JP5061424B2 - スクラブ剤 - Google Patents

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Description

本発明は洗浄対象物への損傷が少なく、汚れの除去能力に優れ、かつ洗浄時のすすぎ性の良好なスクラブ剤に関する。
近年の精密加工技術の発展により、nmレベルでの精密加工が可能となりつつある。これに伴い、精密に加工された物体の表面を傷つけることなく洗浄する方法も求められるようになっている。また、洗顔や身体洗浄用途においても、健康・清潔志向の高まりから皮溝や毛穴内部の汚れまで確実に落とすことが求められている。その反面、アトピーや敏感肌の患者は増加しており、肌にやさしく、確実に汚れを落とせる方法が求められている。
通常、物体の洗浄を行う際には洗剤を用いて汚れを落としやすくし、物理力をもってその汚れを除去することが行われる。この物理力としては水流や高圧空気などの流体が用いられることもあるが、多くは布やスポンジなどの柔らかい物体を直接汚れに接触させ、掻き落とすことで物体の洗浄が行われている。特に、しなやかで洗浄物表面の複雑な形状に追従できる繊維から成る布帛が多く用いられている。
近年、洗浄物への損傷を小さくし、洗浄物表面の凹凸への追従性を向上させるため、洗浄用の布帛を構成する繊維を細くする試みが行われている。例えば、特開昭61−103428号公報では0.9デニール(太さ約10μm)以下の極細繊維からなる布帛の嵩高性を特徴とするワイピングクロスが提案され、特開昭63−211364号公報には0.2デニール(太さ約5μm)以下の超極細糸を利用したワイピングクロスが提案されている。しかし、繊維を細くするとその強力が著しく小さくなるため、布帛の形態を保持することが難しく、一定以上の細繊度化は不可能であり高度化する要求に応えることは困難であった。
一方で、洗剤自身に汚れを落とす物理力を持たせるため、洗剤に汚れを掻き落とす物質(スクラブ剤)を加える方法も知られている。しかし、従来のスクラブ剤は洗浄布を用いない手洗い用途や、身体洗浄時に適度な刺激を求めるために使用されるもので、植物の殻の粉砕物などの直径50〜500μmの粒子状物質を用いることが主流であった。これらのスクラブ剤は、使用時肌に強く押しつけることにより表面の皮溝や毛穴を押し開き、その内部に入り込むことで皮溝や毛穴内部の汚れを掻き出すことが可能であったが、使用する人によっては刺激が強すぎ、肌が赤くなってしまったり、肌荒れの原因となったりした。また、器物への使用を考えると、スクラブ剤が洗浄対象物の表面を傷つけてしまうため、器物の洗浄に使用することは難しかった。
これら粒子状のスクラブ剤に代わり、一部では植物由来のセルロース繊維を洗剤に添加することも行われている(特許文献1)。しかし、このようなセルロース繊維は太く、しなやかさに欠けるため、洗浄対象物への損傷を防ぐことは出来なかった。また、洗浄対象物の表面に微細な凹凸が存在する場合、表面への追従性が不足し、凹凸内部の汚れを落とすことは難しかった。
上記のように、洗浄対象物への損傷が少なく、かつ洗浄対象物表面の微細な凹凸内部の汚れまで落とすことが可能なスクラブ剤は存在しなかった。
特開平8−209199号公報
本発明は対象物への損傷が少なく、対象物表面の微細な凹凸の内部にある汚れを効率的に掻き出すことができ、かつ、すすぎ性に優れたスクラブ剤を提供することを目的とする。
上記目的は、平均太さ3μm以下の繊維状である熱可塑性樹脂からなるスクラブ剤によって達成される。
本発明のスクラブ剤は太さが非常に細いことから、しなやかで変形しやすいため対象物への損傷が少ないことに加え、毛穴やガラス表面の研磨跡のような微細な凹凸内部にまで入り込んで汚れを掻き出すことが可能である。その上、ある程度の長さを持つことからスクラブ剤の動きが活性化されるため、洗浄性が向上しすすぎ性にも優れたスクラブ剤となる。このため、本発明のスクラブ剤を含有した洗剤は対象物に優しく、洗浄力が高く、すすぎ性に優れた洗剤となる。
本発明のスクラブ剤は繊維状であることが重要である。本発明で言う繊維状とは、断面積に対し圧倒的に大きな長さを持つ、紐のような形状のことを示す。
また、本発明のスクラブ剤は平均太さが3μm以下と極めて細いことが重要である。物体の曲げにくさを表す断面2次モーメントは断面形状が円形であればその直径の4乗に比例するため、太さを細くすることによりスクラブ剤は急激にしなやかになる。例えば、一般的に使用される繊維(太さ20μm程度)と比較して、太さ3μmでは断面2次モーメントが2千分の1となり、太さ0.5μmでは250万分の1、太さ0.2μmでは1億分の1にも減少する。このようにしなやかになることで、洗浄対象物に傷をつけることが少なくなる。また、洗浄対象物表面の形状に沿って変形することで、洗浄対象物表面の凹凸内部の汚れにまで到達するため洗浄性が向上する。ここで、スクラブ剤の平均太さが0.5μm以下であれば肌や食器等の洗浄対象物への刺激がより柔らかくなり好ましく、0.2μm以下であれば対象物に傷をつけることがほとんどなく、精密基盤やレンズ等の光学部品の洗浄にも使用できるためより好ましい。
