本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含有する静電荷像現像用トナーにおいて、極最表層のみに負帯電制御効果に優れるフッ素原子を配置、固定化し、内部には存在させないことによりフッ素原子に由来する定着性阻害効果を殆ど受けることなく、目的とする帯電制御性のみを獲得できるようにしたものである。
ここでトナー中のフッ素原子の分布は、以下のようにして求めることができる。
トナー粒子をエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトームMT6000−XL(盟和商事)にてトナーを約100nmに超薄切片化した測定サンプルを作成する。その後、EDS(エネルギー分散型X線分析装置)を取り付けた透過型電子顕微鏡JEM−2010(日本電子株式会社製)により、測定対象範囲を透過型電子顕微鏡像(TEM像)にて確認し、電子線の加速電圧を200kVとして元素分布測定を行った。このような条件でトナー断面の20nm角毎のフッ素と炭素との比率を求めることができる。
また、前述と同様に超薄切片化した測定サンプルを得た後に、電子エネルギー損失分光器(Electron Energy Loss Spectroscopy、Gatan社製)を取り付けた透過型電子顕微鏡JEM−2100F(日本電子株式会社製)により、電子エネルギー損失スペクトルを測定し、炭素のK吸収端(284eV)とフッ素のK吸収端(685eV)のエッジジャンプの強度から、Gatan製の解析プログラムを用いて、理論計算から求められるイオン化断面積を用いて補正し、フッ素原子と炭素原子の比率(F/C)を計算することができる。
トナー最表層のフッ素原子の存在比率は、上述のような手順でトナー粒子断面を20nm角で分割した時に、トナーの表面を含む区分と該表面を含む区分に隣接する区分でのフッ素原子と炭素原子との比率(F/C)の平均値で求めることができる。
トナー最表層のフッ素原子と炭素原子との比率(F/C)の平均値が0.8以上1.2未満であることにより温湿度によらない安定した負帯電を得ることができる。
また、フッ素含有層の厚みは、トナー断面中での、トナー最表層のフッ素原子と炭素原子との比率(F/C)の平均値の0.8倍以上を示す20nm角の区分を調べ、該区分の面積の総和を、トナー断面で測定されるトナー周長で割って得ることができる。
電子エネルギー損失スペクトルを測定する手法においては、フッ素のK吸収端(685eV)と炭素のK吸収端(284eV)を用いて元素マッピングし、トナーの炭素元素マップ像とフッ素元素マップ像を得て、さらに補正によって元素比率に換算した画像のコントラストの強度マップから、トナー最表層のフッ素原子と炭素原子との比率(F/C)の平均値の0.8倍以上を示す領域をマッピングし、その面積を算出しトナー周長で割ることによっても、フッ素含有層の厚みを得ることができる。
フッ素含有層、すなわち表面を含む区分と該表面を含む区分に隣接する区分でのフッ素原子と炭素原子との比率(F/C)の平均値の0.8倍以上のフッ素原子と炭素原子との比率(F/C)を示す層の厚みが20nm以上400nm未満であることにより安定した負帯電と、定着画像強度の両立が達成される。
ここで、フッ素含有層の厚みが20nmより薄いと、狙いである温湿度によらない安定した負帯電が得られず、400nmより厚いと紙等の転写媒体との親和性が乏しく、機械的な摺擦によりトナー画像が欠落し易いという問題が生じる可能性がある。
トナー内部のフッ素の存在比率は、表面から500nm以上離れた任意の20nm角の区分でのフッ素原子と炭素原子との比率(F/C)の平均値で表すことができ、0.02以下であることにより、十分な定着強度を得ることができる。
ここで、0.02以上であると、紙等の転写媒体との親和性が乏しく、機械的な摺擦によりトナー画像が欠落し易いという問題が生じる可能性がある。
上記静電荷像現像用トナーの製造方法として、フッ素原子を有する界面活性剤を含むトナー組成液をノズル板の吐出孔から吐出し、トナー組成液を液滴化し、液滴を造粒空間において固体粒子にする第1の方法と、超臨界流体中もしくは亜臨界流体中で、少なくとも重合性単量体を重合させ、造粒する第2の方法とがある。
以下、本発明の、静電荷像現像用トナーの製造方法の説明を通じて、本発明の静電荷像現像用トナーの詳細についても明らかにする。
上記第1の方法は、フッ素原子を有する界面活性剤を含むトナー組成液を吐出孔より放出し、トナー組成液を液滴化し、液滴を造粒空間において固体粒子にすることにより得るもので、気相中で乾燥する過程で粒子表面にフッ素原子を有する化合物をにじみ出させることによりトナー表面のフッ素元素の量を極めて多く配置するものである。
即ち、負帯電制御効果に優れたフッ素原子を有する特定の化合物を溶解して添加しておき、吐出液滴を乾燥固化させる工程で気相に配向する特性を利用し、選択的にトナー表面に移動させ固定化するものである。これによりフッ素原子に由来する定着性阻害効果を殆ど受けることなく、目的とする帯電制御性のみを獲得できる。
以下、上記第1の方法について説明する。
(トナー製造方法)
上記第1の方法は、少なくとも樹脂と着色剤とを含有するトナー用材料の、溶解乃至分散液を、一定の周波数で振動させたノズル板から吐出させて、液滴とし、該液滴を乾燥させることを特徴とする。
−液滴化現象−
液柱の均一液滴化現象はRayleigh, Lord “On the Instability of Jets” Proc. London Math. Soc. 110:4 [1878]に説明されるように、液柱が最も不安定になる波長条件λは、液柱直径djを用いて下記の式(1)で表される。
λ = 4.5dj (1)
ここで、発生する擾乱現象の周波数fは、液柱の速度をvとした場合下記の式(2)で表すことが出来る。
f=v/λ (2)
また、Schneider J.M., C.D.Hendricks, Rev. Instrum. 35(10), 1349−50 [1964]で説明されるように、実験的に安定に均一粒子を形成する条件を導いた結果、下記の式(3)の条件において安定的に均一粒子を形成することが可能であるとしている。
3.5 <λ/dj <7.0 (3)
更には、Lindblad N.R. and J.M.Schneider, J. Sci. Instrum. 42, 635 [1965]で説明されるように、エネルギー保存則を基に、吐出孔より排出される液が、液柱を形成する最小ジェットvmin速度は下記の式(4)のように表現される。
vmin= (8σ/ρdj)1/2 (4)
式(4)において、σは液の表面張力、ρは液密度、djは液柱の直径を表す。式(1)から式(4)の条件式はこのような現象を再現するための条件を推定するために有用であるが、我々は、これらの関係式は液物質の種類、混合物、分散物等によって変動し得ることを確認しているが、振動子を貯留部に取り付け、これを振動数fにおいて振動することにより液柱が、上記のような擾乱によって液滴化する現象は様々な液体において成立した。
−装置−
本発明のトナー製造方法に使用される装置(以下、「トナー製造装置」ともいう。)としては、本製造方法により、トナーを製造可能な装置であれば、特に制限はなく、適宜選択して使用することができるが、少なくとも樹脂と着色剤とを含有するトナー組成物を液状としたトナー組成液を、一定の周波数で振動させたノズル板から吐出させて、液滴を形成する液滴形成手段と、該液滴中に含まれる溶媒を除去することにより前記液滴を乾燥させ、トナー粒子を形成するトナー粒子形成手段とを有するトナー製造装置によるのが好ましい。前記トナー製造装置は、液滴形成手段が、ノズル板を直接振動させる振動発生手段を有し、該振動発生手段が、ノズル板を、液状としたトナー組成液の通過と同時に振動させることがより好ましい。また、トナー組成物を液状としたトナー組成液が貯留され、トナー組成物を液状としたトナー組成液を液滴形成手段に供給する貯留手段を有することがより好ましい。
例えば、図1及び図2に示すように、フッ素原子を有する界面活性剤を含む原材料溶液を入れた貯留部1は、貯留部1へ液を供給する液供給管8と接続され、吐出孔4を有する板を保持するハウジング9を設けた構造が望ましい。また、貯留部1の全体を振動する振動手段2が、貯留部1に接している。振動手段2にはリード線11を介して波形発生装置10と接続されており、制御される形態が望ましい。また、異なる品種を作成するため貯留部1内の液を抜くためのドレイン12を設けることが、生産を行う上で好ましい。
貯留部1は、少なくとも、トナー組成物液を加圧された状態において保持される必要があるため、SUS、アルミなどの金属等の部材からなり、10MPa程度の耐圧性があることが望ましいが、これに限るものではない。
また、振動手段2は、一つの振動手段により、吐出孔4を有する貯留部1全体を励振させるのが好ましい。貯留部1に振動を与える振動手段2としては、確実な振動を一定の周波数で与えることができるものであれば特に制限はなく、適宜選択して使用することができる。 圧電体は、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する機能を有する。具体的には、電圧を印加することにより、伸縮し、この伸縮により、吐出孔4を振動させることができる。圧電体としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスが挙げられるが、一般に変位量が小さい為、積層して使用されることが多い。この他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子や、水晶、LiNbO3、LiTaO3、KNbO3、等の単結晶、などが挙げられる。
一定の周波数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100kHz乃至10MHzが好ましく、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から、200kHz乃至2MHzがより好ましい。
振動手段2は、貯留部1と接しており、貯留部1は吐出孔4を有する板が保持されており、振動手段2と吐出孔4を有する板とは、吐出孔4から発生する液柱に振動を均一に与える観点から、平行に配置されていることが最も好ましく、振動の過程における変形が起こっても、その関係は傾きが10°以内に保たれることが望ましい。
吐出孔4は、1個のみ設けても粒子生産は可能であるが、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を効率よく発生させる観点から、複数個設け、各吐出孔から吐出される液滴を、一の溶媒除去設備、図示の例では、溶媒除去設備5で乾燥させるのが好ましい。
振動手段2の一部を、固定支持するための支持手段3は、装置に貯留部1及び振動手段2を固定するために設けられており、材質に限定は特に無いが、金属などの剛体であればよい。必要によっては余分な共振による貯留部1の振動の乱れを発生させないために、振動緩和材としてのゴム材、樹脂材などが一部に設けられていてもよい。
吐出孔4は、トナー組成液を、液柱として吐出させるための吐出孔である。吐出孔4を有するノズル板の材質及び形状としては、特に制限はなく、適宜選択した形状とすることができるが、例えば、吐出孔4を有するノズル板が、厚み5〜50μmの金属板で形成され、かつ、吐出孔4の開口径が1〜40μmであることが、トナー組成物液中に含まれる1μm以下の微粒子分散物を閉塞させることなく、かつ100kHz以上の振動周波数で極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させることを両立させる観点から好ましい。これは、液滴化現象により安定的に液滴を得ることが可能な周波数領域は、実質上、吐出孔4の開口径の直径が大きくなるにつれて減少するため、生産性を考慮して、100kHz以上の振動周波数を想定している。なお、開口径は、真円であれば直径を意味し、楕円であれば短径を意味する。
貯留部へ液を供給する液供給手段5としては、チューブポンプ、ギアポンプ、ロータリーポンプ、シリンジポンプなどの定量ポンプであることが望ましい。また、圧縮空気などによって加圧し送液するタイプのポンプであってもよい。これら液供給手段5で貯留部はトナー組成液で満たされ、更に液滴化可能な圧力まで昇圧することが可能である。液圧力はポンプ付属の圧力ゲージまたは専用の圧力センサにて測定が可能である。
溶媒除去設備6としては、液滴13の溶媒を除去することができれば特に制限はないが、液滴13の吐出方向と同方向に乾燥気体14を流すことにより気流を発生させ、気流により、液滴13を溶媒除去設備6内で搬送させると共に、搬送中に液滴13中の溶媒を除去させることにより、トナー粒子15を形成するのが好ましい。なお、ここで、「乾燥気体」とは、大気圧下の露点温度が−10℃以下の状態の気体を意味する。乾燥気体としては、液滴13を乾燥可能な気体であれば特に制限はなく、例えば、空気、窒素ガス、などが好適に挙げられる。
トナー捕集部7は、トナーを効率的に捕集し、搬送する観点から、トナー粒子製造装置の底部に設けられた部材である。トナー捕集部7の構造としては、トナーを捕集できれば特に制限はなく、適宜選択することができるが、上述の観点から、図示の例のように、開口径が漸次縮小するテーパー面を有してなり、開口径が入口部より縮小した出口部から、トナー粒子15を、乾燥気体14を用い、乾燥気体14の流れを形成し、乾燥気体14の流れにより、トナー粒子15をトナー貯蔵容器に移送させるのが好ましい。
移送の方法としては、図示の例のように、乾燥気体14により、トナー粒子15をトナー貯蔵容器に圧送してもよいし、トナー貯蔵容器側からトナー粒子15を吸い込んでもよい。
乾燥気体14の流れとしては、特に制限はないが、遠心力を発生させて微粉を除去できる観点から、渦流であることが好ましい。
さらに、トナー粒子15の搬送をより効率的に行う観点から、トナー捕集部7、及びトナー貯蔵容器が、導電性の材料で形成され、かつ、これらがアースに接続されているのがより好ましい。また、トナー製造装置は、防曝仕様であることが好ましい。
また、例えば、図3に示すように、少なくとも、前記貯留手段としてのスラリー分散液貯蔵容器35と、乾燥容器30内に設けられた、前記液滴形成手段としての、ノズル板21と、電極22と、前記トナー粒子形成手段としての、溶媒除去設備23と、除電器24と、トナー捕集部25と有する装置が好適に挙げられる。
図3に示したトナー製造装置では、スラリー分散液貯蔵容器35に貯留された前記溶解乃至分散液を、液供給管29を介して、液供給手段34により適宜供給量を調整して液供給流路37を通り、前記ノズル板21に形成した吐出孔から液滴31として吐出させ、該液滴31を、電極22により帯電した後、溶媒除去設備23で溶媒を除去することによりトナー粒子26とし、該トナー粒子26を、除電器24による除電後、渦流27によりトナー捕集部25に捕集して、トナー貯蔵容器32に搬送するようになっている。
以下、前記図3に示したトナー製造装置について、各部材毎にさらに詳述する。
−−ノズル板及び圧電体−−
前記図3に示したノズル板21は、先にも述べたように、トナー組成物を液状としたトナー組成液を、吐出させて液滴とする部材である。
前記ノズル板21の材質及び形状としては、特に制限はなく、適宜選択した形状とすることができるが、例えば、ノズル板21が、厚み5〜50μmの金属板で形成され、かつ、吐出孔の開口径が3〜35μmであることが、ノズル板21から溶液を噴射させるときに、貯留部1自体に振動を与えることにより、せん断力が付与され、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から好ましい。なお、前記開口径は、真円であれば直径を意味し、楕円であれば短径を意味する。
前記一定の周波数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50kHz乃至50MHzが好ましく、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から、100kHz乃至10MHzがより好ましく、100kHz乃至450kHzが特に好ましい。
前記ノズル板21には、吐出孔を1個のみ設けてもよいが、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から、複数個設け、各吐出孔から吐出される液滴31を、一の溶媒除去設備、図示の例では、溶媒除去設備23で乾燥させるのが好ましい。
図4について更に説明すると、ノズル板21とOリング39を隔てて設けられた液供給流路37を介して供給されるトナー組成液を液滴31とし、分散エアにより、乾燥設備内に放出する。
ノズル板21に形成する吐出孔の個数としては、特に制限はないが、極めて均一な粒子径を有する微小液滴をより確実に発生させるためには、1乃至2000であるのが好ましく、さらには200〜1500が好ましい。
−−溶媒除去設備−−
前記溶媒除去設備23としては、液滴31の溶媒を除去することができれば特に制限はないが、液滴31の吐出方向と同方向に乾燥気体を流すことにより気流を発生させ、該気流により、液滴31を溶媒除去設備23内で搬送させると共に、該搬送中に前記液滴31中の溶媒を除去させることにより、トナー粒子26を形成するのが好ましい。なお、ここで、「乾燥気体」とは、大気圧下の露点温度が−10℃以下の状態の気体を意味する。
前記乾燥気体としては、液滴31を乾燥可能な気体であれば特に制限はなく、例えば、空気、窒素ガス、などが好適に挙げられる。
前記乾燥気体を溶媒除去設備23に流す方法としては、特に制限はないが、例えば、図3に示すように、乾燥気体供給管33より流す方法が挙げられる。
前記乾燥気体の温度は、乾燥効率の面においてはより高温である方が好ましく、また噴霧乾燥の特性上、使用する溶媒の沸点以上の乾燥気体を使用したとしても、乾燥途中の恒率乾燥領域では液滴温度が溶媒沸点以上に上昇することはなく、得られるトナーに熱的損傷を与えることはない。しかしながら、トナーの主構成材料が熱可塑性樹脂であることから、乾燥後すなわち減率乾燥領域において、使用する樹脂の沸点以上の乾燥気体にさらされると、トナー同士が熱融着を発生しやすくなり、単分散性が損なわれる危険性がある。したがって、前記乾燥気体の温度は、具体的には、例えば、40〜200℃が好ましく、60〜150℃がより好ましく、75〜85℃が特に好ましい。
また、図3に示すように、前記溶媒除去設備23の内壁面には、液滴31が、前記溶媒除去設備23の壁面に付着することを防止する観点から、液滴31の電荷とは逆極性に帯電された電界カーテン28を設け、前記電界カーテン28で周囲が覆われた搬送路を形成し、該搬送路内に液滴31を通過させるのが好ましい。
−−除電器−−
前記除電器24は、液滴31を、搬送路内に通過させることにより形成したトナー粒子26の電荷を、一時的に中和させた後、該トナー粒子26をトナー捕集部25に収容させるための部材である。
前記除電器24による除電の方法としては、特に制限はなく、通常知られている方法を適宜選択して使用することができるが、効率的に除電が可能であることから、例えば、軟X線照射、プラズマ照射、などにより行うのが好ましい。
−−トナー捕集部−−
前記トナー捕集部25は、トナーを効率的に捕集し、搬送する観点から、トナー製造装置の底部に設けられた部材である。
前記トナー捕集部25の構造としては、トナーを捕集できれば特に制限はなく、適宜選択することができるが、上述の観点から、図示の例のように、開口径が漸次縮小するテーパー面を有してなり、該開口径が入口部より縮小した出口部から、トナー粒子26を、乾燥気体を用い、該乾燥気体の流れを形成し、該乾燥気体の流れにより、トナー粒子26をトナー貯蔵容器32に移送させるのが好ましい。
前記移送の方法としては、前記乾燥気体により、図示の例のように、トナー粒子26をトナー貯蔵容器32に圧送してもよいし、トナー貯蔵容器32側からトナー粒子26を吸い込んでもよい。
