JP2011094149A - 配合溶液、乳液またはゲル状物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性高分子からなり、数平均による単繊維の直径が1〜500nm、該単繊維比率の和Paが60%以上である繊維分散体、および溶媒を含むことを特徴とする配合溶液、乳液、ゲル状物である。
【選択図】なし
Description
ここで、dtexとは繊維が10000mの重さ1gとなる繊維の太さ(JIS L 0101)(1978)のことを指している。
また、ナイロン6ではなく、高分子の種類が違う場合には、上記の式中で、その高分子に固有の比重に置き換えて計算すればよい。
(1)熱可塑性高分子からなり、数平均による単繊維の直径が1〜500nm、該単繊維比率の和Paが60%以上である繊維分散体、および溶媒を含むことを特徴とする配合溶液。
(2)熱可塑性高分子からなり、数平均による単繊維の直径が1〜500nm、該単繊維比率の和Paが60%以上である繊維分散体、および溶媒を含むことを特徴とする乳液。
(3)熱可塑性高分子からなり、数平均による単繊維の直径が1〜500nm、該単繊維比率の和Paが60%以上である繊維分散体、および溶媒を含むことを特徴とするゲル状物。
(4)前記配合溶液、前記乳液または前記ゲル状物を用いてなる化粧品。
(5)前記配合溶液、前記乳液または前記ゲル状物を用いてなる塗料。
(6)水、油及び有機溶媒からなる群から選ばれる少なくとも一種の中で、繊維集合体を直接叩解することを特徴とする前記配合溶液、前記乳液または前記ゲル状物の製造方法。
N=Σfi (i=1〜n) (2)
Pa=Σ(fi/N) (i=1〜r) (3)
具体的には、1から500nmの範囲内にある区画番号rまでの個々のfi/Nを加算すれば良い。本発明において、ナノファイバーではPaが60%以上であることが重要であり、65%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。Paは大きいほど本発明でいうナノファイバーの本数比率が多く、粗大な単繊維直径のものが少ないことを意味している。これにより、ナノファイバーの機能を十分に発揮することができ、また製品の品質安定性も良好とすることができる。
単繊維直径φiの2乗値χiは繊維(円筒形)の重量に比例するので、(1)式からわかるようにdtex、即ち繊度に対する分布に対応する。このχiに対する「積算頻度数Pj」の近似関数Q(χiの4から6次関数)をマイクロソフト(Microsoft)社製エクセル(Excel)(商品名)で作成する。その後、単繊維数平均直径φmを中央値にして、φmに15nmプラスしたものの2乗値をχaとし、φmに15nmマイナスしたものの2乗値をχbとすると、集中指数Pbは下記式から求められる。
本発明においてナノファイバーは、単繊維数平均直径を中央値として、その前後30nmに入る繊維の割合を表す単繊維直径の集中度指数Pbが、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。このことは、Pbが高いほど単繊維直径のバラツキが小さいことを意味している。実際の単繊維数平均直径φm、単繊維比率の和Pa、単繊維直径の集中指数Pbの実際の測定法は、後述の実施例中に示した。
本発明のナノファイバー配合溶液、乳液、ゲル状物は、ナノファイバー分散体と溶媒あるいはゲルとで構成されている。本発明の配合溶液、乳液、ゲル状物とは、ナノファイバーもしくはナノファイバーとその他の薬剤が溶媒あるいはゲル中に配合された液状物もしくは固形状物のことを指す。
本発明でいう配合溶液とは、ナノファイバー分散体が比較的低濃度で溶媒中に分散しているもので、粘度が比較的低くて流動性が高いものである。また、ナノファイバー分散体が比較的高濃度で溶媒あるいはゲル中に存在し、粘度が比較的高くて流動性が低いものをゲル状物と定義する。また、配合溶液がエマルジョンを形成しており、その中に比較的低濃度でナノファイバー分散体がエマルジョン中に分散しているものを乳液と定義する。
ここで溶媒あるいはゲルは、配合溶液や乳液、ゲル状物中のナノファイバー以外の配合成分を溶解するだけでなく、ナノファイバーの分散媒としても働く。
また、溶媒は、水及び/又は油及び/又は有機溶媒(乳液を含む)のうちで、適宜組みあわせて使用することができる。油としては、アマニ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマワリ油、菜種油、ゴマ油、大豆油、カカオ油、ヤシ油、パーム油、モクロウなどの天然油やパラフィン、ワセリン、セレシン、流動パラフィン、スクワラン、ワックス、高級脂肪酸、シリコーン油、架橋シリコーン油などがあり、単独でも2種類以上の組合わせても使用可能である。また、有機溶媒としては、アルコール類、エステル類、グリコール類、グリセリン類、ケトン類、エーテル類、アミン類、乳酸・酪酸などの低級脂肪酸類、ピリジン、テトラヒドロフラン、フルフリルアルコール、アセトニトリル類、乳酸メチル、乳酸エチルなどがあり、単独でも2種類以上の組合わせても使用可能である。
ここで、dtex:長さ10000mで1gの重さとなる繊維の太さ(JIS L 0101)である。
従来の繊維として通常繊維と極細繊維(以下、これらを総称して従来繊維という。)、本発明で用いる直径が1〜500nmの繊維として直径200nmのナノファイバーAと直径60nmのナノファイバーBを表1に示した。ここでいう繊維直径は、前記(1)式で定義された単繊維数平均直径φmであり、後述の実施例に測定法を示すように、透過型電子顕微鏡(TEM)あるいは走査型電子顕微鏡(SEM)から測定される。
柔軟性は材料のたわみ量によって評価でき、柔らかいものほどたわみ量は大きく、機械工学便覧(pA4−28、25、機械学会編、1963)の材料の曲げの下記(6)式によって推定される。この式でvはたわみ量であり、直径Dの4乗に反比例し大きくなる((w:荷重、E:材料の弾性率)。
ナノファイバーの柔軟性を従来繊維と比較すると、その柔らかさは、繊維直径を細くすることによってその4乗に逆比例し柔らかくなる。例えば極細繊維は通常繊維に対し直径が1/10であり、vは10000倍大きくなるので、極細繊維の柔軟性は通常繊維の10000倍相当に柔らかくなる。ナノファイバーは極細繊維の直径の更に1/10〜1/100の細さであり、ナノファイバーの柔らかさは極細繊維の更にその1万から1億倍以上柔らかくなる。例えば、水溶液から取り出した繊維は、実際には繊維が細くなると数が増えるため、繊維同士が絡合したり、ネットワーク状になりやすいので、繊維1本のたわみ量を比較した先程の(6)式にような計算による推定通りにはならないが、直径が1/10になる毎に繊維の柔軟性は非常に向上する。
