JP2009097121A - シート型コスメ製品用不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】拭き取り性、密着性といった機能に加え、湿潤時の寸法安定性に優れかつナノファイバーの剥離が少ないシート型コスメ製品を提供する。
【解決手段】単繊維直径が1〜500nmの熱可塑性樹脂からなる繊維(a)と少なくとも湿潤時の引張強度が2.0cN/dtex以上の繊維(b)とが3次元的に交絡しているシート型コスメ製品用不織布に薬液を含浸する。
【選択図】図1

Description

本発明は、拭き取り性、密着性といった機能に加え、従来の基材よりも湿潤時の寸法安定性に優れるシート型コスメ製品用不織布およびシート型コスメ製品に関するものである。
近年、携帯性、使用時の簡便性からシート型のコスメ商品が各種提供されてきている。これらはいずれも、不織布や紙等のシート基材にクレンジング剤や美容液といった薬液が含浸されたものであり、メイクアップ化粧料を落とすクレンジングシートや美容液などを肌へ浸透させるためのフェイスマスクなどがある。
しかし、シート基材としては、一般的にコットン不織布やレーヨン不織布が使用されており、薬液を保持することを目的に使用されているもので、拭き取り性や密着性などのその他の性能を高めるまでには至っていなかった。
そこで、繊維径がマイクロオーダーの極細繊維やナノオーダーの超極細繊維を使用したクレンジングシートやフェイスマスクが開示されている(特許文献1、2、3)。特に、ナノオーダーの繊維径を有する超極細繊維を使用した場合、拭き取り性や密着性といった機能は優れているものの、その繊維の細さから使用中に繊維同士が撚れて剥離しやすいという問題があった。また、ナノファイバー単独では、湿潤時に十分な強度が得にくく、薬液含浸の工程で裂けが発生したり、使用時に破れが発生する可能性があった。
特開2003−95868号公報 特開2005−330637号公報 特開2006−219807号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、拭き取り性、密着性といった機能に加え、湿潤時の寸法安定性に優れかつナノファイバーの剥離が少ないシート型コスメ製品を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のいずれかの手段を採用するものである。
(1)単繊維直径が1〜500nmの熱可塑性樹脂からなる繊維(a)と少なくとも湿潤時の引張強度が2.0cN/dtex以上の繊維(b)とが3次元的に交絡していることを特徴とするシート型コスメ製品用不織布。
(2)目付が50〜100g/mで、かつ、湿潤状態でのMD方向の10%モジュラスが10N/50cm以上である、前記(1)に記載のシート型コスメ製品用不織布。
(3)前記繊維(b)の占める割合が30質量%以上70質量%以下である、前記(1)または(2)のいずれかに記載のシート型コスメ製品用不織布。
(4)前記繊維(a)が束状に凝集した集合体をなしている、前記(1)〜(3)に記載のシート型コスメ製品用不織布。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の不織布に薬液を含浸してなることを特徴とするシート型コスメ製品。
本発明によれば、単繊維直径が格段に小さいナノファイバーと湿潤時の引張強度が2.0cN/dtex以上の繊維とを混繊することにより、拭き取り性、密着性といった機能に加え、湿潤時の寸法安定性に優れかつナノファイバーの剥離が少ないシート型コスメ製品を提供することができる。
本発明のシート型コスメ製品用不織布は、単繊維直径が1〜500nmの熱可塑性樹脂からなる繊維(a)と湿潤時の引張強度が2.0cN/dtex以上の繊維(b)とが3次元的に交絡し、層を形成している。
前記熱可塑性樹脂としては、ポリエステルやポリアミド、ポリオレフィン等を採用することができる。これらの樹脂には、他の成分が共重合されていても良い。また、安定剤などの添加物を含有していても良い。
本発明において繊維(a)は、単繊維直径が1〜500nmの範囲にある繊維、すなわちナノファイバーである。この範囲で規定されるナノファイバーを用いることにより、皮膚表面の細かい溝に繊維が入り込み、拭き取り性や密着性が大幅に向上する。また、このような極限的な細さにより、ナノファイバーは、繊維のしなやかさを示す断面二次モーメントが、マイクロオーダーの極細繊維に比べて1万分の1以下となり、飛躍的に柔軟性が向上し、角質など肌表面に必要以上のダメージを与えることを抑えることができる。また、繊維間にナノオーダーの空隙を持つようになり、クレンジング剤や美容液といった薬液の吸液性が大幅に向上される。かかるナノファイバーの単繊維直径としては、好ましくは50〜150nmである。
