JP5056660B2 - 車両の動力伝達系の共振判定装置 - Google Patents

車両の動力伝達系の共振判定装置 Download PDF

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Description

この発明はデュアルマスフライホイールを介して動力を伝達する車両の動力伝達系の共振判定装置に関する。
エンジンの出力変動が駆動系に伝達されるのを抑制するためにデュアルマスフライホイールを使用する技術が知られている。デュアルマスフライホイールは、プライマリフライホイールとセカンダリフライホイールとをバネなどの弾性体により接続されたものであり、2つのフライホイールは弾性体の弾性力により相対回転を許容されている。プライマリフライホイールにはエンジンの出力軸であるクランクシャフトが連結されており、セカンダリフライホイールには変速機の入力軸が連結されている。エンジンの出力変動は、2つのフライホイールの間に接続されている弾性体により吸収される。
しかしながら、デュアルマスフライホイールは、2つのフライホイールの接続手段として弾性体を用いているため共振回転速度が存在し、共振が生じた場合は2つのフライホイール間での相対回転角が大きくなり衝突が生じ、場合によってはデュアルマスフライホイールに損傷を与える可能性がある。
このようなデュアルマスフライホイールの共振を抑制する技術として特許文献1がある。特許文献1では、内燃機関の回転速度が共振回転速度領域に所定時間とどまっていた場合、燃料停止や減量により共振回転速度領域から離脱させている。
特開2005−54601号公報(第5−9頁、図2−5)
しかしながら、上述のようなデュアルマスフライホイールの振動特性は、クラッチの係合状態や変速機の変速段など、セカンダリフライホイールと車輪との間の動力伝達状態により変化する。そのため、上記の特許文献1のように一定の共振判定条件を満たした時に共振であると判定する場合、動力伝達状態によっては共振の判定が遅れたり、共振していないのに共振である、又は共振しているのに共振でない、といった誤判定をしたりする可能性がある。
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、動力伝達状態が変更されてもデュアルマスフライホイールの共振を精度よく判定することのできる車両の動力伝達系の共振判定装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、デュアルマスフライホイールが備えられ、振動特性が異なる複数の動力伝達状態を有する車両の動力伝達系の共振判定装置において、動力伝達系の動力伝達状態に基づいて変更される共振判定条件を満たした時に共振状態であると判定することをその要旨とする。
上記構成によれば、動力伝達系の動力伝達状態に基づいて変更される共振判定条件を満たした時に共振状態であると判定するため、動力伝達状態が変更されることで振動特性が変化しても高い精度で共振状態であることを判定できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、動力伝達系は車輪軸に動力を伝達する伝動状態と車輪軸に動力を伝達しない遮断状態とに切替可能であり、複数の動力伝達状態は伝動状態と遮断状態とを含むことをその要旨とする。
車輪軸は動力伝達径の中でも回転軸方向の長さが長いため、動力伝達系を構成する他の部材と比較して回転方向のねじりが発生しやすい。そのため、車輪軸に動力が伝達されない場合の振動特性は車輪軸のねじりによる影響を受けないが、車輪軸に動力が伝達される場合の振動特性は車輪軸のねじりによる影響を受ける。その結果、異なる振動特性を持つ。
上記構成によれば、伝動状態と遮断状態とを含む動力伝達状態に基づいて共振判定条件を変更するため、振動特性が変化しても高い精度で共振状態であることを判定できる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、共振判定条件は平均エンジン回転速度と共振判定回転速度との偏差が所定回転速度未満であることを含んでおり、伝動状態である場合は遮断状態である場合よりも共振判定回転速度が高いことをその要旨とする。
車輪軸に動力が伝達されない場合は、デュアルマスフライホイールのバネにより振動し、車輪軸に動力が伝達される場合はデュアルマスフライホイールのバネと車輪軸のねじりとにより振動する。一般に、車輪軸のねじりによる回転方向の弾性力の弾性係数は、デュアルマスフライホイールのバネの弾性係数よりも大きいため、デュアルマスフライホイールのバネに起因する共振回転速度は上昇する。
上記構成によれば、共振判定条件には平均エンジン回転速度と共振判定回転速度との偏差が所定回転速度未満であることが含まれており、伝動状態である場合は遮断状態である場合よりも共振判定回転速度が高いため、振動特性の違いが大きく現れる共振回転速度を用いて高い精度で共振判定を行うことができる。
具体的には、請求項4に記載の発明によるように、動力伝達系に変速機と変速機への動力を伝達・遮断することが可能な係合装置とが備えられ、伝動状態は係合装置が動力を伝達するとともに変速機が動力を伝達する変速段を形成している状態であり、遮断状態は変速機が動力を遮断する変速段を形成している状態であるといった態様を採用できる。
