JP5061749B2 - スプライス部の止水方法および該スプライス部を有する自動車用ワイヤハーネスの配索構造 - Google Patents

スプライス部の止水方法および該スプライス部を有する自動車用ワイヤハーネスの配索構造 Download PDF

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本発明は、自動車用のワイヤハーネスのスプライス部の止水方法および該スプライス部を有するワイヤハーネスの配索構造に関し、詳しくは、自動車に配索されるワイヤハーネスが湾曲して配索される部位に存在しても、該スプライス部における止水性能を保持するものである。
従来、自動車に配索するワイヤハーネスの電線群において、複数の電線同士を接続する場合、電線の絶縁被覆部を皮剥ぎして芯線を露出させ、該芯線露出部を溶接、半田付け或いは圧着端子で接続してスプライス部を形成している。このスプライス部に水がかかると芯線や圧着端子が腐食するため、被水領域であるエンジンルーム等に配索するワイヤハーネスでは、該スプライス部を止水している。
このような止水方法として、本出願人は、WO2005−104302号公報において、図6に示すように電線のスプライス部の止水構造を提供している。該止水構造はワイヤハーネスを構成する所要の電線のスプライス部1をシリコン2を含浸させた発泡シート3と粘着テープ4を巻き付け、シリコン2を接続される芯線の隙間に充填させて止水している。
前記止水構造としたスプライス部を備えたワイヤハーネスを自動車内に配索する場合、配索場所によっては、スプライス部を含む所要領域でワイヤハーネスを屈曲させなければならない場合もある。このような場合、通常、スプライス部をなるべく屈曲させず、該スプライス部の両側で屈曲させる設計とされている。しかしながら、前記のようにスプライス部を発泡シート3と粘着テープ4とを電線の軸線方向に巻き付けているだけであるため、スプライス部の剛性は高くないため、スプライス部を含む領域を湾曲させるとスプライス部が屈曲しやすくなる。
また、シリコンが固化するまでに巻き付ける発泡シートと粘着テープの巻き付け力が弱いと、シリコンをスプライス部の隙間に押し込む力が弱く、シリコンが隙間に充填されずに止水性能が低下する恐れもある。
WO2005−104302号公報
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、ワイヤハーネスがスプライス部の止水および保護が確実になされ、かつ、スプライス部の剛性を高めてスプライス部を含む部分が湾曲して配索されても、スプライス部の両側で湾曲させてスプライス部は屈曲されないようにすることを課題としている。
前記課題を解決するため、第1の発明として、広巾の粘着テープの内面の巾方向の一側部の中央部に、シリコンからなる止水剤を塗布した発泡シートを配置し、
前記発泡シートの表面に電線のスプライス部を載置した後に、該発泡シートを前記広巾の粘着テープの一側部と共に前記スプライス部の全周に巻き付け、前記スプライス部および該スプライス部の両側に連続する電線の芯線露出部を止水剤含有の前記発泡シートで被覆し、該発泡シートを前記スプライス部、芯線露出部に密着させて前記止水剤を押し付け、かつ、前記芯線露出部に連続した電線の絶縁被覆部を前記発泡シートの長さ方向の両端から突出した広巾の粘着テープで被覆し、この状態で、前記発泡シートの両端を重ね合わせると共に前記広巾の粘着テープの一側部の対向面を粘着させ、
ついで、前記発泡シートより巾方向に突出させている前記広巾の粘着テープの他側部を強い力ですし巻き状に巻き付けて、前記発泡シートを押圧し、該発泡シートに浸透している止水剤を前記スプライス部、芯線露出部および絶縁被覆部へと押し出して隙間に充填させ、
