次に、本発明を実施するための最良の実施形態について図面と共に説明する。
本実施形態のトナーの製造方法は、超臨界流体中又は亜臨界流体中での重合トナーの作製工程を少なくとも含む。また、必要に応じてその他の工程も含む。
以下、本実施形態のトナー製造方法の説明を通じて、本実施形態のトナーの詳細も明らかにする。
(超臨界流体中での重合工程)
超臨界流体及び亜臨界流体中において、重合性単量体を、乳化重合、懸濁重合、又は分散重合することによりトナー粒子を作製する工程である。
重合性単量体としては、重合して得られる高分子成分が、トナー用結着樹脂として画像の形成に用いられる樹脂である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ビニルモノマー及びスチレンモノマーなどに代表される不飽和二重結合を有する重合性単量体が挙げられる。また、これらの化合物は広く市販されている。
超臨界流体としては、気体及び液体が共存できる限界(臨界点)を超えた温度及び圧力領域において、非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮を起こさず、臨界温度以上、且つ臨界圧力以上の状態にある流体である限り特に制限はない。この超臨界流体は、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度が低いものが好ましい。この超臨界流体は、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、メタノール、エタノール、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン、クロロトリフロロメタン、及びジメチルエーテルなどが好適である。これらの中でも、二酸化炭素は、臨界圧力7.3MPa、臨界温度31℃であることから、容易に超臨界状態をつくり出せるともに、不燃性で取扱いが容易であり、非水系によるトナー特性良好であるとの点で特に好ましい。
亜臨界流体としては、臨界点近傍の温度及び圧力領域において、高圧液体として存在する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。上述した超臨界流体として挙げられる化合物は、亜臨界流体としても好適に使用することができる。
超臨界流体及び亜臨界流体は、1つの化合物単体で使用してもよいし、2種以上を併用して混合物として使用してもよい。
超臨界流体の臨界温度及び臨界圧力は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度としては、−273℃以上300℃以下が好ましく、0℃以上200℃以下が特に好ましい。
上述の超臨界流体及び亜臨界流体に加え、他の流体を併用することもできる。他の流体としては、トナー構成材料の溶解度をコントロールしやすいものが好ましい。具体的には、亜酸化窒素(N2O)、エタン、プロパン、及びエチレンなどが好適に挙げられる。
さらに、上述の超臨界流体及び亜臨界流体に加え、有機溶媒やエントレーナーを併用することもできる。有機溶媒及びエントレーナーの添加により、トナー構成材料の超臨界流体中での溶解度の調整をより容易に行うことができる。このような有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アンモニア、メラミン、尿素、及びチオエチレングリコールなどが挙げられる。
界面活性剤として働く分散樹脂としては、フッ素系ビニルモノマーを重合したホモポリマー、フッ素系ビニルモノマー及びフッ素系ビニルモノマーを重合したホモポリマー、並びに、フッ素系ビニルモノマー及び他のビニルモノマーの共重合体などを挙げることができる。フッ素系ビニルモノマーの例としては、パーフルオロアルキル基を有するアクリレートモノマー、及びパーフルオロアルキル基を有するメタクリレートモノマーなどが挙げられる。なお、上述の化合物は、広く市販されている。
本実施形態の分散樹脂は、下記の一般式1で表される部分構造を含む界面活性剤、及び下記の一般式2で表される構造のビニル重合性モノマーを反応させて得られる化合物を含む界面活性剤などである。
(式中、R1は、水素原子又はメチル基、R2はメチレン基又はエチレン基、Rfは、炭素数が7以上10以下であるパーフルオロアルキル基を表す。)
(式中、R1は、水素原子もしくはメチル基、R2は、メチレン基又はエチレン基、Rfは、炭素数が7以上10以下であるパーフルオロアルキル基を表す。)
上記の一般式1及び2におけるR1については、水素原子及びメチル基の他にも、炭素数が2以上4以下の低級アルキル基(例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基など)が挙げられる。R2については、メチレン基及びエチレン基の他にも、アルキレン基(例えば、プロピレン基、イソプロレン基、2−ヒドロキシプロピル基、ブチレン基、及び2−ヒドロキシブチレン基など)が挙げられる。また、Rfについては、炭素数が7以上10以外にも、炭素数1以上6以下及び炭素数11以上20以下であるパーフルオロアルキル基などが挙げられる。中でも、R1が水素原子又はメチル基、R2がメチレン基又はエチレン基、Rfの炭素数が7以上10以下であるパーフルオロアルキル基が好適である。また、これら一般的なフッ素基含有界面活性剤の製造方法としては、HCFC225などのフッ素系溶媒中でフッ素系ビニルモノマーを重合することによって合成されるが、HCFC225の代わりに、超臨界二酸化炭素を反応溶媒として使用して合成したものを使用する方が環境負荷を低減できる点でさらに望ましい。さらに詳しくは、フッ素樹脂ハンドブック(里川孝臣編集 日刊工業新聞社発行 PP.730〜732)に記載がされている方法が挙げられる。
上記一般式1で表される構成成分を含む界面活性剤においては、一般式1で示される構造成分の含量が30モル%以上100モル%以下であることが好ましい。
本実施形態の界面活性剤の数平均分子量は、2500以上165万以下であることが好ましく、18000以上165万以下であることがさらに好ましく、3万以上165万以下であることが特に好ましい。
本実施例の界面活性剤は、重合体粒子同士の合一を主に立体的に防ぐ意味で、重合体粒子表面への親和性及び吸着性が高く、しかも反応溶媒である親水性有機液体(詳しくは下述する)への親和性及び溶解性の高いものが選ばれる。このとき特に、立体的に粒子同士の反発を高めるため、上述のような分子量以上の界面活性剤が好適に選ばれる。しかし、界面活性剤の分子量があまりに大きい場合は、液粘度の上昇が著しくなり操作性及び撹拌性が悪くなり、生成重合体の粒子表面への析出確率のばらつきが生じることもある。また、超臨界二酸化炭素への溶解度が低下することから、界面活性能も大きく低下し分散重合が阻害されやすくなることもあるため、上述の分子量以下の界面活性剤が好適に選ばれる。
次に、本実施形態のトナーの製造方法である分散重合法について説明する。
まず、親水性有機液体に、分散安定剤を加える。この分散安定剤が溶解した親水性液体に、単量体では親水性液体には溶解するが、単量体の重合により生成する重合体では親水性液体には膨潤する又は殆ど溶解しないことを特徴とする、1種又は2種以上のビニルモノマーを加えて粒子形成する工程である。予め、目的の粒子径より小さく、且つ粒度分布の狭い重合体(種粒子)を利用して、上述の工程の反応系にて成長させる反応も含まれる。重合体の成長反応に利用するモノマーは、種粒子を製造したものと同じモノマーであっても、別のモノマーであってもよいが、重合体は親水性有機液体に溶解してはならない。このような方法により得られた重合体分散液は、下述する染着工程において、そのまま使用することができるため、製造工程の簡素化に寄与することになる。
上述の親水性有機液体とは、用いられるビニルモノマーを溶解して、反応の結果得られた重合体粒子は溶解しない液体が用いられる。このような液体としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、変性エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、3−ペンタノール、オクチルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、フルフリルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、及びジエチレングリコールなどのアルコール類、並びに、メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテルアルコール類などが挙げられる。
また、これらの有機液体は、単体又は2種以上の混合物を用いることができる。アルコール類及びエーテルアルコール類以外の有機液体と、上述のアルコール類及びエーテルアルコール類とを併用することで、有機液体の生成重合体粒子に対して溶解性を持たせない条件下で様々に溶解度パラメータ(SP値)を変化させることができる。これにより重合条件を変化させ、生成される粒子の大きさの均一化を促進し、並びに生成される粒子同士の合一及び予期せぬ新粒子の発生を抑制することが可能となる。併用する有機液体としては、ヘキサン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどの炭化水素類、並びに、四塩化炭素、トリクロルエチレン、及びテトラブロムエタンなどのハロゲン化炭化水素類、並びに、エチルエーテル、ジメチルグリコール、トリオキサン、及びテトラヒドロフランなどのエーテル類、並びに、メチラール、及びジエチルアセタールなどのアセタール類、並びに、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びシクロヘキサなどのケトン類、並びに、ギ酸ブチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、及びセルソルブアセテートなどのエステル類、並びに、ギ酸、酢酸、及びプロピオン酸などの酸類、並びに、ニトロプロペン、ニトロベンゼン、及びジメチルアミンなどの硫黄/窒素含有有機化合物類、並びに、水なども含まれる。上述の親水性有機液体を主体とした溶媒に、SO4 2−、NO2 −、PO4 3−、Cl−、Na+、K+、Mg2+、及びCa2+その他の無機質イオンが存在した状態で重合を行ってもよい。また、重合開始時、重合途中、及び重合末期のそれぞれにおいて、混合溶媒の種類及び組成を変化させることにより、生成する重合体粒子の平均粒子径、粒子径分布、及び乾燥条件などを調節することができる。
粒子製造時の分散安定剤は、本実施例においては上述の界面活性剤として働く分散樹脂が用いられる。また、上述した界面活性剤の単量体を、一部目的とする重合体粒子を構成する単量体に共存させておくことも安定化には効果がある。
一般に、種粒子製造時の界面活性剤の使用量は、重合性単量体に対し、0.1重量%以上10重量%以下が好ましい。界面活性剤の濃度が低い場合には、生成する重合体粒子は比較的大径のものが得られ、反対に界面活性剤の濃度の高い場合には、小粒子が得られる。しかし、界面活性剤を10重量%以上添加しても、小径化への効果は少ない。
親水性有機液体に対して重合性単量体の量が多い場合は、生成する重合体が完全に溶解してしまう重合がある程度進行しないと析出してこない。この場合の析出の状態は、粘着性の高い塊状物を形成する様式をとる。したがって、粒子を製造する時の単量体の親水性有機液体に対する量はおのずと制限されることになり、親水性有機液体の種類によって多少異なるが、およそ100重量%以下、好ましくは50重量%以下が適当である。
本実施形態で使用される重合開始剤としては、使用される溶媒に可溶の通常のラジカル開始剤が使用される。たとえば2,2'−アゾビスイソブチロニトリル及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系重合開始剤、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオクトエート、及び過硫酸カリウムなどのような過酸化物系開始剤、並びに、上述の過酸化物系開始剤にチオ硫酸ナトリウム及びアミンなどを併用した系などが用いられている。重合開始剤濃度はビニル単量体100重量部に対して0.1質量部以上10重量部以下が好ましい。
重合反応は、親水性有機液体に高分子分散剤を完全に溶解した後、1種又は2種以上のビニル単量体、及び重合開始剤などを添加し、反応槽内の流れが均一になるような速度で撹拌しながら、上述の超臨界状態及び亜臨界状態において重合反応を行う。この超臨界状態及び亜臨界状態での重合反応は、15MPa以上35MPa以下の圧力条件、且つ50℃以上85℃以下の温度条件にて行うことが好ましい。
