JP5058847B2 - 光学フィルタ、及びそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルタ、及びそれを用いた液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明はカラーフィルタ等の光学フィルタ、及びそれを用いた液晶表示装置に関する。
光学フィルタは、特定の波長の光のみを吸収し、それ以外の波長の光を透過する機能を有する部材であり、表示素子等の種々の光学素子に用いられている。例えば、フルカラー用の液晶表示装置では、カラーフィルタを用いて、赤、青、緑の三原色の光の組み合わせでカラー画像を表示している。カラーフィルタ等の多くの光学フィルタは、所定の波長の光を透過する透過領域と、光を遮光する遮光領域とが、所定のパターンで配置された構造を有する。この構造の光学フィルタでは、遮光領域と透過領域との境界部で光の回折又は散乱が生じ、フィルタ性能が低下するという問題がある。この問題を解決するため、例えば、矩形状の画素領域の角部を斜めに交差させた形状にすること(特許文献1)が提案されている。
特開2005−234524号公報
本発明は、遮光領域と透過領域との境界部に生じる光の回折現象が抑制された、光学フィルタを提供することを課題とする。
また、本発明は、カラーフィルタの回折光に起因する表示性能の低下が軽減された液晶表示装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 所定の波長の光を透過する透過領域と、透過領域と接して配置され、該光を遮光する遮光領域とを有し、前記遮光領域に前記透過領域との接点から面内の任意の方向に沿って、法線方向の光に対する光学的濃度の勾配が設けられており、該光学的濃度が、前記透過領域との接点において最も小さいことを特徴とする光学フィルタ。
[2] 前記法線方向の光に対する光学的濃度の勾配が、前記透過領域との接点から、前記面内の任意の方向に、連続的又は非連続的に増加していることを特徴とする[1]の光学フィルタ。
[3] 前記法線方向の光に対する光学的濃度の勾配が、前記遮光領域の厚みの勾配によって形成されていることを特徴とする[1]の光学フィルタ。
[4] 前記遮光領域の厚みが、前記透過領域との接点から、前記面内の任意の方向に、連続的又は非連続的に増加していることを特徴とする[3]の光学フィルタ。
[5] 前記遮光領域の前記透過領域との接面の少なくとも一部が、使用時に入射する光の波長より短い周期の波形状を有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの光学フィルタ。
[6] 前記遮光領域が、ブラックマトリックス又は電極であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの光学フィルタ。
[7] カラーフィルタであることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかの光学フィルタ。
[8] 液晶セルと、偏光板と、[1]〜[7]のいずれかの光学フィルタとを少なくとも有する液晶表示装置。
本発明によれば、遮光領域と透過領域との境界部に生じる光の回折現象が抑制された、光学フィルタを提供することができる。また、本発明によれば、カラーフィルタの回折光に起因する表示性能の低下が軽減された液晶表示装置を提供することができる。
以下に、本発明を図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、本明細書において、「〜」はその前後の数値を含む範囲を示すものとする。
図1は、本発明の光学フィルタの一例を法線方向から見た平面図(a)である。また、図1(b)は、図1(a)中の破線で囲んだ部分の拡大図であり、図1(c)は図1(a)中の2つの破線で切断した部分を図中の矢印の方向からみた側面図である。なお、図1(a)〜(c)は、法線方向(図1(c)中の矢印z方向)から入射する光に対する、遮光領域14及び透過領域12の光学的濃度を模式的に濃淡で示したものであり、実際の色及び形状は必ずしも正確に反映されていない。
図1の光学フィルタ10は、透過領域12、及び透過領域12に接して、その周りに遮光領域14を有する。図1(a)〜(c)に濃淡で示す通り、遮光領域14には、法線方向(矢印z)からの光に対する光学的濃度に勾配がある。遮光領域14の光学的濃度は、透過領域12との接面において最も小さくなっていて、面内の任意の方向、例えば、図1(b)中の矢印x、yの方向に沿って増加している。光学的濃度の増加は、連続的であってもよいし、また間断のある不連続的な増加であってもよい。
従来のカラーフィルタ等の光学フィルタを、クロスニコル配置の一対の偏光板の間に配置して観察すると、透過領域と遮光領域との境界部に光漏れが観察されることがしばしばある。これは、光学フィルタに偏光が入射すると、透過領域と遮光領域との境界部において、回折が起こり、その回折光が偏光軸からずれているために、光漏れとなって観察されると考えられている。本発明では、遮光領域に法線方向の光に対する光学的濃度の勾配を形成することで、回折現象を抑制し、前記光漏れを軽減している。
図2は遮光領域に光学的濃度の勾配がない従来の光学フィルタ(i)と遮光領域に光学的濃度の勾配が設けられた本発明の光学フィルタ(ii)それぞれを用いた場合について、回折光強度を求めた計算結果である。ここで回折光強度の計算は、例えば、応用物理工学選書 応用光学I(鶴田匡夫著、培風館)のp165に記載されているフレネル・キルヒホッフの回折積分を用いて行うことができる。
これによれば遮光領域に光学的濃度の勾配がない光学フィルタ(i)に法線方向から偏光を入射すると、図2中、(i)の曲線で示す通り、透過領域の幅を超えた部分に上記回折現象によって、ある程度の光強度が観測される。一方、光学的濃度に勾配のある本発明の光学フィルタ(ii)について同様に観察すると、図2中(ii)の曲線で示す通り、透過領域の幅を超えると、光強度はほとんど0になり、回折現象による光漏れが抑制されている。
遮光領域の光学濃度は、濃度計によって測定することができ、光学濃度に勾配があるか否かは、濃度値の変化によって判断することができる。
遮光領域に光学的濃度の勾配を形成する方法については特に限定されない。主には、遮光領域の形状によって、及び遮光領域の材料によって、光学的濃度の勾配を形成することができるが、これらに限定されるものではない。
前者の方法としては、前記遮光領域の厚みに勾配をもたせて、それによって光学的濃度に勾配をもたせる方法がある。図3に、遮光領域の厚みの勾配によって光学的濃度に勾配を形成した光学フィルタの例を示す。図3(a)及び(b)は、図1(c)と同様の2つの破線で切断した部分の側面図である。図3(a)では、遮光領域14’の厚みは、透過領域12との接点において最も小さく、面内の矢印yの方向に沿って連続的に増加している。また、図3(b)では、遮光領域14”の厚みは、透過領域12との接点において最も小さく、面内の矢印yの方向に沿って間断のある不連続増加している。その結果、法線方向(矢印z)からの入射光に対する光学的濃度は、図1(c)に示す通り、透過領域12との接点が最小になり、矢印yの方向に沿って増加する。
図4に、遮光領域の形状によって光学的濃度に勾配を形成した光学フィルタの他の例を示す。図4(a)は、図1(b)同様、破線で囲んだ部分の拡大図である。図4(a)に示す光学フィルタは、遮光領域14’’’の透過領域12との接面が、波形状となっている。その波形は、光学フィルタが使用される際に入射する光の波長より短い波長周期の波形である。遮光領域14’’’の接面が波長よりも短いピッチの波形となっているので、遮光領域14’’’の法線方向からの光が照射される平均面積は、透過領域12との接点において最も小さくなり、面内の矢印x、y方向に沿って増加する。その結果、遮光領域14’’’の法線方向(矢印z)の光に対する光学的濃度は、同方向(矢印x、y)に沿って増加する。本態様では、遮光領域14’’’の厚み方向の形状については特に制限されず、図4(b)に示す通り、一様な厚みであってもよいし、図4(c)及び(d)に示す通り、厚みについても勾配させてもよい。また、接面の形状は波形状のみならず、透過領域12方向に面積が減少している形状であればよく、例えば、三角形状の繰り返し等の形状であってもよい。
