JP5596364B2 - 含窒素有機化合物及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

含窒素有機化合物及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Description

本発明は、含窒素有機化合物及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
近年、次世代表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス表示装置が注目されている。有機エレクトロルミネッセンス表示装置には、発光素子として有機エレクトロルミネッセンス素子が搭載されている。一般に有機エレクトロルミネッセンス素子は、1対の電極の間に、発光層など、有機材料で形成された有機層を備える構造を有する。上記のように表示装置などへの応用及び実用化が期待されていることもあって、有機エレクトロルミネッセンス素子には、より一層の発光効率の向上が要求されており、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率を向上させるために様々な方策が検討されている。
有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率を向上させるための根本的な前提事項としては、発光材料の蛍光量子収率が高いことが必要とされる。
蛍光量子収率が高い発光材料としては、蛍光性を有するインドール誘導体が提案されている(非特許文献1)。
D.G.Kaiserら,Analytical.Chemistry.,1966,VOL.38,No.8,977−980頁
しかし、上記インドール誘導体の蛍光量子収率は、十分ではない。
そこで、有機エレクトロルミネッセンス素子に好適に用い得る発光材料として、さらに蛍光量子収率が高い化合物が求められている。本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、蛍光量子収率に優れた有機化合物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を進めたところ、窒素原子を含む炭化水素骨格を有する有機化合物の所定位置に電子吸引性の基を導入することにより、蛍光量子収率を高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明により、下記含窒素有機化合物が提供される。
〔1〕 下記一般式(1)で表される含窒素有機化合物。
Figure 0005596364

(式中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環又は置換基を有していてもよい複素環であり、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数が6以上である2価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数が4以上である2価の複素環基であり、R1は水素原子、ハロゲン原子又は1価の基であり、X及びYはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の基であって、X及びYのうちの一方又は双方が電子吸引性の基又は原子である。)
〔2〕 下記一般式(2)で表される〔1〕に記載の含窒素有機化合物。
Figure 0005596364

(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子又は1価の基であり、X及びYはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の基であって、X及びYのうちの一方又は双方が電子吸引性の基又は原子であり、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に、1価の基であり、p、q及びrはそれぞれ独立に、0〜4の整数である。)
〔3〕 前記X及びYのうちの一方又は双方がフルオロアルキル基である、〔1〕又は〔2〕に記載の含窒素有機化合物。
〔4〕 前記Xがフルオロアルキル基である、〔3〕に記載の含窒素有機化合物。
〔5〕 固体状態で蛍光性を有する、〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の含窒素有機化合物。
〔6〕 一方又は双方が透明である陽極及び陰極からなる1対の電極と、該電極間に配置される有機発光層とを備える有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機発光層が〔1〕から〔5〕のいずれかに記載の含窒素有機化合物を含む、有機エレクトロルミネッセンス素子。
〔7〕 〔6〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた面状光源。
〔8〕 〔6〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた表示装置。
本発明によれば、蛍光量子収率の高い含窒素有機化合物が提供される。また、本発明によれば、特に固体状態での蛍光量子収率の高い含窒素有機化合物が提供され、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光材料として本発明の含窒素有機化合物を用いた場合に、高輝度が得られる発光効率に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を実現することができ、また発光効率に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した面状光源及び表示装置を得ることができる。
本発明の含窒素有機化合物は、下記一般式(1)で表される構造を有しており、式中のX及びYのうちの一方又は双方が、電子吸引性を有する基又は原子とされる点に特徴を有している。
Figure 0005596364
上記一般式(1)で表される含窒素有機化合物において、X及びYはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の基であり、X及びYのうちの一方又は双方が電子吸引性の基又は原子である。好ましくは少なくともXが電子吸引性の基又は原子であり、より好ましくはX及びYの双方が電子吸引性の基又は原子である。
X及びYで表される1価の基としては、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基及び置換基を有していてもよい1価の複素環基が例示され、好ましくは炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が6〜60のアリール基である。これらの基における一部又は全部の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
