JP4765125B2 - 多層プリント配線板形成用多層基材及び多層プリント配線板 - Google Patents
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Description
該プリプレグ層に離型フィルムを貼り付け、レーザーにより、所定の銅回路に相当する位置のプリプレグ層に貫通孔を形成し、該貫通孔に導電性接続材を充填することを特徴とする。
通常のプリント基板に使用されるEーガラスと呼ばれるガラス繊維を水分散型のエポキシ樹脂で接着させたプリプレグ(松下電工株式会社製の商品名R−1650S、縦500mm×横500mm、厚さ100μm)を、図2(1−1)に示すような、プリプレグ層1として用いた。このプリプレグ層1の粘度曲線を模式的に図1に示す。このプリプレグ層1の半硬化領域の温度は80℃〜180℃であり、好ましい保持温度は130℃である。
本実施例では、両面銅張積層板(銅箔厚みは18μm)に、ドライフィルムを積層し、露光後エッチング、乾燥して所望の回路を形成した内層基材2を作製した。内層基材2の両面に形成した銅回路(3、3’)の一部は、スルーホール4にて接続されるようにした。(スルホールの孔径は100μm、ピッチは300μm、形成個数は約1万個。)この内層基材2の表裏面に、図2(1−3)に示すように、図2(1−1)で示したプリプレグ層(1、1’)を載せ、そのプリプレグ層(1、1’)の両面を加圧プレス板(5、5’)で挟んで、50hPa(ヘクトパスカル)の真空中、上昇温度2.5℃/分で110℃になるまで、加圧力3MPa(メガパスカル)で加圧加熱した。その後直ちに下降温度4.0℃/分で室温まで冷却した。プリプレグ層(1、1’)の未軟化部分の割合は、後述するセット後のガラス転移温度から推測すると、軟化度合は15%であった。次いで、図2(1−4)に示すように、この内層基板2の両面に厚み50μmの保護フィルム(11、11’)をラミネートで接着した。
続いて、図2(1−4)に示すように、保護フィルム(11、11’)の上方から炭酸ガスレーザーを照射して内層基板2の表裏に設けられたプリプレグ層と保護フィルムと銅回路を開口して貫通孔(12、12’)(パッド部はスルーホール(4)の孔径(スルホールの孔径は100μm、ピッチは300μm、形成個数は約1万個)と対応)を形成した。そして、この貫通孔(12、12’)をデスミア洗浄した後、図2(1−5)に示すように、スクリーン印刷を2度繰り返すことによって銅からなる接続ペースト材(13、13’)(タツタ システム・エレクトロニクス株式会社製の商品名AE1244)を埋め込んだ。その後、表裏層の保護フィルム(11、11’)を取り除き、大気中で80℃×30分間加熱して接続ペースト材を仮焼し、図2(1−6)に示すように、接続ペースト体が埋め込まれたベリードバイアホールとなる貫通孔(14、14’)を形成した。これを多層プリント配線板形成用多層基材15とした。多層プリント配線板形成用多層基材15のベリードバイアホールとなる貫通孔(14、14’)の構造は、多層プリント配線板形成用多層基材(15)の表裏層の銅回路上に、直接接続ペースト材が充填されて銅回路と貫通孔(14、14’)内の接続ペースト体とが仮接合されているので、多層プリント配線板形成用多層基材15の表裏の位置あわせは正確であり、導通不良となることがない。
次に、本実施例では、外層基板6を、図2(1−2)で説明した内層基材と同様な方法で作製した(図3(1−7))。この外層基材6の両面には銅回路(7、7’)を形成し、それらをスルーホール8で接続した。図3(1−7)に示した外層基材6のスルホール8は、いずれも図2(1−2)で説明した内層基材を用いて形成した多層プリント配線板形成用多層基材15と同様である(孔径は100μm、ピッチは300μm、形成個数は1万個)。そして、この外層基材6を2枚と1枚の多層プリント配線板形成用多層基材(15)とを組み合わせて1セットとし、基準ピン(図示せず。)で位置合わせして重ね合わせた(図3(1−8))。加圧力3MPa(メガパスカル)の熱プレス機により、50hPa(ヘクトパスカル)の真空中に180℃で90分間保持し、軟化度合が15%のプリプレグ層を完全に硬化した。積層時の加熱加圧によって内層基材と外層基材との膨張・収縮の度合いが異なっていても、プリプレグ層が再流動化することによって全体のバランスが調整され、しかも、このプリプレグ層のガラス繊維が内層基材に固定されているので、外層基材が内層基材に対して位置ずれすることがなく、2枚の外層基材と1枚の内層基材とが最適な状態で接合された、多層プリント配線板109を製造することができた(図3(1−9))。
位置ずれ確認試験は、実施例1の多層プリント配線板109について、各層にある銅回路(ランド)のズレを、配線板の表面をX線透過写真(10倍)で観察をすることにより調査した。この試験方法は、外層基材のスルーホールと内層基材のスルーホールとの中心位置を確認し、その中心位置の最もズレたものの距離を測定した。その結果、本実施例1の多層プリント配線板109は、内層基材と外層基材との膨張・収縮の度合いが異なっていても、位置合わせ精度は0.04mm(40μm)未満であり、位置合わせ精度が高いことが判明した。
