これらの全層IVH構造の高密度基板は、一長一短があり、図9および図10で説明した層間を導電性ペーストで接続する高密度基板は、極めて容易かつ安価に全層IVH構造が実現できる反面、部品を搭載保持するランドの密度強度が比較的小さい。
また、ビア接続をめっきで確保する高密度基板については、ランドの密着強度に優れるものの、ビア用の穴加工するためのレーザーショット回数が比較的に多く、さらに、めっきにより前記加工穴を埋めて表層及び内層のビアを形成するため、生産における所要時間が大幅に増大し、これにより製造コストの課題を抱える。
これらの技術的な利害を解消するために、図9あるいは図10の基板をコア基板として用い、その表層にめっきビアを設ける複合技術がある。
この従来の技術について、以下に説明する。
まず、図11(a)に示すコア基板401として、例えば、図9で示したプロセスにより作製した回路基板を準備する。
次に図11(b)のように、コア基板401の上下にプリプレグシート404と銅箔405とを重ね合わせて、さらに金属中間板(図示せず)で挟持して熱プレスすることで図11(c)に示すような多層の銅張積層板406を得る。
次に図11(d)に示すように、所定の位置にレーザーで非貫通穴407を最外層に形成する。
次に図11(e)に示すように、続いて銅めっきを非貫通穴407および銅箔405上に施すことで積層体408を得る。
さらに、フォトリソエッチング等の方法により導体層409に所望の配線パターン形成を行い回路配線層410とし、図11(f)に示すような多層回路基板を得る。
上記の製造方法を繰り返すことで、より高多層の回路基板を得ることができる。また、回路基板の表層にソルダーレジストあるいは回路配線層410への金めっき等の表面仕上げ処理を必要に応じて行う。
また、この回路基板についても、ある所定のワークサイズで製造され、最終的にはそのワークから所定の製品サイズに外形加工を施して製品を得る。
なお、複合基板の場合、図11(f)の配線パターン形成前に導体層409をスライスエッチング等で薄くし、配線パターン形成での配線層の微細化を行うこともある。
しかしながら、図11に示したような従来の複合基板は、構造およびコスト的に優れるものの、今後要求されつつある更なる基板の高密度化に対しては、上記の製造方法には限界があり、特に、ビアとランドとの合致精度(位置合わせ精度)は、大きな課題である。
この課題の詳細について、図12、(表1)および(表2)を用いて以下に説明する。
図12に示すように、めっきビアの中心と内層ランドの中心とが略一致する位置関係であることが理想的であるが、実際にはプロセス上のバラツキでそれらの中心がずれる場合がある。
ここで、仮に各中心のズレ公差を片側ズレ量100μmとしたときの設計ルールを(表1)にシミュレーションした。なお、前提条件として内層におけるランド間クリアランス50μmに固定した。
(表1)に示したとおり、ビアピッチ(図中のピン間/隣接するビア間の距離)が0.15mmになった場合にビアが形成できなくなる。
次に、公差を片側ズレ量75μmとした場合の結果を(表1)と同様に(表2)に示した。
この場合、公差片側ズレ量100μmで実現できなかった0.15mmのビアピッチの実現が計算上可能となることがわかる。
このことから、基板の高密度化においてはビアの小径化および接続技術に加えて、ビアと内層ランドとの合致精度を向上させることが極めて重要になる。
さらに、この合致精度の向上は、高密度基板の製造コストにおける課題を解決する上でも重要である。すなわち、従来においては、ズレの影響を小さくするために、製造用材料のワークサイズを比較的小さくする方法も採用していたが、製造用材料のワーク内の基板製品の取数が少なくなるというものである。
ビアと内層ランドとの合致精度を向上し、ビアのズレ公差を小さくすれば、製造用材料のワークサイズを小さくすることによるワーク内の基板製品の取数を少なくする必要もない。
その結果として、同じプロセスでより多くの製品を製造することが可能となり、製造コスト的な効果は絶大である。
以上より、本発明の目的は、最外層ビアと内層ランドとのズレ公差が極めて少ないプロセスで全層IVH構造の高密度基板を製造し、高密度実装に理想的な回路基板を高い生産性を維持して提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
すなわち、本発明の回路基板は、互いに積層された複数の絶縁層と、前記絶縁層に形成された層間接続用のビアと、前記絶縁層の表面に形成された配線パターンとを備え、前記複数の絶縁層の少なくとも1層にはペーストが充填されたビアと金属めっきにより形成されたビアとが共に存在することを特徴とするものである。
この構成により、層間接続用のビアと配線パターンとしての表層あるいは内層ランドとの合致精度を向上させた全層IVH構造の高密度の回路基板を提供することができ、金属めっきにより形成されたビア(以下めっきビアと称す)とペーストが充填されたビア(以下ペーストビアと称す)とを同一層に併用することでめっきビアの接続信頼性を向上させることができる。
