JP2009286902A - ワックス分散体の製造方法及びその製造装置、並びにワックス分散体及びトナー - Google Patents

ワックス分散体の製造方法及びその製造装置、並びにワックス分散体及びトナー Download PDF

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Abstract

【課題】ワックス融解液を吐出孔より吐出し、該ワックス融解液を液滴化し、得られた液滴を造粒空間において固体粒子にし、有機溶剤に分散させるワックス分散体の製造方法及びワックス分散体の製造装置、並びに該ワックス分散体の製造方法により効率よく製造され、安価に単一分散性を示す微粒のワックス分散体、及び該ワックス分散体を用いた、定着時の離型性が良好であり、かつ経時での帯電及び画像の安定性が高いトナーの提供。
【解決手段】ワックスを融解してなるワックス融解液をノズルの吐出孔から吐出する吐出工程と、吐出されたワックス融解液を液滴化する液滴化工程と、得られた液滴を造粒空間において固体粒子にする粒子形成工程と、得られた固体粒子を有機溶剤に分散させる分散工程と、を含むワックス分散体の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ワックス分散体の製造方法及びワックス分散体の製造装置、並びにワックス分散体及び該ワックス分散体を用いた電子写真、静電記録、静電印刷等における静電荷像を現像するための現像剤に用いられるトナーに関する。
水系のワックス分散液は、例えば酸化ポリプロピレンのように自己の官能基により自己分散させることも可能であり、また比較的少量のワックス分散剤でかなりの微粒子まで分散が可能である。水系の場合は、静電反発によって分散安定化を達成していると思われる。一方、有機溶媒系では、溶媒の誘電率から電気二重層が薄く、微粒子ワックスの分散体を製造することが困難であると言われている。
例えば特許文献1には、ワックス類と炭化水素−無水マレイン酸共重合体を必須の成分として含有するワックス組成物を有機溶剤に分散させて安定なワックス分散体を製造することが提案されている。この提案では、炭化水素−無水マレイン酸共重合体の炭化水素部がワックスに吸着する一方、無水マレイン酸が多い部分が有機溶剤に溶解し、その溶解部の立体障壁により安定化しているものと推察される。
また、特許文献2には、融点70℃以上、針入度10以下のワックスを、予め平均粒子径1mm以下に粉砕し、有機溶剤の液温を40℃以下に保持した条件下で分散することにより、粒子径のバラツキの小さいワックス分散液を効率よく製造することができる方法が提案されている。この提案では、得られるワックス分散体の平均粒子径が0.5〜5μm程度であり、得られる粒径分布も狙いに対し広いと言える。
一方、電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられる乾式トナーは、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の結着樹脂を着色剤などの内添剤と共に溶融混練し、微粉砕した、いわゆる粉砕型トナーが広く用いられているが、高画質化の要求からトナーをより小粒径にする必要が生じており、最近では、溶媒中でトナーを製造するケミカル法(例えば、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、転相乳化法等)によるトナーの製造方法が検討されている。
また、トナーを熱定着する際に、加熱ローラ等の定着部材へのトナーの付着を防止するため、トナー中に離型剤としてワックスを微分散させることが一般的に行われている。前記ケミカル法のうち、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、及び転相乳化法には、有機溶剤中にワックスを微分散する工程がある。
例えば特許文献3には、ポリエステル伸長法によるトナーにおいて、トナー内部に分散して存在するワックスの分散径が0.1μm〜3μmである分散ワックス粒子が70個数%以上を占めるトナーが提案されている。この特許文献3の実施例には、ワックス分散液の作製について、ワックスとしてエステルワックス5質量部(酸価3mgKOH/g)を他材料と混合し、60℃でTK式ホモミキサーを用いて12,000rpmで攪拌し、均一に溶解乃至分散させた結果、トナー中の平均粒径が0.1μm〜3.0μmのワックスが88個数%であった。
また、特許文献4には、ワックスの液媒体が非水溶液の場合の、ワックスの液媒体分散体の調製について、ワックス分散のための液媒体としては、例えばイソプロピルアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチルエステル等のエステル類のようなワックスが溶解しないものを使用し、ワックスの軟化点(融点)以上の温度で、通常の撹拌機、又はホモミキサー、ホモジナイザー等による高速せん断下に微分散を行い、所望の粒径の非水液媒体に分散したワックスの分散微粒子が得られる。この時、必要に応じて分散安定剤を使用してもよい。更に、ワックスの粒径については、混合物中のワックス微粒子又はワックス液分散体中のワックス微粒子の粒子径は、トナー粒子径自体との大小関係にもよるが、トナー粒子径よりも小さく、いずれも通常0.05μm〜3μmである。前記ワックスの粒子径が、0.05μmよりも小さいと、含有量を増加しても、溶融時に粒子表面に溶けだして十分な離型作用を発現できないことがあり、3μmよりも大きいと、トナー粒子内のワックス微粒子含有量が不均一になったり、あるいはトナー粒子表面にワックス微粒子が露出し、現像性が劣化することがある。
したがってワックス融解液を吐出孔より吐出し、該ワックス融解液を液滴化し、得られた液滴を造粒空間において固体粒子にし、得られた固体粒子を有機溶剤に分散させるワックス分散体の製造方法により効率よく製造され、単一分散性を示す微粒のワックス分散体、及び該ワックス分散体を用いた、定着時の離型性が良好であり、かつ経時での帯電及び画像の安定性が高いトナーは未だ提供されていないのが現状である。
特開平3−199267号公報 特開平8−134359号公報 特開2007−114804号公報 特開2007−72488号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、ワックス融解液を吐出孔より吐出し、該ワックス融解液を液滴化し、得られた液滴を造粒空間において固体粒子にし、得られた固体粒子を有機溶剤に分散させるワックス分散体の製造方法及びワックス分散体の製造装置、並びに該ワックス分散体の製造方法により効率よく製造され、安価に単一分散性を示す微粒のワックス分散体、及び該ワックス分散体を用いた、定着時の離型性が良好であり、かつ経時での帯電及び画像の安定性が高いトナーを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ワックス融解液を吐出孔より吐出し、該ワックス融解液を液滴化し、得られた液滴を造粒空間において固体粒子にし、得られた固体粒子を有機溶剤に分散させることにより、単一分散性を示す微粒のワックス分散体が効率的に製造できることを知見した。
本発明は、本発明者らによる前記知見によるものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> ワックスを融解してなるワックス融解液をノズルの吐出孔から吐出する吐出工程と、
吐出されたワックス融解液を液滴化する液滴化工程と、
得られた液滴を造粒空間において固体粒子にする粒子形成工程と、
得られた固体粒子を有機溶剤に分散させる分散工程と、を含むことを特徴とするワックス分散体の製造方法である。
<2> ワックス融解液に圧力を付与して該ワックス融解液を連続的にノズルの吐出孔から吐出させて柱状状態を形成し、前記吐出孔を有するノズル板を一定の周波数で振動させることにより該ワックス融解液を液滴化する前記<1>に記載のワックス分散体の製造方法である。
<3> ワックス融解液に圧力を付与して該ワックス融解液を連続的にノズルの吐出孔から吐出させて柱状状態を形成し、前記ワックス融解液を貯留する貯留部を一定の周波数で振動させることにより該ワックス融解液を液滴化する前記<1>に記載のワックス分散体の製造方法である。
<4> ワックス融解液を貯留する貯留部に設けた複数のノズルを有する薄膜から該ワックス融解液を機械的振動手段により周期的に液滴を放出し、
前記機械的振動手段が、前記複数のノズルを有する薄膜に対して平行振動面を有し、垂直方向に縦振動し、
前記機械的振動手段が振動子と振動増幅子の結合体であり、
前記複数のノズルを有する薄膜に面する振動増幅子の振動面が、該振動増幅子の結合面よりも大面積である前記<1>に記載のワックス分散体の製造方法である。
<5> 複数のノズルが形成された薄膜と、該薄膜の変形可能な領域内の周囲に配されて前記薄膜を振動させる円環状の振動発生手段で構成された液滴化手段を用い、ワックス融解液を前記複数のノズルから周期的に液滴化して放出させる前記<1>に記載のワックス分散体の製造方法である。
<6> 液滴化手段が、薄膜が液滴を放出する方向に凸形状に形成され、該凸形状に形成された部分に複数のノズルが形成されている前記<5>に記載のワックス分散体の製造方法である。
<7> ワックスの分散粒径が0.3μm〜1.5μmの範囲である前記<1>から<6>のいずれかに記載のワックス分散体の製造方法である。
<8> ワックスを融解してなるワックス融解液を貯留する貯留部と、
前記ワックス融解液に圧力を付与して一定の周波数で振動させたノズル板から吐出させて、液滴を形成する液滴形成手段と、
該液滴を冷却することにより固体粒子を得る粒子形成手段と、を有することを特徴とするワックス分散体の製造装置である。
<9> ワックスを融解してなるワックス融解液を貯留する貯留部と、
一定の周波数で振動させた貯留部から供給された前記ワックス融解液を、吐出孔から吐出させて、液滴を形成する液滴形成手段と、
該液滴を冷却することにより固体粒子を得る粒子形成手段と、を有することを特徴とするワックス分散体の製造装置である。
<10> ワックスを融解してなるワックス融解液を貯留する貯留部と、
前記ワックス融解液を貯留部に設けた複数のノズルを有する薄膜から、前記複数のノズルを有する薄膜に対して平行振動面を有し垂直方向に縦振動している機械的振動手段により周期的に放出し、液滴化する周期的液滴化手段と、
得られた液滴を冷却することにより固体粒子を得る粒子形成手段と、を有することを特徴とするワックス分散体の製造装置である。
<11> ワックスを融解してなるワックス融解液を貯留する貯留部と、
複数のノズルが形成された薄膜と該薄膜の変形可能な領域内の周囲に配されて前記薄膜を振動させる円環状の振動発生手段とで構成された液滴化手段と、
得られた液滴を冷却することにより固体粒子を得る粒子形成手段と、を有することを特徴とするワックス分散体の製造装置である。
<12> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のワックス分散体の製造方法により製造されたことを特徴とするワックス分散体である。
<13> 少なくとも着色剤及びワックスを含有するトナーにおいて、
前記<12>に記載のワックス分散体を少なくとも含有するトナー組成液を吐出孔より吐出し、該トナー組成液を液滴化し、得られた液滴を造粒空間において固体粒子にすることにより得られることを特徴とするトナーである。
<14> 少なくとも着色剤及びワックスを含有するトナーにおいて、
前記<12>に記載のワックス分散体を少なくとも含有するトナー組成液を水系媒体中で油滴化し、得られた油滴を固体粒子にすることにより得られることを特徴とするトナーである。
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、ワックス融解液を吐出孔より吐出し、該ワックス融解液を液滴化し、得られた液滴を造粒空間において固体粒子にし、得られた固体粒子を有機溶剤に分散させるワックス分散体の製造方法及びワックス分散体の製造装置、並びに該ワックス分散体の製造方法により効率よく製造され、安価に単一分散性を示す微粒のワックス分散体、及び該ワックス分散体を用いた、定着時の離型性が良好であり、かつ経時での帯電及び画像の安定性が高いトナーを提供することができる。
(ワックス分散体の製造方法及びワックス分散体の製造装置)
本発明のワックス分散体の製造方法は、ワックスを融解してなるワックス融解液をノズルの吐出孔から吐出する吐出工程と、吐出されたワックス融解液を液滴化する液滴化工程と、得られた液滴を造粒空間において固体粒子にする粒子形成工程と、得られた固体粒子を有機溶剤に分散させる分散工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明のワックス分散体の製造装置は、第1形態では、ワックスを融解してなるワックス融解液を貯留する貯留部と、前記ワックス融解液に圧力を付与して一定の周波数で振動させたノズル板から吐出させて、液滴を形成する液滴形成手段と、
該液滴を冷却することにより固体粒子を得る粒子形成手段とを有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
本発明のワックス分散体の製造装置は、第2形態では、ワックスを融解してなるワックス融解液を貯留する貯留部と、一定の周波数で振動させた貯留部から供給された前記ワックス融解液を、吐出孔から吐出させて、液滴を形成する液滴形成手段と、該液滴を冷却することにより固体粒子を得る粒子形成手段とを有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
本発明のワックス分散体の製造装置は、第3形態では、ワックスを融解してなるワックス融解液を貯留する貯留部と、前記ワックス融解液を貯留部に設けた複数のノズルを有する薄膜から、前記複数のノズルを有する薄膜に対して平行振動面を有し垂直方向に縦振動している機械的振動手段により周期的に放出し、液滴化する周期的液滴化手段と、得られた液滴を冷却することにより固体粒子を得る粒子形成手段とを有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
本発明のワックス分散体の製造装置は、第4形態では、ワックスを融解してなるワックス融解液を貯留する貯留部と、複数のノズルが形成された薄膜と該薄膜の変形可能な領域内の周囲に配されて前記薄膜を振動させる円環状の振動発生手段とで構成された液滴化手段と、得られた液滴を冷却することにより固体粒子を得る粒子形成手段とを有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
本発明のワックス分散体の製造装置としては、前記液滴形成手段が、ノズル板を直接振動させる振動発生手段を有し、該振動発生手段が、ノズル板をワックス融解液が通過するのと同時に振動させることが好ましい。また、ワックス融解液が貯蔵され、ワックス融解液を液滴形成手段に供給する貯蔵手段を有することがより好ましい。
以下、本発明のワックス分散体の製造方法及び本発明のワックス分散体の製造装置について詳細に説明する。
−ワックス−
前記ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバワックス等の植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックス等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、などが挙げられる。
前記ワックスとしては、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、直鎖のアルキル基を有する直鎖アルキルカルボン酸類等の飽和直鎖脂肪酸;プランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウピルアルコール、セリルアルコール、メシリルアルコール、長鎖アルキルアルコール等の飽和アルコール;ソルビトール等の多価アルコール;リノール酸アミド、オレフィン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド;メチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'−ジオレイルセパシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系単量体を用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化合物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物、などが挙げられる。
より好適な例としては、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン、低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒等の触媒を用いて重合したポリオレフィン、放射線、電磁波又は光を利用して重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量ポリオレフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス、炭素数1個の化合物を単量体とする合成ワックス、水酸基又はカルボキシル基等の官能基を有する炭化水素系ワックス、炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物、これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸等のビニル単量体でグラフト変性したワックスなどが挙げられる。
前記ワックスの融点としては、トナーを作製する場合には、定着性と耐オフセット性のバランスを取るために、70℃〜140℃であることが好ましく、70℃〜120℃であることがより好ましい。前記融点が、70℃未満であると、耐ブロッキング性が低下することがあり、140℃を超えると、耐オフセット効果が発現しにくくなることがある。
本発明においては、2種以上の異なる種類のワックスを併用することにより、ワックスの作用である可塑化作用と離型作用を同時に発現させることができる。