また、この重合反応の際には、窒素ガス及びアルゴンガスなどの不活性気体にて反応容器の空気中酸素を充分に追い出す必要がある。もし、酸素パージが不充分である場合は、微粒子が発生し易くなる。
重合を高重合率域で行うには、5時間以上40時間以下の重合時間が必要であるが、所望の粒子径及び粒子径分布の状態で重合を停止させたり、重合開始剤を順次添加したりすることにより重合速度を速めることができる。
また、平均分子量を調節することを目的として連鎖移動定数の大きな化合物を共存させて重合を行ってもよい。例えば、メルカプト基を持つ低分子化合物、四塩化炭素、及び四臭化炭素などがあげられる。
トナー結着樹脂の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1000以上が好ましく、2000以上1000万以下がより好ましく、3000以上100万以下が特に好ましい。トナー結着樹脂の重量平均分子量が、1000未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
トナー結着樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30℃以上70℃以下が好ましく、40℃以上65℃以下がより好ましい。
トナー結着樹脂のガラス転移温度(Tg)が、30℃未満であると、トナーの耐熱保存性が悪化することがあり、70℃を超えると、低温定着性が十分でないことがある。
(トナーに含有可能な成分)
トナーに含有可能な成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色剤、離型剤、無機微粒子、樹脂微粒子、帯電制御剤、変性ポリエステル樹脂、高分子重合体粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、及び磁性材料などが挙げられる。
着色剤としては、特に制限はなく公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG 、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、及びリトボンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
トナーにおける上述の着色剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナーを100重量部としたときに、1質量部以上15重量部以下が好ましく、3質量部以上10重量部以下がより好ましい。この含有量が、1重量部未満であるとトナーの着色力の低下が見られ、15重量部を超えるとトナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
また、着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。このような樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、及びパラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述のスチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、及びポリビニルトルエンなどが挙げられる。上述のスチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、及びスチレン−マレイン酸エステル共重合体などが挙げられる。
上述のマスターバッチは、マスターバッチ用樹脂及び着色剤を高せん断力をかけて混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂との相互作用を高めるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウェットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。このフラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶剤成分を除去する方法である。混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
染料の例としては、C.I.SOLVENT YELLOW(6、9、17、31、35、100、102、103、105)、C.I.SOLVENT ORANGE(2、7、13、14、66)、C.I.SOLVENT RED(5、16、17、18、19、22、23、143、145、146、149、150、151、157、158)、C.I.SOLVENT VIOLET(31、32、33、37)、C.I.SOLVENT BLUE(22、63、78、83、84、85、86、191、194、195、104)、C.I.SOLVENT GREEN(24、25)、及びC.I.SOLVENT BROWN(3、9)が好ましい。
市販染料では、保土ケ谷化学の愛染SOT染料Yellow−1,3,4、Orange−1,2,3、Scarlet−1、Red−1,2,3、Brown−2、Blue−1,2、Violet−1、Green−1,2,3、Black−1,4,6,8やBASFのSudan染料Yellow−146,150、Orange−220、Red−290,380,460、及びBlue−670、並びに、三菱化成のダイアレジンYellow−3G,F,H2G,HG,HC,HL、Orange−HS,G、Red−GG,S,HS,A,K,H5B、Violet−D、Blue−J,G,N,K,P,H3G,4G、Green−C、及びBrown−A、並びに、オリエント化学工業のオイルカラーYEllow−3G,GG−S,#105、Orange−PS,PR,#201、Scarlet−#308,Red−5B,Brown−GR,#416、Green−BG、#502、Blue−BOS、IIN、及びBlack−HBB,#803,EB,EX、並びに、住友化学工業のスミプラストブルーGP,OR、レッドFB,3B、及びイエローFL7G,GC、並びに、日本化薬カヤロンポリエステルブラックEX−SF300、カヤセットRed−B、及びブルーA−2Rなどを使用することができる。
染料は組み合わせても適宜選択することができる。
樹脂粒子の着色方法については、以下の通りである。超臨界流体中で得られた樹脂粒子を超臨界流体中で、上述の着色剤と接触させて処理することで着色トナーを得ることができる。
例えば、上述の超臨界二酸化炭素中に樹脂粒子と着色剤を入れ、所定の温度、圧力、及び時間で処理することで着色することができる。
この時の処理温度は10℃以上150℃以下であり、好ましくは20℃以上100℃以下、さらに好ましくは、30℃以上90℃以下である。処理温度が10℃より低いと着色剤の溶解度が低くなるので着色効率が低くなるとともに着色量が低下しやすい。また、150℃より高いときは、樹脂粒子が溶融、合着しやすくなるので好ましくない。
処理圧力については、高いほど着色剤の溶解度が高くなるので好ましいが、実用的には10MPa以上100MPa以下であり、好ましくは15MPa以上60MPa以下、さらに好ましくは、20MPa以上50MPa以下である。
圧力が10MPaより低いと、着色剤の溶解度が低くなるので着色効率が低くなるとともに着色量が低下しやすくなる。また、100MPaより高いと耐圧のための装置コストや処理エネルギーがかかり易くなり好ましくない。
処理時間については、なるべく短い時間で目的の着色力が得られれば良く適宜選択することができるが、通常は30秒以上72時以下間であり、好ましくは1分以上48時間以下、さらに好ましくは、2分以上24時間以下である。処理時間が30秒より短いと着色力が低かったり、均一な着色が得られなかったりすることがあり、72時間より長いと生産効率が低くなる。
また、このとき、エントレーナーとして樹脂粒子を溶解させない有機溶媒を使用しても良い。この有機溶媒としては、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、アンモニア、及びエチレングリコールなどが挙げられる。またエントレーナーの添加量としては、常温常圧下(25℃、0.1MPa)の処理容器の体積に対して、0.05体積%以上20体積%以下、好ましくは、0.1体積%以上15体積%以下であり、さらに好ましくは、0.2体積%以上10体積%以下である。エントレーナー量が0.05体積%より少ないと、エントレーナー効果が現れにくくなり、目的とする着色力が得られなかったり、均一な着色が得られなかったりすることがある。20体積%より多くなると超臨界状態を得る条件が、高温及び高圧側へシフトするとともに、廃液発生の影響が無視できなくなったり、樹脂粒子が溶融及び合着しやすくなったりしてしまう。
着色剤の樹脂微粒子に対する重量比率は、着色度に応じて決定すればよいが、通常は樹脂粒子100重量部に対して0.1質量部以上50重量部以下、好ましくは1質量部以上30重量部以下、より好ましくは、2質量部以上20重量部以下である。
離型剤としては、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ワックス類などが好適に挙げられる。
ワックス類としては、例えば、低分子量ポリオレフィンワックス、合成炭化水素系ワックス、天然ワックス類、石油ワックス類、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド、及びこれらの各種変性ワックスなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述の低分子量ポリオレフィンワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス及び低分子量ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
上述の合成炭化水素ワックスとしては、例えば、フィッシャートロプシュワックスなどが挙げられる。
上述の天然ワックス類としては、例えば、蜜ろう、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、及びモンタンワックスなどが挙げられる。
上述の石油ワックス類としては、例えば、パラフィンワックス、及びマイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。
上述の高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、及びミリスチン酸などが挙げられる。
離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃以上160℃以下が好ましく、50℃以上120℃以下がより好ましく、60℃以上90℃以下が特に好ましい。融点が、40℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある他、定着機への紙の巻き付きなどが発生することがある。
トナーにおける離型剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナーを100重量部としたときに、0質量部以上40質量部以下が好ましく、3質量部以上30質量部以下がより好ましい。トナーにおける離型剤の含有量が、40質量部を超えると、低温定着性の阻害や画質の劣化(光沢度が高すぎる)を生ずることがある。
無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、及び窒化ケイ素などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上の混合物として使用してもよい。
無機微粒子の一次粒子径としては、5nm以上2μm以下が好ましく、5nm以上500nm以下がより好ましい。また、無機微粒子のBET法による比表面積としては、20m2/g以上500m2/g以下が好ましい。トナーにおける無機微粒子の含有量としては、0.01質量%以上5.0質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。なお、無機微粒子は、トナーの外添剤として好適に使用することができる。
