JP7003773B2 - カラーフィルタ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、透明性基板上にブラックマトリクス、着色画素が形成されたカラーフィルタ、及びその製造方法に関する。
液晶表示装置などの表示装置において、カラー表示、反射率の低減、コントラストの調整、分光特性制御などの目的にカラーフィルタを用いることは有用な手段となっている。表示装置に用いられるカラーフィルタは、多くの場合、画素形成のために用いられる。表示装置に用いられるカラーフィルタの画素を形成する方法として、これまで実用化されてきた方法には、印刷法、フォトリソグラフィ法などが挙げられる。
液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの製造方法としては、先ず、透明性基板上に所定の形状の開口部を有するブラックマトリクス(以下、BM)を形成し、次に、透明性基板上のBMの開口部に位置合わせして着色画素を形成し、さらにオーバーコート層、透明導電膜を順次形成する方法が広く用いられている。
BMは遮光性を有し、その開口部にて透明性基板上での着色画素の位置を定め、着色画素の大きさを均一なものとしている。また、表示装置に用いられる際に、好ましくない光を遮蔽し、表示装置の画像をムラのない均一な、且つコントラストの向上した画像にする機能を有している。
BMの形成は、例えば、透明性基板上に、ネガ型の黒色レジストの塗布膜を設け、この塗布膜へのフォトマスクを介したパターン露光、現像によって不要な部分のレジストを除去し、残存したレジストにてBMを形成するフォトリソグラフィ法がとられている。黒色レジストの膜厚は必要な光学濃度を得るようにしている。
着色画素は、例えば、赤色、緑色、青色のフィルタの機能を有するものであり、BMが形成された透明性基板上に、顔料などの色素を分散させたネガ型の着色レジストの塗布膜を設け、この塗布膜へのフォトマスクを介した露光、現像によって着色画素を形成するフォトリソグラフィ法がとられる。
図6に、フォトリソグラフィ法によりBMを形成し、さらにフォトリソグラフィ法により画素を形成するプロセスを模式的に示す。ここで、BMの膜厚が1.0μm~1.5μmと厚くなると、着色レジストの塗布において、着色レジストがBM上に乗り上げる現象が起こる。
次に、着色画素パターンの形成を行うが、着色画素とBMの間に隙間ができないように、BMと着色画素とが重なり部をもつよう、着色画素を形成するためのマスクパターンの遮光部幅はBM線幅よりも小さく設計されている。このため、露光後はBM上に乗り上げた着色レジストが硬化し、BMの端部に着色画素の盛り上がり部(ツノ部)が発生する。
乗り上げ部の高さ、従ってツノ部の高さを低減するためには、BMの断面形状は垂直であるよりも、図6の下方に示すように、スロープをもつ順テーパー形状である方がよい。逆に逆テーパー形状であると、着色レジストがBM上に乗り上げてツノ段差ができたときBMの端部下では着色画素が薄くなっており、光漏れが発生することになる。
近年、画像表示装置の高機能化によって、液晶表示装置には、広視野角、高速応答性が
求められている。広視野角、高速応答の液晶表示装置としては横電界駆動(IPS:In Plane Switching)方式の液晶表示装置が適している。
求められている。広視野角、高速応答の液晶表示装置としては横電界駆動(IPS:In Plane Switching)方式の液晶表示装置が適している。
IPS方式のカラーフィルタではツノ段差を覆う平坦化層としてオーバーコート層を成膜しカラーフィルタ上のツノ段差に起因した表示品質への悪影響を軽減する。しかしながら、オーバーコート層を設けても、ツノ段差自身が消失する訳ではないため、ツノ段差とオーバーコート層の膜厚を合計した総膜厚が大きくなって、光路が長くなり、斜め視認性が不利になる、という問題がある。
図7には、BMを形成後に、1色目、2色目、3色目の着色画素を形成し、さらにオーバーコート層OCを形成した後の形態を示している。ここで、1色目の着色画素の形成において、BMの端部にツノ段差ΔH1が生じている。
2色目の着色画素の形成においては、前記のツノ段差ΔH1の影響を受けて、さらに高いツノ段差ΔH2を生じている。また、3色目の着色画素の形成においては、2色目の着色画素の形成によるツノ段差の影響を受けて、同様に高いツノ段差ΔH3を生じている。特に近年は、カラーフィルタの着色画素は高色域化が進み厚膜化しており、ツノ段差の影響はより大きな問題となっている。
