JP5065633B2 - 断熱防水構造及び断熱防水工法 - Google Patents

断熱防水構造及び断熱防水工法 Download PDF

Info

Publication number
JP5065633B2
JP5065633B2 JP2006194574A JP2006194574A JP5065633B2 JP 5065633 B2 JP5065633 B2 JP 5065633B2 JP 2006194574 A JP2006194574 A JP 2006194574A JP 2006194574 A JP2006194574 A JP 2006194574A JP 5065633 B2 JP5065633 B2 JP 5065633B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat insulating
insulating material
copolymer
asphalt
unit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006194574A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008019681A (ja
Inventor
武石 佐藤
博 小林
直明 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Corp filed Critical Kaneka Corp
Priority to JP2006194574A priority Critical patent/JP5065633B2/ja
Publication of JP2008019681A publication Critical patent/JP2008019681A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5065633B2 publication Critical patent/JP5065633B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、構造物の下地面に適用される断熱防水構造及び断熱防水工法に関する。
従来より、陸屋根と呼ばれるコンクリート構造物の屋上や、バルコニー、ベランダ、水槽類(蓄熱、受水、防火各槽など)において、屋根面に断熱性及び防水性を付与するために、断熱材及び防水層が積層された断熱防水構造が適用されている。例えば、コンクリート構造物の屋根を下地面として、断熱材による断熱層と、アスファルトルーフィングなどによる防水層とが形成されてなる構造などが知られている(例えば、特許文献1から特許文献4)。
前述されたような断熱防水構造は、防水層にゴム製シートや塩化ビニル樹脂製シートなどの防水シートを用いるものと、防水層に溶融アスファルト及びアスファルトルーフィングを用いるものとがあり、一般に、前者がシート防水、後者がアスファルト防水と呼ばれる。アスファルト防水には、加熱溶融させた溶融アスファルトを断熱材の上層又は下層に積層し、更に断熱材上にアスファルトルーフィングを積層する熱工法(特許文献4)や、改質アスファルトルーフィングの接着面を火炎バーナで焙って断熱材に溶着させるトーチ工法(特許文献1,2)、アスファルトルーフィングをその粘着層で自着させる常温工法などがある。
断熱防水構造に用いられる断熱材として、硬質ポリウレタンフォームが挙げられる。例えば、アスファルト防水の熱工法では、250〜280℃に加熱された溶融アスファルトが断熱材の上層又は下層として塗布されるので、断熱材には、溶融アスファルトから伝達される熱により変形しない耐熱性が要求される。
一般に、硬質ポリウレタンフォームは、耐熱性が優れている。したがって、アスファルト防水の熱工法では、硬質ポリウレタンフォームからなる断熱材が使用される。しかし、硬質ポリウレタンフォームは、吸水性が高く、水を含浸した際に変形が大きいというデメリットや、強度が低く取り扱いにくいというデメリットがある。また、リサイクル性がなく、例えばポリスチレン系樹脂発泡体と比較して高価であるというデメリットがある。
一方、ポリスチレン系樹脂発泡体は、強度が高く、安価であり、リサイクル性もあるが、耐熱性に劣るというデメリットがある。したがって、アスファルト防水の熱工法において、溶融アスファルトが直接に塗布されたり、高温の熱が伝達するような構造での使用は不適であり、主に、アスファルト層の積層に加熱を要しない常温工法や、溶融アスファルトからの熱が伝わりにくい構造でのみ、ポリスチレン系樹脂発泡体の断熱材が採用されている。
特開2005−231304号公報 特開平7−62807号公報 特開平5−287858号公報 特開昭58−178749号公報
このような状況において、断熱防水構造に用いられる断熱材として、強度に優れ、安価でリサイクルが可能なポリスチレン系樹脂発泡体の利点と、耐熱性に優れた硬質ポリウレタンフォームの利点とを併せ持つものが待ち望まれている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、耐熱性に優れた樹脂発泡体を用いた構造物の断熱防水構造及び断熱防水工法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前述された課題を解決するために鋭意研究した結果、耐熱性を有する共重合体と流動性に優れた共重合体とを含有する樹脂組成物を発泡させてなる発泡体を断熱材として用いることにより、熱工法によるアスファルト防水に対応できる断熱防水構造となることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1) 本発明は、構造物の下地面に、少なくとも断熱材及びアスファルト層が積層されてなる断熱防水構造であって、上記アスファルト層は、溶融アスファルトが熱工法によって上記断熱材に直接積層されたものであり、上記断熱材が、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、及びN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)と、芳香族ビニル単位及びシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)とを含有し、共重合体(A)及び共重合体(B)の総重量に対する共重合体(A)の重量比が60〜95%である樹脂組成物を発泡させてなるものである。
(2) 上記アスファルト層として、上記断熱材の上層又は下層の少なくともいずれか一方をなものが考えられる。
(3) 上記アスファルト層として、アスファルトルーフィングが熱工法により上記断熱材に積層されたものが考えられる。
(4) 上記共重合体(A)及び上記共重合体(B)をそれぞれ構成する芳香族ビニル単位として、スチレン単位が考えられる。
(5) 上記共重合体(A)を構成する不飽和ジカルボン酸無水物単位として、無水マレイン酸単位が考えられる。
(6) 上記共重合体(A)を構成するN−アルキル置換マレイミド単位として、N−フェニルマレイミド単位が考えられる。
(7) 上記共重合体(B)を構成するシアン化ビニル単位として、アクリロニトリルが考えられる。
(8) 本発明に係る断熱防水工法は、構造物の下地面に、又は該下地面に熱工法により積層されたアスファルト層を介在させて、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、及びN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)と、芳香族ビニル単位及びシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)とを含有する樹脂組成物を発泡させてなる断熱材を固定する第1工程と、上記断熱材に、防水層としてアスファルト層を熱工法により積層する第2工程と、を含み、上記樹脂組成物に含有される共重合体(A)及び共重合体(B)の総重量に対する共重合体(A)の重量比が60〜95%のものである
