JP2008133666A - 断熱防水構造および断熱防水工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐熱性および耐溶剤性に優れた樹脂発泡体を用いた、構造物の断熱防水構造および断熱防水工法を提供する。
【解決手段】 断熱防水構造1は、構造物の下地面2に、少なくとも断熱材5および塩化ビニル樹脂系シート6が積層されてなる。断熱材5は、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位およびN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)と、芳香族ビニル単位およびシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)とを含有する樹脂組成物を発泡させてなる。
【選択図】 図1
【解決手段】 断熱防水構造1は、構造物の下地面2に、少なくとも断熱材5および塩化ビニル樹脂系シート6が積層されてなる。断熱材5は、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位およびN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)と、芳香族ビニル単位およびシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)とを含有する樹脂組成物を発泡させてなる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、構造物の下地面に適用される断熱防水構造および断熱防水工法に関する。
従来より、コンクリート構造物の陸屋根やバルコニー、ベランダ、水槽類(蓄熱、受水、防火各槽など)において、断熱性および防水性を付与するために、断熱材および防水層が積層された断熱防水構造が適用されている。例えば、コンクリート構造物の陸屋根の下地面に、プライマーや接着剤などを介して断熱材が固定され、該断熱材に防水シートなどが貼り付けられて防水層が形成される構造が知られている(例えば、特許文献1〜5)。
前述されたような断熱防水構造は、防水層に塩化ビニル樹脂系シートを用いるものがあり、一般に、シート防水と呼ばれている。シート防水には、断熱材や防水シートの固定に溶剤系接着剤が用いられる接着工法がある。また、シート防水には、防水層が断熱防水構造の表層として露出されるものと、防水層の上にコンクリート板やウレタン舗装板などの保護層が積層されるものとがあり、一般に、前者が露出工法、後者が保護工法と称される。保護工法は、通常、歩行を目的としたコンクリート構造物の屋上やベランダなどに採用される。
断熱防水構造に用いられる断熱材として、架橋ポリエチレンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォームが挙げられる。例えば、接着工法・露出工法のシート防水では、断熱材に耐薬品性と耐熱性が要求される。耐薬品性は、特に、溶剤系接着剤に対して要求される。また、防水層に塩化ビニル樹脂系シートを用いる場合には、シートに含有される可塑剤(例えば、フタル酸ジオクチルDOP)に対する耐性も要求される。さらに、露出工法では、夏場において、表皮となる防水シートの表面温度が最大で約80〜90℃程度まで上昇するので、その防水シートから伝導される熱に対する耐熱性が要求される。
架橋ポリエチレンフォームは、耐薬品性が極めて優れており、硬質ポリウレタンフォームは、耐薬品性および耐熱性ともに優れている。したがって、接着工法や露出工法のシート防水では、架橋ポリエチレンフォームまたは硬質ポリウレタンフォームからなる断熱材が使用されている。しかし、架橋ポリエチレンフォームは、断熱性能が低く、強度が低いというデメリットがある。硬質ポリウレタンフォームは、吸水性が高く、水が含浸した際に変形が大きいというデメリットがある。さらに、架橋ポリエチレンフォームおよび硬質ポリウレタンフォームとも、リサイクル性がなく、また、例えば、ポリスチレンフォームと比較して高価であるというデメリットがある。
一方、ポリスチレンフォームは、強度が高く、安価であり、リサイクル性もあるが、耐熱性や耐薬品性に劣るというデメリットがある。したがって、断熱材や防水シートの固定に溶剤系接着剤が用いられる接着工法や露出工法ではポリスチレンフォームからなる断熱材は不適であった。
特開2006−57401号公報
特開2001−193230号公報
特開平9−228572号公報
特開平6−158800号公報
特開平8−312073号公報
このような状況において、断熱防水構造に用いられる断熱材として、強度に優れ、安価でリサイクルが可能なポリスチレンフォームの利点と、耐熱性、耐薬品性に優れた硬質ポリウレタンフォームの利点とを併せ持つものが待ち望まれている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、耐熱性および耐薬品性に優れた樹脂発泡体を用いた構造物の断熱防水構造および断熱防水工法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前述された課題を解決するために鋭意研究した結果、耐熱性を有する共重合体と流動性に優れた共重合体とを含有する樹脂組成物を発泡させてなる発泡体を断熱材として用いることにより、接着工法や露出工法を含むシート防水に対応できる断熱防水構造となることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]本発明は、構造物の下地面に、少なくとも断熱材および塩化ビニル樹脂系シートが積層されてなる断熱防水構造であって、上記断熱材が、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、およびN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)と、芳香族ビニル単位およびシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)とを含有する樹脂組成物を発泡させてなるものである。
[2]上記断熱材と上記塩化ビニル樹脂系シートとは、溶剤系接着剤により接着固定されたものである。
[3]上記溶剤系接着剤としては、溶剤の主成分としてトルエンおよびキシレンよりなる群から選ばれる少なくとも一方を含むものが考えられる。
[4]上記塩化ビニル樹脂系シートが、表皮として露出されたものであってもよい。
[5]上記断熱材は、上記共重合体(A)を20〜90重量%、上記共重合体(B)を80〜10重量%含有する樹脂組成物を発泡させてなるものが好適である。
[6]上記共重合体(A)および上記共重合体(B)をそれぞれ構成する芳香族ビニル単位は、スチレン単位が好適である。
[7]上記共重合体(A)を構成する不飽和ジカルボン酸無水物単位は、無水マレイン酸単位が好適である。
[8]上記共重合体(A)を構成するN−アルキル置換マレイミド単位は、N−フェニルマレイミド単位が好適である。
[9]上記共重合体(B)を構成するシアン化ビニル単位は、アクリロニトリルが好適である。
[10]本発明に係る断熱防水工法は、構造物の下地面に、または該下地面に中間層を介在させて、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、およびN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)と、芳香族ビニル単位およびシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)とを含有する樹脂組成物を発泡させてなる断熱材を固定する第1工程と、上記断熱材に、塩化ビニル樹脂系シートを接着固定して積層する第2工程と、を含むものである。