具体的には、請求項5に記載の発明によるように、動力伝達系に変速機と変速機への動力を伝達・遮断することが可能な係合装置とが備えられ、伝動状態は係合装置が動力を伝達するとともに変速機が動力を伝達する変速段を形成している状態であり、遮断状態は係合装置が動力を遮断する状態であるといった態様を採用できる。
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、動力伝達系に変速機と変速機への動力を伝達・遮断することが可能な係合装置とが備えられ、複数の動力伝達状態は、係合装置が動力を遮断する第1状態と、係合装置が動力を伝達するとともに変速機が動力を遮断する変速段を形成している第2状態と、係合装置が動力を伝達するとともに変速機が動力を伝達する変速段を形成している第3状態と、を含むことをその要旨とする。
係合装置が動力を遮断する第1状態の場合、デュアルマスフライホイールのバネにより、クランクシャフトから係合装置までの間で振動が起こる。係合装置が動力を伝達するとともに変速機が動力を遮断する変速段を形成している第2状態の場合、少なくとも変速機の入力軸までは動力が伝達されるため、慣性モーメントの大きさが第1状態と異なる。また、係合装置が動力を伝達するとともに変速機が動力を伝達する変速段を形成している第3状態の場合、車輪軸に動力が伝達されるため、車輪軸のねじりが振動特性に影響を及ぼす。さらに、この第3状態の場合、第1状態及び第2状態と比較して慣性モーメントの大きさも異なる。そのため、第3状態の場合は、第1状態および第2状態と異なる振動特性を持つ。その結果、上述の第1状態、第2状態、第3状態は、それぞれ異なる振動特性を持つ。
上記構成によれば、第1状態、第2状態、第3状態を含む動力伝達状態に基づいて共振判定条件を変更するため、振動特性が変化しても高い精度で共振状態であることを判定できる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、共振判定条件は平均エンジン回転速度と共振判定回転速度との偏差が所定回転速度未満であることを含んでおり、第1状態である場合の共振判定回転速度は、第2状態である場合よりも高く、第3状態である場合よりも低いことをその要旨とする。
係合装置が動力を遮断する第1状態である場合は、係合装置が動力を伝達するとともに変速機が動力を遮断する変速段を形成している第2状態である場合と比較して、デュアルマスフライホイールよりも車輪側の慣性モーメントが小さい。そのため、第1状態である場合は、第2状態である場合よりも、その慣性モーメントの差に起因する共振回転速度が高い。また、第1状態である場合は、係合装置が動力を伝達するとともに変速機が動力を伝達する変速段を形成している第3状態である場合と比較して、デュアルマスフライホイールよりも車輪側の慣性モーメントが小さい。しかし、一般に車輪軸のねじりが有する弾性係数はデュアルマスフライホイールのバネの弾性係数よりも大きいため、第1状態におけるデュアルマスフライホイールのバネに起因する共振回転速度は、第3状態における共振回転速度よりも低い。
上記構成によれば、共振判定条件は平均エンジン回転速度と共振判定回転速度との偏差が所定回転速度未満であることを含んでおり、第1状態である場合の共振判定回転速度は、第2状態である場合よりも高く、第3状態である場合よりも低いため、振動特性の違いが大きく現れる共振回転速度を用いて高い精度で共振判定を行うことができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発明において、エンジンのクランキング中は共振状態であると判定することを禁止することをその要旨とする。
クランキング中は、エンジン回転速度が共振回転速度と一致してもエンジン回転速度はさらに上昇するため、エンジン回転速度が共振回転速度に留まらない。そのため、共振が起こりにくく、共振判定を行う必要性が低い。
上記構成によれば、クランキング中は共振状態であると判定することを禁止するため、共振が起こりにくい状態において判定を禁止することで誤判定を防止することができる。
以下、この発明にかかる車両の動力伝達系の共振判定装置を具体化した実施形態について、図1〜8を参照して説明する。
図1は、この発明にかかる車両の動力伝達系の共振判定装置を搭載した車両のパワートレーンを示す概略構成図である。
車両は、エンジン1と、手動変速機3と、ディファレンシャルギヤ5と、ドライブシャフト7と、駆動輪9(前輪)と、ECU(Electronic Control Unit)11とを含む。本発明に係る車両の動力伝達系の共振判定装置は、ECU11により実現される。
エンジン1は、燃焼室に燃料を供給するインジェクタと同燃焼室に吸入される空気量を調節する電子スロットルバルブ13とを備えている。インジェクタの燃料噴射量と電子スロットルバルブ13の開度はそれぞれECU11により制御されており、燃焼室で燃料と空気との混合気が燃焼させられることによりシリンダ内のピストンが押し下げられて、クランクシャフトが回転させられる。
エンジン1の出力軸であるクランクシャフトにはクラッチ15を介して手動変速機3が連結されており、回転駆動力の伝達・遮断が可能となっている。クラッチ15は運転者のクラッチペダルC操作により係合状態(伝達状態)と開放状態(遮断状態)が選択される。
