JP2011018807A - パワーモジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体素子の中央部に生じる応力歪みを低減することができるパワーモジュールを提供する。
【解決手段】 パワーモジュール1は絶縁基板2を有し、この絶縁基板2の上下面には配線層3,4がそれぞれ形成されている。配線層3の中央部には、半導体素子5がハンダ6により接合されている。配線層4には、ヒートシンク7がハンダ8により接合されている。絶縁基板2の中央部領域(半導体素子5の中央部に対応する領域)2aの厚みは、絶縁基板2の周辺部領域(半導体素子5の中央部以外の部分に対応する領域)2bの厚みよりも薄くなっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁基板上に半導体素子が実装されたパワーモジュールに関するものである。
従来のパワーモジュールとしては、例えば特許文献1に記載されているように、絶縁基体に形成された凹所に半導体素子を収納すると共に、絶縁基体の底面(凹所の反対側の面)に放熱板を接合して、半導体素子から発生する熱を放熱するようにしたものが知られている。
特開平10−163390号公報
しかしながら、上記従来技術においては、以下の問題点が存在する。即ち、半導体素子に大電流を通電すると、半導体素子の中央部の温度が大きく上昇する。このため、半導体素子の中央部と端部とで大きな温度差が生じ、半導体素子の中央部での応力歪みが大きくなる。従って、半導体素子が絶縁基体にハンダで接合されている場合には、半導体素子と絶縁基体との間のハンダにクラックが発生する虞がある。
本発明の目的は、半導体素子の中央部に生じる応力歪みを低減することができるパワーモジュールを提供することである。
本発明は、絶縁基板と、絶縁基板の一面側に配置された半導体素子と、絶縁基板の他面側に配置されたヒートシンクとを備えたパワーモジュールにおいて、絶縁基板は、半導体素子の中央部に対応する第1領域の熱伝導性が半導体素子の中央部以外の部分に対応する第2領域の熱伝導性よりも高くなるように構成されていることを特徴とするものである。
このように本発明のパワーモジュールにおいては、絶縁基板における半導体素子の中央部に対応する第1領域の熱伝導性を絶縁基板における半導体素子の中央部以外の部分に対応する第2領域の熱伝導性よりも高くすることにより、半導体素子の発熱時に高温になりやすい素子中央部の熱が優先的に放熱されるようになる。これにより、素子中央部と素子端部との温度差が小さくなるため、素子中央部に生じる応力歪みを低減することができる。
好ましくは、絶縁基板の第1領域の厚みが絶縁基板の第2領域の厚みよりも薄い。このような構成では、絶縁基板の材質を全体的に一定とした場合でも、絶縁基板の第1領域の熱抵抗が絶縁基板の第2領域の熱抵抗よりも低くなるため、第1領域の放熱性が第2領域の放熱性よりも高くなる。これにより、半導体素子の中央部の熱を確実に優先的に放熱することができる。
また、絶縁基板の第1領域は、絶縁基板の第2領域よりも熱伝導率の高い材質で形成されていても良い。このような構成では、絶縁基板の厚みを全体的に一定とした場合でも、絶縁基板の第1領域の熱抵抗が絶縁基板の第2領域の熱抵抗よりも低くなるため、第1領域の放熱性が第2領域の放熱性よりも高くなる。これにより、半導体素子の中央部の熱を確実に優先的に放熱することができる。
本発明によれば、半導体素子の中央部に生じる応力歪みを低減することができる。これにより、半導体素子が絶縁基板にハンダで接合されている場合に、ハンダのクラック発生を防止することが可能となる。
本発明に係わるパワーモジュールの第1実施形態の構造を示す断面図である。 比較例として従来一般のパワーモジュールの構造の一例を示す断面図である。 半導体素子の発熱時の温度分布の一例を示すグラフである。 本発明に係わるパワーモジュールの第2実施形態の構造を示す断面図である。
以下、本発明に係わるパワーモジュールの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係わるパワーモジュールの第1実施形態の構造を示す断面図である。同図において、本実施形態のパワーモジュール1は絶縁基板2を有し、この絶縁基板2の上下面には配線層3,4がそれぞれ形成されている。
絶縁基板2の材質としては、例えば窒化アルミニウム(熱伝導率:170W/mk)や窒化ケイ素(熱伝導率:70W/mk)等が用いられる。配線層3,4の材質としては、例えば銅(熱伝導率:390W/mk)やアルミニウム(熱伝導率:236W/mk)等が用いられる。
絶縁基板2の上面に形成された配線層3の中央部には、半導体素子5がハンダ6により接合されている。絶縁基板2の下面に形成された配線層4には、ヒートシンク7がハンダ8により接合されている。
絶縁基板2は、中央部領域に凹部9が形成された構造をなしている。これにより、絶縁基板2の中央部領域(半導体素子5の中央部に対応する領域)2aの厚みは、絶縁基板2の周辺部領域(半導体素子5の中央部以外の部分に対応する領域)2bの厚みよりも薄くなっている。絶縁基板2は、凹部9が下側(ヒートシンク7側)に位置するように積層されている。なお、配線層3,4、半導体素子5及びヒートシンク7の厚みは、何れも全体的に等しくなっている。