遮光領域の材料によって、光学的濃度を勾配させる方法としては、光吸収性化合物の濃度が勾配している領域を形成する方法が挙げられる。より具体的には、遮光領域の形成には、例えば、黒色着色剤が用いられるが、この黒色着色剤の濃度を、透過領域との接点において最も低濃度とし、図1(c)中の矢印x、y方向に沿って、その濃度を増加させるのが好ましい。光吸収性化合物の濃度について勾配のある領域を形成するには、例えば、インクジェットを用いた場合、射出する塗布量を調節する又は塗布回数を変える等の方法が利用できる。使用可能な黒色着色剤の例については、後述する。
上記では、説明を容易にするために、一つの透過領域のみを図面中に示したが、一般的には、光学フィルタは、複数の透過領域がマトリックス状に配置された構造であり、各透過領域の間に遮光領域が配置されている。本発明の光学フィルタの一態様はカラーフィルタである。カラーフィルタの一態様では、透過領域として、RGBに着色され、R光、G光及びB光のみをそれぞれ透過させるRGB透過領域がマトリックス状に配置され、その周りに遮光領域としてブラックマトリックスが形成された構造である。カラーフィルタの態様では、RGB透過領域のそれぞれは一般的には矩形状をしていて、その長辺は100〜500μm程度、及び短辺は30〜200μm程度である。RGB透過領域は、一般的には30〜50μm程度の間隔で規則的に配置され、この間隔に、遮光領域であるブラックマトリックスが形成される。ブラックマトリックスの厚みは一般的には0.5〜2μm程度である。カラーフィルタの態様では、上記光学濃度の勾配は、1〜10μm程度の長さ続いているのが好ましく、3〜6μm程度の長さ続いているのがより好ましい。光学濃度の勾配を、図3(a)及び(b)に示す通り、ブラックマトリックスの厚みの勾配によって形成する場合は、透過領域との接点において可能な範囲で厚みを小さくし、最終的に上記範囲の厚みまで増加させるのが好ましい。また、図4に示す通り、ブラックマトリックスの面を波形状にする場合は、その周期が可視光域の光の波長よりも短くするのが好ましい。
図3及び4に示した様な微細構造の作製には、パターニング用マスクを用いたフォトリソグラフィー等の技術を利用することができる。
以下、本発明の光学フィルタの作製に用いられる種々の材料、方法等について詳細に説明する。
本発明の光学フィルタ中の遮光領域は、黒色感光性樹脂組成物から形成することができる。前記黒色観光性樹脂組成物としては、例えば、(A)黒色着色剤の少なくとも1種、(B)現像液に可溶な樹脂、及び(C)光重合系材料を少なくとも含有する感光性樹脂組成物が挙げられる。
(A)黒色着色剤
・顔料
本発明では、黒色着色剤として、顔料の少なくとも1種を用いることが好ましい。顔料は一般に有機顔料と無機顔料とに大別されるが、本発明において好適に使用される顔料の例としては、特開2005−17716号公報[0038]〜[0040]に記載の色材や、特開2005−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料や、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に記載の着色剤を挙げることができる。
前記顔料の中でも、カーボンブラック、チタンブラック、又は黒鉛が好適なものとして挙げられる。中でも、本発明においては、遮光性及びコストの観点から、着色剤の少なくとも1種がカーボンブラックであることが好ましい。
カーボンブラックの例としては、Pigment Black(ピグメント・ブラック)7(カーボンブラック C.I.No.77266)が好ましい。市販品として、三菱カーボンブラック MA100(三菱化学(株)製)、三菱カーボンブラック #5(三菱化学(株)製)が挙げられる。
チタンブラックの例としては、TiO2、TiO、TiNやこれらの混合物が好ましい。市販品として、三菱マテリアルズ(株)製の(商品名)12Sや13Mが挙げられる。チタンブラックの平均粒径は40〜100nmが好ましい。
黒鉛の例としては、粒子径がストークス径で3μm以下のものが好ましい。3μm以下の黒鉛を用いることで、遮光パターンの輪郭形状が均一になり、シャープネスが良好になる。また、0.1μ以下の粒子径を有する粒子の存在比率が70%以上であることが好ましい。
前記顔料は、下記の金属系微粒子と併用して用いる場合、色相と補色関係にあるものを用いることが望ましい。また、顔料は1種でも2種以上を組み合せて用いてもよい。好ましい顔料の組合せとしては、赤色系及び青色系の互いに補色関係にある顔料混合物と黄色系及び紫色系の互いに補色関係にある顔料混合物との組合せや、前記の混合物に更に黒色の顔料を加えた組合せや、青色系と紫色系と黒色系との顔料の組合せを挙げることができる。
顔料の球相当直径は、5nm以上5μm以下が好ましく、特に10nm以上1μm以下が好ましく、更にカラーフィルタ用としては、20nm以上0.5μm以下が好ましい。
・金属粒子又は金属を有する粒子
前記黒色着色剤の少なくとも1種として、金属粒子又は金属を有する粒子(以下、「金属系微粒子」ということがある)を用いるのもまた好ましい。これにより、薄膜で高い光学濃度が得られる表示装置用遮光膜を形成することができる。
金属粒子、金属を有する粒子における金属としては、特に限定されず、いかなるものを用いてもよい。金属粒子は、2種以上の金属を組合せてなるものであってもよく、合金からなるものであってもよい。また、金属を有する粒子は、少なくとも1種の金属を有する金属化合物粒子であればよく、金属と金属化合物との複合粒子でもよい。
金属粒子としては、特に長周期律表(IUPAC 1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる金属を主成分(60質量%以上)として含むことが好ましい。また、第2〜14族からなる群から選ばれる金属を含有することが好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族からなる群から選ばれる金属を主成分として含むことがより好ましい。これらの金属のうち、金属粒子としては、第4周期、第5周期、又は第6周期の金属であって、第2族、第10族、第11族、第12族、又は第14族の金属の粒子が更に好ましい。
前記金属粒子を構成する好ましい金属の例としては、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、カルシウム、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。更に好ましい金属は、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、カルシウム、イリジウム、及びこれらの合金、より好ましい金属は、銅、銀、金、白金、パラジウム、錫、カルシウム、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種であり、特に好ましい金属は、銅、銀、金、白金、錫、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種である。とりわけ銀又はその合金が好ましく(銀としてはコロイド銀が好ましい)、銀錫合金部を有する粒子が最も好ましい。銀錫合金部を有する粒子については後述する。
・金属化合物粒子
「金属化合物」とは、前記金属と金属以外の他の元素との化合物である。金属と他の元素との化合物としては、金属の酸化物、硫化物、硫酸塩、炭酸塩などが挙げられ、金属化合物粒子としてはこれらの粒子が好適である。中でも、色調や微粒子形成のしやすさから、硫化物の粒子が好ましい。
金属化合物の例としては、酸化銅(II)、硫化鉄、硫化銀、硫化銅(II)、チタンブラックなどがあるが、色調、微粒子形成のしやすさや安定性の観点から、硫化銀が特に好ましい。
・複合粒子
