JP2006273791A - 有機電荷輸送性化合物及びその製造方法、並びに有機電子デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】湿式成膜法により安定性の高い均一な膜を成膜可能で、良好な電荷輸送性を有し、更に優れた電子注入性を兼ね備えた有機電荷輸送性化合物及びその製造方法、及び当該有機電荷輸送性化合物を用いた素子特性が向上した有機電子デバイスを提供する。
【解決手段】有機電荷輸送性化合物は、下記一般式(1)で表され、当該化合物を少なくとも1つの有機層に含む有機電子デバイスである。
Figure 2006273791

(Xは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を表し、Yは、B、N、Si、O、Se、P、及びGeのいずれかの元素を表す。Arは、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良い複素環基を表す。Zは、−Y−(Ar)、又は、水素原子、フッ素以外のハロゲン原子、アルキル基等である。nは、1〜20の数を表し、mは、1以上の整数である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、有機電荷輸送性化合物、及び有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「エレクトロルミネッセンス」を「EL」と略すことがある)のような有機発光デバイス、有機トランジスタ等の有機電子デバイスに関し、さらに詳しくは、湿式成膜法に適した有機電荷輸送性化合物、及び当該有機電荷輸送性化合物を含有する有機層を備えた有機電子デバイスに関するものである。
有機電子デバイスは、有機EL素子のような有機発光デバイス、有機トランジスタ等、広範な基本素子及び用途への展開が期待されている。
有機化合物材料の電界発光を利用した有機EL素子は、蛍光有機化合物に電場を与えることにより発光する自発光型の素子であり、視野角が広いこと、低電圧で駆動できること、高輝度であること、構成層が液晶素子と比べて少なく製造が容易であること、薄形化できること等の多くの長所を有しており、次世代の表示素子として注目されている。特に有機EL素子は、無機EL素子に比べ、印加電圧を大幅に低くできるので消費電力を小さくすることができ、小型化が容易で、面発光が可能でありかつ三原色発光も可能であることから活発な研究開発がなされている。
有機EL素子の構成については、陽極/発光層/陰極の構成を基本とし、これに正孔注入・輸送層や電子注入・輸送層を適時設けたもの、例えば陽極/正孔注入・輸送層/発光層/陰極や、陽極/正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/陰極などの構成のものが知られている。
有機EL素子は、素子内に注入された電子と正孔の再結合により生じた励起状態のエネルギーを発光として取り出すものであり、生じた励起状態は、一重項状態が25%、三重項状態が75%になると考えられている。蛍光を利用した有機EL素子では一重項状態のエネルギーのみを利用しているため、内部量子収率が原理的に25%に留まるのが難点である。
現在注目されているのが燐光を利用した有機EL素子である。燐光を利用した有機EL素子(燐光有機EL素子ともいう。)では、一重項状態のエネルギーのみならず三重項状態のエネルギーも利用することが可能であり、内部量子収率を原理的には100%まで上げることが可能となる。
燐光有機EL素子は、燐光を発するドーパントとして白金やイリジウムなどの重金属を含む金属錯体系発光性材料をホスト材料にドーピングすることにより燐光発光を取り出している(例えば、非特許文献1を参照)。
燐光ドーパントの発光はホスト材料に依存するが、そのホスト材料に必要とされる基本性能としては、正孔輸送性および電子輸送性を有すること、ホスト材料の還元電位が燐光ドーパントの還元電位よりも高いこと、ホスト材料の三重項状態のエネルギーレベルがドーパントの還元電位よりも低いことなどが挙げられ、一般には低分子材料であるCBP(4,4’−bis(carbazol−9‐yl)−biphenyl)が好適に用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
CBPをホスト材料に用いた燐光素子は、高効率化や長寿命化が期待されるが、一方で経時的にCBPの結晶化や凝集が起こり、素子が劣化して、素子寿命に多大な影響を与えるといった問題がある。また、発光効率についても未だ実用化に耐えうるものではなく、更なる改良が必要である。さらに、CBPは蒸着プロセスにより成膜しなければならず、大掛かりな蒸着装置が必要でコストが高いという問題があり、さらに、基材の大面積化が困難という問題がある。真空蒸着法に比べてコストが安価で、大面積ディスプレイの製造が可能な方法としては、溶媒を用いて基材に塗布するなどの湿式成膜法がある。しかしながら、従来のCBPのような低分子材料を溶剤に溶解又は分散させて塗工液を調製しようとしても溶解性、分散性が悪いため、均一で安定な塗工液が得られず、成膜できても経時的に有機層の結晶化や凝集が起こるなど、膜安定性が悪いため、従来の低分子材料を湿式成膜法により利用することは困難であった。
一方、フッ素含有アリール基を有するカルバゾール誘導体化合物を含有することを特徴とする有機EL素子が、特許文献2に開示されている。しかしながら、特許文献2においては真空蒸着法による成膜が好ましいとされており、湿式成膜法による成膜や、有機層の結晶化や凝集などが起こらないような膜安定性に対する検討はなされていない。
また、有機電子デバイスの他の代表例である有機トランジスタは、π共役系の有機高分子や有機低分子からなる有機半導体材料をチャネル領域に使用した薄膜トランジスタである。一般的な有機トランジスタは、基板、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース・ドレイン電極、及び有機半導体層の構成からなる。有機トランジスタにおいては、ゲート電極に印加する電圧(ゲート電圧)を変化させることで、ゲート絶縁膜と有機半導体膜の界面の電荷量を制御し、ソース電極及びドレイン電極間の電流値を変化させてスイッチングを行なう。