このように本発明によれば、断熱防水構造を構成する断熱材を、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、およびN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)と、芳香族ビニル単位およびシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)とを含有する樹脂組成物を発泡させてなるものとしたので、塩化ビニル樹脂系シートを用いたシート防水において、耐薬品性が要求される接着工法や、耐熱性が要求される露出工法を採用することができる。
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で本実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
図1は、本実施形態に係る断熱防水構造1を示す部分断面図である。図2および図3は、断熱防水構造1の施工方法を説明するための図である。なお、各図においては、構造物の全体は示されておらず、断熱防水構造1が施工される下地面2の一部のみが示されている。
断熱防水構造1は、構造物の下地面2に積層されてなる。構造物は、鉄筋コンクリート構造や鉄骨構造の建築物に代表されるものであるが、構造物の工法や形状などは特に限定されるものではない。また、構造物の下地面2は、陸屋根や屋上、バルコニー、外壁などの構造物の外面である。例えば、鉄筋コンクリート構造物の陸屋根を下地面2として、断熱防水構造1が施工される。下地面2は、施工の容易から平面であることが好ましいが、折れ板のような面形状や湾曲面であっても断熱防水構造1を施工することは可能である。
下地面2には、プライマー3が塗布される。プライマー3は、下地面2と断熱材5との接着強度を高めるために、下地面2の表面に塗布されるものである。プライマー3として、例えば合成ゴムまたは合成樹脂系のものであって、刷毛やゴムベラで塗布しやすく、接着剤4の品質を低下させないものが好適である。下地面2は、プライマー3が塗布される前に清掃または洗浄されることが好ましい。プライマー3は必ずしも必要ではなく、下地面2と断熱材5との関係や、接着剤4の種類により、下地面2と断熱材5との接着強度が確保されるのであれば、省略されてもよい。
接着剤4は、下地面2に(プライマー3を介して)断熱材5を接着固定するためのものである。接着剤4として、溶剤系接着剤や、合成ゴム系、合成樹脂系、またはポリマーセメント系の接着剤を用いることができる。溶剤系接着剤としては、溶剤の主成分としてトルエンおよびキシレンのよりなる群から選ばれる少なくとも一方を含むものが挙げられる。ここで、主成分とは、溶剤全体を100重量%とした場合、30重量%以上含有されることをいう。
断熱材5は、断熱防水構造1において、主に断熱性能を確保する目的で用いられるものである。断熱材5は、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、およびN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)と、芳香族ビニル単位およびシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)とを含有する樹脂組成物を発泡させてなるものである。この樹脂組成物の詳細については後述される。断熱材5は、所定の厚みの平板形状の直方体であり、例えば、厚みが20〜100mm、縦横寸法が600mm×2000mmのものが用いられる。このような一定形状の断熱材5が、下地面2に隙間無く敷き詰められて、接着剤4により下地面2に接着固定される。
以下、断熱材5に用いられる樹脂組成物について詳細に説明する。前述されたように、断熱材5は、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、およびN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)と、芳香族ビニル単位およびシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)とを含有する樹脂組成物を発泡させてなるものである。
共重合体(A)および共重合体(B)を構成する芳香族ビニル単位としては、スチレン、α−メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンが挙げられる。これらのうち、工業的に安価である点から、スチレン、α−メチルスチレンが好ましく、さらに安価であるスチレンが最も好ましい。
共重合体(A)を構成する不飽和ジカルボン酸無水物単位としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸が挙げられる。これらのうち、工業的に安価である点から、無水マレイン酸が好ましい。また、吸水性を考慮すると、不飽和ジカルボン酸無水物単位は5重量%以下であることが好ましい。
共重合体(A)を構成するN−アルキル置換マレイミド単位としては、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−4−ジフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−4−ブロモフェニルマレイミド、N−1−ナフチルマレイミドが挙げられる。これらのうち、工業的に安価である点から、N−フェニルマレイミドが好ましい。また、断熱材5の耐薬品性および耐熱性を考慮すると、N−アルキル置換マレイミド単位は40重量%以上であることが好ましい。
以下に、共重合体(A)として好ましい態様の化学式を示す。なお、以下の化学式において、「NPMI」はN−アルキル置換マレイミド単位としてのN−フェニルマレイミドを、「St」は芳香族ビニル単位としてのスチレンを、「MAH」は不飽和ジカルボン酸無水物単位としての無水マレイン酸を示している。
共重合体(B)を構成するシアン化ビニル単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルが挙げられる。これらのうち、工業的に安価である点から、アクリロニトリルが好ましい。また、共重合体(A)と共重合体(B)との相溶性を考慮すると、共重合体(B)は、スチレンとアクリロニトリルの共重合体であることが好ましい。
以下に、共重合体(B)として好ましい態様の化学式を示す。なお、以下の化学式において、「St」は芳香族ビニル単位としてのスチレンを、「AN」はシアン化ビニル単位としてのアクリロニトリルを示す。
上記樹脂組成物における共重合体(A)および共重合体(B)との混合比率[(A)および(B)の合計量を100重量%とする]は、共重合体(A)が20〜90重量%、共重合体(B)が80〜10重量%が好ましく、更に好ましくは、共重合体(A)が30〜90重量%、共重合体(B)が70〜10重量%である。共重合体(A)および共重合体(B)の混合比率が上記範囲内であれば、樹脂組成物の流動性や成形性が保持されると共に、断熱材5の耐薬品性および耐熱性が共に断熱防水構造1を満足する程度に保持される。特に耐薬品性に関しては、接着剤4に含まれる溶剤、さらに塩化ビニル樹脂系シート6に含まれる可塑剤(例えば、フタル酸ジオクチルDOP)と接触しても、形状変形を起こさない点から、上記混合比率範囲の樹脂組成物が好ましい。
上記樹脂組成物には、共重合体(A)および共重合体(B)からなる熱可塑性樹脂混合物に対して、塩素原子を含有しない発泡剤を用いることができる。また、このような発泡剤として、物理系発泡剤、化学系発泡剤の1種または2種以上を使用できる。塩素原子を有しないことにより、環境への負荷が低減されるので好ましいが、本発明の目的を達成するためには、必ずしも塩素原子を含有しないことは必要ではない。
