JP4928253B2 - 耐熱性熱可塑性樹脂発泡体 - Google Patents

耐熱性熱可塑性樹脂発泡体 Download PDF

Info

Publication number
JP4928253B2
JP4928253B2 JP2006353958A JP2006353958A JP4928253B2 JP 4928253 B2 JP4928253 B2 JP 4928253B2 JP 2006353958 A JP2006353958 A JP 2006353958A JP 2006353958 A JP2006353958 A JP 2006353958A JP 4928253 B2 JP4928253 B2 JP 4928253B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat
thermoplastic resin
resistant thermoplastic
resin foam
copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006353958A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008163181A (ja
Inventor
大嗣 高橋
博 小林
武石 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Corp filed Critical Kaneka Corp
Priority to JP2006353958A priority Critical patent/JP4928253B2/ja
Publication of JP2008163181A publication Critical patent/JP2008163181A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4928253B2 publication Critical patent/JP4928253B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Description

本発明は、耐熱性及び断熱性に優れた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体に関し、特に、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、及びN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)と、芳香族ビニル単位及びシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)とを含有する樹脂組成物を発泡させてなる耐熱性熱可塑性樹脂発泡体に関する。
ポリスチレン系樹脂発泡体や硬質ポリウレタンフォームは、その施工性や断熱特性から、建物の断熱構造、保温車や保冷室の断熱構造などにおいて断熱材として用いられている。
ポリスチレン系樹脂発泡体は、安価であり、マテリアルリサクルが可能であることから環境適合性に優れるという利点がある。しかし、基材樹脂であるスチレンの耐熱温度が80℃程度であるため、耐熱性が低いという問題がある。例えば、スチレン系樹脂発泡体を屋上の断熱構造に適用した場合には日射により変形するおそれがある。
硬質ポリウレタンフォームは、一般的に耐熱性が高いといわれる。これは、硬質ポリウレタンが熱硬化性樹脂であることによる。しかし、硬質ポリウレタンフォームは、吸水性が高く、浸水すると大きく変形するという問題がある。また、硬質ポリウレタンフォームは、強度が低く、取扱性が悪いという問題がある。さらには、硬質ポリウレタンフォームは、マテリアリサイクルが難しく、環境適合性が優れるとはいえない。
スチレン系樹脂発泡体の耐熱性を向上させる手段として、スチレン−αメチルスチレン−アクリロニトリル共重合を押出発泡したものが提案されている(特許文献1参照)。この共重合体を使用することにより、スチレン系樹脂発泡体の熱変形温度が92℃以上110℃以下となり、従来のスチレン系樹脂押出発泡体より耐熱性が向上される。しかしながら、発泡剤にフロンを用いるので、環境適合性についは改善の余地がある。フロンに代替する発泡剤として炭化水素等が試みられているが、押出発泡体に残存したこれら発泡剤の熱伝導率が高く、押出発泡体に所望の断熱性を与えることが難しい。
スチレン系樹脂発泡体の断熱性及び環境適合性を向上させるために、発泡体の厚み方向の平均気泡径と気泡変形率とを規定することが提案されている(特許文献2参照)。
特開昭60−199624号公報 特開2004−59595号公報
前述された状況において、耐熱性や断熱性に優れ、安価でリサイクルが可能な耐熱性熱可塑性樹脂発泡体が望まれている。本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、耐熱性や断熱性に優れた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を提供することを目的とする。
本発明者らは、前述された課題を解決するために鋭意研究した結果、耐熱性を有する共重合体と流動性に優れた共重合体とを含有する樹脂組成物を発泡させてなる耐熱性熱可塑性樹脂発泡体において、厚み方向の平均気泡径と気泡変形率とを定めることにより、耐熱性や断熱性に優れた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体となることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1) 本発明は、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、及びN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)が0.1〜90重量%と、芳香族ビニル単位及びシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)が99.9〜10重量%とを含有する樹脂組成物を発泡させてなる耐熱性熱可塑性樹脂発泡体であって、上記耐熱性熱可塑性樹脂発泡体が有する気泡の厚み方向の平均気泡径が、0.05〜1.0mmであり、上記耐熱性熱可塑性樹脂発泡体が有する気泡の水平方向の平均気泡径に対する厚み方向の平均気泡径の比で表される気泡変形率が、0.8〜2.5である。
(2) 上記厚み方向の平均気泡径が、0.05〜0.40mmであり、上記気泡変形率が、0.8〜1.7であることが好ましい。
(3) 上記共重合体(A)及び上記共重合体(B)をそれぞれ構成する芳香族ビニル単位として、スチレン単位があげられる。
(4) 上記共重合体(A)を構成する不飽和ジカルボン酸無水物単位として、無水マレイン酸単位があげられる。
(5) 上記共重合体(A)を構成するN−アルキル置換マレイミド単位として、N−フェニルマレイミド単位があげられる。
(6) 上記共重合体(B)を構成するシアン化ビニル単位として、アクリロニトリルがあげられる。
(7) 上記耐熱性熱可塑性樹脂発泡体は、上記樹脂組成物に発泡剤が添加されて押出発泡されたものであり、上記発泡剤が、上記樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂100重量部に対して、(a)エーテル、塩化アルキルよりなる群から選ばれる1種以上を0.5〜10重量部、及び(b)炭化水素を0〜6重量部を含むものであってもよい。
(8) 上記発泡剤としてのエーテルとして、ジメチルエーテルがあげられる。
(9) 上記発泡剤としての塩化アルキルとして、塩化メチル、塩化エチルから選ばれる1種以上があげられる。
(10) 上記発泡剤としての炭化水素として、沸点が−50〜85℃である飽和炭化水素からなる群から選ばれる1種以上があげられる。
(11) 上記発泡剤としての炭化水素として、プロパン、n(ノルマル)−ブタン、i(イソ)−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンより選ばれる1種以上があげられる。
(12) 上記発泡剤は、上記樹脂組成物100重量部に対して、上記炭化水素を2.5〜6重量部含むものが好ましい。
(13) 上記耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の密度が、20〜100kg/mであることが好ましい。
(14) 上記耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の熱伝導率が、0.034W/mK以下であることが好ましい。
(15) 上記耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の熱伝導率が、0.028W/mK以下であることが好ましい。
このように本発明によれば、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、及びN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)が0.1〜90重量%と、芳香族ビニル単位及びシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)が99.9〜10重量%とを含有する樹脂組成物を発泡させて、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の有する気泡の厚み方向の平均気泡径を0.05〜1.0mm、気泡変形率を0.8〜2.5としたので、耐熱性や断熱性に優れた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で本実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
本発明に係る耐熱性熱可塑性樹脂発泡体は、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、及びN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)と、芳香族ビニル単位及びシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)とを含有する樹脂組成物を発泡させてなる。
共重合体(A)を構成する芳香族ビニル単位としては、スチレン、α−メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンがあげられる。これらのうち、共重合体(B)との相溶性、重合の容易性の観点から、スチレン、α−メチルスチレンが好ましく、安価であるスチレンが最も好ましい。
共重合体(A)を構成する不飽和ジカルボン酸無水物単位としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸があげられる。これらのうち、共重合体(B)との相溶性、重合の容易性の観点から、無水マレイン酸が好ましい。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の吸水性及び吸湿性を考慮すると、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、及びN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)の全量を100重量%とした場合、不飽和ジカルボン酸無水物単位は5重量%以下であることが好ましい。
