JP5061391B2 - 平角線の巻取装置および巻取方法 - Google Patents
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Description
この種の平角線をボビンに多層に整列巻きする場合、上層への層上がりする部分において、ボビン鍔と平角線の間に隙間や同一列に隣接する平角線に重なりが発生しやすい問題がある。
特許文献1の線材供給部は、図9に示すように、ボビンの軸方向に往復移動されるトラバーサ1の支持板2に回転自在に搭載した回転板3に線材繰り出しプーリ4を先端に設けたアーム5の基端を連結している。該回転板3をスプリング6により前記プーリ4を引き戻す方向に付勢し、スプリング6のバネ力をバネ力調整装置7で制御し、線材の押し付け力を調整して隣接する線材同士を密着させて整列巻きしている。さらに、上層から下層に折り返す部分では、回転板3に設けた凸形係合部3aを回転規制シリンダ8で移動される凹形係合部9と係合させて回転板3の回転動作をロックしている。
前記ボビンの軸線方向のトラバース速度をシーケンス制御し、ボビンの胴部両端の鍔部と平角線が接触する反転位置で一時停止して重ね巻して層上がりさせ、層上がりした線に再び平角線が重ならないようにトラバース速度を速めて反転し(以下、クイック巻き反転と称する)、線押えローラにより平角線を鍔部側へと付勢して隙間を減少していることを特徴とする平角線の巻取方法を提供している。
反転位置での平角線の巻取方法を前記方法とすることで、平角線の多層整列巻きで隙間や重なり等の巻き乱れが発生しやすい反転位置での巻き取りを、巻乱れを発生させることなく巻き取ることができる。
即ち、反転位置の下層の平角線に重ねた上層の平角線と、クイック巻きする隣接の平角線との間に隙間が発生し、この隙間を無くすために線押えローラで押すと平角線はS字状に巻き付かれた状態となる。この状態のままで巻き付けていくとボビンの胴部全長にかけて平角線がS字状に巻き付けられた状態を解消しにくい。よって、このS字巻の状態を解消する必要があるため、トラバースの急速移動、一次停止後の低速移動運転領域では、巻きピッチと平角線の幅よりも2〜10%広くとることにより、平角線のS字巻きを次第に斜め並行巻きへと移行させることができる。
前記線押えローラは左右一対設け、一方の線押えローラを前記反転位置でボビン側へ位置して平角線と接触させ、他端側の鍔部の近くまで前記トラバースと略同期して移動した後にボビン側から離れる方向に移動し、該離反位置に向けて前記スプリングによる付勢力を次第に減少し、該線押えローラを離反した後に他方の線押えローラを他端側の反転位置でボビン側へ移動させて平角線と接触させている。
トラバーサでボビンを軸線方向に往復移動させ、回転駆動されるボビンに平角線を多層整列巻きする巻取装置であって
前記トラバーサによるボビンの移動速度を、ボビンへの平角線の巻付領域によって可変制御するトラバース制御手段と、
ボビン軸端の鍔に接する位置で反転して層上がりする前記平角線を鍔側へ付勢する線押えローラと、
前記線押えローラをボビンに対して近接離反させると共にボビンの軸線方向に往復移動させる線押えローラ駆動制御手段と、
を備えていることを特徴とする平角線の巻取装置を提供している。
前記変速移動運転は、平角線が鍔に接する位置でトラバースを一次停止、該停止後に急速移動、該急速移動後に一旦停止、該停止後に定速移動をさせる運転パターンとし、
前記線押えローラ駆動制御は、線押えローラを先端に取り付けたアームを移動台に回転手段を介して突設し、該回転駆動手段と前記移動台の移動手段はエアーシリンダを用い、エアーの切り替えの電磁弁をシーケンス制御し、押えローラは鍔での反転直前にボビン上に接触させ、前記トラバースの急速移動後の一時停止時に押えローラにて平角線を鍔部へと付勢し、該状態で平角線の巻き取り方向と同一方向に移動させ、所定位置でボビン側より押えローラを離反移動させている。
よって、従来は作業員が反転領域に発生する隙間を無くしたり、整列する平角線の重なりを是正する作業を不要とでき、省力化を図ることができる。
該エナメル線は、例えば、厚さ0.5〜5.0mm、幅1.0〜10.0mmとされ、極薄細幅のエナメル線を多層整列巻きする場合にも反転位置で巻乱れや隙間を発生させることなく巻き取ることができる。
なお、前記エナメル線以外の断面矩形状とした被覆電線にも適用することができる。
