JP5952576B2 - 溶解性に優れた液晶性スチリル誘導体、その製造方法、導電性液晶材料及び有機半導体素子 - Google Patents

溶解性に優れた液晶性スチリル誘導体、その製造方法、導電性液晶材料及び有機半導体素子 Download PDF

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Description

本発明は、有機半導体として有用な優れた導電性を有し、有機溶媒に対して優れた溶解性を示す液晶性スチリル誘導体、その製造方法、それを用いた導電性液晶材料及び有機半導体素子に関するものである。
近年、エレクトロルミネッセンス素子を構成する正孔輸送材料や導電性液晶材料として、有機材料を使用した有機エレクトロルミネッセンス素子の研究が活発に行われている。
このような、導電性液晶材料としては、従来より、アントラセン誘導体、アントラキノリン誘導体、イミダゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、スチリル誘導体、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン化合物、ポリ−N−ビニルカルバゾールやオキサジアゾール等の化合物が知られている。半那らは、液晶相がスメクチックA相を有する液晶性化合物が電荷輸送能を有し、これらを用いた導電性液晶材料を提案している(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかしながら、光等によって励起させた状態でないと優れた電荷輸送能を発現しないし、また電流密度も大きくてもナノA/cmオーダと言う低い値であった。また、構造内にカルボニル基を有するもの或いはオリゴチオフェン誘導体は300℃前後の温度で分解し高温での耐久性にも問題があった。
本発明者は、先に液晶相としてスメクチックB相を有する液晶性化合物にスメクチックB相の液晶状態又はスメクチックB相の相転移で生じる固体状態で電圧を印加する電荷輸送方法(特許文献4参照。)、長い直線的共役系構造部分を持つ液晶分子を用いた電荷輸送方法(特許文献5参照。)を提案した。
本発明者らが注目している液晶化合物は、長い直線的共役構造部分(以下、「コア部分」という)の両側(又は片側)に鎖状のアルキル系炭化水素の枝部分を有する棒状の化合物である。この液晶化合物は、300℃の高温でも耐久性があり、また、鎖状炭化水素部分の相互作用により、コア部分が平行に積み重なるように配向し易いという特徴を持っている。コア部分は、芳香環や多重結合により共役系を形成してπ電子が移動可能になっている。したがって、コア部分を平行に配向させることによって、電荷輸送性が顕著に増大するので、この化合物を有機半導体素子として利用するためには、その配向の制御がきわめて重要になっている。
従来の導電性液晶分子で分子配向を制御して薄膜を形成する方法としては、PVD法により斜方蒸着して蒸着膜を形成した後、該蒸着膜を液晶化合物のスメクチック相の温度域で熱処理する方法等(例えば、特許文献6参照。)で行っていた。
特開平09−316442号公報 特開平11−162648号公報 特開平11−199871号公報 特開2001−351786号公報 特開2004−6271号公報 特開2005−142233号公報
斜方蒸着により薄膜を形成する方法は成膜装置が高価な上に生産性も低いため、製造コストが大きくなると言う問題がある。
蒸着法以外の方法として印刷法で行うことが知られている。印刷法による成膜は、常圧下で簡単な設備で作業でき、生産性も大なため、蒸着法に比べて成膜コストが大幅に低減され、また、大型基板に対しても容易に成膜し得るという利点を有している。
しかしながら、これまで提案されている導電性液晶化合物は、溶媒に対する溶解性に問題があり、印刷法が適用し難いという問題があった。
従って、本発明は、優れた導電性を有し、また、溶媒に対して優れた溶解性を示し印刷法により成膜が可能な液晶性スチリル誘導体、その製造方法、該液晶性スチリル誘導体を用いた導電性液晶材料及び有機半導体素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記実情を鑑みて、鋭意研究を重ねた結果、特定の一般式で表される新規な液晶性スチリル誘導が、優れた導電性を有し、また、ヘキサン等の有機溶媒に対して優れた溶解性を示すことを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明が提供しようとする第1の発明は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする液晶性スチリル誘導体である。
(式中、Rはアルキル基を示し、nは0〜2の整数を示す。)
また、本発明が提供しようとする第2の発明は、下記一般式(2a)
で表わされるシアノ基含有化合物と、下記一般式(3a)
(式中、Rは前記と同義。Etはエチル基を示す。)で表されるリン化合物とを反応させることを特徴とする下記一般式(1A)
(式中、Rは前記と同義。)で表される前記第1の発明の液晶性スチリル誘導体の製造方法である。
また、本発明が提供しようとする第3の発明は、下記一般式(2b)
(式中、Rは前記と同義。Etはエチル基を示す。)で表されるシアノ基含有化合物と、下記一般式(3b)
(式中、Rは前記と同義。)で表されるアルデヒド化合物とを反応させることを特徴とする下記一般式(1B)
(式中、Rは前記と同義。)で表される前記第1の発明の液晶性スチリル誘導体の製造方法である。
また、本発明が提供しようとする第4の発明は、下記一般式(2c)
(式中、Etはエチル基を示す。)で表されるシアノ基含有化合物と、下記一般式(3b)
(式中、Rは前記と同義。)で表されるアルデヒド化合物とを反応させることを特徴とする下記一般式(1C)
(式中、Rは前記と同義。)で表される前記第1の発明の液晶性スチリル誘導体の製造方法である。
また、本発明が提供する第5の発明は、前記第1の発明の液晶性スチリル誘導体を含有することを特徴とする導電性液晶材料である。