前記乾燥気体の流れとしては、特に制限はないが、遠心力を発生させて確実にトナー粒子26を捕集できる観点から、渦流27であることが好ましい。
更に、該トナー粒子26の搬送をより効率的に行う観点から、トナー捕集部25及びトナー貯蔵容器32が、導電性の材料で形成され、かつ、これらがアースに接続されているのがより好ましい。また、前記トナー製造装置は、防曝仕様であることが好ましい。
−−液滴−−
前記液滴31は、先に述べたように、特定の物質を含有するトナー用材料の溶解乃至分散液を、一定の周波数で振動させたノズル板21から吐出させることにより発生させる。なお、前記トナー用材料については、別途述べる。
前記トナー組成物を液化する方法としては、特に制限はなく、通常使用される方法を適宜選択することができる。具体的には、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂、エポキシ系樹脂等の結着樹脂を、着色剤等と共に溶融混練し、微粉砕しても良いし、この製造途中で得られた混練物を、樹脂成分が可溶な有機溶媒に一度溶解させ、これを微小液滴として処理しても良い。
−作用−
以上の詳細に説明した本発明のトナー製造方法によれば、ノズル板21に形成した吐出孔から発生する液滴31の粒子数は、1秒当たり数万乃至数百万個と、非常に多く、更に吐出孔を多くすることも容易である。また、非常に均一な液滴径が得られ、充分な生産性を有する観点からも、トナーを生産するのに最も好適な方法といえる。さらに、本製造方法では、最終的に得られるトナーの粒径を、下記計算式(1)により正確に決定することができ、使用する材料による粒径の変化が殆どない。
〔計算式〕
Dp=(6QC/πf)1/3・・・(1)
但し、Dp: 固体粒子径、Q:液流量(ポンプ流量と吐出孔の口径で決まる)、f:振動周波数、C:固形分の体積濃度である。
トナー粒子径は上記計算式(1)のみで正確に計算することが可能であるが、より簡単には下記計算式(2)で求められる。
〔計算式〕
固形分体積濃度(体積%)=(固体粒子径/液滴径)3・・・(2)
すなわち、本発明により得られるトナー粒子26の直径は、液滴31を噴出する振動周波数に依らずノズル板21の開口径の2倍となる。そこで、上記計算式(2)の関係から、固形分の濃度を予め求め調整することにより、目的とする固体粒子径を得ることが可能である。例えば、吐出孔の口径が7.5μmの場合、液滴径は15μmとなる。そこで、固形分体積濃度を6.40体積%にすれば6.0μmの固体粒子が得られることになる。この場合、振動周波数は生産性の点からより高いほど望ましいが、ここで決定した振動周波数に併せて計算式(1)からQ(液流量)を決定することになる。
これまでの製造方法では、使用する材料によって粒度が大きく変化することが多いが、本製造方法では、吐出する際の液滴径と、固形分濃度とを管理することにより、設定した通りの粒径を有する粒子を連続して得ることが可能になる。
また、本発明により得られたトナーは極めて均一な粒子径を有することから、トナー母体における流動性が非常に高い。そのため、製造装置等への付着力低下を目的として外添剤を加える場合においても、極めて少量でその効果を発揮することができる。ストレスによる外添剤の劣化や微粒子の人体への安全性を考えると、このような外添剤を極力使用しないことが好ましいので、これも本発明の利点といえる。
(トナー)
本発明のトナーは、先に述べた、本発明のトナー製造方法により製造されたトナーである。
該トナーは、前記トナー製造方法により、粒度分布が単分散なものが得られる。
具体的には、前記トナーの粒度分布(重量平均粒径/数平均粒径)としては、1.00〜1.15の範囲にあるのが好ましく、1.00〜1.05の範囲にあるのがさらに好ましい。また、重量平均粒径としては、1〜10μmであるのが好ましい。
本発明で使用できるトナー材料は、従来の電子写真用トナーと全く同じ物が使用できる。すなわち、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂、エポキシ系樹脂、等の結着樹脂を各種有機溶媒に溶解し、着色剤を分散、かつ、離型剤を分散又は溶解し、これを吐出孔より吐出させて、前記トナー製造方法により微小液滴とし乾燥固化させることで、目的とするトナー粒子を作成することが可能である。また、上記材料を熱溶融混練し得られた混練物を各種溶媒に一度溶解乃至分散した液を、前記トナー製造方法により微小液滴とし乾燥固化させ、乾燥過程でフッ素系界面活性剤がトナー粒子表層に移動することで、目的のトナーを得ることも可能である。
−トナー用材料−
前記トナー用材料としては、少なくとも樹脂と着色剤とフッ素系界面活性剤を含有し、必要に応じて、キャリア、ワックス等のその他の成分を含有する。
−−樹脂−−
前記樹脂としては、少なくとも結着樹脂が挙げられる。
前記結着樹脂としては、反応性物質と作用して該結着樹脂の粘弾性を大きくすることが好ましい。その作用については、共有結合、イオン結合、水素結合などが考えられる。通常使用される樹脂の中から、適宜反応性を考慮して使用することができるが、例えば、アクリル酸及びアクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸及びメタクリル酸エステル系単量体等のビニル重合体、これらの単量体又は2種類以上からなる共重合体、ポリエステル系重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂、などが挙げられる。
スチレン系結着樹脂として、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体が挙げられる。また、アクリル系バインダーとして、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートが挙げられ、その他、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、などが挙げられる。
前記アクリル酸及びメタクリル酸エステル系単量体としては、例えば、アクリル酸、あるいはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸、又はそのエステル類、などが挙げられる。
前記メタクリル酸及びメタクリル酸エステル系単量体としては、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸又はそのエステル類、などが挙げられる。
前記ビニル重合体、又は共重合体を形成する他の単量体の例としては、以下の(1)〜(16)が挙げられる。(1)塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;(2)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;(3)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;(4)ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;(5)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;(6)ビニルナフタリン類;(7)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体等;(8)マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;(9)マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;(10)マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、アルケニルコハク酸モノメチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、メサコン酸モノメチルエステルの如き不飽和二塩基酸のモノエステル;(11)ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;(12)クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;(13)クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物;(14)該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物、アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有する単量体;(15)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;(16)4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルへキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有する単量体。
通常使用される樹脂の中には、反応性の低い樹脂も存在するが、前記の樹脂と併用してもよい。例えばスチレン系単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フエニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン、又はその誘導体、などが挙げられる。
また、ビニル重合体、又は共重合体を形成する他の単量体の例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフイン類;ブタジエン、イソプレン等のポリエン類などが挙げられる。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂のビニル重合体、又は共重合体は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を併用してもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、芳香族ジビニル化合物として、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、などが挙げられる。アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、などが挙げられる。エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの、などが挙げられる。
その他、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物、又はジメタクリレート化合物も挙げられる。ポリエステル型ジアクリレート類としては例えば、商品名MANDA(日本化薬社)が挙げられる。
これらの架橋剤は、前記ビニル重合体、又は共重合体を形成する他の単量体100重量部に対して、0.01〜10重量部用いることが好ましく、0.03〜5重量部用いることがより好ましい。これらの架橋性単量体のうち、トナー用樹脂に定着性、耐オフセット性の点から、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を1つ含む結合鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が好適に挙げられる。これらの中でも、スチレン−アクリル共重合体となるような単量体の組み合わせが好ましい。
本発明のビニル重合体又は共重合体の製造に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、1,1'−アゾビス(1−シクロへキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2',4'−ジメチル−4'−メトキシバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパ−オキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロへキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジークミルパーオキサイド、α−(tert−ブチルパーオキシ)イソプロピルべンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルへキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−エトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロへキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサレート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチル−オキシベンゾエ−ト、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキアリルカーボネート、イソアミルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシへキサハイドロテレフタレート、tert−ブチルパーオキシアゼレート、などが挙げられる。
結着樹脂がスチレン−アクリル共重合体の場合、樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)に可溶分のGPCによる分子量分布で、分子量3,000〜50,000(数平均分子量換算)の領域に少なくとも1つのピークが存在し、分子量100,000以上の領域に少なくとも1つのピークが存在する樹脂が、定着性、オフセット性、保存性の点で好ましい。また、THF可溶分としては、分子量分布100,000以下の成分が50〜90%となるような結着樹脂が好ましく、分子量5,000〜30,000の領域にメインピークを有する結着樹脂がより好ましく、5,000〜20,000の領域にメインピークを有する結着樹脂が最も好ましい。
また、ポリエステル樹脂は、スチレン系やアクリル系樹脂に比して、トナー保存時の安定性を確保しつつ、より溶融粘度を低下させることが可能である。このようなポリエステル樹脂は、例えばアルコールとカルボン酸との重縮合反応によって得ることができる。アルコールとしては、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールなどのジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノーAなどのエーテル化ビスフェノール類、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール単位体、その他の2価のアルコール単位体、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエスリトールジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の三価以上の高アルコール単量体を挙げることができる。また、ポリエステル樹脂を得るために用いられるカルボン酸としては、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価の有機酸単量体、これらの酸の無水物、低級アルキルエステルとリノレイン酸からの二量体、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸エンボール三量体酸、これらの酸無水物等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。
結着樹脂がポリエステル系樹脂の場合は、樹脂成分のTHF可溶成分の分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つのピークが存在するのが、トナーの定着性、耐オフセット性の点で好ましく、また、THF可溶分としては、分子量10万以下の成分が60〜100%となるような結着樹脂も好ましく、分子量5千〜2万の領域に少なくとも1つのピークが存在する結着樹脂がより好ましい。
結着樹脂がポリエステル樹脂の場合、その酸価としては、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gであることが最も好ましい。
エポキシ系樹脂としては、ビスフェノールAとエポクロルヒドリンとの重縮合物等があり、例えば、エポミックR362、R364、R365、R366、R367、R369(以上三井石油化学工業(株)製)、エポトートYD−011、YD−012、YD−014、YD−904、YD−017(以上東都化成(株)製)、エポコート1002、1004、1007(以上シェル化学社製)等の市販のものが挙げられる。また、これらエポキシ樹脂の末端のエポキシ基をクミルフェノールやアルキルフェノール等のフェノール化合物で封止しても良い。
本発明のトナーに使用できる結着樹脂としては、前記ビニル重合体成分及びポリエステル系樹脂成分の少なくともいずれか中に、これらの両樹脂成分と反応し得る単量体成分を含む樹脂も使用することができる。ポリエステル系樹脂成分を構成する単量体のうちビニル重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物、などが挙げられる。ビニル重合体成分を構成する単量体としては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸若しくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
本発明において、前記結着樹脂の数平均分子量及び重量平均分子量は、GPCによって以下の条件で測定される。
・装置:GPC−150C(ウォーターズ社製)
・カラム:KF801〜807(ショウデックス社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0ml/分
・ 試料:濃度0.05〜0.6%の試料を0.1ml注入
以上の条件で測定した結着樹脂の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して結着樹脂の数平均分子量及び重量平均分子量を算出した。
本発明において、トナー組成物の結着樹脂成分の酸価は、以下の方法により求め、基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(1)試料は予め結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、結着樹脂及び架橋された結着樹脂以外の成分の酸価及び含有量を予め求めておく。試料の粉砕品0.5〜2.0gを精秤し、重合体成分の重さをWgとする。例えば、トナーから結着樹脂の酸価を測定する場合は、着色剤又は磁性体等の酸価及び含有量を別途測定しておき、計算により結着樹脂の酸価を求める。
(2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(体積比4/1)の混合150(ml)を加え溶解する。
(3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。
(4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をB(ml)とし、以下の式(5)で算出する。ただしfはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)=[(S−B)×f×5.61]/W (5)