また、本発明において、繊維(a)は、単繊維一本一本がバラバラに分散したもの、単繊維が部分的に結合しているもの、複数の単繊維が凝集して集合体をなしているもの(例えば、束状のもの)など、いわゆる繊維状の形態であればよく、その長短や断面形状などにこだわらないものである。
ここで、繊維(a)として規定するナノファイバーを得るための方法としては例えば、以下のような方法を採用することができる。
すなわち、溶剤に対する溶解性の異なる2種以上のポリマーから、易溶解性ポリマーを海(マトリックス)、難溶解性ポリマーを島(ドメイン)とするポリマーアロイ溶融体となし、これを紡糸した後、冷却固化して繊維化する。そして必要に応じて延伸・熱処理を施し、ポリマーアロイ繊維を得た後、常法により布帛(不織布)とする。そして、易溶解性ポリマーを溶剤で除去することにより該布帛を構成する繊維をナノファイバーにせしめることができる。
この方法においては、ナノファイバーの前駆体であるポリマーアロイ繊維における島(ドメイン)のサイズによりナノファイバーの直径がほぼ決定されるため、ポリマーアロイ繊維中の島(ドメイン)のサイズを制御することが重要である。
島(ドメイン)のサイズの制御は、ポリマーの混練の制御によって行うことができ、混練押出機や静止混練器等によって高混練して、海(マトリックス)成分に島(ドメイン)成分を超微分散させることが好ましい。
また、島を数十nmサイズで超微分散させるには、ポリマーの組み合わせも重要である。島(ドメイン)を円形に近づけるためには、島(ドメイン)ポリマーと海(マトリックス)ポリマーとは互いに非相溶であることが好ましい。しかしながら、単なる非相溶ポリマーの組み合わせでは島(ドメイン)ポリマーを十分に超微分散化させることが難しい。そこで、ポリマーの組み合わせは溶解度パラメーター(SP値)を指標として選ぶとよい。ここで、SP値とは(蒸発エネルギー/モル容積)1/2 で定義される物質の凝集力を反映するパラメータであり、種々のポリマーのSP値は、例えば「プラスチック・データブック」旭化成アミダス株式会社/プラスチック編集部共編、189ページ等に記載されている。2つのポリマーのSP値の差が1〜9(MJ/m31/2であると、非相溶化による島(ドメイン)の円形化と超微分散化とを両立させやすく好ましい。例えば、ナイロン6(N6)とポリエチレンテレフタレート(PET)とはSP値の差が6(MJ/m3 1/2 程度であり、好ましい例であるが、N6とポリエチレン(PE)とはSP値の差が11(MJ/m3 1/2程度であり、好ましくない例として挙げられる。
また、溶融粘度も重要であり、島成分を形成するポリマーの溶融粘度を、海成分のそれに比べて低く設定すると剪断力による島成分ポリマーの変形が起こりやすいため、島成分ポリマーの微分散化が進みやすくナノファイバー化の観点からは好ましい。ただし、島成分ポリマーを過度に低粘度にすると海化しやすくなり、繊維全体に対するブレンド比を高くできないため、島成分ポリマーの粘度は海成分ポリマー粘度の1/10以上とすることが好ましい。
海(マトリックス)ポリマーを溶解し島(ドメイン)ポリマーを溶解し難い溶剤としては、アルカリ溶液、酸性溶液、有機溶媒、超臨界流体等を挙げることができる。例えば、ナイロンとポリエステルとの組み合わせにおいて、アルカリ溶液に対しては、ナイロンが難溶解性を示し、ポリエステルが易溶解性を示す。
本発明のシート型コスメ製品用不織布は、前記ナノファイバーと、湿潤時の引張強度が2.0cN/dtex以上の繊維(b)が3次元的に交絡されて層が形成されていることが重要である。
湿潤時の引張強度が2.0cN/dtex以上の繊維(b)をブレンドし、3次元的に交絡させることにより、前記ナノファイバー単独では得られなかった効果を発現させることができる。例えば、ナノファイバー単独では強度が弱いために実使用に耐えることができないが、湿潤時の引張強度が2.0cN/dtex以上の繊維(b)を3次元的に交絡させることにより、湿潤時の繊維構造体としての力学的強度を向上させることができ、補強効果が得られる。
また、前記ナノファイバー単独では高次加工を施した際に吸水膨潤などにより寸法変化を起こしてしまうが、湿潤時の引張強度が2.0cN/dtex以上の繊維(b)を3次元的に交絡させることにより、湿潤時の寸法安定性を付与することができる。