前記可塑化作用を有するワックスとしては、例えば、融点の低いワックス、分子の構造上に分岐のあるもの、極性基を有する構造のもの、などが挙げられる。
前記離型作用を有するワックスとしては、融点の高いワックスが挙げられ、その分子の構造としては、直鎖構造のもの、官能基を有さない無極性のものが挙げられる。使用例としては、2種以上の異なるワックスの融点の差が10℃〜100℃のものの組み合わせ、ポリオレフィンとグラフト変性ポリオレフィンの組み合わせ、などが挙げられる。
2種のワックスを選択する際には、同様構造のワックスの場合は、相対的に、融点の低いワックスが可塑化作用を発揮し、融点の高いワックスが離型作用を発揮する。この時、融点の差が10℃〜100℃の場合に、機能分離が効果的に発現する。前記融点の差が、10℃未満であると、機能分離効果が表れにくいことがあり、100℃を超えると、相互作用による機能の強調が行われにくいことがある。このとき、機能分離効果を発揮しやすくなる傾向があることから、少なくとも一方のワックスの融点が70℃〜120℃であることが好ましく、70℃〜100℃であることがより好ましい。
前記ワックスとしては、相対的に枝分かれ構造のものや官能基等の極性基を有するものや主成分とは異なる成分で変性されたものが可塑作用を発揮し、より直鎖構造のものや官能基を有さない無極性のものや未変性のストレートなものが離型作用を発揮する。好ましい組み合わせとしては、エチレンを主成分とするポリエチレンホモポリマー又はコポリマーとエチレン以外のオレフィンを主成分とするポリオレフィンホモポリマー又はコポリマーの組み合わせ、ポリオレフィンとグラフト変成ポリオレフィンの組み合わせ、アルコールワックス、脂肪酸ワックス又はエステルワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせ、フイシャートロプシュワックス又はポリオレフィンワックスとパラフィンワックス又はマイクロクリスタルワックスの組み合わせ、フィッシャートロプシュワックスとポルリオレフィンワックスの組み合わせ、パラフィンワックスとマイクロクリスタルワックスの組み合わせ、カルナバワックズ、キャンデリラワックス、ライスワックス又はモンタンワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせが挙げられる。
いずれの場合においても、トナー保存性と定着性のバランスをとりやすくなることから、トナーのDSC測定において観測される吸熱ピークにおいて、70℃〜110℃の領域に最大ピークのピークトップ温度があることが好ましく、70℃〜110℃の領域に最大ピークを有しているのがより好ましい。
前記吐出工程及び前記液滴化工程としては、(1)ワックス融解液に圧力を付与して該ワックス融解液を連続的にノズルの吐出孔から吐出させて柱状状態を形成し、前記吐出孔が形成されたノズル板を一定の周波数で振動させることにより該ワックス融解液を液滴化する態様、(2)ワックス融解液に圧力を付与して該ワックス融解液を連続的にノズルの吐出孔から吐出させて柱状状態を形成し、前記ワックス融解液を貯留する貯留部を一定の周波数で振動させることにより該ワックス融解液を液滴化する態様、(3)ワックス融解液を貯留する貯留部に設けた複数のノズルを有する薄膜から該ワックス融解液を機械的振動手段により周期的に液滴を放出し、前記機械的振動手段が、前記複数のノズルを有する薄膜に対して平行振動面を有し、垂直方向に縦振動し、前記機械的振動手段が振動子と振動増幅子の結合体であり、前記複数のノズルを有する薄膜に面する振動増幅子の振動面が、該振動増幅子の結合面よりも大面積である態様、(4)複数のノズルが形成された薄膜と、該薄膜の変形可能な領域内の周囲に配されて前記薄膜を振動させる円環状の振動発生手段で構成された液滴化手段を用い、ワックス融解液を前記複数のノズルから周期的に液滴化して放出させる態様、などが挙げられる。
前記(1)及び(2)の様態では、非常に微弱な振動で粒子を得ることができるため制御が容易であり、かつ高周波数での駆動が可能なためより高生産となる効果がある。前記(1)の様態と前記(2)の様態の相違は、前記(1)の様態では膜のみの振動のため振動子に対する負荷が小さいが使用可能な振動子に制約があるのに対し、前記(2)の様態は貯留部全体を振動させるため振動子に対する負荷がかかるが、使用する振動子に制約がない点にある。
前記(3)及び(4)の様態では、ワックス融解液を高圧かつ定量で送液するポンプを必要としないことが大きな特徴である。前記(4)の様態では、更にシンプルな装置にすることができる。
前記(4)の態様では、前記液滴化手段が、薄膜が液滴を放出する方向に凸形状に形成され、該凸形状に形成された部分に複数のノズルが形成されていることが好ましい。
前記ワックス融解液を吐出孔より吐出し、ワックス融解液を液滴化する方法としては、以下の方法が挙げられる。(1)圧力をかけながら、ワックス融解液を一定の周波数で振動させたノズル板から吐出させる方式(以下、「レイリー分裂法」と称することもある)、(2)振動により吐出孔近傍の液体に発生する音圧によって液滴が形成する方式(以下、「膜振動法」と称することもある)。
前記(1)のレイリー分裂法には、吐出孔が配置されたノズル板を直接振動させる方式と、貯留部を振動させる方式とがある。
前記(2)の膜振動方式には、ホーン振動子を用い、貯留部のノズル板に対向する面を振動させる方式(以下、「ホーン型」と称することもある)と、ノズルプレートを円環状の振動手段に接合させ直接ノズル板を振動させる方式(以下、「リング型」と称することもある)とがある。
−レイリー分裂方法−
まず、レイリー分裂方法について、その原理から説明する。
液柱の均一液滴化現象は、Rayleigh, Lord “On the Instability of Jets” Proc. London Math. Soc. 110:4 1878に説明されるように、液柱が最も不安定になる波長条件λは、液柱直径djを用いて下記の式(1)で表される。
λ=4.5dj ・・・(1)
ここで、発生する擾乱現象の周波数fは、液柱の速度をvとした場合、下記の式(2)で表すことができる。
f=v/λ ・・・(2)
また、Schneider J.M., C.D.Hendricks, Rev. Instrum. 35(10), 1349−50 1964で説明されるように、実験的に安定に均一粒子を形成する条件を導いた結果、下記の式(3)の条件において安定的に均一粒子を形成することが可能であるとしている。
3.5<λ/dj<7.0 ・・・(3)
更に、Lindblad N.R. and J.M.Schneider, J. Sci. Instrum. 42, 635 1965で説明されるように、エネルギー保存則を基に、吐出孔より排出される液が、液柱を形成する最小ジェットVmin速度は下記の式(4)のように表現される。
Vmin=(8σ/ρdj)1/2 ・・・(4)
ただし、前記式(4)中、σは液の表面張力、ρは液密度、djは液柱の直径を表す。
前記式(1)から式(4)の条件式は、このような現象を再現するための条件を推定するために有用である。これらの関係式は液物質の種類、混合物、分散物等によって変動し得ることを確認しているが、振動子を貯留部に取り付け、これを振動数fにおいて振動することにより液柱が、前記のような擾乱によって液滴化する現象は様々な液体において成立する。
ここで、図1は、本発明のワックス分散体の製造装置の一例を示す概略図であり、図2は、液滴形成手段の一例を示す概略図である。
図1及び図2において、ワックス融解液を入れた貯留部1は、該貯留部1へワックス融解液を供給する液供給管8と接続され、吐出孔4を有する板を保持するハウジング9を設けた構造が好ましい。また、貯留部1の全体を振動させる振動手段2が、貯留部1に接している。振動手段2は導電線11を介して波形発生装置10と接続され、かつ制御される形態が好ましい。また、異なる品種を作製するために貯留部1内のワックス融解液を排出するためのドレイン12を設けることが好ましい。図1中35は、貯蔵手段としてのワックス融解液貯蔵容器である。
貯留部1は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくともワックス融解液を加圧された状態において保持する必要があるため、SUS、アルミニウム等の金属の部材からなり、10MPa程度の耐圧性を有することが好ましい。
振動手段2は、一つの振動手段により、吐出孔4を有する貯留部1全体を振動させるものが好ましい。貯留部1に振動を与える振動手段2としては、確実な振動を一定の周波数で与えることができるものであれば特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、圧電体などが好適に用いられる。
前記圧電体は、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する機能を有する。具体的には、電圧を印加することにより伸縮し、該伸縮により、吐出孔4を振動させることができる。前記圧電体としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスが挙げられるが、一般に変位量が小さいため、積層して使用されることが多い。この他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子;水晶;LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶、などが挙げられる。
前記一定の周波数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100kHz〜10MHzが好ましく、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から、200kHz〜2MHzがより好ましい。
振動手段2は、貯留部1と接しており、貯留部1は吐出孔4を有する板が保持されている。振動手段2と吐出孔4を有する板とは、吐出孔4から発生する液柱に振動を均一に与える観点から、平行に配置されていることが好ましく、振動の過程における変形が起こっても、その関係は傾きが10°以内に保たれることが好ましい。
吐出孔4は、1個のみ設けても粒子生産は可能であるが、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を効率よく発生させる観点から、複数個設けることが好ましく、各吐出孔4から吐出される液滴を固形化設備6で乾燥させるのが好ましい。
振動手段2の一部を固定支持するための支持手段3は、貯留部1及び振動手段2を固定するために設けられており、材質については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属等の剛体などが挙げられ、必要によっては余分な共振による貯留部1の振動の乱れを発生させないために、振動緩和材としてのゴム材、樹脂材などが一部に設けられていてもよい。
吐出孔4は、ワックス融解液を液柱として吐出させる。吐出孔4を有するノズル板の材質及び形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、吐出孔4を有するノズル板が厚み5μm〜50μmの金属板で形成され、かつ吐出孔4の開口径が0.2μm〜1.0μmであることが、100kHz以上の振動周波数で極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から好ましい。これは、液滴化現象により安定的に液滴を得ることが可能な周波数領域は、実質上、吐出孔4の開口径の直径が大きくなるにつれて減少するため、生産性を考慮して、100kHz以上の振動周波数を想定している。なお、開口径は、真円であれば直径を意味し、楕円であれば短径を意味する。
貯留部1へワックス融解液を供給する液供給手段5としては、例えばチューブポンプ、ギアポンプ、ロータリーポンプ、シリンジポンプ等の定量ポンプであることが好ましい。また、圧縮空気などによって加圧し、送液するタイプのポンプであってもよい。前記液供給手段5により貯留部1はワックス融解液で満たされ、更に液滴化可能な圧力まで昇圧することが可能である。液圧力はポンプ付属の圧力ゲージ、又は専用の圧力センサにて測定が可能である。
固形化設備6としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液滴31の吐出方向と同方向に気体14を流すことにより気流を発生させ、該気流により、液滴31を固形化設備6内で搬送させると共に、搬送中に液滴31を冷却させることにより、ワックス粒子15を形成するものが好ましい。前記気体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空気、窒素ガス、などが挙げられる。
粒子捕集部7は、粒子を効率的に捕集し、搬送する観点から、ワックス分散体の製造装置の底部に設けられた部材である。該粒子捕集部7の構造としては、ワックス粒子を捕集できれば特に制限はなく、適宜選択することができるが、図1では、開口径が漸次縮小するテーパー面を有してなり、開口径が入口部より縮小した出口部から、ワックス粒子15を、気体14の流れにより分散媒である有機溶剤が満たされているワックス分散体貯蔵容器(不図示)に移送させるのが好ましい。
また、図3に示すように、貯蔵手段としてのワックス融解液貯蔵容器35と、乾燥容器30内に設けられた、液滴形成手段としてのノズル板21及び電極22と、トナー粒子形成手段としての固形化設備23と、除電器24と、粒子捕集部25と有するワックス分散体の製造装置が好適に挙げられる。
この図3のワックス分散体の製造装置では、ワックス融解液貯蔵容器35に貯蔵されたワックス融解液を、液供給管29を介して、液供給手段34により適宜供給量を調整して液供給流路を通し、ノズル板21に形成した吐出孔から液滴31として吐出させ、該液滴31を、電極22により帯電した後、固形化設備23でワックス粒子26とし、該ワックス粒子26を、除電器24による除電後、渦流27により粒子捕集部25に捕集して、ワックス分散体貯蔵容器32に搬送するようになっている。
ノズル板21は、ワックス融解液を吐出させて液滴とする部材である。
前記ノズル板21の材質及び形状としては、特に制限はなく、適宜選択した形状とすることができるが、厚み5μm〜50μmの金属板で形成され、かつ吐出孔の開口径が3μm〜35μmであることが、ノズル板21からワックス融解液を噴射させる際に、貯留部1自体に振動を与えることにより、せん断力が付与され、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から好ましい。なお、前記開口径は、真円であれば直径を意味し、楕円であれば短径を意味する。
前記一定の周波数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50kHz乃至50MHzが好ましく、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から、100kHz〜10MHzがより好ましく、100kHz〜450kHzが更に好ましい。
前記ノズル板21には、吐出孔を1個のみ設けてもよいが、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から、複数個設けることが好ましく、各吐出孔から吐出される液滴31を固形化設備23で固体粒子化させるのが好ましい。
ここで、図4はノズル板21を直接振動させるタイプの液滴化手段を示す図である。この図4の液滴化手段は、振動子等からなる振動手段2がノズル板21に貼り付けられ、Oリング39を介してハウジング41に押し当てられている。ノズル板21とOリング39を隔てて設けられた液供給流路34(図3参照)を介してワックス融解液が供給され、液柱が形成される。ノズル板21が微弱に振動することにより液滴31が形成され、該液滴は固形化設備23(図3参照)内に放出される。
ノズル板21に形成する吐出孔の個数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、極めて均一な粒子径を有する微小液滴をより確実に発生させるためには、1〜2,000個が好ましく、200〜1,500個がより好ましい。
固形化設備23としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、液滴31の吐出方向と同方向に気体を流すことにより気流を発生させ、該気流により液滴31を固形化設備23内に搬送させると共に、搬送中に液滴31を冷却させることにより、ワックス粒子26を形成するのが好ましい。前記気体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空気、窒素ガス、などが挙げられる。
図3に示すように、固形化設備23の内壁面には、液滴31が、固形化設備23の壁面に付着することを防止する観点から、液滴31の電荷とは逆極性に帯電された電界カーテン28を設け、該電界カーテン28で周囲が覆われた搬送路を形成し、該搬送路内に液滴31を通過させるのが好ましい。
前記除電器24は、液滴31を、搬送路内に通過させることにより形成したワックス粒子26の電荷を、一時的に中和させた後、該ワックス粒子26を粒子捕集部25に収容させるための部材である。
前記除電器24による除電の方法としては、特に制限はなく、通常知られている方法を適宜選択して使用することができるが、効率的に除電が可能である点から、軟X線照射、プラズマ照射、などが好適である。
前記粒子捕集部25は、ワックス粒子を効率的に捕集し、搬送する観点から、ワックス分散体の製造装置の底部に設けられた部材である。
前記粒子捕集部25の構造としては、ワックス粒子を捕集できれば特に制限はなく、適宜選択することができるが、図3では、開口径が漸次縮小するテーパー面を有してなり、該開口径が入口部より縮小した出口部から、ワックス粒子26を乾燥気体を用い、該乾燥気体の流れを形成し、該乾燥気体の流れにより、ワックス粒子26をワックス分散体貯蔵容器32に移送させるものが好ましい。
以上説明した本発明のワックス分散体の製造方法によれば、ノズル板21に形成した吐出孔から発生する液滴31の粒子数は、1秒当たり数万乃至数百万個と非常に多くなり、更に吐出孔を多くすることも容易である。また、非常に均一な液滴径が得られ、充分な生産性を有する観点から、ワックス粒子を生産するのに好適な方法である。更に、前記製造方法では、最終的に得られるワックス粒子の粒径を、下記計算式(1)により正確に決定することができ、使用する材料による粒径の変化が殆どない。