また、X及びYで表される電子吸引性の基又は原子としては、シアノ基、ニトロ基、アルデヒド基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、水酸基、ハロゲン原子及びフルオロアルキル基が例示され、好ましくはシアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、フルオロアルキル基であり、より好ましくはシアノ基、フルオロアルキル基であり、さらに好ましくはフルオロアルキル基である。
上記一般式(1)で表される含窒素有機化合物において、X、Yとしては、水素原子、フルオロアルキル基が好ましい。
上記一般式(1)で表される含窒素有機化合物の好ましい形態としては、X及びYのうちの一方又は双方がフルオロアルキル基である化合物が挙げられ、より好ましい形態としては、少なくともXがフルオロアルキル基である化合物が挙げられる。
フルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜8であり、さらに好ましくは1〜4である。
上記一般式(1)で表される含窒素有機化合物において、X及びYのうちの一方又は双方を電子吸引性の基又は原子とすることにより、蛍光量子収率を高くすることができる。
Arは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環又は置換基を有していてもよい複素環であり、好ましくは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環である。Ar1及びAr2はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数が6以上である2価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数が4以上である2価の複素環基であり、好ましくは置換基を有していてもよい炭素数が6以上である2価の芳香族炭化水素基である。R1は、水素原子、ハロゲン原子又は1価の基である。
上記一般式(1)で表される含窒素有機化合物において、Arで表される芳香族炭化水素環とは、隣接する環を構成する2個の炭素原子を含んで、ベンゼン環単独を構成する原子団であるか、又は複数個のベンゼン環が縮合した環を構成する原子団である。前記芳香族炭化水素環としては、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、ペリレン環、ルブレン環、フルオレン環が挙げられる。
Arで表される芳香族炭化水素環が置換基を有する場合には、該置換基としては、ハロゲン原子、飽和若しくは不飽和炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、1価の複素環基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基が好ましい。
Arで表される芳香族炭化水素環の炭素数は、通常6〜60であり、好ましくは6〜20である。ここで、芳香族炭化水素環の炭素数には、前述の置換基の炭素数は含まれない。
また、Arで表される複素環とは、隣接する環を構成する2個の炭素原子を含んで複素環を構成する原子団をいう。複素環の炭素数は、通常3〜60であり、好ましくは3〜20である。複素環としては、チオフェン環、チエノチオフェン環、ジチエノチオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環が挙げられる。Arで表される複素環としては、チオフェン環、チエノチオフェン環が好ましい。なお、Arで表される複素環はさらに置換基を有していてもよく、複素環の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。この置換基としては、ハロゲン原子、飽和若しくは不飽和炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、1価の複素環基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基とするのがよい。
上記一般式(1)で表される含窒素有機化合物において、Arとしては、ベンゼン環が好ましい。
上記一般式(1)で表される含窒素有機化合物において、Ar1又はAr2で表される2価の芳香族炭化水素基とは、ベンゼン環、ベンゼン環が複数連結したビフェニル環、ターフェニル環など又は縮合環から水素原子2個を除いた残りの原子団をいう。2価の芳香族炭化水素基の炭素数は、通常6〜60であり、好ましくは6〜20である。縮合環としては、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、ペリレン環、ルブレン環、フルオレン環が挙げられる。
Ar1又はAr2で表される2価の芳香族炭化水素基は、好ましくはベンゼン環又はフルオレン環から水素原子2個を除いた残りの原子団である。なお、Ar1又はAr2で表される2価の芳香族炭化水素基は、さらに置換基を有していてもよい。ここで、Ar1又はAr2で表される2価の芳香族炭化水素基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。なお、この置換基としては、ハロゲン原子、飽和若しくは不飽和炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、1価の複素環基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基が好ましい。
また、Ar1又はAr2で表される2価の複素環基とは、複素環式化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団をいう。2価の複素環基の炭素数は、通常3〜60であり、好ましくは3〜20である。複素環式化合物としては、チオフェン、チエノチオフェン、ジチエノチオフェン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾールが挙げられる。Ar1又はAr2で表される2価の複素環基としては、チオフェン、チエノチオフェンから水素原子2個を除いた残りの原子団が好ましい。なお、Ar1又はAr2で表される2価の複素環基は、さらに置換基を有していてもよい。Ar1又はAr2で表される2価の複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。なお、置換基としては、ハロゲン原子、飽和若しくは不飽和炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、1価の複素環基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基が挙げられる。