ついで、巻き付けた前記粘着テープの外周面の全長のみを、更に別の細巾の粘着テープで螺旋状にきつくハーフラップ巻きし、該ハーフラップ巻き時に前記広巾の粘着テープおよび前記発泡シートを押圧して、該発泡シートに浸透している止水剤を更に押し出して前記隙間に充填し、
前記発泡シート、広巾な粘着テープおよび細巾の粘着テープの3重の巻き付けでスプライス部の剛性を、該スプライス部を挟む両側の電線より大としていることを特徴とするスプライス部の止水方法を提供している。
前記のように、本発明のスプライス部の止水方法では、スプライス部に止水剤を塗布した発泡シートと広巾の粘着テープを巻き付けて被覆した後に、広巾の粘着テープの外周面に、該広巾の粘着テープよりも細巾の粘着テープで螺旋状にハーフラップ巻きしている。この粘着テープをハーフラップ巻きする際にきつく巻き付けていくことで、広巾の粘着テープと発泡シートをスプライス部に押圧して密着させ、かつ、止水剤を芯線の間に確実に押し込んで、止水性能を高めることができる。
また、これにより発泡シートの弾性力による防水部の径の増大および、発泡シートへの止水剤の吸収を抑制できるので、止水剤を芯線の間に保持しやすくなる。
さらに、外周に粘着テープをハーフラップ巻きすることで、スプライス部の剛性が増加し、スプライス部を屈曲させにくくできる。その結果、スプライス部を含む領域を車両配索時に湾曲させても、スプライス部は直線性を保持し、スプライス部の両側の電線を屈曲させることができる。
第2の発明として、自動車に配索される電線であって、該電線が湾曲して配索される領域にスプライス部があり、該スプライス部を前記方法で止水しており、前記湾曲して配索される領域内で前記スプライス部を挟む両側が屈曲されると共に該スプライス部は直線性を保持していることを特徴とするスプライス部を有する自動車用ワイヤハーネスの配索構造を提供している。
前記止水方法で止水されたスプライス部を設けていることにより、該スプライス部が湾曲して配索される領域にあっても、スプライス部の外周を前記細巾な粘着テープでハーフラップ巻して剛性を高めているため屈曲しにくく直線性を保持し、その分、両側の電線部分が屈曲する。また、仮にスプライス部が多少湾曲しても、その外周を粘着テープでハーフラップ巻しているため、弾性シートと広巾の粘着テープをスプライス部から剥がれることなく密着させておくことができ、止水性能が低下することを防止できる。
前述したように、本発明のスプライス部の止水方法によれば、発泡シートと広巾の粘着テープをスプライス部ですし巻きし、さらに、その外周を別の細巾な粘着テープで螺旋状に巻き付けると共にハーフラップ巻しているため、発泡シート内部でスプライスされた芯線の隙間に隙間なく止水剤を充填でき、止水性能を高めることができる。
さらに、スプライス部の外周を細巾のテープでハーフラップ巻きしていることにより、スプライス部の剛性が増してスプライス部での屈曲を生じにくくすることができる。よって、該スプライス部を含む部分が自動車に湾曲状に配索されても、スプライス部は屈曲せずに直線性を保持し、両側電線部で屈曲させて、スプライス部の止水性能が低下することを防止できる。
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図5に本発明の実施形態を示す。
電線w1、w2は夫々長さ方向の中間位置で絶縁被覆部11を皮剥ぎして芯線を露出させ、該芯線露出部12、12を超音波溶接により溶接してスプライス部13を形成している。
前記スプライス部13の両側に連続する電線の芯線露出部12は、シリコ樹脂(以下、シリコンと略す)14内に埋設されている。該シリコン14による埋設部分に発泡シート15と広巾の粘着テープ16をすし巻きして巻きつけ、さらにその外周を別の細巾の粘着テープ17を螺旋状にハーフラップ巻きして巻き付けて、止水したスプライス部10を形成している。
前記粘着テープ16、17は電線群の結束に汎用している塩化ビニルテープの一面に粘着剤が塗布されたテープからなる