ここで、平均太さとは個々の繊維状のスクラブ剤の太さの平均値を指す。本発明の微細な繊維状物は、繊維状物同士が束状に会合したり、相互に絡み合ったりして凝集構造を取ることがある。この場合は、凝集体全体としてもスクラブ剤として機能するが、洗浄対象物表面での変形においては、凝集体を構成する個々の繊維状物のしなやかさによって洗浄対象物への損傷度合いが決定されることから、本発明においては、微細な繊維状物が凝集している場合においても、個々の繊維状物の太さの平均値を平均太さとする。
また、本発明のスクラブ剤は0.05mm以上の長さを持つことが好ましい。このような長さを持つことにより、水流や他の物体からの外力を受けやすく、スクラブ剤の動きが活性化されるため、洗浄力が強化される。また、すすぎの際にもスクラブ剤が水流により流されやすくなり、すすぎ性が向上する。このため、スクラブ剤の長さが0.05mm以上であれば上記効果がより顕著になるため好ましいが、長さが長すぎるとスクラブ剤を含有した洗剤の流動性が低下し、使用感が悪化するため、スクラブ剤の長さは20mm以下とするのが好ましい。
本発明のスクラブ剤の形状は繊維状であれば直線的でも分岐していても良いが、分岐を持たないものであればスクラブ剤同士が絡み合うことが少なく、分散性が良好となるため好ましい。また、スクラブ剤の断面形状については丸、楕円、3葉など任意の形状とすることが可能である。多葉断面繊維のように表面に窪みをもつ繊維は汚れの掻き取り性に優れるが、繊維の太さを細くすることでも掻き取り性は向上するため、生産の容易な円形断面でも本発明の効果を十分に発揮することが可能である。
上記スクラブ剤の太さおよび形状はスクラブ剤のSEM観察で確認することが可能である。具体的には観察台上にスクラブ剤を分散した液体を付着させ、観察試料を作成する。
この試料を視野内に20本程度のスクラブ剤が存在するような倍率で光学顕微鏡またはSEMによる観察を行い、スクラブ剤の太さと形状を測定する。スクラブ剤の太さは顕微鏡画像におけるスクラブ剤の幅を測定することによって得られる。ここで、1本のスクラブ剤において幅が場所によって大きく変わる場合は顕微鏡画像内部における幅の最大値と最小値を測定し、その平均値をスクラブ剤の太さとする。スクラブ剤の平均太さは、1つの顕微鏡画像内で別々の5本のスクラブ剤の太さを測定し、この観察を別々の5箇所にて行うことで合計25本のスクラブ剤の太さを測定し、その平均値を求めることでスクラブ剤の平均太さとする。ここで、SEMにより観察を行う際は、試料への電荷の蓄積を防ぐため、サンプルに白金などでスパッタリングを行うことが好ましい。
ここで、スクラブ剤が凝集するなどして個々の繊維状物の太さが側面観察から判別しがたい場合は、スクラブ剤をエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトームを用いて超薄切片を作製した後、繊維の断面形状を観察することで直径を測定することが可能である。この際、繊維断面形状が円形から外れる際は、繊維の断面積を測定し、その面積と同じ面積をもつ円の直径をスクラブ剤の太さとする。ここで、スクラブ剤の平均太さは、一視野で5個のスクラブ剤の太さを測定し、この観察を別々の5箇所で行うことで合計25本のスクラブ剤の太さを測定し、その平均値を求めることでスクラブ剤の平均太さとする。
本発明のスクラブ剤は、対象物を傷つけない為には剛性の低い方が良く、しなやかな有機繊維であることが重要であり、特に、熱可塑性樹脂とすることが重要である。熱可塑性樹脂を用いた場合には生産性の高い溶融紡糸法を用いて生産することができるためより好ましい。本発明のスクラブ剤に用いることのできる熱可塑性樹脂としては、ポリエステルやポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等が挙げられ、用途に応じて適切な物を使用することが可能である。例えば、家庭用洗剤のように廃液処理を行わずに下水道へ排出するような用途にあっては、ポリブチレンサクシネート(PBS)やポリ乳酸(PLA)等の生分解性を有するものが環境負荷が小さくなるため好ましい。一方、工業用途で廃液処理施設が完備されており、回収して繰り返し使用されるような環境においては耐薬品性に優れたものが好ましく、ポリプロピレン(PP)やPPSが好ましい。また、高温で使用または処理される際にはポリエステルやポリアミドに代表される重縮合系樹脂は融点が高いものが多く、より好ましい。樹脂の融点は165℃以上であるとスクラブ剤の耐熱性が良好であり好ましい。例えば、ポリ乳酸(PLA)は170℃、PETは255℃、N6は220℃である。また、樹脂には難燃剤、帯電防止剤等の添加物を含有させていても良く、樹脂の性質を損なわない範囲で他の成分が共重合されていても良い。ただし、粒子を添加する場合には、添加した粒子がスクラブ剤表面に析出したりスクラブ剤から脱落した際に洗浄対象物を損傷する可能性があるため、粒子の添加量は出来る限り少なくすることが好ましい。
本発明のスクラブ剤は単独で使用しても汚れを物理的に除去することが可能であるが、化学的な洗浄作用を有する成分と組み合わせることで更に洗浄力を強化した洗剤とすることが可能である。本発明の洗剤は固形でもクリーム状でも液状でも良く、工業的な基板洗浄から家庭での食器洗浄および身体の洗浄にも使用することが可能である。
本発明の洗剤は、界面活性剤等の洗浄成分に加え、太さ3μm以下の繊維状のスクラブ剤を含有することが重要である。これにより、化学的な洗浄力に加えてスクラブ剤の物理的な洗浄力を有した洗浄力に優れた洗剤となる。特に、スクラブ剤を太さ3μm以下の繊維状のスクラブ剤とすることで、洗浄対象物への損傷を抑えながら、洗浄対象物の細かな凹凸内部の汚れを効率的に除去することが可能となり、かつ、すすぎ性に優れた洗剤となる。
この洗剤中におけるスクラブ剤の形態として、凝集した状態と分散した状態とが考えられる。凝集した状態とは、洗剤中に含まれる繊維状のスクラブ剤が繊維軸方向に揃って束状に会合するか、相互に絡み合い、繊維状物1本より大きなスクラブ剤を形成している状態を指す。このような凝集した状態を取ることにより、繊維状物同士の間隙に汚れを取り込むことができ、取り込んだ汚れをスクラブ剤とともに除去することで、高い汚れ除去力を発揮することが可能となる。しかも、本発明のスクラブ剤は極めて細い繊維状物からなるため、取り込んだ汚れの保持力が非常に強く、一旦取り込んだ汚れが再放出されることがないため、汚れの除去力が非常に高くなる。
一方で、分散した状態とは、洗剤中に含まれる繊維状物が繊維軸方向に揃って束状に会合しておらず、かつ相互に絡み合っていない状態を指す。ここで、本発明のスクラブ剤を構成する繊維は極めて細いことから、このように分散した状態とすることにより洗剤の均一性が向上し、スクラブ剤を含有していながら滑らかな使用感を得られ、洗浄対象物への損傷も極めて少ないものとなる。
上記のように、凝集した状態であれば強い汚れの除去力を示し、分散した状態であれば洗浄対象物に極めてやさしい洗剤とすることができることから、洗剤中におけるスクラブ剤の形態は、洗剤の使用目的にあわせて選択することが可能である。
洗剤中のスクラブ剤の分散状態は、洗剤を希釈してスクラブ剤の濃度として0.01重量%以下の分散液とした後に、光学的に観察することで判別することが可能である。まず、洗剤に含まれるスクラブ剤が光学顕微鏡で観察可能な太さ(太さ0.5μm以上)である場合は、スクラブ剤の分散液をスライドグラス上に滴下し、カバーグラスを掛けた後に光学顕微鏡でスクラブ剤の形態を観察することで判断できる。このとき、最低50本のスクラブ剤を観察し、観察したスクラブ剤の中でスクラブ剤が繊維軸方向に揃って束状に会合したり、相互に絡み合ったりしたものの割合が1割を超えればスクラブ剤は凝集しているとみなす。また、スクラブ剤が繊維軸方向に揃って束状に会合したり、相互に絡み合ったりしたものの割合が1割以下であれば、スクラブ剤は分散しているとみなす。
一方で、洗剤に含まれるスクラブ剤が光学顕微鏡で観察不可能な太さ(太さ0.5μm未満)においては、スクラブ剤の分散液をガラスセルに注入し、目視観察することでスクラブ剤の形態を判断できる。ここで、セル内の分散液が均一で透明であれば、分散液中に光を散乱する大きさの分散体が無いことを示しており、スクラブ剤は分散しているとみなす。反対に、セル内の分散液が不均一であるか、不透明な場合はスクラブ剤は凝集しているとみなす。
本発明の洗剤におけるスクラブ剤の含有量は洗剤の形態によって異なるが、洗剤全体を100重量部とした場合、固形洗剤の場合は5〜40重量部、クリーム状洗剤の場合は2.5〜20重量部、液状洗剤の場合は1〜10重量部程度とすることが好ましい。特に、液状洗剤の場合はスクラブ剤の沈降や浮上による分離を押さえるため、界面活性剤を用いてスクラブ剤を分散媒に均一に分散させると共に、増粘剤を使用して洗剤の粘度を調整することが好ましい。 本発明に用いる界面活性剤は、通常洗浄剤の石鹸成分として使用されるものであれば良く、アニオン性、カチオン性、両性、非イオン性のいずれの界面活性剤も使用することができる。前記アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸類、ポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテルカルボン酸塩、POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、アシルサルコシン塩、アルカンスルホン酸塩、リン酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、2級アルコール硫酸エステル塩、POEアルキルエーテル硫酸エステル塩、POEアルキルアリルエーテル硫酸エステル塩、高級脂肪酸硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アシルグルタミン酸塩等が挙げられる。
前記カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸塩、アルカノールアミン脂肪酸塩、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、アミノ酸型、ベタイン型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型等が挙げられる。
前記非イオン性界面活性剤としては、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、ブロックポリマー型、含窒素型等が挙げられる。
本発明に使用される増粘剤は分散液に溶解して粘度を調整できるものであれば良く、天然高分子とその誘導体を用いた増粘剤や、合成高分子増粘剤を用いることが出来る。前記天然高分子を用いた増粘剤としては、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン、ヒアルロン酸、アルブミン等が挙げられる。また、天然高分子誘導体を用いた増粘剤としては、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース系増粘剤が挙げられる。また、合成高分子増粘剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。
本発明の洗浄剤には、上記洗浄成分とスクラブ剤に加え、酸化防止剤や防腐剤等の添加物を加えることが可能である。特に、身体用の洗浄剤には保湿剤や消炎剤等の美容成分や、香料、清涼剤等の官能成分を加えても良い。
本発明のスクラブ剤の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば以下の方法により製造することができる。
まず、2種類以上の溶剤に対する溶解性の異なる樹脂を用い、易溶解性樹脂の内部に難溶解性樹脂が分散した原料繊維を製造する。この原料繊維より易溶解性樹脂を溶剤で除去することにより、更に細い極細繊維を生成することが可能である。この時、あらかじめ原料繊維を適当な長さに裁断しておくか、作製した極細繊維を裁断することにより長さを調節し、本発明のスクラブ剤を製造することができる。
この時、スクラブ剤の太さが1μm程度であれば原料繊維として海島型複合繊維を用いることができる。この海島型複合繊維は、図1に示すような複合紡糸機を用いて2種類の樹脂を1,2の別々のホッパーに供給し、3,4の別々のエクストルーダーで溶融押出しを行い、5の紡糸パック内部で図2に示すような形状に合流させることにより製造される。
太さが1μm以下となるような超極細の繊維を製造するには、原料繊維としてアロイ繊維を用いる。このアロイ繊維は2種類の樹脂を予め混練してアロイ樹脂としておき、図3に示すような単成分紡糸機を用いて繊維化することにより得ることができる。ここで、太さが0.5μm以下のナノサイズのスクラブ剤を得るためには樹脂の組み合わせが重要となる。
まず、両者の溶解度パラメータ(SP値)が適切な値となるよう選択する必要がある。SP値とは(蒸発エネルギー/モル容積)1/2で定義される物質の凝集力を反映するパラメータであり、SP値が近い物同士では相溶性が良いポリマーアロイが得られる可能性がある。SP値は種々のポリマーで知られているが、例えば「プラスチック・データブック」(旭化成アミダス株式会社/プラスチック編集部共編)、189ページ等に記載されている。2つのポリマーのSP値の差が1〜9(MJ/m1/2であると、非相溶化による島ドメインの円形化と超微分散化が両立させやすく好ましい。例えばN6とPETはSP値の差が6(MJ/m1/2程度であり好ましい例であるが、N6とPEはSP値の差が11(MJ/m1/2程度であり好ましくない例として挙げられる。
また、樹脂同士の融点差が20℃以下であると、特に押出混練機を用いた混練の際、押出混練機中での融解状況に差を生じにくいため高効率で混練しやすく、成形時に低融点樹脂の劣化を防ぐことができるため好ましい。
さらに、溶融粘度も重要であり、島を形成する樹脂の方を低く設定すると剪断力による島樹脂の変形が起こりやすいため、島樹脂の微分散化が進みやすくスクラブ剤の微細化の観点からは好ましい。ただし、島樹脂を過度に低粘度にすると海化しやすくなり、繊維全体に対するブレンド比を高くできないため、島樹脂粘度は海樹脂粘度の1/10以上とすることが好ましい。この時、溶融粘度は混練時の温度で剪断速度121.6sec−1での値である。
また、海樹脂の溶融粘度は紡糸性に大きな影響を与える場合があり、海樹脂として100Pa・s以下の低粘度樹脂を用いると紡糸時の曳糸性が向上するため好ましい。曳糸性が向上することにより紡糸時のドラフト(延伸倍率)が大きくできるため、より細い繊維を製造することが可能となる。この時、溶融粘度は紡糸の際の口金面温度で剪断速度1216sec−1での値である。
上記の樹脂を混合し、アロイ化した上で繊維化を行うが、より細いスクラブ剤を得るためには混合時に大きな剪断力を与え、島樹脂を微分散化しておくことが好ましい。また、島成分が微分散している樹脂は製糸時に大きなバラス(吐出直後の樹脂が吐出孔径より太くなる現象)やさみだれ(吐出した樹脂が周期的に太細を繰り返し一定しない現象)が起こりやすい。そこで、吐出時の剪断応力の低下させるような口金設計や、吐出後に速やかに冷却を行う冷却の適性化等を行う必要がある。
このようにして得られた原料繊維から易溶解樹脂を溶剤で溶出することで、スクラブ剤原料を得るのであるが、その際、溶剤としては水溶液系のものを用いることが環境負荷を低減する観点から好ましい。具体的にはアルカリ水溶液や熱水を用いることが好ましい。このため、易溶解樹脂としては、ポリエステルやポリカーボネート(PC)等のアルカリ加水分解される樹脂やポリアルキレングリコールやポリビニルアルコールおよびそれらの誘導体等の熱水可溶性樹脂が好ましい。
この時、あらかじめ原料繊維を適当な長さに裁断しておくか、作製した極細繊維を裁断することで極細繊維の長さを調整し、本発明のスクラブ剤を得ることができる。原料繊維が海島型複合繊維の場合は島成分が完全に連続しているため、裁断長がスクラブ剤の長さとなる。また、原料繊維がアロイ繊維の場合、難溶解性樹脂は原料繊維中で有限な長さを有しているが、本発明のスクラブ剤の長さと比較して十分に長いため、ほぼ裁断長でスクラブ剤の長さが決定される。
このようにして製造したスクラブ剤は製造直後は複数の繊維が束状に凝集している。このスクラブ剤を凝集した状態のまま使用しても良く、分散処理を行って分散した状態で使用しても良い。スクラブ剤を分散させる際は、ビーターやリファイナー等の叩解機を用いて分散処理を行うことができる。これにより、繊維状スクラブ剤が1本1本分離し、より洗浄対象物にやさしいスクラブ剤とすることができる。
本発明のスクラブ剤および該スクラブ剤を含有する洗剤は対象物への損傷を抑えながら、洗浄物表面の凹凸内部の汚れまで落とすことが可能であり、すすぎ性にも優れるため、身体の洗浄用に限らず、ガラス製品や食器等の器物の洗浄にも好適に用いることが可能である。また、スクラブ剤の細さをより細くすることにより、精密基盤や光学部品等の僅かな傷も許されないような部材の洗浄にも用いることが可能である。
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明する。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
A.樹脂の溶融粘度
東洋精機キャピログラフ1Bにより樹脂の溶融粘度を測定した。なお、サンプル投入から測定開始までの樹脂の貯留時間は10分とした。
B.融点
Perkin Elaer DSC−7を用いて2nd runで樹脂の融解を示すピークトップ温度を樹脂の融点とした。この時の昇温温度は16℃/分、サンプル量は10mgとした。
C.分散したスクラブ剤の太さ
水に分散させたスクラブ剤1滴を走査型電子顕微鏡(SEM)の観察台に滴下し、乾燥した後に白金−パラジウム合金を蒸着しスクラブ剤を観察した。観察の倍率は視野内に20本程度のスクラブ剤が入る程度とし、視野内の5本のスクラブ剤の太さを測定し、これを異なる5箇所で行い、合計25本のスクラブ剤の太さを平均することにより求めた。
SEM装置 : 日立社製S−4000型
D.凝集したスクラブ剤の太さ
凝集したスクラブ剤をエポキシ樹脂で包埋し、リンタングステン酸で染色した後、ミクロトームを用いて厚さ100nmの超薄切片を作製した。この切片を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、個々のスクラブ剤の断面積を測定した後、その面積と同じ面積をもつ円の直径を計算することでスクラブ剤の太さを求めた。スクラブ剤の平均太さは視野内の5本のスクラブ剤の太さを測定し、これを異なる5箇所で行い、合計25本のスクラブ剤の太さを平均することにより求めた。
実施例1
溶融粘度296Pa・s(235℃、剪断速度121.6sec−1)、融点220℃のナイロン6(N6)(40重量%)と溶融粘度91Pa・s(235℃、剪断速度121.6sec−1)、融点170℃のポリL乳酸(PLA)(60重量%)を230℃に設定した2軸混練押出機で混練してアロイ樹脂を得た。なお、このPLAの225℃、1216sec−1での溶融粘度は52Pa・sであった。
このアロイ樹脂を図3に示す溶融紡糸装置に投入し、溶融温度235℃、紡糸温度235℃(口金面温度225℃)、単孔吐出量0.94g/分、紡糸速度3500m/分の条件で溶融紡糸を行った。得られた未延伸糸を延伸温度90℃、延伸倍率1.4倍、熱セット温度130℃の条件で延伸熱処理した。このアロイ繊維を4万dtexに引きそろえ、枷に巻きつけた後、95℃の1重量%水酸化ナトリウム水溶液に2時間浸漬することでアロイ繊維中のPLA成分の99%以上を加水分解除去した。さらに酢酸で中和後、水洗、乾燥することで超極細繊維束を作製した。
得られた超極細繊維束を長さ0.5mmに切断して、超極細繊維のカット繊維を得た。その後、タッピースタンダードナイヤガラ試験ビータ(東洋精機製)に水23Lと先ほど得られたカット繊維30gを仕込み、5分間予備叩解し、その後余分な水を切って繊維を回収した。この繊維の重量は250gであり、その含水率は88%であった。含水状態の繊維250gをそのまま自動式PFIミル(熊谷理機製)に仕込み、回転数1500回転、クリアランス0.2mmで6分間叩解し、超極細繊維からなるスクラブ剤を得た。
該スクラブ剤4.2gを分散剤(EA−87:第一工業製薬製)0.5gと水500gと共にファイバーミキサーMX−X103(ナショナル製)に投入し、5分間撹拌して水へ分散させスクラブ剤の太さを測定した。その結果、このスクラブ剤の太さは0.11μmと極めて細いものであった。
実施例2
溶融粘度120Pa・s(260℃、121.6sec−1)、融点225℃のポリブチレンテレフタレート(PBT)(20重量%)と溶融粘度140Pa・s(260℃、121.6sec−1)の2−エチルヘキシルアクリレートを22%共重合したポリエスチレン(co−PS)(80重量%)とを、混練温度を240℃として2軸混練押出機を用いて溶融混練し、アロイ樹脂を得た。なお、このco−PSの245℃、1216sec−1での溶融粘度は60Pa・sであった。
このアロイ樹脂を図3に示す溶融紡糸装置に投入し、溶融温度260℃、紡糸温度260℃(口金面温度245℃)、単孔吐出量1.15g/分、紡糸速度1200m/分の条件で溶融紡糸を行った。得られた未延伸糸を延伸温度100℃、延伸倍率2.2倍、熱セット温度115℃の条件で延伸熱処理した。このアロイ繊維を4万dtexに引きそろえ、枷に巻きつけた後、トリクロロエチレンに1時間浸漬することでアロイ繊維中のco−PS成分の99%以上を溶解除去した。さらに水洗、乾燥することで超極細繊維束を作製した。
得られた超極細繊維束を長さ2.0mmに切断して、超極細繊維のカット繊維を得た。その後、タッピースタンダードナイヤガラ試験ビータ(東洋精機製)に水23Lと先ほど得られたカット繊維30gを仕込み、5分間予備叩解し、その後余分な水を切って繊維を回収した。この繊維の重量は200gであり、その含水率は85%であった。含水状態の繊維200gをそのまま自動式PFIミル(熊谷理機製)に仕込み、回転数1500回転、クリアランス0.2mmで6分間叩解し、超極細繊維からなるスクラブ剤を得た。
該スクラブ剤を実施例1と同様に水へ分散し、スクラブ剤の太さを測定した。その結果、このスクラブ剤の太さは0.10μmと極めて細いものであった。
実施例3
溶融粘度451Pa・s(220℃、剪断速度121.6sec−1)、融点162℃のポリプロピレン(PP)(20重量%)と実施例1で使用したPLA(80重量%)を220℃に設定した2軸混練押出機で混練してアロイ樹脂を得た。なお、このPLAの220℃、121.6sec−1における溶融粘度は107Pa・sであり、215℃、1216sec−1での溶融粘度は86Pa・sであった。
このアロイ樹脂を図3に示す溶融紡糸装置に投入し、溶融温度220℃、紡糸温度220℃(口金面温度215℃)、単孔吐出量1.50g/分、紡糸速度900m/分の条件で溶融紡糸を行った。得られた未延伸糸を延伸温度90℃、延伸倍率2.7倍、熱セット温度130℃の条件で延伸熱処理した。このアロイ繊維を4万dtexに引きそろえ、枷に巻きつけた後、95℃の1重量%水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬することでアロイ繊維中のPLA成分の99%以上を溶解除去した。さらに水洗、乾燥することで超極細繊維束を作製した。
得られた超極細繊維束を長さ1.0mmに切断して、超極細繊維のカット繊維を得た。その後、タッピースタンダードナイヤガラ試験ビータ(東洋精機製)に水23Lと先ほど得られたカット繊維30gを仕込み、5分間予備叩解し、その後余分な水を切って繊維を回収した。この繊維の重量は180gであり、その含水率は83%であった。含水状態の繊維180gをそのまま自動式PFIミル(熊谷理機製)に仕込み、回転数1500回転、クリアランス0.2mmで6分間叩解し、超極細繊維からなるスクラブ剤を得た。
該スクラブ剤を実施例1と同様に水へ分散し、スクラブ剤の太さを測定した。その結果、このスクラブ剤の太さは0.28μmと極めて細いものであった。
実施例4
実施例1で使用したものと同じN6とPLAを用い、図1に示す複合紡糸装置のホッパー1にPS、ホッパー2にPLAのチップを投入し、エクストルーダー3を240℃、エクストルーダー4を220℃に設定し、240℃に設定した紡糸パック5にそれぞれの樹脂を溶融供給して、断面形状が図2のようになった繊維を得た。このとき、繊維全体に対する島成分の分量は35重量部とした。得られた繊維を液浴延伸機を用いて延伸温度90℃、熱セット温度130℃、延伸倍率2.7倍の条件で延伸し、58dtex、24フィラメントの複合繊維とした。この時、該複合繊維中におけるN6成分の単糸繊度は0.085dtexである。この複合繊維を4万dtexに引きそろえ、枷に巻きつけた後、95℃の3重量%水酸化ナトリウム水溶液にて2時間浸漬することで樹脂アロイ繊維中のco−PET成分の99%以上を加水分解除去した。さらに酢酸で中和後、水洗、乾燥することで極細繊維束を作製した。
得られた極細繊維束を長さ3.0mmに切断して、極細繊維のカット繊維を得た。その後、タッピースタンダードナイヤガラ試験ビータ(東洋精機製)に水23Lと先ほど得られたカット繊維30gを仕込み、5分間予備叩解し、その後余分な水を切って繊維を回収した。この繊維の重量は120gであり、その含水率は75%であった。含水状態の繊維120gをそのまま自動式PFIミル(熊谷理機製)に仕込み、回転数1500回転、クリアランス0.5mmで6分間叩解し、極細繊維からなるスクラブ剤を得た。
該スクラブ剤を実施例1と同様に水へ分散し、スクラブ剤の太さを測定した。その結果、このスクラブ剤の太さは3μmと細いものであった。
比較例1
実施例1で使用したものと同じN6を単独で用い、図3に示す紡糸装置に供給して75dtex、48フィラメントの繊維を得た。この繊維を延伸温度90℃、熱セット温度130℃、延伸倍率1.5倍で延伸を行い、50dtex、48フィラメントの繊維を作製した。
得られた繊維を5.0mmの長さに切断してスクラブ剤を得た。該スクラブ剤を実施例1と同様に水へ分散し、スクラブ剤の太さを測定した。その結果、このスクラブ剤の太さは10μmであった。
比較例2
粉砕したクルミの殻を60メッシュのふるいを通し、更に80メッシュのふるいにかけてふるい上に残った粒子をスクラブ剤として使用した。このスクラブ剤を光学顕微鏡で観察し、25個の粒子の直径を測定したところ、平均粒子径は200μmであった。
比較例3
(株)モリテックス製のケイ酸アルミニウム粒子(粒径分布:0.2〜6μm)をスクラブ剤として利用した。
<肌の洗浄テスト>
被験者の左手の甲部分に青色マジック(サクラペンタッチ#36:サクラクレパス株式会社)で長さ1cmの線を引き、各スクラブ剤を10g乗せ、水道水で湿らせて右手の人差し指と中指を用いて20回こすって洗浄し、その後5秒間水道水で洗い流した。その後、ビデオマイクロスコープ(VHX−100:キーエンス(株))で50倍に拡大して観察し、マジックの落ち具合とスクラブ剤のすすぎ性を確認した。また、洗浄から5分後の肌の状態と使用感を記録した。判断基準は下記の通りである。結果を表1にまとめる。
・汚れ落ち :◎ 毛穴や溝内部の汚れが80%以上落ちている
○ 毛穴や溝内部の汚れが50%以上落ちている
△ 毛穴や溝内部の汚れが30%以上落ちている
× 毛穴や溝内部の汚れが70%を超える範囲で残っている。
ここで、△以上であれば丁寧に洗浄を行うことで汚れをほとんど落とすことが可能であるが、×であると汚れを落とすためには非常に長い時間が必要となるため実用的とは言えない。
・すすぎ性 :○ スクラブ剤が全く観測されない
△ 視野内に10個以下の残留スクラブ剤が認められる
× 視野内に11個以上の残留スクラブ剤が認められる
ここで、△以上で有れば通常の洗浄動作によりほとんどのスクラブ剤を落とすことが可能であるが、×であると非常に長い時間すすぎを行う必要があり好ましくない。
・肌への刺激:○ 洗浄時の刺激がほとんど無く洗浄5分後に肌の色の変化が観測されない
△ 洗浄時に僅かな刺激を感じるが洗浄5分後に肌の色の変化が観測されない
× 洗浄時に痛みを感じ、洗浄5分後に肌の色が赤変しているのが観測される
ここで、△以上で有れば洗浄後5分で肌の色の変化が収まるため、肌への損傷は非常に少ないと判断できるが、×であると5分後においても肌の変色が収まらず、実質的な損傷が起こっていると判断される。
Figure 0005061424
表1から明らかなように、従来の粒子状のスクラブ剤では粒子径が大きいと洗浄力が不足し、粒子径が小さいとすすぎ性が悪化するのに対し、本発明のスクラブ剤は肌の溝や毛穴内部の汚れを効果的に除去することができ、その上すすぎ性に優れている。また、スクラブ剤の太さが細いほど肌への刺激が少なく、肌にやさしいと言える。
上記テストから、本発明のスクラブ剤は対象物への損傷が少なく、対象物表面の凹凸内部の汚れを除去する能力に優れ、その上すすぎ性に優れていることが示された。
実施例5,6、比較例4〜6
実施例1,4、比較例1,3のスクラブ剤を用いて以下のテストを行った。
<ガラスレンズの洗浄テスト>
スクラブ剤10重量部と、界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)10重量部にイオン交換水80重量部を加えてファイバーミキサーMX−X103(ナショナル製)に投入し、5分間撹拌してスクラブ剤入り洗剤を作製した。
眼鏡のレンズに青色マジックで長さ1cmの線を引き、実施例1、4及び比較例1、3の洗剤を10g染み込ませた綿布(カナキン4号)で20回こすって洗浄し、その後5秒間イオン交換水で洗い流した。洗浄後、ビデオマイクロスコープで200倍に拡大して観察し、レンズの表面状態を確認した。続いて、SEM(日立製S−4000型)を用いて1500倍でレンズ表面を観測した。判定基準は下記の通りである。結果を表2にまとめる。
・汚れ落ち :○ 汚れが完全に落ちている
× レンズ表面に汚れの残留が見られる
・すすぎ性 :○ スクラブ剤が全く観測されない
× スクラブ剤の残留が認められる
・レンズ損傷:○ SEMによる観測でも傷が観測されない
△ SEMによる観察では傷が観測されるが、マイクロスコープによる察察では傷が観測されない
× マイクロスコープによる観察でも傷が観測される
ここで、△以上であれば実質的な光学性能の低下は無いが、×であると光学的な性能低下が発生するため好ましくない。
Figure 0005061424
表2から明らかなように、スクラブ剤を含有しない洗剤と太い繊維状のスクラブ剤を含有した洗剤ではレンズ表面の凹凸内部に入り込んだ汚れを落とすことができなかったのに対し、本発明のスクラブ剤を含有した洗剤では凹凸内部の汚れまで落とすことができることが示された。また、従来の粒子状のスクラブ剤を含有した洗剤ではレンズ表面に傷が見られた上、スクラブ剤の残留が確認されたのに対し、本発明のスクラブ剤を含有した洗剤ではスクラブ剤の残留も見られず、レンズ表面の損傷も見られないことから、すすぎ性に優れ、対象物への損傷が少ないことが示された。また、本発明のスクラブ剤の中でも、太さが極めて細いものを使用した場合は、SEMによっても対象物表面に傷が観測されず、対象物に非常にやさしいことが判明した。
上記テストから、本発明の洗剤が対象物への損傷が少なく、対象物表面の凹凸内部の汚れを除去する能力に優れ、その上すすぎ性に優れていることが示された。
実施例7
実施例1と同様に溶融紡糸を行い、延伸した後にアルカリ処理を行うことで極細繊維束を得た。得られた極細繊維束を0.5mm間隔でカットし、スクラブ剤を作成した。このスクラブ剤の断面をTEM観察したところ、この極細繊維束は平均太さ0.11μmの極めて細い繊維状のスクラブ剤が束状に会合したものであった。このスクラブ剤0.5gと界面活性剤(EA−87:第一工業製薬製)0.5g、水99gをファイバーミキサーMX−X103(ナショナル製)に投入し、5分間拡販してスクラブ剤を0.5重量%含有した洗剤を作製した。作製した分散液の一部を5倍に希釈した後、ガラスセルに入れて観察したところ、色調が不均一でありスクラブ剤が凝集していることが示された。
