JP5055498B2 - 有機半導体材料及びこれを用いた有機半導体素子 - Google Patents

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Description

本発明は、有機半導体材料及びこれを用いた有機半導体素子に係り、特に、キャリア移動度が高く、振動等により配向が流れることがない、即ち、電荷移動が阻害されない有機半導体材料と、この有機半導体材料を含む有機半導体層を有する有機半導体素子に関する。
近年、有機半導体層を備えた新規な有機半導体素子を開発する研究が盛んに行われている。有機半導体素子は、有機半導体材料が柔軟性を有するので、シリコンなどの無機半導体層を備えた従来の無機半導体素子と比較して、低温プロセスによる製造が可能である;大面積素子の大量生産が可能である;フレキシブルな半導体素子を製造できる;などのメリットがある。
しかし、有機半導体素子は、無機半導体素子と比較してキャリア移動度が低いために、半導体素子としての性能が低いという問題がある。そのため、最近ではキャリア移動度の高い有機半導体材料の研究が行われている。
有機半導体材料のうち、液晶性有機半導体材料は、自己組織化により自発的に分子性配向し易いという特徴がある。そのため、液晶性有機半導体材料から形成された有機半導体層は、液晶分子の配向により分子同士が効率よく充填され、キャリアがその分子間をスムーズにホッピング伝導しやすいので、キャリアを高速に移動させることができる。従って、液晶性有機半導体材料を用いた有機半導体層を有する有機半導体素子は、真空蒸着によって作成されるアモルファス有機半導体素子と比較して、よりキャリア移動度が高いという特徴がある。
例えば、特許文献1には、4、4''−ジデカロキシ−3''−イソプロピル−p−ターフェニル等に代表される液晶性有機半導体材料を、スメクティック液晶相、又は液晶相を経て形成させた結晶相の状態で有機半導体層として用いることが報告されている。
しかしながら、液晶相を用いた有機半導体層は、振動等により液晶相が流れることにより電荷の移動が阻害されるという欠点があり、また、個々の分子の自由度が高いネマティック液晶相から相転移した結晶相は、配向秩序が低いため、キャリアの移動は低速であると考えられる。
特開2005−93955号公報
本発明は、上述したような有機半導体層の現状に鑑みてなされたものであって、キャリア移動度が高く、振動等により配向が流れることがない、従って、電荷移動が阻害されることがない有機半導体材料と、この有機半導体材料を用いた有機半導体素子を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、下記一般式(I)に示される化合物を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 下記一般式で表される化合物を構成成分の少なくとも一部として含有することを特徴とする有機半導体材料。
Figure 0005055498
(上記一般式において、、各々独立に、炭素数14〜16アルキル基を表。)
] 所定の間隔をあけて対向配置された第1の基板及び第2の基板と、該第1の基板と第2の基板との間に形成された有機半導体層とを備える有機半導体素子において、該有機半導体層が[1]に記載の有機半導体材料を含むことを特徴とする有機半導体素子。
前記一般式(I)で表される化合物は、キャリア移動度が高く、振動等により配向が流れることがないため、電荷移動が阻害されない。即ち、前記一般式(I)で表される化合物は、Arが複素環、好ましくは6員環と5員環との縮合環で形成されていることから、分子の長軸方向より短軸方向に分極構造が存在すると考えられる。この構造が分子の配向秩序を増加させ、キャリア移動度を向上させると推測される。
また、液晶状態を経由して得られた結晶であることにより、振動等により配向が流れることがないため、電荷移動が阻害されることもない。
このため、このような化合物を含む本発明の有機半導体材料によれば、駆動電圧が低く、キャリア移動度の高い高性能の有機半導体素子が提供される。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
[有機半導体材料]
本発明の有機半導体材料は、下記一般式(I)で表される化合物を構成成分の少なくとも一部として含有することを特徴とする。
Figure 0005055498
〔(一般式(I)において、Arは、下記一般式(II)で表される2価の複素環基を表し、Ar及びArは、各々独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香環基を表す。R及びRは、各々独立に、炭素数1〜30の有機基を表し、添字m,nは、各々独立に、1〜5の整数を表す。m及び/又はnが2以上の場合、2以上の各Ar及び/又はArは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。)
Figure 0005055498
(一般式(II)において、環ZはAr及びArと結合する2価の基であり、環Aは、環Zと炭素原子を2個共有して縮合した環を表す。環A及び環Zは各々置換基を有していてもよい。)〕
以下に、上記一般式(I)で表される化合物について詳細に説明する。
{語句の説明}
本発明において「芳香環」とは、芳香族性を有する環、すなわち(4p+2)π電子系(pは自然数)を有する環を意味し、従って、「芳香族炭化水素環」と「芳香族複素環」とを含み、「炭化水素環」とは、「芳香族炭化水素環」と「非芳香族炭化水素環」の両方を意味し、「複素環」とは、「芳香族複素環」と「非芳香族複素環」の両方を意味する。
また、「(ヘテロ)アリール」とは「アリール」と「ヘテロアリール」の両方を意味する。「(ヘテロ)アラルキル」についても同様に「アラルキル」と「ヘテロアラルキル」の両方を意味する。
また、「置換基を有していてもよい」とは、置換基を1以上有していてもよいことを意味するものとする。