複合粒子は、金属と金属化合物とが結合して1つの粒子になったものをいう。例えば、粒子の内部と表面で組成の異なるもの、2種の粒子が合一したもの等を挙げることができる。また、金属化合物と金属とはそれぞれ1種でも2種以上であってもよい。
金属化合物と金属との複合微粒子の具体例としては、銀と硫化銀の複合微粒子、銀と酸化銅(II)の複合微粒子などが好適に挙げられる。
本発明における金属微粒子は、コア・シェル型の複合粒子(コアシェル粒子)であってもよい。コア・シェル型の複合粒子(コアシェル粒子)とは、コア材料の表面をシェル材料でコートしたものであり、その具体例として、特開2006−18210号公報の段落番号[0024]〜[0027]に記載のコア・シェル微粒子が挙げられる。
・銀錫合金部を有する粒子
前記金属系微粒子の少なくとも1種は、銀錫合金部を有する粒子であることが好ましい。銀錫合金部を有する粒子としては、銀錫合金からなるもの、銀錫合金部分とその他の金属部分からなるもの、及び銀錫合金部分と他の合金部分からなるものを含む。
銀錫合金部を有する粒子において、少なくとも一部が銀錫合金で構成されていることは、例えば、(株)日立製作所製のHD−2300とノーラン(Noran)社製のEDS(エネルギー分散型X線分析装置)とを用いて、加速電圧200kVによる各々の粒子の中心15nm□エリアのスペクトル測定により確認することができる。
銀錫合金部を有する粒子は、黒濃度が高く、少量であるいは薄膜で優れた遮光性能を発現し得ると共に、高い熱安定性を有するので、黒濃度を損なうことなく高温(例えば200度以上)での熱処理が可能であり、安定的に高度の遮光性を確保することができる。例えば、高度の遮光性が要求され、一般にベーク処理が施されるカラーフィルタ用の遮光膜(いわゆるブラックマトリクス)などに好適である。
銀錫合金部を有する粒子は、錫(Sn)に対する銀(Ag)の割合を30〜80モル%としてAgと錫(Sn)とを複合化(例えば合金化)して得られるものが好ましい。Agの割合を特に前記範囲とすることで、高温域での熱安定性が高く、光の反射率を抑えた高い黒濃度を得ることができる。特に、Agの割合が75モル%である粒子、すなわちAgSn合金粒子は作製が容易であり、得られた粒子も安定で好ましい。
銀錫合金部を有する粒子は、坩堝などの中で加熱、溶融混合して形成する等の一般的方法で合金化する等して形成することが可能であるが、Agの融点は900℃付近で、Snの融点は200℃付近であって両者の融点に大きな差があるうえ、複合化(例えば合金化)後の微粒子化工程が余分に必要になることから、粒子還元法によるのが好ましい。すなわち、Ag化合物とSn化合物とを混合し、これを還元するものであり、金属Agと金属Snを同時に接近した位置で析出させ、複合化(例えば合金化)と微粒子化とを同時に達成する方法である。Agは還元されやすく、Snよりも先に析出する傾向にあるため、Ag及び/又はSnを錯塩にすることにより析出タイミングをコントロールすることが好適である。
前記Ag化合物としては、硝酸銀(AgNO3)、酢酸銀(Ag(CH3COO))、過塩素酸銀(AgClO4・H2O)、等が好適に挙げられる。中でも特に、酢酸銀が好ましい。前記Sn化合物としては、塩化第一錫(SnCl2)、塩化第二錫(SnCl4)、酢酸第一錫(Sn(CH3COO)2)、等が好適に挙げられる。中でも特に、酢酸第一錫が好ましい。
還元は、還元剤を用いる方法、電解により還元する方法等を好ましい還元方法として挙げることができる。中でも、還元剤を用いた前者による方法が、微細な粒子が得られる点で好ましい。前記還元剤としては、CTAB、アスコルビン酸、ハイドロキノン、カテコール、パラアミノフェノール、パラフェニレンジアミン、ヒドロキシアセトンなどが挙げられる。中でも、揮発しやすく、表示装置に悪影響を与えにくい点で、ヒドロキシアセトンが特に好ましい。
前記金属系微粒子は、市販のものを用いることができるほか、金属イオンの化学的還元法、無電解メッキ法、金属の蒸発法等により調製することが可能である。
例えば、棒状の銀微粒子は、球形銀微粒子を種粒子としてその後、銀塩を更に添加し、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)等の界面活性剤の存在下でアスコルビン酸など比較的還元力の弱い還元剤を用いることにより、銀棒やワイヤーが得られる。これは、Advanced Materials 2002,14,80−82に記載がある。また、同様の記載が、Materials Chemistry and Physics 2004,84,197−204、Advanced Functional Materials 2004,14,183−189になされている。
また、電気分解を用いた方法として、Materials Letters 2001,49,91−95やマイクロ波を照射することにより銀棒を生成する方法がJournal of Materials Research 2004,19,469−473に記載されている。逆ミセルと超音波の併用した例として、Journal of Physical Chemistry B 2003,107,3679−3683が挙げられる。
金に関しても同様に、Journal of Physical Chemistry
B 1999,103、3073−3077及びLangmuir1999,15,701−709、Journal of American Chemical Society 2002,124,14316−14317に記載されている。
棒状の粒子の形成方法は、前記記載の方法を改良(添加量調整、pH制御)しても調製できる。
前記金属系微粒子は、より無彩色に近づけるために、色々な種類の粒子を組み合わせることにより得ることができる。例えば、粒子形状を球形や立方体から平板状(六角形、三角形)、棒状へ変化させたものを組み合わせることにより、より高い透過濃度を得ることができろ。このような金属系微粒子を用いることで遮光層を形成した際に薄膜化を図ることができる。
前記金属系微粒子の粒度分布としては、粒子の分布を正規分布近似し、その数平均粒子径の粒度分布幅D90/D10が、1.2以上50未満であることが好ましい。ここで、粒子径は長軸長さLを粒子直径としたものであり、D90は平均粒径に近い粒子の90%が見出される粒子直径であり、D10は平均粒径に近い粒子の10%が見出される粒子直径である。粒度分布幅は色調の観点から、好ましくは2以上30以下であり、更に好ましくは4以上25以下である。分布幅が1.2未満であると色調が単色に近くなる場合があり、50以上であると粗大粒子による散乱によって濁りが生じる場合がある。
なお、前記粒度分布幅D90/D10の測定は、具体的には、膜中の金属粒子を後述する三軸径を測定する方法にてランダムに100個測定し、長軸長さLを粒子直径とし、粒径分布を正規分布近似し、平均粒子径に近い粒子の数で90%の範囲となる粒子直径をD90とし、平均粒子径から数で10%の範囲となる粒子直径をD10とすることで、D90/D10を算出することができる。
前記金属系微粒子としては、金属粒子、合金を含む粒子又は金属化合物粒子が好ましく、銀粒子、銀合金を含む粒子又は銀化合物粒子がより好ましく、銀錫合金部を有する粒子が最も好ましい。
前記金属系微粒子の数平均粒子径は0.1μm以下が好ましく0.08μm以下がさらに好ましく、0.05μm以下が特に好ましい。粒子の数平均粒子径が0.1μm以下であると、表面平滑性が良好で、且つ、粗大粒子によるブツ故障も少なくなる利点がある。
前記金属系微粒子は、組成物中において安定な分散状態で存在していることが好ましく、例えば、コロイド状態であることがより好ましい。コロイド状態の場合には、例えば、金属微粒子が実質的に微粒子状態で分散されていることが好ましい。ここで、実質的に分散しているとは、一次粒子が凝集又は軟凝集せず個々に独立に分散している状態をいう。
分散を行なう際の分散剤や、本発明の組成物に配合してもよい添加剤としては、特開2005−17322号公報の段落番号[0027]〜[0031]に記載の分散剤や添加剤が、本発明においても好適なものとして挙げられる。