一方、ナノファイバーの繊維径は0.5μm(500nm)以下とシワの溝幅より圧倒的に細く、しかも繊維の柔軟性も桁違いに優れているため、シワの中に入り込み易い。さらに、ナノファイバーは柔軟であるため皮膚への刺激が小さく、なめらかでしっとりとした感触の良さを感ずると考えられる。また、ナノファイバーは、比表面積が大きく保水性や保湿性に優れているため、ナノファイバーに水が含まれるとその効果はさらに向上し、肌へのなじみが非常に良好になる。例えば、ナノファイバーが添加された単純な水(化粧水や乳液)で、顔を洗顔するだけで、肌はつるつるになるが、使用時にほとんど違和感がないものであった(後述の実施例10〜16参照)。しかしながら、直径が数10μmである従来の通常繊維の化粧水では、使用時にざらつき感があり、使用感が非常に悪かった(後述の比較例7、8参照)。また、直径が2μmの従来の極細繊維でも、前記したように繊維が肌に乗っているだけであり、肌触りが悪く、また、柔軟性としてもナノファイバーに比較すれば非常に硬いものであり、違和感を感じた。
次に、得られた脱海後のナノファイバー短繊維を叩解機によって叩解する。叩解することによって、ナノファイバー短繊維をナノファイバー1本1本にバラバラにすることができる。
このように、2次叩解によって得られたナノファイバー分散体の濾水度は350以下が好ましく、200以下であることがより好ましく、100以下であることが更に好ましく、また、5以上が好ましい。濾水度が350を超えると叩解度が小さく、ナノファイバーを溶媒に分散させる時に均一に分散させることが困難となる場合がある。ナイアガラビータやリファイナー、家庭用やラボ用のミキサー、カッタ類で2次叩解を行なう際には、水中のナノファイバー濃度が低濃度の状態で加工するため、叩解に従って細くなって浮遊するナノファイバーにも局所的に回転刃が繰返し当たり、繊維の切断や破砕効果が大きく、繊維長方向に切断したり粉末化し易いため、刃の形状、回転スピード、加圧条件などの叩解条件をマイルドにして叩解することが好ましい。
このようにして叩解されたナノファイバーは、再凝集を防ぐために、水中や溶媒中で叩解した後に、フィルターで濾過捕集して、脱水機で水分あるいは溶媒の含有率が50〜200wt%になるように脱水(脱溶媒)して保管することが好ましい。どうしても乾燥して保管する必要がある場合には、凍結乾燥を行ったり、60℃以下の低温で真空乾燥することが好ましい。
ただし、同じ化学組成の分散剤であってもその分子量やナノファイバーを構成する高分子の種類、繊維の濃度、また他の配合剤の影響も受けるので、ナノファイバーの種類、用途や目的に応じて適切な分散剤を選択し、溶液を調整することが好ましい。分散剤の濃度は、配合溶液全体に対し0.00001〜20wt%であることが好ましく、より好ましくは0.0001〜5wt%、さらに好ましくは0.01〜1wt%であり、これにより十分な分散効果が得られる。また、このようなナノファイバーを配合した配合溶液の場合、ナノファイバーの繊維長は、0.05〜5mmにすることが好ましく、0.2〜1mmにすることがさらに好ましい。また、溶媒が油性溶媒や有機溶媒などの疎水性を示す場合には、アクリルアミド系、シリコーン系、フッ素系分散剤を使用することが好ましい。
また、本発明において、「ゲル状物」とは、ナノファイバーに溶媒あるいはゲルを配合し、必要に応じてある材料を配合することでゲル状になるもののことであり、ある材料としては、PVAゲル、アクリルアミドゲルなどの高分子ゲルや多糖類などの天然材料ゲルなどのことである。また、前述のナノファイバーの「ゲル構造物」も架橋構造はないものの、擬似的なゲル状態となっていることから、本発明の「ゲル状物」に含める。高濃度にナノファイバーを配合するゲル状物は、ナノファイバーの叩解時の濃度を10〜30wt%として作製することができる。また、高濃度のナノファイバーゲル状物とする場合、アクリルアミド系、シリコーン系、フッ素系などの分散剤を添加することによって、分散の均一性を向上させることができる。適切な分散剤を選定する方法としては前述の通りであり、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の分散剤も好適に用いることができる。また、分散剤の濃度は、ゲル状物全体に対し0.00001〜20wt%であることが好ましく、より好ましくは0.0001〜5wt%、さらに好ましくは0.01〜1wt%であり、これにより十分な分散効果が得られる。低濃度にナノファイバーを配合したゲル状物を作製する場合、ナノファイバー配合溶液と同様に、例えば0.01〜1wt%のナノファイバー配合溶液に天然ゲルや合成ゲルを添加し、ゲル状物を作製することができる。天然ゲルや合成ゲルとしては、コラーゲン、ゼラチン、キトサンなどの蛋白ゲル、アガロース、アルギン酸、ペクチン、多糖ゲルなどの天然ゲルやセルロースなどのゲルあり、また、PVA系ゲル、架橋ビニール系ポリマー、アクリルアミド系ゲル、アクリル酸とアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩ゲル、シリコーン系ゲル、フッ素系ゲル、ウレタン系ゲル、放射線架橋型ポリマーゲルなどの合成高分子ゲルなどを挙げることができる。このようなナノファイバーを配合したゲル状物の場合、ナノファイバーの繊維長は、0.05〜2mmとすることが好ましく、0.2〜1mmにすることがさらに好ましい。
東洋精機キャピログラフ1Bにより高分子の溶融粘度を測定した。なお、サンプル投入から測定開始までの高分子の貯留時間は10分とした。
Perkin Elmaer DSC−7を用いて2nd runで高分子の融解を示すピークトップ温度を高分子の融点とした。この時の昇温速度は16℃/分、サンプル量は10mgとした。
色調計MINOLTA SPECTROPHOTOMETER CM-3700dを用いて、サンプルのb*を測定した。このとき、光源としてはD65(色温度6504K)を用い、10°視野で測定を行った。
D.高分子アロイ繊維の力学特性
試料繊維10mを不織布中から採取し、その重量をn数=5回として測定し、これの平均値から繊度(dtex)を求めた。そして、室温(25℃)で、初期試料長=200mm、引っ張り速度=200mm/分とし、JIS L1013に示される条件で荷重−伸長曲線を求めた。次に、破断時の荷重値を初期の繊度で割り、それを強度とし、破断時の伸びを初期試料長で割り伸度として強伸度曲線を求めた。