また、本発明の回路基板において、ペーストが充填されたビアと金属めっきにより形成されたビアとが共に存在する層は、互いに積層された複数の絶縁層の最外層に位置する層であることが望ましい。これにより、同一層かつ所定の位置関係に物性の異なる2種類のビアをそれぞれ同時に配設できるため、搭載部品の保持に必要とされるランドの密着強度に応じて、ビアの導通手段をめっき接続あるいはペースト接続で使い分けることができる。
また、本発明の回路基板において、ペーストが充填されたビア、または金属めっきにより形成されたビアの少なくとも1つは層間接続の機能を備えていることが望ましい。これにより、層間の熱伝達用のビア(以下サーマルビアと称す)、あるいは抵抗体等の機能を有するビアをめっきビアと同一層で、所望の位置関係に配置できる全層IVH構造の回路基板を提供できる。
また、本発明の回路基板は、製品部分となる複数の個別回路基板からなる集合回路基板であって、ペーストが充填されたビアは、前記個別回路基板を除く領域に形成されていることが望ましい。これにより、層間接続用のビアと配線パターンとしての表層あるいは内層ランドとの合致精度を向上させるために設ける投錨用のビアとしてのペーストビアを多数個取りの集合回路基板を構成する個別回路基板間等に効率的に配置することができ、層間のズレが少なく接続信頼性の高い回路基板を提供することができる。
また、本発明の回路基板において、ペーストが充填されたビアは、金属めっきにより形成されたビアの周辺に設けられていることが望ましい。これにより、めっきビアの周辺にペーストビアを併設することにより、絶縁材の厚み方向の熱膨張を減少させ、めっきビアに発生する熱ストレスを緩和することができ、信頼性の高い回路基板を提供することができる。
また、本発明の回路基板において、ペーストが充填されたビアは、絶縁層に設けられた穴に無機フィラーと熱硬化性樹脂性樹脂を含むペーストが充填され硬化したものであることが望ましい。これにより、層間の導通接続、層間の熱伝達、あるいは層間の抵抗体接続等の機能を備えた回路基板を提供することができる。
なお、本発明の回路基板が層間の導通接続の機能を備えるには、無機フィラーは、金、銅、銀、インジウム、はんだ、あるいはそれらの合金のいづれかであることが望ましい。これにより、ペーストビアは層間導通用のビアとしての機能を有し、同一層に存在するめっきビアと共に高密度かつ高信頼の回路基板を実現できる。
また、本発明の回路基板が層間の熱伝達の機能を備えるには、無機フィラーは、アルミ系の化合物であることが望ましい。これにより、ペーストビアはサーマルビアとしての機能を有し、同一層に存在するめっきビアと共に放熱性の高い回路基板を実現できる。
また、本発明の回路基板が層間の抵抗体接続の機能を備えるには、無機フィラーは、フェライト系の化合物であることが望ましい。これにより、ペーストビアは抵抗体として機能を有し、チップ抵抗等の実装電子部品を大幅に減らすことでコストの削減と生産性を向上させ、その結果、高い信頼性を備えた高密度の回路基板を実現できる。
また、本発明の回路基板において、最外層の絶縁層の表層には、電子部品を搭載保持するためのランドを備え、前記ランドは、ペーストが充填されたビアの直上および金属めっきにより形成されたビアの直上に形成されていることが望ましい。これにより、CSP、BGA等の比較的サイズが大きく、端子数の多い部品を搭載保持するランドとの層間接続はめっきビアを適用し、その他サイズの小さいチップ部品等を搭載するランドとの層間接続はペーストビアを適用することにより、接続信頼性が高い高密度実装の回路基板を提供することができる。また、CSP、BGA等の端子数の多く、ビアが集中的に配置される部品実装エリアにめっきビアを配設し、その周囲にペーストビアを配置することで、めっきビアに発生する熱ストレスを緩和することができ、信頼性を高めることもできる。
さらに、本発明の回路基板において、金属めっきにより形成されたビアの周辺に設けられているペーストが充填されたビアは、無機フィラーと熱硬化性樹脂性樹脂を含むペーストが充填され硬化したものであって、前記無機フィラーは、金、銅、銀、インジウム、はんだ、あるいはそれらの合金、またはアルミ系の化合物、フェライト系の化合物のうちから選択されるものであることが望ましい。めっきビアに発生する熱ストレスを緩和することができ、信頼性の高い回路基板を実現できるとともに、高密度実装、または高熱伝導性、または層間の抵抗体接続等の機能を備えた回路基板を提供することができる。