帯電制御剤としては、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色又は白色に近い材料が好ましく、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体、燐の化合物、タングステンの単体、タングステンの化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、及びサリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、亜鉛、チタン、ストロンチウム、ホウ素、ケイ素、ニッケル、鉄、クロム、及びジルコニウムなどが挙げられる。
帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、このような市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434 (以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、及び四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。
帯電制御剤は、マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解若しくは分散させてもよく、又はトナーの各成分と共に有機溶媒に直接に溶解若しくは分散させる際に添加してもよい。
トナーにおける帯電制御剤の含有量としては、結着樹脂の種類及び添加剤の有無などにより異なり、一概に規定することができないが、例えば、結着樹脂100重量部に対し、0.1質量部以上10重量部以下が好ましく、1質量部以上5重量部以下がより好ましい。この含有量が、0.1重量部未満であると、トナーの帯電特性の悪化が見られることがあり、10重量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、及び変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためにトナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸などの脂肪酸金属塩、並びに、ポリメチルメタクリレート微粒子、及びポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01μm以上1μm以下のものが好適である。
トナーは、その形状及び大きさなどについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下述するような、熱特性、画像濃度、平均円形度、体積平均粒径、及び個数平均粒径対する体積平均粒径の比(体積平均粒径/個数平均粒径)などを有していることが好ましい。
上述の熱特性は、フローテスター特性とも言われ、例えば、軟化温度(Ts)、流出開始温度(Tfb)、及び1/2法軟化点(T1/2)などとして評価される。これらの熱特性は、適宜選択した方法により測定することができ、例えば、高架式フローテスターCFT500型(島津製作所製)を用いて測定したフローカーブから求めることができる。この軟化温度(Ts)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50℃以上が好ましく、80℃以上120℃以下がより好ましい。軟化温度(Ts)が、50℃未満であると、耐熱保存性及び低温保存性の少なくともいずれかが悪化することがある。
上述の流出開始温度(Tfb)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、60℃以上が好ましく、70℃以上150℃以下がより好ましい。この流出開始温度(Tfb)が、60℃未満であると、耐熱保存性及び低温保存性の少なくともいずれかが悪化することがある。
上述の1/2法軟化点(T1/2)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、60℃以上が好ましく、80℃以上170℃以下がより好ましい。1/2法軟化点(T1/2)が、60℃未満であると、耐熱保存性及び低温保存性の少なくともいずれかが悪化することがある。
画像濃度は、例えば、imagio Neo 450(株式会社リコー製)を用いて、複写紙(TYPE6000<70W>;株式会社リコー製)に現像剤の付着量が1.00±0.05mg/cm2のベタ画像を定着ローラの表面温度が160±2℃で形成し、得られたベタ画像における任意の6箇所の画像濃度を、分光計(X−ライト社製、938 スペクトロデンシトメータ)を用いて測定しその平均値を算出することにより、測定することができる。
上述の平均円形度は、トナーの形状と投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値であり、例えば、0.900以上0.980以下が好ましく、0.950以上0.975以下がより好ましい。なお、平均円形度が0.94未満の粒子が15%以下であるのが好ましい。上述の平均円形度が、0.900未満であると、満足できる転写性やチリのない高画質画像が得られないことがある。上述の平均円形度が、0.980を超えると、ブレードクリーニングなどを採用している画像形成システムでは、感光体上及び転写ベルトなどのクリーニング不良が発生し、画像上の汚れ、例えば、写真画像等の画像面積率の高い画像形成の場合において、給紙不良等で未転写の画像を形成したトナーが感光体上に転写残トナーとなって蓄積した画像の地汚れが発生してしまうことがあったり、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染したりしてしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまうことがある。平均円形度は、例えば、トナーを含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法などにより計測することができ、例えば、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(東亜医用電子株式会社製)等を用いて計測することができる。
上述のトナーの体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、3μm以上8μm以下が好ましい。体積平均粒径が、3μm未満であると、2成分現像剤では現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、また、1成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するため、ブレードなどの部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、8μmを超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
上述のトナーにおける個数平均粒径に対する体積平均粒径の比(体積平均粒径/個数平均粒径)としては、1.00以上1.25以下が好ましく、1.10以上1.25以下がより好ましい。個数平均粒径に対する体積平均粒径の比(体積平均粒径/個数平均粒径)が、1.25を超えると、2成分現像剤では、現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、また、1成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーが薄層化し、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、また、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。個数平均粒径に対する体積平均粒径の比(体積平均粒径/個数平均粒径)は、例えば、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンターTAII」を用いて測定することができる。
(現像剤)
本実施形態の現像剤は、本実施形態のトナーを少なくとも含有してなり、キャリアなどの適宜選択したその他の成分を含有してなる。この現像剤としては、1成分現像剤であってもよいし、2成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタなどに使用する場合には、寿命向上等の点で2成分現像剤が好ましい。
本実施形態のトナーを用いた1成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。また、本実施形態のトナーを用いた2成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー径の変動が少なく、現像装置における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
上述の芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50emu/g以上90emu/g以下のマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、及びマンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、及びマグネタイト(75emu/g以上120emu/g以下)などの高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30emu/g以上80emu/g以下)などの弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。芯材の粒径としては、体積平均粒径で、10μm以上150μm以下が好ましく、40μm以上100μm以下がより好ましい。平均粒径(体積平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、150μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
上述の樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、及びシリコン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述のアミノ系樹脂としては、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、及びエポキシ樹脂などが挙げられる。
上述のポリビニル系樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、及びポリビニルブチラール樹脂などが挙げられる。
上述のポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、及びスチレンアクリル共重合樹脂などが挙げられる。
上述のハロゲン化オレフィン樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
上述のポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、及びポリブチレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。
また、樹脂層には、必要に応じて導電粉などを含有させてもよく、このような導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、及び酸化亜鉛などが挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
さらに、樹脂層は、例えば、上述のシリコン樹脂などを溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、塗布溶液を芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。塗布方法としては、例えば、浸漬法及びスプレー法などが挙げられる。
上述の溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びセルソルブチルアセテートなどが挙げられる。
上述の焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、及びバーナー炉などを用いる方法、並びに、マイクロウエーブを用いる方法などが挙げられる。