この実施例2で作成した多層プリント配線板形成用多層基材の製造方法を図4(2−1)〜(2−6)に、多層プリント配線板の製造方法を図5(2−7)(2−8)に示す。実施例2では、1枚の内層基板2の両面に設けた銅回路(3、3’)および2枚の外層基板6の片面側の銅回路上にアンダーコート膜(9,9’,9”)をスクリーン印刷法により被覆した以外は、上記実施例1と同様にした。アンダーコート膜(エポキシ系樹脂材)は、スクリーン印刷して5μmの膜厚とし、これを80℃の温度で乾燥させて表面を平坦にした(図4(2−2))。
図4(2−1)に示すように、この実施例2内層基板2も実施例1で説明した方法と同様して作製した。続いて、図4(2−2)に示すように、アンダーコート膜(9、9’)を形成した後、実施例1と同様にしてアンダーコート膜(9、9’)表面に仮接合した。このときのプリプレグ層(1、1’)軟化度合は15%であった。次いで、この内層基板2の両面に保護フィルム(11、11’)をラミネートで接着した。
図4(2−5)に示すように、保護フィルム(11、11’)の上方から炭酸ガスレーザーを照射して内層基板2の表裏に設けられたプリプレグ層と保護フィルムと銅回路を開口して貫通孔(12、12’)(表層側は、孔径200μm、ピッチ500μm、個数6万個。裏層側は、孔径200μm、ピッチ500μm、個数3万個)を形成した。そして、この貫通孔(12、12’)をデスミア洗浄した後、図4(2−6)に示すように、スクリーン印刷を2度繰り返すことによって、銅を導電材料とする接続ペースト材(13、13’)(タツタ システム・エレクトロニクス株式会社製の商品名AE1244)を埋め込んだ。その後、表裏層の保護フィルム(11、11’)を取り除き、大気中で80℃×30分間加熱して接続ペースト材を仮焼し、図5(2−7)に示すように、接続ペースト体が埋め込まれたベリードバイアホールとなる貫通孔(14、14’)を形成した。これを多層プリント配線板形成用多層基材15とした。多層プリント配線板形成用多層基材15のベリードバイアホールとなる貫通孔(14、14’)の構造は、多層プリント配線板形成用多層基材(15)の表裏層の銅回路上に直接接続ペースト材が充填されて、銅回路と貫通孔(14、14’)内の接続ペーストが仮接合されているので、多層プリント配線板形成用多層基材15の表裏層の位置あわせは正確であり、導通不良となることがない。
図5(2−7)に示すように、外層基板6を実施例1と同様の方法で作製した後、その表層と裏層に銅回路(7、7’)を形成し、それらをスルーホール(8)で接続した。表層と裏層の銅回路(7、7’)は、インナーバイアホールやビルドアップ工法によって形成或いは接続することもできる。この外層基板6の片面にアンダーコート膜(9,9’)をスクリーン印刷法により被覆して、外層基材(17,17’)とした。そして、この外層基板6において層間接続する銅回路が露出するように、炭酸ガスレーザーを照射して開口処理を行った。そして、図5(2−7)に示すように、2枚の外層基材(6,6’)と1枚の多層プリント配線板形成用多層基材15とを組み合わせて1セットとし、基準ピン(図示せず)で位置合わせして重ね合わせた。加圧力3MPa(メガパスカル)の熱プレス機により、50hPa(ヘクトパスカル)の真空中に180℃で90分間保持し、図5(2−8)に示すように、軟化度合が15%であったプリプレグ層(1,1’)を完全に硬化した。積層時の加熱加圧によって多層プリント配線板形成用多層基材15と外層基材(6,6’)との膨張・収縮の度合いが異なっていても、プリプレグ層(1,1’)のエポキシ樹脂が再流動化することによって全体のバランスが調整され、しかも、このプリプレグ層(1,1’)のガラス繊維が内層基材2に位置決めされ、固定されているので、内層基材2と外層基材(6,6’)とは位置ずれすることがなく、2枚の外層基材(6,6’)と1枚の内層基材2とが最適な状態で接合された多層プリント配線板110を製造することができた(図5(2−8))。1セットの高さは、セット時の7.33mmから7.18mmまで0.15mmほど圧縮された多層プリント配線板110となった。なお、熱プレスの準備として離型板、鏡面プレス板等をレイアップし、それを真空熱プレスで加熱加圧した場合、その後取り出して解体する付属作業が必要であることはいうまでもない。また、セット数を増やしたい場合は、セット相互間に離型板や離型フィルムを敷いてセット数を増やすことができる。
実施例2の多層プリント配線板の位置ずれ確認試験は、実施例1と同様にして行った。その結果、本実施例2の多層プリント配線板110は、位置合わせ精度は0.07mm(70μm)未満であり、位置合わせ精度が高くなっていることが判明した。