スプライス部13に巻き付ける前の広巾の粘着テープ16と発泡シート15は、図3に示すように矩形状で、発泡シート15は広巾の粘着テープ16よりも小面積としている。電線の長さ方向Xにおいて、発泡シート15の長さL2は広巾の粘着テープ16の長さL1の80%以下としており、本実施形態ではL1を65mm、L2をL1の46%である30mmとしている。
該発泡シート15は広巾の粘着テープ16に対して、平行に且つ電線の長さ方向Xの中央位置に粘着しており、発泡シート15の電線の長さ方向Xの両端側には広巾の粘着テープ16の粘着剤が塗布されている粘着面16aを露出させておき、載置する電線w1、w2の絶縁被覆部11に粘着できるようにしている。
また、発泡シート15の巻き付け方向Yは巻きつける重ね合わせた複数の電線の外周の長さ以上とし、発泡シート15を重ね合わせた電線w1、w2の外周に少なくとも一周巻きは付けられるようにしている。
次に、スプライス部13の止水方法について説明する。
まず、図2に示すように、電線w1、w2をスプライス接続する中間位置の絶縁被覆部11を皮剥ぎし、芯線を露出させて芯線露出部12を形成する。これら芯線露出部12を超音波溶接により溶接してスプライス部13を形成し、電線w1とw2を中間接続しておく。
次に、図3に示すように、広巾の粘着テープ16の粘着面16aの長さ方向Xの中央部で、巾方向(巻き付け方向)Yの一側部に発泡シート15を重ねて粘着する。広巾の粘着テープ16の他側部は発泡シート15から巻き付け方向Yに延在させている。
次ぎに、発泡シート15の中央位置にシリコン14を予め設定した定量だけ塗布する。塗布されたシリコン14は発泡シート15内に浸透すると共に発泡シート15上にも位置する。
ついで、図4に示すように、発泡シート15の中央部のシリコン14の塗布部分に電線w1、w2のスプライス部13と、該スプライス部13の両側に連続する電線の芯線露出部12と、芯線露出部12に連続する部分の電線の絶縁被覆部11aとを載置する。さらに、発泡シート15から突出する広巾の粘着シート16上に前記絶縁被覆部11aに連続する電線の絶縁被覆部11bを載置する。
ついで、図5(A)に示すように、発泡シート15と広巾の粘着テープ16を重ね合わせた状態でスプライス部13およびその両側部を包むように、両側から巻き付け方向Yに折り返し、発泡シート15の両端を重ね合わせると共に、広巾の粘着テープ16の対向する粘着面16a同士を粘着させる。この状態で、広巾の粘着テープ16の他側部は、まだ、巻き付けられていない。これにより、スプライス部13、芯線露出部12および芯線露出部12に連続する絶縁被覆部11aに発泡シート15が密着されると共に、絶縁被覆部11bに広巾の粘着テープ16が粘着する。これにより、発泡シート15上のシリコン14をスプライス部13、芯線露出部12、絶縁被覆部11に押し付けて、これらの隙間にシリコン14を充填する。
続いて、図5(B)に示すように、広巾の粘着テープ16の他側部をスプライス部13に巻き付けている一側部の外周面に強い力ですし巻き状に巻き付け、さらに、発泡シート15を押圧してスプライス部13に密着させる。これにより、発泡シート15内に浸透しているシリコン14が押し出されてスプライス部側の隙間に充填される。
最後に、図1(A)、(B)に示すように、広巾の粘着テープ16の外周面に細巾の粘着テープ17を電線w1、w2の長さ方向Xに沿って螺旋状にハーフラップ巻きしている。該ハーフラップ巻き時にきつく巻き付けていくことで、さらに発泡シート15を押圧することで、シリコン14はスプライス部13側に押し出され、スプライス部13側に充填される。この状態で、発泡シート15内に浸透しているシリコン14は僅かとなり、塗布したシリコン14の大半はスプライス部13および芯線露出部12の芯線の隙間に充填されることとなる。