また、湿潤時の引張強度が2.0cN/dtex以上の繊維(b)に前記ナノファイバーが3次元的に交絡しているため、その保持効果により使用時の摩擦などによるナノファイバーの剥離を抑えることができる。
湿潤時の引張強度が2.0cN/dtex以上の繊維(b)としては、親水性繊維であっても疎水性繊維であっても良い。
親水性繊維のとしては、湿潤時の強度が高く、セルロース繊維由来の水素結合によりシート化した時の強度が得易いことからコットン、リヨセルなどが好ましい。ここで「リヨセル」とは、ISO規格及び日本JIS規格に定める繊維用語で「セルロース誘導体を経ずに、直接、有機溶剤に溶解させて紡糸して得られるセルロース繊維」のことを言う。
また、疎水性繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、アセテートなどが挙げられる。また、保水性の点から断面形状が異形の繊維あるいは極細繊維が好ましく、極細繊維がより好ましい。これら繊維は、通常の繊維と比較して実質的な繊維径が細いため、構造的に多くの薬液を保液できる。加えて、これら繊維は柔軟性が高く、肌に対する刺激性を抑えることができる。
なお、極細繊維としては、2成分又はそれ以上の成分からなる繊維の一部の成分を薬液により溶出・除去し、極細繊維化することができる海島型極細繊維、あるいは、2成分またはそれ以上からなる繊維を、薬液あるいは水流などの外力により剥離させ各成分に分割させて極細化することができる分割型極細繊維などが挙げられる。
上記湿潤時の引張強度が2.0cN/dtex以上の繊維(b)は、上記単繊維直径が1〜500nmの熱可塑性樹脂からなる繊維(a)となるポリマーアロイ繊維と原綿の状態で混在させ、オープナーで開繊する。その後、カード工程でウエッブを形成し、ニードルパンチ等でそれら繊維(a)および繊維(b)を三次元的に交絡させシート化した後、ポリマーアロイ繊維の易溶出ポリマーをアルカリで除去することにより不織布とする。
前記繊維(a)と繊維(b)とを3次元的に交絡させる方法としては、乾式法でもよいし湿式法でもよい。また、3次元的に交絡させる方法として、ニードルパンチによる絡合させる以外に、高圧水流により絡合させる方法、エアレイド法等を採用することができる。
前記繊維(a)については、上述したように、ナノファイバーの前駆体であるポリマーアロイ繊維の状態で3次元的に交絡させ、その後に脱海処理によりナノファイバーを形成させることが好ましい。これは、ポリマーアロイ繊維の状態で混繊することにより、繊維(b)と近い繊維径になリ、混繊のムラを少なくすることができるためである。
また、シート基材の各種特性を高める目的で、前述した繊維以外の繊維を配合してもよい。例えば強度を上げることを目的として熱融着繊維(バインダー繊維)を配合してもよい。バインダー繊維としては特に制限されず、低温でヒートシールできるPET/PE、PP/PE、PP/PP、PET/PETなどの芯鞘型複合繊維などが好ましい。
本発明の不織布の目付としては、50〜100g/mが好ましく、より好ましくは55〜90g/m、さらに好ましくは60〜75g/mである。目付を50g/m以上とすることで、形態安定性が良く、使用時の取り扱い性が良くなる。また、100g/m以下とすることで、適度な柔軟性が得られ使用感が悪くなるのを防ぐことができる。
また、本発明の不織布は、湿潤状態でのMD方向の10%モジュラスが10N/50cm以上であることが好ましく、より好ましくは15N/50mm以上である。湿潤状態でのMD方向の10%モジュラスを10N/50mm以上とすることで、高次加工工程における吸水時や薬液の含浸時の工程通過性、あるいは使用時の取り扱い性などを満足することができる。なお、本発明で用いている「MD方向」とは、一般的な不織布の製造装置で不織布ウエッブが製造されるときのウエッブの進行方向と平行な方向のことを指している。
湿潤状態でのMD方向の10%モジュラスを10N/50cm以上とするためには、湿潤状態での引張強度が2.0cN/dtexの繊維(b)を下記割合で混ぜることが好ましい。すなわち、前記繊維(b)の不織布に占める割合を、30質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上とする。30質量%以上とすることで、湿潤時にも不織布として十分な強度が得られる。また上限値としては、70質量%以下であることが好ましい。70質量%以下とすることにより、前記ナノファイバーの性能を十分活かすことができる。
