JP4370390B2 - 超臨界炭酸ガス中での高分子微粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超臨界二酸化炭素を希釈剤として使用し、単量体の不均一重合により高分子微粒子を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高分子微粒子は、カラム充填剤、トナー、粉体塗料原料などに利用されている。従来、これらの重合体微粒子は、水中における乳化重合もしくは懸濁重合、または有機溶媒中での分散重合などにより製造される。しかしながら、水中での重合の場合には、水の除去に多大な工ネルギーを必要とする問題があり、有機溶媒中での重合の場合には、有機溶媒の多くが可燃性であり、発火等の危険性が高いという問題がある。
【0003】
最近、水および有機溶媒など、適常の状態で使用される液体流体と比較して、特異な性質を有する超臨界流体が注目されている。特に、超臨界二酸化炭素は、不燃性である、脱圧によって容易に除去できる、および再利用が容易である点から種々の分野で検討が進められている。
【0004】
重合体の製造においても、超臨界二酸化炭素を利用する検討が行われており、例えば、特開平8−269107号公報には、超臨界二酸化炭素中で、単量体をフリーラジカル開始剤および安定フリーラジカル開始剤の共存下に重合して得られる熱可塑性樹脂の製造方法が開示されている。しかしながら、この方法は、安定な高分子微粒子を得るには不適であった。
【0005】
超臨界二酸化炭素中において、安定な高分子微粒子を製造する方法として、ポリジメチルシロキサンマクロモノマーを添加して重合する方法が報告されている( J. M. DeSimone et. al., Macromolecules 29, p2704 (1996))。この方法によれば、数平均粒子径が1.1〜2.8μmのメタクリル酸メチル高分子微粒子が得られているが、さらに粒子径の小さな高分子微粒子を得るには不適であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の事情に鑑み、超臨界二酸化炭素中において、安定、かつ、サブミクロンの粒子径を含む広範囲にわたる粒子径を有する高分子微粒子を容易に製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、以下の手段により解決された。
(1)超臨界二酸化炭素中においてラジカル重合開始剤により単量体を不均一重合する高分子微粒子の製造方法であって、ラジカル重合開始剤がオリゴマー骨格およびラジカル重合開始剤部分を有する、超臨界二酸化炭素に実質的に可溶な重合体であることを特徴とする高分子微粒子の製造方法、
(2)該オリゴマー骨格がアミノ変成シリコーンに由来する(1)記載の高分子微粒子の製造方法、
(3)該アミノ変成シリコーンが数平均分子量1,000ないし20,000のポリジメチルシロキサン骨格を有する(2)記載の高分子微粒子の製造方法、
(4)該ラジカル重合開始剤部分が4,4’−アゾビス−4−シアノペンタン酸に由来し、ラジカル重合開始剤がアミノ変性シリコーンとのポリアミドである(1)、(2)又は(3)記載の高分子微粒子の製造方法、
(5)ラジカル重合開始剤が式(1)で示される(1)ないし(4)いずれか1つに記載の高分子微粒子の製造方法、
【化1】
式(1)中、mは15ないし200の整数を表し、nは2ないし10の整数を表す。
(6)ラジカル重合開始剤の数平均分子量が1万以上、10万以下である(5)記載の高分子微粒子の製造方法、
(7)数平均粒子径が0.1μmないし5μmである高分子微粒子を製造する(1)ないし(5)いずれか1つに記載の高分子微粒子の製造方法、
(8)1段目の不均一重合により得られる、高分子微粒子をシードとしてさらに2段目の単量体を不均一重合する(1)記載の高分子微粒子の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明では、超臨界流体の二酸化炭素を希釈剤として用いることによって、安定な高分子微粒子を製造するが、本発明に用いられる用語「超臨界」とは、従来通りの意味で使用する。すなわち、臨界温度を越えた温度に保持される高密度のガスであり、この温度を越えると圧力をいくら加えても液化しない状態をさす。二酸化炭素の臨界温度は約31℃であり、これ以上の温度に保たれた二酸化炭素は、圧力を加えても液化しない。これを超臨界流体と呼ぶ。
【0009】