E.ポリマーアロイ繊維のウースター斑(U%)
ツェルベガーウスター株式会社製USTER TESTER 4を用いて給糸速度200m/分でノーマルモードで測定を行った。
繊維の横断面方向に超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)で繊維横断面を観察した。また、ナイロンはリンタングステン酸で金属染色した。
G.「高分子アロイ繊維」中の島成分(ナノファイバー前駆体成分)の数平均直径
島成分の数平均直径は以下のようにして求める。すなわち、TEMによる島成分横断面写真を画像処理ソフト(WINROOF)を用いて同一横断面内で無作為抽出した300個の島成分の直径を測定し、個々のデータを積算後、全数で除して単純平均値を求めた。これを「高分子アロイ繊維」の長さとして互いに10m離れた5カ所で行い、合計1500個の直径を測定し、その平均直径を「島成分数平均直径」とした。
ナノファイバー配合溶液、乳液の場合は溶液をサンプリングし、フィルムもしくはガラス板上にのせ60℃で乾燥する。乾燥した任意の場所から5mm角のサンプルを採取し、白金を蒸着し、日立製作所製超高分解能電解放射型走査型電子顕微鏡(UHR−FE−SEM)でサンプル中のナノファイバーを観察する。ゲル状物の場合は形態が安定していてゲル状のまま測定可能な場合はそのまま乾燥し、乾燥後白金蒸着しSEM観察をする。形態が安定しない場合は適切な溶媒で溶解し、その後は上記溶液と同様な方法で観察する。
単繊維数平均直径φmは以下のようにして求める。すなわち、上記H項で撮影したナノファイバー表面写真を画像処理ソフト(WINROOF)を用いて5mm角のサンプル内で無作為抽出した30本の単繊維直径を測定し、個々のデータを積算後、全数で除して単純平均値を求めた。サンプリングは合計10回行って各30本の単繊繊維直径のデータを取り、合計300本の単繊維直径のデータから単純平均して求めたものを「単繊維数平均直径φm」とした。 J.ナノファイバーの単繊維比率の和Paの評価
単繊維比率の和Paは、上記測定したデータを用い、[発明を実施するための最良の形態]の欄に記載した(3)式から求める。Paが大きいほどバラツキが小さくなる
K.ナノファイバーの単繊維直径の集中度指数Pbの評価
単繊維直径の集中度の評価Pbは、上記I項で測定したデータを用い、[発明を実施するための最良の形態]の欄に記載した(5)式で評価する。これは、単繊維の数平均直径付近のバラツキの集中度を意味しており、この繊度比率が高いほどバラツキが小さいことを意味している。
JIS P 8121「パルプのろ水度試験方法」のカナダ標準濾水度試験方法に従って、熊谷機器(株)製カナディアンフリーネステスターで測定した。20℃の室でナノファイバーの0.30±0.05%濃度の水溶液を1リットル秤量し、該カナディアンフリーネステスターに投入し3回測定し単繊維数平均直径した。該JISの補正表を使用し、0.30%からの濃度のずれによるデータ補正を行い濾水度とする。
測定用の繊維を約1.0gとり、洗剤や溶媒で油分を除去後水洗、乾燥し、20℃、湿度65%の状態で24時間調湿後、重量を精秤しW0とする。該繊維を水中に12時間浸漬した後取出し、水分量が60%±10%になるように遠心分離器か脱水機で脱水する。温度20℃、湿度25%に調湿した透明なボックスに天秤を入れ、直径5cm、高さ1cmのプラスチック容器を天秤に乗せる。測定用の繊維をプラスチック容器に入れ、乾燥し減量する繊維の重量Wiを1分毎に水分量が10%以下になるまで測定する。各時間の水分率WRi(%)は次式で表される。
WRiを各時間に対してグラフにプロットし、WRiが30%の時の接線を引きその傾きΔWR30から「10分間当たりの水分率減少率変化ΔWR10」を計算する。この測定を5回行い単純平均し、保湿指数(ΔWR10)とする。ΔWR30は、水分率が30%前後の繊維の乾燥速度であり、小さい値の方が保湿性が良好である。肌の水分率は15〜20%程度であり、繊維の保湿指数はこの肌の水分率を考慮し、水分率が30%の時乾燥速度を指標にしている。
測定用の繊維を約1.0gとり、洗剤や溶媒で油分を除去後水洗、乾燥し、20℃、湿度65%の状態で24時間調湿後、重量を精秤しW0とする。幅6mm厚み2mmの金属枠に取付けられた大きさが5cm×10cmの50メッシュのステンレス金網(重量Ws)を45°に傾斜させ固定する。該繊維を水中に12時間浸漬後取出し、該ステンレス金網の上部にのせ、20℃、湿度65%の環境で2分間放置する。繊維がのった金網の重量(Wt)を測定する。保水指数WIは次式で表される。
保水指数が大きいほど保水性が良好である。
繊維溶液を直径30mm、高さ10cmの密栓付き底面が平らな試料瓶に8cmの高さまで入れ、手で良く振って攪拌し、静置する。試料瓶の底から4cmのところに赤線の印を付ける。該溶液中の繊維の回転がなくなる時点でストップウォッチを押し沈降する繊維の状態を20℃の環境下で観察する。ナノファイバーが存在する上面が赤線まで沈降した時の時間Tsを沈降時間とする。沈降時間が長いほど分散安定性が良好である。
日立製作所(株)製分光光度計U−3400の標準試料セルには純水を入れ、他方のセルに測定用溶液を入れ、波長500nmの光源で平均透過率Trを測定する。透光率が高いほど透明性が良好である。
Q.ナノファイバーの面積比率の測定
ポリマーアロイ繊維から海成分を脱海したナノファイバー繊維束の横断面をTEMで観察し、繊維束全体の横断面積を(Sa)、繊維束に存在する1〜500nmのナノファイバーの個々の面積の総和を(Sb)とし、以下の式で求めた。
ナノファイバーの面積比率(%)=(Sb/Sa)×100 (9)
R.ゼータ電位測定
ナノファイバー配合溶液や分散液に0.001MのKClをあらかじめ添加し、pH=7にて電気泳動光散乱光度計ELS−800(大塚電子(株)製)で測定した。
「高分子アロイ繊維」の作製、市販叩解機によるナノファイバーの叩解、ナノファイバー配合ゲル構造物の作製の例
溶融粘度53Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点220℃のN6(20重量%)と溶融粘度310Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点225℃のイソフタル酸を8mol%、ビスフェノールAを4mol%共重合した融点225℃の共重合PET(80重量%)を2軸押し出し混練機で260℃で混練してb*値=4の高分子アロイチップを得た。なお、この共重合PETの262℃、1216sec-1での溶融粘度は180Pa・sであった。このときの混練条件は以下のとおりであった。