樹脂層のキャリアにおける量としては、キャリアを100重量部としたときに、0.01質量%以上5.0質量%以下が好ましい。この量が、0.01質量%未満であると、芯材の表面に均一な樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
現像剤が2成分現像剤である場合、キャリアの2成分現像剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、キャリアを100重量部としたときに、90質量%以上98質量%以下が好ましく、93質量%以上97質量%以下がより好ましい。
本実施形態の現像剤は、トナーを含有しているので、画像形成時において、帯電性能に優れ、高画質な画像を安定に形成することができる。また、本実施形態の現像剤は、磁性1成分現像方法、非磁性1成分現像方法、及び2成分現像方法などの公知の各種電子写真法による画像形成に好適に用いることができ、以下の本実施形態のトナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法に特に好適に用いることができる。
(トナー入り容器)
本実施形態のトナー入り容器は、上述のトナーを含む現像剤を容器中に収容してなる。容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、トナー入り容器本体及びキャップを有してなるものなどが好適な形態として挙げられる。
トナー入り容器本体としては、その大きさ、形状、構造、及び材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、トナー入り容器本体の形状としては、円筒状などが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより内容物であるトナーが排出口側に移行可能であり、且つこのスパイラル部の一部又は全部が蛇腹機能を有しているものなどが特に好ましい。
トナー入り容器本体の材質としては、特に制限はなく、寸法精度がよいものが好ましい。例えば、樹脂が好適に挙げられ、その中でも、ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、及びポリアセタール樹脂などが好適に挙げられる。本実施形態のトナー入り容器は、保存及び搬送などが容易であり且つ取扱性に優れ、下述する本実施形態のプロセスカートリッジ及び画像形成装置等に着脱可能に取り付けることにより、トナーの補給に好適に使用することができる。
(プロセスカートリッジ)
本実施形態のプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、この静電潜像担持体上に担持された静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
図1は、本発明の実施形態におけるプロセスカートリッジの構成図である。
図1を参照するに、プロセスカードリッジ99は大略すると、静電潜像担持体である感光体10、静電潜像形成手段である帯電器21、同じく静電潜像形成手段である露光装置30、現像手段である現像機40、クリーニング手段であるクリーニング装置60、除電手段である除電ランプ70、及び転写手段である転写ローラ80からなる。
上述したプロセスカードリッジ99の構成各部については、下述する画像形成方法及び画像形成装置の項にて詳細な説明を行う。
本実施形態のプロセスカートリッジは、各種電子写真装置などに自在に備えさせることができ、下述する本実施形態の画像形成装置に着脱自在に備えさせるのが好ましい。また、着脱自在であることは、下述する画像形成装置のメンテナンスを可能とすることができる。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本実施形態の画像形成方法は、静電潜像形成工程、現像工程、転写工程、及び定着工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、及び制御工程などを含む。
本実施形態の画像形成装置は、静電潜像担持体、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段、及び定着手段を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、及び制御手段などを有してなる。
静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
感光体とも称される静電潜像担持体としては、その材質、形状、構造、及び大きさなどについて特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。静電潜像担持体の形状としては、ドラム状が好適に挙げられる。静電潜像担持体の材質としては、例えばアモルファスシリコン及びセレンなどの無機感光体、並びにポリシラン及びフタロポリメチンなどの有機感光体などが挙げられる。これらの中でも、長寿命である点から、アモルファスシリコンなどが好ましい。アモルファスシリコンを材質とした感光体については、詳しく下述する。
静電潜像の形成は、上述の静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、上述の静電潜像形成手段により像様に露光することにより行うことができる。
静電潜像形成手段は、例えば、上述の静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器、及びこの静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器を少なくとも備える。
帯電は、帯電器を用いて静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、及びゴムブレードなどを備えたそれ自体公知の接触帯電器、並びに、コロトロン、及びスコロトロンなどのコロナ放電を利用した非接触帯電器などが挙げられる。
露光は、上述の露光器を用いて静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
露光器としては、上述の帯電器により帯電された静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、及び液晶シャッタ光学系などの各種露光器が挙げられる。
なお、本実施形態においては、静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
次に、現像工程及び現像手段について説明する。
現像工程は、上述の静電潜像を本実施形態のトナーを含む現像剤を用いて現像して、可視像を形成する工程である。
可視像の形成は、現像手段により、静電潜像を本実施形態のトナーを含む現像剤を用いて現像することにより行うことができる。
現像手段は、本実施形態のトナーを含む現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、本実施形態のトナーを含む現像剤を収容し、静電潜像に現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。本実施形態のトナー入り容器を備えた現像器などがより好ましい。
現像器は、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよい。例えば、トナー入りの現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器、及び回転可能なマグネットローラを有してなるものなどが好適に挙げられる。
現像器内では、トナー及びキャリアが混合攪拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラは、上述の静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、マグネットローラの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、静電潜像がトナーにより現像されて静電潜像担持体(感光体)の表面にトナーによる可視像が形成される。
現像器に収容させる現像剤は、本実施形態のトナーを含む現像剤であるが、現像剤としては1成分現像剤であってもよいし、2成分現像剤であってもよい。また、これらの現像剤に含まれるトナーは、本実施形態のトナーである。
また、本実施形態では、交互電界を印加する現像方法を用いて現像工程を行うことが特に好ましい。交互電界を印加する現像方法については詳しく下述する。
次に、転写工程及び転写手段について説明する。
転写工程は、可視像を記録媒体に転写する工程である。転写工程は、中間転写体を用い、この中間転写体上に可視像を一次転写した後、この可視像を記録媒体上に二次転写する態様が好ましい。また、転写工程は、トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
転写は、上述の転写手段により行うことができる。この転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段、及び複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段を有する態様が好ましい。
なお、中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルトなどが好適に挙げられる。
第一次転写手段及び第二次転写手段は、静電潜像担持体(感光体)上に形成された可視像を記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。転写手段は、1つであってもよいし、2以上であってもよい。
転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、及び粘着転写器などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置によって定着させる工程であり、各色のトナーに対し記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。この加熱加圧手段としては、加熱ローラ及び加圧ローラの組合せ、並びに加熱ローラ、加圧ローラ及び無端ベルトとの組合せなどが挙げられる。
加熱加圧手段における加熱は、通常80℃以上200℃以下が好ましい。
なお、本実施形態においては、目的に応じて定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
また、本実施形態では、サーフ定着装置を定着装置として用いることが特に好ましい。サーフ定着装置については詳しく下述する。
除電工程は、静電潜像担持体(感光体)に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。除電手段としては、特に制限はなく、静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができる。例えば、除電ランプなどが好適に挙げられる。
クリーニング工程は、静電潜像担持体上に残留する電子写真トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
クリーニング手段としては、特に制限はなく、静電潜像担持体上に残留するトナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができる。例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、及びウエブクリーナなどが好適に挙げられる。
リサイクル工程は、上述のクリーニング工程により除去した電子写真用カラートナーを現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段などが挙げられる。
制御手段は、上述の各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
制御手段としては、上述の各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、シークエンサー及びコンピュータなどの機器が挙げられる。
図2は、本実施形態における画像形成装置の構成図(その1)である。本実施形態の画像形成装置により、本実施形態の画像形成方法を実施する一の態様について説明する。
図2を参照するに、画像形成装置100Aは、静電潜像担持体としての感光体10、帯電手段としての帯電ローラ20、露光手段としての露光装置30、現像手段としての現像装置40、中間転写体50、クリーニングブレードを有するクリーニング手段としてのクリーニング装置60、除電手段としての除電ランプ70からなる。
