Vjを測定したものである。図6(a)における二つのピーク間の時間が、その圧力室の共振周期と看做せる。したがって、この図6(a)からも明らかなように、Cink>Csの場合よりも、Cink<Csの方が、共振周期を大幅に短くすることができることが分かる。
この現象は、圧力室の共振が大きなコンプライアンス間で励起されていると考えることで説明できる。すなわち、従来のヘッドにおいては、その圧力室の共振はノズルから共通液室までで励起されていた。これに対して、本発明にかかる圧力室では、ノズルから領域32までで共振している。当然、共振周期はその共振空間が短いほうが短くなる。
さらに検討を重ねた結果、現実的な圧力室の寸法の範疇では、領域32の大きさは、図7に示すように、その幅(液体の流れ方向と直交する方向の幅)Wは圧力室6の幅と同じで、その長さ(液体の流れ方向の長さ)Lは幅Wの1/2以上あれば、Cink<Csの関係が保たれることが分かった。これより短いと、ノズルから共通液室までの共振が励起され、ノズルから領域32までの共振とが重畳し、特性が不安定になるおそれがある。
さらに、図8に示すように、領域32の長さLは、その幅W以上であることがより好ましい。このような構成にすれば、確実にノズル4から領域32までの共振が励起されることとなる。
要するに、領域32の構造コンプライアンスを圧力室内の液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きくしさえすれば、圧力室の共振周期を短くできる。したがって、領域32の大きさが製造上の理由などで、多少バラついたとしても、Cink<Csの関係が保たれていればよく、この点、製造にかける負担も大きく軽減できる。
なお、領域32の面積を大きくしていくと、圧電素子から与えられたエネルギーが圧力室に伝播された後領域32から逃げることで、液滴の吐出に使われるエネルギーが少なくなり、必要な滴体積を確保できなくなるおそれがある。これに対しては、単純に圧力室、エネルギー伝達領域を大きくすればよい。このように構成することで、圧電素子の変位による排除体積を大きくすることができ、十分な滴体積を確保することができるようになる。このとき、圧力室を長くすることで、共振周期は若干長くなるが、ノズルと共通液室で共振していた従来のヘッドに比べれば格段に共振周期は短くなる。
ここで、領域32の具体的な長さLについてのシミュレーション結果について図9を参照して説明する。この図9は、領域32の幅Wを110μmとして、長さLを150μm、250μm、315μm、450μmとした場合の図6(a)と同様なパルス幅特性を示すものである。この構成例では、領域32の長さLを300μm以上とすることで、共振周期Tcを短くすることができ、300μm未満では共振周期Tcが長くなる。
また、領域32の構造コンプライアンスが5E20m/Paよりも大きければ、より確実にノズル3から領域32までの共振が励起されることになる。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドの第2実施形態について図10ないし図12を参照して説明する。なお、図10は同液体吐出ヘッドの液室長手方向(液室の並び方向と直交する方向)に沿う断面説明図、図11は同じく液室短手方向(液室の並び方向)に沿う断面説明図、図12は加圧液室部分の圧電素子側から見た平面説明図である。
ここでは、振動板部材2には、島状凸部2Bがなく、圧電素子12がそのまま振動板部材2の樹脂層22に接合されている。この圧電素子12が接合されている領域がエネルギー伝達領域31となる。
このように構成することで、振動板部材2に微細なスリット(第1実施形態の島状凸部2Bと厚肉部2Dとの間)を形成しなくともよくなり、振動板部材の製造が容易になる。
この場合でも、領域32の大きさは前述したと同様にする。つまり、領域32の大きさは、その幅は圧力室(加圧液室)6の幅と同等で、その長さは幅の1/2以上あれば良い。これより短いと、ノズルから共通液室までの共振が励起され、ノズルから領域32までとの共振に重畳されて特性が不安定になるおそれがある。さらに、領域32の長さは、その幅以上であることがより好ましい。このような構成にすれば、確実にノズルから領域32までの間で共振が励起される。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドの第3実施形態について図13及び図14を参照して説明する。なお、図13は同液体吐出ヘッドの液室長手方向(液室の並び方向と直交する方向)に沿う断面説明図、図14は加圧液室部分の圧電素子側から見た平面説明図である。
ここでは、第1実施形態における加圧液室6の共通液室8側に開口断面積を加圧液室6よりも狭くした流体抵抗部7を設けている。流体抵抗部7を設けることで、更に高周波での駆動に対する応答性を向上することができる。なお、流体抵抗部7は図14に示すように幅を狭くしてもよいし、高さを低くしてもよい。
このように流体抵抗部7を設ける場合には、振動板部材2には、この流体抵抗部7とエネルギー伝達領域31との間に、液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域32を設けることで、前記実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドの第4実施形態について図15及び図16を参照して説明する。なお、図15は同液体吐出ヘッドの液室長手方向(液室の並び方向と直交する方向)に沿う断面説明図、図16は加圧液室部分の圧電素子側から見た平面説明図である。
ここでは、振動板部材2には、振動領域2Aと共通液室8との間で、振動領域2Aと分離された薄層領域32Aを設けている。この薄層領域32Aは、液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域32となる。このように構成しても、前記実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