共重合体(A)を構成するN−アルキル置換マレイミド単位としては、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−4−ジフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−4−ブロモフェニルマレイミド、N−1−ナフチルマレイミドがあげられる。これらのうち、共重合体(B)との相溶性、重合の容易性の観点から、N−フェニルマレイミドが好ましい。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の耐熱性を考慮すると、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、及びN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)の全量を100重量%とした場合、N−アルキル置換マレイミド単位は40重量%以上であることが好ましい。
以下に共重合体(A)として好ましい態様の化学式を示す。なお、以下の化学式において、「NPMI」はN−アルキル置換マレイミド単位としてのN−フェニルマレイミドを、「St」は芳香族ビニル単位としてのスチレンを、「MAH」は不飽和ジカルボン酸無水物単位としての無水マレイン酸を示している。
Figure 0004928253
共重合体(B)を構成する芳香族ビニル単位としては、スチレン、α−メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンがあげられる。これらのうち、共重合体(A)との相溶性、重合の容易性の観点から、スチレン、α−メチルスチレンが好ましく、安価であるスチレンが最も好ましい。
共重合体(B)を構成するシアン化ビニル単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルがあげられる。これらのうち、共重合体(A)との相溶性、重合の容易性の観点から、アクリロニトリルが好ましい。
以下に共重合体(B)として好ましい態様の化学式を示す。なお、以下の化学式において、「St」は芳香族ビニル単位としてのスチレンを、「AN」はシアン化ビニル単位としてのアクリロニトリルを示す。
Figure 0004928253
上記樹脂組成物における共重合体(A)と共重合体(B)との重量比は、共重合体(A)が0.1〜90重量%、共重合体(B)が99.9〜10重量%が好ましい。この範囲内であれば、樹脂組成物の流動性や成形性が保持される。本発明において、樹脂組成物には、熱可塑性樹脂が、樹脂組成物の全量に対して50重量%以上含まれていることが好ましく、さらに好ましくは70重量%以上である。
本発明に係る耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得るために、溶融された樹脂組成物に添加される発泡剤として、共重合体(A)及び共重合体(B)とからなる熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、発泡剤を3〜10重量部用いることができる。また、このような発泡剤として、物理系発泡剤、化学系発泡剤の1種又は2種以上を使用できる。発泡剤が塩素原子を有しないことにより、環境への負荷が低減されるので好ましいが、本発明の目的を達成するためには、発泡剤が必ずしも塩素原子を含有しないことは必要ではない。
物理系発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素、1,1−ジフルオロエタン、1,2−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1,2−トリフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタンなどのフッ素化炭化水素、二酸化炭素、窒素、水、アルゴン、ヘリウムなどの無機ガス、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、フラン、フラフール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどのエーテル類、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化イソプロピルなどの塩化アルキル類、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルなどのカルボン酸エステル類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、エチル−n−プロピルケトン、エチル−n−ブチルケトンなどのケトン類があげられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
化学系発泡剤としては、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p,p’−オキシビス−ベンゼンスルホニルヒドラジド、ヒドラゾジカルボンアミド、炭酸ナトリウム、アゾジカルボンアミド、テレフタルアジド、5−フェニルテトラゾール、p−トルエンスルホニルセミカルバジドなどがあげられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
前述された発泡剤のうち、オゾン層保護の観点から、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、二酸化炭素、窒素、水、アルゴン、ヘリウムなどの無機ガス類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類が好ましい。
前述された発泡剤のうち、本発明に係る耐熱性熱可塑性樹脂発泡体に使用される発泡剤としては、上記樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂100重量部に対して、(a)エーテル、塩化アルキルよりなる群から選ばれる1種以上を0.5〜10重量部、及び(b)炭化水素を0〜6重量部を含むものが好ましい。
本発明に係る耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得る際に、押出発泡の押出圧力が低下され、安定して耐熱性熱可塑性樹脂発泡体が得られることから、上記発泡剤としてのエーテルとして、ジメチルエーテルが好ましい。エーテルの使用量は、上記樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部が好ましく、より好ましくは1.5〜6重量部であり、とくに好ましくは3〜5重量部である。エーテルの使用量を上記範囲とすることにより、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体におけるガス分散性がよく、樹脂組成物の発泡性が向上される。
本発明に係る耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得る際に、押出発泡の押出圧力が低下され、安定して耐熱性熱可塑性樹脂発泡体が得られることから、上記発泡剤としての塩化アルキルとして、塩化メチル、塩化エチルから選ばれる1種以上が好ましい。塩化アルキルの使用量は、上記樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部が好ましく、より好ましくは1.5〜6重量部であり、とくに好ましくは3〜5重量部である。塩化アルキルの使用量を上記範囲とすることにより、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体におけるガス分散性がよく、樹脂組成物の発泡性が向上される。
本発明に係る耐熱性熱可塑性樹脂発泡体において発泡剤として使用される炭化水素は、その沸点が低すぎると蒸気圧が高くなるので、取り扱いに際して高圧の環境が必要となって製造工程に影響を与える。一方、その沸点が高すぎると耐熱性熱可塑性樹脂発泡体に液状の炭化水素が残留して、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の耐熱温度を低下させる傾向にある。これらから、上記発泡剤としての炭化水素は、沸点が−50〜85℃である飽和炭化水素からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。このような飽和炭化水素として、具体的には、プロパン、シクロプロパン、n−ブタン、i−ブタン、シクロブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、1,2−ジメチルブタン、シクロヘキサンなどがあげられる。これらのうち、製造安定性の点から、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンより選ばれる1種以上が好ましい。これら炭化水素の使用量は、上記樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂100重量部に対して0〜6重量部が好ましく、より好ましくは2.5〜6重量部である。炭化水素の使用量を上記範囲とすることにより、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体におけるガス分散性がよく、樹脂組成物の発泡性が向上される。
なお、本発明においては、樹脂組成物に難燃剤が添加されることが好ましい。難燃剤として、ハロゲン系難燃剤から選ばれる少なくとも1種が用いられることがさらに好ましい。また、リン酸エステル系化合物、窒素含有化合物を上記難燃剤と共存させてもよい。
また、本発明においては、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲内で、シリカ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、帯電防止剤、着色剤などの添加物が用いられてもよい。
また、本発明においては、必要に応じて安定剤が用いられてもよい。本発明に使用される安定剤としては、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤などがあげられる。
本発明に係る耐熱性熱可塑性樹脂発泡体は、特定構造の気泡を有する。具体的には、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を構成する気泡の厚み方向の平均気泡径が、0.05〜1.00mmであり、さらに好ましくは0.05〜0.70mmであり、とくに好ましくは0.05〜0.40mmである。また、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を構成する気泡の気泡変形率が、0.8〜2.5であり、さらに好ましくは0.8〜1.7である。耐熱性熱可塑性樹脂発泡体が有する気泡の厚み方向の平均気泡径及び気泡変形率が上記範囲とされることにより、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の断熱性が向上される。特に、平板形状の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体において、厚み方向に対する気泡壁が増すことにより、厚み方向の熱伝導率が低下される。また、気泡の厚み方向の平均気泡径が上記範囲未満となることにより、成形性が大きく損なわれて安定生産が難しくなる傾向にある。気泡の厚み方向の平均気泡径が上記範囲を超えることにより、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の表面の外観が損なわれる傾向にある。