中間転写体50は、無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50には、その近傍にクリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されており、また、最終転写材としての転写紙95に現像像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、中間転写体50の回転方向において、感光体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と転写紙95との接触部との間に配置されている。
現像装置40は、現像剤担持体としての現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えており、イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えており、マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えており、シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラに回転可能に張架され、一部が感光体10と接触している。
画像形成装置100Aにおいて、例えば、帯電ローラ20が感光体10を一様に帯電させる。露光装置30が感光体10上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。感光体10上に形成された静電潜像を、現像装置40からトナーを供給して現像して可視像(トナー像)を形成する。この可視像(トナー像)が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に転写ローラ80によって転写紙95上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙95上には転写像が形成される。なお、感光体10上の残存トナーは、クリーニング装置60により除去され、感光体10における帯電は除電ランプ70により除去される。同様に、中間転写体50上の残存トナーは、クリーニング装置90により除去される。
図3は、本実施形態の画像形成装置の構成図(その2)である。本実施形態の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について説明する。
図3を参照するに、画像形成装置100Bは、図2に示す画像形成装置100Aとは異なり現像ベルト41を備えておらず、感光体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M、及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されていること以外は、図2に示す画像形成装置100Aと同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図3においては、先に説明した構成について同一の引用符号を付し、詳細な説明を省略する。
本実施形態の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について説明する。
図4は、本実施形態の画像形成装置の構成図(その3)であり、及び図5は、本実施形態の画像形成装置の構成図(その3)の部分拡大図である。図5は、図4の画像形成手段のうち2つを拡大して示したものである。
図4及び図5を参照するに、タンデム画像形成装置120は、タンデム型カラー画像形成装置である。タンデム画像形成装置120は、複写装置本体150、給紙テーブル200、スキャナ300、及び原稿自動搬送装置(ADF)400からなる。
複写装置本体150は、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。
中間転写体50は、支持ローラ14、支持ローラ15、及び支持ローラ16に張架され、図4中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14及び支持ローラ15により張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置30が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される転写紙と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、これに押圧されて配置された加圧ローラ27とを備えている。
なお、タンデム画像形成装置120においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために、この転写紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
次に、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、又は原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの画像情報とされる。
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段、及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各トナー画像が形成される。タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図4に示すように、それぞれ、感光体10(ブラック用感光体10K、イエロー用感光体10Y、マゼンタ用感光体10M及びシアン用感光体10C)と、感光体を一様に帯電させる帯電器60(参照符号は図5に示す)と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に感光体を露光(図5中、L)し、感光体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光装置30と、静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー像を形成する現像器61(参照符号は図5に示す)と、このトナー像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、クリーニング手段である感光体クリーニング装置63と、除電手段である除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成されたブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像は、支持ローラ14、支持ローラ15、及び支持ローラ16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用感光体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用感光体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用感光体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用感光体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上にブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つから記録紙を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ150を回転して手差しトレイ51上の記録紙を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間に記録紙を送出させ、二次転写装置22により合成カラー画像(カラー転写像)を記録紙上に転写(二次転写)することにより、記録紙上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
カラー画像が転写され形成された記録紙は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより合成カラー画像(カラー転写像)が記録紙上に定着される。その後、記録紙は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
本実施形態の画像形成装置及び画像形成方法では、帯電性能及び表面性状などに優れた本発明のトナーを用いるので、高画質が効率よく得られる。
(アモルファスシリコン感光体)
本実施形態に用いられる電子写真用感光体としては、導電性支持体を50℃以上400℃以下に加熱し、この導電性支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、及びプラズマCVD法などの成膜法によりa−Siからなる光導電層を有するアモルファスシリコン感光体(以下、a−Si系感光体と称する)を用いることが出来る。中でも、プラズマCVD法、即ち原料ガスを直流又は高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が好適なものとして用いられている。
アモルファスシリコン感光体の層構成は例えば以下のようなものである。
図6は、本実施形態のアモルファスシリコン感光体の層構成を説明するための模式的構成図である。
図6(a)を参照するに、電子写真用感光体600は、支持体601の上にa−Si:Hからなり光導電性を有する光導電層602が設けられている。
図6(b)を参照するに、電子写真用感光体600は、支持体601の上に、a−Si:Hからなり光導電性を有する光導電層602と、アモルファスシリコン系表面層603とから構成されている。
図6(c)を参照するに、電子写真用感光体600は、支持体601の上に、a−Si:Hからなり光導電性を有する光導電層602と、アモルファスシリコン系表面層603と、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層604とから構成されている。
図6(d)を参照するに、電子写真用感光体600は、支持体601の上に、光導電層602が設けられている。光導電層602はa−Si:Hからなる電荷発生層605ならびに電荷輸送層606とからなり、その上にアモルファスシリコン系表面層603が設けられている。
感光体600の支持体601としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持体としては、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、及びFeなどの金属、並びに、上述の金属の合金、例えば、ステンレスなどが挙げられる。また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、及びポリアミドなどの合成樹脂のフィルム、シート、ガラス、及びセラミックなどの電気絶縁性支持体の少なくとも感光層を形成する側の表面を導電処理した支持体も用いることができる。
支持体601の形状は、平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または板状、無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望通りの画像形成装置用感光体を形成し得るように適宜決定するが、画像形成装置用感光体としての可撓性が要求される場合には、支持体としての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、支持体は製造上および取り扱い上、機械的強度などの点から通常は10μm以上とされる。
本実施形態に用いることが出来るアモルファスシリコン感光体600には、図6(c)に示すとおりに、必要に応じて導電性支持体601と光導電層602との間に、導電性支持体601側からの電荷の注入を阻止する働きのある電荷注入阻止層604を設けるのがいっそう効果的である。即ち、電荷注入阻止層604は感光層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、支持体601側より光導電層602側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能が発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、電荷注入阻止604層には伝導性を制御する原子を光導電層602に比べ比較的多く含有させる。