スクリュー 直径37mm、有効長さ1670mm、L/D=45.1
混練部長さはスクリュー有効長さの28%
混練部はスクリュー有効長さの1/3より吐出側に位置させた。
高分子供給 N6と共重合PETを別々に計量し、別々に混練機に供給した。
ベント 2個所
溶融紡糸に用いた溶融紡糸装置のモデル図を図1に示した。同図において、1はホッパー、2は溶融部、3はスピンブロック、4は紡糸パック、5は口金、6はチムニー、7は溶融吐出された糸条、8は集束給油ガイド、9は第1引き取りローラー、10は第2引き取りローラー、11は巻き取り糸である。
得られた高分子アロイ繊維は120dtex、12フィラメント、強度4.0cN/dtex、伸度35%、U%=1.7%の優れた特性を示した。また、得られた「高分子アロイ繊維」の横断面をTEMで観察したところ、N6が島成分(丸い部分)、共重合PETが海(他の部分)の海島成分構造を示し(図2参照)、島成分N6の直径は53nmであり、N6が超微分散化した「高分子アロイ繊維」が得られた。
ラボミキサーで長時間ナノファイバー集合体を叩解したナノファイバー配合溶液の例
実施例1の「高分子アロイ繊維」を脱海して得られた繊維長2mmのナノファイバー集合体短繊維7.0g(乾燥換算重量:水分110%含有)と水をラボミキサーに入れ500ccとし、(1)ラボミキサーで6000rpmで30分間分散し、(2)50メッシュのステンレス金網で濾過した溶液を得た。(3)ステンレス金網上のナノファイバーを水に戻しさらに(1)(2)の操作を3回繰り返した。この操作によって、約1.0wt%濃度のナノファイバー配合溶液を得た。該配合溶液をバットに10gとり、乾燥機中で水分を蒸発させ、繊維濃度を測定したところ、1.1wt%であった。さらに水を添加し1.0wt%濃度のナノファイバー配合溶液を調整した。該配合溶液は実施例1の2次叩解後の繊維の1.0wt%の状態に相当する。このナノファイバーの濾水度は157であった。これは、実施例1の2次叩解後のナノファイバーより濾水度が高く、ラボミキサーの叩解性はやや低いものの、長時間繰り返し攪拌することで、分散性が良好なナノファイバーを得た。該0.10wt%濃度ナノファイバー配合溶液70gと水をラボミキサーに入れ500ccとし、6000rpmで30分間分散して、ナノファイバー濃度を低減することで、0.10wt%のナノファイバー配合溶液(実施例2)を得た。
直径27μmの従来通常繊維の水溶液の例
市販の単繊維数平均直径が30μmのナイロン繊維を2mmにカットし、該繊維0.7gと水をラボミキサーに入れ500ccとし、(1)ラボミキサーで6000rpmで30分間分散し、(2)50メッシュのステンレス金網で濾過した溶液を得た。(3)ステンレス金網上のナノファイバーを水に戻しさらに(1)(2)の操作を3回繰り返した。この操作によって、約0.1wt%濃度のナイロン繊維の水溶液を得たが、繊維は全く叩解されていなかった。該水溶液をバットに10gとり、乾燥機中で水分を蒸発させ、繊維濃度を測定したところ、0.13wt%であった。さらに水を添加し0.10wt%濃度のナイロン繊維の水溶液(比較例1)を調整した。該0.10wt%濃度の水溶液70gと水をラボミキサーに入れ500ccとし、ラボミキサーで6000rpmで30分間分散することで、0.01wt%のナノファイバー水溶液(比較例2)を得た。
比較例1および比較例2の水溶液について、単繊維数平均直径φm、単繊維比率の和Pa、単繊維直径の集中度指数Pbの評価を行ったところ、φmは、27μm、Paは0%、Pbは92%とラボミキサー叩解した実施例2のナノファイバーと異なり、ナイロン繊維を叩解することはできなかった。また、比較例2の0.01wt%の水溶液について分散安定性を沈降時間で評価したところ、2.7分とかなり早く沈み、分散安定性は良くなかった。また、水溶液の透明性を評価したところ、比較例1、比較例2においてはそれぞれ66%、87%と透明性は良好であった。これはナノファイバーに比べて比較例1および2のナイロン繊維の直径が大きく、この水溶液中の単位体積当たりのナイロン繊維の本数が非常に少ないためである。
直径2μmの従来極細繊維水溶液の例
融点220℃のナイロン6(N6:60重量%)島成分に、ポリスチレン(PS)を海成分に用いて、特開昭53−106872号公報の記載のように海島成分複合糸し、延伸を行い生む島成分複合の延伸糸を得た。そして、これをやはり同特開昭公報の実施例記載のようにトリクロロエチレン処理によりPSを99%以上除去して直径が約2μmのN6極細繊維を得た。これの繊維横断面をTEM観察したところ、極細繊維の単繊維直径は2.2μmであった。N6極細繊維を2mmにカットし、該繊維0.7gと水をラボミキサーに入れ500ccとし、(1)ラボミキサーで6000rpmで30分間分散し、(2)50メッシュのステンレス金網で濾過した溶液を得た。(3)ステンレス金網上のナノファイバーを水に戻しさらに(1)(2)の操作を3回繰り返した。この操作によって、約0.1wt%濃度のN6極細繊維の水溶液を得たが、水溶液中でこの繊維は数mmから15mmの大きさのフロック状になり、水溶液中で十分には分散しなかった。該水溶液をバットに10gとり、乾燥機中で水分を蒸発させ、繊維濃度を測定したところ、0.12wt%であった。さらに水を添加し0.10wt%濃度のN6極細繊維の水溶液(比較例3)を調整した。該0.10wt%濃度の水溶液70gと水をラボミキサーに入れ500ccとし、ラボミキサーで6000rpmで30分間分散することで、水溶液中のナイロン繊維濃度を低減し、0.01wt%のN6極細繊維の水溶液(比較例4)を得た。該水溶液は比較例3と比べて、フロックの大きさは小さくなったが、水溶液中で1mm〜5mmのクラスター状になり、また、そのクラスターが凝集し易く、静置するとN6極細繊維が沈降し易いものであった。該0.01wt%水溶液について、単繊維数平均直径φm、単繊維比率の和Pa、単繊維直径の集中度指数Pbの評価を行ったところ、φmは、2.1μm、Paは0%、Pbは88%であり、実施例2のナノファイバーとは異なり、ナイロン繊維を叩解することはできなかった。比較例4の0.01wt%の水溶液について分散安定性を沈降時間で評価したところ、1.1分とかなり早く沈み、分散安定性は良くなかった。また、水溶液の透明性は比較例3、比較例4においてはそれぞれ14%、52%であった。
実施例1の高濃度のナノファイバー配合ゲル状物からの低濃度ナノファイバー配合溶液の作製例