以上の説明では、液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域32を設ける説明としているが、これを振動板部材2の構造としてみると、前述したように、振動領域2Aと共通液室8との間に振動領域2Aと同じ厚さの薄層領域32Aを設けたものとなる。この場合、薄層領域32の形状、大きさを、液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つように設定する。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドの第5実施形態について図17及び図18を参照して説明する。なお、図17は同液体吐出ヘッドの液室長手方向(液室の並び方向と直交する方向)に沿う断面説明図、図18は同じく圧電素子側から見た平面説明図である。
である。
ここでは、振動板部材2には、流体抵抗部7と共通液室8との間に、液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域32(薄層領域32A)を設けている。このように構成しても、前記実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドの第6実施形態について図19を参照して説明する。なお、図19は同液体吐出ヘッドの液室長手方向(液室の並び方向と直交する方向)に沿う断面説明図である。
ここでは、振動板部材2の加圧液室6の壁面を形成する面と対向する加圧液室(圧力室)6の壁面を構成するノズル板3に凹部130を形成し、この凹部130の加圧液室6側開口にポリイミドフィルムなどからなる薄層部材132を設けている。この薄層部材132によって加圧液室6内の液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域が形成される。
このように構成することで、ノズル4から共通液室8の間で励起される圧力共振がノズル4と薄層部材132(液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域)との間で励起されるため、加圧液室6の共振周期が短縮され、周波数応答性が高いヘッドが得られるなど、前記各実施形態で説明したと同様な作用効果が得られる。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドの第7実施形態について図20を参照して説明する。なお、図20は同液体吐出ヘッドの液室長手方向(液室の並び方向と直交する方向)に沿う断面説明図である。
ここでは、上記第6実施形態における凹部130及び薄層部材132で形成する液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域を、前記第1実施形態の配置位置と反対側である、共通液室8と振動板部材2のエネルギー伝達領域31との間に対向する加圧液室6の壁面位置に配置したものである。
このように構成することで、液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域を振動板部材2のエネルギー伝達領域31に対向する位置から外すことができ、エネルギー伝達領域31によって伝達されたエネルギーが液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域で吸収されることが低減して、加圧液室6内のインクに対する加圧効率が向上する。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドの第8実施形態について図21を参照して説明する。なお、図21は同液体吐出ヘッドの液室長手方向(液室の並び方向と直交する方向)に沿う断面説明図である。
ここでは、流路部材1は、加圧液室6を形成する第1部材1Aと、加圧液室6とノズル4とを連通するノズル連通路5を形成する第2部材1Bとの積層部材で構成し、振動板部材2と対向する加圧液室(圧力室)6の壁面を構成する第2部材1Bに、前記第6実施形態と同様に、凹部130を形成し、この凹部130の加圧液室6側開口にポリイミドフィルムなどからなる薄層部材132を設け、この薄層部材132で加圧液室6内の液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域を形成している。
このような構成でも、ノズル4から共通液室8の間で励起される圧力共振がノズル4と薄層部材132で形成される液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域との間で励起されるため、加圧液室6の共振周期が短縮され、周波数応答性が高いヘッドが得られるなど、前記各実施形態で説明したと同様な作用効果が得られる。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドの第9実施形態について図22を参照して説明する。なお、図22は同液体吐出ヘッドの液室長手方向(液室の並び方向と直交する方向)に沿う断面説明図である。
ここでは、振動板部材2の加圧液室6の壁面を形成する面と交差する加圧液室(圧力室)6の壁面を構成する流路部材1に凹部130を形成し、この凹部130の加圧液室6側開口にポリイミドフィルムなどからなる薄層部材132を設けている。この薄層部材132によって加圧液室6内の液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域が形成される。このように構成することでも前記各実施形態で説明したと同様な作用効果が得られる。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る液体吐出装置を含む画像形成装置の一例について図23及び図24を参照して説明する。なお、図23は同装置の機構部の全体構成を説明する概略構成図、図24は同機構部の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板201A、201Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド234a、234b(区別しないときは「記録ヘッド234」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
また、キャリッジ233には、記録ヘッド234のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク235a、235b(区別しないときは「ヘッドタンク35」という。)を搭載している。このサブタンク235には各色の供給チューブ36を介して、各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド部材245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