次に、本発明の回路基板の製造方法は、表層に配線パターンを備えたコア基板とペーストが充填された貫通穴を備えるプリプレグシートとを準備する工程と、コア基板の両面にプリプレグシートを積層または複数のコア基板とプリプレグシートとを交互にかつプリプレグシートを外側に積層し、その最外層に金属箔を重ねて積層体を形成する工程と、前記積層体を加熱加圧して前記プリプレグシートが硬化された絶縁層を備える銅張積層板を形成する工程と、前記絶縁層のペーストが充填された貫通穴を除く位置に非貫通穴を形成する工程と、前記非貫通穴に金属めっきを形成する工程と、前記銅張積層に配線パターンを形成する工程とを備えることを特徴とするものである。
この製造方法を用いることにより、層間接続用のビアと配線パターンとしての表層あるいは内層ランドとの合致精度を向上させた全層IVH構造の高密度の回路基板を製造することができ、めっきビアとペーストビアとを同一層に共に存在させて形成することが可能となり、めっきビアの接続信頼性を向上させることができる。
また、本発明の回路基板の製造方法において、銅張積層板は製品領域と非製品領域からなり、前記銅張積層に配線パターンを形成する工程の後、前記製品領域と前記非製品領域は切断分離されるものであって、前記非製品領域に対応するプリプレグシートにはペーストが充填された貫通穴のみが設けられていることが望ましい。これにより、製品領域と切断分離されて回路基板製品としては最終的に不要となる非製品領域に、層間接続用のビアと配線パターンとしての表層あるいは内層ランドとの合致精度を向上させるために設ける投錨用のビアとしてのペーストビアを効率的に配置することができ、層間のズレが少なく接続信頼性の高い回路基板を提供することができる。
また、本発明の回路基板の製造方法において、銅張積層板は製品領域と非製品領域からなり、前記銅張積層に配線パターンを形成する工程の後、前記製品領域と前記非製品領域は切断分離されるものであって、前記製品領域に対応するプリプレグシートにはペーストが充填された貫通穴が設けられ、前記製品領域に対応する絶縁層には非貫通穴が設けられることが望ましい。これにより、同一層かつ所望の位置関係に物性の異なる2種類のビアを共に配設できるため、搭載部品の保持に必要とされるランドの密着強度あるいは基板放熱性能に応じて、ビアの層間の導通手段をめっきビアまたはペーストビア、あるいは両方を採用することができ、要求性能に応じて使い分けることができる回路基板の製造方法を提供することができる。
さらに、本発明の回路基板の製造方法において、貫通穴に充填されたペーストは、無機フィラーと熱硬化性樹脂性樹脂を含むものであって、前記無機フィラーは、金、銅、銀、インジウム、はんだ、あるいはそれらの合金、またはアルミ系の化合物、フェライト系の化合物のうちから選択されるものであることが望ましい。これにより、めっきビアに発生する熱ストレスを緩和することができる信頼性が高く、かつ高密度実装、または高熱伝導性、または層間の抵抗体接続等の機能を備えた回路基板を製造することができる。
本発明の回路基板の製造方法であれば、コア基板とペーストが充填された貫通穴を具備するプリプレグシートと金属箔とを加熱加圧成型する際、その工程中におけるコア基板の寸法変化を均一にすることができるため、コア基板の内層ランドと、その直上に形成されるめっきビアとのズレ公差を小さくすることができる。
その結果、従来の全層IVH構造を有する回路基板において限界であった設計仕様(ビア径/ランド径の寸法仕様)における限界値を引き上げることが可能となり、さらなる微細配線化(ビア径/ランド径の寸法仕様を含む)を実現することができ、加えて高い生産性で回路基板を提供することができる。
また、本発明の製造方法により得られた本発明の回路基板は、同一層かつ所望の位置関係に物性の異なる2種類のビアを共に配設できるため、搭載部品の保持に必要とされるランドの密着強度に応じて、ビアの導通手段をめっきビアあるいはペーストビアに使い分けることができる。
さらに、めっきビアを必要最低限の位置にのみ設け、その他の層間接続をペーストビアに置き換えて確保すれば、回路基板の製造コストを削減することができ、全層IVH構造の高密度基板をより安価に提供することができる。
さらに、本発明の回路基板のペーストビアに所望のフィラーを選択すれば、層間の電気的接続だけでなく、サーマルビア、あるいは抵抗体等の機能を有するビアをめっきビアと同一層で、所望の位置関係に配置できる全層IVH構造の回路基板を提供できる。
また、めっきビアとペーストビアを同一層に併用することでめっきビアの接続信頼性をも向上させることができる。
本発明の実施の形態における回路基板の製造方法と製造された回路基板について、図を用いて以下に説明する。
図1は本発明の回路基板の製造方法を示すものである。
まず図1(a)に示すように、絶縁層2とその表層に形成された配線パターン3(層間接続用のランドパターンを含む)と層間接続用のビア1とを有するコア基板4とペーストが充填された貫通穴5(以下ペーストビアと称す)を備えるプリプレグシート6(図1(b)に示す)とを準備する。なお、コア基板4は両面2層の回路基板を示しているが、2層以上の配線層を有する多層のコア基板であってもよい。また、貫通穴に充填されたペーストは無機フィラーと熱硬化性樹脂性樹脂を主成分として構成されているものである。