また、本発明が提供しようする第6の発明は、前記第5の発明の導電性液晶材料を用いてなることを特徴とする有機半導体素子である。
本発明が提供する液晶性スチルル誘導体は、新規な化合物であり、優れた導電性を有する。また、ヘキサン等の有機溶媒に対して優れた溶解性を示すことから、本発明の液晶スチリル誘導体の成膜方法として印刷法が適用可能である。
本発明の有機半導体素子の一実施形態を示す概略図である。 本発明の有機半導体素子を用いた実施形態の一つの有機エレクトロルミネッセンス素子の断面構造を示す模式図。 本発明の有機半導体素子を用いた実施形態の一つの有機エレクトロルミネッセンス素子の断面構造を示す模式図。 本発明の有機半導体素子を用いた実施形態の一つの薄膜トランジスタ素子の断面構造を示す模式図。 本発明の有機半導体素子を用いた実施形態の一つの薄膜トランジスタ素子を備える有機エレクトロルミネッセンス素子の断面構造を示す模式図。 実施例1で得られたスチリル誘導体を含む導電性液晶材料を用いた素子の温度と電流量の関係を示す図。 スチリル誘導体(B1)及びスチリル誘導体(B2)を等量含有する導電性液晶材料を用いた素子の温度と電流量の関係を示す図。 スチリル誘導体(B3)を含む導電性液晶材料を用いた素子の温度と電流量の関係を示す図。
本発明の第1の発明に係る液晶性スチリル誘導体は、一般式(1)で表わされ、長い直線的共役系構造部分を持つ液晶性化合物であり、該液晶性スチリル誘導体は、液晶状態でスメクチック相を有する。そして、本発明の液晶性スチリル誘導体は、末端のベンゼン環上に3つの置換基と、他方の末端にはシアノ基を有することに特徴付けられる。
この特徴によって本発明の液晶性スチリル誘導体は、更に導電性が優れたものになり、ヘキサン等の有機溶媒に対して優れた溶解性を示すものになる。
一般式(1)中、Rは直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、アルキル基としては、炭素数1〜18のものが好ましく用いられる。具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。これらのうち、炭素数4〜18のアルキル基が好ましく、いっそう好ましくは6〜18のアルキル基である。また、アルキル基が一般式CH−(CH)x−CH(CH)−(CH)y−CH−(式中、xは0〜7の整数、yは0〜7の整数を示す)で表わされる分岐状のアルキル基であると、各種溶媒への溶解性をいっそう向上させることができる。
また、一般式(1)の式中のnは0〜2の整数を示し、好ましくは1〜2である。
一般式(1)で表わされる液晶性スチリル誘導体は、シス体若しくはトランス体でもよく、又は両者の混合物であってもよい。
以下、本発明の一般式(1)で表される液晶性スチリル誘導体の製造方法について説明する。
本発明の第2の発明に係る一般式(1A)で表される液晶性スチリル誘導体は、一般式(2a)で表わされるシアノ基含有化合物と、一般式(3a)で表わされるリン化合物とを反応させることを特徴とするものである。
第2の発明に係る原料の一般式(2a)で表わされるシアノ基含有化合物は市販品を用いることができる。
第2の発明に係る出発原料の一般式(3a)で表わされるリン化合物の式中のRは一般式(1A)のRに相当する基である。
一般式(3a)で表わされるリン化合物は、例えば下記反応スキーム(1)に従って製造することができる。
(式中、R及びEtは前記と同義。)
反応スキーム(1)においては、先ず没食子酸(4)を炭酸カリウム等の塩基の存在下に臭化アルキル(5)とジメチルホルムアミド等の溶媒中で好ましくは40〜80℃で5時間以上反応させて、化合物(6)を得る。次に得られた化合物(6)とリチウムアルミニウムハライド等の塩基とをエーテル等の溶媒中で好ましくは30〜50℃で2時間以上反応させて化合物(7)を得る。次に得られた化合物(7)と、3臭化リンとをトルエン等の溶媒中でピリジン等の塩基の存在下に好ましくは20〜50で20時間以上反応させて化合物(8)を得る。次に得られた化合物(8)と亜リン酸トリエチルとを窒素雰囲気下に好ましくは100〜150℃で5時間以上反応させてリン化合物(3a)を得ることが出来る。
第2の発明に係る一般式(1A)で表わされる液晶性スチリル誘導体の製造法において、一般式(3a)のリン化合物の添加量は、一般式(2a)で表わされるシアノ基含有化合物に対するモル比で0.8〜1.2、好ましくは0.9〜1.1である。
第2の発明において、一般式(2a)で表わされるシアノ基含有化合物と、一般式(3a)のリン化合物との反応は、塩基の存在下に溶媒中で行われる。
第2の発明で使用できる塩基としては、例えば、水素化ナトリウム等の金属水素化物、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリ、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムブトキシド等のアルコキシド、ピリジン、カリウムクレゾラート、アルキルリチウム等が挙げられ、これらは1種又は2種以上で用いられる。塩基の添加量は、一般式(2a)で表わされるシアノ基含有化合物に対するモル比で2.0〜5.0、好ましくは2.0〜4.0である。
第2の発明で使用できる反応溶媒としては、原料を溶解でき、生成物に対して不活性な溶媒であれば特に制限はない。例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等のエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、アセトン、水等の1種又は2種以上で用いることができる。
第2の発明に係る反応条件は、反応温度が10〜100℃、好ましくは10〜70℃で、反応時間が5時間以上、好ましくは15〜50時間である。