また、装置本体1の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける液体回収容器であるインク回収ユニット(空吐出受け)288を配置し、このインク回収ユニット288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド237で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
このようなシリアル型画像形成装置において、本発明に係る液体吐出ヘッドを含む本発明に係る液体吐出装置を備えることによって、高速で高画質画像を形成することができる。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置を含む画像形成装置の他の例について図25を参照して説明する。なお、図25は同画像形成装置の概略構成図である。
この画像形成装置はフルライン型ヘッドを備えたライン型画像形成装置であり、装置本体401の内部に画像形成部402及び用紙を搬送する搬送機構403等を有し、装置本体401の一方側に多数枚の用紙405を積載可能な給紙トレイ404を備え、この給紙トレイ404から給紙される用紙405を取り込み、副走査搬送機構403によって用紙405を搬送しながら画像形成部402によって所要の画像を記録した後、装置本体401の他方側に装着された排紙トレイ406に用紙405を排紙する。
画像形成部402は、記録液となる液体を収容した液体タンクを一体にし、用紙の幅方向(搬送方向と直交する方向)の長さ相当分のノズル列を有する本発明に係る液体吐出ヘッドで構成したライン型ヘッド410y、410m、410c、410kを備えたものである。これらのライン型ヘッド410y、410m、410c、410kは図示しないヘッドホルダに取り付けている。
ライン型ヘッド410y、410m、410c、410kは、用紙搬送方向上流側からそれぞれ例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に各色の液滴を吐出する。なお、ライン型ヘッドとしては、各色の液滴を吐出する複数のノズル列を所定間隔で配置した1つのヘッドを用いることもできるし、ヘッドと液体カートリッジを別体としたものを用いることもできる。
給紙トレイ404の用紙405は、給紙コロ421によって1枚ずつ分離され装置本体401内に給紙され、用紙供給ローラ422によって搬送機構403に送り込まれる。
この搬送機構403は、駆動ローラ423と従動ローラ424との間に掛け渡した搬送ベルト425と、この搬送ベルト425を帯電させるための帯電ローラ426と、搬送ベルト425を画像形成部2に対向する部分で案内するガイド部材(プラテンプレート)427と、搬送ベルト425に付着した記録液(インク)を除去するためのクリーニング手段である多孔質体などからなる記録液拭き取り部材(ここでは、クリーニングローラ)428と、用紙405を除電するための導電ゴムを主体とした除電ローラ429と、用紙405を搬送ベルト425側へ押える用紙押さえローラ430とを備えている。
また、搬送機構403の下流側には画像が記録された用紙405を排紙トレイ406に送り出すための排紙ローラ431を備えている。
このように構成したライン型画像形成装置においても、搬送ベルト425を帯電させて用紙405を送り込むことによって、静電力で用紙405が搬送ベルト425に吸着されて、搬送ベルト425の周回移動によって搬送され、画像形成部402によって画像が形成されて、排紙トレイ406に排紙される。
このようなライン型画像形成装置において、本発明に係る液体吐出ヘッドを含む本発明に係る液体吐出装置を備えることによって、高速で高画質画像を形成することができる。
なお、本発明に係る液体吐出装置、画像形成装置は、例えば、プリンタ/ファックス/コピアの単機能機やこれらの複合機などの画像形成装置に適用することができる。また、インク以外の液体である記録液や定着処理液などを用いる画像形成装置、その他の前述したような各種の液体を吐出する液体吐出装置にも適用することができる。
本発明に係る液体吐出ヘッドの第1実施形態を示す斜視説明図である。 同液体吐出ヘッドの液室長手方向(液室の並び方向と直交する方向)に沿う断面説明図である。 同じく液室短手方向(液室の並び方向)に沿う断面説明図である。 同ヘッドの加圧液室部分の要部平面説明図である。 同ヘッドの領域32の構造コンプライアンスとノズルメニスカスの変動のシミュレート結果の一例を示す説明図である。 同ヘッドの液体の圧縮性コンプライアンスと領域32の構造コンプライアンスの関係と共振周期の測定結果の一例を示す説明図である。 同液体吐出ヘッドの領域32の長さL1と幅Wの関係の説明に供する平面説明図である。 同液体吐出ヘッドの領域32の長さL1と幅Wの関係の他の例の説明に供する平面説明図である。 領域32の長さをパラメータとする図6と同様な測定結果の一例を示す説明図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの第2実施形態の液室長手方向(液室の並び方向と直交する方向)に沿う断面説明図である。 同じく液室短手方向(液室の並び方向)に沿う断面説明図である。 同ヘッドの加圧液室部分の要部平面説明図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの第3実施形態の液室長手方向(液室の並び方向と直交する方向)に沿う断面説明図である。 同ヘッドの加圧液室部分の要部平面説明図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの第4実施形態の液室長手方向(液室の並び方向と直交する方向)に沿う断面説明図である。 同ヘッドの加圧液室部分の要部平面説明図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの第5実施形態の液室長手方向(液室の並び方向と直交する方向)に沿う断面説明図である。 同ヘッドの要部平面説明図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの第5実施形態の液室長手方向(液室の並び方向と直交する方向)に沿う断面説明図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの第6実施形態の液室長手方向(液室の並び方向と直交する方向)に沿う断面説明図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの第7実施形態の液室長手方向(液室の並び方向と直交する方向)に沿う断面説明図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの第8実施形態の液室長手方向(液室の並び方向と直交する方向)に沿う断面説明図である。 本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 同機構部の要部平面説明図である。 本発明に係る画像形成装置の他の例を示す概略構成図である。