{Ar
Arは、前記一般式(I)で表される化合物を短軸方向に分極させる構造、即ち、前記一般式(II)で表される2価の複素環基である。
〈環Zの骨格構造〉
前記一般式(II)において、環Zとしては、置換基を有していてもよい5又は6員環の、単環又は2〜6縮合環からなる芳香族炭化水素環又は複素環が挙げられる。環Zが複素環である場合、この複素環を構成するヘテロ原子としては特に制限はないが、通常、O、S、Se、N、P、Siなどの各原子、環の安定性の面から好ましくはO、S、N、複素環が電子吸引性になり易いことから特に好ましくはNが挙げられる。これらのヘテロ原子を環Zに2個以上含む場合、そのヘテロ原子は同じ原子であっても異なる原子であってもよい。
環Zの具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、ピリジン環、チオフェン環、ピロール環、フラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾピロール環、イミダゾール環、キノリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、チアゾール環、ジベンゾチオフェン環等が挙げられ、液晶性を発現させやすいために単環が好ましく、合成の容易さから特に好ましくはベンゼン環等の6員環の芳香族炭化水素環、ピリジン環等のN等のヘテロ原子を有する芳香族複素環である。
〈環Aの骨格構造〉
前記一般式(II)において、環Aは、環Zと共有する2つの炭素原子とともに構成される、置換基を有してもよい複素環であることが好ましく、この複素環を構成するヘテロ原子としては特に制限はないが、通常O、S、Se、N、P、Siなどの各原子が挙げられる。これらのヘテロ原子を環Aに2個以上含む場合、そのヘテロ原子は同じ原子であっても異なる原子であってもよい。環Aはヘテロ原子の電子吸引効果をパイ共役系が分子全体に影響させる為に好ましくは芳香族複素環であり、特に好ましくは電子吸引効果の高いN,S,O等のヘテロ原子を有する5員環の芳香族複素環である。
〈環A及び環Zが有する置換基〉
前記一般式(II)において、環A及び環Zが有していてもよい置換基としては、一般式(IIa),(IIb)における置換基として後述する置換基が挙げられる。
〈Arの特に好ましい形態〉
特に、前記一般式(II)で表されるArは、下記一般式(IIa),(IIb)のいずれかで表される、互いに2つの炭素原子を共有する2つの環状構造からなる2価の複素環基であることが、合成が容易である点において好ましく、特に、電子吸引性の5員環を有し、環自体の立体障害が小さいために液晶性を発現しやすい下記一般式(IIa)で表されることが好ましい。
Figure 0005055498
〔一般式(IIa),(IIb)において、環Zは一般式(II)における環Zと同義の環よりなる2価の基であり、一般式(IIa)中、Yは16族元素を表し、一般式(IIb)中、XはN又はSを表す。〕
特に、上記一般式(IIa)において、Yは電子吸引効果が高い点において好ましくはO又はSである。
上記一般式(IIa),(IIb)で表されるArが有していてもよい置換基、即ち、環Z、或いは一般式(IIa)におけるY原子を含む複素環、一般式(IIb)におけるX原子を含む複素環が有し得る置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、エステル基、ハロゲン原子、水酸基などが挙げられる。
より具体的には、以下に具体例を挙げるような炭素数1〜9のアルキル基、炭素数1〜9のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜6のエステル基、ハロゲン原子、水酸基などであるが、好ましくはメチル基、シアノ基、ハロゲン原子などの分子量100以下の原子団である。
炭素数1〜9のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。
炭素数1〜9のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基などが挙げられる。
炭素数1〜6のエステル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基などが挙げられる。
ハロゲン原子の例としては、フッ素原子,塩素原子,臭素原子、沃素原子などが挙げられる。
{Ar及びAr
〈Ar及びArの骨格構造〉
前記一般式(I)において、Ar、Arは、各々独立に、置換基を有していてもよい、2価の芳香族複素環基又は芳香族炭化水素環基であり、好ましくは5又は6員環の、単環又は2〜6縮合環からなる、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表し、これらは置換基を有していてもよい。Ar、Arは、液晶相が形成されやすいことから、単環であることが好ましい。
ここで芳香族炭化水素環基として、好ましくは6員環の単環又は2〜10縮合環由来の基が挙げられる。具体的には、フェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基、フェナンスリレン基、ピレニレン基などが挙げられ、特にナフチレン基、フェニレン基が液晶相が形成されやすいために好ましく、特にフェニレン基が分子全体が高い直線性を持つために好ましい。
一方、芳香族複素環基としては、好ましくは5又は6員環、特に好ましくは5員環の、単環又は2〜10縮合環由来の基が挙げられる。複素環を構成するヘテロ原子としては特に制限はないが、通常、O、S、Se、N、P、Siなどの各原子が挙げられる。これらのヘテロ原子を2個以上含む場合、そのヘテロ原子は同じ原子であっても異なる原子であってもよい。複素環の安定性の面から特に好ましいヘテロ原子はO,S,Nである。