第2の発明は反応液に塩酸等の酸を添加することで反応を停止させ、反応終了後、蒸留等により反応溶媒を除去し、必要により抽出、洗浄等を行い、更に必要により再結晶、カラムクロマトグラフィー等の常法の精製を行って目的とする一般式(1A)で表わされる液晶性スチリル誘導体を得ることができる。
本発明の第3の発明に係る一般式(1B)で表される液晶性スチリル誘導体は、一般式(2b)で表わされるシアノ基含有化合物と、一般式(3b)で表わされるアルデヒド化合物とを反応させることを特徴とするものである。
第3の発明に係る一般式(2b)で表わされるシアノ基含有化合物は、例えば下記反応スキーム(2)に従って製造することができる。
反応スキーム(2)において、4−シアノベンジルブロミドに対して亜リン酸トリエチルをモル比で1.1〜3、好ましくは1.2〜2で窒素雰囲気下で90〜200℃、好ましくは100〜150℃で5時間以上反応させることによりシアノ基含有化合物(2b)を得ることが出来る。
第3の発明に係る一般式(3b)で表わされるアルデヒド化合物の式中のRは一般式(1B)で表される液晶性スチリル誘導体の式中のRの相当する基である。
第3の発明の一般式(3b)で表わされるアルデヒド化合物は、例えば下記反応スキーム(3)に従って製造することができる。
(式中、R及びEtは前記と同義。)
反応スキーム(3)において、先ず没食子酸(4)を炭酸カリウム等の塩基の存在下に臭化アルキル(5)とを反応させて、化合物(6)を得る。次に得られた化合物(6)とリチウムアルミニウムハライド等の塩基とを反応させて化合物(7)を得る。次に得られた化合物(7)と、3臭化リンとを反応させて化合物(8)を得る。
化合物(8)から目的とする一般式(3b)のアルデヒド化合物を得る方法は、反応スキーム(3)において、2つの方法を用いることができる。
第1の方法は、得られた化合物(8)とトリフェニルホスフィンを反応させ化合物(a2)を得、次に得られた化合物(a2)とテレフタルアルデヒド(a3)とを反応せさせることで、目的とする一般式(3b)で表わされるアルデヒド化合物を得る(例えば、特開2007−217309号公報参照)。
第2の方法は、得られた化合物(8)と亜リン酸トリエチルを反応させ化合物(3a)を得、次に得られた化合物(3a)とテレフタルアルデヒド(a3)とを反応せさせることで、目的とする一般式(3b)で表わされるアルデヒド化合物を得る。
なお、得られた一般式(3b)で表されるアルデヒド化合物はシス体とトランス体との混合物である場合には、必要によりこの混合物をトルエン中で環流させながらヨウ素を作用させて該アルデヒド化合物のトランス体を得る。この場合、ヨウ素の添加量は一般式(3b)で表されるアルデヒド化合物に対して好ましくは0.001〜0.1倍モル、更に好ましくは0.005〜0.01倍モルであり、加熱処理温度は100〜180℃、好ましくは130〜150℃である。
第3の発明に係る一般式(1B)で表わされる液晶性スチリル誘導体の製造法において、一般式(3b)のアルデヒド化合物の添加量は、一般式(2b)で表わされるシアノ基含有化合物に対するモル比で0.5〜1.1、好ましくは0.55〜1.0である。
本発明の第3の発明に係る反応は、一般式(2b)で表わされるシアノ基含有化合物と一般式(3b)で表わされるアルデヒド化合物とを塩基の存在下に溶媒中で反応させることにより行われる。
第3の発明で使用できる塩基としては、例えば、水素化ナトリウム等の金属水素化物、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリ、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムブトキシド等のアルコキシド、ピリジン、カリウムクレゾラート、アルキルリチウム等が挙げられ、これらは1種又は2種以上で用いられる。塩基の添加量は一般式(2b)で表わされるシアノ基含有化合物に対するモル比で1.0〜2.5、好ましくは1.2〜1.8である。
第3の発明で使用できる反応溶媒としては、原料を溶解でき、生成物に対して不活性な溶媒であれば特に制限はない。例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等のエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、アセトン、水等の1種又は2種以上で用いることができる。
第3の発明に係る反応条件は、反応温度が10〜100℃、好ましくは10〜40℃で、反応時間が5時間以上、好ましくは10〜30時間である。
第3の発明は反応液に塩酸等の酸を添加することで反応を停止させ、反応終了後、蒸留等により反応溶媒を除去し、必要により抽出、洗浄等を行い、更に必要により再結晶、カラムクロマトグラフィー等の常法の精製を行って目的とする一般式(1B)で表わされる液晶性スチリル誘導体を得ることができる。
本発明の第4の発明に係る一般式(1C)で表される液晶性スチリル誘導体は、一般式(2c)で表わされるシアノ基含有化合物と、一般式(3b)で表わされるアルデヒド化合物とを反応させることを特徴とするものである。
第4の発明に係る一般式(2c)で表わされるシアノ基含有化合物は、例えば下記反応スキーム(4)に従って製造することができる。
(式中、Etはエチル基を示す。)
反応スキーム(4)において、先ずα、α’−ジクロロ−p−キシレン(a5)と亜リン酸トリエチルとを、亜リン酸トリエチルに対するモル比で0.2〜0.6、好ましくは0.3〜0.5で窒素雰囲気下で90〜180℃、好ましくは100〜150℃で5時間以上反応させてリン化合物(3c)を得る。次に得られたリン化合物(3c)と、4−シアノベンズアルデヒド(2a)とを、4−シアノベンズアルデヒド(2a)に対するモル比で1.0〜2.0、好ましくは1.2〜1.8で、カリウムt−ブトキシド等の塩基の存在下にテトラヒドロフラン等の溶媒中で、10〜80℃、好ましくは20〜40℃で、窒素雰囲気下に5時間以上反応を行うことにより、目的とする一般式(2c)で表わされるシアノ基含有化合物を得ることができる。
第4の発明に係る出発原料の一般式(3b)で表わされるアルデヒド化合物は、前述した反応スキーム(3)に従って製造することができる。