以下に、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の厚み方向の気泡径及び気泡変形率の求め方が説明される。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体について、幅方向に沿った断面及び押出方向に沿った断面の所定範囲がサンプリングされる。幅方向に沿った断面とは、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の幅方向であって厚み方向に拡がる断面である。押出方向に沿った断面とは、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の押出方向であって厚み方向に拡がる断面である。つまり、これら2断面は直交する断面である。これら断面の所定範囲がサンプリングされる。サンプリングされる位置は、特殊な気泡構造となる耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の表裏面付近を除けば、断面の何処がサンプリングされてもよいが、各断面の幅中央の位置において、厚さの中心およびその中心に対して上下対称となる各位置の3点程度がサンプリングされることが好ましい。
サンプリングされた各試料が走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影されて、SEM画像が得られる。得られたSEM画像から、ASTM D−3576に準じて、気泡の幅方向の平均気泡径(DW)、押出方向の平均気泡径(DL)、厚み方向の平均気泡径(DT)が求められる。求められた幅方向の平均気泡径(DW)及び押出方向の平均気泡径(DL)が相加平均されることにより、水平方向の平均気泡径(DH)が求められる。これらから式(1)に基づいて気泡変形率が求められる。
式(1):(気泡変形率)=(厚み方向の平均気泡径)/(水平方向の平均気泡径)
本発明に係る耐熱性熱可塑性樹脂発泡体は、上記樹脂組成物を用いて公知の押出発泡法により得られる。例えば、上記熱可塑性樹脂混合物を、押出機などの公知の加熱溶融混練装置に供給して加熱溶融して、高温高圧下で発泡剤を添加して、発泡可能なゲル状物質を形成する。次いで、そのゲル状物質を押出発泡に適した樹脂温度まで冷却し、高圧領域からスリットダイなどのダイを通して低圧領域に押出発泡して、板状の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得る。
発泡剤が添加される前に樹脂混合物は加熱溶融される、その際の加熱温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度又は融点以上であればよい。発泡剤の添加は、加熱溶融された樹脂に発泡剤が分散できる方法であればよい。発泡剤の添加方法は、押出発泡に関する分野において公知の方法が採用できる。発泡剤の各成分は、液体又は気体のいずれの状態でもよく、個別に又は同時に添加してもよい。
熱可塑性樹脂混合物に難燃剤などの添加剤を添加する手順として、例えば、熱可塑性樹脂混合物に対して難燃剤などを添加して混合した後、押出機に供給して加熱溶融し、さらに発泡剤を添加して混合する手順や、熱可塑性樹脂混合物を加熱溶融した後、難燃剤などを添加し、さらに発泡剤を添加する手順、予め熱可塑性樹脂混合物に難燃剤などを混合して加熱溶融した後、発泡剤を添加する手順などがあげられるが、各種添加剤を熱可塑性樹脂混合物に添加するタイミングや混練時間は特に限定されない。また、樹脂組成物を加熱溶融する際の加熱温度や溶融混練時間は、単位時間当たりの樹脂組成物の押出量や押出機の種類により異なるので一義的に規定することはできず、熱可塑性樹脂混合物と発泡剤や添加剤とが均一に分散混合されるに要する時間として適宜設定される。
樹脂組成物の加熱溶融手段としては、例えば単軸スクリュー、二軸スクリューなどのスクリュー型の押出機などがあげられるが、通常の押出発泡に用いられているものであれば特に制限されない。ただし、発泡剤の分散性を向上させるには、二軸スクリューであることが好ましい。また、樹脂の分子劣化をできる限り抑えるためには、押出機のスクリュー形状を低剪断タイプのものとすることが好ましい。
本発明における押出条件は、発泡剤が押出機や金型内で気化しないように、さらには加熱溶融された樹脂に対して十分に溶解するように、押出系内圧力を高圧に保持することが好ましい。具体的には、スリットダイにおける圧力は、3MPa以上であることが好ましく、より好ましくは4MPa以上である。スリットダイにおける圧力が上記範囲外であると、ガスの吹出し、ボイドの発生、押出系内の圧力変動による耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の断面プロファイルの変動が生じる傾向にある。
加熱溶融されたゲル状物質を冷却する温度については、押出機の出口における樹脂温度を、熱可塑性樹脂のガラス転移温度に対して20〜70℃高くすることが好ましく、より好ましくは、30〜60℃高い温度である。ゲル状物質を冷却する温度を上記範囲とすることにより、ダイのスリット圧力の上がりすぎや温度ムラがない状態で、ゲル状物質をダイに導入することができるので、押出成形性が良好となり、また、得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の表面が良好となる。
ダイの設定温度は、上記樹脂温度に対して5〜50℃低い温度に制御されることが好ましく、より好ましくは10〜40℃低い温度である。ダイの設定温度を上記範囲とすることにより、ダイのスリット圧力が維持されるとともに、表面性が良好な耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得ることができる。
押出発泡法は特に制限されないが、例えば、押出成形用に使用される開口部が直線のスリット形状を有するスリットダイを通じて、高圧領域から低圧領域へ圧力開放して得られた押出発泡体を、スリットダイと密着または接して設置された成形金型、及びその成形金型の下流側に隣接して設置された成形ロールなどを用いて、平板形状の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体に成形する方法が用いられる。
スリットダイの形状は、矩形状、コートハンガー状、フィッシュテール状、ティー状などが採用できるが、幅広の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得る場合には、コートハンガー状又はティー状のスリットダイが好ましい。
厚みが10〜150mmの耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得るには、スリットダイにおける出口形状に対する成形金型形状における厚み方向の寸法拡大率、幅方向の寸法拡大率を抑制する観点から、出口が平板状に拡大されたスリットダイを用いて所望の幅の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を成形する方法が好ましい。特に、共重合体(A)及び共重合体(B)からなる熱可塑性樹脂混合物は、ポリスチレン系樹脂に対して脆性な傾向にあることから、幅方向の寸法拡大率が可能な限り抑制されることが好ましい。
共重合体(A)及び共重合体(B)からなる熱可塑性樹脂混合物は、ポリスチレン樹脂のような樹脂の伸びが期待できないことから、得られる耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の表面性を良好に保持するために、成形金型と耐熱性熱可塑性樹脂発泡体との抵抗を低減させることが好ましい。具体的には、成形金型を加熱したり、フッ素樹脂などの表面抵抗の少ない素材からなるシートを、成形金型と耐熱性熱可塑性樹脂発泡体との界面に介在させることがあげられる。
また、得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の表面性及び物性を確保するために、スリットダイから押し出された耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を緩やかに冷却することが好ましい。スリットダイから押し出された耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の表面が冷却されて固化した状態においても、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の内部が流動状態であり発泡する力を有している場合には、内部の発泡する力に表面部分が耐えきれず、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の表面に割れなどが生じるおそれがある。また、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の独立気泡率が低下するおそれもあり、その結果、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の断熱特性、寸法安定性、強度などの低下を惹き起こす。耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を緩やかに冷却する条件は、発泡する際の樹脂温度に影響されるので適宜設定されるものであり、例えば、成形金型の長さ、成形金型の加熱温度、表面抵抗を低下させるシートの設置距離などを考慮して設定される。
気泡変形率を制御する方法として、例えば、押出発泡時に溶融樹脂を大気中へ発泡させるときの厚み拡大率を調整する方法、すなわちスリット厚みと、矩形化させるための成形金型の高さを調整する方法があげられる。また、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を加熱しながら延伸する方法があげられる。詳細には、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を加熱空気で加温しながらロールにより延伸処理を行う加熱延伸装置を用いて、引き取り機の回転速度より速くロールを回転させて、得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を加熱しながら延伸処理を施す。これにより、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体が押出方向に延伸され、気泡変形率が小さくなる。
本発明に係る耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の密度は、20〜100kg/mであることが好ましい。発泡体密度が上記範囲内にあれば、平面圧縮強度に代表される面圧縮強度が発現される傾向にある。本発明において、発泡体密度は、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の体積に対する耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の重量として求められる。
本発明に係る耐熱性熱可塑性樹脂発泡体は、例えば建築用断熱材や保冷庫用又は保冷車用の断熱材として使用されることを考慮すると、製造後7日目のJIS A9511に従って測定される熱伝導率が、0.034W/mK以下であることが好ましく、より好ましくは、0.028W/mK以下である。
このように本発明によれば、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、及びN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)が0.1〜90重量%と、芳香族ビニル単位及びシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)が99.9〜10重量%とを含有する樹脂組成物を発泡させて、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の有する気泡の厚み方向の平均気泡径を0.05〜1.0mm、気泡変形率を0.8〜2.5としたので、耐熱性や断熱性に優れ、断熱材としての使用に好適な耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得ることができる。