クランクシャフトにおけるエンジン1とクラッチ15の間には、デュアルマスフライホイール17が連結されている。デュアルマスフライホイール17は、プライマリフライホイールとセカンダリフライホイールとをバネにより接続されたものであり、2つのフライホイールはバネの弾性力により相対回転を許容されているとともにエンジン1の出力変動が駆動系に伝達されるのを抑制している。
クラッチ15を介して回転駆動力が伝達される手動変速機3は、1つの回転軸に設けられた複数のギヤがもう1つの回転軸に設けられたギヤと噛み合った構造になっている。運転者がシフトレバーSを所定の変速段を選択する位置に操作すると、シフトケーブルを介してシフトフォークがスライドし、運転者の選択した変速段を形成するためのギヤが回転駆動力を伝達するようになる。
手動変速機3の出力軸は、ディファレンシャルギヤ5を介して左右のドライブシャフト7と連結され、左右の駆動輪9に回転駆動力を伝達することを可能にしている。ディファレンシャルギヤ5は、手動変速機3の出力軸の回転速度を所定の終減速比で減速するとともに、左右の駆動輪9に回転駆動力を分配することを可能にしている。
以下に、ECU11と各センサの構成について述べる。
ECU11には、車速センサ19と、シフトレバーSのポジションスイッチ21と、アクセルペダルAのアクセル開度センサ23と、ブレーキペダルBのストロークセンサ25と、電子スロットルバルブ13のスロットル開度センサ27と、エンジン回転速度センサ29と、T/M入力軸回転速度センサ31と、クラッチペダルCの踏力センサ33とがハーネスなどを介して接続されている。
車速センサ19は、ドライブシャフト7の回転速度から車両の速度を検知し、検知結果を表す信号をECU11に送信する。
シフトレバーSの位置は、ポジションスイッチ21により検知され、検知結果を表す信号がECU11に送信される。
アクセル開度センサ23は、アクセルペダルAの開度(踏み込み量)を検知し、検知結果を表す信号をECU11に送信する。
ストロークセンサ25は、ブレーキペダルBのストローク量を検知し、検知結果を表す信号をECU11に送信する。
スロットル開度センサ27は、アクチュエータにより開度が調整される電子スロットルバルブ13の開度を検知し、検知結果を表す信号をECU11に送信する。
エンジン回転速度センサ29は、エンジン1の出力軸であるクランクシャフトの回転速度を検知し、検知結果を表す信号をECU11に送信する。
T/M入力軸回転速度センサ31は、手動変速機3の入力軸回転速度Nを検知し、検知結果を表す信号をECU11に送信する。
踏力センサ33は、クラッチペダルCの踏力を検知し、検知結果を表す信号をECU11に送信する。
ECU11は、車速センサ19、ポジションスイッチ21、アクセル開度センサ23、ストロークセンサ25、スロットル開度センサ27、エンジン回転速度センサ29、T/M入力軸回転速度センサ31、などから送られてきた信号を入力し、ROM(Read Only Memory)に記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、車両が所望の走行状態となるように、エンジン1および機器類を制御する。
ここで、請求項に記載の構成要素が実施形態においてどの構成要素に相当するのかを説明すると、係合装置はクラッチ15、車両の動力伝達系の共振判定装置はECU11、に相当する。
ところで、上記のように動力伝達系にデュアルマスフライホイール17が連結されている車両においては、デュアルマスフライホイール17のバネに起因する共振が起こる場合がある。共振が起こるときのエンジン回転速度(共振回転速度)は、プライマリフライホイール及びセカンダリフライホイールの慣性モーメントや、デュアルマスフライホイール17のバネの弾性係数、動力伝達系に他の弾性力を持つ部材がある場合にはその部材の弾性係数、などによって変化する。一般には、セカンダリフライホイールの慣性モーメントをプライマリフライホイールよりも大きくすることで、共振回転速度を非常用使用域であるアイドル回転速度未満になるように設計してある。
しかしながら、動力伝達系の共振回転速度は非常用使用域であるだけであり、例えばエンジン始動時や、クラッチが係合した状態で停車した時には、エンジン回転速度がアイドル回転速度未満になり、共振が発生する可能性がある。
以下に、共振が発生する3つの例を挙げる。
まず、第1の例として、アイドリングしている車両の停止中において、クラッチ15を解放して手動変速機3が1速を形成した状態から、徐々にクラッチ15を係合していき、クラッチ15が完全に係合する前に開放した場合を想定する。尚、この間は運転者がブレーキペダルBを踏み込んでおり、車両が発進しない状態とする。
図2は、その場合のエンジン回転速度の変化を示すタイムチャートである。
初期状態は、車速が0、エンジン回転速度はアイドル回転速度、クラッチ15は開放状態、手動変速機3の変速段は1速、である。
この状態で、時間t1からクラッチ15を徐々に係合していくと、車両が停止しているため、エンジン回転速度が減少していく。
エンジン回転速度が後に説明する第1の共振回転速度ω1*図との整合よりも減少してから、時間t2にてクラッチ15を開放する。クラッチ15を開放すると、エンジン1の出力軸であるクランクシャフトにかかっていた負荷がなくなるため、エンジン回転速度は上昇し始める。
ここで、フライホイールがデュアルマスフライホイールでなければ、共振回転速度を持たないためエンジン回転速度はアイドル回転速度ωidle*図との整合まで上昇する。しかし、本発明では動力伝達系にデュアルマスフライホイール17が設けられているため、エンジン回転速度の上昇途中に第1の共振回転速度が存在し、エンジン回転速度が第1の共振回転速度と一致した時、つまり時間t3になった時に共振が発生する。