前記感光性組成物における黒色着色剤の含有量としては、ポストベークなどの工程が付加される可能性を考慮し、金属系微粒子が融着するのを防止することを考慮すると、形成された遮光層の質量に対して10〜90質量%程度、好ましくは10〜80質量%になるように調節することが好ましい。また、黒色着色剤の含有量は、金属系微粒子や顔料の平均粒径による光学濃度の変動を考慮して決定するのが好ましい。
(B)現像液に可溶な樹脂
感光性組成物は、アルカリ水溶液で現像可能なものと、有機溶剤で現像可能なものとがある。安全性と現像液のコストとの点からは、アルカリ水溶液で現像可能なものが好ましい。かかる点から、前記現像液に可溶な樹脂は、アルカリ可溶性樹脂から選択されるのが好ましい。
前記アルカリ可溶性樹脂の例として、pKa3.0以下の酸に由来の基を少なくとも1種有する樹脂が挙げられる。ここで酸のpKaは25℃、無限希釈水溶液中での酸解離指数を意味する。酸のpKaは、例えば、日本化学会編、「化学便覧基礎編」改訂3版、丸善(株)、昭和59年6月、II−338に記載されている値を参照することができる。
pKa3.0以下の酸に由来の基としてはスルホン酸基、硫酸基、リン酸基、ホスホン酸基及びリン酸アミド基などが挙げられる。中でも、欠け欠陥改良、樹脂の溶剤への溶解性の観点から、リン酸基、ホスホン酸基及びリン酸アミド基から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、下記一般式(I)〜(III)のいずれかで表される単量体から
得られる繰り返し単位の少なくとも1種を有することが好ましい。アルカリ可溶性樹脂は、下記一般式(I)〜(III)のいずれかで表される単量体の少なくとも1種と、リン酸
、ホスホン酸及びリン酸アミド以外の酸性基を有する単量体の少なくとも1種と、を共重合することによって製造された重合体であることがより好ましい。
<一般式(I)〜(III)のいずれかで表される単量体>
Figure 0005058847
式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ
素、塩素、臭素等)又は炭素原子数が1乃至6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。R1、R2及びR3は、より好ましくは水素原子又は炭素原子
数が1乃至3のアルキル基であり、最も好ましくは、水素原子又はメチル基である。更に、R2及びR3は、水素原子であることが特に好ましい。
Xは、酸素原子(−O−)又はイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
Lは、単結合又は2価の連結基である。2価の連結基としては、2価の脂肪族基(例えば、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(例えば、アリーレン基、置換アリーレン基)、2価の複素環基及びそれらと酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ基(−NR−、Rは脂肪族基、芳香族基又は複素環基)又はカルボニル基(−CO−)との組合せ等が挙げられる。
前記2価の脂肪族基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。前記脂肪族基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。脂肪族基は不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
前記2価の芳香族基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜10が最も好ましい。また、前記芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
前記2価の複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R、Rは脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
本発明において、Lは単結合、アルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であることが好ましい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造であることがより好ましい。また、Lはオキシアルキレン構造を2以上繰り返して含むポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造としてはポリオキシエチレン構造又はポリオキシプロピレン構造が好ましい。ポリオキシエチレン構造は、−(OCH2CH2n−で表され、nは、2以上の整数が好ましく、2〜10の整数であることがより好ましい。
Zは、リン酸又はホスホン酸構造を有する官能基を表し、リン酸基、ホスホン酸基又はリン酸アミド基であることが好ましい。また、Yは、メチン基又は窒素原子を表す。
4、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)又は炭素原子数が1乃至6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、Z又は−L−Zを表す。ここでL及びZは、上記におけるものと同義である。R4、R5及びR6としては、水素原子又は炭素数が1乃至3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
本発明においては、上記一般式(I)で表される単量体として、R1、R2及びR3が水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であって、Xが酸素原子又はイミノ基であって、Zがリン酸、ホスホン酸又はリン酸アミドである化合物が好ましい。また、上記一般式(II)で表される単量体として、R1、R2及びR3が水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zがリン酸、ホスホン酸又はリン酸アミドであって、Yがメチン基である化合物が好ましい。また、上記一般式(III)で表される単量体として、R4、R5及びR6が水素原子又はメチル基であって、Lが単結合又はアルキレン基であって、Zがリン酸、ホスホン酸又はリン酸アミドである化合物が好ましい。
以下に、式(I)〜(III)で表される代表的な化合物の例を示す。
Figure 0005058847
アルカリ可溶性樹脂における、一般式(I)〜(III)のいずれかで表される単量体から得られる繰り返し単位の含有量は、感光性組成物の基板への密着性と欠け欠陥の発生抑制の観点から、0.05〜30質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.2〜15質量%が更に好ましい。
前記アルカリ可溶性樹脂は、リン酸、ホスホン酸及びリン酸アミド以外の酸性基を有する単量体(以下、「酸性基を有する単量体」)から得られる繰り返し単位を含むことが好ましい。
酸性基としてはカルボン酸基(カルボキシル基)、スルホン酸基及びその他の活性水素を有する基などが挙げられるが、溶解性やアルカリ現像性の観点から、カルボキシル基が好ましい。
単量体は分子内に付加重合性二重結合を有する化合物である。分子内に付加重合性二重結合と酸性基とを有する化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ダイマー、アクリル酸オリゴマー、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)とコハク酸無水物の反応物、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、4−ビニル安息香酸などが挙げられる。中でも、他の成分との共重合性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸及び4−ビニル安息香酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