本発明において使用するラジカル重合開始剤は、少なくともその主鎖にオリゴマー骨格を有し、超臨界二酸化炭素に少なくとも実質的に可溶な重合体である。ここで、「オリゴマー骨格を有する」とは、小数の原子ないし原子団(構成単位)が繰り返し結合した物質(オリゴマー)を、主鎖又は側鎖に繰り返し単位として有することをいい、その1つのオリゴマー骨格の数平均分子量は、好ましくは1,000以上であり、より好ましくは1,000〜20,000である。オリゴマー骨格は単独で超臨界二酸化炭素に実質的に可溶であることが好ましく、可溶であることがより好ましい。ここで、「実質的に可溶である」とは、70℃において5質量%以上溶解することをいい、「可溶である」とは、70℃において10質量%以上溶解することをいう。以下、同様とする。
【0010】
このオリゴマー骨格を構成するオリゴマーとしては、変性シリコーンが挙げられ、中でも、エポキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン等のように、その分子両端に、それぞれ、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基を有するシリコーンが好ましい。これらの変性シリコーンは、伊藤邦雄編、「シリコーンハンドブック」、日刊工業新聞社(1990年第1版)等に記載されている。本発明においては、オリゴマー骨格は、数平均分子量が1,000〜20,000の両末端をアミノ変性したポリジメチルシロキサンから誘導することが好ましい。
【0011】
このラジカル重合開始剤は、オリゴマー骨格以外に、分子内にラジカル重合開始剤として機能しうるラジカル重合開始剤部分を有する。このラジカル重合開始剤部分は、熱的にラジカル分解して単量体の付加重合を開始する構造であれば良く、例えば、アゾビスイソブチロニトリル類似のアゾ開始剤残基または過酸化ベンゾイル類似の過酸化物開始剤残基等の構造が挙げられる。開始剤部分は、重合体の主鎖にあっても良く、又は、側鎖にあっても良いが、主鎖にある方が好ましい。
このラジカル重合開始剤部分をラジカル重合開始剤に導入するためには、例えば、4,4’−アゾビス−4−シアノペンタン酸のように、反応性の官能基を複数個、好ましくは2個有する低分子のラジカル重合開始剤を使用する。前記官能基としては、カルボキシル基、水酸基、アミノ基等が挙げられ、中でも、カルボキシル基が好ましい。
【0012】
本発明のラジカル重合開始剤は、官能基を有するオリゴマー骨格形成剤と、このオリゴマーが有する官能基と連結基を形成しうる官能基を分子内に2個以上有する低分子のラジカル重合開始剤とを反応させて重合体とすることにより製造される。代表的なラジカル重合開始剤は以下の式(2)で表すことができる。
【化2】
(2)式中、OLGはオリゴマー骨格を示し、Lは単結合または2価の連結基を示し、Yはオリゴマー骨格形成剤中の官能基を示し、INTはラジカル重合開始剤部分を示し、Xはラジカル重合開始剤の有する官能基を示し、Zは前記およびYとの反応により形成される2価の結合を示し、nは整数を示す。
本発明のラジカル重合開始剤は、その数平均分子量が数千以上、好ましくは、数千ないし数万の重合体である。ラジカル重合開始剤も、超臨界二酸化炭素に実質的に可溶であり、可溶であることが好ましい。ここで、ラジカル重合開始剤が超臨界二酸化炭素に「実質的に可溶である」とは、70℃において0.05質量%以上溶解することをいい、「可溶である」とは、70℃において0.1重量%以上溶解することをいう。
【0013】
具体例として、例えば、下式(3)のアゾ開始剤部分を含む化合物が挙げられる。
【化3】
上式(3)に属するラジカル重合開始剤には、和光純薬工業(株)から販売されているVPS−0501が含まれる。この高分子開始剤は、(3)式においてm=68であり、数平均分子量が約30,000ないし50,000であり、ポリジメチルシロキサン部分の分子量は約5,000であり、VSP1g当たりのアゾ基のモル数は約0.2mmol/gである。VPS−0501は、トルエン、クロロホルム、へキサン、酢酸エチル及びメチルエチルケトンに可溶であり、水、メタノール、アセトニトリル、DMF、DMSO等の極性溶媒には不溶である。
【0014】
本発明の高分子微粒子を製造するための単量体としては、通常のラジカル重合性単量体を使用することができる。これらの単量体は希釈剤として使用する超臨界二酸化炭素に可溶のものである。
しかしながら、これらの単量体から得られる重合体は、希釈剤である超臨界二酸化炭素には不溶であり析出する。よって、本発明の重合は、不均一重合である。