〔計算式(1)〕
Dp=(6Q/πf)1/3
ただし、Dpは固体粒子径、Qは液流量(ポンプ流量と吐出孔の口径で決まる)、fは振動周波数を表す。
−膜振動方式のホーン型−
次に、膜振動方式のホーン型について説明する。
膜振動方式のホーン型の液滴形成手段は、貯留部に設けた複数のノズルを有する薄膜に接するワックス融解液を振動励起し、比較的大面積(外径1mm以上)であることから、複数のノズルより液滴を安定的に形成することができる。
ここで、図5は、吐出孔4を有するノズル板21の概略図である。この図5のようにノズル板21の周辺部を固定した場合、基本振動は周辺が節になり、ノズル板21の中心(半径方向座標0)で変位ΔLが最大となる、図6に示すような断面形状となり、振動方向に周期的に上下振動している。なお、図7に示すような、より高次のモードが存在することが知られている。
前記ノズル板21の振動により、前記ノズル板各所に設けられた吐出孔4近傍の液体には、ノズル板の振動速度Vmに比例した音圧Pacが発生する。音圧は、媒質(ワックス融解液)の放射インピーダンスZrの反作用として生じることが知られており、音圧は、放射インピーダンスとノズル板振動速度Vmの積で表される。
ノズル板の振動速度Vmは時間とともに周期的に変動しているため時間の関数であり、例えばサイン波形、矩形波形などの様々な周期変動を形成することが可能である
したがって分布を持ったノズル板21の振動変位速度に対して、それに比例する音圧が発生し、音圧の周期的変化に対応してワックス融解液が気相へ吐出される。気相へ周期的に排出されたワックス融解液は、液相と気相との表面張力差によって球体を形成するため、液滴化が周期的に発生する。
液滴化を可能とするノズル板21の振動周波数としては、20kHz〜2.0MHzの領域が用いられ、50kHz〜500kHzがより好適に用いられる。前記振動周波数が20kHz以上の振動周期であれば、吐出孔4を有するノズル板21上で液体が直接励振されるため、ワックス融解液中の微粒子の分散が促進される。
更に、前記音圧の変位量が、10kPa以上であることによって、上述の微粒子分散促進作用がより好適に発生する。
ここで、形成される液滴の直径は、前記ノズル板21の吐出孔4近傍における振動変位が大きいほど大きくなる傾向にあり、振動変位が小さい場合、小滴が形成されるか、又は液滴化しない。このような、各吐出孔4部位における液滴サイズのばらつきを低減するためには、吐出孔4の配置を、ノズル板21の振動変位の最適な位置に規定することが好ましい。
本発明においては、図6又は図7で説明されるように、振動手段により発生する吐出孔4近傍におけるノズル板21の振動方向変位ΔLの最大値ΔLmaxと最小値ΔLminの比R(=ΔLmax/ΔLmin)が、2.0以内である部位に吐出孔4を配置することにより、前記液滴サイズのばらつきをワックス粒子として必要な領域に保つことができる。
ワックス融解液の条件を変更し、粘度20mPa・s以下、表面張力20〜75mN/mの領域においてサテライトの発生開始領域が同様であったことから、前記音圧の変位量は、500kPa以下であることが好ましく、100kPa以下であることがより好ましい。
本発明に用いられる機械的振動手段は、確実な縦振動を一定の周波数で、霧化に十分な振動振幅を付与できることが好ましい。このことを広範な面積において均一に達成するため、機械的振動手段は、振動子と該振動子の振動を大面積に増幅する振動増幅子を接合面において接合した形態であることが好ましい。
前記振動子としては、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する機能を有する圧電体を用いることが好ましい。具体的には、電圧を印加することにより前記ノズル板を励振することが可能となる。
前記圧電体としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスが挙げられる。また、変位量が小さい場合には、積層して使用してもよい。この他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子;水晶;LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶、などが挙げられる。
前記振動増幅子は、ノズル板に対して垂直方向に振動することができればどのような形状でもよいが、ホーン型増幅子を用いることが好適である。前記ホーン型振動子は、圧電素子などの振動手段の振幅を増幅することができるため、機械的振動手段自体は小さな振動でよく、機械的負荷が軽減するために生産装置としての長寿命化につながる。
前記ホーン型増幅子としては、図8に示すように、断面cがホーン形状で振動を増幅するが、必ずしも軸対称のホーン形状である必要はない。振動面45の形状は長方形であるように設計することもできるため、これにより振動子42の振動面積よりも大面積の領域において機械的振動を励起することが可能となる。前記振動増幅子43の、振動面短辺(a)と長辺(b)の比(長辺b/短辺a)が大きいほど振動面積が大きくなる。生産性の観点から、(長辺b/短辺a)>2.0であることが好ましい。
前記貯留部1及び前記機械的振動手段2、及び前記ノズル板21の構成を、図9を用いて詳細に説明する。
貯留部1には、液供給管(不図示)が少なくとも1箇所設けられており、一部断面図に示されるように、液供給流路37を通じて貯留部1にワックス融解液7を導入する。また、必要に応じて液循環をすることも可能である。前記複数の吐出孔4を有するノズル板21は、前記振動増幅子43の振動面45に対して平行に設置されており、ノズル板21の一部が接合されている。接合手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばハンダ、ワックス融解液7に溶解しない樹脂結着材料による固定、もしくは熱溶着などが挙げられる。
前記振動増幅子43の振動方向とは実質的に垂直な位置関係となり、前記振動増幅子43の上部振動子42の上下面に電圧信号が付与されるように、導電線11が設けられており、波形発生装置10からの信号を機械的振動に変換することができる。前記導電線11としては、表面を絶縁被覆されたリード線が好適である。
上部振動子42と振動増幅子43の結合体である機械的振動手段の大きさは、発振振動周波数の減少に伴い大きくなることが一般的であり、必要な周波数に応じて、適宜振動手段に直接穴あけ加工を施し貯留部を設けることができる。また、貯留部1全体を効率的に振動させることも可能である。この場合、振動面とは、前記複数の吐出孔4を有するノズル板21が貼り合わされた面と定義される。
次に、図10を用いて説明する。この図10は、振動増幅子43に貯留部1(一部断面図)を設けた構造である。振動増幅子43は、固定部により乾燥手段の壁面に固定されていることが好ましいが、振動の損失を防ぐ観点から、弾性体を用いて固定してもよい。また、貯留部1は、振動に最適なように複数並列してもよい。
以上で説明した液滴形成手段は、前記貯留部は複数個を乾燥塔上部又は、乾燥条件により乾燥部側面壁又は底部に設置されてもよい。好ましくは複数の液滴形成手段が並列に配置されていることが、生産性向上の観点から好ましくは、その個数は100〜1,000個の範囲であることが、制御性の観点から好ましい。また、図示を省略しているが、各貯留部1は配管を介して共通液溜めに通じており、ワックス融解液が供給される。ワックス融解液は、液滴化現象により自給的に供給されるが、装置稼働時等、補助的にポンプを用いて液供給を行ってもよい。
前記ノズル板21は、先にも述べたように、ワックス融解液を、吐出させて液滴とする部材である。
前記吐出孔4の材質及び形状としては、特に制限はなく、適宜選択した形状とすることができるが、例えば、厚み5μm〜500μmの金属板で形成され、かつその開口径が3μm〜35μmであることが、吐出孔4から溶液を噴射させるときに、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から好ましい。前記開口径は、真円であれば直径を意味し、楕円であれば短径を意味する。
なお、溶媒除去設備、除電器、粒子捕集部等、液滴化手段以外の工程に関しては、前記レイリー分裂方式と同様である。
−膜振動方式のリング型−
次に、膜振動方式のリング型について説明する。
前記膜振動方式リング型のトナーの製造方法は、複数の吐出孔が形成されたノズル板、該ノズル板の変形可能な領域内の周囲に配されてノズル板を振動させる円環状の振動発生手段で構成された液滴化手段を用いて、ワックス融解液を、複数の吐出孔から周期的に液滴化して放出させる周期的液滴化工程と、放出されたワックス融解液の液滴を固化させる粒子化工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記液滴化手段は、ノズル板が液滴を放出させる方向に凸形状に形成されて、凸形状に形成された部分に複数の吐出孔が形成されている構成とすることができる(図16参照)。この場合、ノズル板の凸形状が円錐形状であって、この円錐形状部分の高さをh、円錐形状部分の底面直径をRとしたとき、R/hが14〜40の範囲内にあることが好ましい。あるいは、ノズル板の凸形状が円錐台形状であって、この円錐台形状部分の高さをh、円錐台形状部分の底面直径をR、円錐台形状部分の上面直径をrとしたとき、R/hが14〜40の範囲内にあり、かつr/Rが0.125〜0.375の範囲内にあることが好ましい。
前記液滴化手段は、ノズル板を直径方向に節を持たない振動モードで振動させるものである構成とすることが好ましい。前記液滴化手段は、ノズル板の振動周波数が20kHz以上2.0MHz未満のものであることが好ましい。前記液滴化手段は、ノズル板がワックス融解液に与える圧力が10kPa以上500kPa以下の領域に複数の吐出孔が配置されていることが好ましい。前記液滴化手段は、複数の吐出孔が配された領域におけるノズル板の振動方向変位ΔLの最大値でΔLmaxと最小値ΔLminの比R(=ΔLmax/ΔLmin)が、2.0以内である領域内に複数の吐出孔が配置されているものであることが好ましい。
前記液滴化手段は、ノズル板が厚み5μm〜500μmの金属薄膜で形成され、複数の吐出孔は開口径が0.5μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。前記液滴化手段は、2〜3000個の吐出孔を有するものであることが好ましい。
以下に膜振動方式リング型を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係るワックス分散体の製造方法を実施する本発明のワックス分散体の製造装置の一実施形態について図11の模式的構成図を参照して説明する。図13は液滴噴射ユニットの断面説明図、図14は図13を下側から見た要部底面説明図、図15は液滴化手段の概略断面説明図、図16は薄膜の中央部に凸部を形成した状態を示す図である。
ワックス分散体の製造装置は、液滴化手段108及び貯留部1を備える液滴噴射ユニット102と、この液滴噴射ユニット102が上方に配置され、液滴噴射ユニット102から放出されるワックス融解液の液滴31を固化してワックス粒子15を形成する粒子化手段としての固形化設備6と、該固形化設備6で形成されたワックス粒子15を捕集する粒子捕集部25と、粒子捕集部25で捕集されたワックス粒子15が配管を介して移送され、移送されたワックス粒子15を貯蔵する貯蔵手段としてのワックス粒子貯蔵容器32と、ワックス融解液7を貯蔵するワックス融解液貯蔵容器35と、このワックス融解液貯蔵容器35内から稼動時などにワックス融解液7を、液供給管8を介して圧送供給するための液供給手段5とを備えている。
図11では、液滴噴射ユニット2が1個配置されている例で図示しているが、好ましくは、図12に示すように、複数、例えば制御性の観点からは100〜1,000個(図12では4個のみ図示)の液滴噴射ユニット102を、固形化設備6の天面に並べて配置し、各液滴噴射ユニット102には液供給管8をワックス融解液貯蔵容器35に通じさせてワックス融解液7を供給するようにする。これによって、一度により多くの液滴を放出させることができて、生産効率の向上を図ることができる。
また、ワックス融解液貯蔵容器35からのワックス融解液7は、液滴噴射ユニット102による液滴化現象により自給的に液滴噴射ユニット102に供給されるが、装置稼働時等には上述したように補助的に液供給手段5を用いて液供給を行う構成としている。
液滴噴射ユニット102は、ワックス融解液7を液滴化して放出させる液滴化手段108と、この液滴化手段108にワックス融解液7を供給する貯留部1を形成したハウジング9とを備えている。
液滴化手段108は、複数の吐出孔4が形成されたノズル板21と、このノズル板21を振動させる円環状の振動発生手段2とで構成されている。ここで、ノズル板21は、最外周部(図14の斜線を施して示す領域)をハンダ又はワックス融解液に溶解しない樹脂結着材料によってハウジング9に接合固定されている。振動発生手段2は、このノズル板21の変形可能領域16A(ハウジングに固定されていない領域)内の周囲に配されている。この振動発生手段2には導電線11を通じて波形発生装置10から所要周波数の駆動電圧(駆動信号)が印加されることで、例えば撓み振動を発生する。
ノズル板21の厚み、吐出孔4の形状としては、特に制限はなく、適宜選択した形状とすることができるが、例えば、ノズル板21は厚み5μm〜500μmの金属板で形成され、かつ吐出孔4の開口径が0.5μm〜5μmであることが、吐出孔4からワックス融解液の液滴を噴射させるときに、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から好ましい。なお、前記吐出孔4の開口径は、真円であれば直径を意味し、楕円であれば短径を意味する。また、複数の吐出孔4の個数は、2〜3000個が好ましい。
振動発生手段2としては、ノズル板21に確実な振動を一定の周波数で与えることができるものであれば特に制限はないが、上述したように、バイモルフ型のたわみ振動の励起される圧電体が好ましい。該圧電体としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスが挙げられるが、一般に変位量が小さいことから、積層して使用されることが多い。この他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子;水晶;LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶、などが挙げられる。
流路部材としては、貯留部1にワックス融解液7を供給する液供給チューブ18及び気泡排出用の気泡排出チューブ19がそれぞれ少なくとも1箇所に接続されている。これらは流路部材に取り付けた支持部材によって固形化設備6の天面に設置保持されている。
ここでは、固形化設備6の天面に液滴噴射ユニット102を配置している例で説明しているが、固形化設備6となる乾燥部側面壁又は底部に液滴噴射ユニット102を設置する構成とすることもできる。
このように、液滴化手段108は、貯留部1に臨む複数の吐出孔4を有するノズル板21の変形可能領域16A内の周囲に円環状の振動発生手段2が配されていることによって、相対的にノズル板21の変位量が大きくなり、この大きな変位量が得られる比較的大面積(外径1mm以上)の領域に複数の吐出孔4を配置することができ、これら複数の吐出孔4より一度に多くの液滴を安定的に形成して放出することができるようになる。
この液滴化手段108の動作原理について図5を参照して説明する。図5に示すような単純円形ノズル板21の周辺部16Bを固定した(より具体的には、図15に示す変形可能領域16Aの外周が固定された状態である)場合、この円形ノズル板21に振動を与えると、基本振動は周辺が節になり、図6に示すように、ノズル板21の中心Oで変位量ΔLが最大(ΔLmax)となる断面形状となり、振動方向に周期的に上下振動する。
この図6に示すように、ノズル板21を、周辺が節となり、直径方向(径方向)に節を持たない振動モードで振動させることが好ましい。なお、図7に示すような、より高次の振動モードが存在することが知られている。これらのモードは、円形ノズル板21内に、同心円状に節を1ないし複数持ち、実質的に径方向に対称な変形形状となる。また、図16に示すように、円形ノズル板21の中心部を凸形状16Cとすることで、液滴の進行方向を制御し、かつ振動振幅量を調整することが可能となる(なお、この図11の例の詳細については後述する)。
ここで、円形ノズル板21の振動により、円形ノズル板に設けられた複数の吐出孔4近傍の液体(ワックス融解液)には、ノズル板21の振動速度Vmに比例した圧力Pacが与えられる。圧力は、媒質(ワックス融解液)の放射インピーダンスZrの反作用として生じることが知られており、放射インピーダンスと膜振動速度Vmの積で表すことができる。
ノズル板21の振動速度Vmは、時間とともに周期的に変動しているため時間の関数であり、例えばサイン波形、矩形波形など、様々な周期変動を形成することが可能である。また、前述したとおり、ノズル板21の各部位で振動方向の振動変位は異なっており、振動速度Vmは、ノズル板21上の位置座標の関数でもある。好ましいノズル板の振動形態は、上述のとおり径方向に対称な変形形状であるので、実質的には半径座標の関数となる。
以上のように、分布を持ったノズル板21の振動変位速度に対して、それに比例する圧力が発生し、圧力の周期的変化に対応して貯留部1内のワックス融解液7が、気相へ吐出される。そして、気相へ周期的に排出されたワックス融解液7は、液相と気相との表面張力差によって球体を形成するため、液滴化が周期的に発生し、ワックス融解液7は複数の吐出孔4から液滴化されて放出される。
ここで、液滴化を可能とするノズル板21の振動周波数としては20kHz〜2.0MHzの領域が好ましく、50kHz〜500kHzの範囲がより好ましい。20kHz以上の振動周期であれば、液体の励振によって、ワックス融解液中の顔料やワックスなどの微粒子の分散が促進される。
また、圧力が10kPa以上となることによって、上述の微粒子分散促進作用がより好適に発生する。