芳香族複素環基の具体例としては、フラン、チオフェン、ピロール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、1−ベンゾチオフェン、2−ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、カルバゾール、キサンテン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、フェナンスリジン、アクリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、イミダゾール、ピラゾール、ベンゾイミダゾール、1,8−ナフチリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン等の環由来の2価の芳香族複素環基が挙げられ、これらのうちチオフェン、フラン、ピロール環等の5員環由来の芳香族複素環基が分子全体の直線性が高く液晶性が向上するために好ましい。
なお、m,nは、各々独立に、1〜5の整数を表すが、好ましくは1〜3、特に好ましくは1〜2である。m及び/又はnが2以上の場合、2以上の各Ar及び/又はArは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
〈Ar及びArが有する置換基〉
前記一般式(I)において、Ar、Arが有していてもよい置換基としては、アルキル基、炭化水素環基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロアラルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、エステル基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基などが挙げられる。より具体的には、以下に具体例を挙げるような炭素数1〜9のアルキル基、炭素数3〜20の炭化水素環基、5又は6員環の単環又は2〜6縮合環由来の複素環基、炭素数1〜9のアルコキシ基、炭素数2〜18の(ヘテロ)アリールオキシ基、炭素数3〜18の(ヘテロ)アラルキルオキシ基,炭素数2〜20のアルキルアミノ基、炭素数2〜30の(ヘテロ)アリールアミノ基、炭素数1〜20のアシル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜6のエステル基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基などである。
炭素数1〜9のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。
炭素数3〜20の炭化水素環基としては、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、テトラデカヒドロアントラニル基、フェニル基、アントラニル基、フェナンスリル基などが挙げられる。
5又は6員環の単環又は2〜6縮合環由来の複素環基としては、1−ピレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−フェナントレニル基、1−ペリレニル基、2−ピペリジニル基、2−ピペラジニル基、デカヒドロキノリニル基、ジュロリジン−9−イル基などが挙げられる。
炭素数1〜9のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基などが挙げられる。
炭素数2〜18の(ヘテロ)アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、2−チエニルオキシ基、2−フリルオキシ基、2−キノリルオキシ基などが挙げられる。
炭素数3〜18の(ヘテロ)アラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、ナフチルメトキシ基、2−チエニルメトキシ基、2−フリルメトキシ基、2−キノリルメトキシ基などが挙げられる。
炭素数2〜20のアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジオクチルアミノ基などが挙げられる。
炭素数2〜30の(ヘテロ)アリールアミノ基としては、ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、ナフチルフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジ(2−チエニル)アミノ基、ジ(2−フリル)アミノ基、フェニル(2−チエニル)アミノ基などが挙げられる。
炭素数1〜20のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、バレリル基、シクロヘキシルカルボニル基等が挙げられる。
炭素数1〜6のエステル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基などが挙げられる。
ハロゲン原子の例としては、フッ素原子,塩素原子,臭素原子、沃素原子などが挙げられる。
なお、前記Arの一般式(II)で表される複素環基Zが有する置換基、上述のAr,Arが有する置換基のうち、隣接する基同士が結合して環状構造を形成していてもよい。隣接する置換基同士が結合して環状構造を形成するものとしては、例えば、Ar〜Arとしてのベンゼン環基の該ベンゼン環が有する置換基同士が結合して、下記構造式に示すようなフェノキサチン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環を形成したものが挙げられる。
Figure 0005055498
{R及びR
〈R及びRの骨格構造〉
前記一般式(I)中のR、Rは、各々独立に、炭素数1〜30の有機基、好ましくはアルキル基、アルコキシル基を表し、これらは更に置換基を有していてもよい。