次に図1(b)に示すように、コア基板4の両面にプリプレグシート6を重ね、さらに金属箔7を重ねて積層体を形成する。なお、複数のコア基板4とプリプレグシート6とを交互にかつプリプレグシートを外側に積層し、その最外層に金属箔を重ねて積層体を形成することも可能であり、これにより高多層の回路基板を実現できる。
次に図1(c)に示すように、積層体と金属中間板(SUS)とを交互に重ね(図示せず)、積層体のプリプレグシート6の樹脂が硬化する温度で加熱加圧して、プリプレグシート6が硬化された絶縁層を備えた銅張積層板を形成する。
次に図1(d)に示すように、銅張積層板の最外層の絶縁層のペーストビア5を除く所定の位置に非貫通穴8を形成する。
次に図1(e)に示すように、非貫通穴8に金属めっきを施して、金属めっきにより形成されたビア9(以下めっきビアと称す)を形成する。
次に図1(f)に示すように、銅張積層板の最外層の導体層10に所望の配線パターン11(部品実装用のランドパターン等を含む)を形成する。
さらに、回路基板の表層にソルダーレジストあるいは配線パターン11への金めっき等の表面仕上げ処理を必要に応じて行う。
上記の図1(b)に示すようなペーストビア5は、コア基板4の層間接続用のランドパターン(以下内層ランドと称す)と直上に形成するめっきビア9とのズレを抑制する機能を備えたものである。このペーストビア5によるズレを抑制する機能の詳細について以下に説明する。
まず、ズレの発生原因は、コア基板をプリプレグシートと金属箔とで挟持して熱プレスにより加熱加圧するに際し、その過程でコア基板が寸法変化することに起因する。
この寸法変化は、配線パターンの影響による熱膨張の差、あるいはコア基板の内部残留応力の開放等による歪みが発生し、そのうえバラツキもあって一定の寸法変化とはならない。
その結果、熱プレス後の内層のコア基板の配線パターンは、設計上の位置からバラツキをもった距離でズレた状態となる。このことから、内層ランド上にめっきビアを形成する構成の回路基板において、めっきビアと内層ランドとの位置の関係は、コア基板の寸法のバラツキを吸収しうる程度のズレの公差が必要となる。
本発明の回路基板の製造方法においては、上記の現象に対して、ペーストビア5が、熱プレスの最中に楔に相当する作用をコア基板4に対しても施すものであり、熱プレスの際に使用する間接部材であるSUS板等の金属中間板により歪みや膨張を抑制し、その作用を前記プリプレグシート6を介してコア基板4にも及ぼすことにより、コア基板4の歪みや寸法変化を抑えることができる。
このため、熱プレスの最中でのコア基板4の寸法変化が均一的になり、結果として内層ランドとめっきビア9とのズレを小さくすることができる。
なお、本発明における熱プレスの際に使用する金属中間板は、一般的なSUS板でよく、具体的にはSUS301、SUS304等が好ましく、厚みも1mm以上あればよい。
また、以上の作用及び仕組みにより、少なくとも無機フィラーと熱硬化性樹脂を含むペーストが貫通穴5に充填されていれば、ズレを抑制する機能を有すことにより、特に金属フィラーに限定する必要はない。
さらに、図1(g)のペーストビア5あるいは15のように、絶縁層の上下に配線パターンが必ずしも配置されなくてもよい。
なお、ペーストビアはズレを抑制する機能だけでなく、回路基板として有効なその他の機能と作用を備えることが必要であれば、それに応じた所望のフィラー種を選択することも可能である。これによりペーストビア5に様々な機能を付加することもできる。
特に、ペーストビア5に層間接続用のビアとしての機能が必要な場合は、フィラー種は導電性を有する金属が好ましく、具体的には金、銅、銀、インジウム、はんだ等あるいはそれらの合金が好ましい。
また、ペーストビア5に熱伝達用のビア(サーマルビアと称す)としての放熱の機能が必要であれば、アルミ系の化合物が好ましく、具体的には窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナが好ましい。
さらに、ペーストビア5に抵抗体としての機能が必要であれば、フェライト系化合物が好ましい。なお、これらの場合は、絶縁層の上下の表層に必ず配線層を配置する必要がある。
なお、上記の図1における回路基板の製造方法は、回路基板の製品部分を主とした事例を説明した。ただし、実際に行われる回路基板の製造は、ある所定のワークサイズの基板材料で製造し、最終段階で外形加工を施してワークサイズから製品サイズの回路基板として製造することが一般的である。
そこで、本発明の回路基板の製造方法において、ワークサイズの基板材料(プリプレグシート、コア基板、金属箔)を用いた場合のプロセスについて、以下に説明する。
まず、前述の図1(c)の工程で形成した銅張積層板は、通常ワークサイズと言われ、各製造工程やその過程において必要なサイズのものである。すなわち、製造設備を用いて銅張積層板に加工を施す際に必要な位置合わせ用の貫通穴やパターンが銅張積層板の四辺端部に設けられている。