前記方法により止水されたスプライス部10では、その芯線の隙間にシリコン14が漏れなく充填されると共に、その外周に発泡シート15が密着し、該発泡シート1の外周が広巾の粘着テープ16で囲まれるため、止水性能を高めることができる。さらに、巾の粘着テープ16の外周を粘着テープ17によりハーフラップ巻きしていることで、スプライス部の剛性を高めることができる。
よって、前記止水されたスプライス部10が、自動車に配索された時に湾曲領域に位置しても、スプライス部10は屈曲されず、該スプライス部の両側の電線部分が屈曲し、全体として所要の湾曲経路をとることとなる。
このように、スプライス部10が屈曲せず、直進線を保持することにより、スプライス部10で発泡シート15および広巾の粘着テープ16に亀裂や剥がれ等が起こることを防止でき、止水性能をより高めることができる。
前記本実施形態では2本の電線の中間位置を皮剥ぎしてスプライス接続しているが、3本以上の電線をスプライス接続するものにおいて、本発明の止水方法を好適に用いることができる。また、芯線のスプライスは溶接に限らず、半田付けや圧着端子により芯線を接続してスプライス部を形成してもよい。
本発明の実施形態を示し、(A)は正面図、(B)はA−A線断面図である。 電線のスプライス部を示す図面である。 広巾の粘着テープに発泡シートを載置した状態を示す図面である。 発泡シートに電線のスプライス部を載置した状態を示す図面である。 (A)(B)は発泡シートと広巾テープの巻き付け状態を示す図面である。 従来例を示す図面である。
符号の説明
10 止水されたスプライス部
11 絶縁被覆部
12 芯線露出部
13 スプライス部
14 シリコン
15 発泡シート
16 広巾の粘着テープ
17 細巾の粘着テープ
w1、w2 電線

Claims (2)

  1. 広巾の粘着テープの内面の巾方向の一側部の中央部に、シリコンからなる止水剤を塗布した発泡シートを配置し、
    前記発泡シートの表面に電線のスプライス部を載置した後に、該発泡シートを前記広巾の粘着テープの一側部と共に前記スプライス部の全周に巻き付け、前記スプライス部および該スプライス部の両側に連続する電線の芯線露出部を止水剤含有の前記発泡シートで被覆し、該発泡シートを前記スプライス部、芯線露出部に密着させて前記止水剤を押し付け、かつ、前記芯線露出部に連続した電線の絶縁被覆部を前記発泡シートの長さ方向の両端から突出した広巾の粘着テープで被覆し、この状態で、前記発泡シートの両端を重ね合わせると共に前記広巾の粘着テープの一側部の対向面を粘着させ、
    ついで、前記発泡シートより巾方向に突出させている前記広巾の粘着テープの他側部を強い力ですし巻き状に巻き付けて、前記発泡シートを押圧し、該発泡シートに浸透している止水剤を前記スプライス部、芯線露出部および絶縁被覆部へと押し出して隙間に充填させ、
    ついで、巻き付けた前記粘着テープの外周面の全長のみを、更に別の細巾の粘着テープで螺旋状にきつくハーフラップ巻きし、該ハーフラップ巻き時に前記広巾の粘着テープおよび前記発泡シートを押圧して、該発泡シートに浸透している止水剤を更に押し出して前記隙間に充填し、
    前記発泡シート、広巾な粘着テープおよび細巾の粘着テープの3重の巻き付けでスプライス部の剛性を、該スプライス部を挟む両側の電線より大としていることを特徴とするスプライス部の止水方法。
  2. 自動車に配索される電線であって、該電線が湾曲して配索される領域にスプライス部があり、該スプライス部請求項1に記載の方法で止水されており、前記湾曲して配索される領域内で前記スプライス部を挟む両側が屈曲されると共に該スプライス部は直線性を保持していることを特徴とするスプライス部を有する自動車用ワイヤハーネスの配索構造。
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