トナーの結着樹脂及び結着樹脂を含む組成物は、トナー保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が35〜80℃であるのが好ましく、40〜75℃であるのがより好ましい。Tgが35℃より低いと高温雰囲気下でトナーが劣化しやすく、また定着時にオフセットが発生しやすくなることがある。また、Tgが80℃を超えると、定着性が低下することがある。
−−着色剤−−
前記着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができるが、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びこれらの混合物、などが挙げられる。
着色剤は、ボールミルやビーズミルを用い、分散剤の存在下に有機溶剤中に微分散させて用いることができる。後述するマスターバッチを用い、それを溶解後、微分散させることも好適である。
前記着色剤の含有量としては、トナーに対して1〜15重量%が好ましく、3〜10重量%がより好ましい。含有量が、1重量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15重量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
本発明で用いる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。必要に応じて顔料分散剤を配合しても良い。マスターバッチとともに混練される結着樹脂としては、先にあげた変性、未変性ポリエステル樹脂の他に、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートなどのアクリル系バインダー;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得る事ができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の、水を含んだ水性ペーストを、樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も、着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため、乾燥する必要がなく、好適に使用される。混合混練するには、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に使用される。
前記マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100量部に対して、0.1〜20重量部が好ましい。
また、前記マスターバッチ用の樹脂は、酸価が30mgKOH/g以下が好ましく、酸価が20mgKOH/g以下がより好ましい。酸価が30mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下することがある。
また、前記顔料分散剤は、顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、具体的な市販品としては、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)、などが挙げられる。
前記顔料分散剤は、トナー中に、着色剤に対して0.1〜50重量%の割合で配合することが好ましい。配合割合が0.1重量%未満であると、顔料分散性が不十分となることがあり、50重量%より多いと、高湿下での帯電性が低下することがある。
前記顔料分散剤の重量平均分子量は、GPCでのスチレン換算重量での、メインピークの極大値の分子量で、500〜100,000が好ましく、顔料分散性の観点から、3,000〜100,000がより好ましい。特に、5,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000が最も好ましい。分子量が500未満であると、極性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがあり、分子量が100,000を超えると、溶剤との親和性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがある。
前記顔料分散剤の添加量は、着色剤100重量部に対して1〜50重量部であることが好ましく、5〜30重量部であることがより好ましい。1重量部未満であると分散能が低くなることがあり、50重量部を超えると帯電性が低下することがある。
−−フッ素原子界面活性剤−−
フッ素系界面活性剤としては、下記、一般式(1)で表される構造を有する重合体が好適である。
(式中、R1は、水素原子もしくはメチル基、R2はC1〜C2のアルキレン基、RfはC4〜C20のパーフルオロアルキル基を表す。)
特に、フッ素系界面活性剤がブロック共重合体であることがより好ましい。
ブロック共重合体の製造方法としては、特開2003−171607、特開2004−075780、特開2003−154307号公報、特開2004−036018号公報、特開2003−221419号公報、特開2002−363495号公報、特開2002−266257号公報、特開2002−105152号公報、特開2002−097338号公報、特開2001−206952号公報、特開2000−169531号公報等に記載されているが、例えば、ダイキン製ユニダインTG−590、TG−490、TG−540、日本油脂製モディパーF200、F220、F600、F2020、F3035等市販の材料を使うこともできる。
また、フッ素原子を有する界面活性剤が下記、一般式(2)で表される構造であっても良い。
(化6)
Rf−X 一般式(2)
(式中、Xは、−COOM、SO3M、−O−C6H4−SO3M、−N(R1)3、−SO2−N−Y2、R1は、水素原子もしくはメチル基、Mは、NaもしくはK、Li等のアルカリ金属及びNH4等のアンモニウム塩、Yは水素原子もしくは末端に水酸基、カルボキシ基やその塩、アミノ基もしくはその塩を有して良いアルキル基、RfはC5〜C8のパーフルオロアルキル基を表す。ここでR1及びYは同一の基でも異なる基でも良い)
具体的には、表1に示すようなフッ素原子を有する界面活性剤が用いられる。
<ワックス>
また、本発明では、結着樹脂、着色剤とともにワックスを含有させることもできる。
本発明のワックスとしては、特に制限はなく、通常使用されるものを適宜選択して使用することができるが、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス、オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス、モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類。脱酸カルナバワックスの等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、などが挙げられる。
前記ワックスの例としては、更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に直鎖のアルキル基を有する直鎖アルキルカルボン酸類等の飽和直鎖脂肪酸、プランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウピルアルコール、セリルアルコール、メシリルアルコール、あるいは長鎖アルキルアルコール等の飽和アルコール、ソルビトール等の多価アルコール、リノール酸アミド、オレフィン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド、メチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'−ジオレイルセパシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類、m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系単量体を用いてグラフト化させたワックス、ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化合物、植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
より好適な例としては、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン、低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒の如き触媒を用いて重合したポリオレフィン、放射線、電磁波又は光を利用して重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量ポリオレフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィツシャートロプシュワックス、ジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス、炭素数1個の化合物を単量体とする合成ワックス、水酸基又はカルボキシル基の如き官能基を有する炭化水素系ワックス、炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物、これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸の如きビニル単量体でグラフト変性したワックスが挙げられる。
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は溶液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや、低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
前記ワックスの融点としては、定着性と耐オフセット性のバランスを取るために、70〜140℃であることが好ましく、70〜120℃であることがより好ましい。70℃未満では耐ブロッキング性が低下することがあり、140℃を超えると耐オフセット効果が発現しにくくなることがある。
また、2種以上の異なる種類のワックスを併用することにより、ワックスの作用である可塑化作用と離型作用を同時に発現させることができる。
可塑化作用を有するワックスの種類としては、例えば、融点の低いワックス、分子の構造上に分岐のあるものや極性基を有する構造のもの、などが挙げられる。
離型作用を有するワックスとしては、融点の高いワックスが挙げられ、その分子の構造としては、直鎖構造のものや、官能基を有さない無極性のものが挙げられる。使用例としては、2種以上の異なるワックスの融点の差が10℃〜100℃のものの組み合わせや、ポリオレフィンとグラフト変性ポリオレフィンの組み合わせ、などが挙げられる。
2種のワックスを選択する際には、同様構造のワックスの場合は、相対的に、融点の低いワックスが可塑化作用を発揮し、融点の高いワックスが離型作用を発揮する。この時、融点の差が10〜100℃の場合に、機能分離が効果的に発現する。10℃未満では機能分離効果が表れにくいことがあり、100℃を超える場合には相互作用による機能の強調が行われにくいことがある。このとき、機能分離効果を発揮しやすくなる傾向があることから、少なくとも一方のワックスの融点が70〜120℃であることが好ましく、70〜100℃であることがより好ましい。
前記ワックスは、相対的に、枝分かれ構造のものや官能基の如き極性基を有するものや主成分とは異なる成分で変性されたものが可塑作用を発揮し、より直鎖構造のものや官能基を有さない無極性のものや未変性のストレートなものが離型作用を発揮する。好ましい組み合わせとしては、エチレンを主成分とするポリエチレンホモポリマー又はコポリマーとエチレン以外のオレフィンを主成分とするポリオレフィンホモポリマー又はコポリマーの組み合わせ、ポリオレフィンとグラフト変成ポリオレフィンの組み合わせ、アルコールワックス、脂肪酸ワックス又はエステルワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせ、フイシャートロプシュワックス又はポリオレフィンワックスとパラフィンワックス又はマイクロクリスタルワックスの組み合わせ、フィッシャートロプシュワックスとポルリオレフィンワックスの組み合わせ、パラフィンワックスとマイクロクリスタルワックスの組み合わせ、カルナバワックズ、キャンデリラワックス、ライスワックス又はモンタンワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせが挙げられる。
いずれの場合においても、トナー保存性と定着性のバランスをとりやすくなることから、トナーのDSC測定において観測される吸熱ピークにおいて、70〜110℃の領域に最大ピークのピークトップ温度があることが好ましく、70〜110℃の領域に最大ピークを有しているのがより好ましい。
前記ワックスの総含有量としては、結着樹脂100重量部に対し、0.2〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。
本発明では、DSCにおいて測定されるワックスの吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度をもってワックスの融点とする。
前記ワックス又はトナーのDSC測定機器としては、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるものを用いる。
また、本発明では結着樹脂、着色剤とともに、一般に電子写真用トナーに使用される公知の荷電制御剤を本発明の帯電制御効果を有するフッ素系界面活性剤と併用して用いることもできる。
前記帯電制御剤は、有色材料を用いると、色調が変化することがあるため、無色又は白色に近い材料が好ましく、含有金属錯体染料、フッ素変性4級アンモニウム塩、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられる。なお、金属は、目的に応じて適宜選択することができるが、アルミニウム、亜鉛、チタン、ストロンチウム、ホウ素、ケイ素、ニッケル、鉄、クロム、ジルコニウム等が挙げられる。
市販の帯電制御剤としては、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸、カルボン酸、4級アンモニウム塩等を有する高分子化合物等が挙げられる。
帯電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
また、これらの帯電制御剤、離型剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良いが、吐出孔を閉塞させない必要があることからビーズミルの如き湿式粉砕器を使用して、帯電制御剤を微粉砕し有機溶媒に分散させておく必要がある。
本発明で使用できる磁性体としては、例えば、(1)マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄、(2)鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又は、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金、(3)及びこれらの混合物、などが用いられる。
磁性体として具体的に例示すると、四三酸化鉄(Fe3O4)、γ−三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、ZnFe2O4、Y3Fe5O12、CdFe2O4、Gd3Fe5O12、CuFe2O4、PbFe12O、NiFe2O4、NdFe2O、BaFe12O19、MgFe2O4、MnFe2O4、LaFeO3、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも特に、四三酸化鉄、γ−三二酸化鉄の微粉末が好適に挙げられる。
また、異種元素を含有するマグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、又はその混合物も使用できる。異種元素を例示すると、例えば、リチウム、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、ゲルマニウム、ジルコニウム、錫、イオウ、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、などが挙げられる。好ましい異種元素としては、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、又はジルコニウムから選択される。異種元素は、酸化鉄結晶格子の中に取り込まれていてもよいし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれていてもよいし、又は表面に酸化物あるいは水酸化物として存在していてもよいが、酸化物として含有されているのが好ましい。
前記異種元素は、磁性体生成時にそれぞれの異種元素の塩を混在させ、pH調整により、粒子中に取り込むことができる。また、磁性体粒子生成後にpH調整、あるいは各々の元素の塩を添加しpH調整することにより、粒子表面に析出することができる。
前記磁性体の使用量としては、結着樹脂100重量部に対して、磁性体10〜200重量部が好ましく、20〜150重量部がより好ましい。これらの磁性体の個数平均粒径としては、0.1〜2μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。前記個数平均径は、透過電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザー等で測定することにより求めることができる。
また、磁性体の磁気特性としては、10Kエルステッド印加での磁気特性がそれぞれ、抗磁力20〜150エルステッド、飽和磁化50〜200emu/g、残留磁化2〜20emu/gのものが好ましい。
前記磁性体は、着色剤としても使用することができる。
以下に本発明の第2のトナー製造方法の説明を行う。
(トナー及びトナーの製造方法)
本発明のトナーの製造方法は、超臨界流体及び亜臨界流体の少なくともいずれか中で、少なくとも重合性単量体を重合させてトナーを造粒する工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記超臨界流体もしくは亜臨界流体が、フッ素系界面活性剤を含有し、前記重合性単量体の重合物が、前記超臨界流体もしくは亜臨界流体に不溶である。
ここで、前記重合性単量体の重合物が前記超臨界流体及び亜臨界流体の少なくともいずれかに不溶であるとは、のぞき窓が付いた高圧容器(50ml)内に試験材料としての重合物1gを入れ、超臨界流体及び亜臨界流体の少なくともいずれかを混合し、反応終了後、高圧容器内を目視観察した時に、重合物が投入状態と同様な形態で観察されることを意味する。
前記重合性単量体は、重合工程で得られる高分子成分が、トナー用結着樹脂として、画像を形成することが可能であれば、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばビニル単量体、スチレン、アクリル酸メチル、ジビニルベンゼン、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等に代表される不飽和二重結合を有するラジカル重合性単量体を用いることが好ましい。この重合性単量体として多種多様なものが市販されている。
本発明で使用される単量体としては、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体について以下に例示するがこれらに限定されるものではない。