第4の発明に係る一般式(1C)で表わされる液晶性スチリル誘導体の製造法において、一般式(3b)のアルデヒド化合物の添加量は、一般式(2c)で表わされるシアノ基含有化合物に対するモル比で0.01〜0.1、好ましくは0.05〜0.08である。
本発明の第4の発明に係る反応は、一般式(2c)で表わされるシアノ基含有化合物と一般式(3b)で表わされるアルデヒド化合物とを塩基の存在下に溶媒中で反応させることにより行われる。
第4の発明で使用できる塩基としては、例えば、水素化ナトリウム等の金属水素化物、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリ、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムブトキシド等のアルコキシド、ピリジン、カリウムクレゾラート、アルキルリチウム等が挙げられ、これらは1種又は2種以上で用いられる。塩基の添加量は一般式(2c)で表わされるシアノ基含有化合物に対するモル比で0.05〜0.5、好ましくは0.1〜0.3である。
第4の発明で使用できる反応溶媒としては、原料を溶解でき、生成物に対して不活性な溶媒であれば特に制限はない。例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等のエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、アセトン、水等の1種又は2種以上で用いることができる。
第4の発明に係る反応条件は、反応温度が10〜100℃、好ましくは10〜40℃で、反応時間が5時間以上、好ましくは10〜30時間である。
第4の発明は反応液に塩酸等の酸を添加することで反応を停止させ、反応終了後、蒸留等により反応溶媒を除去し、必要により抽出、洗浄等を行い、更に必要により再結晶、カラムクロマトグラフィー等の常法の精製を行って目的とする一般式(1C)で表わされる液晶性スチリル誘導体を得ることができる。
第2〜第4の発明により得られる一般式(1)((1A)、(1B)、(1C))で表される各種液晶性スチリル誘導体は、従来の液晶性スチリル誘導体に比べて導電性に優れ、また、該液晶性スチリル誘導体は、ヘキサン等の有機溶媒に対して優れた溶解性を示す。
次いで、本発明の第5の発明に係る導電性液晶材料について説明する。
本発明の導電性液晶材料は、一般式(1)で表わされる液晶性スチリル誘導体を50重量%以上、好ましくは80重量%以上含有し、前記液晶性スチリル誘導体に起因するスメクチック相の液晶状態を示す材料である。
一般式(1)で表わされる液晶性スチリル誘導体は、2種以上で混合して用いることにより、液晶を示す温度範囲を広く調整することができる。
また、導電性液晶材料に含有させる他の成分としては、例えば、長い直線的共役系構造部分を持つ液晶化合物等の導電性有機液晶性化合物(例えば、特開2004−6271号公報参照。)、或いは下記一般式(A)で表わされる液晶性スチリル誘導体(特願2011−27937号)等が挙がられる。
(式中、Rは炭素数1〜18のアルキル基を示し、tは1〜3の整数を示す。)
本発明の導電性液晶材料は、一般式(1)で表わされる液晶性スチリル誘導体の2種以上、或いは他の成分との組成物は、例えば一般式(1)で表わされる液晶性スチリル誘導体の1種又は2種以上及びそれ以外の必要な成分を溶媒に溶解した後、溶媒を加熱、減圧等で除去するか、一般式(1)で表わされる液晶性スチリル誘導体の1種又は2種以上及びそれ以外の必要な成分とを混合し、加熱溶融するか、又はスパッタリング、真空蒸着、斜方真空蒸着等を行うことにより調製することができる。
また、本発明の導電性液晶材料は、薄膜として使用することが好ましい。薄膜を形成する方法としては、真空蒸着法又は斜方真空蒸着法でも行うことができるが、一般式(1)で表わされるスチリル誘導体の1種又は2種以上の所望の成分及びそれ以外の必要な成分を溶媒に溶解し、ディップコート法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法により層形成させることができ、かくすることにより有機薄膜の作成が容易であり、工業的にも有利である。
本発明の導電性液晶材料は、以下の2つの方法により、電荷輸送能を発現さることが好ましい。
(a)スメクチック相の液晶状態で前記導電性液晶材料に電圧を印加する方法。
(b)スメクチック相からの相転移で生じる固体状態で前記導電性液晶材料に電圧を印加する方法。
前記(a)の方法は、前記導電性液晶材料を所定の温度でスメクチック相とし、このスメクチック相の液晶状態で電圧を印加し、電荷の輸送を行う方法である。この場合、スメクチック相は、A、B、C、D、E、F、G、H等の何れの相の状態であってもよい。
前記(b)の方法は、前記導電性液晶材料を所定の温度でスメクチック相とし、この状態から降温を行うことによりスメクチック相の分子配向を保持した固体状態とし、この固体状態の導電性液晶材料に電圧を印加し、電荷の輸送を行う方法である。なお、降温を行う方法としては、自然冷却で行ってもよいし、急冷で行ってもよい。
次いで、本発明の第6の発明に係る有機半導体素子は、前記導電性液晶材料を用いてなることを特徴とするものである。
本発明の有機半導体素子は、一対の電極を設けた基板間に前記導電性液晶材料からなる導電性液晶層を設けたことを特徴とする。
図1は有機半導体素子の一実施形態を示す概略図である。図1において、本発明の有機半導体素子は、2枚のガラス基板1a、1bの表面に、各々ITO等の透明電極からなる電極2a、2bを設け、該電極を設けた一対の基板をスペンサー4を介してセル間隔を一定に保って接着剤で貼り合わせてセルを作成し、該セル内に前記導電性液晶材料を注入して導電性液晶層3を電極間に設ける。該電極2a、2bの間に設けられた前記導電性液晶層3を(a)スメクチック相の液晶状態として、該スメクチック相の液晶状態で電圧を印加するか、又は導電性液晶層3を(b)スメクチック相からの相転移で生じる固体状態とし、該固体状態で電圧を印加することにより導電性液晶層3を通して高い電流密度が得られ、電荷の輸送を行うことができる。