上記一般式(1)で表される含窒素有機化合物において、Ar1、Ar2としては、フェニレン基が好ましい。
上記一般式(1)で表される含窒素有機化合物において、R1で表される1価の基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい1価の複素環基が例示され、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜60のアリール基が好ましい、炭素数1〜20のアルキル基がより好ましい。これらの基における一部又は全部の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
上記一般式(1)で表される含窒素有機化合物において、R1、X、Yで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
上記一般式(1)で表される含窒素有機化合物は、下記一般式(2)で表される含窒素有機化合物であることが好ましい。
Figure 0005596364
上記一般式(2)中、上記一般式(1)で定義したとおり、R1は水素原子、ハロゲン原子又は1価の基であり、X及びYはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の基であって、X及びYのうちの一方又は双方が電子吸引性の基又は原子であり、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に、1価の基を示し、p、q及びrはそれぞれ独立に、0〜4の整数である。
2、R3及びR4で表される1価の基はそれぞれ独立に、好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよい1価の複素環基であり、これらの基における一部又は全部の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。R2、R3及びR4で表される1価の基は、好ましくは炭素数が1〜20のアルキル基であり、炭素数が6〜60のアリール基である。
上記一般式(2)で表される含窒素有機化合物において、R、R、R、R、X及びYで表されるアルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜20である直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロドデシル基などが挙げられ、より好ましくは炭素数が1〜12のアルキル基であり、さらに好ましくはペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロヘキシル基である。
1、R、R、R4、X及びYで表されるアルコキシ基としては、上述のアルキル基をその構造中に含むアルコキシ基が例示される。
1、R、R、R4、X及びYで表されるアリール基としては、好ましくは炭素数が6〜60のアリール基であり、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(C1〜C12は、炭素数が1〜12であることを表す。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が例示され、好ましくは炭素数が6〜20のアリール基であり、より好ましくはフェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基であり、さらに好ましくはフェニル基である。
1、R、R、R4、X及びYで表される1価の複素環基としては、好ましくは炭素数が4〜60の1価の複素環基であり、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基が例示され、好ましくは炭素数が4〜20の1価の複素環基であり、より好ましくはチエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基である。
上記一般式(2)で表される含窒素有機化合物は、電子吸引性の基を導入したインドール環構造を有することから、高い蛍光量子収率を得ることができる。
X及びYのうちの一方又は双方、特に少なくともXを電子吸引性の基又は原子とすることにより、蛍光量子収率をより向上させることができる。
含窒素有機化合物としては、下記式(3)〜(9)で表される含窒素有機化合物が例示される。
Figure 0005596364
Figure 0005596364
Figure 0005596364
Figure 0005596364
Figure 0005596364
Figure 0005596364
Figure 0005596364
次に、本発明の含窒素有機化合物の製造方法について説明する。本発明の含窒素有機化合物は、例えば、下記スキーム(I)又はスキーム(II)に示される工程により製造することができる。
Figure 0005596364
Figure 0005596364
上記スキーム(I)及びスキーム(II)中、Ar及びR1は上記一般式(1)及び(2)の説明において定義したとおりである。Z及びZはそれぞれ独立に、上記一般式(1)及び(2)の説明において定義したAr1−Y又はAr2−Xである。
<有機エレクトロルミネッセンス素子>
前述の含窒素有機化合物は、通常、固体状態で蛍光性を有するため、有機エレクトロルミネッセンス素子の有機発光層の材料として好適に適用することができる。
本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子は、この含窒素有機化合物を用いてなるものであるが、通常、一方又は双方が透明である陽極及び陰極からなる1対の電極と、該電極間に配置される有機発光層とを備える有機エレクトロルミネッセンス素子であり、該有機発光層が含窒素有機化合物を含むものである。
有機エレクトロルミネッセンス素子の構成例としては、以下のa)〜d)の構成が挙げられる。
a)陽極/有機発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/有機発光層/陰極
c)陽極/有機発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを表す。以下、同じである。)
なお、有機発光層とは、発光する機能を有する層であり、正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層である。正孔輸送層と電子輸送層を総称して電荷輸送層と称することがある。また、有機発光層に隣接した正孔輸送層をインターレイヤー層と称することがある。
各層の積層、成膜は、真空蒸着法又は溶液からの塗布法により行うことができる。溶液からの積層、成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、ノズルコート法などの塗布法を用いることができる。