物理系発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化イソプロピルなどの塩化アルキル類、1,1−ジフルオロエタン、1,2−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1,2−トリフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタンなどのフッ素化炭化水素、二酸化炭素、窒素、水、アルゴン、ヘリウムなどの無機ガス、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、フラン、フラフール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどのエーテル類、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルなどのカルボン酸エステル類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、エチル−n−プロピルケトン、エチル−n−ブチルケトンなどのケトン類が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
化学系発泡剤としては、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p,p’−オキシビス−ベンゼンスルホニルヒドラジド、ヒドラゾジカルボンアミド、炭酸ナトリウム、アゾジカルボンアミド、テレフタルアジド、5−フェニルテトラゾール、p−トルエンスルホニルセミカルバジドなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混同して使用することができる。
前述された発泡剤のうち、オゾン層保護の観点から、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化イソプロピルなどの塩化アルキル類、二酸化炭素、窒素、水、アルゴン、ヘリウムなどの無機ガス類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類が好ましい。
また、前述された発泡剤のうち、断熱材5の軽量化、押出発泡の安定性を考慮すると、発泡剤としては、上記共重合体(A)および上記共重合体(B)を含有してなる熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、a)エーテル、塩化アルキルよりなる群から選ばれる1種以上を0.5〜10重量部と、b)炭化水素を0〜6重量部とを含有するものが好ましい。
エーテルとしては、前述されたエーテル類が挙げられるが、これらのうち、ジメチルエーテルが、押出発泡の際の押出圧力が低減され、安定して押出発泡体が製造されるので好ましい。エーテルの使用量としては、熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して0.5〜10重量部が好ましく、より好ましくは1.5〜6重量部であり、さらに好ましくは3〜5重量部である。エーテルの使用量が上記範囲内であれば、樹脂組成物へのガス分散性がよく、発泡性がよい。
塩化アルキルとしては、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化イソプロピルが挙げられる。これらのうち、塩化メチルおよび塩化エチルが、押出発泡の際の押出圧力が低減され、安定して押出発泡体が製造されるので好ましい。塩化アルキルの使用量としては、熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して0.5〜10重量部が好ましく、より好ましくは1.5〜6重量部であり、さらに好ましくは3〜5重量部である。塩化アルキルの使用量が上記範囲内であれば、樹脂組成物へのガス分散性がよく、発泡性がよい。
炭化水素としては、前述された炭化水素が挙げられるが、沸点が低すぎると、押出発泡の際に樹脂組成物における蒸気圧が高くなり、高圧の樹脂組成物を制御することになるので、製造上問題となり、沸点が高すぎると、発泡剤が断熱材5の気泡中に液状で残留し、断熱材5の耐熱性を低下させる傾向にある。したがって、炭化水素としては、−50〜85℃の範囲に沸点を有する飽和炭化水素が好ましい。このような飽和炭化水素としては、プロパン、シクロプロパン、n−ブタン、i−ブタン、シクロブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、1,2−ジメチルブタン、シクロヘキサンなどが挙げられる。これらのうち、製造安定性の点から、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンが好ましい。炭化水素の使用量としては、0〜6重量部が好ましくは、より好ましくは2〜5重量部である。炭化水素の使用量が上記範囲内であれば、発泡性、成形性が良好な発泡体が得られやすい傾向にある。
なお、本発明においては、樹脂組成物に難燃剤が添加されることが好ましい。難燃剤として、ハロゲン系難燃剤から選ばれる少なくとも1種が用いられることがさらに好ましい。また、リン酸エステル系化合物、窒素含有化合物を上記難燃剤と共存させてもよい。
また、本発明においては、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲内で、シリカ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、帯電防止剤、着色剤などの添加物が用いられてもよい。
また、本発明においては、必要に応じて安定剤が用いられてもよい。本発明に使用される安定剤としては、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤などが挙げられる。
断熱材5は、上記樹脂組成物を用いて、公知の押出発泡法により得られる。例えば、上記熱可塑性樹脂混合物を公知の押出機に供給して高温高圧下で加熱溶融してゲル状にし、押出機内に発泡剤を圧入して混練し、押出発泡に適した樹脂温度まで冷却し、高圧領域からスリットダイなどのダイを通して低圧領域に押出発泡して、板状の断熱材5を得る。
押出発泡の条件として、スリットダイにおける圧力は、3MPa以上であることが好ましく、より好ましくは4MPa以上である。発泡剤が気化しないように、また、樹脂組成物に十分溶解するように押出系内圧力を高圧に保持することは勿論である。スリットダイにおける圧力が上記範囲外であると、ガスの吹出し、ボイドの発生、押出系内の圧力変動による押出発泡体の断面プロファイルの変動が生じる傾向にある。
熱可塑性樹脂混合物に難燃剤などの添加剤を添加する手順として、例えば、熱可塑性樹脂混合物に対して難燃剤などを添加して混合した後、押出機に供給して加熱溶融し、さらに発泡剤を添加して混合する手順が挙げられるが、各種添加剤を熱可塑性樹脂混合物に添加するタイミングや混練時間は特に限定されない。
熱可塑性樹脂混合物の加熱温度は、そのガラス転移温度または融点以上であればよいが、難燃剤などの影響による樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度が好ましい。溶融混練時間は、単位時間当たりの樹脂組成物の押出量や押出機の種類により異なるので一義的に規定することはできず、熱可塑性樹脂混合物と発泡剤や添加剤とが均一に分散混合されるに要する時間として適宜設定される。
樹脂組成物の加熱溶融手段としては、例えばスクリュー型の押出機などが挙げられるが、通常の押出発泡に用いられているものであれば特に制限されない。ただし、樹脂の分子劣化をできる限り抑えるためには、押出機のスクリュー形状を低剪断タイプのものとすることが好ましい。
押出発泡法は、例えば、押出成形用に使用される開口部が直線のスリット形状を有するスリットダイを通じて、高圧領域から低圧領域へ圧力開放して得られた押出発泡体を、スリットダイと密着または接して設置された成形金型、および該成形金型の下流側に隣接して設置された成形ロールなどを用いて、断熱材5に成形する方法が用いられる。成形金型の流動面形状調整および金型温度調整によって、所望の発泡体の断面形状、発泡体表面性、発泡体品質が得られる。