本発明に係る有機半導体素子の応用例として、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)、薄膜トランジスタ素子或いは薄膜トランジスタ素子を備える有機エレクトロルミネッセンス素子がある。
以下、図を参照しながら本発明の有機半導体素子の応用例について説明する。図2〜図5は本発明の有機半導体素子の一実施形態を示す模式図である。図2の素子は、透明な基板b1上に陽極b2、バッファ層b3、導電性液晶層b4及び陰極b5が順次積層されてなるものである。この素子は特に有機エレクトロルミネッセンス素子として好適に用いることができる。基板b1は通常有機エレクトロルミネッセンス素子に常用で用いられているガラス基板が用いられる。陽極b2には、必要により光を取り出すため透明な材料で、仕事関数が大きいものが用いられ、例えばITO膜が好適である。陰極b5は仕事関数が小さい金属、例えば、Al、Ca、LiF、Mgやこれらの合金の薄膜により形成する。導電性液晶層b4は本発明の導電性液晶材料が用いられ、一般式(1)で表わされるスチリル誘導体自体が青色乃至緑色の発光性を有するため導電性液晶層b4は発光層やキャリヤ輸送層の機能を有するものとなる。なお、この場合、該導電性液晶材料のスメクチック相からの相転移で生じる固体状態を維持する範囲内でさらに少量の発光材料を添加することができる。用いることができる発光材料としては、ジフェニルエチレン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ジアミノカルバゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾキサゾール誘導体、芳香族ジアミン誘導体、キナクリドン系化合物、ペリレン系化合物、オキサジアゾール誘導体、クマリン系化合物、アントラキノン誘導体、DCM−1等のレーザー発振用色素、各種の金属錯体、低分子蛍光色素や高分子蛍光材料等が挙げられる。
本発明の有事半導体素子において、この導電性液晶層b4は室温域(5〜40℃)で前記導電性液晶材料の各成分を同時又は別々に真空蒸着又は斜方真空蒸着させた後、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性気体の雰囲気下に該液晶組成物のスメクチック液晶状態温度範囲に加熱配向処理を加えて作成されたものであってもよいが、導電性液晶材料の各成分を溶媒に溶解し、ディップコート法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法により塗布した後、次いで窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性気体の雰囲気下に該導電性液晶材料のスメクチック液晶状態温度範囲に加熱配向処理を加えて層形成されたものが低コストで作成できるという観点で好ましい。
バッファ層b3は、必要により設置され、陽極b2からの正孔注入のエネルギー障壁を低下させることを目的とし、例えば銅フタロシアニン、PEDOT−PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート)や、その他フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体等が用いられる。また、陰極b5側に電子注入を目的とするバッファ層を設けてもよい。
図3の素子は、本発明の有機半導体素子を有機エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)として用いる場合に好適な一実施形態を示す模式図である。この素子は、透明基板b1上に陽極b2、バッファ層b3、導電性液晶層b4、有機物発光層b6及び陰極b5が順次積層されてなるもので、発光層b6が導電性液晶層でない点が、図2の実施形態と相違する。発光層b6には従来の各種の有機発光材料、例えばジフェニルエチレン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ジアミノカルバゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾキサゾール誘導体、芳香族ジアミン誘導体、キナクリドン系化合物、ペリレン系化合物、オキサジアゾール誘導体、クマリン系化合物、アントラキノン誘導体、DCM−1等のレーザー発振用色素、各種の金属錯体、低分子蛍光色素や高分子蛍光材料等が用いられる。
この実施形態において導電性液晶層b4は本発明の導電性液晶材料を用い、また、この導電性液晶層b4は室温域(5〜40℃)で前記液晶組成物の各成分を同時又は別々に真空蒸着又は斜方真空蒸着させた後、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性気体の雰囲気下に該液晶組成物のスメクチック液晶状態温度範囲に加熱配向処理を加えて作成されたものであってもよいが、導電性液晶材料の各成分を溶媒に溶解し、ディップコート法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法により塗布した後、次いで窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性気体の雰囲気下に該導電性液晶材料のスメクチック液晶状態温度範囲に加熱配向処理を加えて層形成されたものが低コストで作成できるという観点で好ましい。
この場合、導電性液晶層b4は主にキャリア輸送層として機能するが、従来のアモルファス型の有機化合物に比して、キャリア輸送性が高いため層厚を大にし得るとともに、キャリアの注入効率を高めて駆動電圧を低下させるという効果も期待できる。
これらの図2及び図3の有機エレクトロルミネッセンス素子において、導電性液晶層b4の厚みを100nm〜100μmの範囲で任意に設計することができる。