スチレン系単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フエニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン、又はその誘導体等が挙げられる。
アクリル酸及びアクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸、あるいはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸、又はそのエステル類等が挙げられる。
メタクリル酸及びメタクリル酸エステル系系単量体としては、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸又はそのエステル類等が挙げられる。
他の単量体の例としては、以下の(1)〜(18)が挙げられる。(1)エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフイン類;(2)ブタジエン、イソプレン等のポリエン類;(3)塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;(4)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;(5)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;(6)ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;(7)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;(8)、ビニルナフタリン類;(9)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体等;(10)マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;(11)マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;(12)マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、アルケニルコハク酸モノメチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、メサコン酸モノメチルエステルの如き不飽和二塩基酸のモノエステル;(13)ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;(14)クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;(15)クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物;(16)該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物、アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有する単量体;(17)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;(18)4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルへキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有する単量体があげられる。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂のビニル重合体、又は共重合体は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよいが、この場合に用いられる架橋性の単量体は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられる。アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、又は上記の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、又は上記の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げられる。
その他、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物、又はジメタクリレート化合物も挙げられる。ポリエステル型ジアクリレート類としては例えば、商品名MANDA(日本化薬社)が挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
これらの架橋剤は、他の単量体成分100重量部に対して、好ましくは、0.01〜10重量部用いることができ、特に、0.03〜5重量部用いることが好ましい。これらの架橋性単量体のうち、トナー用樹脂に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を1つ含む結合鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
前記超臨界流体は、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮を起こさず、臨界温度以上、かつ臨界圧力以上の状態にある流体である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度が低い材料が好ましい。
また、亜臨界流体は、臨界点近傍の温度・圧力領域において高圧液体として存在する限り、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明においては、超臨界流体又は亜臨界流体として、二酸化炭素を用いる。二酸化炭素は、臨界圧力が7.3MPaであり、臨界温度が31℃であるため、容易に超臨界状態を作り出せる共に、不燃性であるため、取り扱いが容易である。また、二酸化炭素は、非水系であるため、トナー特性が良好となる。
本発明においては、超臨界二酸化炭素又は亜臨界二酸化炭素と共に、他の流体を併用することもできる。他の流体は、トナーを構成する材料の溶解度を制御しやすいことが好ましく、具体的には、N2O、エタン、プロパン、エチレン等が挙げられる。
また、超臨界二酸化炭素又は亜臨界二酸化炭素と共に、エントレーナーとして、有機溶媒を併用することもできる。これにより、トナーを構成する材料の溶解度が制御しやすくなる。前記エントレーナーは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アンモニア、メラミン、尿素、チオエチレングリコール等が挙げられる。
分散重合法とは、溶媒中に、溶媒に溶解する高分子分散剤を加え、これに溶媒には溶解するが、生成する重合体は有機溶媒には膨潤されるかほとんど溶解しない、一種または二種以上のビニル単量体を加えて粒子形成するものである。あらかじめ、目的の粒子径よりは小さいが粒度分布の狭い重合体を利用して上述の系にて成長させる反応も含まれる。成長反応に利用する単量体は種粒子を製造したものと同じ単量体でもまた、別の単量体でもよいが、重合体は溶媒に溶解してはならない。
本発明は、溶媒に溶解する高分子分散剤としてフッ素系界面活性剤を用いるもので、フッ素系界面活性剤としては、フッ素系ビニル単量体、フッ素系ビニル単量体を重合することにより得られる重合体(単独重合体又は共重合体)等を用いることができる。前記フッ素系ビニル単量体は、目的に応じて適宜選択することができるが、パーフルオロアルキル基を有するアクリル酸誘導体(アクリレート単量体)、メタクリル酸誘導体(メタクリレート単量体)等が挙げられる。これら原料は、多数市販されているので、目的に応じて適宜使用することができる。
前記フッ素系ビニル単量体を重合することにより得られる重合体は、下記一般式(1)で表される構成単位を有する化合物であることが好ましい。
ただし、前記一般式(1)中、R1は、水素原子もしくはメチル基、R2はC1〜C2のアルキレン基、RfはC4〜C20のパーフルオロアルキル基である。
このとき、重合体中の一般式(1)で示される構成単位の組成比は、1〜100モル%であることが好ましく、10〜100モル%がより好ましく、50〜100モル%がさらにより好ましい。この組成比が1モル%未満であると、二酸化炭素に対する界面活性能が不十分となることがある。
また、前記フッ素系ビニル単量体は、下記一般式(3)で表される構成単位を有する化合物であることが好ましい。
ただし、前記一般式(3)中、R1は、水素原子もしくはメチル基、R2はC1〜C2のアルキレン基、RfはC4〜C20のパーフルオロアルキル基である。
前記一般式(1)及び(3)において、R1は、水素原子又はメチル基であり、R2は、C1〜C2のアルキレン基であり、Rfは、炭素数が4〜20のパーフルオロアルキル基である。R2のC1〜C2のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基等が挙げられる。
前記フッ素系ビニル単量体を重合することにより得られる重合体としては、上記一般式(3)で表される化合物を反応させることにより得られる化合物であることが好ましい。一般なフッ素系界面活性剤の製造方法としては、フロリナートFC−40、FC−43、FC−70、FC−72、FC−75、FC−77(以上住友3M社製)、アサヒクリンAE−3000、AK−225(以上旭硝子社製)、バートレルXF(三井デュポンフルオロケミカル)等のフッ素系溶媒中でフッ素系ビニル単量体を重合することによって合成されるが、フッ素系溶媒の代わりに、超臨界二酸化炭素を反応溶媒として使用して合成したものを使用する方が環境負荷を低減できるので望ましい。
前記重合反応は、塊状重合及びリビングラジカル重合のいずれかであることが好ましい。
−塊状重合−
前記塊状重合は、減圧下、もしくは常圧又は加圧下で窒素等の不活性ガス雰囲気の反応容器中、重合性単量体からなる単量体組成物を加熱して発生する熱ラジカル、及び/又は2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと略する)、ベンゾイルパーオキシド等のような公知のラジカル重合開始剤をこの単量体組成物に添加し、その重合開始剤から発生するラジカルにより開始される。
前記ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノールパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド;1,1−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール;t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビスシクロヘキシルニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。これらは単独で用いられても、2種類以上併用されてもよい。
前記ラジカル重合開始剤の添加量は、少なくなると重合初期に殆ど使われ重合が完結しにくくなり、また多くなるとラジカル発生量が多くなり充分な分子量の重合体が得られにくくなるため、上記重合性単量体100重量部に対し、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.01〜1.5重量部である。また、この際の重合温度は通常、50〜220℃が好ましく、80〜150℃がより好ましい。
更に、上記の塊状重合においては、連鎖移動剤を添加することにより、得られる重合体の分子量を調整することもできる。この連鎖移動剤としては、ラジカル重合性単量体の重合や共重合に通常使用されるものであれば、いずれでもよい。例えば、メチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、デシルメルカプタン、ベンジルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ステアリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸等のメルカプタン類;メタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、アリルアルコール等のアルコール類;クロロエタン、フルオロエタン、トリクロロエチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類を挙げることができる。その中でもメルカプタン類が好ましく、またn−ドデシルメルカプタン(以下、n−DMと略する)がより好ましい。この連鎖移動剤は、重合する前に反応容器に一括で仕込んでもよいし、重合する際に連続又は逐次添加しても構わない。
前記連鎖移動剤の添加量は、重合性単量体100重量部に対して通常0.01〜1重量部が好ましく、0.05〜0.5重量部がより好ましい。前記添加量が0.01重量部未満であると、重合系の粘度が高くなるために製造しにくくなることがあり、1重量部を超えると、得られる重合体の分子量が低下することがある。
上記の重合を停止させる方法としては、成長ラジカルの連鎖移動が停止し消滅するのであれば、公知のいかなるものでもよい。それには、重合液に50〜5,000ppmの重合停止剤を加える、酸素や空気を重合液に吹き込む、重合液を40℃以下に冷却する等により操作し、これらは単独でもよいし、複数を組み合わせても差し支えない。
前記重合停止剤とは、重合性単量体及び/又は重合開始剤から発生するラジカルと速やかに反応し、引き続いて重合を起こさないような安定なラジカル又は中性物質に変換する薬剤のことである。その具体例としては、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、フェナンスラキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン等のキノン類;ヒドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、モノ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン等のヒドロキノン類;ジ−t−ブチル・パラクレゾールヒドロキノンモノメチルエーテル、α−ナフトール等のフェノール類;ナフテン酸銅等の有機・無機銅塩;アセトアミジンアセテート、アセトアミジンサルフェート等のアミジン類;フェニルヒドラジン塩酸塩、ヒドラジン塩酸塩等のヒドラジン塩類;トリメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルピリジニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、フェニルトリメチルアンモニウムクロリド等の第四級アンモニウム塩類;ピロガロール、タンニン酸、レゾルシノール等の多価フェノール類;ニトロ化合物、オキシム類などが挙げられる。
−リビングラジカル重合−
前記リビングラジカル重合法は、TEMPO(2,2,6,6−Tetramethlpiperidinyl−1−oxy)法、ヨウ素移動重合法の2つのリビングラジカル重合法を用いるのが好ましい。TEMPO法については、M.K.GeorgesらによるTrends Polymer Science,2巻66ページ(1994年)の報告を参照することができる。また、ヨウ素移動重合法については、M.Tatemotoよる高分子論文集49巻765ページ(1992年)の報告を参照することができる。
TEMPO法では、一般に安定なニトロキシフリーラジカル(=N−O・)をラジカルキャッピング剤として用いる。このような化合物類であれば、特に限定はされないが、2,2,6,6−置換−1−ピペリジニルオキシラジカルや2,2,5,5−置換−1−ピロリジニルオキシラジカルなど、環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルが好ましい。置換基としてはメチル基やエチル基等の炭素数4以下のアルキル基が適当である。
前記ニトロキシフリーラジカル化合物の具体例として、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチル−2−イソインドリニルオキシラジカル、N,N−ジ−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。また、ニトロキシフリーラジカルの代わりに、ガルビノキシル(galvinoxyl)フリーラジカル等の安定なフリーラジカルを用いることもできる。
これら上記のラジカルキャッピング剤は、熱ラジカル発生剤とともに併用される。ラジカルキャッピング剤と熱ラジカル発生剤との反応生成物が重合開始剤となって付加重合性単量体の重合が進行すると考えられ、両者の併用割合は特に限定されるものではないが、ラジカルキャッピング剤1モルに対し、熱ラジカル発生剤0.1〜10モルが適当である。
前記熱ラジカル発生剤としては、特に制限はなく、種々の化合物を使用することができるが、重合温度条件下で、ラジカルを発生しうるパーオキシドやアゾ化合物が好ましい。前記パーオキシドとしては、特に限定はされないが、例えばベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類;ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類;t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類等がある。特にベンゾイルパーオキシドが好ましい。アゾ化合物としては、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソ酪酸ジメチル等が挙げられる。これらの中でも、アゾビスイソ酪酸ジメチルが特に好ましい。
リビングラジカル重合に使用される溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン等のシクロアルカン類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の飽和カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン等のアルキルラクトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーエル類;2−ブタノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のアルキルケトン類;シクロヘキサノン等のシクロアルキルケトン類;2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン系極性溶媒、又は無溶剤を挙げることができる。これらは、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
また、上記重合における反応温度は、通常、40〜150℃が好ましく、50〜130℃がより好ましい。また、反応時間は、通常、1〜96時間が好ましく、1〜72時間がより好ましい。
高分子化合物分散剤としてのフッ素系界面活性剤は、特に重合体粒子同士の合一を主に立体的に防ぐ意味で重合体粒子表面への親和性、吸着性が高く、しかも溶媒への親和性、溶解性が高いと同時に、立体的に粒子同士の反発を高める為に、分子鎖がある程度の長さのもの(分子量が5,000以上のもの)、好ましくは分子量が1万以上のものが良く、さらには5万以上が好ましい。しかし、あまりにも分子量が高いと、超臨界流体及び亜臨界流体への溶解性が悪くなり、粒子形成に寄与しないため、分子量50万以下が好ましい。