本発明のシート型コスメ商品は、前記不織布に、クレンジング剤、美容液、化粧液などの薬液を含浸させてなる。例えば、クレンジングシート、ポイントメイク用クレンジングシート、毛穴汚れ除去シート、フェイスマスク、目元マスク、スキンケアシート、フットケアシートなどが挙げられる。
ここでいうクレンジングシートとは、メイクアップ化粧料を落とすためのものであり、その汚れを浮き立たせる効果とナノファイバーの拭き取り性との相乗効果により飛躍的に高い拭き取り性が得られる。
不織布に含浸させるクレンジング剤としては、一般的に使用されているものを採用することができ、例えば、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、環状シリコーン、流動パラフィン、POE等を挙げることができる。
また、クレンジング剤には、保湿剤、美白成分、ビタミン等の美容効果のある薬液を混合していてもよい。
ここでいうフェイスマスクとは、美容効果のある有効成分を含む化粧水または美容液を適量含浸させたシートを顔全体あるいは顔の一部に貼り付けてスキンケアを行うための美容用具のことである。
不織布に含浸させる化粧水あるいは美容液としては、一般的に医薬品、医薬部外品、化粧品、衛生材料、雑貨等で使用されている薬液成分を適用することができる。美容効果のある有効成分としては、糖類、アミノ酸類、プラセンタエキス、ヒアルロン酸、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコールなどの保湿成分や、オリーブオイル、セチルアルコール、ラノリン、ステアリルアルコールなどの柔軟化剤や、ビタミンEなどの血行促進剤や、グリチルリン酸などの抗炎症剤や、各種ビタミンCなどの美肌成分などを挙げることができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
[測定方法]
(1)海島構造におけるドメインサイズ
合成繊維を横断面が出るようにスライスし、当該横断面を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察して、面内の島数が50を超える場合にはn数50を無作為に抽出し、島一つ一つの横断面積を画像解析ソフトウェアにて測定し、当該面積から、真円換算にて直径にあたるドメインサイズを平均値で算出した。
(2)TEMによる不織布横断面観察
不織布をエポキシ樹脂で包埋し、横断面方向に超薄切片を切り出して透過型電子顕微鏡(TEM)(日立製作所社製H−7100FA型)で不織布横断面を観察した。
(3)繊維の単繊維直径
TEMによる不織布のヨコ断面写真から、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて単繊維直径が500nm以下のナノファイバーを無作為に50本抽出し、その平均値を算出した。
(4)繊維の湿潤時の引張強度
JIS L 1015:1999 8.7.2に基づいて湿潤時の引張強度を測定した。試料を50本採取し、水中に2分間浸漬して十分湿潤させた後、定速伸長形引張試験機に取り付けて水中で測定した。つかみ間隔を20mmとし、20mm/minの引張速度で、試料が切断するまで加重を加え、その時の強さを測定し、50回の平均値を算出した。また、繊維が短くてつかみ間隔を20mmで試験できない場合は、10mmで行った。
(5)不織布の目付
JIS L 1913:1998 6.2に基づいて測定した。
試料から100mm×100mmの試験片を、鋼製定規とかみそり刃とを用いて3枚採取した。20±2℃×65±2%の試験室で標準状態にした試験片の質量を測定して、単位面積当たりの質量を次の式によって求め、平均値を算出した。
=m/S
ここに、m:単位面積当たりの質量(g/m
m:試験片の平均重量(g)
S:試験片の面積(m)。
(6)不織布の湿潤時の10%モジュラス
JIS L 1913:1998 6.3.2に基づいて測定した。すなわち、幅50mm、長さ100mmの試験片を、MD方向に5枚採取し、該試験片を20℃の水中に1時間浸漬し、取り出してから速やかに定速伸長形引張試験機に取り付けて測定を行った。つかみ間隔を50mmとし、100mm/minの引張速度で、試験片が10%伸張するまで加重を加え、その時の強さを測定し、5枚の平均値を算出した。
(7)性能評価
[クレンジングシート]