図4の素子は、本発明の液晶半導体素子を薄膜トランジスタ素子として用いる場合に好適な一実施形態を示す模式図である。この薄膜トランジスタ(以下、「TFT」と呼ぶ。)は、基板b1上にゲートb7を挟んでソースb8及びドレインb9が対向して形成された電界効果型のTFTであり、ゲートb7を覆うように絶縁膜b10が形成され、絶縁膜b10の外側にソースb8とドレインb9を通電させるチャンネル部b11を備える。基板b1にはガラス、アルミナ焼結体などの無機材料、ポリイミド膜、ポリエステル膜、ポリエチレン膜、ポリフェニレンスルフィド膜、ポリパラキシレン膜等の絶縁性材料が用いられる。ゲートb7はポニアニリン、ポリチオフェン等の有機材料、金、白金、クロム、パラジウム、アルミニウム、インジウム、モリブデン、ニッケル等の金属、これらの金属の合金、ポリシリコン、アモルファスシリコン、錫酸化物、酸化インジウム、インジウム、錫酸化物等が用いられる。絶縁膜b10には、有機材料を塗布して形成したものであることが好ましく、使用される有機材料としては、ポリクロロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリビニルクロライド、ポリフッ化ビニリデン、シアノエチルプルラン、ポリメチルメタクリレート、ポリサルフォン、ポリカーボネート、ポリイミド等が用いられる。ソースb8とドレインb9には、金、白金、透明導電膜(インジウム・スズ酸化物、インジウム・亜鉛酸化物等)等が用いられる。そしてチャンネル部b11は本発明の導電性液晶材料が用いられ、チャンネル部b11は室温域(5〜40℃)で前記導電性液晶材料の各成分を同時又は別々に真空蒸着又は斜方真空蒸着させた後、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性気体の雰囲気下に該導電性液晶材料のスメクチック液晶状態温度範囲に加熱配向処理を加えて作成されたものであってよいが、絶縁膜b10の材料として、例えばポリイミドを用い、これにラビング処理を施した後、導電性液晶材料の各成分を溶媒に溶解したものを、ディップコート法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法により塗布した後、次いで窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性気体の雰囲気下に該導電性液晶材料のスメクチック液晶状態温度範囲に加熱配向処理を加えて絶縁層b10の外層に導電性液晶層を形成することにより、この導電性液晶層の配向性を一層高めることが可能になり、これにより、TFTの作動電圧の低下や高速作動化を図ることができる。また、必要により電子受容性物質や電子供与性物質と併用することにより、p型又はn型の性質をより強調することができる。かかる導電性液晶材料からなるチャンネル部b11にゲートb7から電界をかけることにより、その内部の正孔又は電子の量を制御してスイッチング素子としての機能を付与することができる。さらに、前記ラビング処理のラビングの方向は、ソースb8とドレインb9間の電流流路の方向(例えば両者の中心間を結ぶ線の方向)と直角の方向であることが望ましい。これにより長い直線的共役構造部分を持つ液晶性スチリル誘導体の側鎖部分がソースとドレイン間の電流流路と直角に配列し、共役コア部分が近接して配向されるため、キャリアの輸送性が著しく大になり、シリコン等の半導体レベルの導電性を示すことになる。
図5の素子は、本発明の有機半導体素子を用いた実施形態の一つの薄膜トランジスタ素子を備える有機エレクトロルミネッセンス素子の断面構造を示す模式図である。
この素子はエレクトロルミネッセンス素子本体と同じ基板b1上に、スイッチング素子としてTFTが形成されているものであり、このTFTは前記薄膜トランジスタが用いられる。すなわち、エレクトロルミネッセンス素子本体に隣接して、基板b1上にゲートb7を挟んでソースb8及びドレインb9が対向して形成されている。ゲートb7を覆うように絶縁膜b10が形成させ、絶縁膜b10の外側にソースb8とドレインb9を導通させるチャンネル部b11が形成されているが、このチャンネル部b11に、前記導電性液晶材料が用いられる。マトリックス方式の画素駆動であるから、ゲートb7およびソースb8は、それぞれx、yの信号線に接続され、ドレインb9はエレクトロルミネッセンス素子の一方の極(この例では陽極)に接続されている。
このチャンネル部b11の導電性液晶材料には、エレクトロルミネッセンス素子本体の導電性液晶層b4と同一の導電性液晶材料を用いることができ、これと一体に形成することができる。これにより、アクチィブマットリックス方式の有機エレクトロルミネッセンス素子において、素子本体とTFTを同時に形成することができ、その製造コストの一層の低減を図ることができる。
チャンネル部b11と導電性液晶層b4の導電性液晶材料は室温域(5〜40℃)で前記液晶組成物の各成分を同時又は別々に真空蒸着又は斜方真空蒸着させた後、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性気体の雰囲気下に該液晶組成物のスメクチック液晶状態温度範囲に加熱配向処理を加えて作成されたものであってもよいが、導電性液晶材料の各成分を溶媒に溶解し、ディップコート法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法により塗布した後、次いで窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性気体の雰囲気下に該導電性液晶材料のスメクチック液晶状態温度範囲に加熱配向処理を加えて層形成されたものが低コストで作成できるという観点で好ましい。
以下、本発明を実施例により詳細の説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
{実施例1}
<化合物(6a)の調製工程>