実施例1で得られた2次叩解後の10wt%ナノファイバーを150g採取し、水を850gを添加し、(1)ラボミキサーで6000rpmで5分間分散し、(2)50メッシュのステンレス金網で濾過した溶液を得た。(3)ステンレス金網上のナノファイバーを水に戻しさらに(1)(2)の操作を5回繰り返した。この操作によって、約1wt%濃度のナノファイバー配合溶液を得た。該溶液をバットに10gとり、乾燥機中で水分を蒸発させ、繊維濃度を測定したところ、1.12wt%であった。さらに水を添加し1.00wt%濃度のナノファイバー配合溶液(実施例4)を調整した。該1.00wt%濃度のいナノファイバー配合溶液を150g採取し、水を850g添加し、上記(1)(2)(3)((3)の操作回数は3回)の操作を行った後に濃度調整を行い、0.10wt%濃度のナノファイバー配合溶液(実施例5)を得た。0.10wt%濃度のナノファイバー配合溶液を150g採取し、水を850gを添加し、上記(1)(2)(3)((3)の操作回数は3回)の操作を行った後に濃度調整を行ない、0.01wt%濃度のナノファイバー配合溶液(実施例6)を得た。実施例6のナノファイバー配合溶液のゼータ電位を測定したところ、―14mVであった。該実施例6のナノファイバー配合溶液の分散安定性を沈降時間で評価したところ、従来繊維の通常繊維は2.7分(比較例2)、極細繊維は1.1分(比較例4)に対して、本実施例6のナノファイバー配合溶液中のナノファイバーの沈降時間は10分であり、ナノファイバーの分散性が従来繊維に比較して良好であった。なお、極細繊維が通常繊維に比較し、分散性がやや悪いのは、通常繊維が水溶液中でバラバラであるのに対し、極細繊維は3〜10mmの大きなフロック状になるため沈に降が速いためである。また、実施例4、5、6の配合溶液の透明性は、それぞれ0%、1.2%、51%であった。実施例6の配合溶液中のナノファイバーについて、単繊維数平均直径φm、単繊維比率の和Pa、単繊維直径の集中度指数Pbの評価を行った結果、φmが60nm、Paが100%、Pbが66%であった。
実施例4〜6に分散剤を添加した例
実施例4、5、6で作製したナノファイバー配合溶液に第一工業製薬(株)製の主成分がポリアクリル酸ソーダであるアニオン系分散剤(シャロールAN−103:分子量10000)をそれぞれの配合溶液に対して濃度が0.10wt%になるように添加し、攪拌して実施例7〜9の配合溶液を得た。実施例9のナノファイバー配合溶液のゼータ電位を測定したところ、―50mVであった。この実施例8のナノファイバー配合溶液の分散安定性を沈降時間で評価したところ、従来繊維の通常繊維は3.7分(比較例5)、極細繊維は1.3分(比較例6)に対して、実施例8のナノファイバー配合溶液は360分であった。実施例6と実施例9、比較例2と5、比較例4と6の沈降時間を比較すると、分散剤添加の効果は、ナノファイバー配合溶液が最も大で、従来の通常繊維や極細繊維に比べて、ナノファイバーでは分散剤の添加によって分散性が飛躍的(無添加に対し36倍)に向上する。また、実施例7、8、9の配合溶液の透明性は、それぞれ0%、2.4%、63%であり、実施例8の0.10wt%濃度の配合溶液と実施例7の1.0wt%濃度の配合溶液に対しては透明性を向上させる効果がなかったが、分散剤添加によって実施例9の0.01wt%濃度の配合溶液では分散剤を添加していない実施例6に比べて、10%以上の透明性を向上させる効果が得られた。配合溶液中のナノファイバーの濃度が高い場合、配合溶液の単位容積当たりのナノファイバーの本数が膨大になり、分散剤を入れても分散性がそれほど向上しない。配合溶液の透明性を必要とする場合、配合溶液の単位容積あたりのナノファイバー本数を抑制することが好ましく、ナノファイバーの濃度を0.05wt%以下にすることが好ましい。
比較例2と4の従来の通常繊維ならびに極細繊維の水溶液に分散剤を添加した例
実施例2と4で作製した水溶液に第一工業製薬(株)製の主成分がポリアクリル酸ソーダであるアニオン系分散剤(シャロールAN−103:分子量10000)を濃度が0.10wt%になるように添加し、攪拌して比較例5および6の水溶液を得た。該比較例5と6の水溶液の分散安定性を沈降時間で評価したところ、従来繊維の通常繊維は3.7分(比較例5)、極細繊維は1.3分(比較例6)であり、沈降が速く起こり、分散安定性が良くなかった。
ナノファイバー配合化粧水の例(1)
実施例6で作製したナノファイバー配合溶液に下記配合剤を添加し、ナノファイバー配合の化粧水を作製した。被験者10人に対して、化粧水を使用した時の官能評価を行ったところ、比較例7、8のように従来の直径が数10nmの繊維や数μmの極細繊維を使った化粧水では、化粧する際に太い繊維によるざらつき感を感じた人が比較例7では10人、比較例8では9人であったが、ナノファイバー化粧水の場合には、被験者全てにおいて使用感に違和感がなく、自然な感じがするとのことであった。また、ナノファイバー化粧水は肌荒れ改善や日焼け防止にもなり、さらに汗による流れがなく化粧もちも良好であった。
グリセリン 5.0wt%
アラントイン 0.3wt%
エタノール 8.0wt%
パラ安息香酸エチル 0.2wt%
合計 100.0wt%
比較例7、8
従来の通常繊維ならびに極細繊維を配合した化粧水の例
比較例2、4で作製した直径が27μm通常繊維と直径が2.1μmの極細繊維の水溶液に下記配合剤を添加し、比較例7および8の化粧水を作製した。従来の直径が数10nmの繊維や数μmの極細繊維では、化粧する時に繊維によるざらつき感があった。
比較例4の水溶液(比較例8) 86.5wt%
グリセリン 5.0wt%
アランイン 0.3wt%
エタノール 8.0wt%
パラ安息香酸エチル 0.2wt%
合計 100.0wt%
実施例11
ナノファイバー配合化粧水の例(2)
実施例5で作製したナノファイバー配合溶液と市販の化粧水(資生堂製ザ・スキンケア ハイドロバランシングソフナー)を下記配合比率とし、ラボ攪拌機で3分間混合し、ナノファイバー配合化粧水を作製した。被験者10人に対して、化粧水を使用した時の官能評価を行ったところ、被験者全てにおいて、使用時の違和感がなく自然な感じがするとのことであった。ナノファイバーを配合することによって、汗による化粧の流れが防止でき、化粧もちも向上した。またナノファイバーを配合することで、ナノファイバー間の交絡により孔径が小さくなることで保湿性が良好となり、化粧使用後の肌のしっとり感が向上した。
実施例5のナノファイバー配合溶液 10wt%
ザ・スキンケア ハイドロバランシングソフナー 90wt%