以下、本発明に係る耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の実施例について説明する。なお、本発明が以下の実施例に限定されないことは勿論である。また、以下の実施例においては、特に断られない限り、「部」は「重量部」を表し、「%」は「重量%」を表すものとする。
以下に示す実施例1から実施例19、比較例1から比較例4で得られた発泡体について、発泡体密度、各方向の平均気泡径(DT,DW,DL)、気泡変形率、100℃耐熱性、120℃耐熱性、ガラス転移温度、熱伝導率を下記の方法に従って評価した。
(1)発泡体密度(kg/m
発泡体密度は、次の式に基づいて求め、単位をkg/mに換算して示した。
発泡体密度(g/cm)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm
(2)各方向の平均気泡径(DT,DW,DL)
得られた発泡体の幅方向に沿った断面及び押出方向に沿った断面において、前述された手法でSEM画像を得た。得られたSEM画像から、ASTM D−3576に準じて、気泡の厚み方向の平均気泡径(DT)、幅方向の平均気泡径(DW)、押出方向の平均気泡径(DL)を求めた。
(3)気泡変形率
幅方向の平均気泡径(DW)と押出方向の平均気泡径(DL)とを相加平均して水平方向の平均気泡径(DH)を求めた。これらから、前述された式(1)に基づいて、気泡変形率(DT/DH)を求めた。
(4)100℃耐熱性(発泡体の体積変化率)、120℃耐熱性(発泡体の体積変化率)
発泡体を成形後、温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚み25mm×幅100mm×長さ100mmの試験片を切り出して、100±2℃(120℃耐熱性の場合は、120±2℃)に設定した熱風乾燥機で24時間加熱し、加熱前と加熱後の体積変化率を算出した。算出された体積変化率に基づいて以下の基準で評価した。
◎:体積変化率が1%以下である。
○:体積変化率が1%を超え、3%以下である。
△:体積変化率が3%を超え、5%以下である。
×:体積変化率が5%を超える。
(5)ガラス転移温度(℃)
発泡体を成形後、温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、JIS K7121に準じて、示差走査熱量計(島津製作所株式会社、商品名:DSC−60A)を用いて、昇温速度10℃/分で250℃まで昇温し、10分間維持した後、10℃/分で30℃まで冷却した。再び250℃まで昇温したときの階段状変化を、JIS K7121の転移温度の求め方に従って測定した。
(6)熱伝導率(W/mK)
製造後7日経過した発泡体の熱伝導率を、JIS A9511に従って測定した。
(実施例1)
共重合体(A)として電気化学工業株式会社製、商品名:デンカIP(265℃×10kg条件で、メルトフローレイトMFR=0.2g/分)、及び共重合体(B)として東洋スチレン株式会社製、商品名:トーヨーAS(220℃×10kg条件で、MFR=1.8g/分)を使用し、共重合体(A)を90%、共重合体(B)を10%の比率として混合した。この熱可塑性樹脂混合物100部に対して、造核剤としてタルク(林化成株式会社、商品名:タルカンパウダー)0.3部をドライブレンドして樹脂組成物とし、この樹脂組成物を二段連結型押出機へ供給した。一段目押出機に供給した樹脂組成物を、約280℃に加熱して溶融混練した後、発泡剤としてジメチルエーテル(三井化学株式会社製)4.5部を一段目押出機の先端付近で溶融樹脂中に圧入した。その後、連結された二段目押出機において混練冷却しながら、樹脂温度を約195℃まで冷却し、押出機先端に設けたスリットダイよりスリット圧力を7.5MPa、吐出量51kg/時間で大気中へ溶融樹脂を押出し、成形金型および成形ロールにより、厚さ約30mm×幅約100mmである断面形状の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得た。
得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の特性を、表1に示す。発泡体密度は、55kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.12mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.15mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.24mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲内であった。気泡変形率は、1.78であり、0.8〜2.5の範囲内であった。100℃耐熱性及び120℃耐熱性はともに「◎」であった。ガラス転移温度は183℃であり、熱伝導率は、0.032W/mKであった。
Figure 0004928253
(実施例2)
共重合体(A)を80%、共重合体(B)を20%の比率で混合し、一段目押出機における加熱温度を270℃とし、二段目押出機において樹脂温度を約190℃まで冷却し、スリット圧力を6.5MPa、吐出量45kg/時間とした以外は、実施例1と同様の条件にて耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、50kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.14mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.18mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.36mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲内であった。気泡変形率は、2.25であり、0.8〜2.5の範囲内であった。100℃耐熱性及び120℃耐熱性はともに「◎」であった。ガラス転移温度は160℃であり、熱伝導率は、0.032W/mKであった。
(実施例3)
共重合体(A)を60%、共重合体(B)を40%の比率で混合し、一段目押出機における加熱温度を250℃とし、二段目押出機において樹脂温度を約176℃まで冷却し、スリット圧力を5.0MPa、吐出量51kg/時間とした以外は、実施例1と同様の条件にて耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、34kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.22mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.28mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.46mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲内であった。気泡変形率は、1.84であり、0.8〜2.5の範囲内であった。100℃耐熱性及び120℃耐熱性はともに「◎」であった。ガラス転移温度は145℃であり、熱伝導率は、0.033W/mKであった。
(実施例4)
共重合体(A)を50%、共重合体(B)を50%の比率で混合し、一段目押出機における加熱温度を240℃とし、二段目押出機において樹脂温度を約170℃まで冷却し、スリット圧力を5.2MPa、吐出量47kg/時間とした以外は、実施例1と同様の条件にて耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、32kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.25mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.30mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.55mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲内であった。気泡変形率は、2.00であり、0.8〜2.5の範囲内であった。100℃耐熱性及び120℃耐熱性はともに「◎」であった。ガラス転移温度は132℃であり、熱伝導率は、0.033W/mKであった。
(実施例5)
共重合体(A)を40%、共重合体(B)を60%の比率で混合し、二段目押出機において樹脂温度を約165℃まで冷却し、スリット圧力を6.1MPa、吐出量44kg/時間とした以外は、実施例4と同様の条件にて耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、35kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.24mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.31mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.58mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲内であった。気泡変形率は、2.11であり、0.8〜2.5の範囲内であった。100℃耐熱性及び120℃耐熱性はともに「◎」であった。ガラス転移温度は130℃であり、熱伝導率は、0.032W/mKであった。
(実施例6)
共重合体(A)を30%、共重合体(B)を70%の比率で混合し、二段目押出機において樹脂温度を約159℃まで冷却し、スリット圧力を5.2MPa、吐出量47kg/時間とした以外は、実施例4と同様の条件にて耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、34kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.35mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.45mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.62mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲内であった。気泡変形率は、1.55であり、0.8〜2.5の範囲内であった。100℃耐熱性は「◎」であり、120℃耐熱性は「○」であった。ガラス転移温度は127℃であり、熱伝導率は、0.032W/mKであった。
(実施例7)
共重合体(A)を20%、共重合体(B)を80%の比率で混合し、二段目押出機において樹脂温度を約149℃まで冷却し、スリット圧力を5.6MPa、吐出量46kg/時間とした以外は、実施例4と同様の条件にて耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、30kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.38mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.50mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.70mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲内であった。気泡変形率は、1.59であり、0.8〜2.5の範囲内であった。100℃耐熱性は「◎」であり、120℃耐熱性は「○」であった。ガラス転移温度は122℃であり、熱伝導率は、0.033W/mKであった。
(実施例8)
