JP5064111B2 - 複合放熱板およびその製造方法並びに、それに用いる熱応力緩和プレート - Google Patents
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前者は、金属からなる放熱板にインサート層を介してセラミック絶縁層が接合され、放熱板のセラミック側の第1の層とそれに接合された第2の層とを有し、第1の層を第2の層より熱膨張率が大きくなるようにしたものである。
後者は、セラミック基板の表面にAl−Si系等のろう材を介して金属層が積層され、その金属層の硬度及び厚さと、セラミック基板の厚さ及び抗折強度との関係を特定の値にしたものである。
そのようなろう付け不良が生じると、電子部品の発熱を迅速に放熱できないおそれがある。そこで本発明は、係る各種の問題点を解決することを課題とする。
前記セラミック(1) と放熱板(2) との間に、金属製の熱応力緩和プレート(4) がろう付けにより介装され、
その熱応力緩和プレート(4) の平面には、中心部から同心円上に多数の弧状スリット(5) が半径方向に互いに離間して形成され、
それぞれの弧状スリット(5) には、その両端間に非スリット部として橋部(6) を付属し、半径方向に隣接する各弧状スリット(5) に付属した前記各橋部(6) は、周方向に互いに異なった位置に配置されていることを特徴とする複合放熱板である。
前記熱応力緩和プレート(4) の前記各弧状スリット(5) が、同一円周上に複数存在すると共に、同数の前記橋部(6) が各スリット(5) 間に存在する複合放熱板である。
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2において、
前記熱応力緩和プレート(4) の前記各弧状スリット(5) 内に、そのスリット(5) の幅より小なる幅を有すると共に、そのプレート(4) と同一厚みを有する弧状材(7) が内装された複合放熱板である。
前記熱応力緩和プレート(4) に、半径方向の隣接する各弧状スリット(5) の間を連結する連結スリット(9) が設けられ、
複数の前記弧状材(7) が夫々平面C字状に形成され、各弧状材(7) 間が半径方向に接続部(8) で互いに連結されて伝熱プレート(10)を構成し、
その伝熱プレート(10)の各接続部(8) の幅が前記連結スリット(9) の幅より狭く形成され、
その連結スリット(9) 内に前記接続部(8) が配置されるように、前記伝熱プレート(10)が熱応力緩和プレート(4) に内装された複合放熱板である。
前記熱応力緩和プレート(4) の各弧状スリット(5) の内周面に位置決め用の突起(11)が設けられ、
その突起(11)が、前記伝熱プレート(10)の前記弧状材(7) の周面に接触するように構成した複合放熱板である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかにおいて、
前記セラミック(1) は、その両面または片面に全面に渡り平板状の金属板(15)が張り合わされた複合放熱板である。
その熱応力緩和プレート(4)の各弧状スリット(5)は、その熱応力緩和プレート(4)の平面の外周縁にガス抜き用スリット(16)を介して開口されたことを特徴とする複合放熱板である。
請求項8に記載の本発明は、請求項7において、
前記熱応力緩和プレート(4)が平面方形に形成され、その一以上の辺に前記ガス抜き用
スリット(16)が開口された複合放熱板である。
前記熱応力緩和プレート(4)の四周に前記ガス抜き用スリット(16)が開口された複合放熱板である。
請求項10に記載の本発明は、請求項7〜請求項9のいずれかにおいて、
前記放熱板(2) および熱応力緩和プレート(4)がアルミニューム製であり、
前記ろう付けが、Mgを含むアルミニューム合金からなるろう材により真空ろう付けで行われた複合放熱板である。
プレートを切断加工または打ち抜き加工により、前記各弧状スリット(5)及び連結スリット(9)を有する熱応力緩和プレート(4)が形成され、その各弧状スリット(5)及び連結スリット(9)の形成の際にプレートから抜け落ちた抜け落ち片を前記伝熱プレート(10)として用い、その伝熱プレート(10)を熱応力緩和プレート(4)内に配置したことを特徴とする複合放熱板の製造方法である。