断熱材5の気泡構造として、均一気泡構造や大小気泡が混在した複合気泡構造が挙げられる。気泡の平均径は、主として0.05〜2.0mmであることが好ましい。気泡径は、例えば、押出発泡体の断面の一部をサンプリングし、それを走査型電子顕微鏡にて拡大撮影して得られた写真から平均気泡径をASTM D−3576に準じて測定することができる。気泡径は、必ずしもすべてが上記範囲内である必要はなく、少なくとも気泡径の平均値が上記範囲内であればよい。気泡径が上記範囲未満であれば、断熱材5の成形性が悪くなって、安定した製造が困難になる傾向にある。気泡径が上記範囲を超えると、断熱材5表面の外観が悪化する傾向にある。
断熱材5の発泡体密度は、20〜100kg/m3であることが好ましい。発泡体密度が上記範囲内にあれば、平面圧縮強度に代表される面圧縮強度が発現される傾向にある。
なお、断熱材5の製造方法は押出発泡法に限定されず、例えば、予備発泡された発泡性ビーズを用いて成形金型で発泡成形を行う方法など、公知の他の方法が用いられてもよい。
断熱材5には、接着剤4を介在させて塩化ビニル樹脂系シート6が積層される。塩化ビニル樹脂系シート6は、主に防水性能を確保する目的で用いられるものであり、本断熱防水構造1において表皮として露出される。塩化ビニル樹脂系シート6は、例えば、厚みが1〜3mm、幅が1000〜1500mmの帯状のものが断熱材5に隙間無く敷き詰められて、接着剤4により接着固定される。塩化ビニル樹脂系シート6の継ぎ目は重ねられ、熱融着あるいは溶剤溶着された後、必要に応じてテープなどで目張りされる。塩化ビニル樹脂系シート6は、JIS A6008に規定されている塩化ビニル樹脂系シート、具体的には塩化ビニル樹脂、塩化ビニル共重合体などに可塑剤、安定剤、着色剤などを加えて混練し、カレンダーロールや押出機でシート状に成形したものが挙げられる。
塩化ビニル樹脂系シート6の表面には、仕上げ塗料7が塗布される。仕上げ塗料7は、構造物の外観の意匠に合わせて用いられるものである。構造物の外観から、塩化ビニル樹脂系シート6の素材の色や質感が許容される場合には、仕上げ塗料7は省略されてもよい。なお、本発明において断熱防水構造の表皮とは、仕上げ塗料7のように塩化ビニル樹脂系シート6に塗布されるものを含まない概念である。したがって、本断熱防水構造1における表皮は、塩化ビニル樹脂系シート6により構成されることになる。
以下に、断熱防水構造1の施工方法(断熱防水工法)が説明される。この施工方法は、一般にシート防水の接着工法に分類されるものである。まず、鉄筋コンクリート構造物の陸屋根などの下地面2を清掃および洗浄し、下地面2を十分に乾燥した後にプライマー3を塗布する。プライマー3を十分に乾燥させた後、図2に示されるように、接着剤4を塗布して断熱材5を敷き詰める。断熱材5は、下地面2の広さに応じて複数枚を用い、隣接する断熱材5同士を密着させてプライマー3上に並べる。断熱材5は、接着剤4が固化する前に載置して、下地面2(プライマー3)に接着固定する。下地面2が広範囲である場合には、下地面2(プライマー3)の一部分である所定範囲に接着剤4を塗布し、断熱材5を載置する作業を繰り返し行う。この工程が本発明に係る断熱防水工法の第1工程に相当する。
続いて、図3に示されるように、断熱材5上に、接着剤4を塗布して塩化ビニル樹脂系シート6が敷き詰められる。塩化ビニル樹脂系シート6は、下地面2の広さに応じて複数枚を用いる。例えば、一定幅の帯状の塩化ビニル樹脂系シート6を用いる場合には、隣接する塩化ビニル樹脂系シート6を一部重ね合わせて隙間なく敷き詰める。また、塩化ビニル樹脂系シート6の継ぎ目は、熱融着あるいは溶剤溶着された後、必要に応じてテープなどで目張りされて水密性を確保する。これにより、塩化ビニル樹脂系シート6が断熱材5に接着固定される。下地面2が広範囲である場合には、複数枚の断熱材5が敷き詰められた面の一部分である所定範囲に接着剤4を塗布して、塩化ビニル樹脂系シート6を敷く作業を繰り返し行う。この工程が本発明に係る断熱防水工法の第2工程に相当する。
このようにして断熱層と防水層とからなる断熱防水構造1が施工される。断熱防水構造1では、断熱材5が断熱層として機能し、塩化ビニル樹脂系シート6が防水層として機能する。断熱材5は、従来のポリスチレンフォームと比較して耐薬品性に優れているので、下地面2に対する断熱材5の固定、断熱材5と塩化ビニル樹脂系シート6との接着に接着剤4を用いることができる。また、塩化ビニル樹脂系シート6に含有される可塑剤に対しても耐性があるため、塩化ビニル樹脂系シート6を断熱材5に直接固定することができる。従来のポリスチレンフォームでは、塩化ビニル樹脂系シートに含まれる可塑剤に対して耐性が無い為、樹脂系あるいは繊維系シートを断熱材と塩化ビニル樹脂系シートとの間に介在させ、断熱材と塩化ビニル樹脂系シートとの間を絶縁することにより、可塑剤移行を防止させている。そのため、塩化ビニル樹脂系シートを直接固定できることは、断熱材の後加工あるいは施行現場での工数低減の面で、より好ましい。
さらに、断熱材5は、従来のポリスチレンフォームと比較して耐熱性に優れているので、塩化ビニル樹脂系シート6が表皮として露出される露出工法を採用しても、日射による加熱により断熱材5が変形することがない。
なお、上記断熱防水構造1は、本発明に係る断熱防水構造の一例であり、例えば、防水層として、塩化ビニル樹脂系シート6が複数枚積層されたり、断熱材5の下側にプライマー3以外のシートなどが敷かれたりしてもよい。また、断熱防水構造1は、断熱材5に積層された塩化ビニル樹脂系シート6が表皮として露出される露出工法であるが、本発明に係る断熱防水構造では、塩化ビニル樹脂系シート6にコンクリート板や合成樹脂板が積層されてもよい。シート防水においてコンクリート板や合成樹脂板が積層される工法は、一般に保護工法と呼ばれる。
以下、上記断熱材5についての実施例について説明する。なお、本発明が、以下の実施例に限定されないことは勿論である。また、以下の実施例においては、特に断られない限り、樹脂組成に関しては、「%」は「重量%」を表すものとする。
以下に示す実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例3で得られた断熱材について、発泡体密度、平均セル径、100℃耐熱性、ガラス転移温度、曲げたわみ量、40℃耐久性、80℃耐久性および耐可塑剤性を、下記の方法に従って測定した。また、各断熱材を用いて、塩化ビニル樹脂系シートとの積層構造を作製して簡易施工試験を行った。
(1)発泡体密度(kg/m3)
発泡体密度は、次の式に基づいて求め、単位をkg/m3に換算して示した。
発泡体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm3)
発泡体密度は、次の式に基づいて求め、単位をkg/m3に換算して示した。
発泡体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm3)
(2)平均セル径(mm)
断熱材を幅方向(押出方向と直交する水平方向)に沿って垂直(厚さ方向)に切断した断面においてサンプリングし、そのサンプルを走査型電子顕微鏡にて50〜100倍に拡大して写真撮影した。得られた写真から平均セル径をASTM D−3576に準じて測定し、各気泡において、厚み方向のセル径(HD)と幅方向のセル径(TD)とを測定して、各方向のセル径の積を3乗根した値を以下の式より算出した。
平均セル径=(HD×TD×MD)1/3
断熱材を幅方向(押出方向と直交する水平方向)に沿って垂直(厚さ方向)に切断した断面においてサンプリングし、そのサンプルを走査型電子顕微鏡にて50〜100倍に拡大して写真撮影した。得られた写真から平均セル径をASTM D−3576に準じて測定し、各気泡において、厚み方向のセル径(HD)と幅方向のセル径(TD)とを測定して、各方向のセル径の積を3乗根した値を以下の式より算出した。