電荷注入阻止層604の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果などの点から好ましくは0.1μm以上5μm以下、より好ましくは0.3μm以上4μm以下、最適には0.5μm以上3μm以下とされるのが望ましい。
光導電層602は、必要に応じて下引き層上に形成され、光導電層602の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは1μm以上100μm以下、より好ましくは20μm以上50μm以下、最適には23μm以上45μm以下とされるのが望ましい。
電荷輸送層606は、光導電層602を機能分離した場合の電荷を輸送する機能を主として奏する層である。この電荷輸送層606は、その構成要素として少なくともシリコン原子と炭素原子とフッ素原子とを含み、必要であれば水素原子、酸素原子を含むa−SiC(又はCの代わりに、H、F、O)からなり、所望の光導電特性、特に電荷保持特性,電荷発生特性および電荷輸送特性を有する。本実施形態においては酸素原子を含有することが特に好ましい。
電荷輸送層606の層厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果などの点から適宜所望にしたがって決定され、電荷輸送層については、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上40μm以下、最適には20μm以上30μm以下とされるのが望ましい。
電荷発生層605は、光導電層602を機能分離した場合の電荷を発生する機能を主として奏する層である。この電荷発生層605は、構成要素として少なくともシリコン原子を含み、実質的に炭素原子を含まず、必要であれば水素原子を含むa−Si:Hから成り、所望の光導電特性、特に電荷発生特性,電荷輸送特性を有する。
電荷発生層605の層厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは0.5μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上10μm以下、最適には1μm以上5μm以下とされる。
本実施形態に用いることが出来るアモルファスシリコン感光体600には必要に応じて、上述のようにして支持体601上に形成された光導電層602の上に、更に表面層603を設けることが出来、アモルファスシリコン系の表面層603を形成することが好ましい。この表面層603は自由表面を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、及び耐久性において本実施形態の目的を達成するために設けられる。
本実施形態における表面層603の層厚としては、通常0.01μm以上3μm以下、好適には0.05μm以上2μm以下、最適には0.1μm以上1μm以下とされるのが望ましいものである。層厚が0.01μmよりも薄いと感光体600を使用中に摩耗などの理由により表面層603が失われてしまい、3μmを超えると残留電位の増加等の電子写真特性低下がみられる。
(交互電界を印加する現像方法)
図7は、本実施形態の交互電界を印加する現像方法を説明する模式図である。
図7を参照するに、本実施形態の感光体701に対する現像器702において、現像時、現像ローラ703には、交流電源及び直流電源からなる電源704により現像バイアスとして、直流電圧に交流電圧を重畳した振動バイアス電圧が印加される。背景部電位と画像部電位は、上記振動バイアス電位の最大値と最小値の間に位置している。これによって現像部705に向きが交互に変化する交互電界が形成される。この交互電界中で現像剤のトナーとキャリアが激しく振動し、トナーが現像ローラ703及び現像剤中のキャリアへの静電的拘束力を振り切って感光体701に飛翔し、感光体701の潜像に対応して付着する。
振動バイアス電圧の最大値と最小値との差(ピーク間電圧)は、0.5KV以上5KV以下が好ましく、周波数は1KHz以上10KHz以下が好ましい。振動バイアス電圧の波形は、矩形波、サイン波、及び三角波などが使用できる。振動バイアスの直流電圧成分は、上述したように背景部電位と画像部電位の間の値であるが、画像部電位よりも背景部電位に近い値である方が、背景部電位領域へのかぶりトナーの付着を防止する上で好ましい。
振動バイアス電圧の波形が矩形波の場合、デューティ比を50%以下とすることが望ましい。ここでデューティ比とは、振動バイアスの1周期中でトナーが感光体に向かおうとする時間の割合である。このようにすることにより、トナーが感光体に向かおうとするピーク値とバイアスの時間平均値との差を大きくすることができるので、トナーの運動がさらに活発化し、トナーが潜像面の電位分布に忠実に付着してざらつき感や解像力を向上させることができる。またトナーとは逆極性の電荷を有するキャリアが感光体に向かおうとするピーク値とバイアスの時間平均値との差を小さくすることができるので、キャリアの運動を沈静化し、潜像の背景部にキャリアが付着する確率を大幅に低減することができる。
(サーフ定着装置)
図8は、本実施形態のサーフ定着装置の概略図である。
図8を参照するに、定着装置800は、定着フィルム801を図中の矢印の方向に回転させて定着する、いわゆるサーフ定着装置である。以下詳説すると、定着フィルム801はエンドレスベルト状耐熱フィルムであり、このフィルムの支持回転体である駆動ローラ802と、従動ローラ803と、この両ローラ間の図中下方に設けた加熱体804とに懸回張設している。
従動ローラ802は、定着フィルム801のテンションローラを兼ね、定着フィルム801は駆動ローラ802の図中矢印方向の回転駆動によって、図中矢印方向に向かって回転駆動される。この回転駆動速度は、加圧ローラ805と定着フィルム801が接する定着ニップ領域Lにおいて転写材806と定着フィルム801の速度が等しくなる速度に調節される。
ここで、加圧ローラ805はシリコンゴムなどの離型性のよいゴム弾性層を有するローラであり、図中の矢印方向に回転しつつ、定着ニップ領域Lに対して総圧4kg以上10kg以下の当接圧をもって圧接させてある。
また定着フィルム801は、耐熱性、離型性、及び耐久性に優れたものが好ましく、総厚100μm以下、好ましくは40μm以下の薄肉のものを使用する。例えば、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)、及びPFA(4フッ化エチレンバーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)などの耐熱樹脂の単層フィルム、並びに、複合層フィルム、例えば、20μm厚フィルムの少なくとも画像当接面側にPTFE(4フッ化エチレン樹脂)及びPFAなどのフッ素樹脂に導電材を添加した離型性コート層を10μm厚に施したものや、フッ素ゴム及びシリコンゴムなどの弾性層を施したものである。
加熱体804は、平面基板807及び定着ヒータ808から構成されており、平面基板807は、アルミナなどの高熱伝導度且つ高電気抵抗率を有する材料からなっており、定着フィルム801と接触する表面には抵抗発熱体で構成した定着ヒータ808を長手方向に設置してある。定着ヒータ808は、例えばAg/Pd、Ta2Nなどの電気抵抗材料を、スクリーン印刷などにより線状又は帯状に塗工したものである。また、定着ヒータ808の両端部には、図示しない電極が形成され、この電極間に通電することで抵抗発熱体が発熱する。さらに、基板の定着ヒータ808が具備させてある面と逆の面にはサーミスタによって構成した定着温度センサ809が設けられている。
定着温度センサ809によって検出された基板の温度情報は、図示しない制御手段に送られ、かかる制御手段により定着ヒータに供給される電力量が制御され、加熱体804は所定の温度に制御される。
以下、実施形態について実施例によってさらに詳細に説明する。
(界面活性剤1の合成)
1H,1H−パーフルオロオクチルアクリレート(アヅマックス社製)1250重量部及びAIBN(和光純薬製、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル)6.25重量部を、耐圧反応セルに50体積%の容量で入れ、超臨界流体としての二酸化炭素を供給ボンベによりセル内に供給し、加圧ポンプと温度調整器で30MPa、85℃に調節しながら、24時間反応を行った。反応終了後、0℃まで温度を下げ、また、背圧弁を使用して常圧まで圧力を下げ、界面活性剤1を得た。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した数平均分子量(Mn)は、30000であった。
(界面活性剤2の合成)
1H,1H−パーフルオロオクチルアクリレート(アヅマックス社製)500重量部及びAIBN(和光純薬製、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル)5重量部を、耐圧反応セルに20体積%の容量で入れ、超臨界流体としての二酸化炭素を供給ボンベにより上述のセル内に供給し、加圧ポンプと温度調整器で30MPa、65℃に調節しながら、48時間反応を行った。反応終了後、0℃まで温度を下げ、また、背圧弁を使用して常圧まで圧力を下げ、界面活性剤2を得た。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した数平均分子量(Mn)は、7900であった。
(界面活性剤3の合成)
1H,1H−パーフルオロオクチルアクリレート(アヅマックス社製)750重量部及びV−65(和光純薬製、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)7.5重量部を、耐圧反応セルに30体積%の容量で入れ、超臨界流体としての二酸化炭素を供給ボンベにより上述のセル内に供給し、加圧ポンプと温度調整器で30MPa、85℃に調節しながら、24時間反応を行った。反応終了後、0℃まで温度を下げ、また、背圧弁を使用して常圧まで圧力を下げ、界面活性剤3を得た。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した数平均分子量(Mn)は、5800であった。
(界面活性剤4の合成)
1H,1H−パーフルオロオクチルアクリレート(アヅマックス社製)1250重量部及びV−65(和光純薬製、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)62.5重量部を、耐圧反応セルに50体積%の容量で入れ、超臨界流体としての二酸化炭素を供給ボンベにより上述のセル内に供給し、加圧ポンプと温度調整器で15MPa、85℃に調節しながら、24時間反応を行った。反応終了後、0℃まで温度を下げ、また、背圧弁を使用して常圧まで圧力を下げ、界面活性剤4を得た。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した数平均分子量(Mn)は、2500であった。
(界面活性剤5の合成)
1H,1H−パーフルオロオクチルアクリレート(アヅマックス社製)1250重量部及びAIBN(和光純薬製、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル)0.125重量部を、耐圧反応セルに50体積%の容量で入れ、超臨界流体としての二酸化炭素を供給ボンベにより上述のセル内に供給し、加圧ポンプと温度調整器で30MPa、85℃に調節しながら、24時間反応を行った。反応終了後、0℃まで温度を下げ、また、背圧弁を使用して常圧まで圧力を下げ、界面活性剤5を得た。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した数平均分子量(Mn)は、165万であった。
(界面活性剤6の合成)
1H,1H−パーフルオロオクチルアクリレート(アヅマックス社製)1250重量部及びAIBN(和光純薬製、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル)1.25重量部を、耐圧反応セルに50体積%の容量で入れ、超臨界流体としての二酸化炭素を供給ボンベにより上述のセル内に供給し、加圧ポンプと温度調整器で30MPa、65℃に調節しながら、40時間反応を行った。反応終了後、0℃まで温度を下げ、また、背圧弁を使用して常圧まで圧力を下げ、界面活性剤6を得た。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した数平均分子量(Mn)は、120万であった。