前記アルカリ可溶性樹脂における酸性基を有する単量体から得られる繰り返し単位の含有量は、適度なアルカリ現像時間に調整可能である点で、2〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、8〜20質量%が最も好ましい。
前記アルカリ可溶性樹脂は、一般式(I)〜(III)のいずれかで表される単量体及び酸性基を有する単量体以外の、付加重合可能なその他の単量体を少なくとも1種含んでいてもよい。
その他の単量体は、一般式(I)〜(III)のいずれかで表される単量体及び酸性基を有する単量体と、共重合可能な単量体から任意に選ぶことができる。具体的には、シアン化ビニル(例えば、(メタ)アクリロニトリル及びα−クロロアクリロニトリルなど)、カルボン酸ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル及びギ酸ビニルなど)、脂肪族共役ジエン(例えば、1,3‐ブタジエン及びイソプレンなど)、(メタ)アクリル酸のアルキル、アラルキル若しくはアリールエステル(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレートなど)、(メタ)アクリル酸置換アルキルエステル(例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなど)、アルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、n−ブチル(メタ)アクリルアミド、tert−ブチル(メタ)アクリルアミド及びtert−オクチル(メタ)アクリルアミドなど)、置換アルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド及びジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなど)、重合性オリゴマー(例えば、片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートなど)等が挙げられる。
前記その他の単量体は、1種単独で用いても2種以上を組合せて用いてもよい。
本発明に用いられるアルカリ可溶性樹脂におけるその他の単量体から得られる繰り返し単位の含有量は、0〜90質量%が好ましく、10〜90質量%がより好ましく、60〜90質量%が更に好ましい。
前記アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は5000から200000の範囲内であることが好ましい。この範囲内であるとアルカリ現像性、得られたパターンの耐溶剤性が良好である。さらに7000から100000の範囲内がより好ましく、10000から70000内の範囲が更に好ましい。
前記アルカリ可溶性樹脂の好ましい具体例(例示化合物JS−1〜JS−22)を示す。
Figure 0005058847
Figure 0005058847
Figure 0005058847
上記例示化合物JS−1〜JS−22において、a〜eは、アルカリ可溶性樹脂におけるそれぞれのモノマー単位の含有量を質量%で表したものである。aは、アルカリ可溶性樹脂における一般式(I)〜(III)のいずれかで表される単量体から得られる繰り返し単位の含有量を表す。基板密着性改良と残渣低減のバランス及び欠け欠陥の抑制の観点から、aは、0.05〜30質量%の範囲内であることが好ましく、0.1〜20質量%の範囲内であることがより好ましく、0.2〜15質量%の範囲内であることが最も好ましい。
b〜eは、酸価及びI/O値の観点から、任意に調節することができる。前記樹脂は、30〜400mgKOH/gの範囲内の酸価を有するものを選択することが好ましい。
さらに、前記JS−1〜JS−22において、本発明の好ましい共重合比の具体的化合物を表1に示す。
Figure 0005058847
前記感光性組成物の全固形分に対する前記樹脂の含有量は、5〜95質量%が好ましく、10〜90質量%がより好ましい。樹脂の含有量が前記範囲内であることにより、感光性組成物層の粘着性が高すぎることもなく、形成される層の強度及び光感度が劣ることもない。
(C)光重合系材料
(C)光重合系材料は、光照射によって重合して硬化し、現像液に不溶となる材料である。通常は、光重合開始剤及び重合性モノマーを含む。
・光重合開始剤
前記光重合開始剤としては、特開2006−23696号公報の段落番号[0012]、[0013]に記載の公知の開始剤を用いることができるが、中でもアミノアセトフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系及びオキシムエステル系からなる群より選択される少なくとも1種の光重合開始剤が好ましい。また、必要に応じて、光重合開始助剤を含有してもよい。
アミノアセトフェノン系の開始剤の具体例として、IRGACURE(Irg)369や、IRGACURE(Irg)379、及び、IRGACURE(Irg)907等(何れもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系の開始剤の具体例として、DAROCUR TPOや、Irgacure(Irg)819等(何れもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)が挙げられる。
オキシムエステル系の開始剤の具体例として、IRGACURE(Irg) OXE01や、CGI242等(何れもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)が挙げられる。上述の開始剤の構造を以下に示す。
Figure 0005058847
Figure 0005058847
Figure 0005058847
上記の光重合開始剤は、1種単独で用いる以外に2種類以上を組合せて用いてもよい。また、感光性組成物の全固形分に対する光重合開始剤の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。該含有量が前記範囲内であると、光感度や画像強度の低下を防止でき、充分に性能を向上させることができる。
前記(C)光重合系材料は、必要に応じて光重合開始助剤を含有していてもよい。光重合開始助剤は、前記光重合開始剤と組み合わせて用いられ、光重合開始剤によって重合が開始された光重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物である。光重合開始助剤としては、少なくとも1種のアミン系化合物を含むことが好ましい。
前記のアミン系化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられ、中でも4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。また、複数のアミン系やその他の光重合開始助剤を組み合わせて使用してもよい。その他の光重合開始助剤としては、例えば、アルコキシアントラセン系化合物、チオキサントン系化合物、クマリン系化合物などが挙げられる。
前記のアルコキシアントラセン系化合物としては、例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。
前記のチオキサントン系化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
前記のクマリン系化合物としては、例えば、7−[2−[4−(3−ヒドロキシメチルビペリジノ)−6−ジエチルアミノ]トリアジニルアミノ]−3−フェニルクマリンなどが挙げられる。
また、光重合開始助剤として市販のものを用いることもでき、市販の光重合開始助剤としては、例えば、商品名「EAB−F」(保土谷化学工業(株)製)などが挙げられる。
前記感光性組成物における光重合開始助剤の使用量は、光重合開始剤1質量部あたり0.6質量部以上10質量部以下が好ましく、さらに1質量部以上8質量部以下であることが好ましく、とりわけ1.5質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