接続信頼性試験は、実施例2の多層プリント配線板について、MIL(米国軍用規格)−STD202Fに準拠して、温度サイクル試験を行うことによった。温度サイクル試験は、大気中にて−65℃で30分放置し、その後+125℃で30分放置することを繰り返すもので、このサイクルを300回実施した。300回の接続信頼性試験の後も断線個所は確認されなかった。このことから明らかなとおり、本実施例2の多層プリント配線板の接続信頼性は非常に高いことが判明した。
以下、本発明に対する比較例の製造方法を示す。
この比較例1では、図6(3−1)(3−2)に示すような導電性接続体埋め込みプリプレグを予め作製した。まず、ガラス織布にFR−4相当の熱軟化性樹脂を含浸させた、厚み約100μmのプリプレグ18を4枚重ね、さらに厚み35μmの離型シート19を両面に重ね合わせた。そして、熱プレス機により50hPa(ヘクトパスカル)の真空中、上昇温度3.5℃/分で100℃になるまで、加圧力4MPa(メガパスカル)加圧加熱した。その後直ちに下降温度6℃/分で室温まで冷却した。このような加圧加熱処理したプリプレグの表裏面に保護シートをラミネートし、所定の位置にドリル加工機にて孔径100μm、ピッチ300μm、個数1万個の孔加工を行った後、保護シートを剥離した。その後、導電性接続体を埋め込むために、図6(3−1)に示すように、フォトリソ工法でプリプレグの表裏面に孔加工した部分のみ開口した状態となるように感光性めっきレジスト膜(19,19’)を形成した。次いで、露光後、銅めっきして孔内壁部にのみ銅めっき被膜を形成した。その後、孔内壁部以外の表面部分に析出した銅めっき皮膜を塩化第二銅からなる塩酸エッチング液でエッチングし、実施例1と同様にして銀の樹脂ペースト(20)を埋め込んだ。その後、図6(3−2)に示すように、表裏層の感光性メッキレジスト膜を取り除き、大気中で80℃×30分間加熱して樹脂ペースト(20)を仮焼し、プリプレグを貫通した導電性接続体21を形成した。この貫通した導電性接続体を有したプリプレグを、比較例1の埋め込みプリプレグ22とした。
実施例2の図5(2−7)に示した外層基板6を実施例2と同様の方法で作製した。この外層基板6は、その表層と裏層に銅回路を形成し、それらをスルーホールで接続し、アンダーコート膜19をスクリーン印刷法により被覆し、層間接続する銅回路が露出するように、炭酸ガスレーザーを照射して開口処理を行ったものである。また、内層基材23は、実施例1の図2(1−2)で説明した作製法と同様な方法で作製したもので、アンダーコート膜(19、19’)をスクリーン印刷法により被覆し、層間接続する銅回路が露出するように、炭酸ガスレーザーを照射して開口処理を行ったものである。尚、スルホールは、内層基材と外層基材は同様であり、孔径100μm、ピッチ300μm、形成個数は1万個とした。
この比較例1の多層プリント配線板について、実施例1と同様にして、スルーホールの中心径を測定し、その中心径のずれを統計処理した。その結果、比較例1の多層プリント配線板では、最大で800μm(平均600μm)のずれが生じていることが確認された。
また、接続信頼性試験は、実施例2と同様な方法で調べたところ、100サイクル以下で断線が発生し、300サイクルですべて断線してしまった。この比較例12の多層プリント配線板は、上記実施例の接続信頼性の試験結果と比較すると、劣っていることが確認された。また、断線個所の一部を断面観察したところ、位置ズレが生じている部分で断線している状態が認められた。
2、23 内層基板
3、3’ 銅回路
4 スルーホール
5、5’ 加圧プレス板
6 外層基板
7、7’ 銅回路
8 スルーホール
9、9‘ アンダーコート膜
109、110 多層プリント配線板
11、11’ 保護フィルム
12 貫通孔
13 導電性接続材充填貫通孔
15 多層プリント配線板形成用多層基材
18 プリプレグ
19、19’ 感光性めっきレジスト膜
22 導電性接続体埋め込みプリプレグ
23 内層基板
Claims (3)
- 表層に銅回路を備える内層基材または外層基材に、
該銅回路上に位置するベリードバイアホールとなる貫通孔を有し、該貫通孔に導電性接続体が充填されているプリプレグ層を配置した多層プリント配線板形成用の多層基材であって、
プリプレグ層は、加熱温度の上昇に伴い低下する溶融粘度が再上昇に転ずる領域(図1のBステージ)の半硬化状態にあり、内層基材または外層基材の表面に仮接合された状態であるとともに、固化した導電性接続体とスルーホールを有している銅回路とが接合され、貫通孔に充填された導電性接続体がプリプレグ層の表面から突出していることを特徴とする多層プリント配線板形成用多層基材。 - 貫通孔が多数個あけられている請求項1に記載の多層プリント配線板形成用多層基材。
- 貫通孔はレーザーにより形成されたものである請求項1に記載の多層プリント配線板形成用多層基材。
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