また、銅張積層板は、図1(f)に示す配線パターンの形成の後、ソルダレジスト形成等の工程を経て、最終的には金型による打ち抜きまたはルーター加工等の外形加工工程により、製品領域と非製品領域に切断分離される。
製品領域とは、電子部品の実装が可能な製品としての回路基板が形成されている領域であり、非製品領域とは、製品領域以外の領域であって、銅張積層板の四辺端部や製品領域内の複数の回路基板の間に設けられている領域を含み、外形加工工程において製品領域と非製品領域に切断分離された後は廃棄される領域をいう。
なお、本実施の形態においては、製品領域に形成される回路基板にあって、複数の個別回路基板で構成される集合型の回路基板(以下集合回路基板と称す)における各個別回路基板の間に形成される連結部分や通称ミシン目と呼ばれる加工穴の部分、および回路基板および集合回路基板の周辺領域でかつ部品実装後に電子機器の筐体に組み込まれる前に切断分離されて廃棄される部分も非製品領域に含むものとする。
図2は、本発明の回路基板の製造方法における基板材料としてのワーク14を示したものであり、ワーク14に製品サイズの回路基板となる複数の製品シート16を面付けしたものである。
次にこのワーク14を用いた場合の回路基板の製造方法について、図3を用いて説明する。
基本的な製造方法は、図1で説明した場合と同様であるので同一の説明は省略する。
なお、銅張積層板を形成するために必要なコア基板、プリプレグシート、金属箔はワークサイズのものを用いており、上記で説明した銅張積層板の製品領域と非製品領域は、それに対応する領域がプリプレグシートおよび金属箔の製品領域と非製品領域になることはいうまでもない。
まず、図3(a)、図3(b)に示すように、表層に配線パターンを備えたコア基板4とプリプレグシート6を準備する。プリプレグシート6のペーストビア5は非製品領域に対応する部分にのみ設けられており、外形加工工程後には分離され廃棄される部分であって、最終的には製品サイズとしての回路基板には含まれない。
図1で示した場合と同様に、図3(c)〜図3(e)に示す工程を経て、図3(f)で示したように、配線パターン形成後の多層の積層板をルーター714あるいは金型プレス等で外形加工する。これにより、製品領域と非製品領域を分離し、図3の(g)の回路基板、すなわち製品サイズの回路基板を得ることができる。
なお、回路基板の表層にソルダーレジストあるいは配線パターン12への金めっき等の表面仕上げ処理を必要に応じて行う。
また、図3に示した回路基板の製造方法であれば、図2に示した隣り合う回路基板としての製品シート16の間の非製品領域となる部分にズレの抑制を目的とするペーストビア5を配置することもできる。これにより、熱プレスの最中でのワークサイズの状態でのコア基板4の寸法変化を抑制することができる。
すなわち、本発明の回路基板の製造方法により、複合基板の構造を有する回路基板において、積層工程での寸法の安定化とズレを抑制することができ、ランドのズレの公差を小さくすることができ、微細な配線を実現することができる。
本実施の形態のペーストビア5は、コア基板4の内層ランドと直上に形成されるめっきビア9とのズレを抑制する機能を製造過程の中で果たすことをその目的とするものである。このため、少なくとも無機フィラーと熱硬化性樹脂からなるペーストが充填されていればよく、特に無機フィラーを金属に限定する必要はない。
なお、ペーストビア5の上下に回路形成された配線パターン12、13が必ずしも配置されなくとも良い。
さらに、ペーストビア5の数は、(ビア径面積:ビア径面積の総和)/(ワーク面積)の比が、0.003以上の割合になるように設ければ、極めて効果的である。
次に本発明の回路基板について、図4を用いて説明する。
本発明の回路基板は、複数の絶縁層2と、前記絶縁層の表面に形成された所望の配線パターン3とが交互に所望の回数繰り返して積層されたものであり、かつ前記絶縁層2に層間接続用のビア1を具備する回路基板である。
特に、ペーストビア5とめっきビア9とが、同一の絶縁層2に形成され、共に存在することを特徴とする。
本発明の実施の形態においては、4つの絶縁層でペーストビア5とめっきビア9とが共に存在することを示しているが、少なくとも1層あれば本発明の効果を発揮することができ、特に複数の絶縁層の最外層に位置する層の場合、顕著な効果を有する。なお、ペーストビア5が層間を導通する機能を備えていれば、めっきビア9とともに層間接続用のビアの一つとして定義する。
上記で説明したように、本発明の回路基板のペーストビア5は、製造工程中でのコア基板のズレを抑制する機能を果たすものである。一方、ペーストビア5のフィラーに所望の種を選択することでペーストビア5に様々な機能を付加することが可能である。
(事例1)
まず、第1の回路基板として、ペーストビア5に導電性フィラーを適用した場合、電気的に層間接続されたビアとなるため、めっきビア9とペーストビア5を同一の絶縁層において共に存在し、存在する位置で共に層間接続を図ることができる。