・エチレン性二重結合を有する付加重合性モノマー
前記「エチレン性二重結合を有する付加重合性モノマー(以下、単に「モノマー」とも言う。)」は、付加重合することで現像液に不溶な樹脂となり得るモノマーを意味する。
前記モノマーとしては、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン若しくはグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシドを付加反応させた後で(メタ)アクリレート化したもの等の多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。
更に、特公昭48−41708号、同50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、同52−30490号の各公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレートやメタクリレートを挙げることができる。これらの中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
前記モノマーは、1種単独で用いても2種以上を組合せて用いてもよい。
前記モノマーの感光性組成物の全固形分に対する含有量は、1〜50質量%が一般的であり、5〜40質量%が好ましい。該含有量が前記範囲内にあると、光感度や画像の強度も低下せず、感光性組成物層の粘着性が過剰になることもない。
前記感光性組成物には、前記(A)〜(C)以外に、更に必要に応じて、公知の添加剤、例えば、可塑剤、界面活性剤、熱重合防止剤、密着促進剤、分散剤、垂れ防止剤、レベリング剤、消泡剤、難燃化剤、光沢剤、溶剤等を添加することができる。その他の成分としては、特開2006−23696号公報の段落番号[0016]〜[0021]に記載のその他の添加剤を用いることができる。
前記遮光領域は、前記黒色感光性樹脂組成物を塗布液として調製し、該塗布液を基板表面に塗布乾燥し、フォトマスク等を介して露光し、その後、現像により非露光部(感光性組成物の種類によっては露光部)を除去することで作製することができる。塗布の方法については特に制限されず、スピナー、ホワイラー、ローラーコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、ワイヤーバーコーター、エクストルーダー等の種々の塗布機を用いて塗布することができる。その他、前記遮光領域は、転写法、又はインクジェット法などを利用して作製することもできる。転写法では、例えば、上記黒色感光性樹脂組成物からなる黒色層を仮支持体上に形成して作製した転写材料を利用することができる。また、インクジェット法では、上記黒色着色剤を、(C)光重合系材料、及び所望によりバインダ、界面活性剤等とともに溶媒中に溶解及び/又は分散させて調製したインク液を用いることができる。
本発明の光学フィルタをカラーフィルタとして作製する場合は、前記遮光領域はRGB着色領域を隔てるブラックマトリックスとなる。また、前記遮光領域は、電極として機能していてもよい。電極として機能する遮光領域は、蒸着法等を利用して、形成された金属膜であってもよい。
本発明の光学フィルタをカラーフィルタとして作製する場合は、透過領域をR色、G色及びB色に着色する。RGB透過領域は、上記遮光領域と同様、例えば、R色、G色、及びB色感光性樹脂組成物をそれぞれ用いて作製することができる。前記各色の感光性樹脂組成物は、上記黒色感光性樹脂組成物の(A)黒色着色剤を、R色、G色及びB色着色剤にそれぞれ置き換えることで調製することができる。各色の着色剤の例には、有機顔料、有機色素、フラーレン、ポリジアセチレン、ポリイミドなどの高分子有機材料、芳香族炭化水素もしくは脂肪族炭化水素(例えば、配向性を有する芳香族炭化水素もしくは脂肪族炭化水素、又は昇華性を有する芳香族炭化水素もしくは脂肪族炭化水素)などからなる粒子が含まれる。中でも、各色の着色剤が、有機ナノ粒子であるのが好ましい。各色に着色された有機ナノ粒子は、例えば、各色の着色剤である有機材料を良溶媒に溶解した有機材料溶液と、前記良溶媒と相溶性でありかつ前記有機材料に対しては貧溶媒となる溶媒とを混合し析出させて製造することができる。
また、前記各色の透過領域は、前記遮光領域と同様、転写法、又はインクジェット法を利用して作製することもでき、使用する材料についても、遮光領域の形成に用いられる材料と同様であり、前記黒色着色剤を、各色の着色剤に置き換えて調製することができる。
本発明は、カラーフィルタ、天体観測用レンズ等種々の用途に適用することができる。特に、偏光が入射した際の回折現象が抑制されているので、偏光板とともに用いられる用途、例えば、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタとしての用途に適する。
[液晶表示装置]
本発明は、液晶セルと、偏光板と、本発明の光学フィルタとを少なくとも有する液晶表示装置にも関する。以下に、本発明の液晶表示装置について説明する。本発明は、従来の様々なモードの液晶表示装置のいずれにも利用することができる。様々なモードの液晶表示装置については、例えば、内田龍雄監修「反射型カラーLCD総合技術」((株)シーエムシー、1999年刊)、「フラットパネルディスプレイの新展開」((株)東レリサーチセンター調査部門、1996年刊)、「液晶関連市場の現状と将来展望(上巻)、(下巻)」(富士キメラ総研(株)、2003年刊)等に記載されているものが挙げられる。
本発明の液晶表示装置の一態様は、VAモード液晶表示装置である。以下、本態様について説明する。
(VAモード液晶表示装置)
図5に示す液晶表示装置は、偏光板PL1及びPL2と、その間に液晶セルLC(105〜107)を有する。上偏光板PL1は、偏光子102と、その表面に保護フィルム101及び103を有し;及び下偏光板PL2は、偏光子110と、その表面に保護フィルム109及び111を有する。さらに、上偏光板PL1と液晶セルLCとの間、及び下偏光板PL2と液晶セルLCとの間には、それぞれ光学異方性層104及び108が配置されている。光学異方性層104及び108は、複屈折性のポリマーフィルムであっても、液晶組成物の配向状態を固定して形成された膜であってもよい。複屈折性のポリマーフィルムである場合は、保護フィルム103及び109を省略することができる。
液晶セルLCは、上下電極基板105及び107と、その間に液晶層106を有する。液晶層106は、誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度の液晶(例えばメルク社製のMLC−6608)材料を含み、電圧無印加時に、液晶分子が基板面に対しておおむね垂直(例えば約89°)に配向する。液晶層106の厚みdと屈折率異方性Δnの積Δndの大きさは、0.2〜0.5μm程度であるのが好ましく、0.25〜0.35μm程度であるのが好ましい。Δndは液晶層106の厚み(ギャップ)によって調整してもよく、例えば、ポリマビーズ、ガラスビーズ、ガラスファイバー、樹脂製の柱状スペーサ等を利用してギャップを所望の範囲にすることができる。液晶セルLCは、上下電極基板105及び107のいずれか一方の内面に、本発明の光学フィルタであるRGBカラーフィルタ(図中不図示)を有する。
上偏光子102の吸収軸と下偏光子110の吸収軸とは、概略直交になっている。電極基板105及び107に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶層106中の液晶分子は、基板面に対しておおむね垂直に配向し、その結果液晶セルを通過する光の偏光状態はほとんど変化しない。すなわち、図5の液晶表示装置は、非駆動状態において理想的な黒表示を実現する。これに対し、駆動状態では、液晶分子は電極基板面に略平行に傾斜し、液晶パネルを通過する光はこの傾斜した液晶分子により偏光状態を変化させる。換言すると、液晶表示装置では、駆動状態において白表示が得られる。