請求項13に記載の本発明は、請求項12において、
その熱応力緩和プレート(4)の各弧状スリット(5)を、その熱応力緩和プレート(4)の平面の外周縁にガス抜き用スリット(16)を介して開口した複合放熱板の製造方法である。
上記構成において、さらに応力緩和プレート4の各弧状スリット5内に、弧状スリット5の幅より小なる幅を有すると共に、応力緩和プレート4の厚みと同一の厚みを有する弧状材7を内装することができる。この場合は、弧状材7の存在により、伝熱面積が広くなり、セラミック1と放熱板2との伝熱性をさらに向上できる。
上記構成において、前記セラミックの両面または片面に、全面に渡り平板状の金属板15を張り合わせることができる。この場合には複合放熱板の強度を高めると共に、外観のよいものとなる。
また、熱応力緩和プレート4の縁に開口されたガス抜き用スリット16の存在により、熱応力緩和プレート4の周方向への変形を容易に行い、セラミック1と熱応力緩和プレート4との間に生じる熱応力を有効に吸収して、セラミック1の割れを防止することができる。
上記製造方法において、その熱応力緩和プレート4の各弧状スリット5を、その熱応力緩和プレート4の平面の外周縁にガス抜き用スリット16を介して開口した場合には、そのガス抜き用スリット16の存在により熱応力緩和プレート4のより内部までMgの蒸発を促し、酸化皮膜を破壊して、ろう付け性を良好に保ち得る。
図1は本発明の複合放熱板に用いられる応力緩和プレート4の平面図及びそのB−B,C−C断面矢視図である。そして図2は同複合放熱板の断面略図である。
この複合放熱板14は、図2に示す如く、セラミック1の表面にろう材13を介し発熱体3が接合されている。発熱体3としては、一例としてパワーICやパワーモジュールパッケージその他の電器部品が取付けられる。
セラミック1は、Si3N4,Al2O3等により形成される。このセラミック1には、ろう材13により応力緩和プレート4を介して放熱板2が接合されている。即ち、応力緩和プレート4の両面にろう材13が配置され、それらが一体にろう付けされる。
なお、放熱板2には放熱促進用のフィンが取付けられることがある。そして、図示しないファンにより放熱板2に冷却風を送風し、それを冷却するものである。
この例では、応力緩和プレート4は外周が方形に形成され、その中心部の外側に多数の弧状スリット5を配置し、このような応力緩和プレート4は金属板のプレス成形加工により、弧状スリット5の部分を打ち抜くことで製造できる。応力緩和プレート4の材質は一例としてアルミニューム板、ステンレス鋼板、鋼板等を用いることができる。
この例の応力緩和プレート4は、図4の伝熱プレート10を内部に組込み、図5の如く組合せプレート12として使用される。係る組合せプレート12の組合せは、多数のスリットを有しつつ、伝熱プレート10の存在により伝熱面積を大きくしてセラミック1と放熱板2との伝熱性を向上させるものである。
応力緩和プレート4は、夫々C字状に形成された弧状スリット5と、そのC字状の中間部間を夫々接続する連結スリット9とを有する。弧状スリット5の内周面には、複数の位置決め用の突起11が突出している。さらには、応力緩和プレート4の四隅に弧状スリット5が設けられ、その弧状スリット5とC字状の弧状スリット5との間も連結スリット9で連通されている。
このような伝熱プレート10と応力緩和プレート4とからなる組合せプレート12で複合放熱板14を構成することにより、セラミック1と放熱板2との伝熱性を良好にしつつ且つ、半径方向に多数のより細い弧状の溝を同心円上に形成し、熱膨張差に基づく熱応力を効果的に吸収できる。
発熱体3によって生じた熱は、図2におけるセラミック1と応力緩和プレート4と同図にはない図4の伝熱プレート10とを介し放熱板2に伝熱される。このときのセラミック1と放熱板2との熱膨張差に基づく熱応力は、弧状の細い溝の間隔の変化により吸収される。
この複合放熱板14は図9に示す如く、厚み方向に絶縁性のセラミック1と金属製の放熱板2とが熱応力緩和プレート4を介してろう付け接合され、そのセラミック1に発熱体3が取付けられるものである。
なお、各弧状スリット5にガス抜き用スリット16を連通させることにより、弧状スリット5内の空気を真空炉中で完全に放出させて、真空炉の真空度を向上させ、真空ろう付けの信頼性をより向上させることができる。