発泡剤をジメチルエーテル3.0部及びn−ブタン(三井化学株式会社製)3.0部とし、造核剤をタルク0.1部とし、二段目押出機において樹脂温度を約168℃まで冷却し、スリット圧力を7.2MPa、吐出量51kg/時間とした以外は、実施例3と同様の条件にて耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、44kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.23mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.28mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.45mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲内であった。気泡変形率は、1.76であり、0.8〜2.5の範囲内であった。100℃耐熱性及び120℃耐熱性はともに「◎」であった。ガラス転移温度は141℃であり、熱伝導率は、0.030W/mKであった。
(実施例9)
発泡剤を塩化メチル(信越化学工業株式会社製)3.0部及びn−ブタン3.0部とし、造核剤をタルク0.1部とし、二段目押出機において樹脂温度を約167℃まで冷却し、スリット圧力を6.3MPa、吐出量49kg/時間とした以外は、実施例3と同様の条件にて耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、42kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.20mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.30mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.47mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲内であった。気泡変形率は、1.88であり、0.8〜2.5の範囲内であった。100℃耐熱性及び120℃耐熱性はともに「◎」であった。ガラス転移温度は140℃であり、熱伝導率は、0.030W/mKであった。
(実施例10)
発泡剤をジメチルエーテル3.0部、n−ブタン3.0部、及び水1.0部とし、造核剤をタルク0.1部とし、吸水剤としてベントナイト(株式会社ホージュン製、商品名:ベンゲルブライト11)1.0部及び二酸化ケイ素(DSLジャパン株式会社製、商品名:カープレックス)0.5部を添加し、二段目押出機において樹脂温度を約169℃まで冷却し、スリット圧力を8.0MPa、吐出量33kg/時間とした以外は、実施例3と同様の条件にて耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、38kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.33mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.40mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.62mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲内であった。気泡変形率は、1.70であり、0.8〜2.5の範囲内であった。100℃耐熱性及び120℃耐熱性はともに「◎」であった。ガラス転移温度は141℃であり、熱伝導率は、0.031W/mKであった。
(実施例11)
発泡剤をジメチルエーテル4.0部及びn−ブタン3.5部とし、造核剤をタルク0.1部とし、二段目押出機において樹脂温度を約151℃まで冷却し、スリット圧力を8.2MPa、吐出量35kg/時間とした以外は、実施例6と同様の条件にて耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、38kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.16mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.19mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.40mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲内であった。気泡変形率は、2.29であり、0.8〜2.5の範囲内であった。100℃耐熱性は「◎」であり、120℃耐熱性は「○」であった。ガラス転移温度は129℃であり、熱伝導率は、0.029W/mKであった。
(実施例12)
発泡剤を塩化メチル4.0部及びn−ブタン3.5部とし、造核剤をタルク0.1部とし、二段目押出機において樹脂温度を約152℃まで冷却し、スリット圧力を7.5MPa、吐出量40kg/時間とした以外は、実施例6と同様の条件にて耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、41kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.23mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.30mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.45mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲内であった。気泡変形率は、1.70であり、0.8〜2.5の範囲内であった。100℃耐熱性は「◎」であり、120℃耐熱性は「○」であった。ガラス転移温度は128℃であり、熱伝導率は、0.030W/mKであった。
(実施例13)
発泡剤をジメチルエーテル3.0部、n−ブタン3.5部、及びエタノール1.0部とし、造核剤をタルク0.15部とし、吸水剤としてベントナイト1.0部とし、二段目押出機において樹脂温度を約140℃まで冷却し、スリット圧力を5.0MPa、吐出量80kg/時間とした以外は、実施例6と同様の条件にて耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、38kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.03mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.05mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.06mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲内であった。気泡変形率は、1.50であり、0.8〜2.5の範囲内であった。100℃耐熱性は「◎」であり、120℃耐熱性は「○」であった。ガラス転移温度は129℃であり、熱伝導率は、0.028W/mKであった。
(実施例14)
発泡剤をジメチルエーテル3.0部、n−ブタン3.5部、及びエタノール1.0部とし、造核剤をタルク0.15部とし、吸水剤としてベントナイト1.0部とし、二段目押出機において樹脂温度を約139℃まで冷却し、スリット圧力を4.2MPa、吐出量60kg/時間とした以外は、実施例6と同様の条件にて耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、38kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.05mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.11mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.13mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲内であった。気泡変形率は、1.63であり、0.8〜2.5の範囲内であった。100℃耐熱性は「◎」であり、120℃耐熱性は「○」であった。ガラス転移温度は128℃であり、熱伝導率は、0.027W/mKであった。
(実施例15)
発泡剤をジメチルエーテル3.0部及びn−ブタン3.0部とし、造核剤をタルク0.1部とし、二段目押出機において樹脂温度を約170℃まで冷却し、スリット圧力を7.4MPa、吐出量45kg/時間とした。また、成型ロールを通過した耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を、160℃の加熱空気で加温し、引き取りロールを有する加熱装置を用いて、成形ロールの回転速度より速い速度で引き取りロールを回転させかつ加熱しながら、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体に加熱延伸処理(ポストエキスパンション)を施した。それ以外は、実施例3と同様の条件にて耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、38kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.28mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.30mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.35mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲内であった。気泡変形率は、1.21であり、0.8〜2.5の範囲内であった。100℃耐熱性及び120℃耐熱性はともに「◎」であった。ガラス転移温度は142℃であり、熱伝導率は、0.027W/mKであった。
(実施例16)
発泡剤をジメチルエーテル3.0部及びn−ブタン3.0部とし、造核剤をタルク0.1部とし、二段目押出機において樹脂温度を約168℃まで冷却し、スリット圧力を7.6MPa、吐出量44kg/時間とした。また、成型ロールを通過した耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を、140℃の加熱空気で加温し、引き取りロールを有する加熱装置を用いて、成形ロールの回転速度より速い速度で引き取りロールを回転させかつ加熱しながら、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体に加熱延伸処理(ポストエキスパンション)を施した。それ以外は、実施例3と同様の条件にて耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、40kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.25mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.32mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.36mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲内であった。気泡変形率は、1.26であり、0.8〜2.5の範囲内であった。100℃耐熱性及び120℃耐熱性はともに「◎」であった。ガラス転移温度は143℃であり、熱伝導率は、0.027W/mKであった。
(実施例17)