このように本発明によれば、断熱防水構造を構成する断熱材を、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、及びN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)と、芳香族ビニル単位及びシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)とを含有する樹脂組成物を発泡させてなるものとしたので、アスファルト防水において、耐熱性が要求される熱工法を採用することができる。
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で本実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る断熱防水構造1を示す部分断面図である。図2及び図3は、断熱防水構造1の施工方法を説明するための図である。なお、各図においては、構造物の全体は示されておらず、断熱防水構造1が施工される下地面2の一部のみが示されている。
断熱防水構造1は、構造物の下地面2に積層されてなる。構造物は、鉄筋コンクリート構造や鉄骨構造の建築物に代表されるものであるが、構造物の工法や形状などは特に限定されるものではない。また、構造物の下地面2は、屋上やバルコニー、外壁などの構造物の外面である。例えば、鉄筋コンクリート構造の陸屋根を下地面2として、断熱防水構造1が施工される。下地面2は、施工の容易から平面であることが好ましいが、折れ板のような面形状や湾曲面であっても断熱防水構造1を施工することは可能である。
下地面2には、プライマー3が塗布される。プライマー3は、下地面2とアスファルト層4との接着に適したものであり、合成ゴム又は合成樹脂系の液状のものである。例えば、一般にアスファルトプライマーと呼ばれるものをプライマー3として使用できる。下地面2は、プライマー3が塗布される前に清掃又は洗浄されることが好ましい。プライマー3は、下地面2を十分に乾燥させた後に刷毛やゴムべらで下地面2に均一に塗布されて乾燥される。なお、下地面2の状態によってはプライマー3は省略されることがある。
アスファルト層4は、いわゆるアスファルトからなるものである。アスファルトとは、一般には、原油に含まれる成分のうち、軽質留分や重質留分が分留された後に気化せずに残った半固体又は固体のものいう。断熱防水構造1に用いられるアスファルト層4として、JIS K 2207の防水工事用3種(主として、温暖地に用いる)又は4種(主として寒冷地に用いる)に適合するものが挙げられる。これらの軟化点は約100℃であり、溶融温度は約260〜280℃である。また、アスファルトを溶融する際の煙や臭気の発生を抑制すべく、溶融温度を約230℃や200℃以下とすることができる防水工事用アスファルトを、アスファルト層4として用いることができる。アスファルト層4は、アスファルトが溶融釜において所定の溶融温度に加熱され、プライマー3又は断熱材5上に流しかけられることにより、プライマー3又は断熱材5に積層される。このような施工は、一般にアスファルト流し張りと呼ばれる。
断熱材5は、断熱防水構造1において、主に断熱性能を確保する目的で用いられるものである。断熱材5は、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、及びN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)と、芳香族ビニル単位及びシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)とを含有する樹脂組成物を発泡させてなるものである。この樹脂組成物の詳細については後述される。断熱材5は、所定の厚みの平板形状の直方体であり、例えば、厚みが20〜100mm、縦横寸法が600mm×2000mmのものが用いられる。このような一定形状の断熱材5が、アスファルト層4上に隙間無く敷き詰められて、アスファルト層4により下地面2上に接着固定される。
以下、断熱材5に用いられる樹脂組成物について詳細に説明する。前述されたように、断熱材5は、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、及びN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)と、芳香族ビニル単位及びシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)とを含有する樹脂組成物を発泡させてなるものである。
共重合体(A)及び共重合体(B)を構成する芳香族ビニル単位としては、スチレン、α−メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンが挙げられる。これらのうち、工業的に安価である点から、スチレン、α−メチルスチレンが好ましく、安価であるスチレンが最も好ましい。
共重合体(A)を構成する不飽和ジカルボン酸無水物単位としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸が挙げられる。これらのうち、工業的に安価である点から、無水マレイン酸が好ましい。また、吸水性を考慮すると、不飽和ジカルボン酸無水物単位は5重量%以下であることが好ましい。
共重合体(A)を構成するN−アルキル置換マレイミド単位としては、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−4−ジフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−4−ブロモフェニルマレイミド、N−1−ナフチルマレイミドが挙げられる。これらのうち、工業的に安価である点から、N−フェニルマレイミドが好ましい。また、断熱材5の耐熱性を考慮すると、N−アルキル置換マレイミド単位は40重量%以上であることが好ましい。
以下に共重合体(A)として好ましい態様の化学式を示す。なお、以下の化学式において、「NPMI」はN−アルキル置換マレイミド単位としてのN−フェニルマレイミドを、「St」は芳香族ビニル単位としてのスチレンを、「MAH」は不飽和ジカルボン酸無水物単位としての無水マレイン酸を示している。
Figure 0005065633
共重合体(B)を構成するシアン化ビニル単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルが挙げられる。これらのうち、工業的に安価である点から、アクリロニトリルが好ましい。また、共重合体(A)と共重合体(B)との相溶性を考慮すると、共重合体(B)は、スチレンとアクリロニトリルの共重合体であることが好ましい。
以下に共重合体(B)として好ましい態様の化学式を示す。なお、以下の化学式において、「St」は芳香族ビニル単位としてのスチレンを、「AN」はシアン化ビニル単位としてのアクリロニトリルを示す。
Figure 0005065633
上記樹脂組成物における共重合体(A)と共重合体(B)との重量比は、共重合体(A)が50〜90重量%、共重合体(B)が50〜10重量%が好ましい。この範囲内であれば、樹脂組成物の流動性や成形性が保持されるとともに、断熱材5の強度、及び溶融アスファルトに対する耐熱性、140℃耐熱性或いは150℃耐熱性が満足される。
上記樹脂組成物には、共重合体(A)及び共重合体(B)とからなる熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、塩素原子を含有しない発泡剤を3〜10重量部用いることができる。また、このような発泡剤として、物理系発泡剤、化学系発泡剤の1種又は2種以上を使用できる。塩素原子を有しないことにより、環境への負荷が低減されるので好ましいが、本発明の目的を達成するためには、必ずしも塩素原子を含有しないことは必要ではない。