図3は、この共振が起こっている場合における動力伝達系の連結状態を示す概念図である。プライマリ(Pri)フライホイールとセカンダリ(Sec)フライホイールの間に記載されている記号は、右から順にバネ、減衰、ヒステリシスを表している。
この共振時の動力伝達系の連結状態は、クラッチ15が開放状態であるため、図3に示すようにエンジン1の出力軸であるクランクシャフトからクラッチカバーまでが連結されている状態である。
この場合の共振回転速度、つまり上述の共振回転速度ω1*図との整合は、プライマリフライホイールよりエンジン側の慣性モーメントと、セカンダリフライホイールからクラッチカバーまでの慣性モーメントと、デュアルマスフライホイール17のバネが持つ振動係数とによって決まる。
尚、上記第1の例では運転者の加速要求がない場合を想定したが、加速要求がある場合でもクラッチ15の係合速度によっては同様の共振が起こり得る。すなわち、運転者がクラッチ15の操作に連動してアクセルペダルAを操作する場合でも共振が起こり得る。
また、本例では車両の停止中であるとしたが、車両の走行中においても共振回転速度付近になった時にクラッチ15が開放されれば同様の共振が起こり得る。
次に、第2の例として、変速段がニュートラルである場合において、クランキングを開始して、エンジン回転速度が共振回転速度付近まで上昇した時にクランキングを終了した場合を想定する。尚、この間はクラッチ15が係合状態に保たれていることとする。
図4は、その場合のエンジン回転速度の変化を示すタイムチャートである。実線は共振が起こる場合、二点鎖線は正常にエンジンが始動する場合をあらわしている。
初期状態は、車速とエンジン回転速度とはともに0、クラッチ15は係合状態、手動変速機3の変速段はニュートラル、である。
この状態で、時間t4からイグニッション信号がONになり、クランキングが開始されると、エンジン回転速度が上昇する。イグニッション信号がONになると同時にエンジン1の燃焼室には燃料噴射が開始される。尚、クランキングはイグニッション信号がOFFになるまで継続される。
正常にエンジンが始動する場合は、クランキングが継続され、エンジン回転速度がアイドル回転速度よりも高くなってから、時間t6にてイグニッション信号がOFFになると、エンジン回転速度はアイドル回転速度に安定する(二点鎖線)。
一方、共振が起こる場合は、エンジン回転速度が後に説明する第2の共振回転速度ω2*図との整合付近まで上昇した時、つまり時間t5になった時にイグニッション信号がOFFになると、エンジン回転速度が第2の共振回転速度と一致し、共振が発生する(実線)。
図5は、この共振が起こっている場合における動力伝達系の連結状態を示す概念図である。
この共振時の動力伝達系の連結状態は、クラッチ15が係合状態であり、かつ手動変速機3の変速段がニュートラルであるため、図5に示すようにエンジン1の出力軸であるクランクシャフトから手動変速機3の入力軸までが連結されている状態である。
この場合の共振回転速度、つまり上述の第2の共振回転速度ω2*図との整合は、プライマリフライホイールよりエンジン側の慣性モーメントと、セカンダリフライホイールから手動変速機3の入力軸までの慣性モーメントと、デュアルマスフライホイールのバネが持つ振動係数とによって決まる。
弾性部材の両側に慣性モーメントの大きな部材が接続されている場合、両側の部材の慣性モーメントの差が大きいほど、共振回転速度は低くなる。そのため、上述の第1の例における共振状態と第2の例における共振状態を比較すると、クランクシャフトから手動変速機3の入力軸までが連結している第2の例の方が慣性モーメントの差が大きいため、第2の共振回転速度ω2は第1の共振回転速度ω1より低くなる。
次に、第3の例として、手動変速機3変速段が前進段である場合において、一定の速度で走行している状態から惰性走行を開始して、走行抵抗の影響で車両が減速していき、停車した場合を想定する。尚、この間はクラッチ15が係合状態に保たれていることとする。
図6は、その場合のエンジン回転速度の変化を示すタイムチャートである。
初期状態は、車速とエンジン回転速度とはそれぞれ一定の値、クラッチ15は係合状態、手動変速機3の変速段は前進段、である。
この状態で、時間t7からアクセルペダルAのストローク量が0になり、惰性走行が開始されると、車両にかかる走行抵抗により車速とエンジン回転速度がともに低下していく。
エンジン回転速度が後に説明する第3の共振回転速度ω3付近にまで低下する、つまり時間t8になると、動力伝達系の共振が発生する。共振状態であっても動力伝達系がエンジン1から駆動輪まで連結されている限り、車速とエンジン回転速度は低下していくため、エンジン回転速度が第3の共振回転速度ω3*図との整合から離れるにしたがって、共振が弱くなり、やがて時間t9にて共振は止まる。
その後、時間t10になり、エンジン1の回転が止まり、車両は停止する。
図7は、この共振が起こっている場合における動力伝達系の連結状態を示す概念図である。
この共振時の動力伝達系の連結状態は、クラッチ15が係合状態であり、かつ手動変速機3の変速段が前進段であるため、図7に示すようにエンジン1の出力軸であるクランクシャフトからドライブシャフト7を経て駆動輪9までが連結されている状態である。