しかし、この有機トランジスタで使われる有機半導体材料は、一般的にソース電極またはドレイン電極との電荷注入障壁が大きく、素子駆動に問題があった。また、有機半導体層とソース電極またはドレイン電極との電荷注入障壁を低減すれば、有機トランジスタのオン電流値が向上し、かつ素子特性が安定化することが期待される。従って、有機トランジスタで使われる有機半導体材料には、電荷輸送性に加えて、電荷注入特性の向上も望まれている。更に、有機EL素子と同様、湿式成膜法による製造が望まれている。
以上のように、有機電子デバイスに用いられる電荷輸送性材料として、正孔及び電子輸送性を有し、更に電荷注入特性に優れ、湿式成膜法により成膜可能な有機材料が望まれていた。
M.A.Baldo et.al., Nature, vol.403, p.750-753(2000) 特開平10−168443号公報 特開2004−288381号公報
本発明は、上記問題を解決するためのなされたものであり、本発明の第一の目的は、湿式成膜法により安定性の高い膜を成膜可能で、良好な電荷輸送性を有し、更に電子注入性を兼ね備えた有機電荷輸送性化合物及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、膜安定性の高い電荷輸送性を有する層を湿式成膜法により形成可能で、駆動安定性が高く、素子特性に優れた有機電子デバイスを提供することにある。
本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、下記一般式(1)で表されるものである。
Figure 2006273791
(Xは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。Yは、B、N、Si、O、Se、P、及びGeのいずれかの元素を表す。Arは、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良い複素環基を表す。複数のArは、直接又は置換基を介して互いに結合してYと共に縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換基を有していても良い。Zは、一般式(1)で表されている−Y−(Ar)、又は、水素原子、フッ素以外のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、複素環基、シアノ基、ニトロ基から選択される1種を表す。nは、1〜20の数を表し、mは、1以上の整数である。)。
上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、フッ素原子又はトリフルオロメチル基で全て置換されたアリーレン基を骨格に有するため、電荷輸送性、並びに低いLUMOを有することによる電子注入性を有する。更に、フッ素原子又はトリフルオロメチル基の置換の効果によりアリーレン骨格の分子構造がねじれるため、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、溶媒溶解性が高くて湿式成膜法により成膜が可能な上、分子間のパッキングが弱く、成膜した場合に結晶化や凝集などが起こりにくく膜安定性が高い。また、炭素とフッ素の化学結合は安定であるため、熱安定性も高い。また、フッ素原子又はトリフルオロメチル基の置換の効果により化合物に撥水性が付与され、水分に対して安定となる。従って、塗布工程において湿気の影響を減少できる効果が期待できる。更に、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、B、N、Si、O、Se、P、及びGeのいずれかの元素を介して、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良い複素環基と結合しているため、設計により、更なる正孔輸送性及び/又は電子輸送性を有したり、且つ還元電位と酸化電位の差を大きくすることが可能である。その結果、本発明の有機電荷輸送性化合物は、湿式成膜法により安定性の高い膜を成膜可能な、電子注入性も兼ね備えた電荷輸送性材料として用いることが可能である。
上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物の一実施形態は、下記一般式(2)で表されるものである。
Figure 2006273791
(Yは、B、N、Si、O、Se、P、及びGeのいずれかの元素を表す。Arは、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良い複素環基を表す。複数のArは、直接又は置換基を介して互いに結合してYと共に縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換基を有していても良い。Zは、一般式(1)で表されている−Y−(Ar)、又は、水素原子、フッ素以外のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、複素環基、シアノ基、ニトロ基から選択される1種を表す。s及びtは、0〜20の数を表すが、sとtの和は1〜20である。mは、1以上の整数である。)
また、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物の他の一実施形態は、前記一般式(1)及び(2)で表される化合物のArが、各々独立に下記一般式(3)で表されるものである。
Figure 2006273791
(Yは、B、N、Si、O、Se、P、及びGeのいずれかの元素を表す。Ar0は、置換基を有していても良いアリーレン基又は置換基を有していても良い2価の複素環基を表す。Ar’は、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良い複素環基を表す。複数のAr’は、直接又は置換基を介して互いに結合してYと共に縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換基を有していても良い。lは、1以上の整数である。)