物理系発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化イソプロピルなどの塩化アルキル類、1,1−ジフルオロエタン、1,2−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1,2−トリフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタンなどのフッ素化炭化水素、二酸化炭素、窒素、水、アルゴン、ヘリウムなどの無機ガス、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、フラン、フラフール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどのエーテル類、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルなどのカルボン酸エステル類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、エチル−n−プロピルケトン、エチル−n−ブチルケトンなどのケトン類が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
化学系発泡剤としては、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p,p’−オキシビス−ベンゼンスルホニルヒドラジド、ヒドラゾジカルボンアミド、炭酸ナトリウム、アゾジカルボンアミド、テレフタルアジド、5−フェニルテトラゾール、p−トルエンスルホニルセミカルバジドなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混同して使用することができる。
前述された発泡剤のうち、オゾン層保護の観点から、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化イソプロピルなどの塩化アルキル類、二酸化炭素、窒素、水、アルゴン、ヘリウムなどの無機ガス類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類が好ましい。
また、前述された発泡剤のうち、断熱材5の軽量化、押出発泡の安定性を考慮すると、発泡剤としては、上記共重合体(A)及び上記共重合体(B)を含有してなる熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、a)エーテル、塩化アルキルよりなる群から選ばれる1種以上を0.5〜10重量部と、b)炭化水素を0〜6重量部とを含有するものが好ましい。
エーテルとしては、前述されたエーテル類が挙げられるが、これらのうち、ジメチルエーテルが、押出発泡の際の押出圧力が低減され、安定して押出発泡体が製造されるので好ましい。エーテルの使用量としては、熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して0.5〜10重量部が好ましく、より好ましくは1.5〜6重量部であり、さらに好ましくは3〜5重量部である。エーテルの使用量が上記範囲内であれば、樹脂組成物へのガス分散性がよく、発泡性がよい。
塩化アルキルとしては、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化イソプロピルが挙げられる。これらのうち、塩化メチル、塩化エチルが、押出発泡の際の押出圧力が低減され、安定して押出発泡体が製造されるので好ましい。塩化アルキルの使用量としては、熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して0.5〜10重量部が好ましく、より好ましくは1.5〜6重量部であり、さらに好ましくは3〜5重量部である。塩化アルキルの使用量が上記範囲内であれば、樹脂組成物へのガス分散性がよく、発泡性がよい。
炭化水素としては、前述された炭化水素が挙げられるが、沸点が低すぎると、押出発泡の際に樹脂組成物における蒸気圧が高くなり、高圧の樹脂組成物を制御することになるので、製造上問題となり、沸点が高すぎると、発泡剤が断熱材5の気泡中に液状で残留し、断熱材5の耐熱性を低下させる傾向にある。したがって、炭化水素としては、−50〜85℃の範囲に沸点を有する飽和炭化水素が好ましい。このような飽和炭化水素としては、プロパン、シクロプロパン、n−ブタン、i−ブタン、シクロブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、1,2−ジメチルブタン、シクロヘキサンなどが挙げられる。これらのうち、製造安定性の点から、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンが好ましい。炭化水素の使用量としては、0〜6重量部が好ましくは、より好ましくは2〜5重量部である。炭化水素の使用量が上記範囲内であれば、樹脂組成物へのガス分散性がよく、また、樹脂組成物の発泡性がよい。
なお、本発明においては、樹脂組成物に難燃剤が添加されることが好ましい。難燃剤として、ハロゲン系難燃剤から選ばれる少なくとも1種が用いられることがさらに好ましい。また、リン酸エステル系化合物、窒素含有化合物を上記難燃剤と共存させてもよい。
また、本発明においては、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲内で、シリカ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、帯電防止剤、着色剤などの添加物が用いられてもよい。
また、本発明においては、必要に応じて安定剤が用いられてもよい。本発明に使用される安定剤としては、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤などが挙げられる。
断熱材5は、上記樹脂組成物を用いて公知の押出発泡法により得られる。例えば、上記熱可塑性樹脂混合物を公知の押出機に供給して高温高圧下で加熱溶融してゲル状にし、押出機内に発泡剤を圧入して混練し、押出発泡に適した樹脂温度までゲル状のスチレン系樹脂を冷却し、高圧領域からスリットダイなどのダイを通して低圧領域に押出発泡して、板状の断熱材5を得る。
押出発泡の条件として、スリットダイにおける圧力は、3MPa以上であることが好ましく、より好ましくは4MPa以上である。発泡剤が気化しないように、また、樹脂組成物に十分溶解するように押出系内圧力を高圧に保持することは勿論である。スリットダイにおける圧力が上記範囲外であると、ガスの吹出し、ボイドの発生、押出系内の圧力変動による押出発泡体の断面プロファイルの変動が生じる傾向にある。
熱可塑性樹脂混合物に難燃剤などの添加剤を添加する手順として、例えば、熱可塑性樹脂混合物に対して難燃剤などを添加して混合した後、押出機に供給して加熱溶融し、さらに発泡剤を添加して混合する手順が挙げられるが、各種添加剤を熱可塑性樹脂混合物に添加するタイミングや混練時間は特に限定されない。
熱可塑性樹脂混合物の加熱温度は、そのガラス転移温度又は融点以上であればよいが、難燃剤などの影響による樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度が好ましい。溶融混練時間は、単位時間当たりの樹脂組成物の押出量や押出機の種類により異なるので一義的に規定することはできず、熱可塑性樹脂混合物と発泡剤や添加剤とが均一に分散混合されるに要する時間として適宜設定される。
樹脂組成物の加熱溶融手段としては、例えばスクリュー型の押出機などが挙げられるが、通常の押出発泡に用いられているものであれば特に制限されない。ただし、樹脂の分子劣化をできる限り抑えるためには、押出機のスクリュー形状を低剪断タイプのものとすることが好ましい。