合計 100wt%
実施例12
ナノファイバー配合乳液の例(1)
実施例5で作製したナノファイバー配合溶液に下記配合剤を添加し、乳液を作製した。配合方法としては以下の通りである。まず、ナノファイバー、レシチン、プロピレングリコールと純水を入れて攪拌し、A液とする。次に、カルボキシビニルポリマーをエタノールアミンの一部(0.4wt%分)で中和してB液とする。さらにステアリン酸、モノステアリン酸グリセリン、セタノール、流動パラフィン、スクワランなどの油成分を80℃で混合しC液とする。A液に残りのエタノールアミン(1.0wt%分)を添加し80℃で混合後、油成分のC液を混合し乳化し、更にB液を加え粘度を調整し、ナノファイバー配合乳液を得た。ナノファイバー配合乳液は均一分散性や長期安定性が良好な乳液であった。また、被験者10人に対して、乳液を使用した時の官能評価を行ったところ、被験者全てにおいて、使用時の肌への違和感がなく自然な感じがするとのことであった。該乳液は肌荒れ改善や汗による流れがなく、化粧もちも良好であった。
トリエタノールアミン 1.4wt%
レシチン 0.2wt%
プロピレングリコール 8.3wt%
パラ安息香酸メチル 0.2wt%
1%カルボキシビニルポリマー 20.0wt%
ステアリン酸 2.6wt%
モノステアリン酸グリセリン 1.0wt%
セタノール 1.0wt%
流動パラフィン 8.0wt%
スクワラン 1.0wt%
純水 46.3wt%
合計 100.0wt%
実施例13
ナノファイバー配合乳液の例(2)
実施例5で作製したナノファイバー配合溶液と市販の乳液(資生堂製ザ・スキンケア ナイトエッセンシャルモイスチャーライザー)を下記配合比率とし、ラボ攪拌機で15分間混合し、ナノファイバー乳液を作製した。被験者10人に対して、乳液を使用した時の官能評価を行ったところ、被験者全てにおいて、乳液使用時の違和感がなく自然な感じの使用感であるとのことであった。また、ナノファイバーが肌表面を均一に覆う、すなわち肌表面の密閉力で、化粧使用後の肌のしっとり感が向上した。また、ナノファイバーを配合することによって、汗による流れが防止でき、化粧もちも向上した。
ザ・スキンケア ナイトエッセンシャルモイスチャーライザー 90wt%
合計 100wt%
実施例14
ナノファイバー配合ファンデーションの例
下記A群配合剤を80℃で高速ラボ攪拌機で均一になるまで混合する。B群も80℃で低速ラボ攪拌機で均一になるまで混合する。B群配合剤をA群に混合し乳化する。乳化した液に 実施例4で作製したナノファイバー配合溶液を均一になるまで混合後、冷却してナノファイバー配合ファンデーションを得た。被験者10人に対して、ファンデーションを使用した時の官能評価を行なったところ、被験者全てにおいて、使用時の違和感がなく、塗布時の滑りが良好で、肌のしわやしわスジなどへもなじみやすく、肌へのファンデーションの密着性も良好とのことであった。また、使用時の感触についても、ナノファイバーによって肌への程良い通気性と多数本のナノファイバーによる密閉力による保湿性のバランスが良好であった。また、該ファンデーションは繊維の密着力や保水性、保湿性、通気性などの効果により化粧もちが良好であり、汗による流れの抵抗も大きかった。
実施例4のナノファイバー配合溶液 10.0wt%
A群 プロピレングリコール 5.0wt%
ブチルグリコール 8.0wt%
カルボキシビニルポリマー 0.3wt%
トリエチールアミン 0.5wt%
メチルパラベン 0.1wt%
酸化チタン微粒子 6.0wt%
タルク 1.5wt%
ベンガラ 1.5wt%
酸化鉄 1.0wt%
純水 42.4wt%
B群 ステアリン酸 2.6wt%
ミリスチン酸オクチルドデシル 10.0wt%
セタノール 1.0wt%
モノステアリン酸グリセリン 2.0wt%
流動パラフィン 6.0wt%
スクワラン 2.0wt%
プロピレンパラベン 0.1wt%
合計 100.0wt%
実施例15
ナノファイバー配合油性クリームの例
実施例4で作製したナノファイバー配合溶液に下記配合剤を添加し、40℃で低速ラボ攪拌機で均一になるまで混合し、ナノファイバー配合の油性クリームを作製した。被験者10人に対して、油性クリームを使用した時の官能評価を行ったところ、被験者全てにおいて、使用時の違和感がなく、塗布時の滑りが良好で感触も良好であるとのことであった。該クリームは肌のしっとり感が良好であり、汗による流れがなく、化粧もちが良好であった。
実施例4のナノファイバー配合溶液 10.0wt%
セタノール 5.0wt%
ラノリン 5.0wt%
ミリスチン酸プロピル 10.0wt%
流動パラフィン 27.0wt%
ワセリン 10.0wt%
親油性界面活性剤 4.0wt%
親水性界面活性剤 4.0wt%
パラフィン 1.0wt%
純水 24.0wt%
合計 100.0wt%
実施例16
ナノファイバー配合パックの例
実施例1で作製した2次叩解後のナノファイバーゲル状物に下記配合剤を添加し、40℃で低速ラボ攪拌機で均一になるまで混合し、ナノファイバー配合のパックを作製した。被験者10人に対して、パックを使用した時の官能評価を行ったところ、被験者全てにおいて、使用時の違和感がなく、塗布時の滑りが良好でであり、感触も良好であった。また、パック中のナノファイバーが肌のしわスジ内にも入り込み、スジ内の取れにくい汚れや脂肪成分なども除去でき、さっぱり感があり、肌にツヤがでる効果があった。また、該汚れや脂肪分除去後に肌への保湿や栄養分供給(各種栄養成分の添加が可能)によって肌の荒れ防止や肌の回復に効果があった。更に、肌全体に保湿、保水効果があり、肌にしっとり感と潤いを与えるとのことであった。また、配合されたパックを少量スライドガラスに採取して、平均直径が0.02μmの酸化チタン微粒子を観察したところ、酸化チタンの凝集はなく微細に分散されていた。
実施例1のナノファイバーゲル状物 20.0wt%
プロピレングリコール 5.0wt%
グリセリン 5.0wt%
ベントナイト 2.0wt%
酸化チタン微粒子 1.0wt%
純水 67.0wt%
合計 100.0wt%
実施例17
ナノファイバーを乳液中で直接叩解する方法の例
実施例1で得られた水分率100%のナノファイバー集合体短繊維1.6g(乾燥時0.8g)を採取し、実施例13で用いた市販の乳液(資生堂製(ザ・スキンケア ハイドロバランシングソフナー))を499.5gを添加し、(1)ラボミキサーで6000rpmで5分間分散し、(2)50メッシュのステンレス金網で濾過した乳液を得た。(3)ステンレス金網上のナノファイバーを乳液に戻しさらに(1)(2)の操作を7回繰り返した。この操作によって、約0.1wt%濃度のナノファイバー乳液を得た。該乳液をバットに10gとり、乾燥機中で水分を蒸発させ、繊維濃度を測定したところ、0.12wt%であった。さらに市販の乳液を添加し0.10wt%濃度のナノファイバー乳液を調整した。