【0015】
単量体としては、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、共役ジエン系単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体、カルボン酸ビニルエステル単量体、ハロゲン化ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体などが挙げられる。
【0016】
芳香族ビニル単量体としては、スチレンの他、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、モノクロルスチレン、p−メチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン等が挙げられる。
【0017】
エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリルの他、メタクリロニトリル、2−エチルプロペンニトリル、2−プロピルプロペンニトリル、2−クロロプロペンニトリル、2−ブテンニトリルなどが挙げられる。
【0018】
エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体としては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体等が挙げられる。これらの単量体は2種以上を併用しても良い。
【0019】
共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン及びクロロプレン等を挙げることができる。
【0020】
エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体及びその誘導体としては、メタクリルアミド、アクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどが挙げられる。
【0021】
カルボン酸ビニルエステル単量体としては、酢酸ビニルが代表的であり、また、ハロゲン化ビニル単量体としては塩化ビニルが代表的である。
【0022】
エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸、マレイン酸モノメチル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸部分エステル;などが挙げられる。これらの単量体は2種以上を併用しても良い。
【0023】
本発明の高分子微粒子の製造方法において、単量体総量1モルに対して、ラジカル重合開始剤はその中の開始剤部分が0.001ないし0.05モルになるように使用することが好ましく、特に0.003ないし0.03モル使用することが好ましい。重量比でいえば、単量体総量の合計100重量部に対して、ラジカル重合開始剤は0.5ないし50重量部程度を使用することができる。
【0024】
本発明の製造方法において、本発明に係るラジカル重合開始剤に通常の低分子ラジカル重合開始剤を併用することができ、その混合比は任意である。
開始剤のモル濃度が用いる単量体の合計モル数に対して減少すると、生成する重合体の分子量が増加する。
【0025】
本発明の製造方法には、耐圧容器を使用する。
反応容器の温度は、二酸化炭素が超臨界流体となる臨界温度31℃以上であれば適宜選択でき、好ましくは31ないし100℃、より好ましくは35ないし80℃である。又、反応容器の圧力は、臨界圧力である7.38MPa以上の圧力に保つことが必要であり、好ましくは、20MPaないし40MPaに保つことが好ましい。
【0026】
本発明において、溶媒ないし希釈剤として使用する超臨界二酸化炭素の量は、単量体合計100重量部に対して10ないし1500重量部であり、好ましくは、300ないし600重量部である。
【0027】
また、本発明の製造方法では、2種類以上の異なる重合可能な単量体の混合物を重合して、共重合体を形成することもできる。例えば、スチレンとブタジエンの重合によりスチレン−ブタジエン共重合体を形成し、スチレンとイソプレンの重合によりスチレン−イソプレン共重合体を、スチレンとメチルメタクリレートの重合からスチレン−メチルメタクリレート共重合体を形成することができ、さらに、他の二元共重合体や三元共重合体を含む共重合体微粒子を製造することができる。
【0028】