,Rとしては、より具体的には以下に具体例を挙げるような、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシル基等が挙げられる。準安定結晶が室温近傍において安定に存在することが必要であるので、これらの基の炭素数は、好ましくは7〜25、中でも8〜20、特に好ましくは10〜17、等方晶からの冷却過程において、冷却条件を選ばず準安定結晶が容易に得られることから、とりわけ好ましくは14〜17である。
炭素数1〜30のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、プロパデシル基、ブタデルシ基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。スメクティック液晶相の形成されやすさから、好ましくは、デシル基、ドデシル基、プロパデシル基、ブタデルシ基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基である。
炭素数1〜30のアルキルオキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、プロパデシルオキシ基、ブタデルシオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基等が挙げられる。スメクティック液晶相の形成されやすさから好ましくは、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、プロパデシルオキシ基、ブタデルシオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基である。
〈R及びRが有する置換基〉
前記一般式(I)において、R、Rは更に置換基を有していてもよく、その置換基の具体例としては、前述のR,Rの炭素数1〜30のアルキル基、アルキルオキシ基や、ハロゲン原子が挙げられる。好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子であり、このような置換基が導入されることにより、高い耐久性を持つと考えられる。
炭素数1〜30のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、プロパデシル基、ブタデルシ基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。スメクティック液晶相の形成されやすさから好ましくは、デシル基、ドデシル基、プロパデシル基、ブタデルシ基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基である。
炭素数1〜30のアルキルオキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、プロパデシルオキシ基、ブタデルシオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基等が挙げられる。スメクティック液晶相の形成されやすさから好ましくは、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、プロパデシルオキシ基、ブタデルシオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基である。
ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
{環ZとAr、Arとの置換位置}
環ZとAr、Arとの置換位置は、6員環であればパラ位(4位)が、5員環であれば3位又は4位が、7員環であれば4位又は5位が、縮合環であればそれぞれの置換基が直線上にある位置が、化合物の直線性の増加により液晶性が向上するために好ましい。
{分子量}
本発明の有機半導体材料が溶解性を維持するために、前記一般式(I)で表される化合物の分子量は、通常2000以下、特に1000以下、とりわけ750以下であることが特に好ましい。
{一般式(I)で表される化合物の具体例}
一般式(I)で表される化合物の具体例を下記(A−1)〜(A−31)に挙げるが、本発明の有機半導体材料はこれらに限定されるものではない(以下において、Meはメチル基、Etはエチル基を示す。)。
Figure 0005055498
Figure 0005055498
Figure 0005055498
Figure 0005055498
{合成方法}
前記一般式(I)で表される化合物は、J.Mater.Chem.,2004,1901−1904等に記載の既知の方法に基づいて、例えば次のようにして合成することができる。
<一般式(I)において、Ar=Ar,m,n=1、R=Rの化合物の場合>
下記一般式A1と一般式A2で示される化合物に、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒又はテトラヒロドフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒中にて、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等の塩基性水溶液又はカリウムターシャリーブトキシド、ナトリウムターシャリーブトキシド等の塩基性化合物を加え、アルゴン、窒素等の不活性ガス下で攪拌し、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)に代表されるホスフィン配位子を持つパラジウム触媒を加え、60〜150℃で1〜72時間の範囲で原料が無くなるまで攪拌し、生成混合物を、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿、晶析などの精製法により精製して、目的物である一般式(I)で表される化合物を得ることができる。
X−Ar−X (A1)
−Ar−B(OH) (A2)
(上記式中、Xはハロゲン原子、特にBr又はIである。)