本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子の有機発光層に用いる発光材料としては、上述した含窒素有機化合物を一種単独で用いても二種以上を併用してもよく、また、含窒素有機化合物と含窒素有機化合物以外の化合物とを併用してもよい。
有機発光層は、上述した発光材料を用いて、例えば、真空蒸着法又は塗布法により成膜することができる。有機発光層を塗布法により成膜する場合には、含窒素有機化合物と低分子化合物からなる発光材料とを高分子バインダーに混合して塗布法により成膜することが好ましい。
発光材料と共に混合される高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものであって、可視光に対する吸収が強くないものが好ましい。さらに、含窒素有機化合物の発光を阻害しない高分子バインダーが好ましく、電子又は正孔の輸送機能を有した高分子バインダーがより好ましい。
発光材料と共に混合される高分子バインダーとしては、公知のものが使用でき、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどが挙げられる。電子又は正孔の輸送機能を有する高分子バインダーとしては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリ(p−フェニレン)及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体などが挙げられる。
有機発光層の材料には、含窒素有機化合物に加えて、公知のホスト材料、発光材料、ドーピング材料、正孔注入材料、電子注入材料を併用してもよい。これらの併用する材料により、電荷輸送能、発光輝度、発光効率を向上させることができる。
含窒素有機化合物と共に有機発光層に使用できる発光材料、ホスト材料としては、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、テトラセン、コロネン、クリセン、フルオレセイン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ペリノン、フタロペリノン、ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、アルダジン、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、ピラジン、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、イミン、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラン、チオピラン、ポリメチン、メロシアニン、イミダゾールキレート化オキシノイド化合物、キナクリドン、ルブレン、スチルベン系誘導体及び蛍光色素などが挙げられる。
含窒素有機化合物と共に有機発光層に使用できる正孔輸送材料としては、公知のものが使用できる。
低分子量の正孔輸送材料としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリアリールジアミン誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、ヒドラゾン化合物、シラザン化合物、シラナミン誘導体、ホスファミン誘導体、キナクリドン化合物などが挙げられる。これらの正孔輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
高分子量の正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリ(p−フェニレン)及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体などが挙げられる。その他にも、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報に記載された正孔輸送材料も挙げることができる。
含窒素有機化合物と共に有機発光層に使用できる低分子量又は高分子量の電子輸送材料としては、公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、C60などのフラーレン類及びその誘導体などが挙げられる。これらの電子輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
有機発光層の膜厚は、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
有機エレクトロルミネッセンス素子が正孔輸送層を有する場合には、使用される正孔輸送材料としては、低分子化合物、高分子化合物のいずれも用いることができ、前記正孔輸送材料を例示することができる。
正孔輸送層の成膜は、如何なる方法で行ってもよいが、正孔輸送材料が低分子化合物である場合には、高分子バインダーとの混合溶液から成膜することが好ましい。正孔輸送材料が含窒素有機化合物である場合には、溶液から成膜することが好ましい。溶液からの成膜には、前記塗布法を用いることができる。
正孔輸送材料と共に混合される高分子バインダーは、電荷輸送を極度に阻害しないものであって、可視光に対する吸収が強くないものが好ましい。正孔輸送材料と共に混合される高分子バインダーとしては、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどが挙げられる。
正孔輸送層の膜厚は、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、ピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと素子の駆動電圧が高くなるおそれがある。従って、正孔輸送層の膜厚は、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
有機エレクトロルミネッセンス素子が電子輸送層を有する場合には、使用される電子輸送材料は、低分子化合物、高分子化合物のいずれも用いることができ、前記電子輸送材料を例示することができる。
電子輸送材料が低分子化合物である場合には、粉末からの真空蒸着法、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が好ましい。電子輸送材料が高分子化合物である場合には、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が好ましい。溶液又は溶融状態からの成膜には、高分子バインダーを併用してもよい。溶液からの成膜には、前記塗布法を用いることができる。
電子輸送材料と共に混合される高分子バインダーは、電荷輸送を極度に阻害しないものであって、可視光に対する吸収が強くないものが好ましい。電子輸送材料と共に高分子バインダーとしては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどが挙げられる。