VAモードの特徴は、高速応答であることと、コントラストが高いことである。しかし、コントラストは正面(表示面に対して法線方向)では高いが、斜め方向では低いという課題がある。上記した通り、黒表示時に液晶分子は基板面におおむね垂直に配向している。正面から観察すると、液晶分子の複屈折はほとんどないため黒表示の透過率は低く、高コントラストが得られる。しかし、斜めから観察した場合は液晶分子に複屈折が生じる。さらに上下偏光子の吸収軸の交差角が、正面では90°の直交であるが、斜めから観察した場合は90°からずれる。この2つの要因のために斜め方向では、黒表示時に漏れ光が生じ、コントラストが低下する。光学異方性層104及び108は、この黒表示時の斜め方向における光漏れを軽減する作用がある。
さらに、カラーフィルタの透過領域と遮蔽領域の回折現象によっても黒表示時に光漏れが生じる。図5の液晶表示装置は、カラーフィルタとして本発明の光学フィルタを備えているので、このカラーフィルタに起因する光漏れも軽減されている。その結果、通常のカラーフィルタを利用したVAモード液晶表示装置と比較して、黒表示時の光漏れが軽減され、高いコントラストを実現可能である。
なお、白表示時には液晶分子が傾斜しているが、傾斜方向とその逆方向では、斜めから観察した時の液晶分子の複屈折の大きさが異なり、輝度や色調に差が生じる場合がある。これを解決するためには、液晶表示装置の一画素を複数の領域に分割するマルチドメインと呼ばれる構造にすることができる。
図5では、誘電率異方性が負の液晶材料を使用した例を示したが、正の誘電率異方性を使用したVAモード液晶表示装置においても、本発明は同様に効果がある。その態様では、電極を一方の基板にのみ形成し、電界が基板面に平行の横方向に印加させる。またVAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル材の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
(TNモード液晶表示装置)
本発明の液晶表示装置の一態様は、TNモード液晶表示装置である。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献の記載が挙げられる。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。本態様の液晶表示装置は、TNモード液晶セル、及び該液晶セルの基板のいずれか一方の内面に本発明の光学フィルタであるカラーフィルタを有する。
(IPSモード液晶表示装置)
本発明の液晶表示装置の一態様は、IPSモード液晶表示装置である。
IPSモードの液晶セルでは、液晶分子を基板に対して常に水平面内で回転させるモードで、電界無印加時には電極の長手方向に対して若干の角度を持つように配向されている。電界を印加すると電界方向に液晶分子は向きを変える。液晶セルを挟持する偏光板を所定角度に配置することで光透過率を変えることが可能となる。液晶分子としては、誘電率異方性Δεが正または負のネマチック液晶を用いる。IPSモード液晶セルのΔn・dは、0.25μm〜0.32μm程度とするのが好ましい。また液晶セルには、ネマチック液晶が利用される。本態様の液晶表示装置は、IPSモード液晶セル、及び該液晶セルの基板のいずれか一方の内面に本発明の光学フィルタであるカラーフィルタを有する。また、IPSモードの一態様として、2層の電極間に生じる横電界を利用して液晶分子を水平面内で回転させるFFS(Fringe Field Switching)モードもある。
(その他の液晶モード)
本発明は、他のモードの液晶表示装置においても、同様に効果が得られる。他の液晶モードの例には、STNモード及びECBモードが含まれる。
以下に実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<液晶表示装置の作製及び評価>
・ カラーフィルタ(CF)の作製
−ブラックマトリクス用ハーフトーンフォトマスクの作製−
図6に示すハーフトーンフォトマスクを作製した。このハーフトーンフォトマスクは、着色層のパターンに相当する部分が遮光部、ブラックマトリクスの中央に相当する部分が透明の開口部、及びブラックマトリクスの端に相当する部分がハーフトーンになっているフォトマスクであった。開口部の幅の長さは30μm、遮光部の幅の長さは50μm、及びハーフトーン部の幅の長さを3μmとした。このハーフトーンフォトマスクを使用して、図6に示す通り、ガラス基板上にブラックマトリックを作製した。具体的には以下の方法で形成した。
−ブラック(K)画像の形成−
無アルカリガラス基板を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。該基板を120℃3分熱処理して表面状態を安定化させた。
該基板を冷却し23℃に温調後、スリット状ノズルを有するガラス基板用コーター(平田機工(株)製)にて、色感光性樹脂組成物K1を塗布した。引き続きVCD(真空乾燥装置:東京応化工業(株)製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性をなくした後、120℃3分間プリベークして膜厚2.4μmの感光性樹脂層K1を得た。
超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)で、基板と前記作製したハーフトーンフォトマスクを垂直に立てた状態で、露光マスク面と該感光性樹脂層の間の距離を200μmに設定し、露光量300mJ/cm2でパターン露光した。
次に純水をシャワーノズルにて噴霧して、該感光性樹脂層K1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(KOH、ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロマテリアルズ(株)製)にて23℃80秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し、パターニング画像を得た。引き続き、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行い、更に超純水をシャワーノズルで両面から吹き付けて、付着している現像液や前記感光性樹脂層溶解物を除去し、エアーナイフにて液切りを行い、ブラック(K)の画像(ブラックマトリックス)を得た。引き続き、220℃で30分間熱処理した。
遮光性能は光学濃度(OD)を指標にすることができる。ブラックマトリックスのOD値を、マクベス濃度計(Kollmorgen製、TD−904)で測定したところ、中央部ではOD値が3.8となり、端ではOD値が2.7となり、光学濃度の勾配が形成されていることを確認した。
また、図3(a)及び(b)に示す勾配を有するブラックマトリックスも、上記と同様にして作製した。但し、ハーフトーン部の濃度を変えるディザ法を利用したハーフトーンマスクを上記ハーフトーンマスクの代わりに用いた。
また、図4(a)に示す端部が波形状のブラックマトリックスも、上記と同様にして作製した。但し、波形状のスリットを有するマスクを、上記ハーフトーンマスクの代わりに用いた。
−レッド(R)画素の形成−
前記Kの画像を形成した基板に、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。該基板を120℃3分熱処理して表面状態を安定化させた。
該基板を冷却し23℃に温調後、スリット状ノズルを有するガラス基板用コーター(平田機工(株)製)にて、赤色感光性樹脂組成物R1を塗布した。引き続きVCD(真空乾燥装置:東京応化工業(株)製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性をなくした後、120℃3分間プリベークして膜厚1.6μmの感光性樹脂層R1を得た。
超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)で、基板とマスク(画像パターンを有する石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該感光性樹脂層の間の距離を200μmに設定し、露光量300mJ/cm2でパターン露光した。