(界面活性剤7の合成)
1H,1H−パーフルオロオクチルアクリレート(アヅマックス社製)350重量部、スチレンモノマー150重量部、及びAIBN(和光純薬製、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル)5重量部を、耐圧反応セルに20体積%の容量で入れ、超臨界流体としての二酸化炭素を供給ボンベにより上述のセル内に供給し、加圧ポンプと温度調整器で30MPa、85℃に調節しながら、24時間反応を行った。反応終了後、0℃まで温度を下げ、また、背圧弁を使用して常圧まで圧力を下げ、界面活性剤7を得た。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した数平均分子量(Mn)は、5800であった。
(界面活性剤8の合成)
1H,1H−パーフルオロオクチルアクリレート(アヅマックス社製)300重量部、スチレンモノマー700重量部、及びAIBN(和光純薬製、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル)10重量部を、耐圧反応セルに40体積%の容量で入れ、超臨界流体としての二酸化炭素を供給ボンベにより上述のセル内に供給し、加圧ポンプと温度調整器で20MPa、65℃に調節しながら、24時間反応を行った。反応終了後、0℃まで温度を下げ、また、背圧弁を使用して常圧まで圧力を下げ、界面活性剤8を得た。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した数平均分子量(Mn)は、30000であった。
(界面活性剤9の合成)
1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアクリレート(アヅマックス社製)1250重量部、及びAIBN(和光純薬製、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル)12.5重量部を、耐圧反応セルに50体積%の容量で入れ、超臨界流体としての二酸化炭素を供給ボンベにより上述のセル内に供給し、加圧ポンプと温度調整器で30MPa、85℃に調節しながら、24時間反応を行った。反応終了後、0℃まで温度を下げ、また、背圧弁を使用して常圧まで圧力を下げ、界面活性剤9を得た。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した数平均分子量(Mn)は、48000であった。
(界面活性剤10の合成)
1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルメタクリレート(アヅマックス社製)1250重量部、及びAIBN(和光純薬製、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル)12.5重量部を、耐圧反応セルに50体積%の容量で入れ、超臨界流体としての二酸化炭素を供給ボンベにより上述のセル内に供給し、加圧ポンプと温度調整器で30MPa、85℃に調節しながら、24時間反応を行った。反応終了後、0℃まで温度を下げ、また、背圧弁を使用して常圧まで圧力を下げ、界面活性剤10を得た。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した数平均分子量(Mn)は、63000であった。
(界面活性剤11の合成)
2−(パーフルオロデシル)エチルアクリレート(アヅマックス社製)1250重量部、及びAIBN(和光純薬製、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル)12.5重量部を、耐圧反応セルに50体積%の容量で入れ、超臨界流体としての二酸化炭素を供給ボンベにより上述のセル内に供給し、加圧ポンプと温度調整器で30MPa、85℃に調節しながら、24時間反応を行った。反応終了後、0℃まで温度を下げ、また、背圧弁を使用して常圧まで圧力を下げ、界面活性剤11を得た。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した数平均分子量(Mn)は、52000であった。
[実施例1]
(重合性単量体組成物の調整)
スチレン55重量部、メチルアクリレート45重量部、及びジビニルベンゼン0.3重量部からなる重合性単量体、界面活性剤として界面活性剤1 0.103重量部、ペンタエリスリトールテトラステアレート(ステアリン酸、純度約60%)3重量部、並びに天然ガス系フィッシャートロプシュワックス(Dシェル・MS社製、商品名:FT−100、融点92℃)2重量部を、高剪断力で混合可能なホモミキサー(特殊機化工社製、TK式)により、11000rpmの回転数で攪拌及び混合して均一分散を行い、混合液である重合性単量体組成物1を調製した。
(超臨界重合工程)
重合性単量体組成物1 100重量部を、耐圧反応セルに20体積%の容量で充填し、超臨界流体として二酸化炭素を供給ボンベによりセルに供給し、加圧ポンプ及び温度調製器で30MPa、65℃に調節した。次に、重合開始剤としてAIBN(和光純薬製2,2'−アゾビスイソブチロニトリル)0.5重量部を添加し、40時間反応を行った。
反応終了後、圧力を維持したまま加圧ポンプと背圧弁を使用して、流量5.0L/分、にて超臨界二酸化炭素を6時間フローすることにより残留モノマーを除去した。その後、オイルブラックHBB(オリエント化学製)0.5重量部、及びオイルオレンジ201(オリエント化学製)0.02重量部を添加することにより1時間の染色を行った後、常温及び常圧の状態にまで徐々に戻して、トナー1を得た。収率は98.9%であった。
[参考例2]
(重合性単量体組成物の調整)
スチレン80重量部、n−ブチルアクリレート20重量部、及びジビニルベンゼン0.5重量部からなる重合性単量体、界面活性剤として界面活性剤2 10.5重量部、並びにカルナウバワックス(東洋ペトロライト社製、商品名:CWT01)10重量部を、高剪断力で混合可能なホモミキサー(特殊機化工社製、TK式)により、11000rpmの回転数で攪拌及び混合して均一分散を行い、混合液である重合性単量体組成物2を調製した。
(超臨界重合工程)
重合性単量体組成物2 150重量部を、耐圧反応セルに30体積%に容量で充填し、超臨界流体として二酸化炭素を供給ボンベによりセルに供給し、加圧ポンプ及び温度調製器で30MPa、65℃に調節した。次に、重合開始剤としてAIBN(和光純薬製2,2'−アゾビスイソブチロニトリル)1.5重量部を添加し、40時間反応を行った。
反応終了後、C.I.Disperse Red 60(商品名:Plast Red 8357−N、有本化学製)5重量部を添加することにより5分間の染色を行った後、5℃に冷却した。さらに、このときの圧力を維持したまま、加圧ポンプ及び背圧弁を使用して、流量5.0L/分にて超臨界二酸化炭素を6時間フローすることにより、残留モノマーを除去した。その後、常温及び常圧の状態まで徐々に戻して、トナー2を得た。収率は66.9%であった。
[参考例3]
(重合性単量体組成物の調整)
スチレン80重量部、n−ブチルアクリレート20重量部、及びジビニルベンゼン0.5重量部からなる重合性単量体、界面活性剤として界面活性剤3 5重量部、並びにカルナウバワックス(東洋ペトロライト社製、商品名:CWT01)5重量部を、高剪断力で混合可能なホモミキサー(特殊機化工社製、TK式)により、11000rpmの回転数で攪拌及び混合して均一分散を行い、混合液である重合性単量体組成物3を調製した。
(超臨界重合工程)
重合性単量体組成物3 150重量部を、耐圧反応セルに30体積%に容量で充填し、超臨界流体として二酸化炭素を供給ボンベによりセルに供給し、加圧ポンプ及び温度調製器で15MPa、85℃に調節した。次に、重合開始剤としてAIBN(和光純薬製2,2'−アゾビスイソブチロニトリル)1.5重量部を添加し、40時間反応を行った。
反応終了後、C.I.Disperse Yellow 54(商品名:Plast Yellow 8040、有本化学製)3重量部を添加することにより1時間の染色を行った後、5℃に冷却した。さらに、このときの圧力を維持したまま、加圧ポンプ及び背圧弁を使用して、流量5.0L/分にて超臨界二酸化炭素を1時間フローすることにより、残留モノマーを除去した。その後、常温及び常圧の状態まで徐々に戻して、トナー3を得た。収率は66%であった。
[参考例4]
(重合性単量体組成物の調整)
スチレン80重量部、n−ブチルアクリレート20重量部、及びジビニルベンゼン0.5重量部からなる重合性単量体、界面活性剤4 5重量部、並びにカルナウバワックス(東洋ペトロライト社製、商品名:CWT01)5重量部を、高剪断力で混合可能なホモミキサー(特殊機化工社製、TK式)により、11000rpmの回転数で攪拌及び混合して均一分散を行い、混合液である重合性単量体組成物4を調製した。
(超臨界重合工程)
重合性単量体組成物4 100重量部を、耐圧反応セルに20体積%に容量で充填し、超臨界流体として二酸化炭素を供給ボンベによりセルに供給し、加圧ポンプ及び温度調製器で35MPa、50℃に調節した。次に、重合開始剤としてAIBN(和光純薬製2,2'−アゾビスイソブチロニトリル)を1.5重量部添加し、40時間反応を行った。
反応終了後、C.I.Disperse Blue 35(商品名:Oil Blue 5502、有本化学製)1重量部を添加することにより72時間の染色を行った後、5℃に冷却した。さらに、このときの圧力を維持したまま、加圧ポンプ及び背圧弁を使用して、流量5.0L/分にて超臨界二酸化炭素を24時間フローすることにより、残留モノマーを除去した。その後、常温及び常圧の状態まで徐々に戻して、トナー4を得た。収率は66%であった。
[実施例5、6、参考例7、8、実施例9乃至11]
界面活性剤3の代わりに界面活性剤5乃至11を使用する以外は、参考例3と同様に操作してトナー5乃至11を得た。
[比較例1]
(重合性単量体組成物の調整)
スチレン100重量部及びジビニルベンゼン0.5重量部からなる重合性単量体、界面活性剤として1H,1H−パーフルオロオクチルアクリレート(アヅマックス社製:分子量454)5重量部、並びに合成エステルワックス(日本油脂製、商品名:WEP05)6.5重量部を高剪断力で混合可能なホモミキサー(特殊機化工社製、TK式)により、11000rpmの回転数で攪拌及び混合して均一分散を行い、混合物である重合性単量体組成物12を調製した。
(超臨界重合工程)
重合性単量体組成物12 100重量部を耐圧反応セルに20体積%の容量で充填し、超臨界流体として二酸化炭素を供給ボンベによりセルに供給し、加圧ポンプ及び温度調製器で30MPa、65℃に調節した。次に、重合開始剤としてV−65(和光純薬製2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1重量部を添加し、48時間反応を行った。
反応終了後、C.I.Disperse Yellow 54(商品名:Plast Yellow 8040、有本化学製)1重量部を添加することにより1時間染色を行った後、5℃に冷却した。さらに、このときの圧力を維持したまま加圧ポンプと背圧弁を使用して、流量5.0L/分にて超臨界二酸化炭素を6時間フローし、残留モノマーを除去した後、常温及び常圧に徐々に戻して、比較トナー1を得た。収率は47%であった。
[比較例2]
恒温水槽内に、撹拌翼、冷却コンデンサー、及び窒素ガス導入管を有する密閉可能な反応容器を設けた。この反応容器内に、エタノール 70重量部、蒸留水 30重量部、及びポリビニルピロリドン4重量部を入れ、撹拌翼を回転させることにより、ポリビニルピロリドンを完全に溶解させた。このポリビニルピロリドンの溶液中に、スチレン28重量部、エチルアクリレート10重量部、n−ブチルメタクリレート2重量部、エチレングリコールジメタクリレート0.2重量部、四塩化炭素0.03重量部、及び過酸化ベンゾイル0.6重量部を添加した。撹拌翼を回転させながら、容器内に窒素ガスを吹き込み完全に酸素を追い出した。次に、水槽内を50±0.1℃に昇温して重合を開始した。2時間後に水槽内に65±0.1℃に昇温し、反応速度を上げた。
反応開始から12時間後に水槽内を室温に冷却し、分散液を得た。ガスクロマトグラフィーを用いて内部標準法による測定を行った結果、重合率は90%を越えていることを確認した。また、コールターマルチサイザー(100μmアパチャーチューブ)による粒度分布測定では、重量平均粒子径(D4)は6.9μm、また個数平均粒子径は6.1μmであり、個数平均粒子径に対する重量平均粒子径の比が1.1である樹脂微粒子1を得た。