平均セル径=(HD×TD×MD)1/3
(3)100℃耐熱性(断熱材の体積変化率)
断熱材を温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚み25mm×幅100mm×長さ300mmのサンプルを切り出して、100±2℃に設定した熱風乾燥機で24時間乾燥し、加熱前と加熱後の体積変化率を算出した。求められた体積変化率を以下の基準で判断した。
◎:体積変化率が1%以下である。
○:体積変化率が1%を超え、3%以下である。
△:体積変化率が3%を超え、5%以下である。
×:体積変化率が5%を超える。
断熱材を温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚み25mm×幅100mm×長さ300mmのサンプルを切り出して、100±2℃に設定した熱風乾燥機で24時間乾燥し、加熱前と加熱後の体積変化率を算出した。求められた体積変化率を以下の基準で判断した。
◎:体積変化率が1%以下である。
○:体積変化率が1%を超え、3%以下である。
△:体積変化率が3%を超え、5%以下である。
×:体積変化率が5%を超える。
(4)ガラス転移温度(℃)
断熱材を成形後、温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、JIS K7121に準じて、示差走査熱量計により昇温速度10℃/分で250℃まで昇温し、10分間維持した後、10℃/分で30℃まで冷却した。再び250℃まで昇温したときの階段状変化を、JIS K7121の転移温度の求め方に従って測定した。
断熱材を成形後、温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、JIS K7121に準じて、示差走査熱量計により昇温速度10℃/分で250℃まで昇温し、10分間維持した後、10℃/分で30℃まで冷却した。再び250℃まで昇温したときの階段状変化を、JIS K7121の転移温度の求め方に従って測定した。
(5)曲げたわみ量
断熱材を成形後、温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚み25mm×幅75mm×長さ300mmのサンプルを切り出して、JIS K7221に準じて曲げ試験を実施し、断熱材が破断した際の曲げたわみ量を測定した。
断熱材を成形後、温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚み25mm×幅75mm×長さ300mmのサンプルを切り出して、JIS K7221に準じて曲げ試験を実施し、断熱材が破断した際の曲げたわみ量を測定した。
(6)40℃耐久性
断熱材を温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚みを25mmのままとして幅100mm×長さ300mmのサンプルを切り出して、40℃の温浴に60日間浸漬した後、厚み寸法の変化を算出した。求められた寸法変化を以下の基準で判断した。
◎:寸法変化が、±1.5mm未満である。
○:寸法変化が、±1.5mm超、±3.0mm未満である。
△:寸法変化が、±3.0mm超、±5.0mm未満である。
×:寸法変化が、±5.0mm以上である。
断熱材を温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚みを25mmのままとして幅100mm×長さ300mmのサンプルを切り出して、40℃の温浴に60日間浸漬した後、厚み寸法の変化を算出した。求められた寸法変化を以下の基準で判断した。
◎:寸法変化が、±1.5mm未満である。
○:寸法変化が、±1.5mm超、±3.0mm未満である。
△:寸法変化が、±3.0mm超、±5.0mm未満である。
×:寸法変化が、±5.0mm以上である。
(7)80℃耐久性
断熱材を温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚み25mmのままとして幅100mm×長さ300mmのサンプルを切り出して、80℃のオイルバスに60日間浸漬した後、断熱材の厚み方向の反りを測定した。求められた反りを以下の基準で判断した。
◎:反りが、±0.5mm未満である。
○:反りが、±0.5mm超、±1.0mm未満である。
△:反りが、±1.0mm超、±1.5mm未満である。
×:反りが、±1.5mm以上である。
断熱材を温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚み25mmのままとして幅100mm×長さ300mmのサンプルを切り出して、80℃のオイルバスに60日間浸漬した後、断熱材の厚み方向の反りを測定した。求められた反りを以下の基準で判断した。
◎:反りが、±0.5mm未満である。
○:反りが、±0.5mm超、±1.0mm未満である。
△:反りが、±1.0mm超、±1.5mm未満である。
×:反りが、±1.5mm以上である。
(8)耐可塑剤性
断熱材を成形後、温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚み25mmのままとして幅100mm×長さ300mmのサンプルを切り出した。各断熱材の表面に、可塑剤(フタル酸ジオクチルDOP)を直接0.2kg/m2塗布した後、断熱材の表面の外観を、以下の基準で評価した。
○:断熱材の表面に、凹凸が認められない。
×:断熱材の表面に、凹凸が顕著に認められる。
断熱材を成形後、温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚み25mmのままとして幅100mm×長さ300mmのサンプルを切り出した。各断熱材の表面に、可塑剤(フタル酸ジオクチルDOP)を直接0.2kg/m2塗布した後、断熱材の表面の外観を、以下の基準で評価した。
○:断熱材の表面に、凹凸が認められない。
×:断熱材の表面に、凹凸が顕著に認められる。
(9)簡易施工試験
断熱材を成形後、温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚み25mmのままとして幅100mm×長さ300mmの試験片を切り出した。なお、比較例3については市販の架橋ポリエチレン系樹脂発泡体を用いた。各断熱材の表面に、溶剤系接着剤(三ツ星ベルト(株)製、商品名:ネオボンドRW、溶剤主成分:トルエン50〜60%含有)0.5kg/m2を塗布して、塩化ビニル樹脂系シート(アーキヤマデ(株)製、商品名:リベットルーフ)を接着させた。接着剤が完全に固化した後、断熱材の耐接着剤性、塩化ビニル樹脂系シートの表面の外観を、それぞれ評価した。
(9−a)耐接着剤性
断熱材と塩化ビニル樹脂系シートとの積層構造体を厚み方向に切断して断面構造を観察した。接着剤による断熱材の表面の厚み方向の変形を以下の基準で評価した。
○:断熱材の表面の変形が5mm以内である。
△:断熱材の表面の変形が5mm超10mm以内である。
×:断熱材の表面の変形が10mmを超える。
(9−b)シート表面
断熱材に積層された塩化ビニル樹脂系シートの表面の平滑性を観察して、以下の基準で評価した。なお、塩化ビニル樹脂系シートの表面平滑性は、断熱材表面の溶解による凹凸を反映しているものと推察される。
○:塩化ビニル樹脂系シートの表面に凹凸がほぼ認められない。
△:塩化ビニル樹脂系シートの表面に凹凸が認められる。
×:塩化ビニル樹脂系シートの表面の凹凸が顕著である。
断熱材を成形後、温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚み25mmのままとして幅100mm×長さ300mmの試験片を切り出した。なお、比較例3については市販の架橋ポリエチレン系樹脂発泡体を用いた。各断熱材の表面に、溶剤系接着剤(三ツ星ベルト(株)製、商品名:ネオボンドRW、溶剤主成分:トルエン50〜60%含有)0.5kg/m2を塗布して、塩化ビニル樹脂系シート(アーキヤマデ(株)製、商品名:リベットルーフ)を接着させた。接着剤が完全に固化した後、断熱材の耐接着剤性、塩化ビニル樹脂系シートの表面の外観を、それぞれ評価した。