よって、従来の平角線の多層整列巻きにおいて解消出来なかった反転位置での隙間の発生や、重なり、ねじれ等の巻乱れの発生を防止することができる。
図1は平角線の巻取装置全体の概略図であり、エナメル線からなる平角線10を巻き付けるボビン11は、ボビン取付用のスピンドル12に着脱自在に装着し、該スピンドル12をギアを介してトルクモータ40により一定張力で回転駆動している。平角線10は固定したアームガイド20から繰り出し、ボビン11の下方に配置したトラバーサ13によりボビン11を往復移動し、該往復移動するボビン11の外周面に平角線10を軸線方向に巻き付けている。
即ち、移動を停止すると、平角線10はボビン11の円筒胴部11aに上下に重ねて巻き付けられ、巻取回転角度は0度となる。一方、移動速度を早くすると、ボビン11への巻取回転角度は次第に大きくなって、クイック巻きとなる。
該線押えローラ14(14−1、14−2)は、図2に示すように、アーム25A、25Bの先端に取り付け、アーム25A、25Bの基端を移動台23上に搭載した一対の回転用のエアーシリンダ24(24A、24B)に基端を軸着している。アーム25A、25Bの矢印方向に示す回転で、線押えローラ14を起動位置と起動解除位置と変位させている。起動位置はアーム25A、25Bをボビン11側に近接させる下方移動位置であり、起動解除位置とはボビン11から離れる上方の復帰位置である。
本実施形態で用いる平角線からなるエナメル線は、厚さTが1.7mm、幅Wが1.9mmである。
前記大径筒部14aと小径筒部14bとからなる線押えローラ14は前記ローラ支持軸30の先端に回転自在に外嵌して取り付けている。
図4(A)に示すように、ボビン11の円筒胴部11aの両端の鍔部11bに近接する反転領域Sは3つの運転パターンからなる変速運転とし、トラバーサの移動台16の移動速度をサーボモータ18により変速している。両側の反転領域Sに挟まれた中央領域Mは定速運転としている。図4(B)において、変速運転は太実線で示し、定速運転は細実線で示す。
具体的には、この反転位置S1での一時運転休止時に、平角線10はボビンの円筒胴部11aに1.5周巻き付けて層上がりさせ、図6(A)(B)(C)に示すように、下層の1回転分の平角線10d1と上層の平角線10u1の0.5周分重ねている。
以下、線押えローラ14の作動を説明する。
前記スプリング32による押さえ力は、前記のように、アーム25とカラー33の隙間Cを平角線10の幅により調整しており、前記図3(A)に示すセット時には、平角線10の0.5〜1本分の幅に対応する隙間をあけている。
平角線10の反転後に前記空隙Kおよび大きな隙間X1を解消する際には、図7(A)に示すように、アーム25とカラー33の隙間Cを平角線10の1〜2本分に広げて、アーム25と線押えローラ14との間隔を狭くしてスプリング32を圧縮して、線押えローラ14へ負荷するバネ力を大としている。このバネ力を大とした線押えローラ14−1により鍔部11b側に平角線10u1を押すことにより、前記図6(D)に示すように、平角線10u1の後巻付け部分の0.5周と鍔部11bの間に発生した三角形状の空隙Kを図6(E)に示す微小な空隙jを残すだけで鍔部11bと平角線10u1とを接触させている。また、平角線10u1〜10u4のそれぞれの隣接間に発生させる大きな隙間X1は無くしている。
この状態で、前記空隙Kを無くすために、平角線10u1〜10u4は図6(F)に示すように、S字状に屈曲して巻き付くこととなる。
よって、前記トラバース制御でクイック運転後に、トラバースを一時停止して、平角線10u5をボビン11の円筒胴部11aに軸直角方向(巻取回転角度0゜)で巻き付け、S字巻きの状態から、平角線が屈曲しない斜向巻き付け状態に移行させている。
反転位置S1よりバネ力を次第に弱めるために、アーム25とカラー33の隙間Cを次第に小さくして、スプリング33を伸長させ、線押えローラ14へ負荷するバネ力を減少し、ボビン11の長さ方向の中央位置より左端の鍔部11bに近い位置に達した時点で隙間Cを無くしている。この位置で達した時点で、アーム25Aを上昇させて平角線10と接触を解除して復帰位置に戻す。
この復帰位置では、図7(C)に示すように、線押えローラ14と平角線10との間に隙間をあけている。
即ち、鍔部11bと接触する反転位置では平角線10は並行にターンして層上がりし、層上がりした平角線10u1は隣接して巻回する平角線10u2にクイック巻きしているために、平角線10u1に平角線10u2が乗り上げさせない状態となる。