上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、発光性を有することが、有機EL素子のような有機発光デバイスの発光層として用いることが可能なため好ましい。
本発明に係る有機電荷輸送性化合物において、ガラス転移温度が90℃以上であることが、耐熱性が高くなり、当該有機電荷輸送性化合物が用いられた素子の信頼性が向上する点から好ましい。
上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、有機溶剤に可溶であることが、湿式成膜法により成膜可能な点から好ましい。
また、本発明に係る下記一般式(6)で表される有機電荷輸送性化合物の製造方法は、
Figure 2006273791
(式中のXは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。Arは、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良い複素環基を表す。複数のArは、直接又は置換基を介して互いに結合してYと共に縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換基を有していても良い。nは、1〜20の数を表し、mは、1以上の整数である。)
下記一般式(4)で表される構造を有するジアミンと、
Figure 2006273791
(式中のXは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。nは、1〜20の数を表す。)
下記一般式(5)で表されるハロゲン化物を、少なくともパラジウム触媒と塩基を用いて反応させる工程を有するものある。
Figure 2006273791
(式中のArは、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良い複素環基を表す。複数のArは、直接又は置換基を介して互いに結合してYと共に縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換基を有していても良い。Qは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選択される1種以上である。)
本発明によれば、上記工程を有することにより、合成に必要な工程数を少なくすることができるため、より短時間で合成可能な上、コスト上も有利である。
一方、本発明に係る有機電子デバイスは、基板上に、対向する2つ以上の電極と、そのうちの2つの電極間に配置された少なくとも1層の有機層とを有する有機電子デバイスであって、前記有機層のうち少なくとも1つの層に上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物が含有されることを特徴とする。
本発明に係る有機電子デバイスは、上記有機層のうち少なくとも1つの層が上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物を含有し、当該上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物を用いて形成された層は、経時的に結晶化や凝集が起こり難くかつ熱安定性も高いという、安定性の高い均一な膜であることから、例えば各部において均一な発光特性をもたらすことができる上、駆動安定性及び保存安定性に優れる。また、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、優れた電荷輸送性と電子注入性を兼ね備えることから、素子の効率が向上するなど、素子特性に優れる。
また、本発明に係る有機電子デバイスは、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物を含有する層を湿式成膜法により形成可能なため、真空蒸着法に比べてコストが安価で、大面積ディスプレイの製造が可能である。
本発明に係る有機電子デバイスの一実施形態は、前記有機層のうち少なくとも1つの層に発光層を有し、有機発光デバイスである。上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、電荷輸送性、及び電子注入性を有するため有機発光素子の有機層に用いられることが好適だからである。
また、その中でも好ましい実施形態としては、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物が含有される有機層が発光層である有機発光デバイスである。上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、設計により、電子輸送性及び正孔輸送性を有し、更には発光性を有するため発光層に用いられることが好適だからである。
中でも、上記発光層の一実施形態としては、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物に、少なくとも燐光発光性材料が混合・分散されている発光層が好ましい。
上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、設計により、電子輸送性及び正孔輸送性を有し、還元電位と酸化電位の差が大きくすることができ、更に電子注入性に優れているため、優れた電子注入性も兼ね備えた燐光ドーパントのホスト材料として用いることが好適だからである。またこの場合には、本発明に係る有機電子デバイスである有機発光デバイスは、特に高い発光効率、長寿命を実現するからである。
また、本発明に係る有機電子デバイスの他の一実施形態は、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物が含有される有機層が有機半導体層である有機トランジスタである。