したがって、コストパフォーマンスに優れた回路基板、具体的には大きなランド密着強度を必要とする部分のみに、めっきビア9で層間の電気接続を確保し、その他は安価に形成が可能なペーストビア5で層間の電気接続を確保した回路基板を提供することができる。
具体的にはCSP、BGA等の比較的サイズが大きく、端子数の多い部品を搭載保持するランド部にめっきビア9を適用し、その他サイズの小さいチップ部品等を搭載するランド部にペーストビア5を適用することが好ましい。
以上より、従来の複合基板に対して、より微細な配線仕様が可能であり、かつより安価に回路基板を提供できる。
(事例2)
第2の回路基板として、ペーストビア5のフィラー種にアルミ系の化合物、具体的には窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナを適用すれば、ペーストビア5はサーマルビアとしての機能を有するものとなる。これにより、従来の複合基板に対して、微細配線化が可能であり、かつより安価で放熱性に優れた回路基板を提供することができる。
(事例3)
第3の回路基板として、ペーストビア5のフィラー種にフェライト系化合物を適用すれば、従来の複合基板に対して、より微細な配線仕様が可能であり、かつより安価で抵抗体を内蔵した回路基板を提供することができる。
上記の事例1〜3における第1〜3の回路基板の共通の特徴として、めっきビア9の接続信頼性を向上させることができる。それを以下に説明する。
めっきビアとペーストビアにおいて、それらの物性値が大きく異なり、めっきビアは、金属単体から構成されるため、物性は金属そのものである。
一方、ペーストビアは、金属フィラーと熱硬化性樹脂との複合構成であり、金属物性に対して樹脂物性の柔軟性が付与される。
つまり、めっきビアは硬くて強固であり、ペーストビアは柔軟性に優れる。
また、回路基板の絶縁層は、熱硬化性樹脂とガラス織布等の補強材からなる複合材が一般的であり、当然金属とは物性が大きく異なる。
ここで、回路基板における各ビアの層間での接続信頼性を説明すると、めっきビアの場合、めっきビア周辺の絶縁材とビアとの熱膨張が厚み方向で大きく異なるため、大きな熱ストレスがビアに集中発生する。このため、ビア径が小さい、あるいは表層の配線層厚みが薄い場合、その熱ストレスによって断線することがある。
一方、ペーストビアの場合、金属と樹脂の中間的な物性であり、熱ストレスを緩和・吸収することができる。したがって、めっきビアの周辺にペーストビアを併設することにより、絶縁材の厚み方向の熱膨張を減少させ、めっきビアに発生する熱ストレスを緩和することができる。
すなわち、ペーストビアとめっきビアの併用において、それらの配置の関係を考慮することによって、めっきビアの接続信頼性を向上させることができる。
具体的な配置関係は、CSP、BGA等の端子数が多く、ビアが集中的に配置される部品エリアにめっきビアを配設し、その周囲にペーストビアを配置することが好ましい。
また、回路設計上、層間の電気接続が必要な場合、必要とせず放熱性あるいは抵抗性が必要な場合には、第1〜3の回路基板で説明したように所望の機能を発現できるフィラーを選択すればよい。
さらに、接続信頼性だけの向上を目的とするならば、特にフィラー種を限定する必要はない。
なお、上記した第1〜3の回路基板は、6層以外の回路基板、例えば両面板、あるいは8層板等の高多層基板においてもめっきビアとペーストビアの併用は、所望の層、所望の配置で可能であり、同様の効果が得られる。さらに本発明の回路基板の製造方法および回路基板におけるめっきビアは、フィルドタイプに特に限定される必要はなく、一般的なビルドアップ基板におけるめっきビアの構造で構わない。
次に、本発明の回路基板および回路基板の製造方法に用いる部材および材料について、以下に説明する。
まず、プリプレグシートについて言及すると、その補強材としては、無機質補強材を主体とする場合、ガラス繊維織布あるいはガラス繊維不織布のいずれか1種以上であることが好ましい。
さらに、それらを補強材とするプリプレグシートの樹脂に30〜80phrの範囲で無機フィラーを含むことがより好ましく、その具体的な無機フィラーとしては、シリカ、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミナ等の非導電性のものであればよく、形状は特に問わない。ただし、フィラーのサイズとしては、直径10μm以下であることが好ましい。
一方、有機質補強材を主体とする場合、ポリイミド、アラミド等の有機質フィルム、アラミド織布、アラミド不織布のいずれか1種以上であることが好ましい。
さらに、有機質材料が補強材であるプリプレグシートの場合、その樹脂としては、特にフィラーを含む必要はなく、エポキシ樹脂を主成分とすることが最も好ましい。