BMの端部にツノ段差が形成されたカラーフィルタを液晶表示装置に用いると、液晶の転傾などによる表示不良、或いは画素周辺部での光漏れや混色によるコントラストの低下や斜め視認性の悪化など、表示品質に悪影響を及ぼすことになる(図7参照)。
ツノ段差を低くする手法としては、例えば、a)オーバーコート層を形成する前に、カラーフィルタの表面を研磨してツノ段差を低くする方法(特許文献1)、b)BMの膜厚を低く形成しておく方法、c)着色画素形成の際のフォトマスクの遮光部幅を広めにしてBM端部での着色画素の重なり部幅を小さくする方法、あるいはd)BM側面のテーパー部の長さを大きくしてスロープを緩やかにし、ツノ段差を低くする方法などが考えられる。
しかしながら、前記a)カラーフィルタの表面を研磨する方法では、画素の表面にキズが生じるという問題、b)BMの膜厚を低くする方法では、BMの光学濃度が不足するという問題、また、c)着色画素の重なり部幅を小さくする方法では、着色画素を形成する際の位置ズレによっては、BMと着色画素との間に白抜けが発生するといった問題が伴う。また、d)の方法ではツノ段差は低くなるものの、テーパー角が大きくなり平面状に近づくため、斜め視認性が悪化する一要因となる。
そこで、斜め視認性を改善する方法として、BMとツノ段差とオーバーコート層膜厚を含んだカラーフィルタの総膜厚を薄膜化することやツノ段差を低くすること以外に、BMの膜厚を高膜厚化し、ツノ部を発生しにくくするとともに、斜め入射光の遮光性を上げる方法が考えられる。図8に、BMを高膜厚化した形態で順テーパー形状のBMを形成し、斜め視認性を改善する様態を示す。
しかしながら、BM材料はカーボンを多く含み透過率が低いため、フォトリソグラフィにおいて高膜厚のBMの下部では露光光である紫外線の強度が低くなるので、高膜厚のBMパターンでは順テーパー形状の形成は難しく、逆テーパー形状になり好ましくない、という問題がある。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、高膜厚のBMが形成されるとともに、斜め視認性が改善されるカラーフィルタ及びその製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、透明性基板上に、ブラックマトリクス、着色画素が形成されたカラーフィルタにおいて、
前記ブラックマトリクスの膜厚は、前記着色画素の膜厚よりも大きく、
前記ブラックマトリクスは、2層以上の積層体形状のブラックマトリクスからなり、
前記積層体形状ブラックマトリクスの少なくとも1層の断面形状は逆テーパー形状である、ことを特徴とするカラーフィルタとしたものである。
前記ブラックマトリクスの膜厚は、前記着色画素の膜厚よりも大きく、
前記ブラックマトリクスは、2層以上の積層体形状のブラックマトリクスからなり、
前記積層体形状ブラックマトリクスの少なくとも1層の断面形状は逆テーパー形状である、ことを特徴とするカラーフィルタとしたものである。
請求項2に記載の発明は、前記積層体形状のブラックマトリクスの線幅は、上層のブラックマトリクスほど小さい、ことを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタとしたものである。
ここで、前記線幅とは、膜厚方向の中心を通る線により定まる線幅とする。
ここで、前記線幅とは、膜厚方向の中心を通る線により定まる線幅とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1、または2に記載のカラーフィルタの製造方法であって、部分的に透過率が異なるハーフトーンマスクを用いて、前記積層体形状のブラックマトリクスを作製する、ことを特徴とするカラーフィルタの製造方法としたものである。
本発明によれば、高膜厚のBMが形成でき、ツノ段差が抑制されるとともに、画素内の着色画素の膜厚均一性が向上し、平坦化のためのオーバーコート層の膜厚が薄膜化される。これらにより、斜め視認性が改善されるカラーフィルタ及びその製造方法が得られる。
以下、本発明の実施形態に係るカラーフィルタ及びその製造方法について図面を用いて説明する。同一の構成要素については便宜上の理由がない限り同一の符号を付ける。各図面において、見易さのため構成要素の厚さや比率は誇張されていることがあり、構成要素の数も減らして図示していることがある。また、本発明はその主旨を逸脱しない範囲で、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明のカラーフィルタの断面構造例(後述の第1形態のBMを用いている)と、斜め視認性を改善する様態を説明するための模式断面図である。図1を、図8の従来のカラーフィルタでBMを高膜厚化し順テーパー形状のBMを形成した仮想形態で斜め視認性を改善する場合と比較すると、図1においては実際に高膜厚BMが形成され、従って斜め視認性が改善される。