上記有機電荷輸送性化合物は、電子注入性に優れた有機半導体材料としても用いることができ、その場合には、本発明に係る有機電子デバイスである有機トランジスタは、電極との電荷注入障壁を低減可能で、有機トランジスタのオン電流値が向上し、かつ素子特性が安定化する。
また、本発明の有機電子デバイスにおいては、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物を含有する有機層が、湿式成膜法を用いて形成されてなることが、コストが安価で、大面積ディスプレイの製造が可能な点から好ましい。
本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、良好な電荷輸送性を有し、更に電子注入性を兼ね備えることから、有機電子デバイスにおける電荷輸送性を必要とする有機層や、有機半導体層を形成するのに好適である。
また設計により、電子輸送性と正孔輸送性の両方や、発光性を有する上、優れた電子注入性を有することから、電子輸送性材料と正孔輸送性材料を混合することなく、電子輸送性と正孔輸送性の両方が必要とされる有機発光デバイスの発光層等に好適に用いることができる。更に、電子輸送性構造と正孔輸送性構造の分子内割合により電子輸送性と正孔輸送性の程度を最適化することが可能であり、且つ還元電位と酸化電位の差を大きくすることが可能であるため、特に、優れた電子注入性も兼ね備えた燐光ドーパントのホスト材料として好適に用いることができる。
本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、フッ素原子又はトリフルオロメチル基で全て置換されたアリーレン基を骨格に有することにより、従来の低分子化合物に比べて結晶化や凝集等を起こし難くなる上、熱安定性が高く、安定性の高い膜が成膜可能である。従って、例えば有機発光デバイスの寿命向上に有利など、有機電子デバイスの素子特性向上に有利である。一方、本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、従来の高分子化合物に比べて分子量分布がないことから純度を上げることが可能なため、不純物に起因する劣化を抑制することができる上、例えば有機発光デバイスにした場合には発光・燐光スペクトルがシャープとなり、高い色純度を有するといったメリットを有する。従って、本発明の有機電荷輸送性化合物は、中でも、これまでの有機発光デバイス、特に燐光発光素子が抱える問題を解決し、高効率的発光により長寿命な有機発光デバイスの実現を可能にする。
本発明の有機電荷輸送性化合物の製造方法によれば、合成に必要な工程数を少なくすることができるため、より短時間で合成可能な上、コスト上も有利である。
本発明に係る有機電子デバイスは、上記効果を有する本発明に係る有機電荷輸送性化合物を含有する層が設けられていることにより、駆動安定性及び保存安定性に優れる上、素子の効率が向上するなど、素子特性に優れる。また、本発明に係る有機電子デバイスは、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物を含有する層を湿式成膜法により形成可能なため、真空蒸着法に比べてコストが安価で、大面積ディスプレイの製造が可能である。
I.有機電荷輸送性化合物
本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、下記一般式(1)で表されるものである。
Figure 2006273791
(Xは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。Yは、B、N、Si、O、Se、P、及びGeのいずれかの元素を表す。Arは、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良い複素環基を表す。複数のArは、直接又は置換基を介して互いに結合してYと共に縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換基を有していても良い。Zは、一般式(1)で表されている−Y−(Ar)、又は、水素原子、フッ素以外のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、複素環基、シアノ基、ニトロ基から選択される1種を表す。nは、1〜20の数を表し、mは、1以上の整数である。)。
上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、フッ素原子又はトリフルオロメチル基で全て置換されたアリーレン基を骨格に有するため、電荷輸送性、並びに低いLUMOを有することによる電子注入性を有する。更に、フッ素原子又はトリフルオロメチル基の置換の効果によりアリーレン骨格の分子構造がねじれるため、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、溶媒溶解性が高くて湿式成膜法により成膜が可能な上、分子間のパッキングが弱く、成膜した場合に結晶化や凝集などが起こりにくく膜安定性が高い。また、炭素とフッ素の化学結合は安定であるため、熱安定性も高い。更に、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、B、N、Si、O、Se、P、及びGeのいずれかの元素を介して、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良い複素環基と結合しているため、設計により、更なる正孔輸送性及び/又は電子輸送性や、発光性を有したり、且つ還元電位と酸化電位の差を大きくすることが可能である。その結果、本発明の有機電荷輸送性化合物は、湿式成膜法により安定性の高い膜を成膜可能な、電子注入性も兼ね備えた電荷輸送性材料として用いることが可能である。
前記一般式(1)において、Xは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。一つのアリーレンにおいて、置換されているXは、それぞれ同一でも異なっていても良く、全てがフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されていても良いし、4つのXのうちの幾つかがフッ素原子で残りがトリフルオロメチル基といったように置換されていても良い。