電子輸送層の膜厚は、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、ピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと素子の駆動電圧が高くなるおそれがある。従って、電子輸送層の膜厚は、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層又は電子注入層)と呼ぶことがある。更に、電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前述の電荷注入層又は絶縁層を設けてもよく、界面の密着性向上や混合の防止などのために電荷輸送層や有機発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。なお、積層する層の順番や数、及び各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して選択すればよい。
電荷注入層を設けた有機エレクトロルミネッセンス素子としては、以下のe)〜p)の構成を有するものが挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/有機発光層/陰極
f)陽極/有機発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/有機発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/有機発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/有機発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/有機発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/有機発光層/電荷輸送層/陰極
l)陽極/有機発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/有機発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/有機発光層/電荷輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
電荷注入層としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層などが挙げられる。
前述した電荷注入層が導電性高分子を含む層である場合には、導電性高分子の電気伝導度は、10−5S/cm〜10S/cmが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10−5S/cm〜10S/cmがより好ましく、10−5S/cm〜10S/cmが特に好ましい。かかる範囲を満たすために、導電性高分子に適量のイオンをドープしてもよい。
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンとしては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンなどが挙げられ、カチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
電荷注入層の膜厚は、通常、1〜100nmであり、2〜50nmが好ましい。
電荷注入層に用いる材料としては、電極や隣接する層の材料との関係で選択すればよく、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニンなど)、カーボンなどが挙げられる。
絶縁層は、電荷注入を容易にする機能を有するものである。この絶縁層の平均厚さは、通常、0.1〜20nmであり、好ましくは0.5〜10nm、より好ましくは1〜5nmである。
絶縁層に用いる材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料などが挙げられる。
絶縁層を設けた有機エレクトロルミネッセンス素子としては、以下のq)〜ab)の構成を有するものが挙げられる。なお、下記q)〜ab)において、電荷輸送層の代わりに、電荷注入層又は電荷注入層/電荷輸送層を設けてもよい。
q)陽極/絶縁層/有機発光層/陰極
r)陽極/有機発光層/絶縁層/陰極
s)陽極/絶縁層/有機発光層/絶縁層/陰極
t)陽極/絶縁層/正孔輸送層/有機発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/有機発光層/絶縁層/陰極
v)陽極/絶縁層/正孔輸送層/有機発光層/絶縁層/陰極
w)陽極/絶縁層/有機発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/有機発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
y)陽極/絶縁層/有機発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
z)陽極/絶縁層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
ab)陽極/絶縁層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
有機エレクトロルミネッセンス素子を形成する基板は、電極及び有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、ガラス基板、プラスチック基板、高分子フィルム基板、シリコン基板などの基板が挙げられる。不透明な基板の場合には、基板により近い電極とは反対側の電極が透明であることが好ましい。
なお、本明細書において、「光」とは、1nmから1mm程度の範囲の波長の電磁波を意味する。「透明」とは、前述の「光」から、使用できることを条件として選択された範囲内に含まれる波長の「光」が吸収及び散乱されることなく透過するか、又は入射した「光」が許容される程度の割合で透過することをいう。この「光」は、好ましくは「可視光」である。「可視光」とはヒトの目で感知することができる範囲の波長を有する電磁波をいう。「可視光」は、一般に360nm程度から830nm程度の範囲の波長の電磁波を意味する。本実施形態では、可視光透過率が25%程度以上であれば「透明」であるものとする。
本実施形態において、通常は、陽極及び陰極からなる電極のうち、光取り出し側である少なくとも一方の電極が透明であり、陽極が透明であることが好ましい。
陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、透明な金属薄膜などが用いられ、具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO)などからなる導電性無機化合物を用いて形成された膜、NESAや、金、白金、銀、銅などが用いられる。また、陽極として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボンなどからなる層、又は金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料などからなる層を設けてもよい。
陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などが挙げられる。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、選択することができるが、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、及びこれらから選択される2種以上の合金、或いはこれらから選択される1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン及び錫から選択される1種以上との合金、グラファイト、グラファイトの層間に前記金属の原子が配置された化合物などが用いられる。
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、金属薄膜を熱圧着するラミネート法などが用いられる。
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、選択することができるが、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
また、陰極と有機発光層との間、又は陰極と電子輸送層との間に、導電性高分子からなる層、又は金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料などからなる層を設けてもよく、陰極作製後、有機エレクトロルミネッセンス素子を保護する保護層を装着していてもよい。
有機エレクトロルミネッセンス素子を長期安定的に用いるためには、有機エレクトロルミネッセンス素子を外部から保護するために、保護層及び/又は保護カバーを装着することが好ましい。
保護層としては、樹脂、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができる。保護カバーを装着する方法としては、保護カバーを熱硬化樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、有機エレクトロルミネッセンス素子が損傷するのを防ぐことが容易である。この空間に窒素やアルゴンなどの不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウムなどの乾燥剤をこの空間内に設置することにより、製造工程で吸着した水分が有機エレクトロルミネッセンス素子に損傷を与えるのを防止することが容易となる。
前述した含窒素有機化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光材料として好適に用いることができ、この有機エレクトロルミネッセンス素子は面状光源、表示装置に好適に適用することができる。
本発明の含窒素有機化合物、含窒素有機化合物を含有する組成物、有機エレクトロルミネッセンス素子は、曲面状光源、平面状光源などの面状光源(例えば、照明);セグメント表示装置(例えば、セグメントタイプの表示素子)、ドットマトリックス表示装置(例えば、ドットマトリックスタイプのフラットディスプレイ)、液晶表示装置(例えば、液晶表示装置、液晶ディスプレイのバックライト)などの表示装置などに有用である。また、本発明の含窒素有機化合物は、これらの作製に用いられる材料として好適である以外にも、レーザー用色素、有機太陽電池用材料、有機トランジスタ用の有機半導体、導電性薄膜、有機半導体薄膜などの伝導性薄膜用材料、蛍光を発する発光性薄膜材料などとしても有用である。
有機エレクトロルミネッセンス素子により面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極とが重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、陽極若しくは陰極の一方又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。さらに、ドットマトリックスタイプの表示素子とするためには、陽極と陰極とをともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる含窒素有機化合物を塗り分ける方法や、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックスタイプの表示素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT基板などと組み合わせてアクティブ駆動が可能な構成としてもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置に用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(測定条件)
以下の合成例及び実施例において、各種の分析は以下の条件で行った。すなわち、まず、核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、日本電子社製のJNM−GSX−400を用いて測定した。ガスクロマトグラフ−質量分析(GC−MS)は、島津製作所社製のQP−5050を用い、電子衝撃法により行った。高分解質量分析(HRMS)は、日本電子社製のJMS−DX−303を用いて行った。ガスクロマトグラフ(GC)分析は、島津製作所社製のGC−8Aにジーエルサイエンス社製のシリコンOV−17充填ガラスカラム(内径2.6mm、長さ1.5m)を装着して用いた。蛍光分析は島津製作所社製のRF−5300PCを用いて測定した。紫外(UV)吸収スペクトルは島津製作所社製UV−2500PCを用いて測定した。カラムクロマトグラフィー分離におけるシリカゲルは、和光純薬工業社製のワコーゲルC−200を用いた。
<実施例1>
(1−メチル−2,3−ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)インドールの合成)
出発原料である1−メチルインドール−2−カルボン酸(Aldrich社製)を用いて1−メチル−2,3−ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)インドールを合成した。まず、20mLの2口フラスコに炭酸セシウム(1.3g、4mmol)を入れ、120℃で1時間乾燥させた後、酢酸パラジウム(11.2mg、0.05mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(28mg、0.1mmol)、1−メチルインドール−2−カルボン酸(175mg、1mmol)、4−ブロモベンゾトリフルオリド(675mg、3mmol)、及びσ−キシレン(2.5mL)を加え、反応容器内を窒素置換して170℃で4時間、加熱し撹拌して反応させた。