加えて、本発明のカラーフィルタでは、1色目、2色目、3色目の着色画素いずれも、図8の従来のカラーフィルタのような、BMに近づくにつれて着色画素の膜厚が急速に大きくなる現象が緩和され、画素内の着色画素の膜厚均一性が向上している。これにより、平坦化のためのオーバーコート層の膜厚は、図8の場合よりも薄膜化され、斜め視認性上有利となる。また、色特性の均一性も向上する。
図2は、本発明のカラーフィルタで用いるBMの(a)第1形態1、(b)第2形態2を説明するための模式断面図である。第1形態1、第2形態2のBMいずれにおいてもその膜厚は着色画素の膜厚よりも大きく、いずれにおいても2層以上の積層体形状のBMからなっており、ここでは3層の場合を例示している。
また積層体形状の第1形態1、第2形態2のBMいずれにおいて、少なくとも1層の断面形状は逆テーパー形状であり、ここでは(a)第1形態1では2段目のBM1-2及び3段目のBM1-3が逆テーパー形状、(b)第2形態2では1~3段目のBM2-1~2-3すべてが逆テーパー形状である場合を例示している。
図3は、(a)従来のカラーフィルタと、(b)本発明のカラーフィルタとで、BMが高膜厚のときの着色画素の膜厚均一性の違いを説明するための模式断面図である。(a)従来のカラーフィルタでは、BM膜厚が高膜厚のとき、既述のように、断面形状が順テーパー形状のBMは作ることが難しく、図のような逆テーパー形状となる。この場合、高膜厚BMであるのでツノ部は発生しにくい。
一般に、着色レジストなどのネガレジストの硬化は、露光光を吸収してラジカルになった開始剤が、周辺のモノマーと重合して進行する。図3(a)の従来のカラーフィルタでBMの断面形状が逆テーパー形状の場合、塗布された着色レジストはBM側壁に達した後は、専ら、D1の矢印で示す上方向に向かって反応が進行していく。
これに対して、図3(b)の本発明のカラーフィルタでは、BM側壁は多段の逆テーパー形状でオーバーハング形状になっているため、D2の矢印で示す横方向に向かって反応が進行することができる。従って、本発明のカラーフィルタでは、画素内の着色画素の膜厚均一性が向上し、色特性の均一性も向上する。仮に着色レジストがBM上に乗り上げたとしてもツノ段差の高さは従来のカラーフィルタよりも低くなる。それ故、平坦化のためのオーバーコート層の膜厚が薄膜化され、斜め視認性の改善に有利となる。
本発明のカラーフィルタで、BM側壁の多段の逆テーパー形状によるオーバーハング形状を利用し、横方向に向かって反応を進行させ、画素内の着色画素の膜厚均一性を、より効率よく向上させるためには、積層体形状のBMの線幅は、上層のBMほど小さいことが望ましい。ここで、線幅とは、図2(a)、(b)の3段目のBMである1-3、2-3
で例示する膜厚方向の中心(t1=t2)を通る線Cにより定まる線幅とする。すなわち、w3<w2<w1であることが望ましい。
で例示する膜厚方向の中心(t1=t2)を通る線Cにより定まる線幅とする。すなわち、w3<w2<w1であることが望ましい。
図4は、本発明のカラーフィルタの製造方法の第1方法に係り、第1形態のBMを形成するための(a)フォトマスクパターンの模式平面図、(b)形成される第1形態のBM1を示す模式断面図である。ここで用いるフォトマスクは、部分的に透過率が異なる領域を有するハーフトーンマスク(グレーマスク、階調マスクとも称される)である。
前記ハーフトーンマスクは、遮光部と透過部に加えて、透過部の外周部に透過部よりも透過率が低いグレー部2、さらにグレー部2の外周部にグレー部2よりも透過率が低いグレー部1を備えている。該ハーフトーンマスクを用い、1回の露光により、透過部で3段目のBM1-3、グレー部2で2段目のBM1-2、グレー部1で1段目のBM1-1を形成し、第1形態のBM1を形成する。この際、グレー部1で例えば垂直形状の1段目のBM1-1が形成されるような露光量としておくことで、グレー部2ではオーバー露光、透過部ではさらなるオーバー露光となる。