また、亜硝酸ナトリウムを触媒として、下記一般式A3で表される化合物を濃硝酸と酢酸を溶媒として、室温から60℃の範囲で攪拌し、生成混合物を、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿、晶析などの精製法により精製して下記一般式A4で表される中間体を合成し、次いで、酢酸、無水酢酸の溶液に一般式A4で表される化合物を溶解させ、等モルの亜鉛を添加し、攪拌して、生成混合物を、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿、晶析などの精製法により精製して下記一般式A5で表される中間体を合成する。
その後、下記一般式A5で表される中間体とヒドラジン、5硫化2燐、メチルアミン類等をベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒又はテトラヒロドフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒又はエタノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル等の溶媒中、60〜150℃で1〜72時間の範囲で原料が無くなるまで攪拌し、生成混合物を、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿、晶析などの精製法により精製して目的物である一般式(I)の化合物を得ることができる。
Figure 0005055498
{物性}
前記一般式(I)で表される化合物を構成成分の少なくとも一部として含む本発明の有機半導体材料の好ましいものは、次のような物性を有する。
汎用の有機半導体素子に用いる場合には準安定結晶から安定結晶への転移が容易には起こらないことが安定性の面から好ましい。即ち、等方晶からの冷却過程において得られた準安定結晶が熱源器などによって特性を失うことを避けるために、冷却過程から昇温過程に切り替えた場合に観測される準安定結晶から安定結晶への転移温度の下限が通常40℃以上、好ましくは60℃以上、特に好ましくは80℃以上であることが好ましい。
但し、スイッチング素子などとして用いる場合には、準安定結晶から安定結晶への転移温度は、必ずしもこの範囲である必要は無く、該転移温度をスイッチングに利用することなどが考えられる。
{その他の配合成分}
なお、本発明の有機半導体材料は、前記一般式(I)で表される化合物の1種を単独で含むものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。
そして、例えば、上記好適物性を満たし、有機半導体材料としての十分な特性を示すものであれば、本発明の有機半導体材料中の前記一般式(I)で表される化合物の含有量については特に制限はないが、通常の場合、本発明の有機半導体材料中の前記一般式(I)で表される化合物の含有量は50重量%以上、中でも75重量%以上、好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上、最も好ましくは99%以上であることが、液晶性の発現のしやすさから好ましい。
[有機半導体素子]
本発明の有機半導体素子は、上述の本発明の有機半導体素子を含む有機半導体層を有すると共に、2個以上の電極を有し、その電極間に流れる電流や生じる電圧を、光以外の、例えば電気、磁気、又は化学物質等により制御するデバイスである。例えば、電圧や電流の印加により電流や電圧を制御するデバイス、磁場の印加による電圧や電流を制御するデバイス、化学物質を作用させて電圧や電流を制御するデバイス等が挙げられる。この制御としては、整流、スイッチング、増幅、発振等が挙げられる。また、光で制御される、或いは発光を制御するデバイスでも、本発明の有機半導体材料が直接光を吸収したり発光したりして動作する以外の用途、例えば、配線や上記の電圧、電流の制御に使われるデバイスも含まれる。
現在、シリコン等の無機半導体で実現されている対応するデバイスとしては、抵抗器、整流器(ダイオード)、スイッチング素子(トランジスタ、サイリスタ)、増幅素子(トランジスタ)、メモリー素子、化学センサー等、或いはこれらの素子の組み合わせや集積化したデバイスが挙げられる。これらのより具体的な例としては、S.M.Sze著、Physics of Semiconductor Devices、2nd Edition(Wiley−Interscience 1981)に記載されているものを挙げることができる。
本発明の有機半導体素子は、これらの無機半導体デバイスのいずれにも代替可能である。
本発明の有機半導体素子は、具体的には、電極と配向膜とを備えた2枚の基板が、電極等を備える面を内側にして対向するように配置され、その2枚の基板の間に有機半導体層が設けられているものである。即ち、例えば電極と配向膜を備える基板で形成されたセルの中に、有機半導体材料を、液晶相(スメクティックA相)から準安定結晶相に相転移させて形成させた有機半導体層が設けられた有機半導体素子が挙げられる。
以下に本発明の有機半導体素子及びその製造方法について、図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明の有機半導体素子の実施の形態の一例を示す断面図である。
図1の有機半導体素子1は、電極3と配向膜4とを備えた2枚の基板2,2が、電極3等を備える面を内側にして対向するように所定の間隔をあけて配置され、その2枚の基板2,2の間に有機半導体層5が設けられているものである。6は液晶分子を示す。なお、電極3には図示しない配線が接続されている。また、本発明の有機半導体材料は、外気の影響を最小限にするために、最外層に保護膜(図示せず)を有することが好ましい。
〈基板〉
基板としては、従来の無線半導体デバイスの基板のうち、特に電界効果トランジスタにおいて用いられていると同様の基板を用いることができ、その厚みは、0.01〜10mmの範囲であるのが好ましく、0.05〜2mmの範囲であるのが特に好ましい。また、基板は、複数の層からなる積層体であってもよい。