(9−a)耐接着剤性
断熱材と塩化ビニル樹脂系シートとの積層構造体を厚み方向に切断して断面構造を観察した。接着剤による断熱材の表面の厚み方向の変形を以下の基準で評価した。
○:断熱材の表面の変形が5mm以内である。
△:断熱材の表面の変形が5mm超10mm以内である。
×:断熱材の表面の変形が10mmを超える。
(9−b)シート表面
断熱材に積層された塩化ビニル樹脂系シートの表面の平滑性を観察して、以下の基準で評価した。なお、塩化ビニル樹脂系シートの表面平滑性は、断熱材表面の溶解による凹凸を反映しているものと推察される。
○:塩化ビニル樹脂系シートの表面に凹凸がほぼ認められない。
△:塩化ビニル樹脂系シートの表面に凹凸が認められる。
×:塩化ビニル樹脂系シートの表面の凹凸が顕著である。
(実施例1)
共重合体(A)として、電気化学工業(株)製、商品名:デンカIP(265℃×10kg条件で、MFR=0.2g/分)を用い、共重合体(B)として、東洋スチレン(株)製、商品名:トーヨーAS(220℃×10kg条件で、MFR=1.8g/分)を用い、共重合体(A)30%と共重合体(B)70%とを混合した。この熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、造核剤としてタルク(林化成(株)製、商品名:タルカンパウダー)0.3重量部、添加剤としてステアリン酸カルシウム0.2重量部をドライブレンドし、得られた樹脂組成物を、口径65mmの単軸押出機と口径90mmの単軸押出機を直列に連結した二段連結型押出機へ供給した。一段目押出機に供給した樹脂組成物を約240℃に加熱して溶融混練した後、発泡剤としてジメチルエーテル(三井化学(株)製)5.0重量部を一段目押出機の先端付近で樹脂組成物に圧入した。その後、一段目押出機に連結された二段目押出機において樹脂組成物を混練しながら樹脂温度を約170℃付近まで冷却し、二段目押出機の先端に設けられたスリットダイより大気中へ押し出した。スリットダイにおける吐出量は45kg/時間、樹脂温度は158℃、スリット圧力は5.9MPaとした。吐出された樹脂を、成形金型および成形ロールにより、厚さ約25mm×幅約130mmの断面プロファイルであって、表面にスキン層を有する断熱材を得た。
得られた断熱材に関して評価を行い、その結果を表1に示す。表1に示されるように、実施例1における断熱材は、発泡体密度が34kg/m3、平均セル径が0.4mm、ガラス転移温度が128℃、曲げたわみ量が35mmであった。また、100℃耐熱性は「◎」、40℃耐久性は「◎」、80℃耐久性は「◎」、耐可塑剤性は「○」であった。簡易施工試験による耐接着剤性は「○」、シート表面は「○」であった。
共重合体(A)として、電気化学工業(株)製、商品名:デンカIP(265℃×10kg条件で、MFR=0.2g/分)を用い、共重合体(B)として、東洋スチレン(株)製、商品名:トーヨーAS(220℃×10kg条件で、MFR=1.8g/分)を用い、共重合体(A)30%と共重合体(B)70%とを混合した。この熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、造核剤としてタルク(林化成(株)製、商品名:タルカンパウダー)0.3重量部、添加剤としてステアリン酸カルシウム0.2重量部をドライブレンドし、得られた樹脂組成物を、口径65mmの単軸押出機と口径90mmの単軸押出機を直列に連結した二段連結型押出機へ供給した。一段目押出機に供給した樹脂組成物を約240℃に加熱して溶融混練した後、発泡剤としてジメチルエーテル(三井化学(株)製)5.0重量部を一段目押出機の先端付近で樹脂組成物に圧入した。その後、一段目押出機に連結された二段目押出機において樹脂組成物を混練しながら樹脂温度を約170℃付近まで冷却し、二段目押出機の先端に設けられたスリットダイより大気中へ押し出した。スリットダイにおける吐出量は45kg/時間、樹脂温度は158℃、スリット圧力は5.9MPaとした。吐出された樹脂を、成形金型および成形ロールにより、厚さ約25mm×幅約130mmの断面プロファイルであって、表面にスキン層を有する断熱材を得た。
得られた断熱材に関して評価を行い、その結果を表1に示す。表1に示されるように、実施例1における断熱材は、発泡体密度が34kg/m3、平均セル径が0.4mm、ガラス転移温度が128℃、曲げたわみ量が35mmであった。また、100℃耐熱性は「◎」、40℃耐久性は「◎」、80℃耐久性は「◎」、耐可塑剤性は「○」であった。簡易施工試験による耐接着剤性は「○」、シート表面は「○」であった。
(実施例2)
共重合体(A)45%と共重合体(B)55%とを混合して熱可塑性樹脂混合物とし、一段目押出機において約240℃、二段目押出機において約180℃に加熱溶融し、スリットダイにおける吐出量を47kg/時間、樹脂温度を170℃、スリット圧力を6.3MPaとした以外は、実施例1と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材に関して評価を行い、その結果を表1に示す。表1に示されるように、実施例2における断熱材は、発泡体密度が42kg/m3、平均セル径が0.3mm、ガラス転移温度が140℃、曲げたわみ量が19mmであった。また、100℃耐熱性は「◎」、40℃耐久性は「◎」、80℃耐久性は「◎」、耐可塑剤性は「○」であった。簡易施工試験による耐接着剤性は「○」、シート表面は「○」であった。
共重合体(A)45%と共重合体(B)55%とを混合して熱可塑性樹脂混合物とし、一段目押出機において約240℃、二段目押出機において約180℃に加熱溶融し、スリットダイにおける吐出量を47kg/時間、樹脂温度を170℃、スリット圧力を6.3MPaとした以外は、実施例1と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材に関して評価を行い、その結果を表1に示す。表1に示されるように、実施例2における断熱材は、発泡体密度が42kg/m3、平均セル径が0.3mm、ガラス転移温度が140℃、曲げたわみ量が19mmであった。また、100℃耐熱性は「◎」、40℃耐久性は「◎」、80℃耐久性は「◎」、耐可塑剤性は「○」であった。簡易施工試験による耐接着剤性は「○」、シート表面は「○」であった。
(実施例3)
共重合体(A)60%と共重合体(B)40%とを混合して熱可塑性樹脂混合物とし、一段目押出機において約250℃、二段目押出機において約200℃に加熱溶融し、スリットダイにおける吐出量を43kg/時間、樹脂温度を185℃、スリット圧力を6.1MPaとした以外は、実施例1と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材に関して評価を行い、その結果を表1に示す。表1に示されるように、実施例3における断熱材は、発泡体密度が38kg/m3、平均セル径が0.3mm、ガラス転移温度が150℃、曲げたわみ量が7mmであった。また、100℃耐熱性は「◎」、40℃耐久性は「◎」、80℃耐久性は「◎」、耐可塑剤性は「○」であった。簡易施工試験による耐接着剤性は「○」、シート表面は「○」であった。
共重合体(A)60%と共重合体(B)40%とを混合して熱可塑性樹脂混合物とし、一段目押出機において約250℃、二段目押出機において約200℃に加熱溶融し、スリットダイにおける吐出量を43kg/時間、樹脂温度を185℃、スリット圧力を6.1MPaとした以外は、実施例1と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材に関して評価を行い、その結果を表1に示す。表1に示されるように、実施例3における断熱材は、発泡体密度が38kg/m3、平均セル径が0.3mm、ガラス転移温度が150℃、曲げたわみ量が7mmであった。また、100℃耐熱性は「◎」、40℃耐久性は「◎」、80℃耐久性は「◎」、耐可塑剤性は「○」であった。簡易施工試験による耐接着剤性は「○」、シート表面は「○」であった。