ここで、前記フッ素系界面活性剤の重量平均分子量は、GPCによって以下の条件でサンプル調製と測定を実施した。
−サンプル調製方法−
CF3COONaが5mMになるように調整したHFIP(ヘキサフルオロプロパノール)溶液を使用し、測定試料を0.15重量%の濃度になるように溶解させる。
−測定条件−
・装置:HLC−8220−GPC(東ソー社製)
・カラム:TSK−gel GMH HR−M(東ソー社製)
・温度:40℃
・溶媒:HFIP(ヘキサフルオロプロパノール)
・流速:0.2ml/分
・ 試料:濃度0.15重量%の試料を10μl注入
以上の条件で測定したフッ素系界面活性剤の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して、フッ素系界面活性剤の重量平均分子量を算出することができる。
重合工程におけるフッ素系界面活性剤の添加量は、少ない程、製造コストが低くなるため、好ましいが、重合性単量体に対して、0.01〜50重量%が好ましく、0.01〜30重量%がより好ましく、0.1〜20重量%がさらにより好ましい。前記フッ素系界面活性剤の添加量が、重合性単量体に対して、0.01重量%未満であると、トナー粒子が得られなくなることがあり、50重量%を超えると、製造コストが高くなり、実用的でなくなる。
一般に種粒子製造時の高分子散剤の使用量は目的とする重合体粒子形成用の重合性単量体の種類によって異なるが、超臨界流体及び亜臨界流体に対し、0.1〜10重量%更に好ましくは1〜5重量%が好ましい。高分子分散安定剤の濃度が低い場合には生成する重合体粒子は比較的大径のものが得られ、濃度の高い場合には小粒子が得られるが、10重量%を越えて用いても小径化への効果は少ない。
重合工程における加圧条件は、8〜100MPaが好ましく、10〜50MPaがより好ましい。加圧条件が8MPa未満であると、界面活性剤の溶解量が低下し、界面活性能が不足しやすくなることから、安定にトナー粒子を得ることができなくなることや、反応系内の重合性単量体濃度を上げられず非効率な製造条件となることがある。100MPaを超える場合は、耐圧設備にかかる装置コストが高くなることや、トナー粒子が膨潤又は溶解しやすくなることがある。
また、重合工程における加熱条件は、10〜180℃が好ましく、30〜150℃がより好ましく、35〜130℃が更に好ましい。加熱条件が10℃未満であると、反応時間が長くなったり、重合転化率が低くなったりしやすくなることがあり、180℃を超える場合は、安定にトナー粒子を得ることができなくなることや、製造エネルギー、製造コストが高くなることがある。
また、重合工程において、離型剤を更に超臨界二酸化炭素又は亜臨界二酸化炭素に溶解させ、重合性単量体を重合することが好ましい。これにより、離型剤の分散性が良好なトナーを得ることができる。
本発明において、重合性単量体を重合する際には、重合開始剤を用いることができる。前記重合開始剤としては、超臨界流体及び亜臨界流体に可溶の通常のラジカル開始剤が使用され、反応温度と10時間半減期を鑑みて任意に選択することができる。例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオクトエート、過硫酸カリウム等の過酸化物系開始剤等が挙げられる。なお、重合開始剤は、チオ硫酸ナトリウム、アミン等と併用して用いてもよい。
前記重合開始剤は、重合性単量体100重量部に対して、0.1〜10重量部添加することが好ましい。
重合は超臨界流体もしくは亜臨界流体に高分子分散剤を完全に溶解した後、1種又は2種以上のビニル単量体、重合開始剤等を添加し、反応槽内の流れが均一になるような速度で撹拌しながら、用いた開始剤の分散速度に対応した温度に加熱して行う。なお、重合初期の温度が生成する粒子径に大きな影響を与えるため、単量体を添加した後に温度を重合温度まで上げ、開始剤を少量の溶媒に溶かして投入した方が望ましい。
また、重合性単量体を高重合率で重合するためには、5〜40時間重合することが好ましいが、所望の粒子径、粒子径分布のトナーを得るために、重合を途中で停止させたり、又、重合開始剤を順次添加したり、高圧下で反応を行うことにより重合速度を速めることができる。
また、分子量を調節するために、連鎖移動定数の大きい化合物を添加して重合を行ってもよい。このような化合物としては、メルカプト基を有する低分子化合物、四塩化炭素、四臭化炭素等が挙げられる。
ここで、前記重合造粒装置を用いた重合性単量体の重合物の形成方法について説明する。図6に示す重合造粒装置では、反応容器606としては、容積が1,000cm3のものを用いた。図6中、601は二酸化炭素ボンベ、602は加圧ポンプ、603はバルブ、604は背圧弁、605は恒温槽、607はスターラー、608は撹拌子である。
超臨界流体とするガスとして二酸化炭素を用いた。少なくともラジカル重合性単量体を含む組成物を反応容器606内に投入した。
次に、二酸化炭素ガスを、二酸化炭素ボンベ601より供給し、加圧ポンプ602にて昇圧し、バルブ603を介して反応容器606に導入した。ここで、高圧状態の二酸化炭素を加圧ポンプ602で加圧しながら導入することにより、反応容器606内の圧力が上昇する。また、恒温槽605にて反応容器606内の温度を320Kに調整した。
反応容器606内の圧力が7.3MPa以上にて、反応容器606内は超臨界状態となる。また、背圧弁604により反応容器606内の圧力を15MPaに設定し、反応容器606内を、少なくともラジカル重合性単量体及びフッ素系界面活性剤を含む組成物を溶解させた状態とした。この状態で、スターラー607により撹拌子608を回転しながら、反応容器606内を335Kまで昇温しその状態を12時間維持した。その後、背圧弁604を開き、反応容器606内の圧力を常圧に戻し二酸化炭素流体を気化させることにより、重合物を得ることができる。
本発明において、重合性単量体を重合することにより得られる重合物であるトナー結着樹脂の重量平均分子量は、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000以上であることが好ましく、2,000〜1,000万が更に好ましく、3,000〜100万が特に好ましい。重量平均分子量が、1,000未満であると、耐ホットオフセット性が低下することがある。
また、トナー結着樹脂の重量平均分子量としては、3,000 以上が好ましく、4,000〜10,000がより好ましい。重量平均分子量が、3,000未満であると、機内の部材にフィルミングが発生することがある。
前記結着樹脂の数平均分子量及び重量平均分子量は、GPCによって以下の条件で測定した。
・装置:GPC−150C(ウォーターズ社製)
・カラム:KF801〜807(ショウデックス社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0ml/分
・ 試料:濃度0.05〜0.6%の試料を0.1ml注入
以上の条件で測定した結着樹脂の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して結着樹脂の数平均分子量及び重量平均分子量を算出した。
前記トナー結着樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、目的に応じて適宜選択することができるが、30〜120℃であることが好ましく、40〜70℃が更に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が、30℃未満であると、トナーの貯蔵安定性が低下することがあり、120℃を超えると、低温定着性が不十分になることがある。
ここで、前記ガラス転移温度(Tg)とは、具体的に次のような手順で決定される。測定装置として島津製作所製TA−60WS、及びDSC−60を用い、次に示す測定条件で測定することができる。
〔測定条件〕
・サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
・サンプル量:5mg
・リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
・雰囲気:窒素(流量50ml/min)
・温度条件
開始温度:20℃
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温温度:10℃/min
終了温度:20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
測定した結果は、前記島津製作所製データ解析ソフト(TA−60、バージョン1.52)を用いて解析を行った。解析方法は2度目の昇温のDSC微分曲線であるDrDSC曲線から同装置内のガラス転移点解析機能を用いてガラス転移温度を求める。本発明ではガラス転移温度としては、ガラス転移し始める最初のショルダー部分の温度をガラス転移温度とした。
本発明のトナーに含有可能な内添剤は、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、着色剤、離型剤、帯電制御剤、無機微粒子、磁性体等が挙げられる。
前記着色剤は、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
トナー中の着色剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜15重量%であることが好ましく、3〜10重量%が更に好ましい。着色剤の含有量が1重量%未満であると、トナーの着色力が低下することがあり、15重量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力及びトナーの電気特性が低下することがある。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の樹脂の中から適宜選択することができるが、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート)、ポリメタクリル酸ブチル(ポリブチルメタクリレート)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
スチレン又はその置換体の重合体としては、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリビニルトルエン等が挙げられる。スチレン系共重合体としては、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等が挙げられる。
マスターバッチは、マスターバッチ用樹脂と、着色剤とを高せん断力をかけて混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を向上させるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、フラッシング法によりマスターバッチを製造すると、着色剤のウエットケーキを直接用いることができ、顔料を乾燥する必要がなく、その時点で顔料の凝集体を作成しないことから好ましい。フラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤と共に混合又は混練し、着色剤を樹脂に移行させて水分及び有機溶剤を除去する方法である。混合又は混練には、三本ロールミル等の高せん断分散装置を用いることが好ましい。
これらの着色剤をトナー粒子中に取り込む方法としては、重合前に超臨界流体中に着色剤を分散させ、重合と同時に着色剤粒子中に取り込ませる方法、重合後、エントレーナーとして有機溶媒を用い、超臨界流体中で加熱及びまたは加圧することにより、トナー粒子を超臨界流体に膨潤させて、トナー粒子中に着色剤粒子を圧入する方法がある。
また、トナー粒子を重合後に染料で着色することも可能であり、本発明において、重合工程で得られた結着樹脂は、エントレーナーを用いて染着することができるが、超臨界流体中で重合して得られたトナー樹脂粒子に染着させるために用いるエントレーナーは、結着樹脂が溶解しない有機溶媒又は若干の膨潤させる有機溶媒であることが好ましい。具体的には、エントレーナーと結着樹脂の溶解性パラメータ(以下、SP値という)の差が1.0以上であることが好ましく、2.0以上が更に好ましい。例えば、スチレン−アクリル系樹脂(粒子)に対しては、SP値が高いメタノール、エタノール、n−プロパノール等のアルコール系か又はSP値が低いn−ヘキサン、n−ヘプタン等を使用することができる。このとき、SP値の差が5を超えると、エントレーナーの結着樹脂(粒子)に対する濡れが悪くなり、結着樹脂(粒子)の分散性が低下するため、好ましくない。よって、最適なSP値の差は2〜5である。
染着に使用する染料は、使用するエントレーナーである有機溶媒に対する溶解度D1と結着樹脂を溶解することが可能な有機溶媒に対する溶解度D2の比(D1/D2)が0.5以下であれば、どのような染料を使用してもよいが、染着された後のトナーの粉体抵抗を高くするためには、分散染料、油溶性染料、バット染料等を用いることが好ましく、油溶性染料が特に好ましい。また、着色に応じて、数種の染料を用いることもできる。なお、粉体抵抗が低くなると、転写率が低下することがある。
染着方法としては、結着樹脂(樹脂微粒子)と染料とエントレーナーを耐圧容器に入れ、超臨界流体中で処理を行う方法又はエントレーナーに染料を溶解又は分散させた液を耐圧容器に入れ、超臨界流体中で処理を行う方法が挙げられる。
結着樹脂(樹脂微粒子)に対する染料の重量比(重量比率)は、着色度に応じて適宜選択することができるが、通常、樹脂微粒子100重量部に対して1〜20%である。
染料の具体例としては、C.I.SOLVENT YELLOW(6,9,17,31,35,100,102,103,105)、C.I.SOLVENT ORANGE(2,7,13,14,66)、C.I.SOLVENT RED(5,16,17,18,19,22,23,143,145,146,149,150,151,157,158)、C.I.SOLVENT VIOLET(31,32,33,37)、C.I.SOLVENT BLUE(22,63,78,83〜86,191,194,195,104)、C.I.SOLVENT GREEN(24,25)、C.I.SOLVENT BROWN(3,9)等が挙げられる。
市販の染料では例えば、愛染SOT染料Yellow−1,3,4、Orange−1,2,3、Scarlet−1、Red−1,2,3、Brown−2、Blue−1,2、Violet−1、Green−1,2,3、Black−1,4,6,8(以上、保土ケ谷化学社製)、Sudan染料Yellow−146,150、Orange−220、Red−290,380,460、Blue−670(以上、BASF社製)、ダイアレジンYellow−3G,F,H2G,HG,HC,HL、Orange−HS,G、Red−GG,S,HS,A,K,H5B、Violet−D、Blue−J,G,N,K,P,H3G,4G、Green−C、Brown−A(以上、三菱化成社製)、オイルカラーYEllow−3G,GG−S,#105、Orange−PS,PR,#201、Scarlet−#308,Red−5B,Brown−GR,#416、Green−BG、#502、Blue−BOS、IIN、Black−HBB,#803,EB,EX(以上、オリエント化学工業社製)、スミプラストブルーGP,OR、レッドFB,3B、イエローFL7G,GC(以上、住友化学工業社製)、カヤロンポリエステルブラックEX−SF300、カヤセットRed−B、ブルーA−2R(以上、日本化薬社製)等が挙げられる。もちろん、染料は、樹脂微粒子と染着時に使用する有機溶媒の組合せで適宜選択されるため、上記例に限られるものではない。
前記離型剤は、特に制限はなく、目的に応じて公知の離型剤の中から適宜選択することができ、ワックス類等を用いることができる。ワックス類としては、低分子量ポリオレフィンワックス、合成炭化水素系ワックス、天然ワックス類、石油ワックス類、高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸アミド、これらの各種変性ワックス等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
低分子量ポリオレフィンワックスとしては、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス等が挙げられる。合成炭化水素ワックスとしては、フィッシャートロプシュワックス等が挙げられる。天然ワックス類としては、蜜ろう、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス等が挙げられる。石油ワックス類としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。高級脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等が挙げられる。
前記離型剤の融点は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40〜160℃であることが好ましく、50〜120℃が更に好ましく、60〜90℃が特に好ましい。融点が40℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすく、定着機への紙の巻き付き等が発生することがある。
トナー中の離型剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0〜40重量%であることが好ましく、3〜30重量%が更に好ましい。離型剤の含有量が40重量%を超えると、低温定着性が低下したり、光沢度が高過ぎることにより、画質が低下したりすることがある。
これらの離型剤は、重合後、超臨界流体中で加熱及びまたは加圧することにより、離型剤が超臨界流体に容易に溶解するため、トナー粒子中に取り込むことが容易である。
前記帯電制御剤は、特に制限はなく、公知の帯電制御剤の中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると、色調が変化することがあるため、無色又は白色に近い材料が好ましく、含有金属錯体染料、フッ素変性4級アンモニウム塩、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられる。なお、金属は、目的に応じて適宜選択することができるが、アルミニウム、亜鉛、チタン、ストロンチウム、ホウ素、ケイ素、ニッケル、鉄、クロム、ジルコニウム等が挙げられる。
市販の帯電制御剤としては、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸、カルボン酸、4級アンモニウム塩等を有する高分子化合物等が挙げられる。
トナー中の帯電制御剤の含有量は、結着樹脂の種類、添加剤の種類、分散方法等により適宜選択することができるが、結着樹脂に対して、0〜10重量%であることが好ましく、1〜5重量%が更に好ましい。10重量%を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性が低下したり、画像濃度が低下したりすることがある。
製法1、製法2いずれの製法のトナーも、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の外添剤を添加しても良い。前記流動性向上剤は、トナー表面に添加することにより、トナーの流動性を改善(流動しやすくなる)するものである。