オーバー露光となった2段目のBM1-2の形成では、黒色レジストの表面へ近いほど重合反応が過剰に進行するので2段目のBM1-2の断面形状は逆テーパー形状となる。透過部ではさらなるオーバー露光となるため、3段目のBM1-3は2段目のBM1-2よりもテーパー角の大きい逆テーパー形状となる。ここで、テーパー角とは、BMの側壁の端点を結ぶ線と、透明性基板面へ下した垂線との成す角度とする。また、同様に露光量の違いにより、膜厚は3段目のBM1-3がもっとも厚く、2段目のBM1-2、1段目のBM1-1の順に薄くなる。
このように、積層体形状のBMで、上層のBMほどテーパー角が大きく、また膜厚が厚くなるように形成することは、既述の逆テーパー形状によるオーバーハング形状を利用し、画素内の着色画素の膜厚均一性をより確実に向上させるために好ましい。
図5は、本発明のカラーフィルタの製造方法の第2方法に係り、第2形態のBMを作製するための(a)(b)(c)フォトマスクパターンの模式平面図、(d)作製される第2形態のBM2を示す模式断面図である。第2方法では、このように3枚のフォトマスク1、2、3を用い、3回の露光を行い、個別に1段目のBM2-1、2段目のBM2-2、3段目のBM2-3を形成し、第2形態のBM2を形成する。
3枚のフォトマスク1、2、3の透過部の線幅は、フォトマスク1がもっとも大きく、フォトマスク2、フォトマスク3の順に次第に小さくしておく。加えて、3回の露光いずれにおいてもオーバー露光となる露光量とすることにより、図2(b)に示す形態の、3層ともに逆テーパー形状で、w3<w2<w1の線幅関係にある第2形態のBM2を形成することができる。
以上、本発明のカラーフィルタの製造方法によれば、第1方法においてはグレー部1及びのグレー部2の透過率と線幅、並びに露光量、第2方法においては各段目用のマスクの透過部の線幅、及び各段目用の露光量を好適化することで、各段目の逆テーパー形状のテーパー角と線幅を適宜調整することができるので、製品仕様に応じて斜め視認性が改善されたカラーフィルタが得られる。
本発明のカラーフィルタ及びその製造方法は、高い表示品質が求められる高精細液晶表示装置、及びそれを構成するカラーフィルタ基板、液晶表示パネルに好適に用いることができる。
1・・・・・本発明のカラーフィルタで用いる第1形態のブラックマトリクス
1-1・・・第1形態のブラックマトリクスの1段目
1-2・・・第1形態のブラックマトリクスの2段目
1-3・・・第1形態のブラックマトリクスの3段目
2・・・・・本発明のカラーフィルタで用いる第2形態のブラックマトリクス
2-1・・・第2形態のブラックマトリクスの1段目
2-2・・・第2形態のブラックマトリクスの2段目
2-3・・・第2形態のブラックマトリクスの3段目
10・・・・第1形態のブラックマトリクスを用いた本発明のカラーフィルタ
1-1・・・第1形態のブラックマトリクスの1段目
1-2・・・第1形態のブラックマトリクスの2段目
1-3・・・第1形態のブラックマトリクスの3段目
2・・・・・本発明のカラーフィルタで用いる第2形態のブラックマトリクス
2-1・・・第2形態のブラックマトリクスの1段目
2-2・・・第2形態のブラックマトリクスの2段目
2-3・・・第2形態のブラックマトリクスの3段目
10・・・・第1形態のブラックマトリクスを用いた本発明のカラーフィルタ
Claims (3)
- 透明性基板上に、ブラックマトリクス、着色画素が形成されたカラーフィルタにおいて、
前記ブラックマトリクスの膜厚は、前記着色画素の膜厚よりも大きく、
前記ブラックマトリクスは、2層以上の積層体形状のブラックマトリクスからなり、
前記積層体形状ブラックマトリクスの少なくとも1層の断面形状は逆テーパー形状である、ことを特徴とするカラーフィルタ。 - 前記積層体形状のブラックマトリクスの線幅は、上層のブラックマトリクスほど小さい、ことを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
ここで、前記線幅とは、膜厚方向の中心を通る線により定まる線幅とする。 - 請求項1、または2に記載のカラーフィルタの製造方法であって、
部分的に透過率が異なるハーフトーンマスクを用いて、前記積層体形状のブラックマトリクスを作製する、ことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
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WO2014203794A1 (ja) | 2013-06-17 | 2014-12-24 | 東レ株式会社 | 積層樹脂ブラックマトリクス基板の製造方法 |
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