この場合の共振回転速度、つまり上述の第3の共振回転速度ω3*図との整合は、プライマリフライホイールよりエンジン側の慣性モーメントと、セカンダリフライホイールからディファレンシャルギヤ5までの慣性モーメントと、駆動輪9の慣性モーメントと、デュアルマスフライホイール17のバネが持つ弾性係数と、ドライブシャフト7の弾性係数とによって決まる。ここで、ドライブシャフト7の弾性係数を考慮するのは、他の部材と比較して回転軸方向の長さが長いため、ねじりトルクが発生しやすく、弾性体とみなすことができるからである。
慣性モーメントの大きな3つの慣性部材、第1慣性部材、第2慣性部材、第3慣性部材を有し、第1弾性部材の両端に第1慣性部材と第2慣性部材が接続され、第2弾性部材の両端に第2慣性部材と第3慣性部材とが接続された振動系では、第1慣性部材と第2慣性部材との慣性モーメントの差が大きいほど、共振回転速度は低くなる。また、第2弾性部材の弾性係数が第1弾性部材よりも大きくなるにつれて共振回転速度は高くなる。
第3の例における共振状態では、クランクシャフトからクラッチカバーまでだけでなく、クラッチディスクから駆動輪9までも連結しており、上述の第1の例における共振状態と比較してデュアルマスフライホイール17のバネの両端における慣性モーメントの差が大きい。また、ディファレンシャルギヤ5と駆動輪9の間にはねじりトルクを発生させるドライブシャフト7が連結されており、ドライブシャフト7の弾性係数はデュアルマスフライホイール17の弾性係数よりも大きい。
ここでのデュアルマスフライホイール17は第1弾性部材、ドライブシャフト7は第2弾性部材に当たる。そのため、慣性モーメントが大きいことは共振回転速度を低くする要因となり、ドライブシャフト7の弾性係数が大きいことは共振回転速度を高くする要因となる。通常の車両においては、慣性モーメントが大きいことよりも弾性係数が大きいことによる影響が大きいため、この動力伝達系全体としての共振回転速度は高くなる。つまり、第3の共振回転速度ω3は第1の共振回転速度ω1よりも高くなる。
尚、上記第3の例では、共振回転速度に関する説明を簡単にするためにクランクシャフトから駆動輪9までの動力伝達系について述べたが、駆動輪9を通して伝わる車両の振動も考慮することが好ましい。
また、本例では、変速段が前進段であると仮定したが、後進段が形成されている場合でも同様の共振が起こり得る。
また、慣性モーメントが大きいことよりも弾性係数が大きいことによる影響が大きいため、動力伝達系全体としての共振回転速度は第1の例と比較して高くなるとしたが、慣性モーメント及び弾性係数のバランスによっては、慣性モーメントが大きいことによる影響が大きくなり、共振回転速度が第1の例と比較して低くなる場合もある。
以上、共振が発生する3つの例を挙げて共振回転速度について説明した。
デュアルマスフライホイール17に起因する共振回転速度は、セカンダリフライホールから駆動輪側の慣性モーメントが大きくなるにつれて低くなり、セカンダリフライホイールから駆動輪側に接続された弾性部材の弾性係数が大きくなるにつれて高くなる。
クラッチ15が開放されている時の共振回転速度、すなわち第1の共振回転速度ω1と、クラッチ15が係合されていて変速段がニュートラルである時の共振回転速度、すなわち第2の共振回転速度ω2と、クラッチ15が係合されていて手動変速機3の変速段が前進段である時の共振回転速度、すなわち第3の共振回転速度ω3とを比較すると、第2の共振回転速度ω2は第1の共振回転速度ω1より低く、第3の共振回転速度ω3は第1の共振回転速度ω1より高くなる。
尚、上記第1の例における時間t1からt2の間では、動力伝達系がエンジン1から車輪軸まで連結されており、エンジン回転速度が第3の共振回転速度ω3を通過するため、通過時に共振が起こる可能性もある。
以下に、図8を参照して本実施形態の車両の動力伝達系の共振判定装置であるECU11で実行されるプログラムの処理手順について説明する。
図8は本実施形態における動力伝達系で共振が発生したか否かを判定するフローチャートである。
ステップ(以下、ステップをSと記載する)10にて、イグニッション信号がOFFであるか否かを判定している。ここで肯定された、つまりクランキングをしていない状態であると判定された場合はS20に進む。また、否定された、つまりクランキングをしている状態であると判定された場合はリターンされる。
クランキング中は、エンジン1の燃焼室への燃料噴射をするとともに、スタータモーターによってクランクシャフトが回転させられている、すなわちエンジンがモーターにより加速されている状態であるため、エンジン回転速度が共振回転速度と一時的に一致してもさらに加速されるため、共振が発生しにくい。そのため、S10を設けることで、クランキング中は共振判定をしないようにしている。
S20にて、エンジン回転速度変動幅(=|ωr−ωa|)が所定値ωc以上であるか否かを判断される。ここでωrはエンジン回転速度の極大値であり、ωaは所定時間内の回転速度の平均値である。ここで肯定された場合は、S30に進み、否定された場合は、リターンされる。
より詳しくは、エンジン回転速度の極大値ωrは、エンジン回転速度が上昇から低下、または低下から上昇に転じた時のエンジン回転速度である。そして、このエンジン回転速度の極大値ωrが所定時間内の平均回転速度ωaから所定値ωcよりも離れている場合には肯定する。逆に、所定値ωcよりも近い場合に否定する。