前記流動性向上剤としては、例えば、カーボンブラック、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末、湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナ、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤若しくはシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ、処理酸化チタン、処理アルミナ、などが挙げられる。これらの中でも、微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナが好ましく、また、これらをシランカップリング剤やシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカが更に好ましい。
前記流動性向上剤の粒径としては、平均一次粒径として、5nm〜500nmであることが好ましく、7nm〜120nmであることがより好ましい。
前記微粉末シリカは、ケイ素ハロゲン化含物の気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。
ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば、AEROSIL(日本アエロジル社商品名、以下同じ)−130、−300、−380、−TT600、−MOX170、−MOX80、−COK84:Ca−O−SiL(CABOT社商品名)−M−5、−MS−7、−MS−75、−HS−5、−EH−5:Wacker HDK(ワッカーへミー社商品名)−N20、V15、−N20E、−T30、−T40:D−CFineSilica(ダウコーニング社商品名):Fransol(フランジル社商品名)、などが挙げられる。
更には、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が好ましくは30〜80%の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。疎水化は、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的あるいは物理的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する方法がよい。
有機ケイ素化合物としては、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルビニルクロロシラン、ジビニルクロロシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、へキサメチルジシラン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロモメチルジメチルクロロシラン、α−クロルエチルトリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、へキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフエニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し、未端に位置する単位にそれぞれSiに結合した水酸基を0〜1個含有するジメチルポリシロキサン等がある。更に、ジメチルシリコーンオイルの如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
流動性向上剤の個数平均粒径としては、5〜100nmになるものが好ましく、5〜50nmになるものがより好ましい。
BET法で測定した窒素吸着による比表面積としては、30m2/g以上が好ましく、60〜400m2/gがより好ましい。表面処理された微粉体としては、20m2/g以上が好ましく、40〜300m2/gがより好ましい。これらの微粉体の適用量としては、トナー粒子100重量部に対して0.03〜8重量部が好ましい。
静電潜像担持体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合によって製造されたポリマー微粒子、シリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重合体粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
本発明のトナーには、他の外添剤として、静電潜像担持体・キャリアーの保護、熱特性・電気特性・物理特性の調整、抵抗調整、軟化点調整、定着率向上等を目的として、各種金属石けん、フッ素系界面活性剤、フタル酸ジオクチルや、導電性付与剤として酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化アンチモン等や、酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミナ等の無機微粉体などを必要に応じて添加することができる。これらの無機微粉体は、必要に応じて疎水化してもよい。また、ポリテトラフルオロエチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデン等の滑剤、酸化セシウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、ケーキング防止剤、更に、トナー粒子と逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を、現像性向上剤として用いることもできる。
これらの添加剤は、帯電量コントロール等の目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤、又は種々の処理剤で処理することも好ましい。
本発明のトナーは、その形状、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、以下のような、平均円形度、重量平均粒径、重量平均粒径と個数平均粒径との比(重量平均粒径/個数平均粒径)などを有していることが好ましい。
前記平均円形度は、前記トナーの形状と投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値であり、例えば、0.900〜0.980が好ましく、0.950〜0.975がより好ましい。なお、前記平均円形度が0.94未満の粒子が15%以下であるものが好ましい。
前記平均円形度が、0.900未満であると、満足できる転写性やチリのない高画質画像が得られないことがあり、0.980を超えると、ブレードクリーニングなどを採用している画像形成システムでは、感光体上及び転写ベルトなどのクリーニング不良が発生し、画像上の汚れ、例えば、写真画像等の画像面積率の高い画像形成の場合において、給紙不良等で未転写の画像を形成したトナーが感光体上に転写残トナーとなって蓄積した画像の地汚れが発生してしまうことがあり、あるいは、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまうことがある。
ここで、前記平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(Flow Particle Image Analyzer)を使用して測定することができる。例えば東亜医用電子社(株)製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000を用いて測定することができる。
測定は、フィルターを通して微細なごみを取り除き、その結果として10−3cm3の水中に測定範囲(例えば、円相当径0.60μm以上、159.21μm未満)の粒子数が20個以下の水10ml中にノニオン系界面活性剤(好ましくは和光純薬社製コンタミノンN)を数滴加え、更に、測定試料を5mg加え、超音波分散器(SMT社製、UH−50)で20kHz,50W/10cm3の条件で1分間分散処理を行い、更に、合計5分間の分散処理を行い測定試料の粒子濃度が4,000〜8,000個/10−3cm3(測定円相当径範囲の粒子を対象として)の試料分散液を用いて、0.60μm以上、159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布を測定する。
試料分散液は、フラットで偏平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するために、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。
約1分間で、1,200個以上の粒子の円相当径を測定することができ、円相当径分布に基づく数及び規定された円相当径を有する粒子の割合(個数%)を測定できる。結果(頻度%及び累積%)は、0.06〜400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。実際の測定では、円相当径が0.60μm以上、159.21μm未満の範囲で粒子の測定を行う。
重量平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンター法による重量平均粒径及び粒度分布を、コールターカウンターTA−II又はコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)を用いて測定することができる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて1重量%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加えた。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナーの重量、及び個数を測定して、重量分布と個数分布を算出した。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
前記トナーの重量平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1〜10μmが好ましく、3〜8μmがより好ましい。
前記重量平均粒径が、1μm未満であると、二成分現像剤では現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するため、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、10μmを超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
前記トナーにおける重量平均粒径と個数平均粒径との比(重量平均粒径/個数平均粒径)としては、1.00〜1.15が好ましく、1.00〜1.05がより好ましい。
前記重量平均粒径と個数平均粒径との比(重量平均粒径/個数平均粒径)が、1.15を超えると、二成分現像剤では、現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーが薄層化し、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、また、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
前記重量平均粒径、及び、前記重量平均粒径と個数平均粒子径との比(重量平均粒径/個数平均粒径)は、例えば、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンターTAII」を用いて測定することができる。
(現像剤)
本発明の現像剤は、本発明の前記トナーを少なくとも含有してなり、キャリアなどの適宜選択したその他の成分を含有してなる。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
本発明の前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。また、本発明の前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー径の変動が少なく、現像装置における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
本発明のトナーを、キャリアと混合して2成分現像剤として使用した場合、前記キャリアとしては、通常のフェライト、マグネタイト等のキャリアも樹脂コートキャリアも使用することができる。
前記樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材からなる。
前記キャリアコア粒子の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−亜鉛(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
前記キャリアコア粒子の粒径としては、体積平均粒径で、10〜150μmが好ましく、40〜100μmがより好ましい。
前記体積平均粒径が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、150μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
前記樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アミノ系樹脂としては、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる前記ポリビニル系樹脂としては、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。前記ポリスチレン系樹脂としては、例えばポリスチレン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂等が挙げられる。前記ハロゲン化オレフィン樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル等が挙げられる。前記ポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
前記樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、などが挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテート、などが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、0.01〜5.0重量%が好ましい。前記量が0.01重量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0重量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
前記現像剤が前記二成分現像剤である場合、前記キャリアの該二成分現像剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、90〜98重量%が好ましく、93〜97重量%がより好ましい。
前記現像剤は、本発明の前記トナーを含有しているので、画像形成時において、帯電性能に優れ、高画質な画像を安定に形成することができる。
(トナー入り容器)
本発明のトナー入り容器は、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を容器中に収容してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、トナー入り容器本体とキャップとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記トナー入り容器本体としては、その大きさ、形状、構造、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、円筒状などが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより内容物であるトナーが排出口側に移行可能であり、かつ該スパイラル部の一部又は全部が蛇腹機能を有しているもの、などが特に好ましい。
前記トナー入り容器本体の材質としては、特に制限はなく、寸法精度がよいものが好ましく、例えば、樹脂が好適に挙げられ、その中でも、例えば、ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、などが好適に挙げられる。
前記トナー入り容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れ、後述するプロセスカートリッジ、画像形成装置等に、着脱可能に取り付けてトナーの補給に好適に使用することができる。
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に担持された静電潜像を、現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
前記現像手段としては、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容されたトナー乃至現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。
ここで、前記プロセスカートリッジは、例えば、図7に示すように、静電潜像担持体701を内蔵し、帯電手段702、現像手段704、転写手段708、クリーニング手段707を含み、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。図7中、703は露光手段による露光、705は記録媒体をそれぞれ示す。
次に、図7に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて示すと、静電潜像担持体701は、矢印方向に回転しながら、帯電手段702による帯電、露光手段(不図示)による露光703により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段704で現像され、得られた可視像は転写手段708により、記録媒体705に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の静電潜像担持体表面は、クリーニング手段707によりクリーニングされ、更に除電手段(不図示)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(「光導電性絶縁体」、「感光体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、材質としては、有機感光体やアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体などが挙げられる。
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、本発明の前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられ、前記トナー入り容器を備えた現像器などがより好ましい。
前記現像器は、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記現像器に収容させる現像剤は、本発明の前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。該現像剤に含まれるトナーは、本発明の前記トナーである。
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を、転写帯電器を用いて前記中間転写体もしくは前記記録媒体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、120〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の態様について、図8を参照しながら説明する。図8に示す画像形成装置800は、前記静電潜像担持体としての感光体ドラム810(以下「感光体810」という)と、前記帯電手段としての帯電ローラ820と、前記露光手段としての露光装置830と、前記現像手段としての現像装置840と、中間転写体850と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置860と、前記除電手段としての除電ランプ870とを備える。