この場合、形成される液滴31の直径は、ノズル板21の複数の吐出孔4が形成された領域における振動変位が大きいほど大きくなる傾向にあり、振動変位が小さい場合、小滴が形成されるか、又は液滴化しない。このような、複数の吐出孔4が形成された領域における液滴サイズのばらつきを低減するためには、複数の吐出孔4の配置をノズル板21の振動変位の最適な位置に規定することが必要である。
実験によれば、図13ないし図15に示す、機械的振動手段2によって発生するノズル板21の複数の吐出孔4が形成された領域におけるノズル板21の振動方向変位(変位量)ΔLの最大値ΔLmaxと最小値ΔLminの比R(=ΔLmax/ΔLmin)が、2.0以内である、つまり、比Rが2.0以内になる領域内に複数の吐出孔4を配置することにより、液滴サイズのばらつきを、ワックス粒子として必要な領域に保てる。
更に、液滴サイズ(直径)のばらつきの大きな要因として、微小液滴(主に形成される液滴の、およそ10分の1の直径の粒子)の発生が挙げられる。前記圧力が、10Pa以上500kPa以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは100kPa以下である。圧力をこの範囲にする、つまり、圧力がこの範囲になるノズル板21の領域内に複数の吐出孔4を配置することで微小液滴の発生を抑制できる。これに比較して、圧力が500kPaを超えた条件においては、主粒子に比較して小さな粒子が多数発生する。
次に、このように構成したワックス分散体の製造装置による本発明に係るワックス分散体の製造方法について説明する(図11参照)。
前述したように液滴噴射ユニット102の貯留部1にワックス融解液7を供給した状態で、液滴化手段108の機械的振動手段2に対して所要の駆動周波数の駆動信号を印加することによって機械的振動手段2に撓み振動が発生し、この振動手段2の撓み振動によってノズル板21が周期的に振動し、このノズル板21の振動によって複数の吐出孔4から貯留部1のワックス融解液7が周期的に液滴化されて液滴31として固形化設備6(図11参照)内に放出される。
そして、固形化設備6内に放出された液滴31は、固形化設備6内で液滴31の飛翔方向と同方向に流れる気体14によって搬送されることで、ワックス粒子15が形成される。この固形化設備6にて形成されたワックス粒子15は下流側の粒子捕集部25にて気流27にて捕集され、配管を介してワックス分散体貯蔵容器32に送られて貯蔵される。
このように、液滴噴射ユニット102の液滴化手段108には複数の吐出孔4が設けられているので、同時に複数の液滴化されたワックス融解液の液滴31が連続的に多数放出されることから、ワックスの生産効率が飛躍的に向上する。加えて、前述したように、液滴化手段102は、貯留部1に臨む複数の吐出孔4を有するノズル板21の変形可能領域内の周囲に円環状の機械的振動手段2を配した構成としているので、大きなノズル板21の変位が得られ、この大きな変位量が得られる領域に複数の吐出孔4を配置することによって一度に多くの液滴31を安定して放出することができ、安定して効率的なワックス製造が可能になる。更に、これまでにない粒度の単一分散性を有したワックス分散体を得ることができる。
なお、溶媒除去設備、除電器、粒子捕集部等、液滴化手段以外の工程に関しては前記レイリー分裂方式と同様である。
本発明のワックス分散体の製造方法によれば、吐出する際の液滴径を管理することにより、設定した通りの粒径を有するワックス粒子を連続して得ることが可能になる。
前記粒子形成工程により、得られた固体粒子は有機溶剤に分散される。
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば1価アルコール類、2価アルコール類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、エステル類、ケトン類、脂環族炭化水素類、揮発性オルガノポリシロキサン類、などが挙げられる。
前記有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、プロピレングリコール、トルエン、キシレン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、などが挙げられる。
本発明のワックス分散体の製造方法により製造された本発明のワックス分散体におけるワックスの分散粒径は、0.3μm〜1.5μmの範囲が好ましく、0.5μm〜1.0μmの範囲がより好ましい。前記分散粒径が、0.3μm未満であると、定着時にトナーの表面からワックスが染み出すことが困難となり充分な離型性を発現できなくなることがあり、1.5μmを超えると、トナーの表面からワックスが染み出しやすくなり、凝集性を示して流動性が悪化したり、フィルミングを生じたりするばかりか、カラートナーにおいては色再現性や光沢性を著しく低下させてしまうことがある。
前記ワックスの平均粒径は、例えばレーザー光散乱法を用いた粒径分布測定装置(「LA−920」、堀場製作所製)などで測定することができる。
(トナー)
<第1形態のトナー>
本発明のトナーは、第1形態では、少なくとも着色剤及びワックスを含有し、
本発明の前記ワックス分散体を含有するトナー組成液を水系媒体中で油滴化し、得られた油滴を固体粒子にすることにより得られる。
前記ワックス分散体の含有量は、トナー組成液の固形分100質量部に対しワックス分散体の固形分が0.1質量部〜10質量部であることが好ましい。
本発明のワックス分散体を用いたトナーの製造方法としては、(1)本発明の前記ワックス分散体、結着樹脂、着色剤、必要に応じて磁性体等のその他の成分等のトナー用材料を液状としたトナー組成液を水系媒体中で油滴化し、得られた油滴を固体粒子にすることによりトナー粒子を作製する方法と、(2)トナー組成液を気相中で粒子化し乾燥することにより粒子を作製する方法とがある。
前記(1)のトナー組成液を水系媒体中で油滴化し、得られた油滴を固体粒子にすることによりトナー粒子を作製する方法としては、懸濁重合法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、などが挙げられる。
−懸濁重合法−
前記懸濁重合法は、単量体中に着色剤、離型剤、帯電制御剤等の内添剤と重合開始剤を分散させ、分散剤及び分散安定剤を有する水系媒体中に該分散液を懸濁させ油滴を形成させ、その後、昇温して液滴中の単量体を重合反応させることによりトナーを製造する方法であり、重合性単量体系を構成する重合性単量体、及び着色剤等のトナー特性付与剤としては以下のものが挙げられる。
前記重合性単量体としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類;その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、スチレン又はスチレン誘導体を単独で、あるいはほかの単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から特に好ましい。
本発明においては、単量体系に樹脂を添加して重合してもよく、架橋剤を添加してもよく、該架橋剤の添加量としては、0.001質量%〜15質量%が好ましい。
前記重合開始剤としては、重合反応時に半減期が0.5時間〜30時間であるものを、重合性単量体の0.5質量%〜20質量%の添加量で重合反応を行うと、質量平均分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体が得られ、トナーに好ましい強度と適当な溶融特性を与えることができる。
前記重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記分散剤としては、無機化合物、又は有機化合物が用いられる。前記無機化合物としては、例えばリン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ、などが挙げられる。
前記有機化合物としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸又はその塩、デンプンなどが挙げられる。
前記分散安定剤は、水系媒体中で均一に分散して液滴として存在している重合性単量体組成物粒子同士の凝集を防止し、更にこれら液滴表面に一様に吸着することにより、該液滴を安定化していると考えられる。これらの分散安定剤は、液滴中の重合性単量体の重合反応終了後に酸、アルカリ処理や、熱水洗浄等を通して可溶化され、トナー粒子から分離される。しかしながら、分散剤として使用できる前記物質の中には、トナー粒子表面からの完全除去がその物質の溶解性,分子量,粘性等の理由で困難な場合も多く、更に、トナーの粒子組成によっては、強アルカリ処理,熱水洗浄等の工程で着色剤、荷電制御剤の一部が変性,分解,溶出したり、熱変形が発生したりするため、トナー粒子の表面性,摩擦帯電性及び色味再現性等が損われ、トナーの現像特性等が著しく低下する場合がある。また、無機分散剤の中には、凝集作用が強いため、液滴の重合反応中に粘度変化等が発生して液滴としての安定性が低下した時に、逆に液滴の凝集・合一などの不安定現像を促進させるものもある。
前記分散安定剤としてはリン酸カルシウム塩類が好適であり、具体的には、リン酸カルシウム,リン酸水素カルシウム,リン酸二水素カルシウム,ヒドロキシアパタイト等及びそれらの複数の混合物である。この分散剤は重合性単量体100質量部に対し0.2質量部〜20質量部を使用することが好ましい。
これら分散剤の微細な分散のために、重合性単量体100質量部に対し、0.001質量部〜0.1質量部の界面活性剤を使用してもよい。その具体例としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラリウル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが挙げられる。
ヒドロキシアパタイトあるいはリン酸カルシウムは、粉末状のものをそのまま用いてもよいが、リン酸ナトリウムと塩化カルシウムの如き物質を用いて水中にてヒドロキシアパタイトあるいはリン酸カルシウムを生成させ、それを用いる方法が好ましい。この方法を用いると、非常に細かい塩が得られ、安定した懸濁状態となるので造粒性がよい。
具体的には、リン酸塩水溶液とカルシウム塩水溶液とを混合してリン酸カルシウム塩類を生成するに当り、該リン酸カルシウム塩類を含有する水系媒体のpHを塩酸,硫酸,硝酸の如き水溶性無機酸の希釈液にてpHを6.0より大きく8.5以下に調整する。pH調整では、希釈した酸は二液混合によってリン酸カルシウム塩類が生成した後で添加してもよく、あるいは二液混合前のリン酸塩水溶液中あるいはカルシウム塩水溶液中にあらかじめ添加し、その後カルシウム塩水溶液あるいはリン酸塩水溶液を混合してリン酸カルシウム塩類を析出させてもよい。このリン酸カルシウム塩類の生成はホモミキサー,ホモジナイザー等の分散造粒機中で生成せしめることが有利であるが、別に生成させておいたリン酸カルシウム塩類の水系分散液を分散造粒機へ投入してもよい。
このようにしてpH調整したリン酸カルシウム塩類を含有する水系媒体中に、前述の単量体系組成物を投入し、分散せしめ造粒する。その後はpHと分散安定剤であるリン酸カルシウム塩類の作用により単量体系の粒子状態は安定に維持され、かつ単量体系の粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行うことで重合反応の進行に伴っての粒子凝集・合一もなく、安定して重合される。重合温度は40℃以上、一般的には50℃〜90℃の温度に設定して重合を行う。
また重合反応後半に昇温してもよく、更にトナー定着時の臭いの原因等となる未反応重合性単量体,副生物等を除去するために反応の後半又は終了時に一部、水系媒体を留去してもよい。反応終了後、生成したトナー粒子はリン酸カルシウム塩類を除去するために、前述の塩酸,硫酸,硝酸の如き水溶性無機酸を更に添加してpHを1.0〜3.0として所定時間処理をし、充分に水洗後トナー粒子を濾別して回収する。
−溶解懸濁法−
前記溶解懸濁法は、結着樹脂を、結着樹脂が溶解可能な有機溶媒中に溶解して成る油性成分を、水性成分中で懸濁させた懸濁液を調製する工程と、懸濁液から有機溶媒を除去する工程とを有する、体積収縮を伴う工法である。
結着樹脂とともに着色剤、離型剤、帯電制御剤等の内添剤を低沸点有機溶媒などの揮発性溶剤に分散、溶解させ、これを分散剤の存在する水系媒体中で懸濁し、油滴を形成した後に揮発性溶剤を除去するものであり、用いることのできる樹脂に汎用性が広く、特に透明性や定着後の画像部の平滑性が要求されるフルカラープロセスに有用なポリエステル樹脂を用いることができる点で優れている。
前記ポリエステル樹脂としては、具体的にはアルコール成分とカルボン酸成分との縮合重合によって得られるポリエステルを用いることができる。
前記アルコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド、ビスフェノールAプロピレンオキサイド、ソルビトール、グリセリン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、多価の芳香族アルコールが好ましく、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が特に好ましい。
モノアルコール成分としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどのモノアルコール等を挙げることができ、これらの中でも、オクタノール、2−エチルヘキサノールが好ましい。
前記カルボン酸成分としては、例えばマレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロペンタンジカルボン酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水マレイン、酸ドデセニル無水コハク酸、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、多価の芳香族カルボン酸が好ましく、テレフタル酸が特に好ましい。
モノカルボン酸成分としては、例えば酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、これらの中でも、脂肪族モノカルボン酸が好ましく、無水酢酸が特に好ましい。
前記ポリエステル樹脂としては、質量平均分子量が5,000以上80,000以下のものが好ましい。前記質量平均分子量が、5,000未満であると、高温での定着不良が発生し易くなることがあり、80,000を超えると、定着強度が低下し易くなることがある。
また、前記結着樹脂としては、ポリエステル樹脂を単独で使用してもよく、他の樹脂と組み合わせて使用してもよい。他の樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリアミド等を用いることができる。
前記有機溶剤としては、1価アルコール類、2価アルコール類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、エステル類、ケトン類、脂環族炭化水素類、揮発性オルガノポリシロキサン類等が挙げられる。具体的にはメタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、プロピレングリコール、トルエン、キシレン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、等が挙げられる。
溶媒中に溶解又は分散されたトナー組成液は無機分散剤を含有する水媒体中で所定粒径になるように造粒される。
前記水性媒体としては、主として水が用いられるが、水溶性溶媒を混合して用いても構わない。前記水溶性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール、アセトン等を用いることができる。
更に、分散剤を添加することがトナーの粒径分布上好ましい。分散剤としては、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、シリカ等の無機分散剤を用いることができる。無機分散剤の量は、水性媒体100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部が好ましい。更に無機分散剤の平均粒径は1μm以下が好ましい。
前記水性媒体には分散安定化剤として、水溶性高分子を添加することが好ましい。前記水溶性高分子としては、例えばセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、又はこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが挙げられる。
無機分散剤を含有する水媒体中でのトナー母液の造粒は高速剪断下で行われるのが好ましい。水媒体中に分散されるトナー母液は、好ましくは平均粒子径が10μm以下(特に4μm〜9μm)に造粒される。
高速剪断機構を備えた装置としては、各種の高速分散機があり、例えばホモジナイザーが好ましい。前記ホモジナイザーとしては、例えばTKホモミキサー、ラインフローホモミキサー(以上、特殊機化工業株式会社製)、シルバーソンホモジナイザー(シルバーソン社製)、ポリトロンホモジナイザー(キネマチカ(KINEMATICA)AG社製)などが挙げられる。
前記ホモジナイザーを用いた撹拌条件は、ロータの羽根の周速で2m/秒以上が好ましい。これ未満では微粒子化が不十分となる傾向にある。
本発明では無機分散剤を含有する水媒体中でトナー母液を造粒した後に溶媒を除去する。溶媒の除去は常温、常圧で行ってもよいが、除去までに長い時間を要するため、溶媒の沸点より低く、かつ沸点との差が80℃以下の範囲の温度条件で行うのが好ましい。圧力は常圧でも減圧でもよいが、減圧する際は20mmHg〜150mmHgで行うのが好ましい。
本発明においては、溶媒除去後に、塩酸等で洗浄するのが好ましい。これによりトナー表面に残存する無機分散剤を除去して、トナー本来の組成にして特性を向上させることができる。次いで、脱水、乾燥すれば粉体のトナー粒子を得ることができる。
前記ポリエステル伸長法は、結着樹脂である、反応性を有する樹脂を含むポリエステル樹脂を、ポリエステル樹脂が溶解可能な有機溶媒中に溶解して成る油性成分を、水性成分中で乳化凝集して分散液を調製する工程と、分散液から有機溶媒を除去しながらポリエステル伸長反応を行う工程とを含む方法である。