このS20では、共振が発生していることを判定する論理積条件の1つを満たしているか否かが判断される。論理積条件の1つであるため、否定された場合は共振が起こっていないと判断され、リターンされる。
S30にて、クラッチ15が開放状態であるか否かが判断される。この判断は、クラッチペダルCの踏力を検知する踏力センサ33から得られた信号に基づいて行われる。ここで肯定された場合は、S40に進み、否定された場合は、S50に進む。
S40にて、エンジンの平均回転速度ωaが第1の共振回転速度ω1付近であるか否かが判断される。具体的には、平均回転速度ωaと共振回転速度ω1との偏差が所定回転速度α未満であるか否か、すなわち平均回転速度ωaがω1−αからω1+αの間にあるか否かを判断される。ここでの第1の共振回転速度ω1は、上記第1の例で述べた値と同じであり、予め定められた値である。ここで肯定された場合は、S80で共振が発生していると判定された後リターンされ、否定された場合は、リターンされる。
このS40では、S20と同様に共振が発生していることを判定する論理積条件の1つを満たしているか否かが判断される。S40で肯定されることは、動力伝達系がクランクシャフトからクラッチカバーまで連結されている第1状態であり、エンジン回転速度がその連結状態での共振回転速度ω1付近にあり、かつ振動が起こっていることを意味する。そのため、ここで肯定された場合はS80にて共振であると判定される。論理積条件の1つであるため、否定された場合は共振が起こっていないと判断され、リターンされる。
S30にて否定された場合は、S50にて、手動変速機3の変速段がニュートラルであるか否かが判断される。この判断はシフトレバーSのポジションスイッチ21の信号に基づいて行われる。ここで肯定された場合は、S60に進み、否定された場合は、S70に進む。
S60にて、エンジンの平均回転速度ωaが第2の共振回転速度ω2付近であるか否かが判断される。具体的には、平均回転速度ωaと共振回転速度ω2との偏差が所定回転速度α未満であるか否か、すなわち平均回転速度ωaがω2−αからω2+αの間にあるか否かを判断される。ここでの第2の共振回転速度ω2は、上記第2の例で述べた値と同じであり、予め定められた値である。ここで肯定された場合は、S80で共振が発生していると判定された後リターンされ、否定された場合は、リターンされる。
このS60では、S20と同様に共振が発生していることを判定する論理積条件の1つを満たしているか否かが判断される。S60で肯定されることは、動力伝達系がクランクシャフトから手動変速機3の入力軸まで連結されている第2状態であり、エンジン回転速度がその連結状態での共振周波数ω2付近にあり、かつ振動が起こっていることを意味する。そのため、ここで肯定された場合はS80にて共振であると判定される。論理積条件の1つであるため、否定された場合は共振が起こっていないと判断され、リターンされる。
S50にて否定された場合は、S70にて、エンジンの平均回転速度ωaが第3の共振回転速度ω3付近であるか否かが判断される。具体的には、平均回転速度ωaと共振回転速度ω3との偏差が所定回転速度α未満であるか否か、すなわち平均回転速度ωaがω3−αからω3+αの間にあるか否かを判断される。ここでの第3の共振回転速度ω3は、上記第3の例で述べた値と同じであり、予め定められた値である。ここで肯定された場合は、S80で共振が発生していると判定された後リターンされ、否定された場合は、リターンされる。
このS70では、S20と同様に共振が発生していることを判定する論理積条件の1つを満たしているか否かが判断される。S70で肯定されることは、動力伝達系がクランクシャフトからタイヤまで連結されている第3状態であり、エンジン回転速度がその連結状態での共振周波数ω3付近にあり、かつ振動が起こっていることを意味する。そのため、ここで肯定された場合はS80にて共振であると判定される。論理積条件の1つであるため、否定された場合は共振が起こっていないと判断され、リターンされる。
以上、共振判定装置であるECU11で実行されるプログラムの処理手順について説明した。
イグニッション信号がOFFであることを条件に共振判定が開始される。共振判定は、エンジン回転速度変動幅が所定値より大きいことと、エンジン回転速度がその時点での動力伝達系の連結状態によって異なる共振回転速度(ω1、ω2、ω3)付近であることとの2条件に基づいて行う。
この様に、動力伝達系の連結状態によって適した異なる共振判定条件を持つため、高い精度で共振状態であることを判定できる。
上記実施形態では次のような効果を奏することができる。
(1)動力伝達系の動力伝達状態に基づいて変更される共振判定条件を満たした時に共振状態であると判定するため、動力伝達状態が変更されることで振動特性が変化しても高い精度で共振状態であることを判定できる。
(2)クラッチ15が動力を遮断する第1状態、クラッチ15が動力を伝達するとともに手動変速機3が動力を遮断する変速段を形成している第2状態、クラッチ15が動力を伝達するとともに手動変速機3が動力を伝達する変速段を形成している第3状態を含む動力伝達状態に基づいて共振判定条件を変更するため、振動特性が変化しても高い精度で共振状態であることを判定できる。