即ち、基板としては、ガラス、酸化珪素、及び珪素等の金属等の無機材料、並びに各種有機ポリマー等の有機材料等よりなるものが挙げられ、これらは、例えば、無機材料の基板の表面に有機ポリマー等をコーティングして表面に絶縁層を形成した基板のように無機材料と有機材料との併用の場合も含めて2種以上を組み合わせて用いることもできる。尚、有機ポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルスルフォン、エポキシ樹脂、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリパラバン酸、ポリシルセスキオキサン、ポリビニルフェノール、及びポリオレフィン等が挙げら、また、これらの有機ポリマーは、必要に応じて、充填材、添加剤等を含んでいてもよい。
また、これら基板の表面には、例えば、親水性と疎水性のバランスを調整すること等によりその上に形成される層の特性を変化させるための表面処理が施されていてもよい。例えば、半導体層は、分子の配向の状態等によって特性が大きく変わるので、基板の表面処理によって、基板と半導体層との界面部分における分子配向が制御され、特性を改善することができる。そのような基板の表面処理手段としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、シクロヘキセン、オクタデシルトリクロロシラン等による疎水化処理、塩酸や硫酸、酢酸等による酸処理、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等によるアルカリ処理、オゾン処理、弗素化処理、酸素やアルゴン等のプラズマ処理、ラングミュア・ブロジェット膜の形成処理、その他の絶縁体や半導体等の薄膜の形成処理、コロナ放電等の電気的処理、機械的処理等が挙げられる。
〈電極及び配線〉
電極としては、従来の無線半導体デバイスの基板のうち、特に電界効果トランジスタにおいて用いられていると同様の導電性材料を用いることができ、特に、電極の厚みは、1〜100nmであるのが好ましく、10〜50nmであるのが特に好ましい。
即ち、電極や配線を構成する導電性材料としては、例えば、白金、金、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属の他、InO、SnO、ITO等の導電性金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン等の導電性高分子、及びそれらに塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、PF、AsF、FeCl等のルイス酸、沃素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子等のドーパントを添加したもの、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素等の半導体材料及びそれにドーパントを添加したもの、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料、並びに、カーボンブラック、グラファイト粉、金属微粒子等を分散した導電性の複合材料等が挙げられる。
また、これらの電極や配線は、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、印刷法、ゾルゲル法等により形成された膜を、必要に応じて所望の形状にパターンニングすることにより形成される。そのパターンニング法としては、例えば、フォトレジストのパターニングと、エッチング液によるウェットエッチングや反応性のプラズマによるドライエッチング等のエッチングを組み合わせたフォトリソグラフィー法、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法、及びこれらの手法を複数組み合わせた手法等が挙げられる。また、レーザーや電子線等のエネルギー線を照射して材料を除去したり、材料の導電性を変化させることにより、直接パターンを形成することも可能である。
〈配向膜〉
配向膜は、有機半導体層の片面又は両面に隣接して設けられている。本発明における配向膜は、導電性材料で形成された膜に配向処理したものであり、有機半導体層の液晶分子を秩序高く配向させる役割と有機半導体層にキャリアを容易に注入させる役割を有する。
上記導電性材料は、有機半導体層にキャリアが注入されるのを妨げない程度の導電率を有する有機又は無機の材料であって、この材料からなる膜に配向処理を施した場合に有機半導体層を構成する液晶分子を配向できるものであればよい。そのような導電性材料としては、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール又はヨウ素をドープしたポリフェニレンビニレン、ポリアセチレン、を挙げることができる。このような導電性材料から形成されている配向膜は、有機半導体層の液晶分子を配向させるだけでなく、有機半導体層にキャリアを容易に注入させることができる。
この導電性材料には、導電性向上の目的でドーパントを含有させることが好ましく、そのようなドーパントとして、ポリスチレンスルホンネート(PSS)等の電子受与体材料を用いることができる。
配向膜は、このような導電性材料からなる膜に配向処理を施すことにより形成される。このような処理を施すことにより、隣接する有機半導体層のキャリア移動度を向上させることができるだけでなく、有機半導体層へキャリアを容易に注入させることができる。
配向膜は、電極が形成された基板上に上記導電性材料で蒸着又は塗布で膜を形成し、その薄膜の上に配向処理を施すことにより形成される。なお、配向処理される前の簿膜を、必要に応じて焼成することもできる。