実施例1のナノファイバー(純分) 0.1wt%
ザ・スキンケア ハイドロバランシングソフナー 99.9wt%
合計 100.0wt%
実施例18、19
ナノファイバーを有機溶媒に配合した配合溶液の例
実施例1で得られた水分率100%ナノファイバー集合体短繊維を50℃で12時間乾燥し、乾燥後のナノファイバー0.8gを下記溶媒:エタノール(実施例18)、トルエン(実施例19)499.5gに投入し、(1)ラボミキサーで6000rpmで10分間溶媒中で直接混合分散し、(2)50メッシュのステンレス金網で濾過し有機溶媒溶液を得た。(3)ステンレス金網上のナノファイバーを有機溶媒溶液に戻しさらに(1)(2)の操作を7回繰り返した。この操作によって、約0.1%濃度のナノファイバーを有機溶媒に配合した配合溶液を得た。該溶液をバットに10gとり、乾燥機中で溶媒を蒸発させ、繊維濃度を測定したところ、それぞれ0.11wt%であった。さらにそれぞれの有機溶媒を添加し0.10wt%濃度のナノファイバー配合溶液を調整した。該溶液中のナノファイバーは有機溶媒中でよく分散し、単繊維数平均直径はφmは、それぞれ61nm(実施例18)、62nm(実施例19)であり、単繊維比率の和Paについても両実施例とも100%であり、単繊維直径の集中度指数Pbは、それぞれ64%(実施例18)、63%(実施例19)であり、ナノファイバーを有機溶媒中で叩解しても、実施例1の水中での叩解と同様にナノファイバーを叩解できることがわかった。
実施例1のナノファイバー(純分) 0.1wt%
エタノール(実施例18) 99.9wt%
トルエン (実施例19) 99.9wt%
合計 100.0wt%
実施例20
ナノファイバー配合溶液の溶媒置換例
実施例1で作製したナノファイバー10wt%ゲル状物(水分率9倍=900%)を水分率1倍(100%)まで脱水したゲル状物200gを採取し、エタノール800g中に投入し、ラボ攪拌機で6000rpmで15分間攪拌した。これを溶媒率が1倍(100%)まで脱溶媒し、繊維の約8倍量のエタノールに再投入し、ラボ攪拌機で6000rpmで15分間攪拌した。この操作を5回繰り返し、残存水分率を0.1wt%以下にし、ナノファイバーをエタノールに配合した配合溶液1000gを得た(エタノール中の水分の残存率は用途によって溶媒置換の回数で制御可能)。この方法によって、溶媒を水からエタノールに置換することができた。本方法は使用する有機溶媒の種類によってナノファイバーの凝集が起こり易いといった場合、ナノファイバーの分散や凝集状態を確認しながら溶媒置換することが可能な方法であり、有機溶媒への馴染み性が低いナノファイバーの均一分散化に適した方法である。
ナノファイバー配合塗料の例
実施例19で得られた溶媒がトルエンであるナノファイバー配合溶液300gと溶媒がトルエンである市販のウレタン系塗料300gをラボニーダーで120rpmの条件で30℃、30分間攪拌し、ナノファイバーを配合した塗料を得た。得られた塗料は、刷毛による塗布時の伸びがよく、塗布加工がし易いものであった。また、塗布後の塗料のツヤがよく、塗布表面も繊維を添加してあるにもかかわらず滑らかであった。
分散剤を添加したナノファイバー配合溶液の例(1)
実施例1で用いたN6と重量平均分子量12万、溶融粘度30Pa・s(240℃、剪断速度2432sec-1)、融点170℃のポリL乳酸(光学純度99.5%以上)を用い、N6の含有率を20wt%とし、混練温度を220℃として実施例1と同様に溶融混連し、ポリマーアロイチップを得た。
ナイアガラビータに約20リットルの水と該短繊維を30g投入し、繊維をそれぞれ10分間1次叩解した。1次叩解したナノファイバーの濾水度は152であった。この繊維を遠心分離器で水分を除去し、繊維濃度が12wt%の1次叩解繊維を250gを得た。この1次叩解繊維をPFI叩解装置で10分間2次叩解した後、脱水してナノファイバーの10wt%濃度の2次叩解繊維250gをそれぞれ得た。2次叩解したナノファイバーの濾水度は32であった。2次叩解後のナノファイバーの形態を評価するため、この10wt%濃度の2次叩解繊維を水でうすめ、0.01wt%のナノファイバー配合溶液を作製し、φm、Pa、Pbの評価を行ったところ、φmが58nm、Paが100%、Pbが67%であった。
得られた2次叩解後の10wt%ナノファイバーを1g採取し、水を999g添加し、(1)ラボミキサーで13900rpmで5分間分散し、(2)50メッシュのステンレス金網で濾過した溶液を得た。(3)ステンレス金網上のナノファイバーを水に戻しさらに(1)(2)の操作を5回繰り返した。この操作によって、約0.01wt%濃度のナノファイバー配合溶液を得た。該溶液をバットに10gとり、乾燥機中で水分を蒸発させ、繊維濃度を測定したところ、0.01wt%であった。
分散剤を添加したナノファイバー配合溶液の例(2)
実施例22において得られたナノファイバーからなるトウを用い、繊維長0.5mmおよび繊維長1mmにカットしたナノファイバー短繊維を得た。実施例23においては、繊維長0.5mm、実施例24においては繊維長1mmのナノファイバー短繊維を用い、実施例22と同様の方法で叩解して2次叩解繊維を得た。2次叩解したナノファイバーの濾水度は実施例23においては43、実施例24においては58であった。引き続いて、実施例22と同様に溶液の濃度調製、ならびに分散剤を添加して、実施例23および24のナノファイバー配合溶液をそれぞれ得た。
この配合溶液中のナノファイバーの分散安定性を沈降時間で評価したところ、実施例23においては520分、実施例24においては410分であった。また、この配合溶液の透明性を評価したところ、実施例23においては70%、実施例24においては68%であった。
分散剤を添加したナノファイバー配合溶液の例(3)
実施例22において、実施例25では分散剤の添加濃度を10wt%、実施例26では0.01wt%とし、ナノファイバー配合溶液をそれぞれ得た。この配合溶液中のナノファイバーの分散安定性を沈降時間で評価したところ、実施例25では452分、実施例26においては627分であった。また、それぞれの配合溶液の透明性は、実施例25においては65%、実施例26においては83%であった。
実施例27
分散剤を添加したナノファイバー配合溶液の例(4)