さらに、エタノール20重量部、及びソルベントブラック30重量部を加熱溶解し、1μmのフィルターで非溶解分を取り除いた溶液20重量部、エタノール100重量部、並びに樹脂微粒子1 100重量部を、攪拌及び加温手段を有する適当な容器内に入れ、50℃で1時間攪拌して、樹脂微粒子の染着を行った。その後、染着液を室温に冷却し、遠心沈降により上澄みを除き、エタノールに再分散する操作を3回行った後、濾過を行うことにより比較トナー3を得た。
[比較例3]
(重合性単量体組成物の調整)
スチレン100重量部及びジビニルベンゼン0.5重量部からなる重合性単量体、並びに合成エステルワックス(日本油脂製、商品名:WEP05)6.5重量部を、界面活性剤を使用せずに高剪断力で混合可能なホモミキサー(特殊機化工社製、TK式)により、11000rpmの回転数で攪拌及び混合して均一分散を行い、混合液である重合性単量体組成物13を調製した。
(超臨界重合工程)
重合性単量体組成物13 100重量部を耐圧反応セルに耐圧容器セルの20体積%の容量で充填し、超臨界流体として二酸化炭素を供給ボンベによりセルに供給し、加圧ポンプと温度調製器で30MPa、65℃に調節した。次に、重合開始剤としてAIBN(和光純薬製、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル)1重量部を添加し、48時間反応を行った。
反応終了後、C.I.Disperse Yellow 54(商品名:Plast Yellow 8040、有本化学製)1重量部を添加し、1時間染色を行った後、5℃に冷却した。さらに、このときの圧力を維持したまま加圧ポンプと背圧弁を使用して、流量5.0L/minにて超臨界二酸化炭素を6時間フローし、残留モノマーを除去した後、常温及び常圧まで徐々に戻して、比較トナー3を得た。しかしながら、比較トナー3の収率は10%であった。また、この比較トナー3は、粒又は塊状の形態であり、トナーとしての形態である粉体としては得ることはできなかった。
実施例1、5、6、9乃至11、参考例2乃至4、7、8及び比較例1乃至3にて得られるトナー1乃至11及び比較トナー1乃至3の粒径及び分子量を、下述の方法で測定する。
(トナーの粒径測定)
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−II及びコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)が挙げられる。この測定装置を用いた測定方法について説明する。
電解水溶液100乃至150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル:商品名ドライウェル)を0.1乃至5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)を使用することができる。ここで、更に測定試料を2乃至20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1乃至3分間分散処理を行ない、測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子のトナーの体積及び個数を測定することにより、体積分布及び個数分布を算出する。得られた体積分布及び個数分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、及び個数平均粒径を求めることができる。
これらのトナーの粒径に関する解析では、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満のトナー粒子を対象とする。また、チャンネルとしては、2.00μm以上2.52μm未満、2.52μm以上3.17μm未満、3.17μm以上4.00μm未満、4.00μm以上5.04μm未満、5.04μm以上6.35μm未満、6.35μm以上8.00μm未満、8.00μm以上10.08μm未満、10.08μm以上12.70μm未満、12.70μm以上16.00μm未満、16.00μm以上20.20μm未満、20.20μm以上25.40μm未満、25.40μm以上32.00μm未満、及び32.00μm以上40.30μm未満の13チャンネルを使用する。
(GPCによる分子量測定)
トナーの数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定する。このときの測定装置は、GPC−150C(ウォーターズ社製)に、KF801〜807(ショウデックス社製)カラムを装着した測定系を使用する。測定条件は、カラム温度を40℃、溶媒をテトラヒドロフラン、溶媒流速を1.0ml/分とする。そして、濃度0.05乃至0.6%の試料をカラムに0.1ml注入し、以上の条件で測定したトナー樹脂の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料(東ソー社製、TSKポリスチレン、品番06477)により作成した分子量校正曲線を使用して、日本工業規格JIS−K−0124に準拠してトナーの数平均分子量(Mn)を測定及び算出を行う。
以上の結果を表1に示す。
また、図9は、実施例1
、5、6、9乃至11
、参考例2乃至4、7、8及び比較例1乃至3の界面活性剤の数平均分子量と重合収率との関係を示す図式である。なお、図1中の黒い菱形印は、実施例1
、5、6、9乃至11
、参考例2乃至4、7、8を示し、白抜きの丸印は、比較例1乃至3のデータをそれぞれ表している。
表1及び図9を参照するに、この結果から、界面活性剤の数平均分子量(Mn)、及びトナーの重合収率(重合転化率)には高い相関があることがわかる。重合収率が60%以上あれば工業的生産が十分可能であることから、界面活性剤の数平均分子量(Mn)は2500乃至165万が好ましい。さらに好ましくは、重合収率が80%以上であり、界面活性剤の数平均分子量(Mn)は18000乃至165万である。さらに好ましくは、重合収率が100%近くであることから、界面活性剤の数平均分子量(Mn)は30000以上165万以下である。
[実施例12]
上述の実施例1で得られたトナー1 100質量部に、外添剤である疎水性シリカ0.7質量部及び疎水化酸化チタン0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにて周速8m/sの条件sで5分間混合した。混合後の粉体を目開き100μmのメッシュに通過させ、粗大粉粒を除去した。
次に、上述の通りに外添剤との混合を行ったトナー5重量%、及びシリコン樹脂を被覆した平均粒子径が40μmの銅−亜鉛フェライトキャリア95重量%を容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサーを用いて均一混合することにより帯電を行い、2成分現像剤である現像剤1を調製した。
[参考例13乃至15、実施例16、17、参考例18、19、実施例20乃至22]
トナー1の代わりにトナー2乃至11を使用する以外は、実施例12と同様に操作することにより現像剤2乃至11を得た。
[実施例23]
上述の実施例1で得られたトナー1 100質量部に、外添剤である疎水性シリカ0.7質量部及び疎水化酸化チタン0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにて周速8m/sの条件で5分間混合することにより、1成分現像剤である現像剤12を調製した。
[参考例24乃至26、実施例27、28、参考例29、30、実施例31乃至33]
トナー1の代わりにトナー2乃至11を使用する以外は、実施例23と同様に操作することにより現像剤13乃至22を得た。
[比較例4及び5]
トナー1の代わりに比較トナー1及び2を使用する以外は、実施例12と同様に操作することにより比較現像剤1及び2を得た。
[比較例6及び7]
トナー1の代わりに比較トナー1及び2を使用する以外は、実施例23と同様に操作することにより比較現像剤3及び4を得た。
実施例12、参考例13乃至15、実施例16、17、参考例18、19、実施例20乃至23、参考例24乃至26、実施例27、28、参考例29、30、実施例31乃至33及び比較例4乃至7にて得られる現像剤1乃至22及び比較現像剤1乃至4を画像形成装置にそれぞれ装填し、画像を出力する。画像出力後、下述する方法によって評価を行う。なお、2成分現像剤の評価には、株式会社リコー製、IPSio Color 8100、1成分現像剤の評価には、株式会社リコー製、imagio Neo C200をそれぞれ使用する。
(画像濃度)
普通紙の転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200)に、低付着量である0.3±0.1mg/cm2の付着量におけるベタ画像を出力後、画像濃度をX−Rite(X−Rite社製)により測定し、次の基準により評価を行う。
画像濃度1.4以上を◎、1.35以上1.4未満を○、1.3以上1.35未満を△、1.3未満を×とする。
(クリーニング性)
画像面積率95%のチャートを1000枚出力後における、清掃工程を通過した感光体上の転写残トナーをスコッチテープ(住友スリーエム株式会社製)で白紙に移し、それをマクベス反射濃度計RD514型で測定し、次の基準により評価を行う。
ブランクとの差が0.005未満を◎、0.005以上0.010以下を○、0.011以上0.02以下を△、0.02を超える場合を×とする。
(転写性)
画像面積率20%チャートを感光体から紙に転写後、クリーニングの直前における感光体上の転写残トナーをスコッチテープ(住友スリーエム株式会社製)で白紙に移し、それをマクベス反射濃度計RD514型で測定し、次の基準により評価を行う。
ブランクとの差が0.005未満を◎、0.005以上0.010以下を○、0.011以上0.02以下を△、0.02を超える場合を×とする。
(トナー飛散)
画像形成装置(株式会社リコー製、IPSiO Color8100)をオイルレス定着方式に改造した上でチューニングを行った評価機を用いて、温度40℃、相対湿度90%の環境下で、画像面積率5%のチャートを連続10万枚出力する耐久試験を実施した後に、複写機内のトナー汚染状態を目視することにより評価を行う。また、評価の基準は次の通りである。
トナー汚れがまったく観察されず良好な状態である場合を◎、わずかに汚れが観察される程度であり問題とならない場合を○、少し汚れが観察される程度である場合を△、許容範囲外で非常に汚れがあり問題となる場合を×とする。
(帯電安定性)
画像面積率12%の文字画像パターンを用いて、連続10万枚出力する耐久試験を実施し、そのときの帯電量の変化を評価した。スリーブ上から現像剤を少量採取し、ブローオフ法により帯電量変化を求め、次の基準により評価を行う。
帯電量の変化が5μc/g未満を○、5μc/g以上10μc/g以下を△、10μc/gを超える場合を×とする。
(フィルミング性)
画像面積率100%、75%、及び50%の帯チャートを1000枚出力後の現像ロー
ラ、及び感光体上のフィルミングを観察し、次の基準により評価を行う。
まったくフィルミングが発生していない場合を◎、うっすらとフィルミングの発生を確認できる場合を○、スジ状にフィルミングが発生している場合を△、全面にフィルミングが発生している場合を×とする。
以上の評価結果を表2に示す。
表2を参照するに、これらの結果より、超臨界流体中で得られた重合法トナーを用いた実施例12
、参考例13乃至15、実施例16、17、参考例18、19、実施例20乃至
23、参考例24乃至26、実施例27、28、参考例29、30、実施例31乃至33の現像剤1乃至22は、比較例4乃至7の比較現像剤1乃至4に比べ、帯電安定性、クリーニング性、転写性、トナー飛散、及びフィルミングにおいて総合的に優れており、高画像濃度が得られることが確認された。特に、比較例5及び7の比較現像剤2及び4は、染料による着色性が低いことにより画像濃度が低かった。しかし、実施例12
、参考例13乃至15、実施例16、17、参考例18、19、実施例20乃至
23、参考例24乃至26、実施例27、28、参考例29、30、実施例31乃至33の現像剤1乃至22であれば、染料が樹脂微粒子の内部にまで進入するため十分な染着と画像濃度が得られることも分かった。
本実施例によれば、加圧状体から常圧状態に戻すだけで乾燥した重合法トナーが得られるために、廃液の発生が非常に少なく、低コスト、低環境負荷、省エネルギー、及び省資源の面で従来工法にない画期的なトナー製造方法を提供することが可能となる。