本発明の高分子微粒子の製造方法において、重合反応を2段以上として、いわゆるコア/シェル型の高分子微粒子を製造することができる。この場合には、1段目の重合転化率が約70%以上に達するまで1段目の重合反応を進めた後に、2段目以降の重合を行うことが好ましい。
シード粒子を形成するために使用する単量体総量と2段目以降の重合で使用する単量体総量の比率に特に制限はなく、適宜選択することができる。コアとシェルの単量体組成も目的とする高分子微粒子の特性に応じて適宜選択することができる。
【0029】
本発明の典型的な製造方法は、(1)本発明に係るラジカル重合開始剤と、少なくとも1種のラジカル重合可能な単量体とを耐圧容器に仕込む工程と、(2)液体二酸化炭素を耐圧容器に送入する工程と、(3)ラジカル重合開始剤、単量体及び液体二酸化炭素の混合物を、臨界温度(31℃)以上に加熱する工程と、(4)前記混合物を撹拌下に重合する工程と、(5)得られた高分子微粒子を含む混合物を冷却する工程、とを含む。なお、前記の(2)および(3)の工程を逆転して、臨界温度以上に加熱した後に、超臨界液体二酸化炭素を送入する工程、としても良い。
【0030】
本発明の製造方法は、必要に応じて、高分子微粒子を単離する工程、同じく必要に応じて、更に高分子微粒子を洗浄および乾燥する工程を含んでも良い。
本発明においては、高分子微粒子を洗浄及び乾燥することが好ましい。
洗浄には、高分子微粒子の沈殿剤である有機溶媒を使用することができる。例えば、n−へキサンにより重合反応生成物を洗浄すると、重合反応においてラジカル重合開始剤から分解して生成したオリゴマー断片や開始剤断片を溶解して、高分子微粒子から除去するとともに、高分子微粒子を1次粒子にまで分散することができる。
得られた高分子微粒子の再分散物から、濾過、遠心分離等の適当な方法により、目的の高分子微粒子を分離することができる。この高分子微粒子は、大気中または真空下で、乾燥することができる。
【0031】
本発明の製造方法で得られた重合体あるいは共重合体の重量平均分子量(Mw)は、多くの場合、約100,000〜約600,000であり、また数平均分子量(Mn)は、約50,000〜約300,000であり、多分散性(Mw/Mn)は約1.1〜約2である。
【0032】
本発明の高分子微粒子の製造法により得られる高分子微粒子は比較的均一な粒子径分布を有する。これは高分子微粒子表面にポリジメチルシロキサン等のオリゴマー断片が残存して粒子成長を均一に進行させるためであると考えられる。
本発明で得られる高分子微粒子は、サブミクロンのオーダーとすることができ、数平均粒子直径を0.1ないし0.9μmの範囲に設定することができる。
粒子分布の変動係数は30%以下であり、多くの場合5ないし15%である。また、本発明におけるラジカル重合開始剤と低分子のラジカル重合開始剤(AIBN等)を併用することによって、高分子微粒子の直径を数ミクロンにまで大きくすることもできる。
【0033】
本発明において使用する重合副資材としては、ラジカル重合で通常使用されるものが使用できる。連鎖移動剤としては、例えば、n−ブチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、テトラエチルチウラムスルフィド、ジベンタメチレンチウラムヘキサスルフィド等のスルフィド類、α−メチルスチレン2量体、四塩化炭素等が挙げられ、これらは一種もしくは二種以上組み合わせて使用ことが可能である。また必要に応じて連鎖移動剤の連続逐次添加を本発明に併用することも可能である。
【0034】
重合遅延剤としては一般にラジカル重合に使用される各種重合遅延剤が使用可能であり、例えばo−,m−あるいはp−ベンゾキノン等のキノン類、ニトロベンゼン、o−,m−あるいはp−ジニトロベンゼンなどのニトロ化合物、ジフェニルアミンなどのアミン類、第三ブチルカテコールのようなカテコール誘導体、1,1−ジフェニルエチレンあるいはα−メチルスチレンなどの1,1−ジ置換ビニル化合物が挙げられこれらは一種もしくは二種以上組み合わせて使用することが可能である。
【0035】
本発明の製造方法には、必要に応じて、周知の他の添加剤を用いることができる。このような添加物の使用は本発明の目的を損なうことなく、得られた高分子微粒子の性能を強化することができるものである。例えば、着色剤、潤滑剤、離型剤、あるいは移動剤、界面活性剤、安定剤、消泡剤などを本発明の重合性組成物に添加してもよい。
【0036】
【実施例】
(数平均粒子径の測定)