溶融粘度120Pa・s(262℃、121.6sec-1)、融点225℃のPBTと2エチルヘキシルアクリレートを22%共重合したポリエスチレン(co−PS)PBTの含有率を20重量%とし、混練温度を240℃として実施例1と同様に溶融混練し、高分子アロイチップを得た。
得られた2次叩解繊維を1.3g採取し、水を998g添加し、(1)ラボミキサーで13900rpmで5分間分散し、(2)50メッシュのステンレス金網で濾過した溶液を得た。(3)ステンレス金網上のナノファイバーを水に戻しさらに(1)(2)の操作を5回繰り返した。この操作によって、約0.01wt%濃度のPBTナノファイバー配合溶液を得た。該溶液をバットに10gとり、乾燥機中で水分を蒸発させ、繊維濃度を測定したところ、0.01wt%であった。
分散剤を添加したナノファイバー配合溶液の例(5)
溶融粘度300Pa・s(220℃、121.6sec-1)、融点162℃のPP(20重量%)と実施例22のポリL乳酸(80重量%)とし、混練温度を220℃として実施例1と同様に溶融混練し、高分子アロイチップを得た。
この短繊維から実施例1と同様に2次叩解繊維を得た。この2次叩解後のPPナノファイバーの繊維濃度は6wt%であり、濾水度は104であった。2次叩解後のナノファイバーの形態を評価するため、この10wt%濃度の2次叩解繊維を水でうすめ、0.01wt%のPPナノファイバー配合溶液を作製し、φm、Pa、Pbの評価を行ったところ、φmが154nm、Paが100%、Pbが69%であった。
得られた2次叩解繊維を1.7g採取し、水を998g添加し、(1)ラボミキサーで13900rpmで5分間分散し、(2)50メッシュのステンレス金網で濾過した溶液を得た。(3)ステンレス金網上のナノファイバーを水に戻しさらに(1)(2)の操作を5回繰り返した。この操作によって、約0.01wt%濃度のPPナノファイバー配合溶液を得た。該溶液をバットに10gとり、乾燥機中で水分を蒸発させ、繊維濃度を測定したところ、0.01wt%であった。
2:溶融部
3:スピンブロック
4:紡糸パック
5:口金
6:チムニー
7:糸条
8:集束給油ガイド
9:第1引取ローラー
10:第2引取ローラー
11:巻取機
12:脱海処理槽
13:脱海処理液配管
14:ポンプ
15:上バー
16:下バー
17:処理液吐出穴
18:カセ状のトウ
19:脱海処理液
Claims (23)
- 熱可塑性高分子からなり、数平均による単繊維の直径が1〜500nm、該単繊維比率の和Paが60%以上である繊維分散体、および溶媒を含むことを特徴とする乳液。
- 熱可塑性高分子からなり、数平均による単繊維の直径が1〜200nm、該単繊維比率の和Paが60%以上である繊維分散体、および溶媒を含むことを特徴とする乳液。
- 数平均による単繊維の直径を中央値としその前後30nm幅に入る繊維の割合を表す単繊維直径の集中度指数Pbが50%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の乳液。
- 該溶媒が水、油および有機溶媒からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の乳液。
- 該繊維分散体の濾水度が350以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の乳液。
- 該繊維分散体の含有量が5wt%以下であることを特徴する請求項1〜5のいずれかに記載の乳液。
- 該繊維分散体が繊維長5mm以下の短繊維からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の乳液。
- 該熱可塑性高分子が、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリウレタン、フッ素系高分子及びそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の乳液。
- 分散剤を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の乳液。
- 該分散剤の含有量が0.00001〜20wt%であることを特徴とする請求項9に記載の乳液。
- 熱可塑性高分子からなり、数平均による単繊維の直径が1〜500nm、該単繊維比率の和Paが60%以上である繊維分散体、および溶媒を含むことを特徴とするゲル状物。
- 熱可塑性高分子からなり、数平均による単繊維の直径が1〜200nm、該単繊維比率の和Paが60%以上である繊維分散体、および溶媒を含むことを特徴とするゲル状物。
- 数平均による単繊維の直径を中央値としその前後30nm幅に入る繊維の割合を表す単繊維直径の集中度指数Pbが50%以上であることを特徴とする請求項11または12に記載のゲル状物。
- 該溶媒が水、油および有機溶媒からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載のゲル状物。
- 該繊維分散体の濾水度が350以下であることを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載のゲル状物。
- 該繊維分散体の含有量が5wt%以下であることを特徴する請求項11〜15のいずれかに記載のゲル状物。
- 該繊維分散体が繊維長5mm以下の短繊維からなることを特徴とする請求項11〜16のいずれかに記載のゲル状物。
- 熱可塑性高分子が、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリウレタン、フッ素系高分子およびそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項11〜17のいずれかに記載のゲル状物。
- 分散剤を含むことを特徴とする請求項11〜18のいずれかに記載のゲル状物。
- 該分散剤の含有量が0.00001〜20wt%であることを特徴とする請求項19に記載のゲル状物。
- 請求項1〜20のいずれかに記載の乳液またはゲル状物を用いてなる化粧品。
- 請求項1〜20のいずれかに記載の乳液またはゲル状物を用いてなる塗料。
- 水、油及び有機溶媒からなる群から選ばれる少なくとも一種の中で、繊維集合体を直接叩解することを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の乳液またはゲル状物の製造方法。
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