前記反応性を有する樹脂を含むポリエステル樹脂としては、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基を有するポリエステル樹脂であるが、更に好ましくはイソシアネート基を含むポリエステル樹脂である。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとしては、ポリオールとポリカルボン酸の重縮合物でかつ活性水素含有基を有するポリエステルを更にポリイソシアネートと反応させた物などが挙げられる。
前記ポリエステルの有する活性水素含有基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、カルボキシル基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
前記水酸基を有するポリエステルの数平均分子量は、1,000〜20,000が好ましく、1,500〜15,000がより好ましく、2,000〜10,000が更に好ましい。また、前記水酸基を有するポリエステルの質量平均分子量は、2,000〜50,000が好ましく、3,000〜30,000がより好ましく、4,000〜20,000が更に好ましい。
前記水酸基を有するポリエステル樹脂の水酸基価は、5〜120mgKOH/gが好ましく、7〜70mgKOH/gがより好ましく、10〜60mgKOH/gが更に好ましい。前記水酸基を有するポリエステル樹脂の酸価は、10mgKOH/g以下が好ましく、5mgKOH/g以下がより好ましく、2mgKOH/g以下が更に好ましい。
ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート及びこれらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物など)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
前記芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20質量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−及びp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどの脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−及び/又は2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、m−及び/又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
前記ポリイソシアネートの変性物には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDIなど)、ウレタン変性TDIなどのポリイソシアネートの変性物及びこれらの2種以上の混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が含まれる。これらの中でも炭素数6〜15の芳香族ポリイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ポリイソシアネート、及び炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートが好ましく、TDI、MDI、HDI、水添MDI、及びIPDIが特に好ましい。
前記反応性を有する樹脂を含むポリエステル樹脂を含むトナー組成液を用い、水相中に粒子を形成したのち、アミン類等と反応してポリエステル伸長反応を起す。
前記アミン類としては、ジアミン、3〜6価又はそれ以上のポリアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸、及びこれらのアミノ基をブロックしたものなどが挙げられる。前記ジアミンとしては、例えばフェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン等の炭素数6〜23の芳香族ジアミン;4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の炭素数5〜20の脂環式ジアミン;エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2〜18の脂肪族ジアミン、などが挙げられる。前記3〜6価又はそれ以上のポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。前記アミノアルコールとしては、炭素数2〜12のものが挙げられ、具体例としてはエタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタンとしては、炭素数2〜12のものが挙げられ、具体例としてはアミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸としては、炭素数2〜12のものが挙げられ、具体例としてはアミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
これらのアミノ基をブロックしたものとしては、前記アミン類と炭素数3〜8のケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
これらアミン類のうち好ましいものは、特に4,4’ジアミノジフェニルメタン、イソホロンジアミン及びエチレンジアミンである。更に好ましくは、これらアミンのアミノ基をブロックしたものである。
更に必要により反応停止剤を用いてウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、又はそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
アミン類の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(b)中のアミノ基[NHx]の等量比[NCO]/[NHx]としては、1/2〜2/1が好ましく、1.5/1〜1/1.5がより好ましく、1.2/1〜1/1.2が更に好ましい。
伸長及び/又は架橋反応時間は、プレポリマーの有するイソシアネート基構造とアミン類の組み合わせによる反応性により選択されるが、10分〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましい。反応温度は、0℃〜150℃が好ましく、40℃〜98℃がより好ましい。なお、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。
<第2形態のトナー>
本発明のトナーは、第2形態では、少なくとも着色剤及びワックスを含有し、本発明の前記ワックス分散体の製造方法で製造されたワックス分散体を含有するトナー組成液を吐出孔より吐出し、該トナー組成液を液滴化し、得られた液滴を造粒空間において固体粒子にすることにより得られる。
前記ワックス分散体の含有量は、トナー組成液の固形分100質量部に対しワックス分散体の固形分が0.1質量部〜10質量部であることが好ましい。
トナー組成液を気相中で粒子化し乾燥して粒子を得る方法としては、ワックス分散体の製造方法と同様の以下の方法が挙げられる。(1)圧力をかけながら、トナー組成液を一定の周波数で振動させたノズル板から吐出させる方式(以下、「レイリー分裂法」と称することがある)、(2)振動により吐出孔近傍の液体に発生する音圧によって液滴が形成する方式(以下、「膜振動法」と称することがある)。
前記(1)のレイリー分裂法には、吐出孔が配置されたノズル板を直接振動させる方式と、貯留部を振動させる方式とがある。
前記(2)の膜振動法には、ホーン振動子を用い、貯留部のノズル板に対向する面を振動させる方式(以下、ホーン型と称することがある)と、ノズルプレートを円環状の振動手段に接合させ直接ノズル板を振動させる方式(以下、リング型と称することがある)がある。
これらの方法の詳細については、上記ワックス分散体の製造方法と同様であるので、詳細な説明については省略する。
前記トナーは、トナー用材料として、本発明のワックス分散体、結着樹脂、及び着色剤を含有し、更に必要に応じて磁性体等のその他の成分を含有してなる。
前記トナー用材料を液状としたトナー組成液を作製するために、前記トナー用材料を有機溶剤に溶解もしくは微分散させる。
前記結着樹脂としては、スチレン系結着樹脂として、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体が挙げられる。また、アクリル系バインダーとして、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートが挙げられ、その他、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、などが挙げられる。
前記アクリル酸又はメタクリル酸エステル系単量体としては、例えば、アクリル酸、あるいはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸、又はそのエステル類、などが挙げられる。
前記メタクリル酸又はメタクリル酸エステル系単量体としては、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸又はそのエステル類、などが挙げられる。
前記ビニル重合体、又は共重合体を形成する他の単量体としては、以下の(1)〜(16)が挙げられる。(1)塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;(2)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;(3)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;(4)ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;(5)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;(6)ビニルナフタリン類;(7)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体等;(8)マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸;(9)マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物;(10)マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、アルケニルコハク酸モノメチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、メサコン酸モノメチルエステル等の不飽和二塩基酸のモノエステル;(11)ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和二塩基酸エステル;(12)クロトン酸、ケイヒ酸等のα,β−不飽和酸;(13)クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物等のα,β−不飽和酸無水物;(14)α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物、アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物又はこれらのモノエステル等のカルボキシル基を有する単量体;(15)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;(16)4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルへキシル)スチレン等のヒドロキシ基を有する単量体、などが挙げられる。
通常使用される樹脂の中には、反応性の低い樹脂も存在するが、前記樹脂と併用してもよい。スチレン系単量体としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フエニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン、又はその誘導体、などが挙げられる。
また、ビニル重合体、又は共重合体を形成する他の単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフイン類;ブタジエン、イソプレン等のポリエン類、などが挙げられる。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂のビニル重合体、又は共重合体は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を併用してもよい。前記架橋剤としては、芳香族ジビニル化合物として、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、などが挙げられる。アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、などが挙げられる。エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの、などが挙げられる。
その他、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物、又はジメタクリレート化合物も挙げられる。ポリエステル型ジアクリレート類としては、例えば、商品名MANDA(日本化薬株式会社製)が挙げられる。
これらの架橋剤は、前記ビニル重合体、又は共重合体を形成する他の単量体100質量部に対して、0.01質量部〜2質量部用いることが好ましく、0.03質量部〜1質量部用いることがより好ましい。これらの架橋性単量体のうち、トナー用樹脂に定着性、耐オフセット性の点から、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を1つ含む結合鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が好適に挙げられる。これらの中でも、スチレン−アクリル共重合体となるような単量体の組み合わせが好ましい。
前記架橋剤の添加量が、2質量部を超えると、前記結着樹脂を有機溶媒に溶解しトナー組成液を作製する時に不溶解部が生じ、トナー組成液を吐出孔から吐出させて液滴を形成する時に、吐出孔の目詰まりが生じ、安定生産ができない場合がある。
前記ビニル重合体又は共重合体の製造に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、1,1'−アゾビス(1−シクロへキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2',4'−ジメチル−4'−メトキシバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパ−オキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロへキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジークミルパーオキサイド、α−(tert−ブチルパーオキシ)イソプロピルべンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルへキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−エトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロへキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサレート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチル−オキシベンゾエ−ト、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキアリルカーボネート、イソアミルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシへキサハイドロテレフタレート、tert−ブチルパーオキシアゼレート、などが挙げられる。
結着樹脂がスチレン−アクリル共重合体の場合、樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)に可溶分のGPCによる分子量分布で、分子量3,000〜50,000(数平均分子量換算)の領域に少なくとも1つのピークが存在し、分子量100,000以上の領域に少なくとも1つのピークが存在する樹脂が、定着性、オフセット性、保存性の点で好ましい。また、THF可溶分としては、分子量分布100,000以下の成分が50〜90%となるような結着樹脂が好ましく、分子量5,000〜30,000の領域にメインピークを有する結着樹脂がより好ましく、5,000〜20,000の領域にメインピークを有する結着樹脂が特に好ましい。
前記ポリエステル樹脂は、スチレン系樹脂やアクリル系樹脂に比して、トナー保存時の安定性を確保しつつ、より溶融粘度を低下させることが可能である。このようなポリエステル樹脂は、例えばアルコールとカルボン酸との重縮合反応によって得ることができる。
前記アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等のジオール類;1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノーA等のエーテル化ビスフェノール類;これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール、その他の2価のアルコールなどが挙げられる。また、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエスリトールジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の三価以上のアルコールなどが挙げられる。