配向処理は、有機半導体層を構成する液晶分子が電極の面内方向に配向するように施すことが好ましく、そのような処理としてラビング処理が挙げられる。また、他の配向処理として、導電性材料で形成された膜へのエネルギー線照射を利用することができ、例えばイオン照射や紫外線照射を利用することができる。
なお、配向膜を利用した配向手段以外の配向手段(例えば、スペーサーエッジ、温度勾配、メカニカルシアーや磁場等を利用した配向手段)を上記配向膜による配向手段と併用することもできる。
配向膜は、有機半導体層の片面、両面に設けられていてもよいが、両面に設けられている場合にはより配向の効果が高いので好ましい。
配向膜の膜厚は、有機半導体層の液晶分子を配向できる程度であればよく、通常0.01〜2μmである。
〈有機半導体層〉
有機半導体層は、対向する2つの電極の間に位置し、一方の電極から供給されたキャリアを他方の電極に輸送する層である。
本発明における有機半導体層は、液晶相(スメクティックA相)から準安定結晶相に結晶化した前記一般式(I)で表される化合物を含む有機半導体材料から形成される層である。
本発明の有機半導体素子において、有機半導体層の厚さは通常0.01〜1000μm、好ましくは0.1〜500μm、特に好ましくは1〜100μmである。有機半導体層の厚さが上記範囲より薄いと製造の面で難しく、厚いとキャリア移導度が低下する。
〈保護層〉
保護層としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール等のポリマー膜、酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素等の無機酸化膜や窒化膜等が挙げられる。ポリマー膜は、溶液を塗布し乾燥する方法、モノマーを塗布或いは蒸着して重合する方法等により形成され、更に架橋処理や多層膜を形成することも可能である。無機物の膜の形成には、スパッタ法、蒸着法等の真空プロセスでの形成方法や、ゾルゲル法に代表される溶液プロセスでの形成方法も用いることができる。
〈有機半導体素子の製造方法〉
本発明の有機半導体素子の製造方法を一例として示す。
以下の工程により、スメクティック液晶相を経由して準安定結晶相となった有機半導体材料からなる有機半導体素子を製造できる。
まず、基板に電極を形成する工程と、基板の電極が形成された面に導電性高分子材料を塗布する工程と、導電性高分子材料からなる膜をラビング処理する工程と、このようにして得られた基板を、電極と配向膜とが形成された画を対向させて注入孔を除いて貼り合わせる工程を経ることによりセルを作製する。
次に、このセルの注入孔から等方相を呈する液晶性有機半導体材料を注入し、この材料を、スメクティック液晶相を経由して所望の相を呈するまで冷却することにより有機半導体層を形成して、有機半導体素子が製造される。
有機半導体層の形成は、液晶性有機半導体材料を、等方相を呈する温度まで加熱してセルに注入した後、スメクティック液晶相を経由して結晶相を呈する温度まで冷却することにより行う。
セルに注入された液晶性有機半導体材料の冷却速度は、0.1〜200℃/分であり、準安定結晶を形成しやすく、より配向秩序の高い有機半導体層を形成する観点から、50〜200℃/分であることが好ましく、より好ましくは100〜200℃/分である。
本発明の有機半導体素子は、配向膜の作用により有機半導体層にキャリアが容易に注入されるので、有機半導体素子に電流が流れ始める電圧が低く、実用的な電流駆動特性を有し、また、有機半導体層中の液晶分子の配向秩序が高いので、高いキャリア移動度を有する。さらに、本発明の有機半導体素子は、有機半導体層にキャリアを容易に注入することができるので、キャリア移動に充分な量のキャリアを有機半導体層に容易に供給することができ、低電圧で大電流を制御できる。
ここで有機半導体素子に電流が流れ始める電圧が低いとは、電極間に電圧を印加して行う電流−電圧特性の評価において、電流が通電を始める電圧が通常20V以下、好ましくは10V以下、特に好ましくは7V以下であることを言う。
また、キャリア移動度が高いとは、Time of Flight法によって評価したキャリア移動度(電極の面内方向)が、10〜10−2cm/V・s、好ましくは10〜10−2cm/V・s、中でも10〜5×10−2、特に好ましくは10〜10−1cm/V・sであることを言う。
このような本発明の有機半導体素子は、例えば電界効果トランジスタ、静電誘導トランジスタ、ダイオードとして利用できる。
以下に合成例及び実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[合成例]
合成例1:化合物(A−2)の合成
4,7−ジブロモ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール(294mg、1.0mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(46mg、0.04mmol)、ベンゼン(32mL)、及び2M炭酸ナトリウム水溶液(16mL)の混合物に、4−デシルオキシフェニルボロン酸(834mg、3.0mmol)の脱気したエタノール溶液(8mL)をアルゴン気流下、室温で加え、24時間還流した。反応混合物を水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を減圧下に留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに処し、前記例示化合物(A−2)(414mg、収率69%)を得た。
黄色針状晶
EI-MS m/z 600(M)
元素分析 計算値C:75.92, H:8.69, N:4.64
測定値C:75.95, H:8.72, N:4.66
合成例2:化合物(A−3)の合成
化合物(A−2)の合成法において、4−デシルオキシフェニルボロン酸を4−ドデシルオキシフェニルボロン酸に変更したこと以外は同様にして、前記例示化合物(A−3)を収率87%で得た。
黄色針状晶