(実施例4)
共重合体(A)80%と共重合体(B)20%とを混合して熱可塑性樹脂混合物とし、一段目押出機において約270℃、二段目押出機において約210℃に加熱溶融し、スリットダイにおける吐出量を45kg/時間、樹脂温度を195℃、スリット圧力を6.5MPaとした以外は、実施例1と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材に関して評価を行い、その結果を表1に示す。表1に示されるように、実施例4における断熱材は、発泡体密度が40kg/m3、平均セル径が0.3mm、ガラス転移温度が170℃、曲げたわみ量が5mmであった。また、100℃耐熱性は「◎」、40℃耐久性は「◎」、80℃耐久性は「◎」、耐可塑剤性は「○」であった。簡易施工試験による耐接着剤性は「○」、シート表面は「○」であった。
共重合体(A)80%と共重合体(B)20%とを混合して熱可塑性樹脂混合物とし、一段目押出機において約270℃、二段目押出機において約210℃に加熱溶融し、スリットダイにおける吐出量を45kg/時間、樹脂温度を195℃、スリット圧力を6.5MPaとした以外は、実施例1と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材に関して評価を行い、その結果を表1に示す。表1に示されるように、実施例4における断熱材は、発泡体密度が40kg/m3、平均セル径が0.3mm、ガラス転移温度が170℃、曲げたわみ量が5mmであった。また、100℃耐熱性は「◎」、40℃耐久性は「◎」、80℃耐久性は「◎」、耐可塑剤性は「○」であった。簡易施工試験による耐接着剤性は「○」、シート表面は「○」であった。
(実施例5)
共重合体(A)30%と共重合体(B)70%とを混合した。この熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、造核剤としてタルク0.1重量部、添加剤としてステアリン酸カルシウム0.2重量部をドライブレンドし、得られた樹脂組成物を二段連結型押出機へ供給した。一段目押出機に供給した樹脂組成物を約240℃に加熱して溶融混練した後、発泡剤として、ジメチルエーテル3.0重量部、イソブタン(三井化学(株)製)3.0重量部を一段目押出機の先端付近で樹脂組成物に圧入した。その後、一段目押出機に連結された二段目押出機において樹脂組成物を混練しながら樹脂温度を約170℃付近まで冷却し、二段目押出機の先端に設けられたスリットダイより大気中へ押し出した。スリットダイにおける吐出量は50kg/時間、樹脂温度は155℃、スリット圧力は6.3MPaとした。吐出された樹脂を、成形金型および成形ロールにより、厚さ約25mm×幅約130mmの断面プロファイルであって、表面にスキン層を有する断熱材を得た。
得られた断熱材に関して評価を行い、その結果を表1に示す。表1に示されるように、実施例5における断熱材は、発泡体密度が45kg/m3、平均セル径が0.2mm、ガラス転移温度が125℃、曲げたわみ量が29mmであった。また、100℃耐熱性は「◎」、40℃耐久性は「◎」、80℃耐久性は「◎」、耐可塑剤性は「○」であった。簡易施工試験による耐接着剤性は「○」、シート表面は「○」であった。
共重合体(A)30%と共重合体(B)70%とを混合した。この熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、造核剤としてタルク0.1重量部、添加剤としてステアリン酸カルシウム0.2重量部をドライブレンドし、得られた樹脂組成物を二段連結型押出機へ供給した。一段目押出機に供給した樹脂組成物を約240℃に加熱して溶融混練した後、発泡剤として、ジメチルエーテル3.0重量部、イソブタン(三井化学(株)製)3.0重量部を一段目押出機の先端付近で樹脂組成物に圧入した。その後、一段目押出機に連結された二段目押出機において樹脂組成物を混練しながら樹脂温度を約170℃付近まで冷却し、二段目押出機の先端に設けられたスリットダイより大気中へ押し出した。スリットダイにおける吐出量は50kg/時間、樹脂温度は155℃、スリット圧力は6.3MPaとした。吐出された樹脂を、成形金型および成形ロールにより、厚さ約25mm×幅約130mmの断面プロファイルであって、表面にスキン層を有する断熱材を得た。
得られた断熱材に関して評価を行い、その結果を表1に示す。表1に示されるように、実施例5における断熱材は、発泡体密度が45kg/m3、平均セル径が0.2mm、ガラス転移温度が125℃、曲げたわみ量が29mmであった。また、100℃耐熱性は「◎」、40℃耐久性は「◎」、80℃耐久性は「◎」、耐可塑剤性は「○」であった。簡易施工試験による耐接着剤性は「○」、シート表面は「○」であった。
(実施例6)
共重合体(A)60%と共重合体(B)40%とを混合して熱可塑性樹脂混合物とし、一段目押出機において約250℃、二段目押出機において約200℃に加熱溶融し、スリットダイにおける吐出量を47kg/時間、樹脂温度を180℃、スリット圧力を6.5MPaとした以外は、実施例5と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材に関して評価を行い、その結果を表1に示す。表1に示されるように、実施例6における断熱材は、発泡体密度が40kg/m3、平均セル径が0.2mm、ガラス転移温度が150℃、曲げたわみ量が6mmであった。また、100℃耐熱性は「◎」、40℃耐久性は「◎」、80℃耐久性は「◎」、耐可塑剤性は「○」であった。簡易施工試験による耐接着剤性は「○」、シート表面は「○」であった。
共重合体(A)60%と共重合体(B)40%とを混合して熱可塑性樹脂混合物とし、一段目押出機において約250℃、二段目押出機において約200℃に加熱溶融し、スリットダイにおける吐出量を47kg/時間、樹脂温度を180℃、スリット圧力を6.5MPaとした以外は、実施例5と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材に関して評価を行い、その結果を表1に示す。表1に示されるように、実施例6における断熱材は、発泡体密度が40kg/m3、平均セル径が0.2mm、ガラス転移温度が150℃、曲げたわみ量が6mmであった。また、100℃耐熱性は「◎」、40℃耐久性は「◎」、80℃耐久性は「◎」、耐可塑剤性は「○」であった。簡易施工試験による耐接着剤性は「○」、シート表面は「○」であった。
(比較例1)
共重合体(A)10%と共重合体(B)90%とを混合して熱可塑性樹脂混合物とし、一段目押出機において約230℃、二段目押出機において約150℃に加熱溶融し、スリットダイにおける吐出量を45kg/時間、樹脂温度を140℃、スリット圧力を5.7MPaとした以外は、実施例1と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材に関して評価を行い、その結果を表1に示す。表1に示されるように、比較例1における断熱材は、発泡体密度が33kg/m3、平均セル径が0.4mm、ガラス転移温度が115℃、曲げたわみ量が60mmであった。また、100℃耐熱性は「○」、40℃耐久性は「○」、80℃耐久性は「○」、耐可塑剤性は「○」であった。簡易施工試験による耐接着剤性は「△」、シート表面は「△」であった。
共重合体(A)10%と共重合体(B)90%とを混合して熱可塑性樹脂混合物とし、一段目押出機において約230℃、二段目押出機において約150℃に加熱溶融し、スリットダイにおける吐出量を45kg/時間、樹脂温度を140℃、スリット圧力を5.7MPaとした以外は、実施例1と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材に関して評価を行い、その結果を表1に示す。表1に示されるように、比較例1における断熱材は、発泡体密度が33kg/m3、平均セル径が0.4mm、ガラス転移温度が115℃、曲げたわみ量が60mmであった。また、100℃耐熱性は「○」、40℃耐久性は「○」、80℃耐久性は「○」、耐可塑剤性は「○」であった。簡易施工試験による耐接着剤性は「△」、シート表面は「△」であった。