前記カルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、又はこれらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価の有機酸単量体;これらの酸の無水物、低級アルキルエステルとリノレイン酸からの二量体などが挙げられる。また、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸エンボール三量体酸、これらの酸無水物等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げられる。なお、三価以上のアルコールや三価以上の多価カルボン酸が多いと、前記結着樹脂を有機溶媒に溶解しトナー組成液を作製する時に不溶解部が生じ、トナー組成液を吐出孔から吐出させて、液滴を形成する時に吐出孔の目詰まりが生じ、安定生産ができない場合がある。
前記結着樹脂がポリエステル系樹脂である場合には、樹脂成分のTHF可溶成分の分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つのピークが存在するのが、トナーの定着性、耐オフセット性の点で好ましく、また、THF可溶分としては、分子量5万以下の成分が70〜100%となるような結着樹脂も好ましく、分子量5千〜2万の領域に少なくとも1つのピークが存在する結着樹脂がより好ましい。前記分子量5万以上の成分が多いと、有機溶媒への溶解性が悪く、トナー組成液を作製する工程に時間がかかったり、トナー組成液を吐出孔から吐出させて、液滴を形成する時に吐出孔の目詰まりが生じ、安定生産ができない場合があるため好ましくない。
前記結着樹脂がポリエステル樹脂である場合には、該ポリエステル樹脂の酸価としては、0.1mgKOH/g〜40mgKOH/gであることが好ましく、0.1mgKOH/g〜30mgKOH/gであることがより好ましく、0.1mgKOH/g〜20mgKOH/gであることが更に好ましい。前記酸価が、大きすぎると、有機溶媒への溶解性が悪く、トナー組成液を作製する工程に時間がかかったり、トナー組成液を吐出孔から吐出させて、液滴を形成する時に吐出孔の目詰まりが生じ、安定生産ができない場合があるため好ましくない。
前記エポキシ系樹脂としては、ビスフェノールAとエポクロルヒドリンとの重縮合物等があり、例えば、エポミックR362、R364、R365、R366、R367、R369(以上、三井石油化学工業株式会社製);エポトートYD−011、YD−012、YD−014、YD−904、YD−017(以上、東都化成株式会社製);エポコート1002、1004、1007(以上、シェル化学株式会社製)等が挙げられる。なお、これらエポキシ樹脂の末端のエポキシ基をクミルフェノールやアルキルフェノール等のフェノール化合物で封止してもよい。
本発明のトナーに使用できる結着樹脂としては、前記ビニル重合体成分及びポリエステル系樹脂成分の少なくともいずれか中に、これらの両樹脂成分と反応し得る単量体成分を含む樹脂も使用することができる。ポリエステル系樹脂成分を構成する単量体のうちビニル重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物、などが挙げられる。ビニル重合体成分を構成する単量体としては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸若しくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
前記結着樹脂の数平均分子量及び質量平均分子量は、GPCによって以下の条件で測定することができる。
・装置:GPC−150C(ウォーターズ社製)
・カラム:KF801〜807(ショウデックス社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0ml/分
・試料:濃度0.05〜0.6%の試料を0.1ml注入
以上の条件で測定した結着樹脂の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して結着樹脂の数平均分子量及び質量平均分子量を算出した。
前記トナー組成物の結着樹脂成分の酸価は、以下の方法により求めることができ、基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(1)試料は予め結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、結着樹脂及び架橋された結着樹脂以外の成分の酸価及び含有量を予め求めておく。試料の粉砕品0.5〜2.0gを精秤し、重合体成分の重さをWgとする。例えば、トナーから結着樹脂の酸価を測定する場合は、着色剤又は磁性体等の酸価及び含有量を別途測定しておき、計算により結着樹脂の酸価を求める。
(2)300mlのビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(体積比4/1)の混合150mlを加え溶解する。
(3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。
(4)この時のKOH溶液の使用量をSmlとし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をBmlとし、以下の式(5)で算出する。
酸価(mgKOH/g)=[(S−B)×f×5.61]/W ・・・(5)
ただし、式(5)中、fはKOHのファクターである。
トナーの結着樹脂及び結着樹脂を含む組成物は、トナー保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)は、35℃〜80℃が好ましく、40℃〜75℃がより好ましい。前記ガラス転移温度(Tg)が、35℃未満であると、高温雰囲気下でトナーが劣化しやすく、また定着時にオフセットが発生しやすくなることがあり、80℃を超えると、定着性が低下することがある。
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン又はこれらの混合物、などが挙げられる。
前記着色剤のトナーにおける含有量は、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。
本発明で用いる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、先に挙げた変性、未変性ポリエステル樹脂の他に、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン又はその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得る事ができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の、水を含んだ水性ペーストを、樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も、着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため、乾燥する必要がなく、好適に使用される。混合混練するには、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に使用される。
前記マスターバッチの使用量としては、前記結着樹脂100量部に対して、0.1質量部〜20質量部が好ましい。
また、前記マスターバッチ用の樹脂は、酸価が30mgKOH/g以下、アミン価が1〜100で、着色剤を分散させて使用することが好ましく、酸価が20mgKOH/g以下、アミン価が10〜50で、着色剤を分散させて使用することがより好ましい。酸価が30mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下し、顔料分散性も不十分となることがある。また、アミン価が1未満であるとき、及び、アミン価が100を超えるときにも、顔料分散性が不十分となることがある。なお、酸価はJIS K0070に記載の方法により測定することができ、アミン価はJIS K7237に記載の方法により測定することができる。
また、分散剤は、顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、具体的な市販品としては、例えば「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ株式会社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)、などが挙げられる。
前記分散剤は、トナー中に、着色剤に対して0.1質量%〜10質量%の割合で配合することが好ましい。配合割合が0.1質量%未満であると、顔料分散性が不十分となることがあり、10質量%より多いと、高湿下での帯電性が低下することがある。
前記分散剤の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるスチレン換算質量での、メインピークの極大値の分子量で、500〜100,000が好ましく、顔料分散性の観点から、3,000〜100,000がより好ましく、5,000〜50,000が更に好ましく、5,000〜30,000が特に好ましい。前記分子量が、500未満であると、極性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがあり、100,000を超えると、溶剤との親和性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがある。
前記分散剤の添加量は、着色剤100質量部に対して1質量部〜50質量部が好ましく、5質量部〜30質量部がより好ましい。前記添加量が、1質量部未満であると、分散能が低くなることがあり、50質量部を超えると、帯電性が低下することがある。
−流動性向上剤−
前記流動性向上剤は、トナー表面に添加することにより、トナーの流動性を改善(流動しやすくなる)するものである。
前記流動性向上剤としては、例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末、湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等の微粉末シリカ;微粉未酸化チタン、微粉未アルミナ、又はそれらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤若しくはシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ、処理酸化チタン、処理アルミナ、などが挙げられる。これらの中でも、微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナが好ましく、また、これらをシランカップリング剤やシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカが更に好ましい。
前記流動性向上剤の粒径としては、平均一次粒径が0.001μm〜2μmであることが好ましく、0.002μm〜0.2μmであることがより好ましい。
前記微粉末シリカは、ケイ素ハロゲン化含物の気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。
ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば、AEROSIL(日本アエロジル株式会社商品名、以下同じ)−130、−300、−380、−TT600、−MOX170、−MOX80、−COK84:Ca−O−SiL(CABOT社商品名)−M−5、−MS−7、−MS−75、−HS−5、−EH−5、Wacker HDK(WACKER−CHEMIEGMBH社商品名)−N20 V15、−N20E、−T30、−T40:D−CFineSi1ica(ダウコーニング社商品名):Franso1(Fransi1社商品名)、などが挙げられる。
更には、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が好ましくは30%〜80%の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。疎水化は、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的あるいは物理的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する方法がよい。
前記有機ケイ素化合物としては、例えばヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルビニルクロロシラン、ジビニルクロロシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、へキサメチルジシラン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロモメチルジメチルクロロシラン、α−クロルエチルトリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、へキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフエニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当り2〜12個のシロキサン単位を有し、未端に位置する単位にそれぞれSiに結合した水酸基を0〜1個含有するジメチルポリシロキサンなどが挙げられる。更に、ジメチルシリコーンオイルの如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記流動性向上剤の個数平均粒径としては、5nm〜100nmが好ましく、5nm〜50nmがより好ましい。
BET法で測定した窒素吸着による比表面積としては、30m/g以上が好ましく、60m/g〜400m/gがより好ましい。
表面処理された微粉体としては、20m/g以上が好ましく、40m/g〜300m/gがより好ましい。
これらの微粉体の適用量としては、トナー粒子100質量部に対して0.03〜8質量部が好ましい。
−クリーニング性向上剤−
記録紙等にトナーを転写した後、静電潜像担持体や一次転写媒体に残存するトナーの除去性を向上させるためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩;ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合によって製造されたポリマー微粒子、などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01μm〜1μmのものが好ましい。
これらの流動性向上剤やクリーニング性向上剤等はトナーの表面に付着乃至は固定化させて用いられるため、外添剤とも呼ばれており、トナーに外添する方法としては各種の粉体混合機等が用いられる。例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、などが挙げられる。また、固定化も行う場合はハイブリタイザー、メカノフュージョン、Qミキサーなどが挙げられる。
本発明のトナーには、その他の外添剤として、静電潜像担持体(感光体)、キャリアの保護、熱特性の調整、電気特性の調整、物理特性の調整、抵抗調整、軟化点調整、定着率向上等を目的として、例えば各種金属石けん、フッ素系界面活性剤、フタル酸ジオクチル、導電性付与剤として酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミナなどを必要に応じて添加することができる。これらの無機微粉体は、必要に応じて疎水化してもよい。また、ポリテトラフルオロエチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデン等の滑剤;酸化セシウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤として用いることもできる。
これらの添加剤は、帯電量コントロール等の目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤、又は種々の処理剤で処理することも好ましい。
本発明のトナーの重量平均粒径(D)は、3μm〜8μmが好ましい。また、トナーの粒度分布(重量平均粒径(D)/個数平均粒径(Dn))は、1.00〜1.35が好ましく、1.00〜1.20がより好ましい。
ここで、前記トナーの重量平均粒径(D)、及び個数平均粒径(Dn)は、例えば粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(Beckman Coulter Mutlisizer 3 Version3.51)にて解析することにより求めることができる。
<現像剤>
本発明のトナーは、現像剤として用いられ、該現像剤は、キャリア等の適宜選択したその他の成分を含有していてもよい。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の層厚規制部材へのトナーの融着がなく、現像手段の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。また、前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像手段における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
前記キャリアとしては、通常のフェライト、マグネタイト等のキャリアも樹脂コートキャリアも使用することができる。
前記樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆剤からなる。
−樹脂−