中間転写体850は無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ851によって、図中矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ851の一部は、中間転写体850へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体850には、その近傍に中間転写体用クリーニングブレード890が配置されており、また、記録媒体895に可視像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ880が対向して配置されている。中間転写体850の周囲には、この中間転写体850上の可視像に電荷を付与するためのコロナ帯電器858が、該中間転写体850の回転方向において、静電潜像担持体810と中間転写体850との接触部と、中間転写体850と記録媒体895との接触部との間に配置されている。
現像装置840は、現像剤担持体としての現像ベルト841と、この現像ベルト841の周囲に併設したブラック現像ユニット845K、イエロー現像ユニット845Y、マゼンタ現像ユニット845M、及びシアン現像ユニット845Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット845Kは、現像剤収容部842Kと現像剤供給ローラ843Kと現像ローラ844Kとを備えている。イエロー現像ユニット845Yは、現像剤収容部842Yと現像剤供給ローラ843Yと現像ローラ844Yとを備えている。マゼンタ現像ユニット845Mは、現像剤収容部842Mと現像剤供給ローラ843Mと現像ローラ844Mとを備えている。シアン現像ユニット845Cは、現像剤収容部842Cと現像剤供給ローラ843Cと現像ローラ844Cとを備えている。また、現像ベルト841は、無端ベルトであり、複数のベルトローラにより回転可能に張架され、一部が静電潜像担持体810と接触している。
図8に示す画像形成装置800において、例えば、帯電ローラ820が感光体ドラム810を一様に帯電させる。露光装置830が感光ドラム810上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。感光ドラム810上に形成された静電潜像を、現像装置840からトナーを供給して現像して可視像(トナー像)を形成する。該可視像(トナー像)が、ローラ851から印加された電圧により中間転写体850上に転写(一次転写)され、更に転写紙895上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙895上には転写像が形成される。なお、感光体810上の残存トナーは、クリーニング装置860により除去され、感光体810における帯電は除電ランプ870により一旦、除去される。
前記画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図9を参照しながら説明する。図9に示す画像形成装置900は、図8に示す画像形成装置800において、現像ベルト841を備えてなく、感光体810の周囲に、ブラック現像ユニット845K、イエロー現像ユニット845Y、マゼンタ現像ユニット845M及びシアン現像ユニット845Cが直接対向して配置されていること以外は、図8に示す画像形成装置800と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図9においては、図8におけるものと同じものは同符号で示した。
前記画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図10を参照しながら説明する。図10に示すタンデム画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置である。タンデム画像形成装置は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体1050が中央部に設けられている。そして、中間転写体1050は、支持ローラ1014、1015及び1016に張架され、図10中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ1015の近傍には、中間転写体1050上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置1017が配置されている。支持ローラ1014と支持ローラ1015とにより張架された中間転写体1050には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段1018が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置1021が配置されている。中間転写体1050における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置1022が配置されている。二次転写装置1022においては、無端ベルトである二次転写ベルト1024が一対のローラ1023に張架されており、二次転写ベルト1024上を搬送される転写紙と中間転写体1050とは互いに接触可能である。二次転写装置1022の近傍には定着装置1025が配置されている。定着装置1025は、無端ベルトである定着ベルト1026と、これに押圧されて配置された加圧ローラ1027とを備えている。
なお、タンデム画像形成装置においては、二次転写装置1022及び定着装置1025の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置1028が配置されている。
次に、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス1032上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス1032上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス1032上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体1033及び第2走行体1034が走行する。このとき、第1走行体1033により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体1034におけるミラーで反射し、結像レンズ1035を通して読取りセンサ1036で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像手段120における各画像形成手段1018(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段、及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム型現像手段120における各画像形成手段1018(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図11に示すように、それぞれ、静電潜像担持体1110(ブラック用静電潜像担持体1010K、イエロー用静電潜像担持体1010Y、マゼンタ用静電潜像担持体1010M、及びシアン用静電潜像担持体1010C)と、該静電潜像担持体1110を一様に帯電させる帯電装置160と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像用に前記静電潜像担持体を露光(図11中、L)し、該静電潜像担持体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光装置と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する現像装置61と、該トナー画像を中間転写体1050上に転写させるための転写帯電器1062と、クリーニング装置63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ1014、1015及び1016により回転移動される中間転写体1050上にそれぞれ、ブラック用静電潜像担持体1010K上に形成されたブラック画像、イエロー用静電潜像担持体1010Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用静電潜像担持体1010M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用静電潜像担持体1010C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体1050上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ1049に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ142を回転して手差しトレイ1054上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ1058で1枚ずつ分離して手差し給紙路1053に入れ、同じくレジストローラ1049に突き当てて止める。なお、レジストローラ1049は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。そして、中間転写体1050上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ1049を回転させ、中間転写体1050と二次転写装置1022との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置1022により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体1050上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置1017によりクリーニングされる。
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写装置1022により搬送されて、定着装置1025へと送出され、定着装置1025において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪1055で切り換えて排出ローラ1056により排出され、排紙トレイ1057上にスタックされ、あるいは、切換爪1055で切り換えてシート反転装置1028により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ1056により排出され、排紙トレイ1057上にスタックされる。
本発明の画像形成方法及び前記画像形成装置では、シャープな粒度分布を有し、帯電性、環境性、経時安定性などのトナー特性が良好である本発明の前記トナーを用いているので、高画質画像を形成することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(合成例1)
−フッ素系界面活性剤1の合成−
1,1−ジハイドロパーフルオロオクチルアクリレート500重量部とV−65(和光純薬株式会社製、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))2重量部とを、耐圧反応セルにいれ、超臨界流体として二酸化炭素を選択し、二酸化炭素を供給ボンベにより処理セル内に供給し、加圧ポンプと温度調整器で20MPa、80℃に調節し、24時間反応を行った。ついで、0℃まで温度を下げ、背圧弁を使用して常圧まで圧力を下げ、フッ素系界面活性剤1を得た。GPC測定による重量分子量(Mw)は、150,000であった。
(合成例2)
−フッ素系界面活性剤2の合成−
N−プロピル−N−(β−アクリロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド500重量部とV−65(和光純薬株式会社製、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))2重量部とを、耐圧反応セルにいれ、超臨界流体として二酸化炭素を選択し、二酸化炭素を供給ボンベにより処理セル内に供給し、加圧ポンプと温度調整器で20MPa、80℃に調節し、24時間反応を行った。ついで、0℃まで温度を下げ、背圧弁を使用して常圧まで圧力を下げ、フッ素系界面活性剤2を得た。GPC測定による重量分子量(Mw)は、130,000であった。
(合成例3)
−フッ素系界面活性剤3の合成−
1,1−ジハイドロパーフルオロオクチルアクリレートモノマー500重量部、及びV−65(和光純薬株式会社製、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))25重量部を、攪拌機のついた耐圧反応セル内に1,000mlをいれ、超臨界流体として二酸化炭素を選択し、該二酸化炭素を供給ボンベにより前記処理セル内に供給し、加圧ポンプと温度調整器で20MPa、65℃に調節し、攪拌しながら24時間反応を行った。
次いで、反応終了後、0℃まで温度を下げ、背圧弁を使用して常圧大気圧まで圧力を下げ、フッ素系界面活性剤3(化合物例1)を得た。得られたフッ素系界面活性剤のGPC測定による重量平均分子量は、15,000であった。
(合成例4)
−フッ素系界面活性剤4の合成−
1,1−ジハイドロパーフルオロオクチルアクリレートモノマー250重量部、スチレンモノマー250重量部、AIBN(和光純薬株式会社製、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)2重量部を、攪拌機のついた耐圧反応セル内に1,000mlをいれ、超臨界流体として二酸化炭素を選択し、該二酸化炭素を供給ボンベにより前記処理セル内に供給し、加圧ポンプと温度調整器で30MPa、85℃に調節し、24時間反応を行った。次いで、反応終了後、0℃まで温度を下げ、背圧弁を使用して常圧大気圧まで圧力を下げ、フッ素系界面活性剤4(化合物例2)を得た。得られたフッ素系界面活性剤のGPC測定による重量平均分子量は、140,000であった。
(合成例5〜15)
−フッ素系界面活性剤5から15の合成−
フッ素系単量体及び共重合単量体を表2に示したものに変更した以外は、合成例4と同様にして、フッ素系界面活性剤5〜15を合成した。
(合成例16)
−バルク重合によるフッ素系界面活性剤16の合成−
2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート100重量部とAIBN(和光純薬株式会社製、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)0.2重量部を攪拌子の入った凍結用アンプル(ガラス製)にいれ、真空ポンプでアンプル内を脱気しながら、(1)液体窒素の入ったデュワービンで凍結させた後、(2)常温へもどし解凍した。この(1)から(2)の操作を20回ほど繰り返し、凍結アンプル内の脱気を行ったのち、アンプル上部をバーナーで加熱溶融させ封止した。これを120℃のオイルバスにいれてアンプル内を攪拌しながら72時間反応を行った。反応終了後、常温まで冷却し、アンプル上部を切開してヘキサフルオロベンゼン500重量部を入れ、反応物を溶解させ、これをメタノール10,000重量部に滴下して再沈精製を行った。次いで、この精製操作を3回行い、白色のフッ素系界面活性剤16(収率98%)を得た。得られたフッ素系界面活性剤16のGPCによる重量平均分子量(Mw)は120万であった。
(合成例17)
−リビングラジカル重合によるフッ素系界面活性剤17の合成−
2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート300重量部、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル18重量部、AIBN(和光純薬株式会社製、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)10重量部を攪拌子の入った凍結用アンプル(ガラス製)にいれ、真空ポンプでアンプル内を脱気しながら、(1)液体窒素の入ったデュワービンで凍結させた後、(2)常温へもどし解凍した。この(1)から(2)の操作を20回ほど繰り返し、凍結アンプル内の脱気を行ったのち、アンプル上部をバーナーで加熱溶融させ封止した。これを90℃のオイルバスにいれた後、バス温を155℃まで30分かけて昇温し、アンプル内を攪拌しながら96時間反応を行った。反応終了後、常温まで冷却し、アンプル上部を切開してヘキサフルオロベンゼン500重量部を入れ、反応物を溶解させ、これをメタノール10,000重量部に滴下して再沈精製を行った。更に、この精製操作を3回行い、白色のフッ素系界面活性剤17(収率97%)を得た。得られたフッ素系界面活性剤15のGPCによる重量平均分子量(Mw)は95,000であった。
(合成例18)
−結着樹脂としてのポリエステル樹脂1の合成−
温度計、攪拌機、冷却器および窒素導入管の付いた反応槽中にビスフェノールAのPO付加物(水酸基価 320)64部、ビスフェノールAのEO付加物(水酸基価 343)544部、テレフタル酸123部およびジブチルチンオキサイド4部を入れ、常圧で230℃で3時間反応した後180℃まで冷却し、無水ドデセニルコハク酸296部を入れ、さらに10〜15mmHgの減圧で酸価が2mgKOH/g以下になるまで反応した。その後無水トリメリット酸20部をいれ、常圧で180℃で2時間反応し、反応槽から取り出しポリエステル樹脂1を得た。ポリエステル樹脂1のTgは48℃、数平均分子量は9000、重量平均分量は22000、酸価は10mgKOH/g、水酸基価は17mgKOH/gであった。
(合成例19)
−結着樹脂としてのポリエステル樹脂2の合成−
合成例17と同様の反応装置にビスフェノールAのPO付加物(水酸基価 320)636部、テレフタル酸191部およびジブチルチンオキサイド4部を入れ、常圧で230℃で3時間反応した後180℃まで冷却し、無水ドデセニルコハク酸205部を入れ、さらに10〜15mmHgの減圧で酸価が2mgKOH/g以下になるまで反応した。その後無水トリメリット酸20部をいれ、常圧で180℃で2時間反応し、反応槽から取り出しポリエステル樹脂2を得た。ポリエステル樹脂2のTgは55℃、数平均分子量は5000、重量平均分量は10000、酸価は11mgKOH/g、水酸基価は16mgKOH/gであった。
(実施例1)
−重合性単量体組成物の調整−
10重量部のポリスチレン樹脂(理化ハーキュレス社製ピコラスティックA−75(Mn=731、軟化点=75℃))と、10重量部のスチレンと、5重量部のカーボンブラック(三菱化学社製MA−8)と、0.3重量部のベンジルパーオキサイドとを、100重量部のトルエン中に投入し、高剪断力で混合可能なホモミキサー(特殊機化工社製、TK式)により、11,000rpmの回転数で攪拌した。この溶液にさらに40重量部のスチレンと、20重量部のブチルアクリレートと、1重量部のフッ素系界面活性剤1と、4重量部のエチレングリコールジアクリレートとを加え、さらに混合して均一分散を行い、重合性単量体組成物1を調製した。
<超臨界重合工程>