発泡剤をジメチルエーテル4.0部及びn−ブタン3.5部とし、造核剤をタルク0.1部とし、二段目押出機において樹脂温度を約152℃まで冷却し、スリット圧力を7.8MPa、吐出量38kg/時間とした。また、成型ロールを通過した耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を、150℃の加熱空気で加温し、引き取りロールを有する加熱装置を用いて、成形ロールの回転速度より速い速度で引き取りロールを回転させかつ加熱しながら、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体に加熱延伸処理(ポストエキスパンション)を施した。それ以外は、実施例6と同様の条件にて耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、32kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.27mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.28mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.29mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲内であった。気泡変形率は、1.05であり、0.8〜2.5の範囲内であった。100℃耐熱性は「◎」であり、120℃耐熱性は「○」であった。ガラス転移温度は128℃であり、熱伝導率は、0.027W/mKであった。
(実施例18)
発泡剤をジメチルエーテル4.0部及びn−ブタン3.5部とし、造核剤をタルク0.1部とし、二段目押出機において樹脂温度を約151℃まで冷却し、スリット圧力を7.9MPa、吐出量37kg/時間とした。また、成型ロールを通過した耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を、140℃の加熱空気で加温し、引き取りロールを有する加熱装置を用いて、成形ロールの回転速度より速い速度で引き取りロールを回転させかつ加熱しながら、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体に加熱延伸処理(ポストエキスパンション)を施した。それ以外は、実施例6と同様の条件にて耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、34kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.24mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.25mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.30mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲内であった。気泡変形率は、1.22であり、0.8〜2.5の範囲内であった。100℃耐熱性は「◎」であり、120℃耐熱性は「○」であった。ガラス転移温度は129℃であり、熱伝導率は、0.027W/mKであった。
(実施例19)
発泡剤をジメチルエーテル4.0部及びn−ブタン3.5部とし、造核剤をタルク0.1部とし、二段目押出機において樹脂温度を約153℃まで冷却し、スリット圧力を8.2MPa、吐出量36kg/時間とした。また、成型ロールを通過した耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を、120℃の加熱空気で加温し、引き取りロールを有する加熱装置を用いて、成形ロールの回転速度より速い速度で引き取りロールを回転させかつ加熱しながら、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体に加熱延伸処理(ポストエキスパンション)を施した。それ以外は、実施例6と同様の条件にて耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、36kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.22mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.26mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.35mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲内であった。気泡変形率は、1.46であり、0.8〜2.5の範囲内であった。100℃耐熱性は「◎」であり、120℃耐熱性は「○」であった。ガラス転移温度は128℃であり、熱伝導率は、0.027W/mKであった。
(比較例1)
基材樹脂として、ポリスチレン(PS)樹脂(PSジャパン株式会社、商品名:G9401、200℃×5kg条件で、MFR=0.2g/分)を使用し、PS樹脂100部に対して、造核剤としてタルク0.3部をドライブレンドして樹脂組成物とし、この樹脂組成物を二段連結型押出機へ供給した。一段目押出機に供給した樹脂組成物を、約230℃に加熱して溶融混練した後、発泡剤としてジメチルエーテル5.0部を一段目押出機の先端付近で樹脂中に圧入した。その後、連結された二段目押出機において混練冷却しながら樹脂温度を約123℃まで冷却し、押出機先端に設けたスリットダイよりスリット圧力を5.5MPa、吐出量50kg/時間で大気中へ溶融樹脂を押出し、成形金型および成形ロールにより、厚さ約30mm×幅約100mmである断面形状の発泡体を得た。得られた発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、32kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.35mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.38mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.40mmであった。気泡変形率は、1.10であった。100℃耐熱性及び120℃耐熱性はともに「×」であった。ガラス転移温度は100℃であり、熱伝導率は、0.034W/mKであった。
(比較例2)
基材樹脂として、共重合体(B)のみを使用し、共重合体(B)100部に対して、造核剤としてタルク0.3部をドライブレンドして樹脂組成物とし、この樹脂組成物を二段連結型押出機へ供給した。一段目押出機に供給した樹脂混合物を、約240℃に加熱して溶融混練した後、発泡剤としてジメチルエーテル5.0部を一段目押出機の先端付近で樹脂中に圧入した。その後、連結された二段目押出機において混練冷却しながら樹脂温度を約130℃まで冷却し、押出機先端に設けたスリットダイよりスリット圧力を5.3MPa、吐出量47kg/時間で大気中へ溶融樹脂を押出し、成形金型および成形ロールにより、厚さ約30mm×幅約100mmである断面形状の発泡体を得た。得られた発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、33kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.28mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.35mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は0.40mmであった。気泡変形率は、1.27であった。100℃耐熱性は「△」であり、120℃耐熱性は「×」であった。ガラス転移温度は109℃であり、熱伝導率は、0.035W/mKであった。
(比較例3)
発泡剤をジメチルエーテル5.0部とし、造核剤をタルク0.1部とし、二段目押出機において樹脂温度を約169℃まで冷却し、スリット圧力を6.1MPa、吐出量55kg/時間とした以外は、実施例3と同様の条件にて発泡体を得た。得られた発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、32kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.58mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.72mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は1.15mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲外であった。気泡変形率は、1.77であった。100℃耐熱性及び120℃耐熱性はともに「◎」であった。ガラス転移温度は144℃であり、熱伝導率は、0.035W/mKであった。
(比較例4)
発泡剤をジメチルエーテル4.5部及び水1.0部とし、造核剤をタルク0.1部とし、吸水剤としてベントナイト1.0部及び二酸化ケイ素0.5部を添加し、二段目押出機において樹脂温度を約150℃まで冷却し、スリット圧力を9.0MPa、吐出量31kg/時間とした以外は、実施例6と同様の条件にて発泡体を得た。得られた発泡体の特性を、表1に示す。
発泡体密度は、32kg/mであった。押出方向の平均気泡径(DL)は0.56mm、幅方向の平均気泡径(DW)は0.75mm、厚み方向の平均気泡径(DT)は1.20mmであり、厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmの範囲外であった。気泡変形率は、1.83であった。100℃耐熱性は「◎」であり、120℃耐熱性は「○」であった。ガラス転移温度は128℃であり、熱伝導率は、0.035W/mKであった。
表1に示されるように、実施例1から実施例19では、共重合体(A)及び共重合体(B)が所定の比率で混合された樹脂組成物から耐熱性熱可塑性樹脂発泡体を得ており、各耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の厚み方向の平均気泡径が0.05〜1.0mmの範囲内にあり、気泡変形率が0.8〜2.5の範囲内にあった。これら各実施例において、100℃耐熱性及び120℃耐熱性は「◎」又は「○」であり良好な結果が得られた。また、熱伝導率は0.033W/mK以下であった。
これに対し、比較例1及び比較例2では、PS樹脂のみ又は共重合体(B)のみを含む樹脂組成物から発泡体を得たところ、100℃耐熱性は「△」又は「×」であり、120℃耐熱性がともに「×」であり、発泡体の耐熱性が劣ることが確認された。
比較例3及び比較例4では、共重合体(A)と共重合体(B)とが混合された樹脂組成物から発泡体を得ているが、各発泡体の厚み方向の平均気泡径が0.05〜1.0mmの範囲外であった。これら発泡体は、耐熱性は満足するものの、熱伝導率が0.035W/mKであり、各実施例に係る耐熱性熱可塑性樹脂発泡体より断熱性に劣ることが確認された。特に、比較例3と実施例3との比較においては、共重合体(A)と共重合体(B)の混合比率が同じであるにもかかわらず、厚み方向の平均気泡径及び気泡変形率の違いにより、得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の熱伝導率に顕著な差が生じることが確認された。同様に、比較例4と実施例6との比較においては、共重合体(A)と共重合体(B)の混合比率が同じであるにもかかわらず、厚み方向の平均気泡径及び気泡変形率の違いにより、得られた耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の熱伝導率に顕著な差が生じたことが確認された。
また、各実施例においては、厚み方向の平均気泡径が0.05〜1.0mmであり、かつ気泡変形率が1.5超2.5以下である実施例1から実施例12と、発泡体の厚み方向の平均気泡径が0.05〜0.40mmであり、かつ気泡変形率が0.8〜1.7である実施例13から実施例19とにおいて、耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の熱伝導率に顕著な差が確認された。