反応終了後、得られた反応液を室温に冷却し、ジエチルエーテル約30mLを用いてろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーで精製することにより、目的生成物である1−メチル−2,3−ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)インドール(326mg、0.78mmol)を白色固体として得た(以下、「含窒素有機化合物A」と言う。)。得られた白色固体の融点を測定したところ170℃〜172℃であった。
得られた目的生成物の1H−NMR、及びHRMSの測定結果は以下の通りであった。
H NMR(400MHz,CDCl)3.69(s,3H),7.23(t,J=6.6Hz 1H),7.34−7.38(m,3H),7.44(d,J=7.3Hz,3H),7.53(d,J=8.5Hz,2H),7.67(d,J=8.0Hz,2H),7.75(d,J=8.0Hz,1H);HRMS(EI):m/z419.1119(419.1109 calcd for C2315N)
<実施例2>
(1−メチル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)インドール−3−カルボン酸メチルの合成)
まず、出発原料である1−メチルインドール−3−カルボン酸メチルを、参考文献(U.X.Jiang,A.Tiwari,M.Thompson,Z.Chen,T.P.Cleary,T.B.K.Lee,Org.Process Res.Dev.2001,5,604.)の記載に従って合成した。次いで、20mLの2口フラスコに炭酸セシウム(325g、1mmol)を入れ、120℃で1時間乾燥させた後、酢酸パラジウム(5.6mg、0.025mmol)、2−(ジt−ブチルホスフィノ)ビフェニル (15mg、0.05mmol)、1−メチルインドール−3−カルボン酸メチル(94mg、0.5mmol)、4−ブロモベンゾトリフルオリド(225mg、1mmol)、及びσ−キシレン(2.5mL)を加え、反応容器内を窒素置換して150℃で6時間、加熱し撹拌して反応させた。
反応終了後、得られた反応液を室温に冷却し、ジエチルエーテル約30mLを用いてろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーで精製することにより、目的生成物である1−メチル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)インドール−3−カルボン酸メチル(131.6mg、0.39mmol)を白色固体として得た。得られた白色固体の融点を測定したところ142℃〜144℃であった。
得られた目的生成物の1H−NMR、及びHRMSの測定結果は以下の通りであった。
1H NMR(400MHz,CDCl) δ 3.56(s,3H),3.76(s,3H),7.33−7.41(m,3H),7.55(d,J=8.0Hz,2H), 7.76(d,J=8.0Hz,2H),8.22−8.24(m,1H);HRMS(EI):m/z333.0991(333.0977 calcd for C1814NO
(1−メチル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)インドール−3−カルボン酸の合成)
100mLのなすフラスコに1−メチル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)インドール−3−カルボン酸メチル(601mg、1.8mmol)、水酸化カリウム(678mg、12mmol)、エタノール(6mL)、及び水(3mL)を加え、反応容器内を窒素置換して、80℃で8時間、加熱し撹拌して反応させた。
反応終了後、得られた反応液を室温に冷却し、2Mの塩酸を用いて酸性にした後、固体析出物をろ別した。析出物を水で洗浄した後、減圧下で乾燥させることにより、目的生成物である1−メチル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)インドール−3−カルボン酸(548mg、1.7mmol)を白色固体として得た。得られた白色固体の融点を測定したところ216℃〜218℃であった。
得られた目的生成物の1H−NMR、及びHRMSの測定結果は以下の通りであった。
H NMR(400MHz,CDCl) δ 3.45(s,3H),7.32−7.39(m,3H),7.55(d,J=8.1Hz,2H),7.75(d,J=8.1Hz,2H),8.29−8.31,(m,1H);HRMS(EI):m/z319.0819(319.0820 calcd for C1712NO
(1−メチル−3−フェニル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)インドールの合成)
20mLの2口フラスコに炭酸セシウム(325g、1mmol)、モレキュラーシーブス4A(150mg)を入れ、120℃で1時間乾燥させた後、酢酸パラジウム(5.6mg、0.025mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(14mg、0.05mmol)、1−メチル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)インドール−3−カルボン酸(159mg、0.5mmol)、ブロモベンゼン(157mg、1mmol)、及びメシチレン(2.5mL)を加え、反応容器内を窒素置換して170℃で6時間、加熱し撹拌して反応させた。
反応終了後、得られた反応液を室温に冷却し、ジエチルエーテル約30mLを用いてろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーを用いて精製することにより、目的生成物である1−メチル−3−フェニル−2−トリフルオロメチルフェニルインドール(98mg、0.28mmol)を白色固体として得た(以下、「含窒素有機化合物B」と言う。)。得られた白色固体の融点を測定したところ139℃〜141℃であった。
得られた目的生成物の1H−NMR、及びHRMSの測定結果は以下の通りであった。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 3.67(s,3H),7.19−7.22 (m,2H),7.28−7.35(m,5H),7.43(m,3H), 7.63 (d,J=8.1Hz 2H),7.78(d,J=8.1Hz 1H);HRMS(EI):m/z351.1233(351.1235 calcd for C2216N)