没食子酸(4)0.058mol(10g)、炭酸カリウム0.232mol(32g)をDMF50mlに溶解した。その後、室温にて一時間攪拌した(A液)。次に1−ブロモデカン(5a)0.232mol(51.7g)をDMF30mlに溶解した溶液を調製した(B液)。A液にB液を滴下した。滴下後、シリコン浴にて80℃で48時間攪拌して反応を行った。
反応終了後、反応液に冷希塩酸水300mlを添加し、次にジエチルエーテル300mlで抽出し、蒸留水100mlで数回洗浄した後、エーテル層に無水硫酸ナトリウムを加え一晩脱水した。無水硫酸ナトリウムをろ過によって除去し、ジエチルエーテルをロータリエバポレーターで減圧除去し、化合物(6a)24.3gを得た(収率58%)。
<化合物(7a)の調製工程>
500mlの三つ口フラスコにジエチルエーテル50mlを入れ、リチウムアルミニウムハイドライド0.15モルを加えた。これに化合物(6a)0.049モルをジエチルエーテル50mlに溶解したものをゆっくり滴下した。
次にシリコン浴にて40℃で6時間環流下に反応を行った。反応終了後、氷冷下で酢酸エチル7.5gをジエチルエーテル30mlに溶解したものを、反応液にゆっくりと滴下した。次に飽和塩化アンモニウム水溶液30mlをゆっくり滴下した後、フラスコ内をジエチルエーテルで満たし、一晩攪拌した。次に遠心分離してエーテル層を得た。残渣にもジエーテルエーテルを加えてエーテル層を得、先に得られたエーテル層と合わせた。次に得られたエーテル層は、10%冷希塩酸水100mlで洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで一晩脱水した。脱水後、ジエチルエーテルをロータリエバポレーターで減圧除去し、化合物(7a)22.7gを得た(収率113%)。
<化合物(8a)の調製工程>
三角フラスコに化合物(7a)(0.028モル)、ピリジン1.5gを入れ、これをトルエン50mlに溶解し、A液とした。
100mlの滴下ロートにPBr(0.042モル)をトルエン20mlに溶解してこれをB液とした。
前記で調製したA液にB液を氷冷しながら30分かけてゆっくり滴下した。滴下後、室温(25℃)で18時間攪拌下に反応を行った。
反応終了後、反応液を氷水300mlに注ぎ、次にジエチルエーテル300mlで抽出した。次に水で数回洗浄し、得られたエーテル層に無水硫酸ナトリウムを加え、一晩脱水した。次にろ過して無水硫酸ナトリウムを取り除き、ジエチルエーテルをロータリエバポレーターで減圧除去し、化合物(8a)を得た。
<リン化合物(3a)の調製工程>
三角フラスコに化合物(8a)8.0g(0.012モル)と亜リン酸トリエチル3.2g(0.018モル)を入れ、窒素雰囲気下、130℃で17時間反応させた。
反応終了後、ロータリエバポレーターで未反応の亜リン酸トリエチルを減圧除去し、リン化合物(3a)7.9gを得た(収率95%)。
<アルデヒド化合物(3b)の調製工程>
300mlの三角フラスコを用いて、化合物(3a)7.9g(0.011モル)とテレフタルアルデヒド(a3)2.3g(0.017モル)をテトラヒドロフラン50mlに溶解した(A液)。これとは別にカリウムt−ブトキシド1.9g(0.017モル)をテトラヒドロフラン100mlに溶解した(B液)。
A液にB液を室温(25℃)で滴下し、更に室温(25℃)で窒素雰囲気下で一晩攪拌して反応を行った。
反応終了後、テトラヒドロフランをロータリエバポレーターで減圧除去して残渣を得た。次に残渣にメタノールを150mlを加え、ろ過によりメタノール可溶部を得た。これを減圧除去し、次にジエチルエーテル200mlで抽出した。次に水で数回洗浄し、得られたエーテル層に無水硫酸ナトリウムを加え、一晩脱水した。次にろ過して無水硫酸ナトリウムを取り除き、ジエチルエーテルをロータリエバポレーターで減圧除去し、アルデヒド化合物(3b)を得た。
<シアノ基含有化合物(2b)の調製工程>
300mlの三角フラスコに4−シアノベンジルブロミド10g(0.051モル)と亜リン酸トリエチル12.7g(0.077モル)を入れ、窒素雰囲気下、130℃で17時間攪拌下に反応を行った。
反応終了後、ロータリエバポレーターで未反応の亜リン酸トリエチルを減圧除去し、シアノ基含有化合物(2b)13.3gを得た(収率103%)。
<スチリル誘導体(1B)の調製工程>
100mlの三角フラスコに、アルデヒド化合物(3b)4.5g(0.0067モル)、シアノ基含有化合物(2b)2.8g(0.011モル)をテトラヒドロフラン30mlに溶解した。更に塩基としてカリウム−t−ブトキシド1.9g(0.017モル)を添加し、室温(25℃)で窒素雰囲気下で一晩攪拌下に反応を行った。
反応終了後、36%塩酸を5ml加え反応を停止し、ロータリエバポレーターで濃縮し、残渣を水100mlで洗浄した。次にメタノール100mlで数回洗浄し、次に真空乾燥してスチリル誘導体(1B)6gを得た(収率12%)。また、スチリル誘導体(1B)の相転移温度の測定結果を表2に示す。
(スチリル誘導体(1a)の同定データ)
C;結晶、G;ガラス状態、Sm1;スメクチックA相、B相以外の未同定のスメクチック相、Sm2;スメクチックA相、B相以外の未同定のスメクチック相、I;等方性液体
{実施例2}
<リン化合物(3c)の調製工程>
500mlの三角フラスコにα,α’−ジクロロ−p−キシレン(a5)25g(0.14モル)と亜リン酸トリエチル57.5g(0.35モル)を入れ、窒素雰囲気下、130℃で17時間攪拌下に反応を行った。
反応終了後、ロータリエバポレーターで未反応の亜リン酸トリエチルを減圧除去し、リン化合物(3c)52gを得た(収率98%)。
<シアノ基含有化合物(2c)の調製工程>
300mlの三角フラスコを用いて、リン化合物(3c)28.4g(0.075モル)と、4−シアノベンズアルデヒド(2a)6.6g(0.050モル)を、テトラヒドロフラン50mlに溶解した(A液)。塩基としてカリウムt−ブトキシド1.9g(0.017モル)を100mlのテトラヒドロフランに溶解した(B液)。
A液にB液を滴下し、室温(25℃)で窒素雰囲気下に一晩攪拌下に反応を行った。