押出発泡法は、例えば、押出成形用に使用される開口部が直線のスリット形状を有するスリットダイを通じて、高圧領域から低圧領域へ圧力開放して得られた押出発泡体を、スリットダイと密着または接して設置された成形金型、及び該成形金型の下流側に隣接して設置された成形ロールなどを用いて、断熱材5に成形する方法が用いられる。成形金型の流動面形状調整及び金型温度調整によって、所望の発泡体の断面形状、発泡体表面性、発泡体品質が得られる。
断熱材5の気泡構造として、均一気泡構造や大小気泡が混在した複合気泡構造が挙げられる。気泡の平均径は、主として0.05〜2.0mmであることが好ましい。気泡径は、例えば、押出発泡体の断面の一部をサンプリングし、それを走査型電子顕微鏡にて拡大撮影して得られた写真から平均気泡径をASTM D−3576に準じて測定することができる。気泡径は、必ずしもすべてが上記範囲内である必要はなく、少なくとも気泡径の平均値が上記範囲内であればよい。気泡径が上記範囲未満であれば、断熱材5の成形性が悪くなって、安定した製造が困難になる傾向にある。気泡径が上記範囲を超えると、断熱材5表面の外観が悪化する傾向にある。
断熱材5の発泡体密度は、20〜100kg/mであることが好ましい。発泡体密度が上記範囲内にあれば、平面圧縮強度に代表される面圧縮強度が発現される傾向にある。
なお、断熱材5の製造方法は押出発泡法に限定されず、例えば、予備発泡された発泡性ビーズを用いて成形金型で発泡成形を行う方法など、公知の他の方法が用いられてもよい。
アスファルトルーフィング6は、紙やフェルト、不織布、ガラス繊維などを芯材にアスファルトが含浸されたものである。また、アスファルトルーフィング6の芯材の表面にはアスファルト塗膜が設けられ、雲母や粘土などの鉱物の粉状体が粘着防止のために表面に付着されている。断熱防水構造1に用いられるアスファルトルーフィングとしては、例えば、JIS A 6005に適合するアスファルトルーフィングフェルト、JIS A 6022に適合するストレッチアスファルトルーフィングフェルト、JIS A 6012に適合する網状アスファルトルーフィング、JIS A 6023に適合する穴あきアスファルトルーフィングフェルトなどが挙げられる。アスファルトルーフィング6は、アスファルト層4を介して断熱材5上に接着固定される。このアスファルトルーフィング6は、本発明におけるアスファルト層を形成する。
以下に断熱防水構造1の施工方法(断熱防水工法)が説明される。この施工方法は、一般にアスファルト防水の熱工法に分類されるものである。まず、鉄筋コンクリート構造物の陸屋根などの下地面2を清掃及び洗浄し、下地面2を十分に乾燥した後にプライマー3を塗布する。プライマー3を十分に乾燥させた後、さらにアスファルトを塗布してアスファルト層4を形成する。塗布されるアスファルトは、溶融釜において加熱して流動性のある溶融アスファルトとする。加熱温度は、アスファルトの種類に応じて設定する。例えば、一般的なアスファルトであれば260〜280℃であり、低温溶融型のアスファルトであれば、230℃や200℃以下である。この溶融アスファルトをプライマー3上に均一に流しかけてアスファルト層4とする。
つづいて、図2に示されるように、アスファルト層4上に断熱材5を敷き詰める。断熱材5は、下地面2の広さに応じて複数枚を用い、隣接する断熱材5同士を密着させてアスファルト層4上に並べる。断熱材5は、アスファルト層4が完全に固化する前にアスファルト層4上に載置する。つまり、溶融状態のアスファルト層4上に断熱材5を載置する。これにより、アスファルト層4の固化と共に断熱材5が下地面2(プライマー3)に接着固定される。下地面2が広範囲である場合には、下地面2(プライマー3)の一部分である所定範囲に溶融アスファルトを流しかけ、断熱材5を載置する作業を繰り返し行う。なお、本実施形態のように溶融アスファルトをプライマー3に流しかけるのではなく、断熱材5に溶融アスファルトを塗布して、下地面2(プライマー3)に断熱材5を接着固定させてもよい。この工程が本発明に係る断熱防水工法の第1工程に相当する。
つづいて、図3に示されるように、断熱材5上に、アスファルト層4を介在させてアスファルトルーフィング6が敷き詰められる。断熱材5上に塗布されるアスファルトは、前述と同様に、加熱して流動性のある溶融アスファルトとし、断熱材5上に均一に流しかける。そして、形成されたアスファルト層4上にアスファルトルーフィング6を敷き詰める。アスファルトルーフィング6は、下地面2の広さに応じて複数枚を用いる。例えば、一定幅の帯状のアスファルトルーフィング6を用いる場合には、隣接するアスファルトルーフィング6を一部重ね合わせて隙間なく敷き詰める。アスファルトルーフィング6は、アスファルト層4が完全に固化する前にアスファルト層4上に載置する。つまり、溶融状態のアスファルト層4上にアスファルトルーフィング6を敷く。これにより、アスファルト層4の固化と共にアスファルトルーフィング6が断熱材5に接着固定される。下地面2が広範囲である場合には、複数枚の断熱材5が敷き詰められた面の一部分である所定範囲に溶融アスファルトを流しかけ、アスファルトルーフィング6を敷く作業を繰り返し行う。この工程が本発明に係る断熱防水工法の第2工程に相当する。
このようにして断熱層と防水層とからなる断熱防水構造1が施工される。断熱防水構造1では、断熱材5が断熱層として機能し、アスファルト層4及びアスファルトルーフィング6が防水層として機能する。アスファルト層4は断熱材5の上下位置に積層されているので、防水層が2層形成されていることになるが、断熱層と防水層とは必ずしも明確に区別できる必要はない。
断熱材5は、従来のスチレン系樹脂押出発泡体と比較して耐熱性に優れているので、断熱材5が積層されてなる断熱防水構造1において、耐熱性が要求される熱工法を採用することができる。特に、従来のスチレン系樹脂押出発泡体では得られなかった溶融アスファルトに対する短時間耐熱性が得られるので、熱工法を採用しても断熱材5が変形することがない。
なお、上記断熱防水構造1は、本発明に係る断熱防水構造の一例であり、例えば、防水層として、アスファルトルーフィング6が複数枚積層されたり、断熱材5の下側にアスファルトルーフィング6が敷かれたりしてもよい。また、上記断熱防水構造1では、断熱材5の上層及び下層にアスファルト層が形成されているが、これらの一方が省略されてもよい。また、断熱防水構造1は、断熱材5に積層されたアスファルトルーフィング6が表皮として露出される露出工法であるが、本発明に係る断熱防水構造では、アスファルトルーフィング6にコンクリート板や合成樹脂板が積層されてもよい。アスファルト防水においてコンクリート板や合成樹脂板が積層される工法は、一般にUSD工法又は押さえ工法と呼ばれる。
以下、本発明に係る断熱防水構造の実施例について説明する。なお、本発明が以下の実施例に限定されないことは勿論である。また、以下の実施例においては、特に断られない限り、「%」は「重量%」を表すものとする。
以下に示す実施例1から実施例8、比較例1から比較例6で得られた断熱材について、発泡体密度、ガラス転移温度、150℃耐熱性、140℃耐熱性、簡易施工後の表面平滑性、引張強度を下記の方法にしたがって評価した。
(1)発泡体密度(kg/m
発泡体密度は、次の式に基づいて求め、単位をkg/mに換算して示した。
発泡体密度(g/cm)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm
(2)ガラス転移温度(℃)
断熱材を成形後、温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、JIS K7121に準じて、示差走査熱量計により昇温速度10℃/分で250℃まで昇温し、10分間維持した後、10℃/分で30℃まで冷却した。再び250℃まで昇温したときの階段状変化を、JIS K7121の転移温度の求め方に従って測定した。
(3)150℃耐熱性(断熱材の体積変化率)、140℃耐熱性(断熱材の体積変化率)