各実施例および比較例で得られた不織布に、クレンジング剤(コーセーコスメポート(株)「ホワイトクレンジングウォーター」)を試験片質量に対して4.0倍量含浸させたものを用い、拭き取り性、皮膚刺激性、拭き取り時の基布の伸び、破れ、剥離などの取り扱い性について女性パネル10名により各人の絶対評価にて10点満点で評価し、10名の平均点(小数点以下は四捨五入)から下記基準にて評価した。
A:9〜10点
B:7〜8点
C:5〜6点
D:3〜4点
E:0〜2点。
[フェイスマスク]
各実施例および比較例で得られた不織布に、化粧水(コーセー「雪肌精」)を20ml含浸させたものを用い、密着感、保湿持続性、顔に貼り付ける時の基布の伸び、破れなどの取り扱い性について女性パネル10名により各人の絶対評価にて10点満点で評価し、10名の平均点(小数点以下は四捨五入)から下記基準にて評価した。
A:9〜10点
B:7〜8点
C:5〜6点
D:3〜4点
E:0〜2点。
[実施例1]
(ポリマーアロイ繊維)
溶融粘度212Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点220℃のナイロン6(N6)(40質量%)と、重量平均分子量12万、溶融粘度30Pa・s(240℃、剪断速度2432sec-1)、融点170℃で光学純度99.5%以上のポリL乳酸(60質量%)とを別々に計量し、別々に下記詳細の2軸押し出し混練機に供給し、220℃で混練してポリマーアロイチップを得た。
スクリュー形状:同方向完全噛合型 2条ネジ
スクリュー :直径37mm、有効長さ1670mm、L/D=45.1
混練部長さはスクリュー有効さの28%
混練部はスクリュー有効長さの1/3より吐出側に位置させた
途中3箇所のバックフロー部有り
ベント :2箇所。
得られたポリマーアロイチップを、ステープル用紡糸機の一軸押し出し型溶融装置に供給し、溶融温度235℃、紡糸温度235℃(口金面温度220℃)、紡糸速度1200m/minとして溶融紡糸を行い、ポリマーアロイ繊維を得た。これを合糸した後、スチーム延伸を行い単糸繊度3.0dtexのポリマーアロイ繊維からなるトウを得た。得られたポリマーアロイ繊維の強度は、3.5cN/dtex、伸度45%、U%=1.0%の優れた特性を示した。繊維の横断面をTEMで観察したところ、島(ドメイン)の単繊維直径は99nmであった。
(捲縮・カット工程)
上記ポリマーアロイ繊維からなるトウに捲縮(12山/25mm)を施した後、51mmの短繊維にカットした。
(不織布工程)
上記短繊維を95質量%とコットン(micronaire繊度6.0、デシ綿、湿潤時強度:2.4cN/dtex)を5質量%の割合で混綿した後、カード工程で開繊し、クロスラップウエーバーでウエッブとした。このウエッブに、孔径100μm、ノズルピッチ0.6mmのノズルヘッドからなるウォタージェットパンチにて、5.0m/minの処理速度で表裏ともに9.0MPaで絡合処理をし、目付165g/mの不織布形態のものを得、その後 この不織布形態のものに対して、1%水酸化ナトリウム水溶液で温度95℃、浴比1:40にて処理することにより、ポリ乳酸を脱海し、140℃で乾燥・セット後、N6ナノファイバーとコットンとからなる目付70g/mの不織布を得た。
得られた不織布におけるコットンの質量比率は12%であった。これから、不織布のヨコ断面をTEM観察し、ナノファイバーの単繊維直径を測定したところ99nmであった。また、ナノファイバーの形態を走査型電子顕微鏡(SEM)(日立製作所製 S−3500N形)により観察したところ、図1に示すような、ナノファイバーが束状に集合した状態になっていた。また、このナノファイバー不織布は、形態安定性に優れているものであった。
[実施例2]
(ポリマーアロイ繊維)
実施例1で用いたものと同様のポリマーアロイ繊維を使用した。
(捲縮・カット構成)
上記ポリマーアロイ繊維を用い、実施例1と同様の捲縮・カット加工を施した。
(不織布工程)
上記で得られたポリマーアロイ繊維を70質量%とコットン(micronaire繊度6.0、デシ綿、湿潤時強度:2.4cN/dtex)を30質量%の割合で混綿した後、実施例1と同様にして目付120g/mの不織布形態のものを得、その後この不織布形態のものに対して、実施例1と同様の脱海処理を施し、140℃で乾燥・セット後、N6ナノファイバーとコットンとからなる目付68g/mの不織布を得た。
得られた不織布におけるコットンの質量比率は52%であった。また、このナノファイバー不織布は、形態安定性に優れているものであった。
[実施例3]
(ポリマーアロイ繊維)