前記被覆剤に使用する樹脂としては、例えばスチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂;シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂などが挙げられる。この他にも、アイオモノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等のキャリアの被覆(コート)剤として使用できる樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアも用いることができる。
樹脂コートキャリアにおいて、キャリアコアの表面を少なくとも樹脂被覆剤で被覆する方法としては、樹脂を溶剤中に溶解若しくは懸濁せしめて塗布したキャリアコアに付着せしめる方法、あるいは単に粉体状態で混合する方法が適用できる。
前記樹脂コートキャリアに対する樹脂被覆剤の割合としては、適宜決定すればよいが、樹脂コートキャリアに対し0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜1質量%がより好ましい。
前記樹脂としては、例えばスチレン−メタクリル酸メチル共重合体、含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物、シリコーン樹脂が挙げられる。これらの中でも、シリコーン樹脂が特に好ましい。
前記含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンとスチレン−メタクリ酸メチル共重合体との混合物、ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メタクリル酸メチル共重合体との混合物、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合(共重合質量比率10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(共重合質量比率10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸メチル共重合体(共重合質量比率20〜60:5〜30:10:50)との混合物、などが挙げられる。
前記シリコーン樹脂としては、含窒素シリコーン樹脂及び含窒素シランカップリング剤と、シリコーン樹脂とが反応することにより生成された、変性シリコーン樹脂が挙げられる。
−磁性材料−
キャリアコアの磁性材料としては、例えば、フェライト、鉄過剰型フェライト、マグネタイト、γ−酸化鉄等の酸化物や、鉄、コバルト、ニッケルのような金属、又はこれらの合金を用いることができる。
また、これらの磁性材料に含まれる元素としては、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムが挙げられる。これらの中でも特に、銅、亜鉛、及び鉄成分を主成分とする銅−亜鉛−鉄系フェライト、マンガン、マグネシウム及び鉄成分を主成分とするマンガン−マグネシウム−鉄系フェライトが好適に挙げられる。
前記キャリアの抵抗値としては、キャリアの表面の凹凸度合い、被覆する樹脂の量を調整して10〜1010Ω・cmにするのが好ましい。
前記キャリアの平均粒径としては、4μm〜200μmが好ましく、10μm〜150μmがより好ましく、20μm〜100μmが更に好ましい。樹脂コートキャリアは、50%粒径が20μm〜70μmであることが好ましい。
2成分系現像剤では、キャリア100質量部に対して、本発明のトナーを1質量部〜200質量部で使用することが好ましく、キャリア100質量部に対して、トナー2質量部〜50質量部で使用するのがより好ましい。
本発明のトナーを用いた現像方法は、従来の電子写真法に使用する静電潜像担持体が全て使用できるが、例えば、有機静電潜像担持体、非晶質シリカ静電潜像担持体、セレン静電潜像担持体、酸化亜鉛静電潜像担持体、などが好適に使用可能である。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(合成例1)
−結着樹脂としてのポリエステル樹脂1の合成−
温度計、攪拌機、冷却器及び窒素導入管の付いた反応槽中にビスフェノールAのPO付加物(水酸基価320mgKOH/g)64質量部、ビスフェノールAのEO付加物(水酸基価343mgKOH/g)544質量部、テレフタル酸123質量部、及びジブチルチンオキサイド4質量部を入れ、常圧下、230℃で3時間反応した後180℃まで冷却し、無水ドデセニルコハク酸296質量部を入れ、更に10〜15mmHgの減圧で酸価が2mgKOH/g以下になるまで反応した。その後無水トリメリット酸20質量部を入れ、常圧下、180℃で2時間反応し、反応槽から取り出しポリエステル樹脂1を合成した。
得られたポリエステル樹脂1のガラス転移温度(Tg)は48℃、数平均分子量は9,000、質量平均分量は22,000、酸価は10mgKOH/g、水酸基価は17mgKOH/gであった。
(合成例2)
−結着樹脂としてのポリエステル樹脂2の合成−
合成例1と同様の反応装置にビスフェノールAのPO付加物(水酸基価320mgKOH/g)636質量部、テレフタル酸191質量部、及びジブチルチンオキサイド4質量部を入れ、常圧下、230℃で3時間反応した後180℃まで冷却し、無水ドデセニルコハク酸205質量部を入れ、更に10〜15mmHgの減圧で酸価が2mgKOH/g以下になるまで反応した。その後無水トリメリット酸20質量部を入れ、常圧下、180℃で2時間反応し、反応槽から取り出しポリエステル樹脂2を合成した。
得られたポリエステル樹脂2のガラス転移温度(Tg)は55℃、数平均分子量は5,000、質量平均分量は10,000、酸価は11mgKOH/g、水酸基価は16mgKOH/gであった。
(合成例3)
−結着樹脂としてのポリエステル樹脂3の合成−
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529質量部、テレフタル酸208質量部、アジピン酸46質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応し、更に10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸44質量部を入れ、常圧下、180℃で2時間反応して、ポリエステル樹脂3を合成した。
得られたポリエステル樹脂3は、数平均分子量2,500、質量平均分子量6,700、ガラス転移温度(Tg)43℃、酸価25mgKOH/gであった。
(合成例4)
−プレポリマー1の合成−
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応し、更に10〜15mmHgの減圧で5時間反応して、ポリエステル樹脂を合成した。
得られたポリエステル樹脂は、数平均分子量2,100、質量平均分子量9,500、ガラス転移温度(Tg)55℃、酸価0.5mgKOH/g、水酸基価51mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器中に、得られたポリエステル410質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を入れ、100℃で5時間反応し、プレポリマー1を合成した。
得られたプレポリマー1の遊離イソシアネート質量%は、1.53質量%であった。
(合成例5)
−ケチミン化合物1の合成−
撹拌棒、及び温度計をセットした反応容器内に、イソホロンジアミン170質量部、及びメチルエチルケトン75質量部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、ケチミン化合物1を合成した。得られたケチミン化合物1のアミン価は418であった。
(実施例1)
−ワックス分散体1の作製−
パラフィンワックス120(日本精鑞株式会社製)を80℃に昇温し、融解したワックス融解液を、図4の液滴化手段を用いた図1に示したワックス分散体の製造装置におけるワックス融解液貯蔵容器35に供給した。使用した吐出孔を有するノズル板21は、厚み50μmのニッケルプレートに、真円形状の出口直径0.5μmの吐出孔を、フェムト秒レーザーによるマスク縮小投影法による除去加工により同心円上に10個作製した。吐出孔の存在する部分は、一辺0.5mmの正方形の範囲であった。液流量:40ml/hr、貯留部振動周波数:601.0kHzの条件で噴射させた。
得られたワックス粒子をスチレンモノマー中にトラップすることによりワックス分散体1を作製した。
得られたワックス粒子について、以下のようにして測定した分散粒径は平均が0.84μmであり、分散粒径が0.3μm以下の粒子、及び分散粒径が1.5μm以上の粒子はカウントされなかった。
<ワックス粒子の分散粒径>
ワックス粒子の分散粒径は、レーザー光散乱法を用いた粒径分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)を用いて測定した。
(実施例2)
−ワックス分散体2の作製−
カルナバワックスNo.1(セラリカ野田株式会社製)を90℃に昇温し、溶融させたワックス融解液を、図2の液滴化手段を用いた図1に示したワックス分散体の製造装置におけるワックス融解液貯蔵容器35に供給した。使用した吐出孔を有する板は、厚み50μmのニッケルプレートに、真円形状の出口直径0.5μmの吐出孔を、フェムト秒レーザーによるマスク縮小投影法による除去加工により同心円上に10個作製した。吐出孔の存在する部分は、一辺0.5mmの正方形の範囲であった。液流量:40ml/hr、貯留部振動周波数:601.0kHzの条件で噴射させた。
得られたワックス粒子をスチレンモノマー中にトラップすることによりワックス分散体2を作製した。
得られたワックス粒子の実施例1と同様にして測定した分散粒径は、平均が0.78μmであり、分散粒径が0.3μm以下の粒子、及び分散粒径が1.5μm以上の粒子はカウントされなかった。
(実施例3)
−ワックス分散体3の作製−
マイクロクリスタリンワックス(日本精鑞株式会社製、Hi−MiC2065)を90℃に昇温し、溶融させたワックス融解液を、図9に示した構成の貯留部1に供給した。使用したノズル板21は、ニッケル電鋳法により加工され、真円形状の直径1μmのノズルを、100μmピッチで千鳥格子状に配置した。ノズルの配置される面は、振動子の振動面に当接する箇所とした。
振動子は厚さ7mm、直径20mmの圧電体を2段積層したものを用い、振動増幅子としては、振動面が長方形状であり、長辺50mm/短辺10mmのものとした。また、ノズル膜の振幅は最大3.0μmとなるようにした。
液流量:40ml/hr、貯留部振動周波数:40.0kHzの条件で噴射させ、得られたワックス粒子を酢酸エチル中にトラップすることによりワックス分散体3を作製した。
得られたワックス粒子の実施例1と同様にして測定した分散粒径は、平均が0.64μmであり、分散粒径が0.3μm以下の粒子、及び分散粒径が1.5μm以上の粒子はカウントされなかった。
(実施例4)
−ワックス分散体4の作製−
パラフィンワックス120(日本精鑞株式会社製)を80℃に昇温し、融解したワックス融解液を、図11に示した構成の貯留部に供給した。使用したノズル板は、外径8.0mmで厚み20μmのニッケル板に、真円形状の直径1μmの吐出孔を、電鋳法による加工で作製した。吐出孔は各吐出孔間の距離が100μmとなるように千鳥格子状に、ノズル板中心の外径5mmの範囲にのみ設けた。この場合の計算上の有効吐出孔数は1000個となる。
振動周波数:98.0kHz、印加電圧サイン波ピーク値:12Vの条件で噴射させ、得られたワックス粒子を酢酸エチル中にトラップすることによりワックス分散体4を作製した。
得られたワックス粒子の実施例1と同様にして測定した分散粒径は、平均が0.61μmであり、分散粒径が0.3μm以下の粒子、及び分散粒径が1.5μm以上の粒子はカウントされなかった。
(実施例5)
−ワックス分散体5の作製−
実施例4において、ノズル板21を図16に示す円錐形状の凸形状部を有するノズル板とし、振動周波数を103kHzとした以外は、実施例4と同様にして、ワックス分散体5を作製した。ここで、図16中hは250μm、Rは4000μmであった。
得られたワックス粒子の実施例1と同様にして測定した分散粒径は、平均が0.63μmであり、分散粒径が0.3μm以下の粒子、1.5μm以上の粒子はカウントされなかった。
(比較例1)
−ワックス分散体6の作製−
カルナバワックス18質量部、及びワックス分散剤(ポリエチレンワックスにスチレン−アクリル酸ブチル共重合体をグラフト化したもの)2質量部を、酢酸エチル80質量部に投入し、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。得られた一次分散液を攪拌しながら80℃まで昇温してカルナバワックスを溶解した後、氷冷を行ってワックス粒子を析出させた。得られた分散液を直径100μmのジルコニアビーズを充填したダイノーミルを用いて、2,400rpmで24時間分散して、ワックス分散体6を作製した。
得られたワックス粒子の実施例1と同様にして測定した分散粒径は、平均が0.45μmであり、分散粒径が1.5μm以上の粒子はカウントされなかったが、分散粒径が0.3μm以下の粒子は4.8個数%存在した。
(比較例2)
−ワックス分散体7の作製−
比較例1の分散時間24時間を10時間に変更し、分散粒径の平均が0.63μmのワックス分散体7を作製した。ここで、分散粒径が1.5μm以上の粒子は2.6個数%存在し、分散粒径が0.3μm以下の粒子は2.5個数%存在した。
(実施例6)
−トナー1の作製−
60℃に加温したイオン交換水900質量部に、リン酸マグネシウム3質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を作製した。
イエロー顔料(Novoperm Yellow P−HG、クラリアント社製)15質量部、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ株式会社製)3質量部、及びスチレンモノマー82質量部を、攪拌羽を有するミキサーを用いて分散させた後、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、顔料分散液を調製した。
得られた顔料分散液35質量部、前記ワックス分散体1を75質量部、n−ブチルアクリレート15質量部、スチレン10質量部、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル(モル比=85:5:10、重量平均分子量(Mw)=58,000)2質量部、及びジ−t−ブチルサリチル酸亜鉛4質量部を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて12,000rpmにて均一に分散し、溶解した。これに重合開始剤1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)2.5質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
前記水系媒体中に前記重合性単量体組成物を投入し、60℃,窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサーを用いて8,000rpmで撹拌を行い造粒した。
その後、パドル型の攪拌羽を有する撹拌装置に移して撹拌を続け、2時間かけて70℃に昇温し、更に4時間後、昇温速度40℃/hrで80℃まで昇温し、80℃で5時間反応を行った。その後、蒸留操作を行い、スチレンモノマーを除去し反応を完了した。重合反応終了後、該粒子を含むスラリーを冷却し、スラリーの10倍の水量で洗浄して、ろ過し、乾燥後、分級によって粒子径を調整して粒子を得た。
得られた粒子100質量部に疎水性シリカ(アエロジルR−972、日本アエロジル社製)0.2質量部を加え、ヘンシェルミキサーで混合し、イエロートナー1を作製した。
次に、イエロー顔料の代わりに、マゼンタ顔料(Hosterperm PinkE−02、クラリアント株式会社製)、及びシアン顔料(Lionol BlueFG−7351、東洋インキ製造株式会社製)を用いた以外は、イエロートナー1と同様にして、マゼンタトナー1、及びシアントナー1を作製した。
(実施例7)
−トナー2の作製−
イエロー顔料(Novoperm Yellow P−HG、クラリアント社製)15質量部、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ株式会社製)3質量部、及び酢酸エチル82質量部を、攪拌羽を有するミキサーを用い分散させた後、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し顔料分散液を調製した。得られた顔料分散液を10質量部、結着樹脂としてのポリエステル樹脂2を100質量部、前記ワックス分散体2を25質量部、フタージェントF100(ネオス社製)0.4質量部、及び酢酸エチル120質量部に投入し、攪拌羽を有するミキサーを使用して、10分間攪拌を行い分散させ、トナー組成液を作製した。
一方、炭酸カルシウム(平均粒径80nm)60質量部、及び水40質量部をボールミルで24時間分散して、得られた炭酸カルシウム分散液7質量部、カルボキシメチルセルロース(商品名「セロゲンBS−H」、第一工業製薬株式会社製)の2質量%水溶液100質量部をTKホモミキサー(特殊機化株式会社製)で攪拌し、その中に前記トナー組成液50質量部をゆっくり投入して混合液を懸濁した。その後、減圧下で溶媒を除去し、次いで、6N塩酸を100質量部加えて炭酸カルシウムを除去し、更に水洗、乾燥、分級した。得られた粒子100質量部に疎水性シリカ(アエロジルR−972、日本アエロジル株式会社製)0.2質量部を加え、ヘンシェルミキサーで混合して、イエロートナー2を作製した。
次に、イエロー顔料の代わりに、マゼンタ顔料(Hosterperm PinkE−02、クラリアント社製)、及びシアン顔料(Lionol BlueFG−7351、東洋インキ製造株式会社製)を用いた以外は、イエロートナー2と同様にして、マゼンタトナー2及びシアントナー2を作製した。
(実施例8)
−トナー3の作製−