断熱材を成形後、温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚み25mm×幅100mm×長さ100mmの試験片を切り出して、150±2℃(140℃耐熱性の場合は、140±2℃)に設定した熱風乾燥機で24時間加熱し、加熱前と加熱後の体積変化率を算出した。算出された体積変化率に基づいて以下の基準で評価した。
◎:体積変化率が1%以下である。
○:体積変化率が1%を超え、3%以下である。
△:体積変化率が3%を超え、5%以下である。
×:体積変化率が5%を超える。
(4)簡易施工後の表面平滑性
断熱材を成形後、温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚み25mm×幅100mm×長さ300mmの試験片を切り出して、各実施例及び比較例に記載される温度の溶融アスファルトを断熱材に塗布して、アスファルトルーフィングを接着させた。溶融アスファルトが完全に固化した後、断熱材、アスファルト、アスファルトルーフィングの積層を厚み方向に切断して切断面を観察し、以下の基準で評価した。
○:アスファルトが塗布された断熱材の上面の上下方向の凹凸が5mm以内である。
△:アスファルトが塗布された断熱材の上面の上下方向の凹凸が5mmを超える。
×:溶融アスファルトにより断熱材が大きく変形し、アスファルトルーフィングを接着させることができない。
(5)引張強度(N/cm
前述された簡易施工を行った後、断熱材及びアスファルトルーフィングの積層体から幅50mm×長さ50mmの試験片を切り出して、ASTM C297に準じて、断熱材を固定して引張速度0.5mm/分でアスファルトルーフィングを引っ張り、断熱材からアスファルトルーフィングが剥離又は断熱材が破断した際の強度を測定するとともに、アスファルトルーフィングが剥離した箇所を観察した。
(実施例1)
共重合体(A)として、電気化学工業株式会社、商品名:デンカIP(265℃×10kg条件で、MFR=0.2g/分)を用い、共重合体(B)として、東洋スチレン株式会社、商品名:トーヨーAS(220℃×10kg条件で、MFR=1.8g/分)を用い、共重合体(A)を50%、共重合体(B)を50%との比率で混合した。この樹脂混合物100重量部に対して、造核剤としてタルク(林化成株式会社、商品名:タルカンパウダー)0.3重量部添加してドライブレンドし、得られた樹脂組成物を二段連結型押出機へ供給した。一段目押出機に供給した樹脂組成物を約240℃に加熱して溶融混練した後、発泡剤として、ジメチルエーテル5.0重量部を一段目押出機の先端付近で樹脂組成物に圧入した。その後、一段目押出機に連結された二段目押出機において樹脂組成物を混練しながら樹脂温度を約180℃まで冷却し、二段目押出機の先端に設けられたスリットダイより樹脂温度を175℃として大気中へ押し出し、成形金型及び成形ロールにより、厚さ約30mm×幅約130mmの断面プロファイルの断熱材を得た。この断熱材に200℃に溶融したアスファルトを用いて簡易施工後の表面平滑性を試験した。
得られた断熱材の特性を表1に示す。表1に示されるように、実施例1における断熱材は、発泡体密度が33kg/mであり、ガラス転移温度が130℃であった。また、150℃耐熱性は「○」であり、140℃耐熱性は「◎」であった。簡易施工後の表面平滑性は、「○」であった。断熱材とアスファルトルーフィングの引張強度は、35N/cmであり、アスファルトルーフィングは剥離せずに断熱材が破断した。
Figure 0005065633
(実施例2)
実施例1と同様にして得られた断熱材に、240℃に溶融したアスファルトを用いて簡易施工後の表面平滑性を試験した。表1に示されるように、実施例1における断熱材は、発泡体密度が33kg/mであり、ガラス転移温度が130℃であった。また、150℃耐熱性は「○」であり、140℃耐熱性は「◎」であった。簡易施工後の表面平滑性は、「○」であった。断熱材とアスファルトルーフィングの引張強度は、37N/cmであり、アスファルトルーフィングは剥離せずに断熱材が破断した。
(実施例3)
共重合体(A)を60%、共重合体(B)を40%との比率で混合し、一段目押出機における加熱温度を約250℃、二段目押出機における樹脂温度を約190℃、スリットダイにおける樹脂温度を約185℃としたほかは、実施例1と同様にして断熱材を得た。この断熱材に240℃に溶融したアスファルトを用いて簡易施工後の表面平滑性を試験した。
得られた断熱材の特性を表1に示す。表1に示されるように、実施例3における断熱材は、発泡体密度が36kg/mであり、ガラス転移温度が140℃であった。また、150℃耐熱性は「◎」であり、140℃耐熱性は「◎」であった。簡易施工後の表面平滑性は、「○」であった。断熱材とアスファルトルーフィングの引張強度は、45N/cmであり、アスファルトルーフィングは剥離せずに断熱材が破断した。
(実施例4)
共重合体(A)を60%、共重合体(B)を40%との比率で混合し、一段目押出機における加熱温度を約250℃、二段目押出機における樹脂温度を約190℃、スリットダイにおける樹脂温度を約185℃としたほかは、実施例1と同様にして断熱材を得た。この断熱材に280℃に溶融したアスファルトを用いて簡易施工後の表面平滑性を試験した。
得られた断熱材の特性を表1に示す。表1に示されるように、実施例4における断熱材は、発泡体密度が36kg/mであり、ガラス転移温度が140℃であった。また、150℃耐熱性は「◎」であり、140℃耐熱性は「◎」であった。簡易施工後の表面平滑性は、「○」であった。断熱材とアスファルトルーフィングの引張強度は、47N/cmであり、アスファルトルーフィングは剥離せずに断熱材が破断した。
(実施例5)
共重合体(A)を60%、共重合体(B)を40%との比率で混合し、造核剤としてタルク0.1重量部を用い、発泡剤として、ジメチルエーテル2.0重量部及びイソブタン3.0重量部を用いた。また、一段目押出機における加熱温度を約250℃、二段目押出機における樹脂温度を約190℃、スリットダイにおける樹脂温度を約185℃とした。このほかは、実施例1と同様にして断熱材を得た。この断熱材に280℃に溶融したアスファルトを用いて簡易施工後の表面平滑性を試験した。
得られた断熱材の特性を表1に示す。表1に示されるように、実施例5における断熱材は、発泡体密度が40kg/mであり、ガラス転移温度が140℃であった。また、150℃耐熱性は「◎」であり、140℃耐熱性は「◎」であった。簡易施工後の表面平滑性は、「○」であった。断熱材とアスファルトルーフィングの引張強度は、50N/cmであり、アスファルトルーフィングは剥離せずに断熱材が破断した。
(実施例6)
共重合体(A)を70%、共重合体(B)を30%との比率で混合し、一段目押出機における加熱温度を約260℃、二段目押出機における樹脂温度を約200℃、スリットダイにおける樹脂温度を約190℃としたほかは、実施例1と同様にして断熱材を得た。この断熱材に280℃に溶融したアスファルトを用いて簡易施工後の表面平滑性を試験した。
得られた断熱材の特性を表1に示す。表1に示されるように、実施例6における断熱材は、発泡体密度が38kg/mであり、ガラス転移温度が150℃であった。また、150℃耐熱性は「◎」であり、140℃耐熱性は「◎」であった。簡易施工後の表面平滑性は、「○」であった。断熱材とアスファルトルーフィングの引張強度は、52N/cmであり、アスファルトルーフィングは剥離せずに断熱材が破断した。
(実施例7)
共重合体(A)を80%、共重合体(B)を20%との比率で混合し、一段目押出機における加熱温度を約270℃、二段目押出機における樹脂温度を約210℃、スリットダイにおける樹脂温度を約200℃としたほかは、実施例1と同様にして断熱材を得た。この断熱材に280℃に溶融したアスファルトを用いて簡易施工後の表面平滑性を試験した。