反応終了後、テトラヒドロフランをロータリエバポレーターで減圧除去して残渣を得た後、残渣にメタノール150mlを加え、ろ過してメタノール可溶部を得た。メタノールを減圧除去し、氷水200ml及びジエチルエーテル200mlで抽出した。次に水で数回洗浄し、得られたエーテル層に無水硫酸ナトリウムを加え、一晩脱水した。次にろ過して無水硫酸ナトリウムを取り除き、ジエチルエーテルをロータリエバポレーターで減圧除去し、シアノ基含有化合物(2c)3.2gを得た(収率12%)。
<スチリル誘導体(1C)の調製工程>
実施例1と同様にしてアルデヒド化合物(3b)を調製した。100mlの三角フラスコを用いてアルデヒド化合物(3b)3.5g(0.0055モル)、シアノ基含有化合物(2c)2.9g(0.082モル)をテトラヒドロフラン30mlに溶解した。これにカリウムt−ブトキシド1.6g(0.014モル)を加え、室温(25℃)で窒素雰囲気下に一晩中攪拌下に反応を行った。
反応終了後、36%塩酸を5ml加え反応を停止し、ロータリエバポレーターで濃縮し、残渣を水100mlで洗浄した。次にメタノール100mlで数回洗浄し、次に真空乾燥してスチリル誘導体(1C)1.1gを得た(収率23%)。また、スチリル誘導体(1C)の相転移温度の測定結果を表4に示す。
(スチリル誘導体(1C)の同定データ)
C;結晶、Sm1;スメクチックA相、B相以外の未同定のスメクチック相、dec;熱分解
{参考例1}
下記一般式(B)で表わされるスチリル誘導体を特開2004−6271号公報に従って3種のスチリル誘導体試料(B1、B2、B3)を合成した。
Cr;結晶、SmG;スメクチックG相、スメクチックF相、スメクチックC相、N;ネマチック相、I;等方液体、Sm1;スメクチックA相、B相以外の未同定のスメクチック相、Sm2;スメクチックA相、B相以外の未同定のスメクチック相
<溶解性の評価>
実施例1〜2で得られた液晶性スチリル誘導体及び参考例1で得られたスチリル誘導体(B1、B2、B3)をそれぞれ50mg/mlの濃度となるようにヘキサンに加え、24時間、25℃放置後のスチリル誘導体のヘキサンに対する溶解性を非常によく溶ける(○)、あまりよく溶けない(△)、全く溶けない(×)の3段階で目視で評価した。この結果を表6に示した。
<電荷輸送能の評価>
評価1;真空成膜によりITO電極を設けた2枚のガラス基板を、それぞれITO電極が対向するように、スペンサー粒子によってギャップ(50μm)を設け、貼り合わせてセルを作成した。そのセルに実施例1で得られたスチリル誘導体(1B)20mgをセルに圧入した。次いで5Vの電圧を印加し、除々に加温し、各温度毎の電流値を測定した。その結果を図6に示す。
評価2;上記と同様にして真空成膜によりITO電極を設けた2枚のガラス基板を、それぞれITO電極が対向するように、スペンサー粒子によってギャップ(15μm)を設け、貼り合わせてセルを作成した。そのセルに、前記で調製したスチリル誘導体(B1)とスチリル誘導体(B2)を等量(重量比で1:1)含む混合物20mgを、セル中に圧入した。次に8Vの電圧を印加し、除々に加温し、各温度毎の電流値を測定した。その結果を図7に示す。
評価3;上記と同様にして真空成膜によりITO電極を設けた2枚のガラス基板を、それぞれITO電極が対向するように、スペンサー粒子によってギャップ(15μm)を設け、貼り合わせてセルを作成した。そのセルに、前記で調製したスチリル誘導体(B3)20mgを、セル中に圧入した。次に5Vの電圧を印加し、除々に加温し、各温度毎の電流値を測定した。その結果を図8に示す。
図6及び図7の結果、本発明の液晶性スチリル誘導体は、液晶温度において従来の液晶性スチリル誘導体の100倍以上の電流値を有し、優れた導電性を有することが分かる。
また、図6及び図8の結果より、末端のベンゼン環上に3つの置換基を有する本発明の液晶性スチリル誘導体は、液晶状態をとる温度が低く、100℃以下の比較的低温で導電性を発現するのに対して、骨格が類似するスチリル誘導体(B3)は、液晶状態をとる温度が高く、200℃以上の高温でないと導電性も発現しないことが分かる。
1a;ガラス基板
2a;電極
3a;導電性液晶層
2b;電極
1b;ガラス電極
4;スペンサー
5;電圧印加手段
b1;基板
b2;陽極
b3;バッファ層
b4;導電性液晶層
b5;陰極
b6;発光層
b7;ゲート
b8;ソース
b9;ドレイン
b10;絶縁膜
b11;チャンネル部

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表されることを特徴とする液晶性スチリル誘導体において、
    前記一般式(1)の、Rが炭素数4〜18のアルキル基であり、nは0〜2の整数を示すことを特徴とする液晶性スチリル誘導体。
  2. 下記一般式(2c)
    (式中、Etはエチル基を示す。)で表されるシアノ基含有化合物と、下記一般式(3b)
    (式中、Rは請求項1と同義。)で表されるアルデヒド化合物とを反応させることを特徴とする下記一般式(1C)
    (式中、Rは請求項1と同義。)で表される請求項1記載の液晶性スチリル誘導体の製造方法。
  3. 請求項1に記載の液晶性スチリル誘導体を含有することを特徴とする導電性液晶材料。
  4. 請求項3に記載の導電性液晶材料を用いてなることを特徴とする有機半導体素子。
  5. 一対の電極を設けた電極間に、請求項3記載の導電性液晶材料を用いた薄膜が形成されていることを特徴とする請求項4記載の有機半導体素子。
  6. 有機半導体素子が、ゲート、ソース及びドレインの3電極と、ゲート電極を覆うように形成された絶縁膜と、該絶縁膜の外側に形成されたソース及びドレイン電極間を導通せしめるチャンネル部を有し、該チャンネル部が請求項3記載の導電性液晶材料からなる層からなる薄膜トランジスタである特徴とする請求項4記載の有機半導体素子。
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