(比較例2)
共重合体(A)および共重合体(B)に代えて、ポリスチレン樹脂(PSジャパン(株)商品名:G9401)を用い、一段目押出機において約230℃、二段目押出機において約140℃に加熱溶融し、スリットダイにおける吐出量を50kg/時間、樹脂温度を123℃、スリット圧力を5.5MPaとした以外は、実施例1と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材に関して評価を行い、その結果を表1に示す。表1に示されるように、比較例2における断熱材は、発泡体密度が35kg/m3、平均セル径が0.3mm、ガラス転移温度が100℃、曲げたわみ量が43mmであった。また、100℃耐熱性は「×」、40℃耐久性は「△」、80℃耐久性は「×」、耐可塑剤性は「×」であった。簡易施工試験による耐接着剤性は「×」、シート表面は「×」であった。
共重合体(A)および共重合体(B)に代えて、ポリスチレン樹脂(PSジャパン(株)商品名:G9401)を用い、一段目押出機において約230℃、二段目押出機において約140℃に加熱溶融し、スリットダイにおける吐出量を50kg/時間、樹脂温度を123℃、スリット圧力を5.5MPaとした以外は、実施例1と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材に関して評価を行い、その結果を表1に示す。表1に示されるように、比較例2における断熱材は、発泡体密度が35kg/m3、平均セル径が0.3mm、ガラス転移温度が100℃、曲げたわみ量が43mmであった。また、100℃耐熱性は「×」、40℃耐久性は「△」、80℃耐久性は「×」、耐可塑剤性は「×」であった。簡易施工試験による耐接着剤性は「×」、シート表面は「×」であった。
(比較例3)
市販の架橋ポリエチレン系樹脂発泡体(古河電工(株)、商品名:フォームエースSN3000W、厚み30mm、スキン層あり)を用いて、40℃耐久性、80℃耐久性および耐可塑剤性の評価を行い、簡易施工試験を行った。
その結果を表1に示す。表1に示されるように、比較例3では、40℃耐久性は「×」、80℃耐久性は「×」、耐可塑剤性は「○」であった。簡易施工試験による耐接着剤性は「○」、シート表面は「○」であった。
市販の架橋ポリエチレン系樹脂発泡体(古河電工(株)、商品名:フォームエースSN3000W、厚み30mm、スキン層あり)を用いて、40℃耐久性、80℃耐久性および耐可塑剤性の評価を行い、簡易施工試験を行った。
その結果を表1に示す。表1に示されるように、比較例3では、40℃耐久性は「×」、80℃耐久性は「×」、耐可塑剤性は「○」であった。簡易施工試験による耐接着剤性は「○」、シート表面は「○」であった。
このように、実施例1〜実施例6では、断熱材の100℃耐熱性、40℃耐久性および80℃耐久性に優れ、耐接着剤性および耐可塑剤性も良好であったのに対し、比較例2および比較例3では、断熱材の40℃耐久性および80℃耐久性が不良であり、比較例1および比較例2では、耐接着剤性およびシート表面が共に不良であった。
また、実施例1〜実施例4および比較例1を比較すると、ガラス転移温度が高くなりことにより断熱材の耐熱性が向上することがわかる。また、比較例1では、溶剤の主成分がトルエンである溶剤系接着剤を使用する場合、シート防水の接着工法に不適であることが確認された。また、実施例5および実施例6についてみれば、樹脂組成物における発泡剤や添加剤の組成が変更されても、耐熱性および耐接着剤性が発揮されることが確認された。
また、実施例1〜実施例4および比較例1を比較すると、ガラス転移温度が高くなりことにより断熱材の耐熱性が向上することがわかる。また、比較例1では、溶剤の主成分がトルエンである溶剤系接着剤を使用する場合、シート防水の接着工法に不適であることが確認された。また、実施例5および実施例6についてみれば、樹脂組成物における発泡剤や添加剤の組成が変更されても、耐熱性および耐接着剤性が発揮されることが確認された。
1・・・断熱防水構造
2・・・下地面
3・・・プライマー
4・・・接着剤
5・・・断熱材
6・・・塩化ビニル樹脂系シート
7・・・仕上げ塗料
2・・・下地面
3・・・プライマー
4・・・接着剤
5・・・断熱材
6・・・塩化ビニル樹脂系シート
7・・・仕上げ塗料
Claims (10)
- 構造物の下地面に、少なくとも断熱材および塩化ビニル樹脂系シートが積層されてなる断熱防水構造であって、上記断熱材が、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、およびN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)と、芳香族ビニル単位およびシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)とを含有する樹脂組成物を発泡させてなるものである、断熱防水構造。
- 上記断熱材と上記塩化ビニル樹脂系シートとが、溶剤系接着剤により接着固定されたものである、請求項1に記載の断熱防水構造。
- 上記溶剤系接着剤は、溶剤の主成分としてトルエンおよびキシレンよりなる群から選ばれる少なくとも一方を含むものである、請求項2に記載の断熱防水構造。
- 上記塩化ビニル樹脂系シートが、表皮として露出されたものである、請求項1〜3のいずれかに記載の断熱防水構造。
- 上記断熱材が、上記共重合体(A)を20〜90重量%、上記共重合体(B)を80〜10重量%含有する樹脂組成物を発泡させてなるものである、請求項1〜4のいずれかに記載の断熱防水構造。
- 上記共重合体(A)および上記共重合体(B)をそれぞれ構成する芳香族ビニル単位が、スチレン単位である、請求項1〜5のいずれかに記載の断熱防水構造。
- 上記共重合体(A)を構成する不飽和ジカルボン酸無水物単位が、無水マレイン酸単位である、請求項1〜6のいずれかに記載の断熱防水構造。
- 上記共重合体(A)を構成するN−アルキル置換マレイミド単位が、N−フェニルマレイミド単位である、請求項1〜7のいずれかに記載の断熱防水構造。
- 上記共重合体(B)を構成するシアン化ビニル単位が、アクリロニトリルである、請求項1〜8のいずれかに記載の断熱防水構造。
- 構造物の下地面に、または、該下地面に中間層を介在させて、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位およびN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)と、芳香族ビニル単位およびシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)とを含有する樹脂組成物を発泡させてなる断熱材を固定する第1工程と、上記断熱材に、塩化ビニル樹脂系シートを接着固定して積層する第2工程と、を含むものである断熱防水工法。
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JP2010126994A (ja) * | 2008-11-27 | 2010-06-10 | Kaneka Corp | 断熱防水構造及び断熱防水工法 |
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2006
- 2006-11-28 JP JP2006320739A patent/JP2008133666A/ja active Pending
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