得られた断熱材の特性を表1に示す。表1に示されるように、実施例7における断熱材は、発泡体密度が40kg/mであり、ガラス転移温度が160℃であった。また、150℃耐熱性は「◎」であり、140℃耐熱性は「◎」であった。簡易施工後の表面平滑性は、「○」であった。断熱材とアスファルトルーフィングの引張強度は、55N/cmであり、アスファルトルーフィングは剥離せずに断熱材が破断した。
(実施例8)
共重合体(A)を90%、共重合体(B)を10%との比率で混合し、一段目押出機における加熱温度を約280℃、二段目押出機における樹脂温度を約220℃、スリットダイにおける樹脂温度を約210℃としたほかは、実施例1と同様にして断熱材を得た。この断熱材に280℃に溶融したアスファルトを用いて簡易施工後の表面平滑性を試験した。
得られた断熱材の特性を表1に示す。表1に示されるように、実施例8における断熱材は、発泡体密度が45kg/mであり、ガラス転移温度が180℃であった。また、150℃耐熱性は「◎」であり、140℃耐熱性は「◎」であった。簡易施工後の表面平滑性は、「○」であった。断熱材とアスファルトルーフィングの引張強度は、60N/cmであり、アスファルトルーフィングは剥離せずに断熱材が破断した。
(比較例1)
共重合体(A)を30%、共重合体(B)を70%との比率で混合し、一段目押出機における加熱温度を約240℃、二段目押出機における樹脂温度を約170℃、スリットダイにおける樹脂温度を約160℃としたほかは、実施例1と同様にして断熱材を得た。この断熱材に200℃に溶融したアスファルトを用いて簡易施工後の表面平滑性を試験した。
得られた断熱材の特性を表1に示す。表1に示されるように、比較例1における断熱材は、発泡体密度が35kg/mであり、ガラス転移温度が120℃であった。また、150℃耐熱性は「×」であり、140℃耐熱性は「△」であった。簡易施工後の表面平滑性は、「△」であった。断熱材とアスファルトルーフィングの引張強度は、35N/cmであり、アスファルトルーフィングは剥離せずに断熱材が破断した。
(比較例2)
共重合体(A)を30%、共重合体(B)を70%との比率で混合し、一段目押出機における加熱温度を約240℃、二段目押出機における樹脂温度を約170℃、スリットダイにおける樹脂温度を約160℃としたほかは、実施例1と同様にして断熱材を得た。この断熱材に240℃に溶融したアスファルトを用いて簡易施工後の表面平滑性を試験した。
得られた断熱材の特性を表1に示す。表1に示されるように、比較例2における断熱材は、発泡体密度が35kg/mであり、ガラス転移温度が120℃であった。また、150℃耐熱性は「×」であり、140℃耐熱性は「△」であった。簡易施工後の表面平滑性は、「×」であった。また、溶融アスファルトによる断熱材の変形が大きく、引張強度は評価できなかった。
(比較例3)
共重合体(A)を30%、共重合体(B)を70%との比率で混合し、一段目押出機における加熱温度を約240℃、二段目押出機における樹脂温度を約170℃、スリットダイにおける樹脂温度を約160℃としたほかは、実施例1と同様にして断熱材を得た。この断熱材に280℃に溶融したアスファルトを用いて簡易施工後の表面平滑性を試験した。
得られた断熱材の特性を表1に示す。表1に示されるように、比較例3における断熱材は、発泡体密度が35kg/mであり、ガラス転移温度が120℃であった。また、150℃耐熱性は「×」であり、140℃耐熱性は「△」であった。簡易施工後の表面平滑性は、「×」であった。また、溶融アスファルトによる断熱材の変形が大きく、引張強度は評価できなかった。
(比較例4)
共重合体(A)と共重合体(B)との樹脂混合物を用いずに、ポリスチレン(PSジャパン株式会社、商品名:G9401)100重量部を用い、一段目押出機における加熱温度を約220℃、二段目押出機における樹脂温度を約140℃、スリットダイにおける樹脂温度を約120℃としたほかは、実施例1と同様にして断熱材を得た。この断熱材に200℃に溶融したアスファルトを用いて簡易施工後の表面平滑性を試験した。
得られた断熱材の特性を表1に示す。表1に示されるように、比較例4における断熱材は、発泡体密度が33kg/mであり、ガラス転移温度が100℃であった。また、150℃耐熱性は「×」であり、140℃耐熱性は「×」であった。簡易施工後の表面平滑性は、「×」であった。また、溶融アスファルトによる断熱材の変形が大きく、引張強度は評価できなかった。
(比較例5)
共重合体(A)と共重合体(B)との樹脂混合物を用いずに、ポリスチレン100重量部を用い、一段目押出機における加熱温度を約220℃、二段目押出機における樹脂温度を約140℃、スリットダイにおける樹脂温度を約120℃としたほかは、実施例1と同様にして断熱材を得た。この断熱材に280℃に溶融したアスファルトを用いて簡易施工後の表面平滑性を試験した。
得られた断熱材の特性を表1に示す。表1に示されるように、比較例5における断熱材は、発泡体密度が33kg/mであり、ガラス転移温度が100℃であった。また、150℃耐熱性は「×」であり、140℃耐熱性は「×」であった。簡易施工後の表面平滑性は、「×」であった。また、溶融アスファルトによる断熱材の変形が大きく、引張強度は評価できなかった。
(比較例6)
硬質ポリウレタンフォーム(東洋ゴム株式会社、商品名:ソフランULボード)を断熱材として、この断熱材に280℃に溶融したアスファルトを用いて簡易施工後の表面平滑性を試験した。
この断熱材の特性を表1に示す。表1に示されるように、比較例6における断熱材は、発泡体密度が33kg/mであった。また、150℃耐熱性は「◎」であり、140℃耐熱性は「◎」であった。簡易施工後の表面平滑性は、「◎」であった。断熱材とアスファルトルーフィングの引張強度は、25N/cmであり、アスファルトルーフィングは、硬質ポリウレタンフォームの表面に張られていた面材(表1では「PUの面材」と称される。)と断熱材との界面から剥離した。
このように、実施例1から実施例8では、断熱材の150℃耐熱性、140℃耐熱性、及び簡易施工後の表面平滑性がいずれも良好であったのに対し、比較例1から比較例5では、断熱材の150℃耐熱性、140℃耐熱性、及び簡易施工後の表面平滑性がいずれも不良であった。また、実施例1、実施例4、実施例6から実施例8を比較すると、共重合体(A)の混合比率が高くなると、発泡体密度及びガラス転移温度がともに高くなる傾向にあり、共重合体(A)の混合比率が50%から60%とに上がることにより、150℃耐熱性が向上した。これに対し、比較例1から比較例3のように、共重合体(A)の混合比率が30%に下がることにより、実施例1より発泡体密度及びガラス転移温度がともに下がり、また、150℃耐熱性、140℃耐熱性、及び簡易施工後の表面平滑性がいずれも悪化した。また、比較例2及び比較例3では、簡易施工後の表面平滑性が「×」であり、アスファルト防水の熱工法に不適であることが確認された。また、比較例4及び比較例5についてみれば、ポリスチレン押出発泡体では、共重合体(A)と共重合体(B)との混合樹脂より、発泡体密度及びガラス転移温度がともに下がり、また、150℃耐熱性、140℃耐熱性、及び簡易施工後の表面平滑性は不良であった。断熱材とアスファルトルーフィングの引張強度についてみれば、実施例1から実施例8では、比較例6より引張強度が高く、アスファルトルーフィングが断熱材から剥離する前に断熱材が破断した。比較例6で断熱材として用いた硬質ポリウレタンフォームの表面には面材が張られており、この面材と硬質ポリウレタンフォームとの剥離が生じて引張強度が小さくなると考えられる。これにより、実施例1から実施例8の断熱材ではアスファルトルーフィングとの引張強度が向上されることが確認された。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る断熱防水構造1の構成を示す部分断面図である。 図2は、断熱防水構造1の施工方法を説明するための図である。 図3は、断熱防水構造1の施工方法を説明するための図である。
1・・・断熱防水構造
2・・・下地面
3・・・プライマー
4・・・アスファルト層
5・・・断熱材
6・・・アスファルトルーフィング