<比較例1>
(1−メチル−2,3−ジメトキシインドールの合成)
実施例1において、4−ブロモベンゾトリフルオリドに代えて、4−ブロモベンゾアニソールを用いた以外は実施例1と同様にして、1−メチル−2,3−ジメトキシインドールを合成した(以下、「含窒素有機化合物C」と言う。)。
実施例1、2及び比較例1で得られた含窒素有機化合物A〜Cの構造、収率、及び物性を(表1)に示す。
(表1)中、R、X、Yは、前述の一般式(1)におけるR、X、Yのそれぞれに相当する位置の基又は原子を表している。また、Yield(%)は収率である。λabsは溶液状態での吸収波長であり、logεは吸光強度であり、λemは溶液状態又は固体状態(粉末)での蛍光波長である。φslは溶液状態での蛍光量子収率であり、φpwは固体状態(粉末)での蛍光量子収率である。
Figure 0005596364
表1から明らかなように、実施例2で得られた、Xがトリフルオロメチル基である含窒素有機化合物は高い蛍光量子収率を示した。また、実施例1で得られた、X及びYの双方がトリフルオロメチル基、すなわち電子吸引性の基である含窒素有機化合物は、より高い蛍光量子収率を示した。しかし、比較例1で得られたX及びYの双方がメトキシ基、すなわち電子吸引性を有しない基である含窒素有機化合物の蛍光量子収率は、実施例1で得られた含窒素有機化合物と比較して、溶液状態で15%以下であり、固体状態でも50%以下でしかなかった。
実施例1及び2で得られた含窒素有機化合物は、特に固体状態で極めて高い蛍光量子収率を示した。特に実施例1で得られた含窒素有機化合物の蛍光量子収率φpwは0.97に達し、比較例1で得られた含窒素有機化合物の蛍光量子収率φpwの2倍以上であった。
<実施例3>
(有機エレクトロルミネッセンス素子の作成)
陽極であるITO膜が形成されたガラス基板のITO膜上に、Plexcore(登録商標) OC1200(アルドリッチ製)の溶液をスピンコート法により塗布して50nmの膜厚に成膜し、大気中で170℃、15分間ベークして、正孔注入層とした。次いで、ポリビニルカルバゾールに実施例1で合成した含窒素有機化合物Aを3wt%となるように混合し、さらにクロロホルムに溶解して、含窒素有機化合物Aが0.5wt%となるようにクロロホルム溶液を調製した。得られたクロロホルム溶液をスピンコート法により正孔注入層上に塗布して60nmの膜厚で成膜し、窒素雰囲気中で130℃、10分間ベークして発光層とした。
上述の通り陽極、正孔注入層、発光層が形成されたガラス基板を、真空蒸着装置に入れ、減圧した後、発光層上にフッ化ナトリウムを3nmの膜厚で蒸着してフッ化ナトリウム層を形成し、次いで、フッ化ナトリウム層上にアルミニウムを80nmの膜厚で蒸着してアルミニウム層を形成して陰極とした。蒸着後、ガラス基板を用いて窒素雰囲気中で封止することにより、有機エレクトロルミネッセンス素子とした。
得られた有機エレクトロルミネッセンス素子に、15Vの電圧を印加したところ67mA/cmの電流が流れ、44cd/mの輝度で発光した。発光スペクトルが波長425nmにピークを持っていることから、含窒素有機化合物Aが発光していることが確認された。
本発明の含窒素有機化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光材料として有用である。

Claims (6)

  1. 一方又は双方が透明である陽極及び陰極からなる1対の電極と、該1対の電極間に配置される有機発光層とを備え、該有機発光層が下記一般式(1)で表される含窒素有機化合物を含む、有機エレクトロルミネッセンス素子
    Figure 0005596364
    (式中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環でって該芳香族炭化水素環が有していてもよい置換基がフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、又はフッ素原子で置換されていてもよいアリール基であり、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数が6以上である2価の芳香族炭化水素基でって該2価の芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基がフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、又はフッ素原子で置換されていてもよいアリール基であり、1は水素原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数6〜60のアリール基であり、X及びYはそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数6〜60のアリール基であって、X及びYのうちの一方又は双方がシアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、又はフルオロアルキル基である。)
  2. 前記含窒素有機化合物が下記一般式(2)で表される請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子
    Figure 0005596364
    (式中、R1は水素原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数6〜60のアリール基であり、X及びYはそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数6〜60のアリール基であって、X及びYのうちの一方又は双方がシアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、又はフルオロアルキル基であり、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、又はフッ素原子で置換されていてもよいアリール基であり、p、q及びrはそれぞれ独立に、0〜4の整数である。)
  3. 前記含窒素有機化合物の前記X及びYのうちの一方又は双方が、フルオロアルキル基である、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子
  4. 前記含窒素有機化合物の前記Xが、フルオロアルキル基である、請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子
  5. 請求項1−4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた面状光源。
  6. 請求項1−4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた表示装置。
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