2 放熱板
3 発熱体
4 応力緩和プレート
5 弧状スリット
6 橋部
7 弧状材
9 連結スリット
10 伝熱プレート
11 突起
12 組合せプレート
13 ろう材
14 複合放熱板
15 金属板
16 ガス抜き用スリット
17 凸部
Claims (13)
- 厚み方向にセラミック(1) と金属製の放熱板(2) とが接合され、そのセラミック(1) に発熱体(3) が取り付けられる複合放熱板において、
前記セラミック(1) と放熱板(2) との間に、金属製の熱応力緩和プレート(4) がろう付けにより介装され、
その熱応力緩和プレート(4) の平面には、中心部から同心円上に多数の弧状スリット(5) が半径方向に互いに離間して形成され、
それぞれの弧状スリット(5) には、その両端間に非スリット部として橋部(6) を付属し、半径方向に隣接する各弧状スリット(5) に付属する前記各橋部(6) は、周方向に互いに異なった位置に配置されていることを特徴とする複合放熱板。 - 請求項1において、
前記熱応力緩和プレート(4) の前記各弧状スリット(5) が、同一円周上に複数存在すると共に、同数の前記橋部(6) が各スリット(5) 間に存在する複合放熱板。 - 請求項1または請求項2において、
前記熱応力緩和プレート(4) の前記各弧状スリット(5) 内に、そのスリット(5) の幅より小なる幅を有すると共に、そのプレート(4) と同一厚みを有する弧状材(7) が内装された複合放熱板。 - 請求項3において、
前記熱応力緩和プレート(4) に、半径方向の隣接する各弧状スリット(5) の間を連結する連結スリット(9) が設けられ、
複数の前記弧状材(7) が夫々平面C字状に形成され、各弧状材(7) 間が半径方向に接続部(8) で互いに連結されて伝熱プレート(10)を構成し、
その伝熱プレート(10)の各接続部(8) の幅が前記連結スリット(9) の幅より狭く形成され、
その連結スリット(9) 内に前記接続部(8) が配置されるように、前記伝熱プレート(10)が熱応力緩和プレート(4) に内装された複合放熱板。 - 請求項4において、
前記熱応力緩和プレート(4) の各弧状スリット(5) の内周面に位置決め用の突起(11)が設けられ、
その突起(11)が、前記伝熱プレート(10)の前記弧状材(7) の周面に接触するように構成した複合放熱板。 - 請求項1〜請求項5のいずれかにおいて、
前記セラミック(1) は、その両面または片面に全面に渡り平板状の金属板(15)が張り合わされた複合放熱板。 - 請求項1〜請求項6のいずれかにおいて、
その熱応力緩和プレート(4)の各弧状スリット(5)は、その熱応力緩和プレート(4)の平面の外周縁にガス抜き用スリット(16)を介して開口されたことを特徴とする複合放熱板。 - 請求項7において、
前記熱応力緩和プレート(4)が平面方形に形成され、その一以上の辺に前記ガス抜き用
スリット(16)が開口された複合放熱板。 - 請求項8において、
前記熱応力緩和プレート(4)の四周に前記ガス抜き用スリット(16)が開口された複合放熱板。 - 請求項7〜請求項9のいずれかにおいて、
前記放熱板(2) および熱応力緩和プレート(4)がアルミニューム製であり、
前記ろう付けが、Mgを含むアルミニューム合金からなるろう材により真空ろう付けで行われた複合放熱板。 - 請求項1〜請求項10のいずれかに記載の複合放熱板に用いられる熱応力緩和プレート。
- 請求項4に記載の複合放熱板の製造方法において、
プレートを切断加工または打ち抜き加工により、前記各弧状スリット(5)及び連結スリット(9)を有する熱応力緩和プレート(4)が形成され、その各弧状スリット(5)及び連結スリット(9)の形成の際にプレートから抜け落ちた抜け落ち片を前記伝熱プレート(10)として用い、その伝熱プレート(10)を熱応力緩和プレート(4)内に配置したことを特徴とする複合放熱板の製造方法。 - 請求項12において、
その熱応力緩和プレート(4)の各弧状スリット(5)を、その熱応力緩和プレート(4)の平面の外周縁にガス抜き用スリット(16)を介して開口した複合放熱板の製造方法。
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