(3)動力伝達系が、クラッチ15が動力を遮断する第1状態、クラッチ15が動力を伝達するとともに手動変速機3が動力を遮断する変速段を形成している第2状態、クラッチ15が動力を伝達するとともに手動変速機3が動力を伝達する変速段を形成している第3状態を有しており、共振判定条件は平均エンジン回転速度と共振判定回転速度との偏差が所定回転速度未満であることを含んでおり、第1状態である場合の共振判定回転速度は、第2状態である場合よりも高く、第3状態である場合よりも低いため、振動特性の違いが大きく現れる共振回転速度を用いて高い精度で共振判定を行うことができる。
(4)スタータが作動している、すなわちエンジン1がスタータモーターにより駆動されている時は、エンジン回転速度が共振回転速度と一致してもスタータモーターがさらにエンジン回転速度を上昇させるため、エンジン回転速度が共振回転速度に留まらない。そのため、共振が起こりにくく、共振判定を行う必要性が低い。また、スタータ作動時はスタータモーターからデュアルマスフライホイール17に動力を伝達することができるように連結されているため、スタータ非作動時と比較して共振条件が異なる。そのため、誤判定をする可能性がある。本実施形態では、スタータ作動時には共振判定を行わないため、共振判定をする必要性が低く、共振判定を実行したとしても誤判定をする可能性がある条件下での判定を禁止し、誤判定を防止することができる。
上記実施形態の変更例を以下に示す。
・本実施形態では、予め設定された第1、第2、第3の共振回転速度ω1、ω2、ω3を用いたが、それぞれ実験値を用いてもよく、計算値を用いてもよい。計算値を用いる場合は、クランクシャフトから駆動輪9までの動力伝達系だけではなく、駆動輪9を通して伝わる車両の振動も考慮することが好ましい。
・本実施形態では、慣性モーメントが大きいことよりも弾性係数が大きいことによる影響が大きいため、第1の共振回転速度ω1は第2の共振回転速度ω2よりも高く第3の共振回転速度ω3よりも低いとしたが、慣性モーメント及び弾性係数のバランスによっては、慣性モーメントが大きいことによる影響が大きくなることもあり、その場合は第1の共振回転速度ω1を第3の共振回転速度ω3よりも高くすることが好ましい。
・本実施形態では、手動変速機3が動力伝達状態か動力非伝達状態かに基づいて共振回転速度を変更したが、各変速段により慣性モーメントが異なることを考慮して、変速段毎に異なる共振回転速度を設定してもよい。
・本実施形態では、平均エンジン回転速度が共振回転速度に近いか否かに基づいて共振を判定したが、他の振動特性に関するパラメータでもよく、例えば共振周期に近いか否かに基づいて判定してもよい。
・本実施形態では、手動変速機3に適用した形態としたが、動力伝達系にデュアルマスフライホイール17が設けられていればよく、例えば自動でクラッチ操作が行われるAMT(Automated Manual Transmission)に適用することも可能である。
・本実施形態では、共振を判定したあとにリターンされるフローチャートにしたが、共振が判定された後に共振抑制制御を行ってもよい。この場合、上述の第1状態又は第2状態において共振であると判定された後にはエンジンの出力を減少させ、第3状態において共振であると判定された後にはエンジンの出力を減少、又は増大させることが好ましい。これは、第1の状態又は第2の状態において共振が起こっている場合、動力が駆動輪まで伝達されないため、駆動輪による反力が得られず、エンジンの出力を増大させてもエンジン回転速度を共振回転速度ω1,ω2より高くすることができないのに対し、第3状態において共振が起こっている場合は、動力が駆動輪まで伝達され、駆動輪の反力が存在するため、エンジンの出力を増大するとエンジン回転速度が上昇させられ、共振回転速度ω3より高くすることができるからである。
上記実施形態から把握できる他の技術思想を、以下にその効果とともに記載する。
付記1 請求項1に記載の車両の動力伝達系の共振判定装置において、前記デュアルマスフライホイールは、第1のフライホイールと、第2のフライホイールと、前記2つのフライホイールを接続する弾性体と、を有し、前記動力伝達系は、前記第1のフライホイールと一体回転する部材のトータル慣性モーメントと前記第2のフライホイールと一体回転する部材のトータル慣性モーメントとの偏差が小さい小慣性偏差状態と同偏差が大きい大慣性偏差状態とに切替可能であり、前記複数の動力伝達状態は、前記小慣性偏差状態と前記大慣性偏差状態とを含むことを特徴とする車両の動力伝達系の共振判定装置。
上記構成によれば、複数の動力伝達系は、第1のフライホイールと一体回転する部材のトータル慣性モーメントと前記第2のフライホイールと一体回転する部材のトータル慣性モーメントとの偏差が小さい小慣性偏差状態と同偏差が大きい大慣性偏差状態とを含むため、慣性モーメントの変化により振動特性が変化しても高い精度で共振状態であることを判定できる。
付記2 付記1に記載の車両の動力伝達系の共振判定装置において、前記共振判定条件は、平均エンジン回転速度と共振判定回転速度との偏差が所定回転速度未満であることを含んでおり、前記動力伝達状態が前記小慣性偏差状態である場合は、前記大慣性偏差状態である場合よりも前記共振判定回転速度が低いことを特徴とする車両の動力伝達系の共振判定装置。
第1のフライホイールと一体回転する部材のトータル慣性モーメントと前記第2のフライホイールと一体回転する部材のトータル慣性モーメントとの偏差が小さい場合は、偏差が大きい場合と比較して、デュアルマスフライホイールのバネに起因する共振回転速度は上昇する。