高分子微粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(日立製作所(株)製、S−2500)により撮影した写真を画像処理装置(Mac SCOPE三谷商事(株〉製、Macintosh用汎用画像処理ソフト〉で評価することにより算出した。
【0037】
(実施例1)
ステンレス製耐圧容器(耐圧硝子(株)製)に、メタクリル酸メチル18g、VPS−0501(和光純薬工業(株)製)9.1gを仕込み密栓した。その後、シリンジボンプ(日本精密科学(株)製)により液体CO2を55g送入し、25℃、10MPaまで加圧した。この時、容器内をサファイア硝子を通して観察し、メタクリル酸メチルおよびVPS−0501が液体CO2に溶解していることを確認した。その後、容器を加温し、65℃まで昇温させて、30MPa、65℃、200rpmで24時間反応させた。反応終了後は、室温まで冷却した後CO2を徐々に排出し、パウダー状の粒子を得た。得られた粒子は、n−ヘキサン中に再分散させた後、遠心分離で高分子微粒子の沈殿物を得た。この粒子沈殿物を24時間真空乾燥した。この高分子微粒子の数平均粒子径を測定し、得られた結果を表1に示した。
【0038】
(比較例1)
ラジカル重合開始剤としてVPS−0501の代わりに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AlBN)0.3gを使用した以外は、実施例1と同様に製造を行った。得られた重合体は、不定形固体であった。
【0039】
(実施例2〜4)
実施例1と同様の操作にて、表1に示したラジカル重合開始剤組成に従い実施例2〜4を実施した。得られた高分子微粒子の数平均粒子径を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
上述したように、比較例1は、本発明に係るラジカル重合開始剤を使用しないものであり、得られた重合体は、粒子形状を保持していなかった。
実施例1〜4は、本発明に係るラジカル重合開始剤を使用したものであり、数平均粒子径が0.21〜3.2ミクロンに及ぶ幅広い範囲にわたって、高分子微粒子が得られることがわかった。しかも、本発明で規定するラジカル重合開始剤とそれ以外の低分子のラジカル重合開始剤とを併用することもでき、その比率を変量することによって、容易に数平均粒子径を制御することができる。
【0042】
(実施例5)
ステンレス製耐圧容器(耐圧硝子(株)製)に表2に示す所定量の1段目の単量体と9.1gのVPS−0501とを仕込み密栓した。その後、シリンジポンプ(目本精密科学(株)製)により液体CO2を55g送入し、25℃、10MPaまで加圧した。この時、容器内をサファイア硝子を通して観察し、単量体およびVPS−0501が液体CO2に溶解していることを確認した。その後、容器を加温し、65℃まで昇温させて、30MPa、65℃、200rpmで24時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、さらに0.5gのAlBNを溶解した表2に示す所定量の2段目の単量体を4時間45分かけて反応系中に送入した。その後、反応温度35℃、10MPaにて24時間重合を行った。重合後は、窒温まで冷却した後CO2を徐々に排出し、パウダー状の粒子を得た。得られた粒子をn−ヘキサン中に再分散させた後、遠心分離することにより高分子微粒子の沈殿物を得た。この粒子沈殿物を24時間真空乾燥させた。この高分子微粒子の数平均粒子径を表2に示す。
【0043】
実施例6および7
実施例5と同様にして、以下の表2に示す1段目単量体をラジカル重合して得られた高分子微粒子をシードとして、引き続き2段目単量体を重合させた。
【0044】
【表2】
【0045】
実施例5〜7に示したように、本発明に係るラジカル重合開始剤VSP−0501を使用して1段目の重合で得られた高分子微粒子をシードとして、さらに2段目の単量体をラジカル重合することにより、数平均粒子径を大きくでき、かつ重合体組成が1段目の重合体と2段目の重合体とで得られる重合体とが異なるコア/シェル高分子微粒子が得られた。ここでは、シード部分の重合を実施例1と同様の条件としているため、シード部分の高分子微粒子の数平均粒子径は、実施例1で得られた結果(0.21μm)と同様と推定される。
【0046】
【発明の効果】
本発明の重合体粒子の製造方法では、超臨界二酸化炭素中において、安定、かつ、サブミクロン〜数ミクロンの広範囲にわたる粒子径を有する重合体粒子が容易に製造できる。
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