また、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、シアネートエステル樹脂等でも構わない。
次にペーストについてであるが、すでに説明した各種無機フィラーと熱硬化性樹脂と複合材であればよく、説明した製造プロセス上で液状のエポキシ樹脂を主成分とすることが好ましい。
また、本発明におけるコア基板は、2層以上の回路基板であればよく、その層間を電気的に接続するビア穴は、ペーストは勿論のこと、スルーホール、バンプ、フィルドめっき等で確保してもよく、特に限定されるものではない。
さらに、本発明の金属箔および金属めっきは、回路基板用途として一般的に使用される銅から構成されることが最も好ましい。
(本発明の回路基板の評価)
本発明の回路基板の製造方法により製造された回路基板の評価について以下に説明する。
はじめに本実施の形態における評価用の回路基板の模式図とワーク割付について図5に示す。
本実施の形態における評価用の回路基板(以下評価基板と称す)は、内層ランドとビアのズレの許容範囲およびビアの接続信頼性を評価することを主体とした回路基板であり、4層構造である。
この4層の評価基板は、層間の電気接続を穴径φ150μmのビア25および27で確保し、かつ合計1200個のビアを図5(a)の外観模式図、及び図5(b)の断面模式図に示したようなビア配置を有しビアどうしを直列接続した評価基板である。
また、各層の回路図は、図5(c)に回路模式図として各層の4層分を示したもので、図5(a)の基板外観模式図の点線で囲った部分を拡大したものである。
図5(c)のL1、L4は外層の回路を表したもので、φ250μmのランド29を幅50μmのライン28で連結した回路である。また、L2、L3は内層の回路を表したもので、φ250μmの内層ランド24を50μmのクリアランス(隙間)を確保して全面状回路(以下ベタ回路という)26で囲んだ回路図である。
この評価基板であれば、内層ランド24とその直上に形成されるビア25とのズレ量が、100μmを越えると内層のベタ回路26とビア25がショートし、検査用のパッド21と、内層のベタ回路26と層間電気接続された検査用のパッド23との間で電気的導通が確認できるため、電気的な導通手段を用いてズレを評価することができる。
また、評価基板を作成するにあたって、1枚のワーク(500mm□)に96個の評価基板30を図5(d)のように割付し、最後にルータ加工にて完成とした。
次に各実施の形態および比較例について以下に説明する。
(実施の形態1)
ワークとしてのプリプレグシートとしてはそのサイズが500mm□(角)、厚み45μmのガラス繊維織布に軟化点が70℃、粒径が2〜8μmの水酸化アルミニウムを50phr含む熱硬化性エポキシ樹脂を60wt%含浸させ、半硬化させた複合材を準備し、両面に離形剤を施したPETフィルム(厚み20μm)をプリプレグシートの両面に100℃に加温されたロールラミネーターで熱圧着した。
次に、そのPETフィルムを備えたプリプレグシートに炭酸ガスレーザーで穴径150μmの貫通穴を1ショット加工した後、その貫通穴にペーストをスキージで印刷充填した。その後、貫通穴にペーストが充填されたプリプレグシートからPETを剥離した。
なお、本実施の形態のペーストは、平均粒径5μmの銅粉と熱硬化型液状エポキシ樹脂を主成分とし、酸無水物系の硬化剤を含有し、それぞれ85重量%、12.5重量%、2.5重量%となるように3本ロールにて十分に混練したものを用いた。
次に、コア基板を準備するために、上記の貫通穴にペーストが充填されたプリプレグシートの両面に質量厚さ128g/m2の銅箔を重ねて積層体を形成し、その積層体を1mm厚のSUS304板を介して積層体10セットをプレート上に設置した。
次に、その積層セットを真空熱プレスに投入し、プリプレグシートの樹脂軟化温度である70℃で一旦加熱保持した後、プリプレグシートの樹脂が硬化する200℃まで昇温速度5℃/minで加熱し、200℃で1時間加熱保持した。なお、プレス圧力は5MPaで実施した。このプレス成型後、この積層体をフォトリソエッチング法で回路配線層を形成して両面回路基板であるコア基板を作成した。
次に、作成した前記コア基板の両面に前記のプリプレグシートを重ね、さらに質量厚さ128g/m2の銅箔を重ねて積層体を準備し、その積層体を1mm厚であるSUS板を介して積層体10セットをプレート上に設置した。
続いて、そのプレート上の積層体を真空熱プレスに投入し、プリプレグシートの樹脂軟化温度である70℃で一旦加熱保持した後、プリプレグシートの樹脂が硬化する200℃まで昇温速度5℃/minで加熱し、200℃で1時間加熱保持して成型を行った。なお、プレス圧力は5MPaで実施した。
次に、成型された積層体の最外層にめっきビア形成するために、その両面においてビア形成する位置に予めフォトリソエッチング法で導体層を除去した後、炭酸ガスレーザーで穴径φ150μmの非貫通穴を形成した。なお、この非貫通穴は、プリプレグシートに貫通穴を加工する際のエネルギーより小さく設定し、ショット回数を4回で加工した。