上記構成によれば、共振判定条件には平均エンジン回転速度と共振判定回転速度との偏差が所定回転速度未満であることが含まれており、小慣性偏差状態である場合は大慣性偏差状態である場合よりも共振判定回転速度が高いため、振動特性の違いが大きく現れる共振回転速度を用いて高い精度で共振判定を行うことができる。
付記3 付記1又は2に記載の車両の動力伝達系の共振判定装置において、前記動力伝達系に変速機と前記変速機への動力を伝達・遮断することが可能な係合装置とが備えられ、前記大慣性偏差状態は、前記係合装置が動力を伝達するとともに前記変速機が動力を遮断する変速段を形成している状態であり、前記小慣性偏差状態は、前記係合装置が動力を遮断している状態であることを特徴とする車両の動力伝達系の共振判定装置。
付記4 請求項6又は7に記載の車両の動力伝達系の共振判定装置を有し、第1状態又は第2状態において共振であると判定された場合は動力源の出力を減少させ、第3状態において共振であると判定された場合は動力源の出力を減少、又は増大させる車両の内燃機関制御装置。
この発明の実施形態にかかる共振判定装置を搭載した車両のパワートレーンを示す概略構成図。 本実施形態において共振が発生する第1の例を示すタイムチャート。 第1の例における動力伝達系の連結状態を示す概念図。 本実施形態において共振が発生する第2の例を示すタイムチャート。 第2の例における動力伝達系の連結状態を示す概念図。 本実施形態において共振が発生する第3の例を示すタイムチャート。 第3の例における動力伝達系の連結状態を示す概念図。 本実施形態における動力伝達系で共振が発生したか否かを判定するフローチャート。
符号の説明
1…エンジン、3…手動変速機、5…ディファレンシャルギヤ、11…ECU、15…クラッチ、17…デュアルマスフライホイール、19…車速センサ、29…エンジン回転速度センサ、33…クラッチの踏力センサ。

Claims (8)

  1. デュアルマスフライホイールが備えられ、振動特性が異なる複数の動力伝達状態を有する車両の動力伝達系の共振判定装置において、
    前記動力伝達系の動力伝達状態に基づいて変更される共振判定条件を満たした時に共振状態であると判定する
    ことを特徴とする車両の動力伝達系の共振判定装置。
  2. 請求項1に記載の車両の動力伝達系の共振判定装置において、
    前記動力伝達系は、車輪軸に動力を伝達する伝動状態と車輪軸に動力を伝達しない遮断状態とに切替可能であり、
    前記複数の動力伝達状態は、前記伝動状態と前記遮断状態とを含む
    ことを特徴とする車両の動力伝達系の共振判定装置。
  3. 請求項2に記載の車両の動力伝達系の共振判定装置において、
    前記共振判定条件は、平均エンジン回転速度と共振判定回転速度との偏差が所定回転速度未満であることを含んでおり、
    前記伝動状態である場合は前記遮断状態である場合よりも前記共振判定回転速度が高い
    ことを特徴とする車両の動力伝達系の共振判定装置。
  4. 請求項2又は3に記載の車両の動力伝達系の共振判定装置において、
    前記動力伝達系に変速機と前記変速機への動力を伝達・遮断することが可能な係合装置とが備えられ、
    前記伝動状態は、前記係合装置が動力を伝達するとともに前記変速機が動力を伝達する変速段を形成している状態であり、
    前記遮断状態は、前記変速機が動力を遮断する変速段を形成している状態である
    ことを特徴とする車両の動力伝達系の共振判定装置。
  5. 請求項2又は3に記載の車両の動力伝達系の共振判定装置において、
    前記動力伝達系に変速機と前記変速機への動力を伝達・遮断することが可能な係合装置とが備えられ、
    前記伝動状態は、前記係合装置が動力を伝達するとともに前記変速機が動力を伝達する変速段を形成している状態であり、
    前記遮断状態は、前記係合装置が動力を遮断する状態である
    ことを特徴とする車両の動力伝達系の共振判定装置。
  6. 請求項1に記載の車両の動力伝達系の共振判定装置において、
    前記動力伝達系に変速機と前記変速機への動力を伝達・遮断することが可能な係合装置とが備えられ、
    前記複数の動力伝達状態は、前記係合装置が動力を遮断する第1状態と、前記係合装置が動力を伝達するとともに前記変速機が動力を遮断する変速段を形成している第2状態と、前記係合装置が動力を伝達するとともに前記変速機が動力を伝達する変速段を形成している第3状態と、を含む
    ことを特徴とする車両の動力伝達系の共振判定装置。
  7. 請求項6に記載の車両の動力伝達系の共振判定装置において、
    前記共振判定条件は、平均エンジン回転速度と共振判定回転速度との偏差が所定回転速度未満であることを含んでおり、
    前記第1状態である場合の前記共振判定回転速度は、前記第2状態である場合よりも高く、前記第3状態である場合よりも低い
    ことを特徴とする車両の動力伝達系の共振判定装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両の動力伝達系の共振判定装置において、
    エンジンのクランキング中は共振状態であると判定することを禁止する
    ことを特徴とする車両の動力伝達系の共振判定装置。
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