実施例1で用いたものと同様のポリマーアロイ繊維を使用した。
(捲縮・カット構成)
上記ポリマーアロイ繊維を用い、実施例1と同様の捲縮・カット加工を施した。
(不織布工程)
上記で得られたポリマーアロイ繊維を30質量%とコットン(micronaire繊度6.0、デシ綿、湿潤時強度:2.4cN/dtex)を70質量%の割合で混綿した後、実施例1と同様にして目付85g/mの不織布形態のものを得、その後この不織布形態のものに対して、実施例1と同様の脱海処理を施し、140℃で乾燥・セット後、N6ナノファイバーとコットンとからなる目付69g/mの不織布を得た。
得られた不織布におけるコットンの質量比率は85%であった。また、このナノファイバー不織布は、形態安定性に優れているものであった。
[実施例4]
(ポリマーアロイ繊維)
実施例1で用いたものと同様のポリマーアロイ繊維を使用した。
(捲縮・カット構成)
上記ポリマーアロイ繊維を用い、実施例1と同様の捲縮・カット加工を施した。
(不織布工程)
上記で得られたポリマーアロイ繊維を70質量%とリヨセル(繊度:1.7dtex、繊維長:38mm、湿潤時強度:2.9cN/dtex)を30質量%の割合で混綿した後、実施例1と同様にして目付120g/mの不織布形態のものを得、その後この不織布形態のものに対して、実施例1と同様の脱海処理を施し、140℃で乾燥・セット後、N6ナノファイバーとリヨセルとからなる目付68g/mの不織布を得た。
得られた不織布におけるリヨセルの質量比率は53%であった。また、このナノファイバー不織布は、形態安定性に優れているものであった。
[実施例5]
(ポリマーアロイ繊維)
実施例1で用いたものと同様のポリマーアロイ繊維を使用した。
(捲縮・カット構成)
上記ポリマーアロイ繊維を用い、実施例1と同様の捲縮・カット加工を施した。
(不織布工程)
上記で得られたポリマーアロイ繊維を70質量%と分割割繊タイプのナイロン6(N6)/ポリブチレンテレフタレート(PBT)極細繊維(PA−31、繊度:1.9デシテックス、繊維長:51mm、分割後のN6繊維直径5μm、分割後のPBT繊維直径7μm、湿潤時強度:4.1cN/dtex)を30質量%の割合で混綿した後、実施例1と同様にして目付120g/mの不織布形態のものを得、その後、この不織布形態のものに対して、実施例1と同様の脱海処理を施し、N6ナノファイバーとN6/PBT極細繊維とからなる目付70g/mの不織布を得た。
得られた不織布におけるN6/PBT極細繊維の質量比率は52%であった。また、この不織布は、形態安定性に優れているものであった。
[比較例1]
市販の目付70g/mのコットン不織布を用いた。
[比較例2]
(ポリマーアロイ繊維)
実施例1で用いたものと同様のポリマーアロイ繊維を使用した。
(捲縮・カット構成)
上記ポリマーアロイ繊維を用い、実施例1と同様の捲縮・カット加工を施した。
(不織布工程)
前記ポリマーアロイ繊維を100質量%として、実施例1と同様にして目付175g/mの不織布形態のものを得、その後、この不織布形態のものに対して、実施例1と同様の脱海処理を施し、140℃で乾燥・セット後、N6ナノファイバーからなる目付70g/mの不織布を得た。
表1の結果から、実施例1〜3はシート型コスメ製品として優れた特性を有していることがわかる。一方、比較例1は、拭き取り性、密着感が悪く、比較例2は、使用時の取り扱い性が悪かった。
繊維(a)が束状に凝集して集合体をなしている状態を示すSEM写真である。

Claims (5)

  1. 単繊維直径が1〜500nmの熱可塑性樹脂からなる繊維(a)と少なくとも湿潤時の引張強度が2.0cN/dtex以上の繊維(b)とが3次元的に交絡していることを特徴とするシート型コスメ製品用不織布。
  2. 目付が50〜100g/mで、かつ、湿潤状態でのMD方向の10%モジュラスが10N/50cm以上である、請求項1に記載のシート型コスメ製品用不織布。
  3. 前記繊維(b)の占める割合が30質量%以上70質量%以下である、請求項1または2のいずれかに記載のシート型コスメ製品用不織布。
  4. 前記繊維(a)が束状に凝集した集合体をなしている、請求項1〜3に記載のシート型コスメ製品用不織布。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の不織布に薬液を含浸してなることを特徴とするシート型コスメ製品。
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