IR(KBr,cm-1):2919,2851,2360,1606,1516,1473,1252,1182,1022
H-NMR(CDCL3):0.89(t,6H,J=6.3Hz),1.28-1.49(m,36H),1.78-1.88(m,4H),4.05(t,6H,J=6.6Hz),7.06(d,4H,J=8.6Hz),7.72(s,2H),7.91(d,4H,J=8.6Hz)
合成例3:化合物(A−4)の合成
化合物(A−2)の合成法において、4−デシルオキシフェニルボロン酸を4−テトラデシルオキシフェニルボロン酸に変更したこと以外は同様にして、前記例示化合物(A−4)を収率92%で得た。
黄色針状晶
IR(KBr,cm-1):2918,2851,1605,1515,1474,1252,1182,1012
H-NMR(CDCL3):0.88(t,6H,J=6.5Hz),1.27-1.51(m,44H),1.78-1.88(m,4H),4.05(t,6H,J=6.6Hz),7.07(d,4H,J=8.8Hz),7.72(s,2H),7.91(d,4H,J=8.6Hz)
合成例4:化合物(A−5)の合成
化合物(A−2)の合成法において、4−デシルオキシフェニルボロン酸を4−ペンタデシルオキシフェニルボロン酸に変更したこと以外は同様にして、前記例示化合物(A−5)を収率91%で得た。
黄色針状晶
IR(KBr,cm-1):2918,2850,1606,1474,1252
H-NMR(CDCL3):0.88(t,6H,J=6.6Hz),1.27-1.51(m,48H),1.78-1.86(m,4H),4.05(t,6H,J=6.6Hz),7.07(d,4H,J=8.8Hz),7.71(s,2H),7.91(d,4H,J=8.8Hz)
合成例5:化合物(A−6)の合成
化合物(A−2)の合成法において、4−デシルオキシフェニルボロン酸を4−ヘキサデシルオキシフェニルボロン酸に変更したこと以外は同様にして、前記例示化合物(A−6)を収率61%で得た。
黄色針状晶
IR(KBr,cm-1):2918,2850,1606,1474,1252
H-NMR(CDCL3):0.88(t,6H,J=6.6Hz),1.26-1.52(m,52H),1.59-1.86(m,4H),4.05(t,6H,J=6.6Hz),7.07(d,4H,J=8.9Hz),7.72(s,2H),7.91(d,4H,J=8.9Hz)
[実施例]
実施例1〜3、参考例1,2
下記一般式において、Rが下記表1に示す基である表1に示す化合物について、下記の測定方法により、キャリア移動度を測定し、結果を表1に示した。また、相転移挙動をDSCにより測定し、結果を図2〜6に示した。
Figure 0005055498
[キャリア移動度測定方法]
使用機器:デジタルストレージスコープ、窒素レーザー(励起光源)
測定条件:減圧下、もしくは常圧下、温度は室温から200℃の範囲
測定用試料作成方法:ITO基板で作成したサンドイッチ型のセルに各化合物を溶融注
入することにより、測定用試料を作成した。
測定方法(Time of flight):測定用試料のITO電極に電圧を印加し、窒素レーザ
ーを照射、その際に得られる過渡光電流波形を解析す
ることによりキャリアの走行時間を求め、移動度を決
定した。
[DSC測定条件]
装置機種:METTLER TOLEDO社製「DSC 822e」
試料量:1mg〜2mg
試料容器(材質):アルミニウム(Al)
ガスフロー条件:窒素(N2),40ml/min
温度プログラム
Heating speed:5℃/min. (上限温度:転移温度(SmA→Iso)+(40〜50℃))
Cooling speed:5℃/min(slow) (下限温度:25℃)
100℃/min(rapid) (下限温度:25℃(ただし、化合物(A−2)
のみ−30℃))
keep 2 min(下限温度にて等温保持)
温度校正条件:下記高純度金属の融解温度を実測し、その値を下記値に校正する直線近
似式を導いた。
Indium Pills 99.999%
Lit mp.(=融解温度)156.6℃
Temperature range 110℃-180℃,10℃/min.
Zinc Pills 99.998%
Lit mp.419.6℃
Temperature range 370℃-450℃,10℃/min.
(読み取り温度は全てピークトップ温度)
Figure 0005055498
表1より、本発明の有機半導体材料はキャリア移動度が高いことが分かる。
また、図2〜6より、本発明の有機半導体材料は、等方晶の状態から急速冷却を行うことにより準安定結晶が安定に得られること;中でも化合物(A−4),(A−5),(A−6)においては徐冷条件においても安定に準安定結晶が得られること;また得られた準安定結晶は室温において安定に存在すること;が分かる。
本発明の有機半導体素子の実施の形態を示す断面図である。 参考例1の化合物(A−2)の相転移挙動を示す模式図である。 参考例2の化合物(A−3)の相転移挙動を示す模式図である。 実施例の化合物(A−4)の相転移挙動を示す模式図である。 実施例の化合物(A−5)の相転移挙動を示す模式図である。 実施例の化合物(A−6)の相転移挙動を示す模式図である。
符号の説明
1 有機半導体素子
2 基板
3 電極
4 配向膜
5 有機半導体層

Claims (2)

  1. 下記一般式で表される化合物を構成成分の少なくとも一部として含有することを特徴とする有機半導体材料。
    Figure 0005055498
    (上記一般式において、、各々独立に、炭素数14〜16アルキル基を表。)
  2. 所定の間隔をあけて対向配置された第1の基板及び第2の基板と、該第1の基板と第2の基板との間に形成された有機半導体層とを備える有機半導体素子において、該有機半導体層が請求項1に記載の有機半導体材料を含むことを特徴とする有機半導体素子。
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