前記、重合性単量体組成物1を200重量部、耐圧処理セルに充填し、超臨界流体として二酸化炭素を選択し、二酸化炭素を供給ボンベにより前記処理セル内に供給し、加圧ポンプと温調器で30MPa、85℃に調節した。これに、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.5重量部添加し、24時間反応を行った。
反応終了後、背圧弁を使用して、流量5 .0L /min、6時間、超臨界二酸化炭素をフローし、残留単量体と溶剤を除去した後、パラフィンワックスHNP−9(日本精鑞社製、融点:79℃、針入度:7)5重量部を添加し、1時間圧入を行った後、常温、常圧まで徐々にもどして、トナー1を得た。トナー1の粒子断面を20nm角で分割した時に、表面を含む区分と該表面を含む区分に隣接する区分でのフッ素原子と炭素原子との比率(F/C)の平均値は0.90、トナー1の表面を含む区分と表面を含む区分に隣接する区分の2つの区分以外でのフッ素原子と炭素原子との比率(F/C)の平均値は0.0046であった。
(実施例2)
実施例1からフッ素系界面活性剤1をフッ素系界面活性剤2に変更してトナー2を作成した。
(実施例3、4)
実施例1からフッ素系界面活性剤1の量を3重量部、4重量部に変更してトナー3及び4を作成した。
(比較例1、2)
実施例1からフッ素系界面活性剤1の量を0.5重量部、20重量部に変更してトナー5及び6を作成した。
(実施例5)
−着色剤分散液の調製−
先ず、着色剤としての、カーボンブラックの分散液を調製した。
カーボンブラック(Regal400;Cabot社製)15重量部、顔料分散剤3重量部を、酢酸エチル82重量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。ここで、顔料分散剤としては、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ社製)を使用した。
得られた一次分散液を、1mmφのジルコニアビーズを充填して横型湿式分散機(ダイノーミル、シンマルエンタープライズ社製)を用いて強力なせん断力により細かく分散し、凝集体を完全に除去した分散液を調製した。更に、0.45μmの細孔を有するフィルター(PTFE製)を通過させ、サブミクロン領域まで分散させた液を調製した。
−樹脂及びワックスを添加した分散液の調製−
次に、結着樹脂としての樹脂、及びワックスを添加した分散液を調製した。結着樹脂としてのポリエステル樹脂1を100重量部、カーボンブラック分散液30重量部、カルナバワックス5重量部、含フッ素ブロック共重合体モディパーF600(日本油脂社製)1重量部を、酢酸エチル1,000重量部に、着色剤分散液調製時と同じく、攪拌羽を有するミキサーを使用して、10分間攪拌を行い分散させた。この段階の分散液を、着色剤分散液調製時と同様に、0.45μmのフィルター(PTFE製)で濾過したが、目詰まりの発生はなく、全て通過することを確認した。なお、この分散液の電解伝導率は3.4×10−7S/mであった。
得られた分散液更に固形分が6.0%になるよう酢酸エチルを用いて希釈し、液を図1に示したトナー製造装置の、スラリー分散液貯蔵容器35に供給した。使用した吐出孔を有する板は、厚み20μmのニッケルプレートに、真円形状の出口直径8.0μmの吐出孔を、フェムト秒レーザによるマスク縮小投影法による除去加工により同心円上に10個作成した。吐出孔の存在する部分は、一辺0.5mmの正方形の範囲であった。
分散液調製後、以下のようなトナー作成条件で、液滴を形成させた後、液滴を乾燥固化し、サイクロンで捕集することにより、トナー7を得た。
〔トナー作成条件〕
分散液固形分 :6.0%
液流量 :40ml/hr
乾燥空気流量 :シース 2.0L/分、装置内エアー 3.0L/分
装置内温度 :27〜28℃
露点温度 :−20℃
共通貯留部振動周波数:601.0kHz
(実施例6)
実施例5からモディパーF600の替わりに含フッ素界面活性剤フタージェントF100(ネオス社製)に変更してトナー8を作成した。
(実施例7)
実施例5からモディパーF600の替わりにフッ素系界面活性剤2に変更してトナー9を作成した。
(実施例8)
−着色剤分散液の調製−
先ず、着色剤としての、カーボンブラックの分散液を調製した。
カーボンブラック(Regal400;Cabot社製)15重量部、顔料分散剤3重量部を、酢酸エチル82重量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。顔料分散剤としては、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ社製)を使用した。得られた一次分散液を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、凝集体を完全に除去した分散液を調製した。更に、0.45μmの細孔を有するフィルター(PTFE製)を通過させ、サブミクロン領域まで分散させた液を調製した。
−樹脂及びワックスを添加した分散液の調製−
次に、結着樹脂としての樹脂、及びワックスを添加した分散液を調製した。結着樹脂としてのポリエステル樹脂2を100重量部、カーボンブラック分散液30重量部、カルナバワックス5重量部、含フッ素ブロック共重合体モディパーF600(日本油脂社製)1重量部を、酢酸エチル1,000重量部に、着色剤分散液調製時と同じく、攪拌羽を有するミキサーを使用して、10分間攪拌を行い分散させた。この段階の分散液を、着色剤分散液調製時と同様に、0.45μmのフィルター(PTFE製)で濾過したが、目詰まりの発生はなく、全て通過することを確認した。なお、この分散液の電解伝導率は3.4×10-7S/mであった。
−トナーの作成−
得られた分散液更に固形分が6.0%になるよう酢酸エチルを用いて希釈し、液を図3に示したトナー製造装置の、スラリー分散液貯蔵容器35に供給した。使用した吐出孔を有する板は、厚み20μmのニッケルプレートに、真円形状の出口直径8.0μmの吐出孔を、フェムト秒レーザによるマスク縮小投影法による除去加工により同心円上に10個作成した。吐出孔の存在する部分は、一辺0.5mmの正方形の範囲であった。
分散液調製後、以下のようなトナー作成条件で、液滴を形成させた後、液滴を乾燥固化し、サイクロンで捕集することにより、トナー10を得た。
〔トナー作成条件〕
分散液固形分 :6.0 %
液流量 :40 ml/hr
乾燥空気流量 :シース 2.0L/分、装置内エアー 3.0L/分
装置内温度 :27〜28℃
露点温度 :−20℃
振動周波数 :601.0kHz
(実施例9)
実施例8の含フッ素ブロック共重合体モディパーF600(日本油脂社製)1重量部を2重量部に変えた以外は、全て同じ条件で実施しトナー11を得た。
(実施例10)
実施例8の含フッ素ブロック共重合体モディパーF600(日本油脂社製)1重量部を0.5重量部に変えた以外は、全て同じ条件で実施しトナー12を得た。
(実施例11)
実施例8からモディパーF600の替わりに含フッ素化合物である商品名:フタージェントF100(ネオス社製)に変更してトナー13を作成した。
(実施例12)
実施例8のモディパーF600(日本油脂社製)1重量部を、フッ素系界面活性剤2 5重量部に変えた以外は、全て同じ条件で実施しトナー14を得た。
(実施例13)
実施例8のモディパーF600(日本油脂社製)1重量部をフッ素系界面活性剤2 10重量部に変えた以外は、全て同じ条件で実施しトナー15を得た。
(比較例3)
実施例8の含フッ素ブロック共重合体モディパーF600(日本油脂社製)1重量部の代わりに含クロムアゾ染料(ボントロンS−34、オリエント化学社製)3重量部に変えた以外は、全て同じ条件で実施しトナー16を得た。但し、ボントロンE−84は、ダイノーミルを用いて酢酸エチル中に細かく分散し、更に凝集体を完全に除去した分散液を調製し、0.45μmの細孔を有するフィルター(PTFE製)を通過させた分散液を使用した。
(比較例4)
比較例3の含クロムアゾ染料 3重量部を1重量部に変えた以外は、全て同じ条件で実施しトナー17を得た。
(実施例14)
スチレン75重量部、アクリル酸メチル25重量部、3重量部のフッ素系界面活性剤3、ジビニルベンゼン0.3重量部、ペンタエリスリトールテトラステアレート(10重量部、及び離型剤として、融点が92℃の天然ガス系フィッシャートロプシュワックスFT−100(Dシェル・MS社製)2重量部を高せん断力で混合可能なTK式ホモミキサー(特殊機化工株式会社製)により、11,000rpmで攪拌、混合して均一分散を行い、単量体混合液1を調製した。
次に、100重量部の単量体混合液1を、耐圧処理セルに充填し、超臨界流体として二酸化炭素を選択し、二酸化炭素を供給ボンベにより耐圧処理セル内に供給し、加圧ポンプと温度調節器で30MPa、85℃に調節した。更に、AIBNを0.5重量部添加し、24時間反応を行った。
次に、反応終了後、背圧弁を使用して、5.0L/分で6時間、超臨界二酸化炭素をフローし、残留単量体を除去した後、オイルブラックHBB(オリエント化学株式会社製)0.5重量部、及びオイルオレンジ201(オリエント化学株式会社製)0.02重量部を添加し、1時間染色を行った後、常温、常圧まで徐々に戻して、トナー18を得た。
(実施例15)
スチレン80重量部、アクリル酸n−ブチル20重量部、10重量部のフッ素系界面活性剤4、ジビニルベンゼン0.5重量部、離型剤として、カルナウバワックスCWT01(東洋ペトロライト株式会社製)5重量部、及びC.I.ピグメントブルー(15:3)7部を高せん断力で混合可能なTK式ホモミキサー(特殊機化工株式会社製)により、11,000rpmで攪拌、混合して均一分散を行い、単量体混合液2を調製した。
次に、100重量部の単量体混合液2及び分散剤として、平均粒径20nmのシリカ微粒子1部を、ホモミキサーを取り付けた耐圧処理セルに充填し、超臨界流体として二酸化炭素を選択し、二酸化炭素を供給ボンベにより耐圧処理セル内に供給し、加圧ポンプと温度調節器で10MPa、65℃に調節し、10,000rpmで攪拌しながら、重合開始剤として、V−65(和光純薬株式会社製)5部を添加し、24時間反応を行った。
反応終了後、背圧弁を使用して、5.0L/分で6時間、超臨界二酸化炭素をフローし、残留単量体を除去した後、常温、常圧まで徐々に戻して、トナー19を得た。
(実施例16)
スチレン70重量部、メタクリル酸n−ブチル20重量部、メタクリル酸2−エチルヘキシル10重量部、1重量部のフッ素系界面活性剤5、及びジビニルベンゼン0.3重量部を、高せん断力で混合可能なTK式ホモミキサー(特殊機化工株式会社製)により、11,000rpmで攪拌し、均一に混合して、単量体混合液3を調製した。
次に、合成エステルワックスWEP05(日本油脂株式会社製)5重量部、及びC.I.ピグメントブルー(15:3)7重量部を、ホモミキサーを取り付けた耐圧処理セルに充填し、超臨界流体として二酸化炭素を選択し、二酸化炭素を供給ボンベにより耐圧処理セル内に供給し、加圧ポンプと温度調節器を用いて25MPa、80℃に調節し、10,000rpmで充分に攪拌した。これを25MPa、50℃に調節し、分散液1を調製した。
次に、100重量部の単量体混合液3を、攪拌機を取り付けた耐圧処理セルに充填し、超臨界流体として二酸化炭素を選択し、二酸化炭素を供給ボンベにより耐圧処理セル内に供給し、加圧ポンプと温度調節器で25MPa、80℃に調節し、攪拌しながら、AIBNを2重量部添加し、24時間反応を行った。
反応終了後、背圧弁を使用して、5.0L/分で6時間、超臨界二酸化炭素をフローし、残留単量体を除去した後、25MPa、50℃で分散液1を添加し、凝集し、合着させて、トナー20を得た。
(実施例17〜22、比較例5〜7)
実施例14において、フッ素系界面活性剤3の代わりにフッ素系界面活性剤6〜14を使用した以外は、実施例14と同様にして、それぞれトナー21〜29を作成した。
(比較例8)
実施例14において、アクリル酸メチル25重量部、フッ素系界面活性剤3を3重量部使用する代わりにアクリル酸パーフルオロオクチル25重量部とフッ素系界面活性剤3を0.5重量部を使用した以外は、実施例14と同様にして、トナー30を作成した。
(実施例23)
実施例14において、フッ素系界面活性剤3の代わりにフッ素系界面活性剤15を使用した以外は、実施例14と同様に操作して、トナー31を作成した。
(実施例24)
実施例14において、フッ素系界面活性剤3の代わりにフッ素系界面活性剤16を使用した以外は、実施例14と同様に操作して、トナー32を作成した。
(実施例25)
実施例14において、フッ素系界面活性剤3の代わりにフッ素系界面活性剤17を使用した以外は、実施例14と同様に操作して、トナー33を作成した。
<トナー中のフッ素原子の分布>
トナー粒子をエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトームMT6000−XL(盟和商事)にてトナーを約100nmに超薄切片化した測定サンプルを作成した後、電子エネルギー損失分光器(Electron Energy Loss Spectroscopy、Gatan社製)を取り付けた透過型電子顕微鏡JEM−2100F(日本電子株式会社製)により、トナーの炭素元素マップ像とフッ素元素マップ像を得、イオン化断面積を用いて補正し、20nm角毎のフッ素原子と炭素原子の比率(F/C)を算出した。
ここで、コールターマルチサイザーで求めた重量平均粒径より短径が80%以上のトナー断面像を5点選び観察対象のトナーとした。
トナー最表層のフッ素原子の存在比率は、トナー粒子断面を20nm角で分割した時に、トナーの表面を含む区分と該表面を含む区分に隣接する区分でのフッ素原子と炭素原子との比率(F/C)の平均値で求めた。
またフッ素含有層の厚みは、トナー最表層のフッ素原子と炭素原子との比率(F/C)の平均値の0.8倍以上を示す領域をマッピングし、その面積を算出しトナー周長で割ることによって得た。また、トナー内部のフッ素の存在比率は、表面から500nm以上離れた任意の箇所で、20nm角の区分10×10ヶ分のフッ素原子と炭素原子との比率(F/C)の平均値を算出した。
各実施例、比較例のトナーの表面を含む区分と該表面を含む区分に隣接する区分でのフッ素原子と炭素原子との比率(F/C)の平均値、表面を含む区分と該表面を含む区分に隣接する区分でのフッ素原子と炭素原子との比率(F/C)の平均値の0.8倍以上のフッ素原子と炭素原子との比率(F/C)を示す層の厚み、表面から500nm以上離れた任意の20nm角の区分でのフッ素原子と炭素原子との比率(F/C)の平均値を表3に示す。
ここで、比較例3(トナー16)と比較例4(トナー17)はフッ素が入っていないためフッ素含有層の厚みが未測定であり、また比較例8(トナー30)はトナー内部までフッ素元素が存在し、明確にフッ素含有層の厚みが求められなかった。
<重量平均粒径及び粒度分布の測定>
得られた各トナーについて、コールターカウンター法による重量平均粒径及び粒度分布を、コールターカウンターTA−IIを用いて測定した。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(Dn)を求めた。
また、得られたトナーの重量平均粒径(D4)、及び個数平均粒径(Dn)の結果から比(D4/Dn)を求め、下記基準により、粒度分布を評価した。結果を表3に示す。
〔粒径分布(D4/Dn)の評価〕
○:D4/Dnが1.05未満
△:D4/Dnが1.05以上、1.15未満
△:D4/Dnが1.15以上
−現像剤の調製−
シリコーン樹脂(SR2411:東レダウコーニングシリコーン社製)を希釈して、固形分5%のシリコーン樹脂溶液を得た。固形分に対して、3重量%のアミノシランカップリング剤 H2N(CH2)3Si(OC2H5)3 を添加し、流動床型コーティング装置を用いて、銅−亜鉛フェライト粒子(F−300、パウダーテック社製)の粒子表面上に、上記のシリコーン樹脂溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、シリコーン樹脂膜厚0.38μmのキャリアを得た。
一方、各々の実施例で得られたトナー100重量部に疎水性シリカ(アエロジルR−972、日本アエロジル社製)0.2重量部を加えヘンシェルミキサーで混合した。次に、外添剤処理を施したトナー5重量部と、上述のシリコーン被覆の銅−亜鉛フェライトキャリア95重量部からなる現像剤を調製した。
次に、得られた現像剤について、以下のようにして、定着性、画像濃度、画像品質、感光体への融着、及び帯電量の測定を行った。
<画像濃度、画像品質、定着品質>
得られた各現像剤について、タンデム型カラープリンター(Ipsio CX9000、株式会社リコー製)を用いて、複写紙(TYPE6000、株式会社リコー製)に各現像剤の付着量が1.00±0.05mg/cm2のチャート面積を5%とした画像を形成した。該画像の形成を20℃60%RHの環境下で、前記複写紙10,000枚に対して、繰り返し画像形成を行ったのち、画像濃度の測定と、画像品質の評価を行った。その後、同様な手順で10℃30%RH環境下、30℃90%RH環境下においても連続5,000枚繰り返し画像形成を行ったのち、画像濃度の測定と、画像品質の評価を行った。
ここで、画像濃度はSpectrodenstiometer X−Rite 938(X−Rite社製)を用い、D65光源、視野角2°、ステイタスTの条件で測定を行い、以下の基準で評価を行った。
〔評価基準〕
○:1.4以上
△:1.2以上1.4未満
×:1.2未満
また、画像評価は、地汚れ、画像のにじみやボケ、カスレを総合的に目視で観察評価した。
〔評価基準〕
○:地汚れ、画像にじみ、ボケ、カスレのいずれも観察されない。
△:地汚れ、画像にじみ、ボケ、カスレのいずれかが観察されるが、極軽微である。
×:地汚れ、画像にじみ、ボケ、カスレのいずれかが観察される。
地汚れ、画像にじみ、ボケ、カスレが観察された場合は×、極軽微な発生の場合は△、発生がない場合は○とした。
定着品質は、複写紙(TYPE6000、株式会社リコー製)に各現像剤の付着量が1.00±0.05mg/cm2の50mm×30mmのベタ画像を取り、各環境下で連続して10枚印字し、9枚目と10枚目の印字画像を描画針にて傷つけ、トナーの剥がれ、紙の地肌が出るか否かを目視で観察し評価した。
〔評価基準〕
○:全く剥がれが観察されない。
△:部分的なトナー剥がれが観察されるが、紙の地肌が見えるまで至らない。
×:トナーがはがれ、紙の地肌が観察される。
初期及び20℃60%RH環境下で10,000枚耐久後、10℃30%RH環境下で5,000枚耐久後(累計1,5000枚耐久後)、30℃90%RH環境下で5,000枚耐久後(累計20,000枚耐久後)でについて、画像濃度と画像品質、定着性の評価結果を表4と表5に示す。
<帯電量>
20℃60%RHの環境下で、前記複写紙10,000枚終了繰り返し画像形成を行ったのち、10℃30%RH環境下、30℃90%RH環境下において連続5,000枚繰り返し画像形成を行ったのち、画像評価を行う時点で各現像剤をサンプリングし、ファラデーゲージに0.5g現像剤を入れトナーをブローすることによって帯電量を求めた。測定結果を表4と表5に示す。
<感光体への融着>
感光体への融着は、全ての上記画像を形成した後に(累計20,000枚耐久後)、有機感光体(OPC)へのトナーの融着を、目視により観察し、下記基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
○:トナーの感光体への融着が認められなかった。
△:トナーの感光体への融着がやや認められた。
×:トナーの感光体への融着が認められた。
測定結果を表5に示す。
表4と表5の結果から、実施例1〜25のトナーを用いて得られる現像剤は、比較例1、5、6、7のトナーを用いて得られる現像剤に比べ、帯電性能に優れ、高画像濃度が得られることが確認された。また、比較例2、比較例8のトナーは定着特性が劣ることがわかった。ここで、比較例1の画像異常は、トナー補給不良による画像かすれ、比較例4,5,7の異常画像は画像太りとベタ部転写不良によるものである。