Claims (15)

  1. 芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、及びN−アルキル置換マレイミド単位からなる共重合体(A)が0.1〜90重量%と、芳香族ビニル単位及びシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)が99.9〜10重量%とを含有する樹脂組成物を発泡させてなる耐熱性熱可塑性樹脂発泡体であって、
    上記耐熱性熱可塑性樹脂発泡体が有する気泡の厚み方向の平均気泡径が、0.05〜1.0mmであり、
    上記耐熱性熱可塑性樹脂発泡体が有する気泡の水平方向の平均気泡径に対する厚み方向の平均気泡径の比で表される気泡変形率が、0.8〜2.5である耐熱性熱可塑性樹脂発泡体。
  2. 上記厚み方向の平均気泡径が、0.05〜0.40mmであり、
    上記気泡変形率が、0.8〜1.7である請求項1に記載の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体。
  3. 上記共重合体(A)及び上記共重合体(B)をそれぞれ構成する芳香族ビニル単位が、スチレン単位である請求項1又は2に記載の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体。
  4. 上記共重合体(A)を構成する不飽和ジカルボン酸無水物単位が、無水マレイン酸単位である請求項1から3のいずれかに記載の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体。
  5. 上記共重合体(A)を構成するN−アルキル置換マレイミド単位が、N−フェニルマレイミド単位である請求項1から4のいずれかに記載の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体。
  6. 上記共重合体(B)を構成するシアン化ビニル単位が、アクリロニトリルである請求項1から5のいずれかに記載の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体。
  7. 上記耐熱性熱可塑性樹脂発泡体は、上記樹脂組成物に発泡剤が添加されて押出発泡されたものであり、
    上記発泡剤は、上記樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂100重量部に対して、(a)エーテル、塩化アルキルよりなる群から選ばれる1種以上を0.5〜10重量部、及び(b)炭化水素を0〜6重量部を含むものである請求項1から6のいずれかに記載の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体。
  8. 上記発泡剤としてのエーテルが、ジメチルエーテルである請求項7に記載の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体。
  9. 上記発泡剤としての塩化アルキルが、塩化メチル、塩化エチルから選ばれる1種以上である請求項7又は8に記載の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体。
  10. 上記発泡剤としての炭化水素が、沸点が−50〜85℃である飽和炭化水素からなる群から選ばれる1種以上である請求項7から9のいずれかに記載の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体。
  11. 上記発泡剤としての炭化水素が、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンより選ばれる1種以上である請求項10に記載の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体。
  12. 上記発泡剤は、上記樹脂組成物100重量部に対して、上記炭化水素を2.5〜6重量部含むものである請求項7から11のいずれかに記載の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体。
  13. 上記耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の密度が、20〜100kg/mである請求項1から12のいずれかに記載の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体。
  14. 上記耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の熱伝導率が、0.034W/mK以下である請求項1から13のいずれかに記載の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体。
  15. 上記耐熱性熱可塑性樹脂発泡体の熱伝導率が、0.028W/mK以下である請求項1から13のいずれかに記載の耐熱性熱可塑性樹脂発泡体。
JP2006353958A 2006-12-28 2006-12-28 耐熱性熱可塑性樹脂発泡体 Active JP4928253B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006353958A JP4928253B2 (ja) 2006-12-28 2006-12-28 耐熱性熱可塑性樹脂発泡体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006353958A JP4928253B2 (ja) 2006-12-28 2006-12-28 耐熱性熱可塑性樹脂発泡体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008163181A JP2008163181A (ja) 2008-07-17
JP4928253B2 true JP4928253B2 (ja) 2012-05-09