このようにフッ素で置換されているアリーレンは、低いLUMO(最低空軌道)を有し、且つ電子輸送性を有するものである。低いLUMOを有することから、優れた電子注入性を期待できる。
前記一般式(1)において、nは、全てがフッ素含有基で置換されたアリーレン(以下、全フッ素置換のアリーレンという場合がある。)の繰り返し単位数を表すものであり、1〜20の数である。合成が容易な点からは、中でも、nは、1〜2であることが好ましい。
上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物の一実施形態としては、下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
Figure 2006273791
(Yは、B、N、Si、O、Se、P、及びGeのいずれかの元素を表す。Arは、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良い複素環基を表す。複数のArは、直接又は置換基を介して互いに結合してYと共に縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換基を有していても良い。Zは、一般式(1)で表されている−Y−(Ar)、又は、水素原子、フッ素以外のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、複素環基、シアノ基、ニトロ基から選択される1種を表す。s及びtは、0〜20の数を表すが、sとtの和は1〜20である。mは、1以上の整数である。)
上記一般式(1)及び(2)において、Yは、B、N、Si、O、Se、P、及びGeのいずれかの元素を表す。Yの原子を、設計により適宜選択することにより、全フッ素置換のアリーレンが有する電子輸送性及び電子注入性に加えて、更に、正孔輸送性又は電子輸送性を有するように調整することが可能である。例えば、Yとして、Nの元素を選択した場合には、正孔輸送性の付与を期待できる。或いは、Yとして、B、Siの元素を選択した場合には、更なる電子輸送性の付与を期待できる。
中でも特に、YがN(窒素原子)で、3級アミン構造をとる場合には、LUMOが低く電子輸送性構造を有する全フッ素置換のアリーレンと、還元電位と酸化電位が大きな差を有し得る正孔輸送性構造を同一分子内に含有させた有機電荷輸送性化合物により、電子輸送性及び正孔輸送性を有し、還元電位と酸化電位の差が大きく、更に電子注入性に優れた有機電荷輸送性化合物を得ることが可能である。このような有機電荷輸送性化合物を有機燐光発光素子の燐光ドーパントのホスト材料として用いることにより、燐光ドーパントへのエネルギー移動をより効率的に行うことが可能で、且つ駆動安定性が向上し、従来の湿式成膜法による燐光発光素子に比べ、再結合時の発光効率を向上させることができる。
上記一般式(1)及び(2)において、Arは、上記Yに結合した、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良い複素環基を表す。Arは、Yの価数に対応して1つ以上結合しているものであり、例えば、YがN(窒素原子)の場合にはArは2つ結合し、YがSiの場合にはArは3つ結合する。また、各々のArは、下記一般式(3)で表されるように、更にYを含有するような分岐構造をとっていても良い。
Figure 2006273791
(Yは、B、N、Si、O、Se、P、及びGeのいずれかの元素を表す。Ar0は、置換基を有していても良いアリーレン基又は置換基を有していても良い2価の複素環基を表す。Ar’は、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良い複素環基を表す。複数のAr’は、直接又は置換基を介して互いに結合してYと共に縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換基を有していても良い。lは、1以上の整数である。)
また更に一般式(3)におけるAr’が、更にYを含有するような一般式(3)の構造を有していても良い。
Ar、Ar’として用いられるアリール基又は複素環基としては、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、アズリル、アセナフテニル、フルオレニル、フェナントリル、インデニル、ピレニル、ビフェニル、ピリジル、ピリミジル、フラニル、ピロニル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、フラジル、チオフェニル、キノリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、カルバゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノキサリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル等が挙げられ、これらは更に置換基を有していても良い。
Ar0として用いられるアリーレン基は、芳香族炭化水素の水素2原子を取り去ってできる2価の基であって、例えば、フェニレン、ビフェニレン等が挙げられる。また、Ar0として用いられる2価の複素環基は、チオフェン、ピロール、フラン等の複素環の水素2原子を取り去ってできる2価の基等が挙げられる。Ar0は更に置換基を有していても良い。
また、Ar、Ar’のアリール基や複素環基、Ar0として用いられるアリーレン基又は2価の複素環基は、置換基を有していても良い。このような置換基は、化合物に立体障害を持たせるように振る舞うので、化合物が溶媒中に溶解又は分散した際の凝集等を防いで溶媒溶解性を向上させ、また、有機電荷輸送性化合物が含まれる層においても、凝集や結晶化を防いで膜中の均一分散性を向上させることができる。当該有機電荷輸送性化合物が膜中に均一に分散することは、例えば、注入された電荷に基づく発光が面内で均一に生じることとなるので、発光効率の向上にも寄与できる。