符号の説明
1…流路基板(流路部材)
2…振動板部材
2A…振動領域
2B…島状凸部
3…ノズル板
4…ノズル
6…加圧液室(圧力室)
7…流体抵抗部
8…共通液室
12…圧電素子
13…ベース部材
21…金属部材
22…樹脂部材
31…エネルギー伝達領域
32…液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスの領域
32A…薄層領域
130…凹部
132…薄層部材
234a、234b…記録ヘッド
410k、410c、410m、410y…ライン型ヘッド

Claims (12)

  1. 液滴を吐出するノズルと、ノズルが連通する圧力室と、前記圧力室内の液体を加圧するエネルギーを発生するエネルギー発生手段と、前記圧力室の壁面を形成し、前記エネルギー発生手段で発生するエネルギーを前記圧力室に伝達するエネルギー伝達領域を有する振動板部材と、複数の圧力室に液体を供給する共通液室と備える液体吐出ヘッドにおいて、
    前記振動板部材は、前記共通液室と前記エネルギー伝達領域との間に、前記圧力室内の液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域を有する
    ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、前記液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域の液体の流れ方向の長さが、液体の流れ方向と直交する方向の長さの半分以上であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  3. 請求項2に記載の液体吐出ヘッドにおいて、前記液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域の液体の流れ方向の長さが、液体の流れ方向と直交する方向の長さ以上であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドにおいて、前記液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域は、前記共通液室と圧力室との間に設けられた前記圧力室よりも流体抵抗の高い領域と前記エネルギー伝達領域との間に設けられていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドにおいて、前記共通液室と前記振動板部材における変形可能な振動領域との間に前記振動領域と略同じ厚さの薄層領域を有し、前記液体の圧縮性コンプライアンアスよりも大きい構造のコンプライアンスを持つ領域は前記薄層領域であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  6. 請求項5に記載の液体吐出ヘッドにおいて、前記薄層領域は、前記共通液室と圧力室との間に設けられた前記圧力室よりも流体抵抗の高い領域と前記振動領域との間に設けられていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  7. 請求項5又は6に記載の液体吐出ヘッドにおいて、前記薄層領域は前記振動領域と分離していることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  8. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドにおいて、前記振動板部材は樹脂部材と金属部材との積層部材であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  9. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドにおいて、前記液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域は、前記共通液室と圧力室との間に設けられた前記圧力室よりも流体抵抗の高い領域と前記共通液室との間に設けられていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  10. 液滴を吐出するノズルと、ノズルが連通する圧力室と、前記圧力室内の液体を加圧するエネルギーを発生するエネルギー発生手段と、前記圧力室の壁面を形成し、前記エネルギー発生手段で発生するエネルギーを前記圧力室に伝達するエネルギー伝達領域を有する振動板部材と、複数の圧力室に液体を供給する共通液室と備える液体吐出ヘッドにおいて、
    前記共通液室と前記エネルギー伝達領域との間の前記振動板部材の領域に対向する前記圧力室の壁面に、前記圧力室内の液体の圧縮性コンプライアンスよりも大きい構造コンプライアンスを持つ領域を有する
    ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  11. 液滴を吐出する液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置において、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする液体吐出装置。
  12. 液体吐出ヘッドから液滴を吐出して画像を形成する画像形成装置において、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。
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