Family

ID=39693087

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006353958A Active JP4928253B2 (ja) 2006-12-28 2006-12-28 耐熱性熱可塑性樹脂発泡体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4928253B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5052141B2 (ja) * 2006-05-26 2012-10-17 株式会社カネカ 熱可塑性樹脂発泡体及びその製造方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3427157B2 (ja) * 1997-09-22 2003-07-14 積水化成品工業株式会社 発泡性スチレン系樹脂粒子及び発泡スチレン系樹脂成形体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008163181A (ja) 2008-07-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008132676A (ja) 断熱パネル
JP5897921B2 (ja) ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法
JP5248041B2 (ja) 熱可塑性樹脂発泡体
JP5042654B2 (ja) 熱可塑性樹脂発泡体
JP5042653B2 (ja) 熱可塑性樹脂発泡体
JP2024015416A (ja) 発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子、その発泡粒子、およびこれを用いた塩素化塩化ビニル系樹脂発泡成形体
JP4973044B2 (ja) 耐熱性熱可塑性樹脂発泡体およびその製造方法
JP2010525107A (ja) 低溶解度ヒドロフルオロカーボン含有アルケニル芳香族発泡体
JP4928253B2 (ja) 耐熱性熱可塑性樹脂発泡体
WO1996016111A1 (fr) Mousse en resine de polystyrene et procede pour produire la mousse
JP6150663B2 (ja) ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法
JP2008133666A (ja) 断熱防水構造および断熱防水工法
JP2010133177A (ja) 耐熱性に優れた建物外部の水勾配を有する構造物
JP4708315B2 (ja) 熱可塑性樹脂発泡体
JP3976592B2 (ja) スチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法
JP4101684B2 (ja) スチレン系樹脂発泡板及びその製造方法
JP2010174489A (ja) 耐熱性に優れた建物外部の水勾配を有する構造物
JP5052141B2 (ja) 熱可塑性樹脂発泡体及びその製造方法
JP2006249262A (ja) スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法
JP2008063885A (ja) 断熱防水構造及び断熱防水工法
JP2008189805A (ja) 耐熱性熱可塑性樹脂発泡体
JP2009051871A (ja) 耐熱性熱可塑性樹脂発泡体、及びその製造方法
JP2009298850A (ja) スチレン系樹脂押出発泡体の製造方法
JP2009051870A (ja) 耐熱性熱可塑性樹脂発泡体およびその製造方法
JP2010138244A (ja) スキン付スチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091026

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120113

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120117

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120210

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150217

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4928253

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150217

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250