Ar、Ar’のアリール基や複素環基、Ar0として用いられるアリーレン基又は2価の複素環基に有していても良い置換基としては、置換基を有していても良いアルキル基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基であり、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアルケニル基(たとえば、炭素数1〜8のアルケニル基であり、たとえばビニル、アリル、1−ブテニル基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアルキニル基(たとえば、炭素数1〜8のアルキニル基であり、たとえばエチニル、プロパルギル基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアラルキル基(たとえば、炭素数7〜14のアラルキル基であり、たとえばベンジル基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアミノ基(好ましくは、置換基に炭素数1〜8のアルキル基を1つ以上有するものであり、たとえばメチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアリールアミノ基(たとえばフェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ基などが挙げられる。);置換基を有していても良いヘテロアリールアミノ基(たとえばピリジルアミノ、チエニルアミノ、ジチエニルアミノ基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアルコキシ基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルコキシ基であり、たとえばメトキシ、エトキシ、ブトキシ基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアリールオキシ基(好ましくは芳香族炭化水素基や複素環基を有するものであり、たとえばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、ピリジルオキシ、チエニルオキシ基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアラルキルオキシ基(たとえばベンジルオキシ、フェネチルオキシ基等が挙げられる。);置換基を有していても良いアシル基(好ましくは、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアシル基であり、たとえばホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアルコキシカルボニル基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数2〜13のアルコキシカルボニル基であり、たとえばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアリールオキシカルボニル基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数2〜13のアリールオキシカルボニル基であり、たとえばアセトキシ基などが挙げられる。);カルボキシル基;シアノ基;水酸基;メルカプト基;ハロゲン原子(たとえばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜8のアルキルチオ基であり、たとえば、メチルチオ基、エチルチオ基などが含まれる。);アリールチオ基(好ましくは炭素数1〜8のアリールチオ基であり、たとえば、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基などが挙げられる。);置換基を有していても良いスルホニル基(たとえばメシル、トシル基などが挙げられる。);置換基を有していても良いシリル基(たとえばトリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる。);置換基を有していても良いボリル基(たとえばジメシチルボリル基などが挙げられる。);置換基を有していても良いホスフィノ基(たとえばジフェニルホスフィノ基などが挙げられる。);置換基を有していても良い芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基(好ましくは、5または6員環の、単環または2縮合環である、芳香族炭化水素環または芳香族複素環であり、例えばフェニル基、ナフチル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基などが挙げられる。)
なお、上述の各置換基が「有していても良い置換基」としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、水素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジアリールアミノ基等が挙げられる。
Arのアリール基や複素環基に有していても良い置換基としては、これらの中でも、有機溶媒への溶解性、化学的安定性の点から、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基のような直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。中でも、tert−ブチル基は、溶解性の向上、ガラス転移温度の上昇、アモルファス性の向上の点から好ましい。
また、一般式(1)〜(3)において、Yに結合した複数のAr又はAr’は、下記に示されるように、直接又は置換基を介して互いに結合してYと共に縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換基を有していても良い。