比較例として従来一般のパワーモジュールの構造の一例を図2に示す。図2において、パワーモジュール50は絶縁基板51を有し、この絶縁基板51の厚みは全体的に等しくなっている。パワーモジュール50の他の構造は、図1に示すパワーモジュール1と同様である。
ところで、半導体素子5に大電流を流すこと等によって半導体素子5が発熱すると、半導体素子5の熱がハンダ6、配線層3、絶縁基板51、配線層4、ハンダ8及びヒートシンク7を介して外部に放出(放熱)される。
しかし、図2に示すパワーモジュール50では、半導体素子5からヒートシンク7までの積層構造において各部の厚みが何れも全体的に一定になっているので、半導体素子5の中央部に対応する領域と半導体素子5の端部に対応する領域とで熱抵抗(熱伝導性)が同等となる。そのため、半導体素子5が発熱した際には、半導体素子5の中央部に最も熱干渉が生じるため、半導体素子5の中央部の温度が大きく上昇してしまう。
従って、図3に示すように、半導体素子5の中央部と端部とで大きな温度差が生じる(破線P参照)ため、半導体素子5の中央部での応力歪みが増大する。その結果、絶縁基板51等の反りによりハンダ6の中央部にクラックが発生することがある。
これに対し本実施形態では、絶縁基板2の中央部領域2aの厚みを絶縁基板2の周辺部領域2bの厚みよりも薄くすることで、中央部領域2aの熱伝導性が周辺部領域2bの熱伝導性よりも高くなるようにしたので、中央部領域2aの熱抵抗が周辺部領域2bの熱抵抗よりも低くなり、半導体素子5の中央部からの放熱性が向上する。
従って、図3に示すように、上記のパワーモジュール50に比べ、半導体素子5の中央部と端部との温度差が小さくなる(実線Q参照)ため、半導体素子5の中央部での応力歪みが低減される。これにより、絶縁基板2等の反りによるハンダ6のクラック発生を抑制することができる。
なお、本実施形態では、絶縁基板2の一面側のみに凹部9を設けたが、絶縁基板2の中央部領域2aの厚みを絶縁基板2の周辺部領域2bの厚みよりも薄くする構造であれば、絶縁基板2の両面側に凹部9を設けても良い。
図4は、本発明に係わるパワーモジュールの第2実施形態の構造を示す断面図である。図中、第1実施形態と同一または同等の要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態のパワーモジュール11は、第1実施形態における絶縁基板2に代えて、絶縁基板12を有している。絶縁基板12の厚みは全体的に等しくなっている。
絶縁基板12は、2種類の材質で形成されている。具体的には、絶縁基板12の中央部領域(半導体素子5の中央部に対応する領域)12aは、絶縁基板12の周辺部領域(半導体素子5の中央部以外の部分に対応する領域)12bよりも熱伝導率の高い材質で形成されている。例えば、中央部領域12aの材質としては窒化アルミニウム(熱伝導率:170W/mk)等が用いられ、周辺部領域12bの材質としては窒化ケイ素(熱伝導率:70W/mk)等が用いられる。
このように本実施形態においては、絶縁基板12の中央部領域12aを絶縁基板12の周辺部領域12bよりも熱伝導率の高い材質で形成したので、中央部領域12aの熱抵抗が周辺部領域12bの熱抵抗よりも低くなり、半導体素子5の中央部からの放熱性が向上する。これにより、半導体素子5の中央部と端部との温度差が小さくなるため、半導体素子5の中央部での応力歪みが低減される。その結果、絶縁基板12等の反りによるハンダ6のクラック発生を抑制することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記の第1実施形態及び第2実施形態を組み合わせても良い。即ち、絶縁基板の中央部領域の厚みを絶縁基板の周辺部領域の厚みよりも薄くすると共に、絶縁基板の中央部領域を絶縁基板の周辺部領域よりも熱伝導率の高い材質で形成しても良い。
1…パワーモジュール、2…絶縁基板、2a…中央部領域(第1領域)、2b…周辺部領域(第2領域)、5…半導体素子、7…ヒートシンク、11…パワーモジュール、12…絶縁基板、12a…中央部領域(第1領域)、12b…周辺部領域(第2領域)。

Claims (3)

  1. 絶縁基板と、前記絶縁基板の一面側に配置された半導体素子と、前記絶縁基板の他面側に配置されたヒートシンクとを備えたパワーモジュールにおいて、
    前記絶縁基板は、前記半導体素子の中央部に対応する第1領域の熱伝導性が前記半導体素子の中央部以外の部分に対応する第2領域の熱伝導性よりも高くなるように構成されていることを特徴とするパワーモジュール。
  2. 前記絶縁基板の前記第1領域の厚みが前記絶縁基板の前記第2領域の厚みよりも薄いことを特徴とする請求項1記載のパワーモジュール。
  3. 前記絶縁基板の前記第1領域は、前記絶縁基板の前記第2領域よりも熱伝導率の高い材質で形成されていることを特徴とする請求項1記載のパワーモジュール。



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