Claims (8)

  1. 構造物の下地面に、少なくとも断熱材及びアスファルト層が積層されてなる断熱防水構造であって、
    上記アスファルト層は、溶融アスファルトが熱工法によって上記断熱材に直接積層されたものであり、
    上記断熱材が、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、及びN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)と、芳香族ビニル単位及びシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)とを含有し、共重合体(A)及び共重合体(B)の総重量に対する共重合体(A)の重量比が60〜95%である樹脂組成物を発泡させてなるものである断熱防水構造。
  2. 上記アスファルト層は、上記断熱材の上層又は下層の少なくともいずれか一方をなすものである請求項1に記載の断熱防水構造。
  3. 上記アスファルト層は、アスファルトルーフィングが熱工法により上記断熱材に積層されたものである請求項1又は2に記載の断熱防水構造。
  4. 上記共重合体(A)及び上記共重合体(B)をそれぞれ構成する芳香族ビニル単位が、スチレン単位である請求項1からのいずれかに記載の断熱防水構造。
  5. 上記共重合体(A)を構成する不飽和ジカルボン酸無水物単位が、無水マレイン酸単位である請求項1からのいずれかに記載の断熱防水構造。
  6. 上記共重合体(A)を構成するN−アルキル置換マレイミド単位が、N−フェニルマレイミド単位である請求項1からのいずれかに記載の断熱防水構造。
  7. 上記共重合体(B)を構成するシアン化ビニル単位が、アクリロニトリルである請求項1からのいずれかに記載の断熱防水構造。
  8. 構造物の下地面に、又は該下地面に熱工法により積層されたアスファルト層を介在させて、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、及びN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)と、芳香族ビニル単位及びシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)とを含有する樹脂組成物を発泡させてなる断熱材を固定する第1工程と、
    上記断熱材に、防水層としてアスファルト層を熱工法により積層する第2工程と、を含み、
    上記樹脂組成物に含有される共重合体(A)及び共重合体(B)の総重量に対する共重合体(A)の重量比が60〜95%である断熱防水工法。
JP2006194574A 2006-07-14 2006-07-14 断熱防水構造及び断熱防水工法 Expired - Fee Related JP5065633B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006194574A JP5065633B2 (ja) 2006-07-14 2006-07-14 断熱防水構造及び断熱防水工法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006194574A JP5065633B2 (ja) 2006-07-14 2006-07-14 断熱防水構造及び断熱防水工法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008019681A JP2008019681A (ja) 2008-01-31
JP5065633B2 true JP5065633B2 (ja) 2012-11-07