反転後にクイック巻きした平角線10u2〜10u4はS字巻きされるが、線押えローラ14により平角線間の隙間は狭められている。
クイック巻き後にトラバースを一旦休止してボビン11に巻付回転角度を0度として平角線10u5を巻き付けるため、前記S字巻きの曲線が緩やかに回復し、円筒胴部11aの中央領域Mでは斜め並行巻きとなる。
10d1 反転位置の下層の平角線
10u1 反転位置の上層の平角線
10u2〜10u4 上層のクイック巻きする平角線
11 ボビン
11a 円筒胴部
11b 鍔部
12 スピンドル
13 トラバーサ
14(14−1、14−2) 線押えローラ
14a 大径部
14b 小径部
22 直進用シリンダ
23 移動台
25A、25B アーム
S 反転領域
S1 反転位置
S2 反転後のクイック巻き開始位置
S3 一時停止位置
M 中央領域
Claims (7)
- トラバーサでボビンを軸線方向に往復移動させ、回転駆動されるボビンに平角線を多層整列巻きする巻取方法であって、
前記ボビンの軸線方向のトラバース速度をシーケンス制御し、ボビンの胴部両端の鍔部と平角線が接触する反転位置で一時停止して重ね巻して層上がりさせ、層上がりした線に再び平角線が重ならないようにトラバース速度を速めて反転し、線押えローラにより平角線を鍔部側へと付勢して隙間を減少していることを特徴とする平角線の巻取方法。 - 前記トラバース速度を速めて行うクイック巻き後にトラバースを一時停止して、前記線押えローラによる平角線への押さえでS字状に巻き付けられた平角線を斜め並列巻きへと移行させている請求項1に記載の巻取方法。
- 前記反転位置でトラバースを一時停止した状態で前記ボビンの鍔部と平行に平角線を約1.5周巻き付け、上層の平角線は下層の平角線に半周重ねた状態とし、クイック巻きで反転し、その後、2〜3周トラバースを一時停止させている請求項2に記載の平角線の巻取方法。
- 前記線押えローラはスプリングで付勢して前記平角線の鍔部反対側面と上面に当接させ、平角線の巻き取りと同期して移動させ、所要位置でボビン側から離れる方向に移動させている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の平角線の巻取方法。
- トラバーサでボビンを軸線方向に往復移動させ、回転駆動されるボビンに平角線を多層整列巻きする巻取装置であって
前記トラバーサによるボビンの移動速度を、ボビンへの平角線の巻付領域によって可変制御するトラバース制御手段と、
ボビン軸端の鍔に接する位置で反転して層上がりする前記平角線を鍔側へ付勢する線押えローラと、
前記線押えローラをボビンに対して近接離反させると共にボビンの軸線方向に往復移動させる線押えローラ駆動制御手段と、
を備えていることを特徴とする平角線の巻取装置。 - 前記トラバースのシーケンス制御は、ボビン取付軸と、それを回転させるモータを取り付けた移動台をトラバースさせるモータを制御して行い、ボビン両端の鍔に近接する反転領域は変速移動運転、両側の反転領域に挟まれた中央部は定速移動運転とし、
前記変速移動運転は、平角線が鍔に接する位置でトラバースを一次停止、該停止後に急速移動、該急速移動後に一旦停止、該停止後に定速移動をさせる運転パターンとし、
前記線押えローラ駆動制御は、線押えローラを先端に取り付けたアームを移動台に回転手段を介して突設し、該回転駆動手段と前記移動台の移動手段はエアーシリンダを用い、エアーの切り替えの電磁弁をシーケンス制御し、押えローラは鍔での反転直前にボビン上に接触させ、前記トラバースの急速移動後の一時停止時に押えローラにて平角線を鍔部へと付勢し、該状態で平角線の巻き取り方向と同一方向に移動させ、所定位置でボビン側より押えローラを離反移動させている請求項5に記載の平角線の巻取装置。 - 前記線押えローラは前記ボビンを挟んでトラバーサと反対側に配置すると共に、ボビン軸線方向に一対備え、該一対の線押えローラは、平角線のトラバース方向と同一方向に同期して移動する移動手段に回転手段を介して突設したアームの先端に取り付け、これらアームを前記回転手段でボビン側へ近接させると共に所要距離移動した後にボビン側から離反させている請求項6に記載の平角線の巻取装置。
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