次に純水をシャワーノズルにて噴霧して、該感光性樹脂層R1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(KOH、ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロマテリアルズ(株)製)にて23℃80秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し、パターニング画像を得た。引き続き、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行い、更に超純水をシャワーノズルで両面から吹き付けて、付着している現像液や前記感光性樹脂層溶解物を除去し、エアーナイフにて液切りを行い、レッド(R)の画像を得た。引き続き、220℃で30分間熱処理した。
該感光性樹脂層R1の膜厚は1.6μmであり、顔料C.I.ピグメント・レッド254及びC.I.ピグメント・レッド177の塗布量はそれぞれ、0.88、0.22g/m2であった。
−グリーン(G)画素の形成−
前記Kの画像とR画素を形成した基板に、緑色感光性樹脂組成物G3を用い、前記R画素の形成と同様の工程で、基板状にG画素を形成した。該感光性樹脂層G3の膜厚は1.6μmであり、顔料C.I.ピグメント・グリーン36及びC.I.ピグメント・イエロー150の塗布量はそれぞれ、1.12及び0.48g/m2であった。
−ブルー(B)画素の形成−
前記K画像、R画素及びG画素を形成した基板に、青色感光性樹脂組成物B3を用い、前記R画素の形成と同様の工程で、B画素を形成した。
該感光性樹脂層B3の膜厚は1.6μmであり、顔料C.I.ピグメント・ブルー15:6及びC.I.ピグメント・バイオレット23の塗布量はそれぞれ、0.63及び0.07g/m2であった。
・ 液晶表示装置の作製
上記より得たカラーフィルタ基板のR画素、G画素、及びB画素並びにブラックマトリクスの上に更に、ITO(Indium Tin Oxide)の透明電極をスパッタリングにより形成した。次いで、特開2006−64921号公報の実施例1に従い、前記で形成したITO膜上の隔壁(ブラックマトリックス)上部に相当する部分にスペーサを形成した。スペーサの高さは3.5umとした。
別途、対向基板としてガラス基板を用意しITO透明電極をスパッタリングにより形成した。その後、カラーフィルタ基板の透明電極上及び対向基板上の透明電極をそれぞれPVAモード用にジグザグのスリットパターニングをウエットエッチングにより形成した。ジグザグの角度は90度、ジグザグピッチは100μm、電極幅は20μm、スリット幅は3μmとした。さらに、ITO膜上に更にポリイミドよりなる垂直配向膜(JSR社製:AL−1H659)を塗工、熱焼成した。
その後、カラーフィルタの画素群を取り囲むように周囲に設けられたブラックマトリクス外枠に相当する位置に紫外線硬化樹脂のシール剤をディスペンサ方式により塗布し、メルク社のPVAモード用液晶MLC6886を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた基板をUV照射した後、紫外線処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。次いで、赤色(R)LEDとしてFR1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、緑色(G)LEDとしてDG1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、青色(B)LEDとしてDB1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)を用いてサイドライト方式のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置とした。
[比較例]
実施例1でカラーフィルタ基板の作製において、ブラックマトリクスの形成時に、ハーフ部のないマスクを使用した以外は、同様にしてカラーフィルタ基板を作製し、該カラーフィルタ基板を用いた以外は、実施例1と同様にして、液晶表示装置を作製した。遮光性能はマクベス濃度計(Kollmorgen製、TD-904)で測定したところ、ブラックマトリクスの中央部と端でOD値に差はなく3.7であった。
[評価]
−黒表示の光強度の測定−
実施例1及び比較例1で作製した液晶表示装置のそれぞれを、黒表示(すなわち無電圧状態)および、白状態(カラーフィルタ基板と対向基板の透明電極間の印加電圧=5Vの状態)で、正面の輝度を色彩輝度計((株)トプコン製BM−5)を用いて測定した。その結果を以下の表に示す。
Figure 0005058847
実施例1の液晶表示装置は、比較例の液晶表示装置と比較して、黒状態の輝度が軽減したことによりコントラストが1614から1754に向上した。この結果は、図2の(i)と(ii)の比較によって明確な、カラーフィルタの遮光領域と透過領域との境界部で生じる回折が、実施例1では軽減されたことによるものであることが理解できる。
また、図3(a)、(b)および図4(a)のブラックマトリクス形状を有する液晶表示装置についても評価した結果、同様にコントラストが向上していることを確認した。
本発明の光学フィルタの一例の上面図(a)、その一部の拡大図(b)及びその一部の側面図である。 遮光領域に光学的濃度の勾配がない従来の光学フィルタ(i)と遮光領域に光学的濃度の勾配が設けられた本発明の光学フィルタ(ii)それぞれを用いた場合について、回折光強度を求めた計算結果を示すグラフである。 本発明の光学フィルタの例の一部の側面図である。 本発明の光学フィルタの例の一部の拡大図(a)及び側面図(b)〜(d)である。 VAモード液晶表示装置の一例の構成を示す模式図である。 実施例で行ったカラーフィルタ基板の作製工程の一部についての模式図である。
符号の説明
12 透過領域
14、14’、14”、14’’’ 遮光領域
z 法線方向
x、y 光学フィルタ面内の任意の方向
101、103、109、111 保護フィルム
102、110 偏光子
104、108 光学異方性層
105、107 液晶セル基板
106 液晶層
LC 液晶セル
PL1、Pl2 偏光板

Claims (7)

  1. 所定の波長の光を透過する透過領域と、透過領域と接して配置され、該光を遮光する遮光領域とを有し、前記遮光領域は、黒色着色剤を用いて形成されており、前記遮光領域に前記透過領域との接点から面内の任意の方向に沿って、前記黒色着色剤の濃度の勾配が設けられており、該濃度が、前記透過領域との接点において最もいことを特徴とする光学フィルタ。
  2. 所定の波長の光を透過する透過領域と、透過領域と接して配置され、該光を遮光する遮光領域とを有し、前記遮光領域に前記透過領域との接点から面内の任意の方向に沿って、法線方向の光に対する光学的濃度の勾配が設けられており、該光学的濃度が、前記透過領域との接点において最も小さく、前記遮光領域の前記透過領域との接面の少なくとも一部が、使用時に入射する光の波長より短い周期の波形状を有することを特徴とする光学フィルタ。
  3. 前記法線方向の光に対する光学的濃度の勾配が、前記遮光領域の厚みの勾配によって形成されていることを特徴とする請求項に記載の光学フィルタ。
  4. 前記遮光領域の厚みが、前記透過領域との接点から、前記面内の任意の方向に、連続的又は非連続的に増加していることを特徴とする請求項に記載の光学フィルタ。
  5. 前記遮光領域が、ブラックマトリックス又は電極であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  6. 前記光学フィルタが、カラーフィルタであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  7. 液晶セルと、偏光板と、請求項1〜のいずれか1項に記載の光学フィルタとを少なくとも有する液晶表示装置。
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