Family

ID=39075844

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006194574A Expired - Fee Related JP5065633B2 (ja) 2006-07-14 2006-07-14 断熱防水構造及び断熱防水工法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5065633B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0425532A (ja) * 1990-05-21 1992-01-29 Denki Kagaku Kogyo Kk 発泡性樹脂組成物及びその成形品
JP3183553B2 (ja) * 1992-04-06 2001-07-09 アキレス株式会社 屋上断熱防水工法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008019681A (ja) 2008-01-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008132676A (ja) 断熱パネル
CN103374200B (zh) 一种高分子复合泡沫材料、制备方法及其应用
US5962545A (en) Method of enhancing open cell formation in alkenyl aromatic polymer foams
JPH11504362A (ja) 押出連続気泡の微小気泡発泡体、及びその製造方法
US6315932B1 (en) Processes for the production of extruded foams of styrene resins
JP5248041B2 (ja) 熱可塑性樹脂発泡体
JP5042654B2 (ja) 熱可塑性樹脂発泡体
JP2008133666A (ja) 断熱防水構造および断熱防水工法
JP5042653B2 (ja) 熱可塑性樹脂発泡体
JP4973044B2 (ja) 耐熱性熱可塑性樹脂発泡体およびその製造方法
JP5065633B2 (ja) 断熱防水構造及び断熱防水工法
JP2011122370A (ja) 断熱防水構造および断熱防水工法
JP2010133177A (ja) 耐熱性に優れた建物外部の水勾配を有する構造物
JP2008063885A (ja) 断熱防水構造及び断熱防水工法
JP2008174910A (ja) 断熱防水構造及び断熱防水工法
JP2008127910A (ja) 断熱防水構造及び断熱防水工法
JP4708315B2 (ja) 熱可塑性樹脂発泡体
JP2010150906A (ja) 断熱防水構造及び断熱防水工法
JP2010174489A (ja) 耐熱性に優れた建物外部の水勾配を有する構造物
JP4928253B2 (ja) 耐熱性熱可塑性樹脂発泡体
JP5052141B2 (ja) 熱可塑性樹脂発泡体及びその製造方法
JP2010150800A (ja) 断熱防水構造および断熱防水工法
JP2009051871A (ja) 耐熱性熱可塑性樹脂発泡体、及びその製造方法
JP3761310B2 (ja) スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法及び発泡体
JP2009051870A (ja) 耐熱性熱可塑性樹脂発泡体およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090525

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111213

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120206

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120717

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120810

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150817

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150817

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees