JP5413359B2 - 乳液またはゲル状物およびその製造方法 - Google Patents

乳液またはゲル状物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、化粧品分野、塗料分野、医療分野用、電子材料分野などの分野において有用な、繊維直径がナノメーター(nm)のオーダーである極細繊維(以下、ナノファイバーという。)を配合した溶液、乳液、ゲル状物及びこれらを用いた化粧品や塗料などの各種製品およびその製造方法に関する。
化粧品は、最近多様な機能が提案されるようになっている。例えば、健康な肌の維持がし易く、肌への密着性が良好で、かつ洗い落としも良好な化粧品や、コラーゲン、ヒアルロン酸、スクワラン、尿素などの老化や角質化防止やアラントインなどのような肌荒れ防止が可能な化粧品、ベンゾフェノンや酸化亜鉛のような紫外線吸収剤による黒化やシミ、ソバカス防止、アルブチンやスクワランなどのようなメラニン生成抑制剤や皮膚細胞活性化による美白化粧品、グリセリン、ヒアルロン酸、シリコーン、ラノリンなどの保湿剤や湿潤剤によってしっとりとしてみずみずしい肌を保持することが可能な化粧品、有機物などによる化粧もち向上可能な化粧品、くすみやてかりの防止が可能な化粧品、透明感や色調などの高級感を表現することが可能な化粧品などが挙げられる。
このような機能を付与するために、皮膚を保護するための各種油性分、保湿剤、増粘剤、美白剤、紫外線防止剤、微粒子、色素などが水や溶媒に配合されるが、製法上、各種配合剤を均一に分散する方法や乳化配合を安定化することなどの課題がある。また、製品としては、化粧品における配合剤の均一性や分散性が良好であり、かつそれらの長期保存安定性に優れていることが要求される。更に、化粧品の感触、伸びや肌触りなどのメーク時の使用感、メーク後の汗などに対する化粧もちが優れており、化粧落としが容易であることなどが要求される。
従来の化粧品においては、界面活性剤や天然の分散剤を使用したり、無機微粒子、有機微粒子、高分子ゲル、天然ゲル、コラーゲンなどの基材に配合剤を担持させたり、アクリルアミド系の高分子増粘剤などで各種配合剤を分散させたりすることによって、各種配合剤の均一分散性、安定性を向上し、化粧品の上記各種課題を解決する検討がなされている。
最近では化粧品において、配合剤として油成分を分散する場合(例えば、特許文献1、2、3)、その油成分微粒子の粒径を1μm以下にする油成分のマイクロ分散技術が検討されている。また、配合剤が無機微粒子の場合、直径が0.1μm以下の微粒子(以下、ナノ微粒子という。)の配合技術が検討されるようになっている。(例えば、特許文献4、5、6、7、8)このような油成分微粒子や固形成分微粒子の均一分散は、脂質の種類を選択することや、界面活性剤の最適化による表面張力制御などの従来の方法によってある程度は改善が可能である。しかし、その長期保存安定性については、微粒子の直径が小さくなるほど難しく、特にナノ微粒子になると非常に凝集し易く、分散するよりも逆にミクロンサイズに2次凝集した粒子を形成し沈殿するなど、ナノ微粒子を均一に分散しようという、本来の目的が達成できない問題が生じている。
配合剤や微粒子の均一分散性を向上したり、分散状態を長期安定化するために、グリセリン類の使用(例えば、特許文献9、10)やアクリルアミド類の使用(例えば、特許文献11、12)なども検討されているが、これらの分散剤自身の分散性や長期安定性が十分でない場合がある。例えば、アクリルアミドの直径が50〜1000nmの水中油型エマルジョン(例えば、特許文献13)について開示されている。このような分散剤は、微粒子化することによって、肌への塗布時の伸びがよく、肌触りにも優れるが、アクリルアミド自身の性質による使用時のベタツキ感があり、化粧品使用時の爽やかさ、清涼感、ナチュラル感が損なわれる欠点があった。
このため、配合剤や微粒子の均一分散性や長期保存安定性や、肌への密着性が良好で、しかもなめらかで伸びがよく、肌触りにも優れ、さらに使用時のベタツキ感がなく、化粧品使用時の爽やかさ、清涼感、ナチュラル感にも優れた素材が求められていた。
このような素材として従来から、タルク、ベントナイトなどの粘土素材や無機粒子を担持体として配合剤を付着させて分散させる方法が提案されているが、担持体の粒径が数μm以上と大きいため、化粧品中に均一に分散することが困難であるだけでなく、担持体の粒径が大きいために化粧品使用時にザラツキ感があり、爽やかさやナチュラル感が損なわれる問題があった。
他の方法として、上記有機微粒子や無機微粒子と異なる配合剤として、最近、コラーゲン繊維などの天然繊維を配合した化粧品が検討されている(例えば、特許文献14、15、16)。これらは、コラーゲンを低分子量化したり、コラーゲン繊維に化学修飾を施すことにより皮膚への浸透や吸収をし易く改質する材料であって、繊維として見た場合には、繊維本来の担持体としての形態、機能としての作用は小さいものであった。また、絹フィブロイン繊維を微細化した検討例(例えば、特許文献17)も開示されているが、繊維長は1〜200μmの短繊維になるが、繊維直径は10μm程度であり、微細な繊維というよりも10μm以上の絹粉末というべきものであるため、粒子として見た場合には大きいものであり、絹粉末自身の分散性が悪く、かつ沈殿しやすく、他のナノ微粒子を担持分散する材料として求められる特性としては不十分であった。さらに他の方法として、セルロース繊維を利用する例もあるが(例えば特許文献18)、このようなセルロースフィブリルを利用する場合、セルロースのフィブリル繊維の直径のバラツキが1/10〜1/100と大きく、太径のものと細径のものが混在し、それらを均一に分散することは非常に困難であり、また、太径のものは沈降しやすく、微粒子を分散するよりもむしろ一緒に沈降するという欠点もあった。また、保存中にカビが発生したり、繊維自体の剛性が高く柔軟性が不足するなどの欠点があった。
さらに、セルロースからなるナノファイバーを利用した例も存在するが(特許文献19)、繊維が細すぎるために、繊維の絶対的な強力が低く、分散する際にセルロース繊維が切れて粉々になったり、セルロース故に、分散液の保存中にカビが発生したりする問題があった。この観点から、セルロースではなく、合成高分子からなる極細繊維を利用することが求められていた。
そこで、合成高分子からなる極細繊維を利用については、ベルベット調の艶や幼児の産毛調の自然艶を得ることを目的としたもの「超極細繊維を配合した化粧料」(例えば、特許文献20)が開示されている。ここで用いられている極細繊維の繊維長は50μm以下と短いものの、その繊維直径は2μm(0.055dtex)と、化粧品に配合した場合には、特殊なメイク用途以外ではまだその繊維直径が太く、柔軟性が不足し、肌とのなじみが悪く、使用感としても違和感があり、また、繊維自体の水や油剤への分散性や微粒子との馴染み性も不十分であった。このため、織物、編物、不織布などでは極細繊維として利用されているとしても、化粧品分野ではまだ細さや柔軟性が不足するため適用は困難であった。
ここで、上記で引用した特許文献等に記載されている繊維で通常よく用いられる繊維の繊度(dtex)と本発明の合成紙で用いる単繊維の数平均直径φ(μm)との間には下記(1)式が成立する。
φ=10×(4×dtex/πρ)1/2 (1)
ここで、dtexとは繊維が10000mの重さ1gとなる繊維の太さ(JIS L 0101)(1978)のことを指している。
例えば、繊度を本発明でいう単繊維数平均直径に換算する場合、例えば高分子がナイロンの場合、比重が1.14(ナイロン6相当)で換算した値で、次式で求められる。
φn6=10.6×(dtex)1/2
また、ナイロン6ではなく、高分子の種類が違う場合には、上記の式中で、その高分子に固有の比重に置き換えて計算すればよい。
特開平10−147506号公報 特開2001−214081号公報 特開2001−261526号公報 特開平05−186323号公報 特開2000−264632号公報 特開平07−002639号公報 特開2001−089314号公報 特開2003−300844号公報 特開平07−185294号公報 特開2000−128760号公報 特開平06−211626号公報 特開平10−067685号公報 特開平10−087428号公報 特開昭55−28947号公報 特開昭63−215770号公報 特開平08−27192号公報 特開平11−100510号公報 特開昭62−39507号公報 特開平13−2523号公報 特開2001−64153号公報
本発明は、均一分散性や分散の長期安定性に優れ、しかも化粧品として優れた特性を有する配合溶液、乳液およびゲル状物を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は次の構成を有するものである。
(1)熱可塑性高分子からなり、数平均による単繊維の直径が1〜500nm、単繊維の直径が1〜500nmの比率を表した数値Paが60%以上であり、数平均による単繊維の直径を中央値としその前後30nm幅に入る繊維の割合を表す単繊維直径の集中度指数Pbが50%以上である繊維分散体を含むことを特徴とする乳液。
(2)熱可塑性高分子からなり、数平均による単繊維の直径が1〜500nm、単繊維の直径が1〜500nmの比率を表した数値Paが60%以上であり、数平均による単繊維の直径を中央値としその前後30nm幅に入る繊維の割合を表す単繊維直径の集中度指数Pbが50%以上である繊維分散体を含むことを特徴とするゲル状物。
(3)前記乳液または前記ゲル状物を用いてなる化粧品。
(4)前記乳液または前記ゲル状物を用いてなる塗料。
(5)分散媒の中で、繊維集合体を直接叩解することを特徴とする前記乳液の製造方法または前記ゲル状物の製造方法。
本発明によれば、最近の化粧品、医療品や他の分野において、ナノファイバーを配合溶液や乳液、ゲル状物に配合することによって、1μm以下の貴金属、金属酸化物、高分子微粒子からなるマイクロ微粒子やナノ微粒子などを均一に分散できるだけでなく、その分散を長期に安定化できる。
また、数μm以上の直径を有する従来の繊維を化粧品に配合するとざらつき感があり、実用的な配合剤にならなかったが、本発明のナノファイバーでは、肌表面のしわスジより細く、肌へのなじみが良好で、肌にソフトで自然な感触を得ることができる。そして、ナノファイバーを配合することによって、化粧品の滑り性や保水性、保湿性、伸び、パック性が良好で、化粧もちも向上し、従来の繊維にはない機能が得られる。このため、ナノファイバーの細さや比表面積などの特徴を活かし、化粧水、ローション、液状ファンデーション、シャンプー、リンス、乳液、コールドクリーム、クレンジングクリーム、シェービングクリーム、ヘアークリーム、パック用や軟膏用のゲル、整髪用ゲル、洗顔用ゲル、石鹸用ゲル、パック材などに本発明のナノファイバーを配合し、多くの種類の化粧品に適用することができる。
さらに、ナノファイバーによる分散性、均一性、保存性などの効果は、単に、化粧品にとどまらず、軟膏や湿布液、細胞培養用基材、蛋白吸着材などの医療用分野、電池用電解質材や燃料電池の触媒担持体用材料、ケミカルフィルター用の触媒用担持体用材料や有害ガスの吸着材などの電子基材や電子関連装置分野、各種フィラーや顔料を配合した塗料、接着剤や壁材用コート材などの建築資材分野、浄化用フィルターや浄化フィルター用の活性炭や酸化チタンなどの微粒子の担持体などの工業資材分野、絵画用絵の具などでも有効である。
また、従来の通常の合成繊維や極細繊維では対応が難しい分野において、本発明の配合溶液、乳液、ゲル状物は、各種物質(例:微粒子、化学物質、蛋白、病原菌など)の吸着性や吸収性、生態的適合性や相溶性などナノメーターレベルでの表面活性や該表面の化学的相互作用が期待される。
ナノファイバーの原糸となる「高分子アロイ繊維」用紡糸機の一例を示す概略図である。 実施例1の高分子アロイ繊維の横断面の島の形状の一例を示す透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 カセ脱海装置の概略図である。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明のナノファイバー分散体を構成する熱可塑性高分子としては、ポリエステルやポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等が挙げられる。ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)などが挙げられる。また、ポリアミドとしてはナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン11(N11)などが挙げられる。また、ポリオレフィンとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などが挙げられる。上記した熱可塑性高分子以外にも、フェノール樹脂やポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリスルホン、フッ素系高分子やそれらの誘導体を用いることももちろん可能である。
これらの高分子の中でも、耐熱性の点から、融点165℃以上のものが好ましい。より好ましくは、ポリエステルやポリアミドに代表される重縮合系高分子の中で高い融点を有するもの、例えば、PPは165℃、PLAは170℃、N6は220℃、PETは255℃である。また、これらの高分子には微粒子、難燃剤、帯電防止剤等の配合剤を含有させてもよい。また、ポリマーの性質を損なわない範囲で他の成分が共重合されていても良い。さらに、溶融紡糸の容易さから、融点が300℃以下の高分子が好ましい。
特にN6やN66に代表されるポリアミドは吸水性や保水性に優れるため、これらの特性を生かして、本発明の配合溶液や乳液、ならびにゲル状物にPAのナノファイバーを配合することで化粧用途などに好適に用いることができる。
本発明で用いる繊維分散体とは、数平均による単繊維の直径(単繊維数平均直径)が1〜500nmの範囲内にあるナノファイバーのことを言い、その形態は単繊維が分散したもののことである。また、繊維状の形態であればよく、その長さや断面形状にはこだわらないものである。そして、本発明では、ナノファイバーの単繊維直径の平均値およびバラツキが重要である。配合溶液や乳液、ゲル状物中でナノファイバーを均一に分散させたり、ナノファイバーが経時で凝集や沈降しないような長期保存安定性を向上させるために、単繊維数平均直径は1〜500nmであることが重要であり、1〜200nmであることが好ましく、1〜150nmであることがより好ましく、1〜100nmであることがさらに好ましい。
ここで、単繊維数平均直径は、後述する実施例中の測定法「H.ナノファイバーのSEM観察」および「I.ナノファイバーの単繊維数平均直径φm」によって評価され、単繊維直径のバラツキは、「H.ナノファイバーのSEM観察」、「J.ナノファイバー単繊維比率の和Paの評価」および「K.ナノファイバーの単繊維直径の集中度指数Pbの評価」によって表される。
単繊維数平均直径は、配合溶液や乳液、ゲル状物中からナノファイバーをサンプリングし、サンプリングしたナノファイバーの表面を透過型電子顕微鏡(TEM)あるいは走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、同一表面内で無作為抽出した30本の単繊維直径を測定し、さらに、サンプリングを10回行い、合計300本の単繊維直径のデータからその単純平均値を求め、これを「単繊維数平均直径φm」と本発明では呼ぶ。また、ナノファイバーの単繊維直径のバラツキは以下のようにして評価する。上述で求めた単繊維直径から分布表(ヒストグラム)を作成するために、単繊維直径φを任意の区分(n個)に分割し、各区分の両端の平均値をφiとする。該区分のナノファイバー各々の直径区分φi(i=1〜n)に対する頻度fiを数え、分布表を作成する。任意の区分に分割する方法としては、例えば単繊維数平均直径φmが500nm以下の場合、1区画は1〜10nmとして、nは10〜100区分とすることができる。(比較上で、単繊維数平均直径φmが500nmを超える場合には、1区画は数平均直径φmの1/10間隔以下として、nは10区分〜100区分とすることができる)。
次に、単繊維直径のバラツキを評価する「単繊維の直径が1〜500nmの比率を表した数値Pa」と「集中指数Pb」について説明する。
同じ区画に入る単繊維直径φiを持つナノファイバーの頻度fiを数え、Nで割ったものをその単繊維直径の比率をPiとする。Piを1から500nmの範囲内にある区画番号rまでの個々のfi/Nを単純に加算すればPaを求めることができる。
N=Σfi (i=1〜n) (2)
Pa=Σ(fi/N) (i=1〜r) (3)
具体的には、1から500nmの範囲内にある区画番号rまでの個々のfi/Nを加算すれば良い。本発明において、ナノファイバーではPaが60%以上であることが重要であり、65%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。Paは大きいほど本発明でいうナノファイバーの本数比率が多く、粗大な単繊維直径のものが少ないことを意味している。これにより、ナノファイバーの機能を十分に発揮することができ、また製品の品質安定性も良好とすることができる。
また、単繊維直径の集中度指数Pbは、単繊維の平均直径付近の集中度を示す。上述のとおりにで得られたφiの頻度fiを利用し、このデータを基に「単繊維直径φiの2乗値χiの区画に対する頻度fjの分布表(ヒストグラム)を作製する。次に、χiに対する「該頻度fjを積算した値Pjの表を予め作成する。
Pj=Σ(fj/N) (j=1〜n) (4)
単繊維直径φiの2乗値χiは繊維(円筒形)の重量に比例するので、(1)式からわかるようにdtex、即ち繊度に対する分布に対応する。このχiに対する「積算頻度数Pj」の近似関数Q(χiの4から6次関数)をマイクロソフト(Microsoft)社製エクセル(Excel)(商品名)で作成する。その後、単繊維数平均直径φmを中央値にして、φmに15nmプラスしたものの2乗値をχaとし、φmに15nmマイナスしたものの2乗値をχbとすると、集中指数Pbは下記式から求められる。
Pb=Q(χa)−Q(χb) (5)
本発明においてナノファイバーは、単繊維数平均直径を中央値として、その前後30nmに入る繊維の割合を表す単繊維直径の集中度指数Pbが、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。このことは、Pbが高いほど単繊維直径のバラツキが小さいことを意味している。実際の単繊維数平均直径φm、単繊維の直径が1〜500nmの比率を表した数値Pa、単繊維直径の集中指数Pbの実際の測定法は、後述の実施例中に示した。
本発明では前記のナノファイバー分散体を利用して、配合溶液、乳液、ゲル状物とすることができる。これは前記のナノファイバーにより初めて達成できるものである。例えば、エレクトロスピニング法により得られるナノファイバーでは、通常不織布形状でしかナノファイバーを捕集できないため、得られたナノファイバーを溶媒中に均一分散させるという思想そのものが無く、またこれを行うことは困難であり、実際ナノファイバーを溶媒中に分散させた例は無かった。一方、本発明では生産性の高い溶融紡糸法により高分子アロイ繊維を得、ここから海成分を脱海することでナノファイバー集合体とし、さらにこれを短繊維化した後に叩解、分散することでナノファイバー分散体とするため、上述のような配合溶液、乳液、ゲル状物を効率良く作製することが初めて可能となったのである。
本発明のナノファイバー配合溶液、乳液、ゲル状物は、ナノファイバー分散体と溶媒あるいはゲルとで構成されている。本発明の配合溶液、乳液、ゲル状物とは、ナノファイバーもしくはナノファイバーとその他の薬剤が溶媒あるいはゲル中に配合された液状物もしくは固形状物のことを指す。
本発明でいう配合溶液とは、ナノファイバー分散体が比較的低濃度で溶媒中に分散しているもので、粘度が比較的低くて流動性が高いものである。また、ナノファイバー分散体が比較的高濃度で溶媒あるいはゲル中に存在し、粘度が比較的高くて流動性が低いものをゲル状物と定義する。また、配合溶液がエマルジョンを形成しており、その中に比較的低濃度でナノファイバー分散体がエマルジョン中に分散しているものを乳液と定義する。
ここで溶媒あるいはゲルは、配合溶液や乳液、ゲル状物中のナノファイバー以外の配合成分を溶解するだけでなく、ナノファイバーの分散媒としても働く。
また、溶媒は、水及び/又は油及び/又は有機溶媒(乳液を含む)のうちで、適宜組みあわせて使用することができる。油としては、アマニ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマワリ油、菜種油、ゴマ油、大豆油、カカオ油、ヤシ油、パーム油、モクロウなどの天然油やパラフィン、ワセリン、セレシン、流動パラフィン、スクワラン、ワックス、高級脂肪酸、シリコーン油、架橋シリコーン油などがあり、単独でも2種類以上の組合わせても使用可能である。また、有機溶媒としては、アルコール類、エステル類、グリコール類、グリセリン類、ケトン類、エーテル類、アミン類、乳酸・酪酸などの低級脂肪酸類、ピリジン、テトラヒドロフラン、フルフリルアルコール、アセトニトリル類、乳酸メチル、乳酸エチルなどがあり、単独でも2種類以上の組合わせても使用可能である。
本発明で用いる単繊維の直径が1〜500nmのナノファイバー分散体は、溶媒中の分散性を向上させる点から、濾水度が350以下であることが好ましい。濾水度は200以下がより好ましく、100以下が更に好ましい。濾水度の下限としては、5以上であることが好ましい。
次に、本発明で用いる単繊維の直径が1〜500nmのナノファイバーと従来の合成繊維とを比較する。直径が10μm以上の繊維(以下、通常繊維という。)、直径が0.5μm(500nm)を超えて10μm以下である繊維(以下、極細繊維という。)の2種類の従来の繊維、直径が0.5μm(500nm)以下である本発明で用いる繊維(ナノファイバーA、B)について、表1に各繊維の代表的な繊維直径の例を示した。
通常よく用いられる繊維の繊度(dtex)と単繊維の直径φ(μm)との間には前掲の(1)式が成立する。
φ=10×(4×dtex/πρ)1/2 (1)
ここで、dtex:長さ10000mで1gの重さとなる繊維の太さ(JIS L 0101)である。
また、比重が1.14(ナイロン6相当)で換算すると、単繊維の直径φ(μm)は次式で求められる。
φn6=10.6×(dtex)1/2
従来の繊維として通常繊維と極細繊維(以下、これらを総称して従来繊維という。)、本発明で用いる直径が1〜500nmの繊維として直径200nmのナノファイバーAと直径60nmのナノファイバーBを表1に示した。ここでいう繊維直径は、前記(1)式で定義された単繊維数平均直径φmであり、後述の実施例に測定法を示すように、透過型電子顕微鏡(TEM)あるいは走査型電子顕微鏡(SEM)から測定される。
表1には2mmにカットされた繊維について、0.01wt%濃度の水溶液または化粧水1ml当たりに含まれる繊維本数と比表面積を比較して示した。通常繊維の場合160本、極細繊維の場合1万6千本という従来繊維に比較し、ナノファイバーAで160万本、更に細いナノファイバーBで1800万本と、本数が極めて多く、さらに比表面性、アスペクト比も大きくなる。
微小な繊維直径、大きな比表面積などの特徴を活かし、本発明のナノファイバー配合溶液、乳液、ゲル状物を単独あるいは複合して使用することで、以下のように様々な化粧品を得ることができる。具体的な化粧品の例としては、化粧水類(例:一般化粧水、オーデコロン、アフターシェービングローション、日焼け止めローションなど)、クリーム乳液類(例:一般化粧乳液、アフターシェービングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、シェービングクリーム、ハンドクリーム、日焼け止めクリームなど)、ファンデーション類(例:液状ファンデーション、クリーム状ファンデーション、固形ファンデーションなど)、おしろい類(例:クリーム状おしろい、固形おしろい、粉おしろい、ベビーパウダー、ボディーパウダーなど)、頭髪用化粧品類(例:頭髪油、セットローション、チック、ヘアークリーム、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、ポマードなど)や洗剤化粧類(例:シャンプー、リンス、化粧用石鹸類、メイク落とし剤など)、口紅類(例:口紅、リップクリームなど)、パック類、眉目頬化粧品類(例:アイシャドー、アイライナー、アイクリーム、頬紅、マスカラ、眉墨など)、美爪エナメル類、歯磨き類、軟膏用ゲルなどが挙げられ、用途や目的に応じてナノファイバー配合溶液、乳液、ゲル状物を組合わせたり、使い分けたりすることができる。
ところで、分散径がミクロンレベルの大きさの油分、数nm〜数100nmのナノレベルの貴金属または他の配合剤の超微粒子などが含まれている化粧水や乳液において各種分散剤を添加しても、非常に凝集し易く、超微粒子の分散性を均一にすることは難しいものであった。また、均一に分散したとしても長期間保存すると分散の均一性が低下し、凝集による分離や沈降が起こる場合もあった。一旦分離してしまうと瓶をよく振って内容物を攪拌しても、初期のように微粒子が分散した状態にもどすことは困難であった。この現象は配合溶液だけでなく、乳液やゲル状態でも発生するので、化粧品分野において、微粒子を均一に分散し、長期にわたって保存できるように分散を安定化することが求められていた。
この点、本発明のナノファイバー配合溶液、乳液、ゲル状物を用いることによって、上記課題を解決できる。本発明のナノファイバー配合溶液では、表1に示すように、ナノファイバーは溶液1mlあたり、1800万本の繊維を含み、かつ比表面積も非常に大きくなる。また、ナノファイバーでは、繊維のカット長が2mmの場合、表1のように繊維長(L)/繊維直径(D)の比、すなわちアスペクト比が10000〜33000になり、非常に長い繊維である。このため、ナノファイバーを配合溶液や乳液、ゲル状物中に添加すると、ナノファイバー表面上に、上記したミクロンレベルの微粒子やナノ微粒子などを均一に坦持できるのである。これにより、比重の大きな貴金属微粒子や紫外線遮蔽剤などの各種配合微粒子をナノファイバーを利用することで凝集することなくバラバラに分散させたり、微粒子同士の凝集を防止することができるのである。また、溶液中で軽く凝集してフロックやクラスター状になり始めた微粒子に対して、細くて長いナノファイバーが動くことによって、これらが攪拌、あるいはしごかれてフロックやクラスターが破壊され均一な分散を行うこともできる。
また、細くて長いナノファイバーが、溶液1ml当たり1800万本も存在し、さらにそのナノファイバーがバラバラで溶液中に分散していることは、配合溶液や乳液、ゲル状物中の空間を非常に微細に区画してナノファイバーが広がっていることになり、その表面に担持された微粒子も均一に分散されることになる。また、分散したナノファイバーは繊維同士の絡みや凝着があり、ナノファイバーのネットワーク状の空間が形成されている。このネットワーク状態は長期的に非常に安定であるため、油滴、乳液などの液体超微粒子や比重の大きな貴金属微粒子や紫外線遮蔽剤などの各種配合微粒子を凝集や沈殿させることなく長期間安定して保管することが可能となる。
また、通常の分散剤やpH調整だけでは分散を安定化することが難しい乳液や微粒子配合剤の分散を安定化するために、ナノファイバーを配合することは非常に有効である。本発明のナノファイバー配合溶液、乳液、ゲル状物の場合、それぞれに配合されているナノファイバー濃度は、ゲル状物の場合は30wt%以下であることが好ましく、1wt%を超え、5wt%以下であることがより好ましい。また、配合溶液や乳液の場合には、5wt%以下であることが好ましく、より好ましくは0.0001〜1wt%、0.003〜0.3wt%である。表1のごとく、0.01wt%でも、直径が60nm(0.06μm)のナノファイバーの場合、1800万本もの多数の繊維が含有されているので、このような低濃度でも分散性向上や長期保存安定化には有効である。もちろん微粒子の種類、濃度、保存期間、他の配合剤の影響など考慮し、ナノファイバーの含有量を調整することが可能である。
本発明で用いられる単繊維数平均直径が1〜500nmのナノファイバーは、繊維長が20mm以下の短繊維であることが好ましい。繊維長が20mmを超えると、ナノファイバー同士が過度に絡み合いやすくなるため、分散性が低下する場合がある。このため、ナノファイバー配合溶液や乳液、ゲル状物中でナノファイバーを良好に分散するためには、ナノファイバーの長さは0.05〜2mmとすることが好ましく、さらにゲル状物に適用する場合にはナノファイバーの長さは0.2〜1mmにすることが好ましく、乳液に適用する場合にはナノファイバーの長さは0.05〜0.8mmにすることが好ましい。特に、粘性が大きな油やゲル状物ではナノファイバーの凝集が起こり易いため、少量ずつ添加することが好ましい。また、ゲル状物の場合にはニーダーや2軸混合機などの剪断力の強い混合機で混合することも好ましい。
また、本発明のナノファイバーは、繊維長L(mm)と数平均繊維直径D(mm)の比(L/D)が100〜50000であることが好ましい。L/Dをこの範囲にすることで、本発明の配合溶液、乳液、ゲル状物中でのナノファイバーの分散性を向上させることができる。L/Dは1000〜20000がより好ましく、500〜2000がさらに好ましい。
本発明において、特にナノファイバーを添加した配合溶液は、透明性が良好である。透明性については、後述する実施例中の「P.透明性」の測定法に従って評価する。例えば参考例6のように、ナノファイバーの繊維長が2mmで、ナノファイバー濃度が0.01wt%のナノファイバー配合溶液の透光率は51%であり、優れた透明性を有している。この場合、ナノファイバーの繊維直径は60nmと光の波長(400〜700nm)より小さいが、繊維長は2mm(2000000nm)と非常に大きい。また、表1に示したように溶液1ml中に存在するナノファイバーの本数が1800万本と非常に多く存在しているにもかかわらず透明性は非常に良好である。これは、ナノファイバーが単繊維レベルで均一分散している効果と考えられる。さらに透光性を向上させるためには、溶液に対する繊維濃度を0.0001〜0.01wt%にすることが好ましく、また、繊維長も0.05〜0.8mmと短くすることが好ましく、0.05〜0.2mmとすることがさらに好ましい。ナノファイバーの濃度をあまり低濃度化したり、繊維長を短くしすぎると、ナノファイバーの分散による安定化効果が低下する。また、透光率向上のためには、適切な分散剤を利用することも効果的であり、N6ナノファイバーの配合溶液にアニオン系分散剤を0.1wt%添加すると透光率が63%まで向上した(後述の実施例9)。また、ナノファイバーは、繊維直径が光波長より小さいので直径方向には理論的には透明であるが、繊維長が光波長より非常に長く、繊維の重なり、擬似接着、クラスター、フロック状態などの影響で透明性はかなり阻害され、乱反射も生じやすい。乱反射を防止し、透明性を向上するため、ナノファイバー表面に屈折率を調整するシリコーン系、フッ素系、ウレタン系、アクリル酸系ポリマーなどをコートまたは湿潤処理することも好ましい。
また、ナノファイバーを構成する高分子は、用途や使用目的によって選択されるが、特に化粧品やメディカル用途では、皮膚や人体に刺激を与えないような高分子が好ましく、特にポリアミド、ポレオレフィン、ポリエステル、フッ素系高分子、ポリビニルアルコール(PVA)またはそれらの誘導体が好ましい。化粧用には保湿性や保水性を与えるといった観点から、ポリアミド、ポリ乳酸、PVAまたはそれらの誘導体が好ましい。電池セパレーターや工業用フィルターには耐薬品性の良好なポリオレフィン、フッ素系高分子またはそれらの誘導体が好ましく、塗料や壁材、コート剤などの建築用途には、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドまたはそれらの誘導体が好ましい。また、用途、使用目的によって、2種類以上の高分子を適宜選択することも可能である。
次に、ナノファイバーの柔軟性、触感について説明する。
柔軟性は材料のたわみ量によって評価でき、柔らかいものほどたわみ量は大きく、機械工学便覧(pA4−28、25、機械学会編、1963)の材料の曲げの下記(6)式によって推定される。この式でvはたわみ量であり、直径Dの4乗に反比例し大きくなる((w:荷重、E:材料の弾性率)。
v=4×w×l/(3×E×D) (6)
ナノファイバーの柔軟性を従来繊維と比較すると、その柔らかさは、繊維直径を細くすることによってその4乗に逆比例し柔らかくなる。例えば極細繊維は通常繊維に対し直径が1/10であり、vは10000倍大きくなるので、極細繊維の柔軟性は通常繊維の10000倍相当に柔らかくなる。ナノファイバーは極細繊維の直径の更に1/10〜1/100の細さであり、ナノファイバーの柔らかさは極細繊維の更にその1万から1億倍以上柔らかくなる。例えば、水溶液から取り出した繊維は、実際には繊維が細くなると数が増えるため、繊維同士が絡合したり、ネットワーク状になりやすいので、繊維1本のたわみ量を比較した先程の(6)式にような計算による推定通りにはならないが、直径が1/10になる毎に繊維の柔軟性は非常に向上する。
化粧品に繊維を分散し皮膚に塗布した場合、通常の繊維では剛直で曲がりにくいため肌を刺激したり、塗布してもざらつき感が大きくなるため全く適していない。極細繊維の場合は、柔軟性ついては通常の繊維の場合よりも改善されるが、それでも塗布時や塗布後にまだ違和感が強いものであった。この原因は以下のように考えられる。すなわち、皮膚のシワの溝幅は1〜数十μmであり、通常の極細繊維は直径が数μmなので、理論上はシワの中に入り込むことが可能であるが、実際には繊維が凝集し大きくなっていたり、繊維の剛性が高いためにうまくシワに沿って変形できないため、繊維が肌の表面に浮いた状態になるためではないか、と推定される。
一方、ナノファイバーの繊維径は0.5μm(500nm)以下とシワの溝幅より圧倒的に細く、しかも繊維の柔軟性も桁違いに優れているため、シワの中に入り込み易い。さらに、ナノファイバーは柔軟であるため皮膚への刺激が小さく、なめらかでしっとりとした感触の良さを感ずると考えられる。また、ナノファイバーは、比表面積が大きく保水性や保湿性に優れているため、ナノファイバーに水が含まれるとその効果はさらに向上し、肌へのなじみが非常に良好になる。例えば、ナノファイバーが添加された単純な水(化粧水や乳液)で、顔を洗顔するだけで、肌はつるつるになるが、使用時にほとんど違和感がないものであった(後述の実施例10〜16参照)。しかしながら、直径が数10μmである従来の通常繊維の化粧水では、使用時にざらつき感があり、使用感が非常に悪かった(後述の比較例7、8参照)。また、直径が2μmの従来の極細繊維でも、前記したように繊維が肌に乗っているだけであり、肌触りが悪く、また、柔軟性としてもナノファイバーに比較すれば非常に硬いものであり、違和感を感じた。
次に、ナノファイバーの保湿性、保水性について説明する。
ナノファイバーは、その比表面積が従来の繊維に比較し非常に大きいことから、保湿性、保水性に優れている。保湿性は、一定量の繊維を低湿度に調湿されたボックスにいれ、繊維の重量減少から評価することができるが、重量減少速度(乾燥速度)が大きいほど保湿性が悪いことを示している。実際の測定方法は、後述する実施例の欄の評価方法「M.保湿指数(ΔWR10)」で評価する。従来繊維と本発明のナノファイバーを比較した結果、保湿指数は、従来の通常繊維が39%/10min(後述の比較例1)であり、従来の極細繊維が29%/10min(後述の比較例3)に対して、ナノファイバーは、13%/10min(後述の実施例1)と少なかった。このように、ナノファイバーの保湿性は、従来の繊維に対しておよそ2〜3倍以上の保湿性があることがわかった。保水性は、繊維に水を十分含水させた後、軽く絞った時の繊維の含水量であり、絞り方を一定にするため、遠心分離器の脱水条件を一定にする。実際の測定方法は、後述する実施例中の評価方法「N.保水指数(WI)」で評価する。従来繊維と本発明のナノファイバーを比較した結果、各繊維の保水性は、従来の通常繊維が235%(後述の比較例1)、従来の極細繊維が509%(後述の比較例3)であるのに対し、ナノファイバーは、1608%(後述の実施例1)であり、ナノファイバーは従来の繊維と比較して、保水性も3倍以上と非常に大きいことがわかった。また、保湿持続時間は、最初の保水の量(保水性)とその後の乾燥しにくさ(保湿性)の両方の寄与があるが、ナノファイバーは従来繊維に対して両性能とも優れており、保湿持続時間的にも優位であり、化粧品の直接的な保湿的効果だけでなく、水分の代わりに用いられる他の保湿成分や溶媒成分、芳香成分などの乾燥防止、徐放効果にも効果がある。さらに、保湿や保水の効果を向上させるためには、溶液中の繊維の濃度をやや多めにし、0.01〜1wt%とすることが好ましい。また、繊維直径も120nm以下が好ましく、80nm以下がさらに好ましい。また、他の天然の保湿や保水剤や、有機あるいは無機の保湿や保水剤との併用も好ましい。
以上の他、ナノファイバーを利用した保湿剤、保水剤の応用として、ナノファイバーを配合したゲル状物による美容用のパックがある。これは、ナノファイバーを主体に他の化粧配合剤を配合してゲル状物とし、それをパック基材に担持させる方法と、通常の化粧用パック基材そのものにナノファイバーを混合してパックとする方法が挙げられる。保湿や保水の目的でナノファイバーを利用しているが、ナノファイバーが繊維形状であるため、単に保湿、保水が良好だけでなく、肌への密着性も良好で、繊維が肌の細いシワまで違和感なく入り込むため、パック用の有効成分を効果的に肌に浸透させる効果がある。また、乳液や化粧品の他の有効成分、例えば保湿剤、美白剤、老化防止剤、芳香剤などの成分を配合すれば、これらの成分の保持性も良好であり、パックの使用効果が増大する。
以上のごとく、本発明のナノファイバーを分散させた配合溶液、乳液、ゲル状物について、化粧品への利用を中心に説明してきたが、繊維の分散性、均一性、保存状態での安定性は、単に、化粧品だけにとどまらず、軟膏や湿布液、細胞用基材、蛋白吸着材などの医療用分野や電池用の電解質材やその担持体や燃料電池の触媒担持体、ケミカルフィルター用の触媒担持体用材料や有害ガスの吸着材などの電子基材や電子関連装置分野、各種フィラーや顔量を添加する塗料、接着剤や壁材用コート材などの建築資材分野、浄化用フィルターや浄化フィルター用の活性炭や酸化チタンなどの微粒子担持体など工業資材分野、その他絵画用絵の具などに用いることも可能である。
次に、本発明の配合溶液、乳液、ゲル状物に用いるナノファイバーの製造方法について説明する。
最初に、ナノファイバーを作製する原料となる「高分子アロイ繊維」の製造方法について説明する。高分子アロイ繊維の製造方法は、例えば以下のような方法を採用することができる。
すなわち、溶剤や薬液に対する溶解性の異なる2種類以上の高分子を混練して高分子アロイチップを作製し、これを紡糸装置(図1参照)のホッパー1に投入し、溶融部2で高分子アロイ溶融体とし、加熱保温用スピンブロック3中の紡糸パック4に配した口金孔5から吐出紡糸した後、チムニー6で冷却固化し糸条7を形成し、集束給油ガイド8、第1引取ローラ9、第2引取ローラ10を経て巻取機11で繊維を巻取る。そして、これを必要に応じて延伸・熱処理を施し、高分子アロイ繊維を得る。さらに、これを溶剤や薬液で処理して海成分を脱海し、本発明で用いるナノファイバーを得る。ここで、高分子アロイ繊維中で後にナノファイバーとなる溶剤や薬液に難溶解性の高分子を島成分とし、易溶解性の高分子を海成分とし、この島成分のサイズを制御することによって、ナノファイバーの単繊維数平均直径とバラツキを設計することができる。
ここで、島成分のサイズは、高分子アロイ繊維の横断面を透過型電子顕微鏡(TEM)あるいは走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、直径換算で評価したものである。高分子アロイ繊維中の島成分の単繊維数平均直径の評価方法は、後述する実施例中の測定法のF項、G項に示した。ナノファイバー前駆体である高分子アロイ繊維中での島成分サイズによりナノファイバーの直径がほぼ決定されるため、島成分サイズの分布はナノファイバーの直径分布に準じて設計される。このため、アロイ化する高分子の混練が非常に重要であり、本発明では混練押出機や静止混練器等によって高混練することが好ましい。なお、単純なチップブレンド(例えば特開平6−272114号公報)では混練が不足するため、数十nmサイズで島成分を分散するのは困難である。
具体的に混練を行う際の目安としては、組み合わせる高分子にもよるが、混練押出機を用いる場合は、2軸押出混練機を用いることが好ましく、静止混練器を用いる場合は、その分割数は100万以上とすることが好ましい。また、島成分を数十nmサイズで超微分散させるには、高分子の組み合わせも重要である。
島成分ドメイン(ナノファイバー断面)を円形に近づけるためには、島成分高分子と海高分子は非相溶であることが好ましい。しかしながら、単なる非相溶高分子の組み合わせでは島成分高分子が十分に超微分散化し難い。このため、組み合わせる高分子の相溶性を最適化することが好ましいが、このための指標の一つが溶解度パラメーター(SP値)である。ここで、SP値とは(蒸発エネルギー/モル容積)1/2で定義される物質の凝集力を反映するパラメータであり、SP値が近いもの同士では相溶性が良い高分子アロイが得られる可能性がある。SP値は種々の高分子で知られているが、例えば「プラスチック・データブック」(旭化成アミダス株式会社プラスチック編集部編、1999年12月1日株式会社工業調査会発行)の189ページ等に記載されている。
2つの高分子のSP値の差が1〜9(MJ/m1/2であると、非相溶化による島成分ドメインの円形化と超微分散化が両立させやすく好ましい。例えば、N6とPETはSP値の差が6(MJ/m1/2程度であり好ましい例であるが、N6とPEはSP値の差が11(MJ/m1/2程度であり好ましくない例として挙げられる。
また、高分子同士の融点差が20℃以下であると、特に押出混練機を用いた混練の際、押出混練機中での融解状況に差を生じにくいため、効率よく混練できるので好ましい。ここで、非晶性高分子の場合は融点が存在しないためビカット軟化温度あるいは熱変形温度あるいはガラス転移温度でこれに代える。
さらに、溶融粘度も重要であり、島を形成する高分子の方を低く設定すると剪断力による島高分子の変形が起こりやすいため、島高分子の微分散が進みやすくナノファイバー化の観点から好ましい。ただし、島高分子を過度に低粘度にすると海化しやすくなり、繊維全体に対するブレンド比を高くできないため、島高分子粘度は海高分子の粘度の1/10以上とすることが好ましい。また、海高分子の溶融粘度は紡糸性に大きな影響を与える場合があり、海高分子として100Pa・s以下の低粘度高分子を用いると島高分子を分散させやすく好ましい。また、これにより紡糸性を著しく向上できるのである。ここでいう溶融粘度は、紡糸の際の口金温度で剪断速度1216sec-1での値である。
また、曳糸性や紡糸安定性を高めるために、口金温度は海高分子の融点から25℃以上、口金から冷却開始までの距離を1〜15cmとし、糸の冷却を行うことが好ましい。
紡糸速度は紡糸過程でのドラフトを高くする観点から高速紡糸ほど好ましく、100以上のドラフトが、ナノファイバー直径を小さくする観点から好ましい。また、紡糸された高分子アロイ繊維には延伸・熱処理を施すことが好ましいが、延伸の際の予熱温度は島高分子のガラス転移温度(Tg)以上の温度が、糸斑を小さくする点で好ましい。
本製造方法は、以上のような高分子の組み合わせ、紡糸・延伸条件の最適化を行うことで、島高分子が数十nmに超微分散化し、しかも糸斑の小さな高分子アロイ繊維を得ることを可能にするものであり、ある断面だけでなく長手方向のどの断面をとっても島高分子直径バラツキの小さな「高分子アロイ繊維」とすることができるのである。
以上の方法によって紡糸される「高分子アロイ繊維」は、単繊維繊度は1〜15dtex(直径10〜40μm)であり、さらにフィラメントを集めた集束糸(5000dtex以下)として得られる。また、島成分直径にもよるが、「高分子アロイ繊維」の単糸中にはナノファイバーの前駆体である島高分子が数千〜数百万個(数wt%〜80wt%)海高分子に分散している(図2参照)。
次に、この「高分子アロイ繊維」からナノファイバーを作製する方法について説明する。
本発明に用いるナノファイバーは、ナノファイバーの均一分散性や長期保存安定性を向上させるために短繊維であることが好ましく、「高分子アロイ繊維」の海成分を除去し、短繊維にカットすることが好ましい。更に、そのカットされた繊維を叩解することが好ましい。
ナノファイバー短繊維は、「高分子アロイ繊維」の集束糸の状態で脱海してナノファイバー束を得て、その後カットするか(先脱海法)、「高分子アロイ繊維」の集束糸をカットしてから脱海するか(後脱海法)、どちらかの方法で得ることができる。さらに、得られた短繊維を叩解機によって、ナノファイバーをバラバラになるまで叩解することが好ましい。
先脱海法の場合、初めに通常「高分子アロイ繊維」集束糸(5000dtex以下)のカセの状態や更に集束したトウ(5000を超えて〜数百万dtex)の状態で、海成分を溶解可能な溶剤(抽出液)や薬液で除去し、水洗、乾燥した後、ギロチンカッターやスライスマシンで適切な繊維長にカットする。後脱海法の場合、初めに「高分子アロイ繊維」集束糸のカセの状態や更に集束したトウの状態でギロチンカッターやスライスマシンで適切な繊維長にカットした後、海成分を溶解可能な溶剤や薬液で除去し、水洗、乾燥した後に得られる。適切なナノファイバー短繊維の繊維長としては、0.05〜5mmにすることが好ましく、更に、0.2〜1mmにすることが好ましい。繊維長は長すぎると分散しにくく、短くしすぎると粉末状になり凝集し易くなる。
「高分子アロイ繊維」から海成分を除去する際に用いる溶剤や薬液としては、海成分の高分子の特性に応じて、苛性ソーダや苛性カリなどのアルカリやギ酸などの酸、またトリクレン、リモネン、キシレンなどの有機溶剤などが挙げられる。「高分子アロイ繊維」の集束糸やトウを脱海する場合、これらをカセの状態やカセ枠に巻いた状態で脱海することができる。ただし、カセ状態の「高分子アロイ繊維」の海成分を溶剤や薬液で脱海する場合、「高分子アロイ繊維」の海成分の脱海量は、通常20〜80wt%と非常に多いため、脱海するに従ってカセの直径方向に体積が収縮し、カセ内の「高分子アロイ繊維」間同士が密着し、溶剤や薬液などが繊維間に浸透できなくなったり、カセ表面が一旦溶解されて再析出した高分子で覆われたりして、海成分の高分子の除去が徐々に困難になり、ひどい場合には団子状になり、「高分子アロイ繊維」の脱海を進めることが非常に困難となる場合がある。この改善には、単なるカセ状態でなく、カセ枠に巻くことによってカセの収縮を防止し、「高分子アロイ繊維」間の密着を抑制できるので、常に溶媒が「高分子アロイ繊維」間を流れ易くなるため好ましい。この方法によって、「高分子アロイ繊維」の集束糸だけでなく、トウの状態でも脱海が可能になる。脱海をさらに効率的に行なうには、トウの総繊度を五十万dtex以下にすることが好ましく、十万dtex以下にすることがさらに好ましい。一方、「高分子アロイ繊維」の総繊度は大きい方が脱海の生産性は向上するため、脱海前の「高分子アロイ繊維」は総繊度を1万dtex以上とすることが好ましい。
また、脱海にはアルカリなどの薬液によって海成分の高分子を分解することによっても除去できる。この場合には、カセ状態でも比較的容易に海成分を除去できる。これは、海成分の高分子が加水分解などによって、低分子量体あるいはモノマーになることによって、容易に溶解除去できるためである。また、分解によって海成分が除去されると繊維間に間隙ができ、更にアルカリなどの薬液がナノファイバーの前駆体である「高分子アロイ繊維」の内部まで浸透するため、脱海が進むに従って、脱海速度は加速し、有機溶剤などによる海成分の溶解除去とは異なり、カセの状態でも十分脱海が可能になる。
以上のような、ナノファイバー形成性繊維である「高分子アロイ繊維」よりなるトウやカセ、すなわちこのような繊維束を溶剤または薬液で処理して得られたナノファイバー束は、全繊維に対するナノファイバーの面積比率は、95〜100%であることが好ましい。これは脱海後のナノファイバー束中に、脱海されていない部分がほとんどないことを意味しており、これにより粗大繊維の混入を最小限とすることができ、これを後に抄紙することで品位の高いナノファイバー合成紙を得ることができる。
本発明では、「高分子アロイ繊維」、すなわちナノファイバー形成性繊維よりなる繊維束を、繊維束の繊維密度が0.01〜0.5g/cmにした状態で溶剤または薬液で脱海処理することが好ましい。溶剤または薬液で脱海処理する際に、繊維束の繊維密度が0.01g/cmよりも小さいと、処理される繊維束の形状が不安定になり、ナノファイバー化が均一に行われなくなる場合がある。一方、繊維束の繊維密度が0.5g/cmを超えると、繊維束内への溶剤または薬液の浸透が悪くなり、ナノファイバー化が不完全となり、ナノファイバー束におけるナノファイバーの含有率が低下する場合がある。溶剤あるいは薬液で脱海処理する際の繊維束の繊維密度は、より好ましくは0.01〜0.4g/cm、さらに好ましくは0.03〜0.2g/cmである。
また、先脱海法でナノファイバー束を得た場合、得られたナノファイバー集束糸やトウは、ギロチンカッターやスライスマシンで、ナノファイバーの用途や目的に応じて適切な繊維長にカットすることができる。5000dtex以下の集束糸を、更に集束し5000〜数百万dtexのトウにしてカットする場合もある。このような集束糸やトウは、カットされる前の水分率が20〜100wt%であることが好ましい。脱海後のナノファイバー集束糸やトウは、水分をある程度含んでいた方が集束性が良好なので取扱い性が良く、さらにカットする際の精度も向上するため、カット長の均一性が向上する。また、カット時の発熱による短繊維同士の融着なども抑制されるため、カット用刃への短繊維の付着が少なくなり、カット時の生産効率も向上する。更に、集束糸、トウへ油剤を繊維量に対して0.01〜1wt%(油剤100%として)添加することも好ましい。
次に、後脱海法について、その具体的な方法について説明する。
「高分子アロイ繊維」をカットして得られた短繊維の脱海は、短繊維を有機溶剤もしくはアルカリや酸などの薬液中に入れ、攪拌機で攪拌しながら海成分を溶解または分解して除去する。このような脱海は通常バッチ処理で行ない、処理工程を数段階に分けて行なうことが好ましい。海成分をトリクレンなどの有機溶剤で効率的に溶解除去する場合、1段階目の海成分を溶解する際に、溶剤中に溶解している海成分の高分子の濃度を6wt%以下にすることが好ましく、3wt%以下にすることが更に好ましい。2段階目以降の脱海の際には、溶剤中に溶解している高分子の濃度を徐々に少なくしていき、その濃度を0.1wt%以下にすることが好ましく、0.01wt%以下にすることがさらに好ましい。また、薬液による加水分解などによって海成分を効率的に分解除去する場合には、薬液中に分解されて低分子量化あるいはモノマー化した状態で溶解している海成分の濃度を10wt%以下にすることが好ましく、5wt%以下にすることが更に好ましい。2段階目以降の脱海の際には、薬液中に低分子量化あるいはモノマー化した状態で溶解している海成分の濃度を徐々に少なくし、その濃度を0.1wt%以下にすることが好ましく、0.01wt%以下にすることがさらに好ましい。「高分子アロイ繊維」をカットして得られた短繊維は、上述のように各溶剤や薬液で処理された後に、適切なステンレス金網フィルターなどで濾過してナノファイバーを回収した後、ナノファイバーに付着した溶剤や薬液を良く洗浄除去した後乾燥する。
「高分子アロイ繊維」の集束糸、トウ、カット繊維のいずれの脱海方法であっても、効率的な脱海を行うためには、2段階目以降の脱海に用いる有機溶媒などの溶剤、アルカリや酸などの薬液は新しいものを使用し、脱海処理する温度をなるべく高温にし、さらに溶剤や薬液を常に攪拌して循環することが好ましい。また、脱海に用いる溶剤や薬液に対する繊維量比をなるべく小さくし、脱海処理終了後の溶剤あるいは薬液中の海成分の濃度を小さくすることが好ましい。
1段階目以降の脱海処理の各工程間で、溶剤あるいは薬液を含んだ集束糸、トウ、カット繊維は、遠心分離器で、ある程度溶剤あるいは薬液を除去することが好ましいが、繊維重量に対する溶剤あるいは薬液量を200wt%以下とすると、次工程での取り扱い性が向上し、好ましい。また、繊維重量に対する溶剤あるいは薬液量を50wt%以上にすると、繊維間の溶剤あるいは薬液がスペーサーの役割を果たし、繊維の過度の密着を抑制できるため、次工程での溶剤あるいは薬液の浸透性が良く、脱海効率が向上し、好ましい。さらに、脱海効率を向上するには、脱海処理を複数回行う場合、各段階の処理後に洗浄を行い、繊維に付着した海成分を十分除去し、その後の溶剤や薬液に混入する海成分量を少なくすることが好ましい。溶剤や薬液による脱海が終了したら、繊維に付着する海成分が好ましくは0.1wt%、更に好ましくは0.01wt%以下になるまで洗浄することで、海成分の残査を抑制することができる このようにして得られたナノファイバー短繊維は、ナノファイバーの直径にもよるがナノファイバーが数千から数100万本集合した繊維である。
次に、得られた脱海後のナノファイバー短繊維を叩解機によって叩解する。叩解することによって、ナノファイバー短繊維をナノファイバー1本1本にバラバラにすることができる。
叩解機としては、生産レベルではナイアガラビータ、リファイナー、ミルなどが挙げられ、実験的には、家庭用ミキサーやカッター、ラボ用粉砕器、バイオミキサー、ロールミル、乳鉢、PFI叩解機などが挙げられる。
ナノファイバー短繊維集合体の繊維断面の透過型電子顕微鏡(TEM)あるいは走査型電子顕微鏡(SEM)写真では、ナノファイバーは1本1本離れて観察され、表面に存在するナノファイバーが少量ナノファイバー短繊維表面から遊離することがみられるが、短繊維中のナノファイバーの大半は集合体として存在しているため、この集合体を軽くしごいたり、ナノファイバー短繊維を水中にいれて攪拌しただけでは、ナノファイバーを単繊維レベルまでバラバラにすることは困難である。これは、ナノファイバーの繊維直径が非常に細く、比表面積が従来の極細繊維に比べ格段に増加しているため、微粒子粉末の場合と同様に、繊維間に働く水素結合力や分子間力などの相互作用がかなり強く、凝集力が大きいためだと考えられる。
このため、ナノファイバー短繊維は、上述のような叩解機によってバラバラにすることが好ましい。但し、叩解機の中でも、カッターや粉砕的な羽根を有する装置は繊維を損傷し易く、繊維をバラバラにする効果と同時に繊維を切断して繊維長をどんどん短くする欠点がある。ナノファイバーは繊維間の凝集力が強いのに反して、繊維が細いので、カッターや粉砕的な羽根を有する装置では繊維の損傷が大きく、ひどい場合には粉状に粉砕されるおそれもある。このため、繊維を叩くとしても、粉砕やカットする力よりもむしろ、もみほぐしたり、剪断力をかけて繊維間の凝集を解くことが好ましい。特に、PFI叩解機は内羽根と外容器の周速度差による剪断力によって叩解するため、ナノファイバーが1本1本にほぐされるまでの損傷が非常に少なく好ましい。また、他の叩解装置を使用する場合でも、叩解速度や叩解時の圧力を低減し、ナノファイバーに対する打撃力を緩和して繊維への損傷を少なくするためには、叩解速度や叩解時の圧力を低減し、ソフトな条件で加工することが好ましい。家庭用やラボ用のミキサーでも低回転数などのソフトな条件で長時間叩解すれば、効率は劣るものの品質的には前述の叩解機と同様にナノファイバー1本1本にまで叩解することができる。
叩解は、1次叩解と2次叩解に分けて行なうことが好ましい。1次叩解では、ナノファイバー集合体を剪断力で軽くもみほぐして、ナノファイバーの集合数をある程度小さくしておくことが好ましい。1次叩解によって、繊維の叩解度の程度を表す濾水度が500以下になるまで行なうことが好ましく、350以下になるまで行なうことがより好ましく、また5以上とすることが好ましい。ここでいう濾水度とは、後述する実施例の「Q.ナノファイバーの濾水度試験方法」に示したJIS P 8121「パルプのろ水度試験方法」に記載されているカナダ標準ろ水度試験方法に従って測定した値のことである。ナノファイバーの濾水度を測定する場合、叩解されて水中に小さく分散したナノファイバーが濾水度試験機の容器内のフィルターを目詰まりさせる場合もあるが、このことも含めた上での濾水度の値で評価する。ナイアガラビータやリファイナーで1次叩解する場合、一般的にナノファイバー短繊維を水中に分散して行なうが、この分散液全体に対するナノファイバーの濃度は、5wt%以下とすると叩解が均一に行なわれるため、好ましい。より好ましくは1wt%以下である。また、ナノファイバーの濃度を0.1wt%以上とすると、叩解の効率が向上するので好ましい。1次叩解は、ナイアガラビータやリファイナーなどの叩解機の設定クリアランスを0.5〜2mmと大きめにすると、叩解装置にかかる圧力による負荷の低減や、叩解処理の時間も低減できるので好ましい。また、ラボ用粉砕器、ミキサー、カッタでも条件をソフトにすることによって可能である。叩解されたナノファイバーは、適切な金網フィルターなどで濾過捕集し、脱水機で水分率が50〜200%になるように脱水して保管すると、叩解後のナノファイバーの容量を小さくでき、保存場所の確保や次工程での取扱いが容易となることから好ましい。
さらに本発明でいう2次叩解とは、1次叩解されたナノファイバーを更に精密に叩解することである。この時使用する装置としてはナイアガラビータやリファイナー、PFI叩解機などが挙げられるが、それぞれの叩解機の設定クリアランスは0.1〜1.0mmにすることが好ましく、0.1〜0.5mmにすることが更に好ましく、加圧も小さくしてソフトな条件で加工することが好ましい。リファイナーを使用する場合、装置に内蔵された加工刃の形状を適宜変更できるが、繊維を切断するよりも、むしろもみ効果や剪断効果のある形状のものを選択することが好ましい。特にナノファイバーの2次叩解を実験的に行うにはPFI叩解機を使用することが最適である。PFI叩解機は内羽根と外容器の周速度差による剪断力によって叩解するため、ナノファイバーが1本1本に叩解されるまでの繊維の損傷が非常に少なくより好ましい。また、叩解する時のナノファイバーの繊維濃度を5〜20wt%と高くして処理することが可能であり、叩解機の内羽部分が常時繊維に均一にあたるので、叩解に従ってナノファイバー集合体が細くなり、繊維の強力が低下したとしても、繊維が更に繊維長方向に切断したり粉末化したりせずに均一な叩解が可能となる。
このように、2次叩解によって得られたナノファイバー分散体の濾水度は350以下が好ましく、200以下であることがより好ましく、100以下であることが更に好ましく、また、5以上が好ましい。濾水度が350を超えると叩解度が小さく、ナノファイバーを溶媒に分散させる時に均一に分散させることが困難となる場合がある。ナイアガラビータやリファイナー、家庭用やラボ用のミキサー、カッタ類で2次叩解を行なう際には、水中のナノファイバー濃度が低濃度の状態で加工するため、叩解に従って細くなって浮遊するナノファイバーにも局所的に回転刃が繰返し当たり、繊維の切断や破砕効果が大きく、繊維長方向に切断したり粉末化し易いため、刃の形状、回転スピード、加圧条件などの叩解条件をマイルドにして叩解することが好ましい。
このようにして叩解されたナノファイバーは、再凝集を防ぐために、水中や溶媒中で叩解した後に、フィルターで濾過捕集して、脱水機で水分あるいは溶媒の含有率が50〜200wt%になるように脱水(脱溶媒)して保管することが好ましい。どうしても乾燥して保管する必要がある場合には、凍結乾燥を行ったり、60℃以下の低温で真空乾燥することが好ましい。
上記したナノファイバーの叩解は、水中で行ったが、特別な溶媒中で叩解することが必要な場合には、溶媒中で叩解することが好ましい。
従来のセルロースや合成繊維の叩解では、水中で繊維を叩解後乾燥し、乾燥した繊維を目的とする乳液や溶媒中で攪拌機で分散する方法がとられており、このような従来の通常繊維や極細繊維ではこの方法でも繊維を溶媒あるいは水中に再分散することが可能であった。しかし、ナノファイバーの場合、表1に示したとおり、繊維の比表面積が非常に大きいため、叩解によって折角水中にバラバラに分散した繊維が、乾燥時に再凝集し、それを通常の攪拌機で分散しても均一な分散は困難であった。このため、直接目的とする水、油および有機溶媒からなる群から選ばれる少なくとも一種の中で直接叩解することが好ましい。溶媒としては、有機溶剤と水との混合溶液が好ましい場合もある。一般的な叩解機は、水中で叩解するのが通常であり、有機溶媒対応になっていないので、防爆型にしたり、蒸発した溶媒を回収する作業環境対策や、溶媒によっては作業時のマスク着用などの安全対策が必要になる。粘性が高い洗顔用ゲル、整髪用ゲル、湿布用ゲル、軟膏などのゲル状物や粘度の高いクリームや乳液などにナノファイバーを配合する場合には、攪拌機でなくニーダや混練機を使用することが好ましい。
有機溶媒中で直接叩解するには、特殊な防爆型の叩解機や安全対策が必要になるので、高額の設備投資が必要になる場合がある。この問題を回避するために、水中で叩解したナノファイバーに含まれる水と有機溶媒を置換する方法について以下に説明する。
前述のように水中で叩解されたナノファイバー短繊維は、まず脱水機でナノファイバーの繊維重量に対する水分比率を0.3〜300倍にすることが好ましく、2〜100倍にすることが更に好ましい。これにより、ナノファイバーの再凝集を抑制することができる。ナノファイバーは、比表面積が大きいため保水性が高く、ナノファイバーに対する水分比率が10倍程度と非常に高い場合であっても、繊維間に水を多く保持できるため、水が滴り落ちることはあまり無く、繊維重量に対して従来の繊維よりもはるかに多くの水を含有させることができる。ナノファイバーの良好な分散状態を得るには、ナノファイバーの繊維重量に対する水分比率を5〜30倍にすることが好ましい。ただし、水分比率が大きすぎると溶媒置換の効率が低下する。
次に、脱水したナノファイバーを任意の容器に入れ、置換したい溶媒を投入する。第1回目に投入する溶媒は、ナノファイバーが持つ水分量の2〜50倍にすることが好ましく、5〜20倍にすることが更に好ましい。溶媒の種類は、ナノファイバーの高分子の種類や用途、また目的によって異なるが、水と置換することから、水と馴染みの良い親水性の溶媒であることが好ましく、アルコール系、エーテル系、エステル系、ケトン系、DMF系などの溶媒が好ましい。
溶媒投入後、ナノファイバーに含有されていた水や投入した溶媒は、容器内で攪拌機によって5〜60分間攪拌される。攪拌後、ナノファイバーと溶液は例えば金網のフィルターなどで残存溶液を分離するが、分散性を保持するにはナノファイバーに含有される残存溶液量をナノファイバーの繊維重量に対して1倍以上で分離することが好ましい。
溶媒置換を行なう回数は、2回以上であることが好ましく、更に5回以上行うことが好ましい。作業として溶媒の投入と溶媒と水の混合溶液からナノファイバーを分離する操作を数回繰り返すことによって達成できる。この方法は、溶媒中でナノファイバーの分散性を良好に保持できるが、水がやや残存する問題がある。
上記の方法において、脱水時の水分比率を10〜50wt%まで遠心分離して濃縮する方法でも溶媒置換を繰り返せば残存する水をかなり低減可能であるが、後にナノファイバーを溶媒中へ分散した時の分散性が低下する場合がある。また、ソックスレー法による溶媒置換も可能であるが、やはりナノファイバーの分散性が低下する場合がある。
次に、ナノファイバー配合溶液の調整方法について説明する。
叩解したナノファイバーと溶媒を攪拌機に入れ所定の濃度に分散する。作製するナノファイバーの単繊維直径にもよるが、ナノファイバーの配合溶液全体に対する濃度は、5wt%以下であることが好ましく、0.0001〜1wt%であることがより好ましく、0.01〜1wt%であることがさらに好ましい。また、ナノファイバーは凝集し易いので、再凝集を防止するため、なるべく低濃度で分散調整することが好ましい。更に、ナノファイバーの分散性を向上するため、分散剤を添加することが好ましい。水系で用いる分散剤としては、ポリカルボン酸塩などのアニオン系、第4級アンモニウム塩などのカチオン系、ポリオキシエチレンエーテルやポリオキシエチレンエステルなどのノニオン系の物から選択することが好ましい。適切な分散剤を選定するには、例えばナノファイバー間の電荷の反発により分散させる場合、その表面電位(ゼータ電位)に応じて分散剤の種類を選定する。pH=7において、ゼータ電位が−5〜+5mVの範囲内のナノファイバーの場合にはノニオン系分散剤を添加することが好ましく、ゼータ電位が−100mV以上、−5mV未満の場合にはアニオン分散剤を添加することが好ましく、ゼータ電位が+5mVを超え、100mV以下である場合にはカチオン系分散剤を添加することが好ましい。例えば、N6ナノファイバーではレーザードプラー電気泳動法で測定したゼータ電位(pH=7付近)が−14mVと表面が負に帯電しているため、この電位の絶対値を大きくするために、アニオン系分散剤を使用するとゼータ電位が−50mVとなるため、分散性が向上する。また、立体反発により分散させる場合、分子量が大きくなりすぎると、分散剤というよりもむしろ凝集剤としての効果が大きくなるため、分散剤の分子量を制御することが好ましく、分散剤の分子量としては1000〜50000であることが好ましく、5000〜15000であることがさらに好ましい。
ただし、同じ化学組成の分散剤であってもその分子量やナノファイバーを構成する高分子の種類、繊維の濃度、また他の配合剤の影響も受けるので、ナノファイバーの種類、用途や目的に応じて適切な分散剤を選択し、溶液を調整することが好ましい。分散剤の濃度は、配合溶液全体に対し0.00001〜20wt%であることが好ましく、より好ましくは0.0001〜5wt%、さらに好ましくは0.01〜1wt%であり、これにより十分な分散効果が得られる。また、このようなナノファイバーを配合した配合溶液の場合、ナノファイバーの繊維長は、0.05〜5mmにすることが好ましく、0.2〜1mmにすることがさらに好ましい。また、溶媒が油性溶媒や有機溶媒などの疎水性を示す場合には、アクリルアミド系、シリコーン系、フッ素系分散剤を使用することが好ましい。
次に、ナノファイバー乳液の調整方法について説明する。
乳液の場合、大きく分類すると乳液のタイプでO/W型(オイルが水中に分散する型)とW/O型(水が油中に分散する型)の2種類のタイプがある。また、ナノファイバーを構成する高分子の種類によって、ナノファイバーがW(水)中に分散し易い場合とO(油)中に分散し易い場合がある。ナノファイバーの高分子の種類、乳液中のW(水)とO(油)の種類、それぞれの混合比率、分散剤の種類や混合比率、添加溶媒の種類、温度などとともに、用途や使用目的に応じて乳液のタイプを選択することが好ましい。また、多種の成分を配合する場合、ナノファイバーと配合剤のなじみやナノファイバーの分散性に考慮して、乳液中の各成分の配合比率の設計を行うことが好ましい。
どの乳液タイプであっても、ナノファイバーの濃度は5wt%以下とすることが好ましく、0.0001〜1wt%とすることがナノファイバーの均一分散性の観点からより好ましいが、乳液自身の安定性を確保するため、ナノファイバーの添加濃度はより低濃度である0.001〜0.5wt%とすることがさらに好ましい。また、ナノファイバーの種類、その用途や目的に応じて適切な分散剤を選択し、乳液を調整することが好ましい。適切な分散剤を選定する方法としては前述の通りである。分散剤の濃度は、乳液全体に対し0.00001〜20wt%であることが好ましく、より好ましくは0.0001〜5wt%、さらに好ましくは0.01〜1wt%であり、これにより十分な分散効果が得られる。さらに、ナノファイバーの繊維直径はナノレベルで非常に小さいが、繊維長は直径と比べると大きいため、いわゆるナノ微粒子に比べ分散し難い。このため、乳液用のナノファイバーの繊維長は、0.05〜2mmにすることが好ましく、0.05〜0.8mmにすることがさらに好ましい。なお、ナノファイバーを油剤などの表面処理剤(例えばシリコーン系油剤)で処理し、乳化剤に添加すれば、ナノファイバー単独でも分散し、乳液とできる場合がある。
次に、ナノファイバーゲル状物について説明するが、併せてナノファイバーゲル構造物について説明する。
ナノファイバーは、それを構成する高分子の種類によるが、水(又は他の溶媒)に対して繊維濃度を5〜60wt%にすると「ゲル構造物」になり、これは特異的な現象である。ここでいうゲル構造物とは、ナノファイバーと水(又は他の溶媒)とからなり、ナノファイバーの含有量が比較的高濃度であり、繊維が5〜60wt%の状態のものを指す。これは、水溶液でもなく、また、固形物でもないような状態のものである。また、ナノファイバーを構成する高分子間には架橋構造がないため、以下「ゲル構造物」という。通常繊維や極細繊維では、この濃度では低粘度の水溶液(又は溶液)状態であるが、ナノファイバーの場合には、繊維の比表面積が大きく、繊維間の水和効果が非常に大きい(表1参照)ため、このような特異な現象が発現するものと考えられる。ゲル構造物を作製するために、ナノファイバーを叩解する際には、その濃度を10〜30wt%と高濃度の範囲にすることが可能である。
また、本発明において、「ゲル状物」とは、ナノファイバーに溶媒あるいはゲルを配合し、必要に応じてある材料を配合することでゲル状になるもののことであり、ある材料としては、PVAゲル、アクリルアミドゲルなどの高分子ゲルや多糖類などの天然材料ゲルなどのことである。また、前述のナノファイバーの「ゲル構造物」も架橋構造はないものの、擬似的なゲル状態となっていることから、本発明の「ゲル状物」に含める。高濃度にナノファイバーを配合するゲル状物は、ナノファイバーの叩解時の濃度を10〜30wt%として作製することができる。また、高濃度のナノファイバーゲル状物とする場合、アクリルアミド系、シリコーン系、フッ素系などの分散剤を添加することによって、分散の均一性を向上させることができる。適切な分散剤を選定する方法としては前述の通りであり、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の分散剤も好適に用いることができる。また、分散剤の濃度は、ゲル状物全体に対し0.00001〜20wt%であることが好ましく、より好ましくは0.0001〜5wt%、さらに好ましくは0.01〜1wt%であり、これにより十分な分散効果が得られる。低濃度にナノファイバーを配合したゲル状物を作製する場合、ナノファイバー配合溶液と同様に、例えば0.01〜1wt%のナノファイバー配合溶液に天然ゲルや合成ゲルを添加し、ゲル状物を作製することができる。天然ゲルや合成ゲルとしては、コラーゲン、ゼラチン、キトサンなどの蛋白ゲル、アガロース、アルギン酸、ペクチン、多糖ゲルなどの天然ゲルやセルロースなどのゲルあり、また、PVA系ゲル、架橋ビニール系ポリマー、アクリルアミド系ゲル、アクリル酸とアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩ゲル、シリコーン系ゲル、フッ素系ゲル、ウレタン系ゲル、放射線架橋型ポリマーゲルなどの合成高分子ゲルなどを挙げることができる。このようなナノファイバーを配合したゲル状物の場合、ナノファイバーの繊維長は、0.05〜2mmとすることが好ましく、0.2〜1mmにすることがさらに好ましい。
以下に、本発明のナノファイバーを用いた配合溶液、乳液、ゲル状物の具体例や加工製品例について、実施例で説明するが、本発明の要件が該実施例で制約されることはない。
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明する。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。実施例および比較例における測定結果は、表3〜5にまとめて記載した。
A.高分子の溶融粘度
東洋精機キャピログラフ1Bにより高分子の溶融粘度を測定した。なお、サンプル投入から測定開始までの高分子の貯留時間は10分とした。
B.融点
Perkin Elmaer DSC−7を用いて2nd runで高分子の融解を示すピークトップ温度を高分子の融点とした。この時の昇温速度は16℃/分、サンプル量は10mgとした。
C.色調(b値):
色調計MINOLTA SPECTROPHOTOMETER CM-3700dを用いて、サンプルのbを測定した。このとき、光源としてはD65(色温度6504K)を用い、10°視野で測定を行った。
D.高分子アロイ繊維の力学特性
試料繊維10mを不織布中から採取し、その重量をn数=5回として測定し、これの平均値から繊度(dtex)を求めた。そして、室温(25℃)で、初期試料長=200mm、引っ張り速度=200mm/分とし、JIS L1013に示される条件で荷重−伸長曲線を求めた。次に、破断時の荷重値を初期の繊度で割り、それを強度とし、破断時の伸びを初期試料長で割り伸度として強伸度曲線を求めた。
E.ポリマーアロイ繊維のウースター斑(U%)
ツェルベガーウスター株式会社製USTER TESTER 4を用いて給糸速度200m/分でノーマルモードで測定を行った。
F.TEMによる「高分子アロイ繊維」の横断面観察
繊維の横断面方向に超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)で繊維横断面を観察した。また、ナイロンはリンタングステン酸で金属染色した。
TEM装置:日立製作所(株)製H−7100FA型
G.「高分子アロイ繊維」中の島成分(ナノファイバー前駆体成分)の数平均直径
島成分の数平均直径は以下のようにして求める。すなわち、TEMによる島成分横断面写真を画像処理ソフト(WINROOF)を用いて同一横断面内で無作為抽出した300個の島成分の直径を測定し、個々のデータを積算後、全数で除して単純平均値を求めた。これを「高分子アロイ繊維」の長さとして互いに10m離れた5カ所で行い、合計1500個の直径を測定し、その平均直径を「島成分数平均直径」とした。
H.ナノファイバーのSEM観察
ナノファイバー配合溶液、乳液の場合は溶液をサンプリングし、フィルムもしくはガラス板上にのせ60℃で乾燥する。乾燥した任意の場所から5mm角のサンプルを採取し、白金を蒸着し、日立製作所製超高分解能電解放射型走査型電子顕微鏡(UHR−FE−SEM)でサンプル中のナノファイバーを観察する。ゲル状物の場合は形態が安定していてゲル状のまま測定可能な場合はそのまま乾燥し、乾燥後白金蒸着しSEM観察をする。形態が安定しない場合は適切な溶媒で溶解し、その後は上記溶液と同様な方法で観察する。
I.ナノファイバーの単繊維数平均直径φm
単繊維数平均直径φmは以下のようにして求める。すなわち、上記H項で撮影したナノファイバー表面写真を画像処理ソフト(WINROOF)を用いて5mm角のサンプル内で無作為抽出した30本の単繊維直径を測定し、個々のデータを積算後、全数で除して単純平均値を求めた。サンプリングは合計10回行って各30本の単繊繊維直径のデータを取り、合計300本の単繊維直径のデータから単純平均して求めたものを「単繊維数平均直径φm」とした。
J.ナノファイバーの単繊維の直径が1〜500nmの比率を表した数値Paの評価
単繊維の直径が1〜500nmの比率を表した数値Paは、上記測定したデータを用い、[発明を実施するための最良の形態]の欄に記載した(3)式から求める。Paが大きいほどバラツキが小さくなる
K.ナノファイバーの単繊維直径の集中度指数Pbの評価
単繊維直径の集中度の評価Pbは、上記I項で測定したデータを用い、[発明を実施するための最良の形態]の欄に記載した(5)式で評価する。これは、単繊維の数平均直径付近のバラツキの集中度を意味しており、この繊度比率が高いほどバラツキが小さいことを意味している。
L.ナノファイバーの濾水度試験方法
JIS P 8121「パルプのろ水度試験方法」のカナダ標準濾水度試験方法に従って、熊谷機器(株)製カナディアンフリーネステスターで測定した。20℃の室でナノファイバーの0.30±0.05%濃度の水溶液を1リットル秤量し、該カナディアンフリーネステスターに投入し3回測定し単繊維数平均直径した。該JISの補正表を使用し、0.30%からの濃度のずれによるデータ補正を行い濾水度とする。
M.保湿指数(ΔWR10)
測定用の繊維を約1.0gとり、洗剤や溶媒で油分を除去後水洗、乾燥し、20℃、湿度65%の状態で24時間調湿後、重量を精秤しW0とする。該繊維を水中に12時間浸漬した後取出し、水分量が60%±10%になるように遠心分離器か脱水機で脱水する。温度20℃、湿度25%に調湿した透明なボックスに天秤を入れ、直径5cm、高さ1cmのプラスチック容器を天秤に乗せる。測定用の繊維をプラスチック容器に入れ、乾燥し減量する繊維の重量Wiを1分毎に水分量が10%以下になるまで測定する。各時間の水分率WRi(%)は次式で表される。
WRi=100×(Wi−W0)/W0 (7)
WRiを各時間に対してグラフにプロットし、WRiが30%の時の接線を引きその傾きΔWR30から「10分間当たりの水分率減少率変化ΔWR10」を計算する。この測定を5回行い単純平均し、保湿指数(ΔWR10)とする。ΔWR30は、水分率が30%前後の繊維の乾燥速度であり、小さい値の方が保湿性が良好である。肌の水分率は15〜20%程度であり、繊維の保湿指数はこの肌の水分率を考慮し、水分率が30%の時乾燥速度を指標にしている。
N.保水指数性(WI)
測定用の繊維を約1.0gとり、洗剤や溶媒で油分を除去後水洗、乾燥し、20℃、湿度65%の状態で24時間調湿後、重量を精秤しW0とする。幅6mm厚み2mmの金属枠に取付けられた大きさが5cm×10cmの50メッシュのステンレス金網(重量Ws)を45°に傾斜させ固定する。該繊維を水中に12時間浸漬後取出し、該ステンレス金網の上部にのせ、20℃、湿度65%の環境で2分間放置する。繊維がのった金網の重量(Wt)を測定する。保水指数WIは次式で表される。
WI=100×(Wt−Ws)/W0 (8)
保水指数が大きいほど保水性が良好である。
O.沈降時間(分散安定性評価)
繊維溶液を直径30mm、高さ10cmの密栓付き底面が平らな試料瓶に8cmの高さまで入れ、手で良く振って攪拌し、静置する。試料瓶の底から4cmのところに赤線の印を付ける。該溶液中の繊維の回転がなくなる時点でストップウォッチを押し沈降する繊維の状態を20℃の環境下で観察する。ナノファイバーが存在する上面が赤線まで沈降した時の時間Tsを沈降時間とする。沈降時間が長いほど分散安定性が良好である。
P.透明性
日立製作所(株)製分光光度計U−3400の標準試料セルには純水を入れ、他方のセルに測定用溶液を入れ、波長500nmの光源で平均透過率Trを測定する。透光率が高いほど透明性が良好である。
Q.ナノファイバーの面積比率の測定
ポリマーアロイ繊維から海成分を脱海したナノファイバー繊維束の横断面をTEMで観察し、繊維束全体の横断面積を(Sa)、繊維束に存在する1〜500nmのナノファイバーの個々の面積の総和を(Sb)とし、以下の式で求めた。
ナノファイバーの面積比率(%)=(Sb/Sa)×100 (9)
R.ゼータ電位測定
ナノファイバー配合溶液や分散液に0.001MのKClをあらかじめ添加し、pH=7にて電気泳動光散乱光度計ELS−800(大塚電子(株)製)で測定した。
実施例1
「高分子アロイ繊維」の作製、市販叩解機によるナノファイバーの叩解、ナノファイバー配合ゲル構造物の作製の例
溶融粘度53Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点220℃のN6(20重量%)と溶融粘度310Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点225℃のイソフタル酸を8mol%、ビスフェノールAを4mol%共重合した融点225℃の共重合PET(80重量%)を2軸押し出し混練機で260℃で混練してb値=4の高分子アロイチップを得た。なお、この共重合PETの262℃、1216sec-1での溶融粘度は180Pa・sであった。このときの混練条件は以下のとおりであった。
スクリュー型式 同方向完全噛合型 2条ネジ
スクリュー 直径37mm、有効長さ1670mm、L/D=45.1
混練部長さはスクリュー有効長さの28%
混練部はスクリュー有効長さの1/3より吐出側に位置させた。
途中3個所のバックフロー部有り
高分子供給 N6と共重合PETを別々に計量し、別々に混練機に供給した。
温度 260℃
ベント 2個所
溶融紡糸に用いた溶融紡糸装置のモデル図を図1に示した。同図において、1はホッパー、2は溶融部、3はスピンブロック、4は紡糸パック、5は口金、6はチムニー、7は溶融吐出された糸条、8は集束給油ガイド、9は第1引き取りローラー、10は第2引き取りローラー、11は巻き取り糸である。
この高分子アロイチップを275℃の溶融部2で溶融し、紡糸温度280℃のスピンブロック3に導いた。そして、限界濾過径15μmの金属不織布で高分子アロイ溶融体を濾過した後、口金面温度262℃とした口金5から溶融紡糸した。この時、口金としては吐出孔上部に直径0.3mmの計量部を備えた、吐出孔径が0.7mm、吐出孔長が1.75mmのものを用いた。そして、この時の単孔あたりの吐出量は2.9g/分とした。さらに、口金下面から冷却開始点(チムニー6の上端部)までの距離は9cmであった。吐出された糸条は20℃の冷却風で1mにわたって冷却固化され、口金5から1.8m下方に設置した給油ガイド8で給油された後、非加熱の第1引取ローラー9および第2引取ローラー10を介して900m/分で巻取られた。この時の紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。そして、これを第1ホットローラーの温度を98℃、第2ホットローラーの温度を130℃として延伸熱処理した。この時、第1ホットローラーと第2ホットローラー間の延伸倍率を3.2倍とした。
得られた高分子アロイ繊維は120dtex、12フィラメント、強度4.0cN/dtex、伸度35%、U%=1.7%の優れた特性を示した。また、得られた「高分子アロイ繊維」の横断面をTEMで観察したところ、N6が島成分(丸い部分)、共重合PETが海(他の部分)の海島成分構造を示し(図2参照)、島成分N6の直径は53nmであり、N6が超微分散化した「高分子アロイ繊維」が得られた。
該120dtex、12フィラメントの「高分子アロイ繊維」をギロチンカッターで2mmにカットした。カットした「高分子アロイ繊維」を98℃、10%水酸化ナトリウムで1時間処理し、海成分のポリエステル成分を除去しフィルターで濾過し、さらに、含水率が約100%まで遠心分離器で脱水し短繊維を得た。該短繊維を水洗と脱水を5回繰返し水酸化ナトリウムを除去しナノファイバー集合体短繊維を得た。ナイアガラビータに約20リットルの水と30gの該短繊維を投入し、繊維を10分間1次叩解した。1次叩解したナノファイバーの濾水度は362であった。この繊維を遠心分離器で水分を除去し、繊維濃度が12wt%の1次叩解繊維を250g得た。この1次叩解繊維をPFI叩解装置で10分間2次叩解した後、脱水してナノファイバーの10wt%濃度の2次叩解繊維を250g得た。2次叩解したナノファイバーの濾水度は64であった。該10wt%濃度のナノファイバーは、10倍以上水を含んでいるにもかかわらず試薬瓶に入れて振っても液状的でなく、柔らかい固形物のゲル状物になった。該ゲル状物中のナノファイバーの形態を評価するため、参考例6に示すようにこのゲル状物を水でうすめ、0.01wt%のナノファイバー配合溶液を作製し、単繊維数平均直径φm、単繊維の直径が1〜500nmの比率を表した数値Pa、単繊維直径の集中度指数Pbの評価を行った。単繊維直径の分布表を表3に示した。該ナノファイバー配合ゲル状物中のナノファイバーは、φmが60nm、Paが100%、Pbが66%であった。
参考例2、3
ラボミキサーで長時間ナノファイバー集合体を叩解したナノファイバー配合溶液の例
実施例1の「高分子アロイ繊維」を脱海して得られた繊維長2mmのナノファイバー集合体短繊維7.0g(乾燥換算重量:水分110%含有)と水をラボミキサーに入れ500ccとし、(1)ラボミキサーで6000rpmで30分間分散し、(2)50メッシュのステンレス金網で濾過した溶液を得た。(3)ステンレス金網上のナノファイバーを水に戻しさらに(1)(2)の操作を3回繰り返した。この操作によって、約1.0wt%濃度のナノファイバー配合溶液を得た。該配合溶液をバットに10gとり、乾燥機中で水分を蒸発させ、繊維濃度を測定したところ、1.1wt%であった。さらに水を添加し1.0wt%濃度のナノファイバー配合溶液を調整した。該配合溶液は実施例1の2次叩解後の繊維の1.0wt%の状態に相当する。このナノファイバーの濾水度は157であった。これは、実施例1の2次叩解後のナノファイバーより濾水度が高く、ラボミキサーの叩解性はやや低いものの、長時間繰り返し攪拌することで、分散性が良好なナノファイバーを得た。該0.10wt%濃度ナノファイバー配合溶液70gと水をラボミキサーに入れ500ccとし、6000rpmで30分間分散して、ナノファイバー濃度を低減することで、0.10wt%のナノファイバー配合溶液(参考例2)を得た。
さらに、該0.10wt%の水溶液を参考例2と同様の操作を行い10倍に希釈することで、0.01wt%の濃度のナノファイバー配合溶液(参考例3)を得た。該参考例2および3のそれぞれの配合溶液について、単繊維数平均直径φm、単繊維の直径が1〜500nmの比率を表した数値Pa、単繊維直径の集中度指数Pbの評価を行い、φmは63nm、Paは100%、Pbは61%とラボミキサー叩解したにもかかわらず実施例1と同程度にナノファイバーが分散した配合溶液が得られた。また、ナノファイバーの分散安定性を評価したところ、沈降時間が12分(参考例3)と従来の通常繊維(直径27μm)の2.7分(比較例2)、極細繊維(直径2μm)の1.1分(比較例4)に比較し、沈降時間が遅く、分散安定性が良好であった。また、沈降したナノファイバーも攪拌することで容易に再分散可能であった。また、参考例2、3の配合溶液の透明性は1.8%、53%であり、実施例1で叩解したナノファイバー配合ゲル状物を薄めた参考例6の透明度と同程度であった。また、参考例2および3においては、実施例1と比べて濾水度がやや高く、ナノファイバーの叩解度がやや劣るが、単繊維数平均直径φm、単繊維の直径が1〜500nmの比率を表した数値Pa、単繊維直径の集中度指数Pbは実施例1と同程度であり、ラボミキサーでも叩解によるナノファイバーの分散は可能であった。
比較例1、2
直径27μmの従来通常繊維の水溶液の例
市販の単繊維数平均直径が30μmのナイロン繊維を2mmにカットし、該繊維0.7gと水をラボミキサーに入れ500ccとし、(1)ラボミキサーで6000rpmで30分間分散し、(2)50メッシュのステンレス金網で濾過した溶液を得た。(3)ステンレス金網上のナノファイバーを水に戻しさらに(1)(2)の操作を3回繰り返した。この操作によって、約0.1wt%濃度のナイロン繊維の水溶液を得たが、繊維は全く叩解されていなかった。該水溶液をバットに10gとり、乾燥機中で水分を蒸発させ、繊維濃度を測定したところ、0.13wt%であった。さらに水を添加し0.10wt%濃度のナイロン繊維の水溶液(比較例1)を調整した。該0.10wt%濃度の水溶液70gと水をラボミキサーに入れ500ccとし、ラボミキサーで6000rpmで30分間分散することで、0.01wt%のナノファイバー水溶液(比較例2)を得た。比較例1および比較例2の水溶液について、単繊維数平均直径φm、単繊維の直径が1〜500nmの比率を表した数値Pa、単繊維直径の集中度指数Pbの評価を行ったところ、φmは、27μm、Paは0%、Pbは92%とラボミキサー叩解した参考例2のナノファイバーと異なり、ナイロン繊維を叩解することはできなかった。また、比較例2の0.01wt%の水溶液について分散安定性を沈降時間で評価したところ、2.7分とかなり早く沈み、分散安定性は良くなかった。また、水溶液の透明性を評価したところ、比較例1、比較例2においてはそれぞれ66%、87%と透明性は良好であった。これはナノファイバーに比べて比較例1および2のナイロン繊維の直径が大きく、この水溶液中の単位体積当たりのナイロン繊維の本数が非常に少ないためである。
比較例3、4
直径2μmの従来極細繊維水溶液の例
融点220℃のナイロン6(N6:60重量%)島成分に、ポリスチレン(PS)を海成分に用いて、特開昭53−106872号公報の記載のように海島成分複合糸し、延伸を行い生む島成分複合の延伸糸を得た。そして、これをやはり同特開昭公報の実施例記載のようにトリクロロエチレン処理によりPSを99%以上除去して直径が約2μmのN6極細繊維を得た。これの繊維横断面をTEM観察したところ、極細繊維の単繊維直径は2.2μmであった。N6極細繊維を2mmにカットし、該繊維0.7gと水をラボミキサーに入れ500ccとし、(1)ラボミキサーで6000rpmで30分間分散し、(2)50メッシュのステンレス金網で濾過した溶液を得た。(3)ステンレス金網上のナノファイバーを水に戻しさらに(1)(2)の操作を3回繰り返した。この操作によって、約0.1wt%濃度のN6極細繊維の水溶液を得たが、水溶液中でこの繊維は数mmから15mmの大きさのフロック状になり、水溶液中で十分には分散しなかった。該水溶液をバットに10gとり、乾燥機中で水分を蒸発させ、繊維濃度を測定したところ、0.12wt%であった。さらに水を添加し0.10wt%濃度のN6極細繊維の水溶液(比較例3)を調整した。該0.10wt%濃度の水溶液70gと水をラボミキサーに入れ500ccとし、ラボミキサーで6000rpmで30分間分散することで、水溶液中のナイロン繊維濃度を低減し、0.01wt%のN6極細繊維の水溶液(比較例4)を得た。該水溶液は比較例3と比べて、フロックの大きさは小さくなったが、水溶液中で1mm〜5mmのクラスター状になり、また、そのクラスターが凝集し易く、静置するとN6極細繊維が沈降し易いものであった。該0.01wt%水溶液について、単繊維数平均直径φm、単繊維の直径が1〜500nmの比率を表した数値Pa、単繊維直径の集中度指数Pbの評価を行ったところ、φmは、2.1μm、Paは0%、Pbは88%であり、参考例2のナノファイバーとは異なり、ナイロン繊維を叩解することはできなかった。比較例4の0.01wt%の水溶液について分散安定性を沈降時間で評価したところ、1.1分とかなり早く沈み、分散安定性は良くなかった。また、水溶液の透明性は比較例3、比較例4においてはそれぞれ14%、52%であった。
参考例4、5、6
実施例1の高濃度のナノファイバー配合ゲル状物からの低濃度ナノファイバー配合溶液の作製例
実施例1で得られた2次叩解後の10wt%ナノファイバーを150g採取し、水を850gを添加し、(1)ラボミキサーで6000rpmで5分間分散し、(2)50メッシュのステンレス金網で濾過した溶液を得た。(3)ステンレス金網上のナノファイバーを水に戻しさらに(1)(2)の操作を5回繰り返した。この操作によって、約1wt%濃度のナノファイバー配合溶液を得た。該溶液をバットに10gとり、乾燥機中で水分を蒸発させ、繊維濃度を測定したところ、1.12wt%であった。さらに水を添加し1.00wt%濃度のナノファイバー配合溶液(参考例4)を調整した。該1.00wt%濃度のいナノファイバー配合溶液を150g採取し、水を850g添加し、上記(1)(2)(3)((3)の操作回数は3回)の操作を行った後に濃度調整を行い、0.10wt%濃度のナノファイバー配合溶液(参考例5)を得た。0.10wt%濃度のナノファイバー配合溶液を150g採取し、水を850gを添加し、上記(1)(2)(3)((3)の操作回数は3回)の操作を行った後に濃度調整を行ない、0.01wt%濃度のナノファイバー配合溶液(参考例6)を得た。参考例6のナノファイバー配合溶液のゼータ電位を測定したところ、―14mVであった。該参考例6のナノファイバー配合溶液の分散安定性を沈降時間で評価したところ、従来繊維の通常繊維は2.7分(比較例2)、極細繊維は1.1分(比較例4)に対して、本参考例6のナノファイバー配合溶液中のナノファイバーの沈降時間は10分であり、ナノファイバーの分散性が従来繊維に比較して良好であった。なお、極細繊維が通常繊維に比較し、分散性がやや悪いのは、通常繊維が水溶液中でバラバラであるのに対し、極細繊維は3〜10mmの大きなフロック状になるため沈に降が速いためである。また、参考例4、5、6の配合溶液の透明性は、それぞれ0%、1.2%、51%であった。参考例6の配合溶液中のナノファイバーについて、単繊維数平均直径φm、単繊維の直径が1〜500nmの比率を表した数値Pa、単繊維直径の集中度指数Pbの評価を行った結果、φmが60nm、Paが100%、Pbが66%であった。
実施例7、8、9
参考例4〜6に分散剤を添加した例
参考例4、5、6で作製したナノファイバー配合溶液に第一工業製薬(株)製の主成分がポリアクリル酸ソーダであるアニオン系分散剤(シャロールAN−103:分子量10000)をそれぞれの配合溶液に対して濃度が0.10wt%になるように添加し、攪拌して実施例7〜9の配合溶液を得た。実施例9のナノファイバー配合溶液のゼータ電位を測定したところ、―50mVであった。この実施例8のナノファイバー配合溶液の分散安定性を沈降時間で評価したところ、従来繊維の通常繊維は3.7分(比較例5)、極細繊維は1.3分(比較例6)に対して、実施例8のナノファイバー配合溶液は360分であった。参考例6と実施例9、比較例2と5、比較例4と6の沈降時間を比較すると、分散剤添加の効果は、ナノファイバー配合溶液が最も大で、従来の通常繊維や極細繊維に比べて、ナノファイバーでは分散剤の添加によって分散性が飛躍的(無添加に対し36倍)に向上する。また、実施例7、8、9の配合溶液の透明性は、それぞれ0%、2.4%、63%であり、実施例8の0.10wt%濃度の配合溶液と実施例7の1.0wt%濃度の配合溶液に対しては透明性を向上させる効果がなかったが、分散剤添加によって実施例9の0.01wt%濃度の配合溶液では分散剤を添加していない参考例6に比べて、10%以上の透明性を向上させる効果が得られた。配合溶液中のナノファイバーの濃度が高い場合、配合溶液の単位容積当たりのナノファイバーの本数が膨大になり、分散剤を入れても分散性がそれほど向上しない。配合溶液の透明性を必要とする場合、配合溶液の単位容積あたりのナノファイバー本数を抑制することが好ましく、ナノファイバーの濃度を0.05wt%以下にすることが好ましい。
比較例5、6
比較例2と4の従来の通常繊維ならびに極細繊維の水溶液に分散剤を添加した例
参考例2と4で作製した水溶液に第一工業製薬(株)製の主成分がポリアクリル酸ソーダであるアニオン系分散剤(シャロールAN−103:分子量10000)を濃度が0.10wt%になるように添加し、攪拌して比較例5および6の水溶液を得た。該比較例5と6の水溶液の分散安定性を沈降時間で評価したところ、従来繊維の通常繊維は3.7分(比較例5)、極細繊維は1.3分(比較例6)であり、沈降が速く起こり、分散安定性が良くなかった。
実施例10
ナノファイバー配合化粧水の例(1)
参考例6で作製したナノファイバー配合溶液に下記配合剤を添加し、ナノファイバー配合の化粧水を作製した。被験者10人に対して、化粧水を使用した時の官能評価を行ったところ、比較例7、8のように従来の直径が数10nmの繊維や数μmの極細繊維を使った化粧水では、化粧する際に太い繊維によるざらつき感を感じた人が比較例7では10人、比較例8では9人であったが、ナノファイバー化粧水の場合には、被験者全てにおいて使用感に違和感がなく、自然な感じがするとのことであった。また、ナノファイバー化粧水は肌荒れ改善や日焼け防止にもなり、さらに汗による流れがなく化粧もちも良好であった。
参考例6のナノファイバー配合溶液ナノファイバー 86.5wt%
グリセリン 5.0wt%
アラントイン 0.3wt%
エタノール 8.0wt%
パラ安息香酸エチル 0.2wt%
合計 100.0wt%
比較例7、8
従来の通常繊維ならびに極細繊維を配合した化粧水の例
比較例2、4で作製した直径が27μm通常繊維と直径が2.1μmの極細繊維の水溶液に下記配合剤を添加し、比較例7および8の化粧水を作製した。従来の直径が数10nmの繊維や数μmの極細繊維では、化粧する時に繊維によるざらつき感があった。
比較例2の水溶液(比較例7) 86.5wt%
比較例4の水溶液(比較例8) 86.5wt%
グリセリン 5.0wt%
アランイン 0.3wt%
エタノール 8.0wt%
パラ安息香酸エチル 0.2wt%
合計 100.0wt%
実施例11
ナノファイバー配合化粧水の例(2)
参考例5で作製したナノファイバー配合溶液と市販の化粧水(資生堂製ザ・スキンケア ハイドロバランシングソフナー)を下記配合比率とし、ラボ攪拌機で3分間混合し、ナノファイバー配合化粧水を作製した。被験者10人に対して、化粧水を使用した時の官能評価を行ったところ、被験者全てにおいて、使用時の違和感がなく自然な感じがするとのことであった。ナノファイバーを配合することによって、汗による化粧の流れが防止でき、化粧もちも向上した。またナノファイバーを配合することで、ナノファイバー間の交絡により孔径が小さくなることで保湿性が良好となり、化粧使用後の肌のしっとり感が向上した。
参考例5のナノファイバー配合溶液 10wt%
ザ・スキンケア ハイドロバランシングソフナー 90wt%
合計 100wt%
実施例12
ナノファイバー配合乳液の例(1)
参考例5で作製したナノファイバー配合溶液に下記配合剤を添加し、乳液を作製した。配合方法としては以下の通りである。まず、ナノファイバー、レシチン、プロピレングリコールと純水を入れて攪拌し、A液とする。次に、カルボキシビニルポリマーをエタノールアミンの一部(0.4wt%分)で中和してB液とする。さらにステアリン酸、モノステアリン酸グリセリン、セタノール、流動パラフィン、スクワランなどの油成分を80℃で混合しC液とする。A液に残りのエタノールアミン(1.0wt%分)を添加し80℃で混合後、油成分のC液を混合し乳化し、更にB液を加え粘度を調整し、ナノファイバー配合乳液を得た。ナノファイバー配合乳液は均一分散性や長期安定性が良好な乳液であった。また、被験者10人に対して、乳液を使用した時の官能評価を行ったところ、被験者全てにおいて、使用時の肌への違和感がなく自然な感じがするとのことであった。該乳液は肌荒れ改善や汗による流れがなく、化粧もちも良好であった。
参考例5のナノファイバー配合溶液ナノファイバー水 10.0wt%
トリエタノールアミン 1.4wt%
レシチン 0.2wt%
プロピレングリコール 8.3wt%
パラ安息香酸メチル 0.2wt%
1%カルボキシビニルポリマー 20.0wt%
ステアリン酸 2.6wt%
モノステアリン酸グリセリン 1.0wt%
セタノール 1.0wt%
流動パラフィン 8.0wt%
スクワラン 1.0wt%
純水 46.3wt%
合計 100.0wt%
実施例13
ナノファイバー配合乳液の例(2)
参考例5で作製したナノファイバー配合溶液と市販の乳液(資生堂製ザ・スキンケア ナイトエッセンシャルモイスチャーライザー)を下記配合比率とし、ラボ攪拌機で15分間混合し、ナノファイバー乳液を作製した。被験者10人に対して、乳液を使用した時の官能評価を行ったところ、被験者全てにおいて、乳液使用時の違和感がなく自然な感じの使用感であるとのことであった。また、ナノファイバーが肌表面を均一に覆う、すなわち肌表面の密閉力で、化粧使用後の肌のしっとり感が向上した。また、ナノファイバーを配合することによって、汗による流れが防止でき、化粧もちも向上した。
参考例5のナノファイバー配合溶液 10wt%
ザ・スキンケア ナイトエッセンシャルモイスチャーライザー 90wt%
合計 100wt%
実施例14
ナノファイバー配合ファンデーションの例
下記A群配合剤を80℃で高速ラボ攪拌機で均一になるまで混合する。B群も80℃で低速ラボ攪拌機で均一になるまで混合する。B群配合剤をA群に混合し乳化する。乳化した液に 参考例4で作製したナノファイバー配合溶液を均一になるまで混合後、冷却してナノファイバー配合ファンデーションを得た。被験者10人に対して、ファンデーションを使用した時の官能評価を行なったところ、被験者全てにおいて、使用時の違和感がなく、塗布時の滑りが良好で、肌のしわやしわスジなどへもなじみやすく、肌へのファンデーションの密着性も良好とのことであった。また、使用時の感触についても、ナノファイバーによって肌への程良い通気性と多数本のナノファイバーによる密閉力による保湿性のバランスが良好であった。また、該ファンデーションは繊維の密着力や保水性、保湿性、通気性などの効果により化粧もちが良好であり、汗による流れの抵抗も大きかった。
参考例4のナノファイバー配合溶液 10.0wt%
A群 プロピレングリコール 5.0wt%
ブチルグリコール 8.0wt%
カルボキシビニルポリマー 0.3wt%
トリエチールアミン 0.5wt%
メチルパラベン 0.1wt%
酸化チタン微粒子 6.0wt%
タルク 1.5wt%
ベンガラ 1.5wt%
酸化鉄 1.0wt%
純水 42.4wt%
B群 ステアリン酸 2.6wt%
ミリスチン酸オクチルドデシル 10.0wt%
セタノール 1.0wt%
モノステアリン酸グリセリン 2.0wt%
流動パラフィン 6.0wt%
スクワラン 2.0wt%
プロピレンパラベン 0.1wt%
合計 100.0wt%
実施例15
ナノファイバー配合油性クリームの例
参考例4で作製したナノファイバー配合溶液に下記配合剤を添加し、40℃で低速ラボ攪拌機で均一になるまで混合し、ナノファイバー配合の油性クリームを作製した。被験者10人に対して、油性クリームを使用した時の官能評価を行ったところ、被験者全てにおいて、使用時の違和感がなく、塗布時の滑りが良好で感触も良好であるとのことであった。該クリームは肌のしっとり感が良好であり、汗による流れがなく、化粧もちが良好であった。
参考例4のナノファイバー配合溶液 10.0wt%
セタノール 5.0wt%
ラノリン 5.0wt%
ミリスチン酸プロピル 10.0wt%
流動パラフィン 27.0wt%
ワセリン 10.0wt%
親油性界面活性剤 4.0wt%
親水性界面活性剤 4.0wt%
パラフィン 1.0wt%
純水 24.0wt%
合計 100.0wt%
実施例16
ナノファイバー配合パックの例
実施例1で作製した2次叩解後のナノファイバーゲル状物に下記配合剤を添加し、40℃で低速ラボ攪拌機で均一になるまで混合し、ナノファイバー配合のパックを作製した。被験者10人に対して、パックを使用した時の官能評価を行ったところ、被験者全てにおいて、使用時の違和感がなく、塗布時の滑りが良好でであり、感触も良好であった。また、パック中のナノファイバーが肌のしわスジ内にも入り込み、スジ内の取れにくい汚れや脂肪成分なども除去でき、さっぱり感があり、肌にツヤがでる効果があった。また、該汚れや脂肪分除去後に肌への保湿や栄養分供給(各種栄養成分の添加が可能)によって肌の荒れ防止や肌の回復に効果があった。更に、肌全体に保湿、保水効果があり、肌にしっとり感と潤いを与えるとのことであった。また、配合されたパックを少量スライドガラスに採取して、平均直径が0.02μmの酸化チタン微粒子を観察したところ、酸化チタンの凝集はなく微細に分散されていた。
実施例1のナノファイバーゲル状物 20.0wt%
プロピレングリコール 5.0wt%
グリセリン 5.0wt%
ベントナイト 2.0wt%
酸化チタン微粒子 1.0wt%
純水 67.0wt%
合計 100.0wt%
実施例17
ナノファイバーを乳液中で直接叩解する方法の例
実施例1で得られた水分率100%のナノファイバー集合体短繊維1.6g(乾燥時0.8g)を採取し、実施例13で用いた市販の乳液(資生堂製(ザ・スキンケア ハイドロバランシングソフナー))を499.5gを添加し、(1)ラボミキサーで6000rpmで5分間分散し、(2)50メッシュのステンレス金網で濾過した乳液を得た。(3)ステンレス金網上のナノファイバーを乳液に戻しさらに(1)(2)の操作を7回繰り返した。この操作によって、約0.1wt%濃度のナノファイバー乳液を得た。該乳液をバットに10gとり、乾燥機中で水分を蒸発させ、繊維濃度を測定したところ、0.12wt%であった。さらに市販の乳液を添加し0.10wt%濃度のナノファイバー乳液を調整した。
実施例13と同様に被験者10人に対して、乳液を使用した時の官能評価を行ったところ、被験者全てにおいて、使用時の違和感がなく、自然な感じがするとのことであった。さらに、ナノファイバーによる密閉力で、化粧使用後の肌のしっとり感が向上した。また、ナノファイバーを配合することによって、汗による流れが防止でき、化粧もちも向上した。
実施例1のナノファイバー(純分) 0.1wt%
ザ・スキンケア ハイドロバランシングソフナー 99.9wt%
合計 100.0wt%
実施例18、19
ナノファイバーを有機溶媒に配合した配合溶液の例
実施例1で得られた水分率100%ナノファイバー集合体短繊維を50℃で12時間乾燥し、乾燥後のナノファイバー0.8gを下記溶媒:エタノール(実施例18)、トルエン(実施例19)499.5gに投入し、(1)ラボミキサーで6000rpmで10分間溶媒中で直接混合分散し、(2)50メッシュのステンレス金網で濾過し有機溶媒溶液を得た。(3)ステンレス金網上のナノファイバーを有機溶媒溶液に戻しさらに(1)(2)の操作を7回繰り返した。この操作によって、約0.1%濃度のナノファイバーを有機溶媒に配合した配合溶液を得た。該溶液をバットに10gとり、乾燥機中で溶媒を蒸発させ、繊維濃度を測定したところ、それぞれ0.11wt%であった。さらにそれぞれの有機溶媒を添加し0.10wt%濃度のナノファイバー配合溶液を調整した。該溶液中のナノファイバ
ーは有機溶媒中でよく分散し、単繊維数平均直径はφmは、それぞれ61nm(実施例18)、62nm(実施例19)であり、単繊維の直径が1〜500nmの比率を表した数値Paについても両実施例とも100%であり、単繊維直径の集中度指数Pbは、それぞれ64%(実施例18)、63%(実施例19)であり、ナノファイバーを有機溶媒中で叩解しても、実施例1の水中での叩解と同様にナノファイバーを叩解できることがわかった。
尚、ナノファイバーを配合したエタノール溶液(実施例18)は化粧品や塗料に、ナノファイバーを配合したトルエン溶液(実施例19)は塗料や接着剤用に使用することが可能である。
実施例1のナノファイバー(純分) 0.1wt%
エタノール(実施例18) 99.9wt%
トルエン (実施例19) 99.9wt%
合計 100.0wt%
実施例20
ナノファイバー配合溶液の溶媒置換例
実施例1で作製したナノファイバー10wt%ゲル状物(水分率9倍=900%)を水分率1倍(100%)まで脱水したゲル状物200gを採取し、エタノール800g中に投入し、ラボ攪拌機で6000rpmで15分間攪拌した。これを溶媒率が1倍(100%)まで脱溶媒し、繊維の約8倍量のエタノールに再投入し、ラボ攪拌機で6000rpmで15分間攪拌した。この操作を5回繰り返し、残存水分率を0.1wt%以下にし、ナノファイバーをエタノールに配合した配合溶液1000gを得た(エタノール中の水分の残存率は用途によって溶媒置換の回数で制御可能)。この方法によって、溶媒を水からエタノールに置換することができた。本方法は使用する有機溶媒の種類によってナノファイバーの凝集が起こり易いといった場合、ナノファイバーの分散や凝集状態を確認しながら溶媒置換することが可能な方法であり、有機溶媒への馴染み性が低いナノファイバーの均一分散化に適した方法である。
実施例21
ナノファイバー配合塗料の例
実施例19で得られた溶媒がトルエンであるナノファイバー配合溶液300gと溶媒がトルエンである市販のウレタン系塗料300gをラボニーダーで120rpmの条件で30℃、30分間攪拌し、ナノファイバーを配合した塗料を得た。得られた塗料は、刷毛による塗布時の伸びがよく、塗布加工がし易いものであった。また、塗布後の塗料のツヤがよく、塗布表面も繊維を添加してあるにもかかわらず滑らかであった。
実施例22
分散剤を添加したナノファイバー配合溶液の例(1)
実施例1で用いたN6と重量平均分子量12万、溶融粘度30Pa・s(240℃、剪断速度2432sec-1)、融点170℃のポリL乳酸(光学純度99.5%以上)を用い、N6の含有率を20wt%とし、混練温度を220℃として実施例1と同様に溶融混連し、ポリマーアロイチップを得た。
ここで、ポリL乳酸の重量平均分子量は以下のようにして求めた。すなわち、試料のクロロホルム溶液にTHF(テトラヒドロフラン)を混合し、測定溶液とした。これをWaters社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)Waters2690を用いて25℃で測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。なお、実施例1で用いたN6の剪断速度2432sec-1での溶融粘度は57Pa・sであった。また、このポリL乳酸の215℃、剪断速度1216sec-1での溶融粘度は86Pa・sであった。得られた高分子アロイチップを用いて、溶融温度230℃、紡糸温度230℃(口金面温度215℃)、紡糸速度3200m/分として実施例1と同様に溶融紡糸して未延伸糸を得た。
得られた未延伸糸を延伸温度90℃、延伸倍率を1.5倍、熱セット温度130℃として実施例1と同様に延伸熱処理し、高分子アロイ繊維を得た。この高分子アロイ繊維は70dtex、36フィラメントであり、強度3.4cN/dtex、伸度38%、U%=0.7%であった。得られた高分子アロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、ポリL乳酸が海、N6が島の海島構造を示し、島成分であるN6の数平均による直径は55nmであり、N6がナのサイズで均一分散化した高分子アロイ繊維であった。
この高分子アロイ繊維をカセ取りし、約13万dtexのカセ状のトウとした。この時、トウ外周を綿糸で結んで30cm毎に固定することで、脱海処理中にトウがバラバラになることを抑制した。そして、このトウの繊維密度が0.04g/cmとなるようにカセ張力を調整し、図3の脱海装置にセットした。そしてこのトウを98℃、3%水酸化ナトリウムで2時間処理し、海成分のポリL乳酸成分を除去し、ナノファイバーからなるトウを作製した。ここで得られたナノファイバートウの横断面をTEM観察したところ、全繊維に対するナノファイバーの面積比率は100%であり、単繊維数平均直径φmは60nm、Paは100%であった。このトウをギロチンカッターで繊維長0.2mmにカットし、ナノファイバー短繊維を得た。
ナイアガラビータに約20リットルの水と該短繊維を30g投入し、繊維をそれぞれ10分間1次叩解した。1次叩解したナノファイバーの濾水度は152であった。この繊維を遠心分離器で水分を除去し、繊維濃度が12wt%の1次叩解繊維を250gを得た。この1次叩解繊維をPFI叩解装置で10分間2次叩解した後、脱水してナノファイバーの10wt%濃度の2次叩解繊維250gをそれぞれ得た。2次叩解したナノファイバーの濾水度は32であった。2次叩解後のナノファイバーの形態を評価するため、この10wt%濃度の2次叩解繊維を水でうすめ、0.01wt%のナノファイバー配合溶液を作製し、φm、Pa、Pbの評価を行ったところ、φmが58nm、Paが100%、Pbが67%であった。
得られた2次叩解後の10wt%ナノファイバーを1g採取し、水を999g添加し、(1)ラボミキサーで13900rpmで5分間分散し、(2)50メッシュのステンレス金網で濾過した溶液を得た。(3)ステンレス金網上のナノファイバーを水に戻しさらに(1)(2)の操作を5回繰り返した。この操作によって、約0.01wt%濃度のナノファイバー配合溶液を得た。該溶液をバットに10gとり、乾燥機中で水分を蒸発させ、繊維濃度を測定したところ、0.01wt%であった。
このナノファイバー配合溶液に第一工業製薬(株)製の主成分がポリアクリル酸ソーダであるアニオン系分散剤(シャロールAN−103P:分子量10000)を配合溶液に対して濃度が0.10wt%となるように添加し、ラボミキサーで攪拌して実施例22のナノファイバー配合溶液を得た。この配合溶液中のナノファイバーの分散安定性を沈降時間で評価したところ、740分であった。また、この配合溶液の透明性は、78%であった。
実施例23、24
分散剤を添加したナノファイバー配合溶液の例(2)
実施例22において得られたナノファイバーからなるトウを用い、繊維長0.5mmおよび繊維長1mmにカットしたナノファイバー短繊維を得た。実施例23においては、繊維長0.5mm、実施例24においては繊維長1mmのナノファイバー短繊維を用い、実施例22と同様の方法で叩解して2次叩解繊維を得た。2次叩解したナノファイバーの濾水度は実施例23においては43、実施例24においては58であった。引き続いて、実施例22と同様に溶液の濃度調製、ならびに分散剤を添加して、実施例23および24のナノファイバー配合溶液をそれぞれ得た。
この配合溶液中のナノファイバーの分散安定性を沈降時間で評価したところ、実施例23においては520分、実施例24においては410分であった。また、この配合溶液の透明性を評価したところ、実施例23においては70%、実施例24においては68%であった。
実施例25、26
分散剤を添加したナノファイバー配合溶液の例(3)
実施例22において、実施例25では分散剤の添加濃度を10wt%、実施例26では0.01wt%とし、ナノファイバー配合溶液をそれぞれ得た。この配合溶液中のナノファイバーの分散安定性を沈降時間で評価したところ、実施例25では452分、実施例26においては627分であった。また、それぞれの配合溶液の透明性は、実施例25においては65%、実施例26においては83%であった。
実施例27
分散剤を添加したナノファイバー配合溶液の例(4)
溶融粘度120Pa・s(262℃、121.6sec-1)、融点225℃のPBTと2エチルヘキシルアクリレートを22%共重合したポリエスチレン(co−PS)PBTの含有率を20重量%とし、混練温度を240℃として実施例1と同様に溶融混練し、高分子アロイチップを得た。
これを溶融温度260℃、紡糸温度260℃(口金面温度245℃)、単孔吐出量1.0g/分、紡糸速度1200m/分で実施例1と同様に溶融紡糸を行った。得られた未延伸糸を延伸温度100℃、延伸倍率を2.49倍とし、熱セット温度115℃として実施例1と同様に延伸熱処理した。得られた延伸糸は161dtex、36フィラメントであり、強度1.4cN/dtex、伸度33%、U%=2.0%であった。
得られた高分子アロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、co−PSが海、共重合PETが島の海島構造を示し、共重合PETの数平均による直径は45nmであり、共重合PETがナノサイズで均一分散化した高分子アロイ繊維が得られた。この高分子アロイ繊維をトリクレンに浸漬することにより、海成分であるco−PSの99%以上を溶出した後に乾燥し、ギロチンカッターで0.5mmにカットして、PBTナノファイバー短繊維を得た。このカット繊維から実施例1と同様に2次叩解繊維を得た。この2次叩解後のPBTナノファイバーの繊維濃度は8wt%であり、濾水度は96であった。2次叩解後のナノファイバーの形態を評価するため、この10%wt濃度の2次叩解繊維を水でうすめ、0.01wt%のPBTナノファイバー配合溶液を作製し、φm、Pa、Pbの評価を行ったところ、φmが52nm、Paが100%、Pbが69%であった。
得られた2次叩解繊維を1.3g採取し、水を998g添加し、(1)ラボミキサーで13900rpmで5分間分散し、(2)50メッシュのステンレス金網で濾過した溶液を得た。(3)ステンレス金網上のナノファイバーを水に戻しさらに(1)(2)の操作を5回繰り返した。この操作によって、約0.01wt%濃度のPBTナノファイバー配合溶液を得た。該溶液をバットに10gとり、乾燥機中で水分を蒸発させ、繊維濃度を測定したところ、0.01wt%であった。
このナノファイバー配合溶液に第一工業製薬(株)製のノニオン系分散剤(ノイゲンEA−87:分子量10000)を配合溶液に対して濃度が0.10wt%となるように添加し、ラボミキサーで攪拌して実施例27のPBTナノファイバー配合溶液を得た。この配合溶液中のナノファイバーの分散安定性を沈降時間で評価したところ、669分であった。また、この配合溶液の透明性は、81%であった。
実施例28
分散剤を添加したナノファイバー配合溶液の例(5)
溶融粘度300Pa・s(220℃、121.6sec-1)、融点162℃のPP(20重量%)と実施例22のポリL乳酸(80重量%)とし、混練温度を220℃として実施例1と同様に溶融混練し、高分子アロイチップを得た。
これを溶融温度220℃、紡糸温度220℃(口金面温度205℃)、単孔吐出量2.0g/分、紡糸速度1200m/分で実施例1と同様に溶融紡糸を行った。得られた未延伸糸を延伸温度90℃、延伸倍率を2.0倍とし、熱セット温度130℃として実施例1と同様に延伸熱処理した。得られた延伸糸は101dtex、12フィラメントであり、強度2.0cN/dtex、伸度47%であった。
得られた高分子アロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、ポリL乳酸が海、PPが島の海島構造を示し、PPの数平均による直径は150nmであり、PPがナノサイズで均一分散化した高分子アロイ繊維が得られた。
得られた高分子アロイ繊維を98℃の3%水酸化ナトリウム水溶液にて2時間浸漬することで、高分子アロイ繊維中のポリL乳酸成分の99%以上を加水分解除去し、酢酸で中和後、水洗、乾燥し、ギロチンカッターで0.8mm長に切断して、PPナノファイバー短繊維を得た。
この短繊維から実施例1と同様に2次叩解繊維を得た。この2次叩解後のPPナノファイバーの繊維濃度は6wt%であり、濾水度は104であった。2次叩解後のナノファイバーの形態を評価するため、この10wt%濃度の2次叩解繊維を水でうすめ、0.01wt%のPPナノファイバー配合溶液を作製し、φm、Pa、Pbの評価を行ったところ、φmが154nm、Paが100%、Pbが69%であった。
得られた2次叩解繊維を1.7g採取し、水を998g添加し、(1)ラボミキサーで13900rpmで5分間分散し、(2)50メッシュのステンレス金網で濾過した溶液を得た。(3)ステンレス金網上のナノファイバーを水に戻しさらに(1)(2)の操作を5回繰り返した。この操作によって、約0.01wt%濃度のPPナノファイバー配合溶液を得た。該溶液をバットに10gとり、乾燥機中で水分を蒸発させ、繊維濃度を測定したところ、0.01wt%であった。
このナノファイバー配合溶液に第一工業製薬(株)製のノニオン系分散剤(ノイゲンEA−87:分子量10000)を配合溶液に対して濃度が0.10wt%となるように添加し、攪拌して実施例27のPPナノファイバー配合溶液を得た。この配合溶液中のナノファイバーの分散安定性を沈降時間で評価したところ、597分であった。また、この配合溶液の透明性は、72%であった。
1:ホッパー
2:溶融部
3:スピンブロック
4:紡糸パック
5:口金
6:チムニー
7:糸条
8:集束給油ガイド
9:第1引取ローラー
10:第2引取ローラー
11:巻取機
12:脱海処理槽
13:脱海処理液配管
14:ポンプ
15:上バー
16:下バー
17:処理液吐出穴
18:カセ状のトウ
19:脱海処理液

Claims (20)

  1. 熱可塑性高分子からなり、数平均による単繊維の直径が1〜500nm、単繊維の直径が1〜500nmの比率を表した数値Paが60%以上であり、数平均による単繊維の直径を中央値としその前後30nm幅に入る繊維の割合を表す単繊維直径の集中度指数Pbが50%以上である繊維分散体を含むことを特徴とする乳液。
  2. 熱可塑性高分子からなり、数平均による単繊維の直径が1〜200nm、単繊維の直径が1〜500nmの比率を表した数値Paが60%以上であり、数平均による単繊維の直径を中央値としその前後30nm幅に入る繊維の割合を表す単繊維直径の集中度指数Pbが50%以上である繊維分散体を含むことを特徴とする乳液。
  3. 該繊維分散体の濾水度が350以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の乳液。
  4. 該繊維分散体の含有量が5wt%以下であることを特徴する請求項1〜のいずれかに記載の乳液。
  5. 該繊維分散体が繊維長5mm以下の短繊維からなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の乳液。
  6. 該熱可塑性高分子が、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリウレタン、フッ素系高分子及びそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の乳液。
  7. 分散剤を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の乳液。
  8. 該分散剤の含有量が0.00001〜20wt%であることを特徴とする請求項に記載の乳液。
  9. 熱可塑性高分子からなり、数平均による単繊維の直径が1〜500nm、単繊維の直径が1〜500nmの比率を表した数値Paが60%以上であり、数平均による単繊維の直径を中央値としその前後30nm幅に入る繊維の割合を表す単繊維直径の集中度指数Pbが50%以上である繊維分散体を含むことを特徴とするゲル状物。
  10. 熱可塑性高分子からなり、数平均による単繊維の直径が1〜200nm、単繊維の直径が1〜500nmの比率を表した数値Paが60%以上であり、数平均による単繊維の直径を中央値としその前後30nm幅に入る繊維の割合を表す単繊維直径の集中度指数Pbが50%以上である繊維分散体を含むことを特徴とするゲル状物。
  11. 該繊維分散体の濾水度が350以下であることを特徴とする請求項9または10に記載のゲル状物。
  12. 該繊維分散体の含有量が5wt%以下であることを特徴する請求項11のいずれかに記載のゲル状物。
  13. 該繊維分散体が繊維長5mm以下の短繊維からなることを特徴とする請求項12のいずれかに記載のゲル状物。
  14. 熱可塑性高分子が、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリウレタン、フッ素系高分子およびそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項13のいずれかに記載のゲル状物。
  15. 分散剤を含むことを特徴とする請求項14のいずれかに記載のゲル状物。
  16. 該分散剤の含有量が0.00001〜20wt%であることを特徴とする請求項15に記載のゲル状物。
  17. 請求項1〜8のいずれかに記載の乳液または請求項9〜16のいずれかに記載のゲル状物を用いてなる化粧品。
  18. 請求項1〜8のいずれかに記載の乳液または請求項9〜16のいずれかに記載のゲル状物を用いてなる塗料。
  19. 分散媒の中で、繊維集合体を直接叩解することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の乳液の製造方法。
  20. 分散媒の中で、繊維集合体を直接叩解することを特徴とする請求項9〜16のいずれかに記載のゲル状物の製造方法。
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