次に、一般的にスルーホールの形成と同様に非貫通穴の壁面等をデスミア処理した後、無電解銅めっきにより、めっきビアを形成し、最後にフォトリソエッチング法で最外層に回路配線層を形成して、図6に示すように、めっきビア31とペーストビア33が交互に連結接続した4層回路基板を作成した。
なお、本実施の形態では、非貫通穴をめっきにて埋め込むフィルドめっきではないが、めっき液および条件を変更することでビア25のフィルドめっき化は可能である。
また、本実施の形態においては、図6のように外層でめっきビア31とペースト33を交互に配列したサンプルを作成した。
また、ワークサイズのプリプレグシートにおいて、最終的に製品となる領域以外にはペーストビアの形成を実施しなかったサンプルと、製品領域以外の領域(非製品領域)にもペーストビア形成を実施したサンプルを作成した。
さらに、製品領域以外のペーストビアについては、図5(d)に図示した横方向での(1)製品間にペーストビアを形成する場合、(2)縦方向での製品間にペーストビアを形成する場合、(3)製品間の全面にペーストビアを形成する場合の3水準でサンプルを作成した。したがって、本実施の形態のサンプルとしては、4種類である。
(実施の形態2)
図7に示した基板構造以外は、実施の形態1と製造方法および条件、材料等が、全く同一である4層回路基板である。
特に図7(b)に示したように、めっきビア31で層間接続された領域とペーストビア33で層間接続された領域を各50%の面積割合で同一基板内の同一層に配置させた基板である。
また、実施の形態1と同様に、製品領域以外にはペーストビアの形成を実施しなかったサンプルと、非製品領域にペーストビアの形成を実施したサンプルを作成した。
非製品領域のペーストビアも実施の形態1と同一に実施し、3水準でサンプルを作成した。したがって、本実施の形態のサンプルとしても4種類である。
(実施の形態3)
図8に示した基板の構造以外は、実施の形態1と製造方法および条件、材料等が、全く同一である4層の回路基板である。特に本実施の形態においては、ワークサイズのプリプレグシートにおける非製品領域にのみペーストビアの形成を実施し、実施の形態1および2と同一の3水準でサンプルを作成した。したがって、本実施の形態のサンプルとしても3種類である。
(比較例1)
図8に示した実施の形態3の基板構造と全く同一であるが、4層目でのペーストビアの形成を全く実施しない製造方法および条件、材料等で作成した4層の回路基板である。
実施の形態1〜3および比較例について、ズレ公差をショート率で検証した。その結果を(表3)に示す。
(表3)より、本発明の実施の形態において、いずれのサンプルも比較例1のショート率より極めて低い水準となっており、めっきビアを形成する絶縁層(材)に予めペーストビアを形成することによって、内層ランドとめっきビアのズレ公差を低減できた結果と言える。
特にワークサイズのプリプレグシートにおけるペーストビアの数が増加するに伴い、そのショート率が減少する傾向があり、ペーストビアの数が多いほど、強固にコアの寸法変化を抑制できていることを示した結果である。
特に、ビア割合(ワーク面積あたりの総ビア径面積のこと)が0.3以上でその効果が顕著に示されている。
次に、基板の構造の違いによるめっきビアの接続信頼性を検証するため、(表3)のサンプル1、サンプル5、サンプル11およびサンプル12について、熱衝撃試験を行った。
なお、試験条件は、液槽熱衝撃試験であり、25℃/260℃で各10sにて500サイクルまで実施し、その結果を(表4)にまとめた。
また、評価は、各サンプルともに5s(シート)で行い、断線の発生したサイクル数で比較した。
(表4)より、ペーストビアとめっきビアを併用したサンプル1および5において、かなり過酷な試験にもかかわらず、断線は全く発生しなかった。
一方、めっきビアのみで層間接続されたサンプル11および12については、全数500cycに到達する前に断線が発生した。
この断線のモード(態様)を確認すると、いずれもめっきビアの底あるいは表層エッジで発生していた。これは、めっきビアのみの場合、そのビアと絶縁層との熱膨張差が大きいため、熱ストレスが集中しやすいビアエッジで導体破断が発生し、断線に至ったものと考えられる。
これに対して、めっきビアにペーストビアを併用すると、ペーストビアが先に説明した熱ストレスに対して緩衝的な役割を果たすため、サイクル数が格段に伸長したものと想定できる。
なお、本発明の実施の形態においては、多層回路基板として4層の多層回路基板について説明したが、4層以上の多層の回路基板でも同様の効果が得られる。
また、本発明は、各実施の形態に示した材料・条件等に限るものではなく、少なくとも製造プロセス上でペーストビアを形成すれば、本発明の実施の形態と同様なズレ公差の抑制の効果は得られる。さらに製品内でめっきビアとペーストビアを併用すれば、本発明の実施の形態と同様の効果が得られる。