撹拌装置、及び温度計をセットした反応容器に、蒸留水683質量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業株式会社製)11質量部、スチレン83質量部、メタクリル酸83質量部、アクリル酸ブチル110質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400rpmで15分間撹拌し、加熱して液温を75℃まで昇温し5時間反応させた。更に、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部を加え、75℃で5時間熟成してスチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルナトリウム塩共重合体の分散液を得た。
得られた樹脂微粒子分散液をレーザー光散乱式粒度計(LA−920、堀場製作所)で測定したところ、体積平均粒径は105nmであった。樹脂微粒子分散液の一部を乾燥して樹脂分を単離しガラス転移温度(Tg)と質量平均分子量を測定したところ、該樹脂分のTgは59℃、質量平均分子量は15万であった。
次に、得られた樹脂微粒子分散液83質量部を蒸留水990質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部と混合撹拌し、水相を作製した。
イエロー顔料(Novoperm Yellow P−HG、クラリアント社製)15質量部、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ株式会社製)3質量部、及び酢酸エチル82質量部を、攪拌羽を有するミキサーを用い分散させた後、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、顔料分散液を調製した。得られた顔料分散液10質量部、結着樹脂としてのポリエステル樹脂3を100質量部、ワックス分散体3を25質量部、及びフタージェントF100(ネオス社製)0.4質量部を、酢酸エチル120質量部に投入し、攪拌羽を有するミキサーを使用して、10分間攪拌を行い分散させた。得られた分散液185質量部、プレポリマー1を26質量部、及びケチミン化合物1を0.7質量部容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化株式会社製)を用いて5,000rpmで1分間混合した後、水相300質量部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで20分間混合し乳化スラリーを得た。
次に、撹拌機、及び温度計をセットした容器に、乳化スラリーを投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間撹拌を継続した。これを減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水を加え、TKホモミキサーで回転数12,000rpmで10分間混合した後再度濾過した。得られた濾過ケーキに10質量%塩酸を加え、pH2.8に調整し、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。濾過ケーキにイオン交換水300質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い濾過ケーキを得た。得られた濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い粒子を得た。
得られた粒子100質量部に疎水性シリカ(アエロジルR−972、日本アエロジル株式会社製)0.2質量部を加え、ヘンシェルミキサーで混合し、イエロートナー3を作製した。
次に、イエロー顔料の代わりに、マゼンタ顔料(Hosterperm PinkE−02、クラリアント株式会社製)、及びシアン顔料(Lionol BlueFG−7351、東洋インキ製造株式会社製)を用いた以外は、イエロートナー3と同様にして、マゼンタトナー3及びシアントナー3を作製した。
(実施例9)
−トナー4の作製−
イエロー顔料(Novoperm Yellow P−HG、クラリアント株式会社製)15質量部、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ株式会社製)3質量部、及び酢酸エチル82質量部を、攪拌羽を有するミキサーを用い分散させた後、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、顔料分散液を調製した。得られた顔料分散液を10質量部、結着樹脂としてのポリエステル樹脂2を100質量部、前記ワックス分散体2を25質量部、及びフタージェントF100(ネオス社製)0.4質量部を、酢酸エチル120質量部に投入し、攪拌羽を有するミキサーを使用して、10分間攪拌を行い分散させ、トナー組成液を作製した。
得られたトナー組成液を、図11に示した構成の貯留部1に供給した。使用したノズル板は、外径8.0mmで厚み20μmのニッケル板に、真円形状の直径6μmの吐出孔を、電鋳法による加工で作製した。吐出孔は各吐出孔間の距離が100μmとなるように千鳥格子状に、ノズル板中心の外径5mmの範囲にのみ設けた。この場合の計算上の有効吐出孔数は1000個となる。振動周波数:98.0kHz、印加電圧サイン波ピーク値:12Vの条件で噴射させた。
得られた粒子100質量部に疎水性シリカ(アエロジルR−972、日本アエロジル株式会社製)0.2質量部を加え、ヘンシェルミキサーで混合し、イエロートナー4を作製した。
次に、イエロー顔料の代わりに、マゼンタ顔料(Hosterperm PinkE−02、クラリアント株式会社製)、及びシアン顔料(Lionol BlueFG−7351、東洋インキ製造株式会社製)を用いた以外は、イエロートナー4と同様にして、マゼンタトナー4及びシアントナー4を作製した。
(実施例10)
−トナー5の作製−
実施例8において、ワックス分散体3の代わりにワックス分散体5を用いた以外は、実施例8と同様にして、それぞれイエロートナー5、マゼンタトナー5、及びシアントナー5を作製した。
(実施例11)
−トナー6の作製−
実施例9において、ワックス分散体2の代わりにワックス分散体4を用いた以外は、実施例9と同様にして、それぞれイエロートナー6、マゼンタトナー6、及びシアントナー6を作製した。
(実施例12)
−トナー7の作製−
実施例9において、ポリエステル樹脂2の代わりにポリエステル樹脂1を用いた以外は、実施例9と同様にして、それぞれイエロートナー7、マゼンタトナー7、及びシアントナー7を作製した。
(比較例3)
−トナー8の作製−
実施例8において、ワックス分散体3の代わりにワックス分散体6を用いた以外は、実施例8と同様にして、それぞれイエロートナー8、マゼンタトナー8、及びシアントナー8を作製した。
(比較例4)
−トナー9の作製−
実施例8において、「ワックス分散体3 25質量部」を、「ワックス分散体6 10質量部」に変えた以外は、実施例8と同様にして、それぞれイエロートナー9、マゼンタトナー9、及びシアントナー9を作製した。
(比較例5)
−トナー10の作製−
実施例8において、ワックス分散体3の代わりにワックス分散体7を用いた以外は、実施例8と同様にして、それぞれイエロートナー10、マゼンタトナー10、及びシアントナー10を作製した。
次に、得られた各トナーについて、以下のようにして、重量平均粒径(D)、及びD/Dnを測定した。結果を表1に示す。
<重量平均粒径及び粒度分布の測定>
得られた各トナーについて、コールターカウンター法による重量平均粒径及び粒度分布を、コールターカウンターTA−II(コールター社製)を用いて測定した。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D)、個数平均粒径(Dn)を求めた。また、得られたトナーの重量平均粒径(D)、及び個数平均粒径(Dn)の結果から比(D/Dn)を求めた。
−現像剤の作製−
シリコーン樹脂(SR2411、東レダウコーニングシリコーン社製)を希釈して、固形分5%のシリコーン樹脂溶液を得た。固形分に対して、3質量%のアミノシランカップリング剤HN(CHSi(OCを添加し、流動床型コーティング装置を用いて、銅−亜鉛フェライト粒子(F−300、パウダーテック社製)の粒子表面上に、前記のシリコーン樹脂溶液を、100℃の雰囲気下で40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、厚み0.38μmの被覆層を有するキャリアを作製した。
次に、各トナー5質量部と、前記キャリア95質量部とを混合させて、各現像剤を作製した。
<画像濃度、画像品質、及び離型品質の評価>
得られた各現像剤について、タンデム型カラープリンター(Ipsio SPC811、株式会社リコー製)を用いて、複写紙(TYPE6000、株式会社リコー製)に各トナーの付着量が0.50±0.05mg/cmのチャート面積を5%とした画像を形成した。初期、20℃で60%RH環境下において10,000枚耐久後、10℃で30%RH環境下において5,000枚耐久後(累計15,000枚耐久後)、及び30℃で90%RH環境下において5,000枚耐久後(累計20,000枚耐久後)について、以下のようにして、画像濃度、画像品質、及び離型品質を評価した。結果を表1に示す。
−画像濃度−
画像濃度は、Spectrodenstiometer X−Rite 938(X−Rite社製)を用い、D65光源、視野角2°、ステイタスTの条件で測定を行い、下記基準で評価を行った。
〔評価基準〕
○:1.4以上
△:1.2以上1.4未満
×:1.2未満
−画像評価−
画像評価は、地汚れ、画像のにじみやボケ、カスレを総合的に目視で観察し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○:地汚れ、画像にじみ、ボケ、カスレのいずれも観察されない。
△:地汚れ、画像にじみ、ボケ、カスレのいずれかが観察されるが、極軽微である。
×:地汚れ、画像にじみ、ボケ、カスレのいずれかが観察される。
−離型品質−
離型品質は、複写紙(TYPE6000<58W>、株式会社リコー製)に各現像剤の付着量が1.00±0.05mg/cmの50mm×30mmのベタ画像を取り、各環境下で連続して10枚印字し、画像を目視で観察し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○:均一なベタ画像が得られる。
△:定着部の分離爪の跡が薄く見られる。部分的に光沢が高い箇所が観察される。
×:定着部の分離爪の跡が明瞭に見られる。定着部ジャムが生じる。
Figure 2009286902
Figure 2009286902
Figure 2009286902
本発明のワックス分散体の製造方法及びワックス分散体の製造装置は、効率的にかつ安価に単一分散性を示す微粒の有機溶媒へのワックス分散体が得られる。
本発明のトナーは、本発明のワックス分散体を用いることにより、電子写真、静電記録、静電印刷等における静電荷像を現像するのに好適な現像剤を得ることができる。
図1は、本発明のワックス分散体の製造装置の一例を示す説明図である。 図2は、貯留部を振動させる液滴化手段の一例を示す説明図である。 図3は、多数の液滴化手段を有するワックス分散体の製造装置一例を示す概略図である。 図4は、ノズル板を振動させる液滴化手段の説明図である。 図5は、本発明の一例の液滴化の動作原理の説明に供するノズル板の模式的説明図である。 図6は、基本振動モードの説明に供する説明図である。 図7は、第2次振動モードの説明に供する説明図である。 図8は、振動子と振動増幅子の説明に供する説明図である。 図9は、本発明のワックス分散体の製造装置の液滴化手段の一例を示す説明図である。 図10は、本発明のワックス分散体の製造装置の液滴化手段の一例を示す説明図である。 図11は、本発明のワックス分散体の製造装置の一例を示す概略図である。 図12は、本発明のワックス分散体の製造装置の液滴化手段の一例を示す説明図である。 図13は、ワックス分散体の製造装置の液滴噴射ユニットの説明に供する拡大説明図である。 図14は、図13を下側から見た底面説明図である。 図15は、液滴化手段の拡大断面説明図である。 図16は、薄膜の中央部に凸部を形成した場合の説明図である。
符号の説明
1 貯留部
2 機械的振動手段
3 支持手段
4 吐出孔
5 液供給手段
6 溶媒除去設備
7 ワックス融解液
8 液滴化手段
9 ハウジング
10 波形発生装置
11 導電線
12 ドレイン
13 液滴噴射ユニット
14 乾燥気体
15 ワックス粒子
16A ノズル板変形可能領域
16B ノズル板周辺部
16C ノズル板凸部
21 ノズル板
22 電極
23 固形化設備
24 除電器
25 粒子捕集部
26 ワックス粒子
27 渦流
28 電界カーテン
29 液供給管
30 乾燥容器
31 液滴
32 粒子貯蔵容器
33 乾燥気体供給管
34 定量ポンプ
35 ワックス融解液貯蔵容器
36 絶縁性基板
37 液供給流路
38 直流高圧電源
39 Oリング
40 分散エア
42 振動子
43 振動増幅子
44 接合面
45 振動面

Claims (14)

  1. ワックスを融解してなるワックス融解液をノズルの吐出孔から吐出する吐出工程と、
    吐出されたワックス融解液を液滴化する液滴化工程と、
    得られた液滴を造粒空間において固体粒子にする粒子形成工程と、
    得られた固体粒子を有機溶剤に分散させる分散工程と、を含むことを特徴とするワックス分散体の製造方法。
  2. ワックス融解液に圧力を付与して該ワックス融解液を連続的にノズルの吐出孔から吐出させて柱状状態を形成し、前記吐出孔を有するノズル板を一定の周波数で振動させることにより該ワックス融解液を液滴化する請求項1に記載のワックス分散体の製造方法。
  3. ワックス融解液に圧力を付与して該ワックス融解液を連続的にノズルの吐出孔から吐出させて柱状状態を形成し、前記ワックス融解液を貯留する貯留部を一定の周波数で振動させることにより該ワックス融解液を液滴化する請求項1に記載のワックス分散体の製造方法。
  4. ワックス融解液を貯留する貯留部に設けた複数のノズルを有する薄膜から該ワックス融解液を機械的振動手段により周期的に液滴を放出し、
    前記機械的振動手段が、前記複数のノズルを有する薄膜に対して平行振動面を有し、垂直方向に縦振動し、
    前記機械的振動手段が振動子と振動増幅子の結合体であり、
    前記複数のノズルを有する薄膜に面する振動増幅子の振動面が、該振動増幅子の結合面よりも大面積である請求項1に記載のワックス分散体の製造方法。
  5. 複数のノズルが形成された薄膜と、該薄膜の変形可能な領域内の周囲に配されて前記薄膜を振動させる円環状の振動発生手段で構成された液滴化手段を用い、ワックス融解液を前記複数のノズルから周期的に液滴化して放出させる請求項1に記載のワックス分散体の製造方法。
  6. 液滴化手段が、薄膜が液滴を放出する方向に凸形状に形成され、該凸形状に形成された部分に複数のノズルが形成されている請求項5に記載のワックス分散体の製造方法。
  7. ワックスの分散粒径が0.3μm〜1.5μmの範囲である請求項1から6のいずれかに記載のワックス分散体の製造方法。
  8. ワックスを融解してなるワックス融解液を貯留する貯留部と、
    前記ワックス融解液に圧力を付与して一定の周波数で振動させたノズル板から吐出させて、液滴を形成する液滴形成手段と、
    該液滴を冷却することにより固体粒子を得る粒子形成手段と、を有することを特徴とするワックス分散体の製造装置。
  9. ワックスを融解してなるワックス融解液を貯留する貯留部と、
    一定の周波数で振動させた貯留部から供給された前記ワックス融解液を、吐出孔から吐出させて、液滴を形成する液滴形成手段と、
    該液滴を冷却することにより固体粒子を得る粒子形成手段と、を有することを特徴とするワックス分散体の製造装置。
  10. ワックスを融解してなるワックス融解液を貯留する貯留部と、
    前記ワックス融解液を貯留部に設けた複数のノズルを有する薄膜から、前記複数のノズルを有する薄膜に対して平行振動面を有し垂直方向に縦振動している機械的振動手段により周期的に放出し、液滴化する周期的液滴化手段と、
    得られた液滴を冷却することにより固体粒子を得る粒子形成手段と、を有することを特徴とするワックス分散体の製造装置。
  11. ワックスを融解してなるワックス融解液を貯留する貯留部と、
    複数のノズルが形成された薄膜と該薄膜の変形可能な領域内の周囲に配されて前記薄膜を振動させる円環状の振動発生手段とで構成された液滴化手段と、
    得られた液滴を冷却することにより固体粒子を得る粒子形成手段と、を有することを特徴とするワックス分散体の製造装置。
  12. 請求項1から7のいずれかに記載のワックス分散体の製造方法により製造されたことを特徴とするワックス分散体。
  13. 少なくとも着色剤及びワックスを含有するトナーにおいて、
    請求項12に記載のワックス分散体を少なくとも含有するトナー組成液を吐出孔より吐出し、該トナー組成液を液滴化し、得られた液滴を造粒空間において固体粒子にすることにより得られることを特徴とするトナー。
  14. 少なくとも着色剤及びワックスを含有するトナーにおいて、
    請求項12に記載のワックス分散体を少なくとも含有するトナー組成液を水系媒体中で油滴化し、得られた油滴を固体粒子にすることにより得られることを特徴とするトナー。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012058419A (ja) * 2010-09-07 2012-03-22 Ricoh Co Ltd トナーの製造方法及びトナーの製造装置、並びにトナー
JP2012185271A (ja) * 2011-03-04 2012-09-27 Ricoh Co Ltd 離型剤粒子の製造方法、トナー、現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置、画像形成方法、及び、粒子製造装置
JP2012242711A (ja) * 2011-05-23 2012-12-10 Ricoh Co Ltd トナーの製造方法

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