実施例8
実施例1と同様に溶融紡糸を行い、延伸した後にアルカリ処理をおこなうことで極細繊維束を作製した。得られた超極細繊維束を長さ0.5mmに切断して、超極細繊維のカット繊維を得た。その後、タッピースタンダードナイヤガラ試験ビータ(東洋精機製)に水23Lと先ほど得られたカット繊維30gを仕込み、5分間予備叩解し、その後余分な水を切って繊維を回収した。この繊維の重量は250gであり、その含水率は88%であった。含水状態の繊維250gをそのまま自動式PFIミル(熊谷理機製)に仕込み、回転数1500回転、クリアランス0.2mmで6分間叩解した。
続けて、叩解した繊維4.2gを界面活性剤(シャロールAN−103:第一工業製薬製)0.5gと水95.3gと共にファイバーミキサーMX−X103(ナショナル製)に投入し、5分間撹拌してスクラブ剤を0.5重量%含有した洗剤を作製した。作製した分散液の一部を5倍に希釈した後、ガラスセルに入れて観察したところ、均一な半透明の液体となり、スクラブ剤が分散していることが示された。
比較例7
スクラブ剤を加えず、界面活性剤(シャロールAN−103:第一工業製薬製)0.5gと水99.5gをファイバーミキサーMX−X103(ナショナル製)に投入し、5分間拡販して洗剤を作製した。
比較例8
比較例2のスクラブ剤0.5gを加えた以外は比較例7と同様に洗剤を作成した。
比較例9
比較例3のスクラブ剤0.5gを加えた以外は比較例7と同様に洗剤を作成した。
<肌の洗浄テスト>
被験者の左手の甲部分にマックスファクター501アクアラッシュウォータープルーフマスカラ(ブラック)(商標)で長さ1cmの線を引き、実施例7,8および比較例7の洗剤を3cc滴下して右手の指でこするように洗浄し、その後5秒間水道水で洗い流した。その後、ビデオマイクロスコープ(VHX−100:キーエンス(株))で50倍に拡大して観察し、マスカラの落ち具合とスクラブ剤のすすぎ性を確認した。また、洗浄時の使用感を記録した。結果を表3にまとめる。
・汚れ落ち :◎ 毛穴や溝内部の汚れが80%以上落ちている
○ 毛穴や溝内部の汚れが50%以上落ちている
△ 毛穴や溝内部の汚れが30%以上落ちている
× 毛穴や溝内部の汚れが70%を超える範囲で残っている。
ここで、△以上であれば丁寧に洗浄を行うことで汚れをほとんど落とすことが可能であるが、×であると汚れを落とすためには非常に長い時間が必要となるため実用的とは言えない。
・すすぎ性 :○ スクラブ剤が全く観測されない
△ 視野内に10個以下の残留スクラブ剤が認められる
× 視野内に11個以上の残留スクラブ剤が認められる
ここで、△以上で有れば通常の洗浄動作によりほとんどのスクラブ剤を落とすことが可能であるが、×であると非常に長い時間すすぎを行う必要があり好ましくない。
・肌への刺激:○ 洗浄時の刺激がほとんど無く洗浄5分後に肌の色の変化が観測されない
△ 洗浄時に僅かな刺激を感じるが洗浄5分後に肌の色の変化が観測されない
× 洗浄時に痛みを感じ、洗浄5分後に肌の色が赤変しているのが観測される
ここで、△以上で有れば洗浄後5分で肌の色の変化が収まるため、肌への損傷は非常に少ないと判断できるが、×であると5分後においても肌の変色が収まらず、実質的な損傷が起こっていると判断される。
Figure 0005061424
従来の粒子状のスクラブ剤を使用した洗剤は、粒子径が小さいとすすぎ性が悪化し、粒子径が大きいと肌への刺激が強くなりすぎてしまう。また、洗浄力としても満足できるものではなかった。一方で、本発明のスクラブ剤を含む洗剤は、高い洗浄力とすすぎ性を兼ね備えたものとなった。また、凝集したスクラブ剤を含む洗剤は、僅かに肌への刺激があるが、被験者からは汚れが落ちているような感じがして心地よいとの意見も出された。一方で、分散したスクラブ剤を含む洗剤は肌に非常に優しく、洗顔にも安心して使用できるとの意見が出された。
複合紡糸装置 海島型複合繊維断面図 単成分紡糸装置
符号の説明
1:海成分樹脂用ホッパー
2:島成分樹脂用ホッパー
3:海成分樹脂用エクストルーダー
4:島成分樹脂用エクストルーダー
5:複合紡糸用パック
6:チムニー
7:集束給油ガイド
8:糸条
9:引き取りローラー
10:巻き取り糸
11:アロイ樹脂用ホッパー
12:アロイ樹脂用エクストルーダー
13:単成分紡糸用パック

Claims (7)

  1. 平均太さ0.5μm以下の繊維状である熱可塑性樹脂からなるスクラブ剤。
  2. 繊維長が0.05mm以上20mm以下であることを特徴とする請求項1記載のスクラブ剤。
  3. 請求項1〜2のいずれか1項記載のスクラブ剤を含有することを特徴とする洗剤。
  4. 洗剤中にスクラブ剤が分散した状態で含まれていることを特徴とする請求項3記載の洗剤。
  5. 洗剤中のスクラブ剤が凝集した状態で含まれていることを特徴とする請求項3記載の洗剤。
  6. 洗剤中に平均太さ3μm以下の繊維状である熱可塑性樹脂からなるスクラブ剤が凝集した状態で含まれていることを特徴とする洗剤。
  7. 繊維長が0.05mm以上20mm以下であることを特徴とする請求項6記載の洗剤。
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