Figure 2006273791
また、一般式(1)及び(2)において、Zは、一般式(1)及び(2)で表されている−Y−(Ar)、又は、水素原子、フッ素以外のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、複素環基、シアノ基、ニトロ基から選択される1種を表す。−Y−(Ar)は、上述のように、電子輸送性や正孔輸送性等の機能を調整可能なものであるから、Zとしては、−Y−(Ar)である方がより好ましい。Zが−Y−(Ar)である場合においては、両末端の−Y−(Ar)は、同一でも、異なっていても良く、設計に合わせて適宜変更することができる。両末端の−Y−(Ar)が同一である場合には、合成が容易で高純度で得られるというメリットを有し、異なる場合には、両末端の−Y−(Ar)に異なる機能を付与することが可能になるというメリットを有する。
本発明における一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、以下の化学構造式におけるRは、水素原子、又は上述の「Arのアリール基や複素環基に有していても良い置換基」を表す。
Figure 2006273791
Figure 2006273791
Figure 2006273791
以上に説明したような本発明に係る有機電荷輸送性化合物においては、ガラス転移温度(Tg)が90℃以上、更に100℃以上であることが、耐熱性が高くなり、薄膜化した場合でも90℃未満では凝集せず、膜安定性が維持でき、当該有機電荷輸送性化合物が用いられた素子等の信頼性が向上する点から好ましい。
本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、全フッ素置換のアリーレンや溶剤溶解性に優れた置換基の導入により、溶媒溶解性及び分散性に優れ、有機溶剤に溶解可能なように設計することが好ましい。中でも、本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、沸点が80℃以上の有機溶剤に、25℃において2重量%以上溶解することが好ましい。このような場合には、良好な膜質を湿式成膜法により成膜可能になるからである。なお、沸点が80℃以上の有機溶剤とは、例えば、トルエン、キシレン、テトラリン等の芳香族系有機溶媒、1,1,2,2−テトラクロロエタン等のハロゲン系溶媒、1,4−ジオキサン等のエーテル溶媒等が挙げられる。また、湿式成膜法としては、スピンコート法、キャストコート法、ディップコート法、ダイコート法、ビードコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などが挙げられる。
本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、良好な電荷輸送性、及び電子注入性を有することから、有機EL素子のような有機発光デバイスの有機層や、有機トランジスタにおける有機半導体層を形成する材料として好適に用いられる。
また、設計により、分子内に電子輸送性と正孔輸送性の両方や、発光性を有し、還元電位と酸化電位の差を大きくすることが可能で、更に電子注入性を兼ね備えると共に、化合物を膜中に均一に分散することができるので、発光層や電荷輸送層を形成する有機EL素子用材料、中でも特に有機EL素子用の燐光ドーパントのホスト材料として好適に用いられる。本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、特に有機EL素子において効率的で安定な発光を実現でき、その結果、有機EL素子の長寿命化を実現できるという効果がある。
II.有機電荷輸送性化合物の製造方法
本発明に係る有機電荷輸送性化合物のうち、代表的な化合物の製造方法を下記に述べる。
本発明に係る下記一般式(6)で表される有機電荷輸送性化合物の製造方法は、
Figure 2006273791
(式中のXは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。Arは、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良い複素環基を表す。複数のArは、直接又は置換基を介して互いに結合してYと共に縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換基を有していても良い。nは、1〜20の数を表し、mは、1以上の整数である。)
下記一般式(4)で表される構造を有するジアミンと、下記一般式(5)で表されるハロゲン化物を、少なくともパラジウム触媒と塩基を用いて反応させる工程を有するものである。
Figure 2006273791
(式中のXは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。nは、1〜20の数を表す。)
Figure 2006273791
(式中のArは、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良い複素環基を表す。複数のArは、直接又は置換基を介して互いに結合してYと共に縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換基を有していても良い。Qは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選択される1種以上である。)
本発明によれば、上記工程を有することにより、合成に必要な工程数を少なくすることができるため、より短時間で合成可能な上、コスト上も有利である。
上記一般式(5)は、Arの1つの水素が、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選択される1種以上であるQに置換されたハロゲン化物である。Qは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選択される1種以上であるが、中でも、反応性から臭素原子又はヨウ素原子であることが好ましい。また、Arについては、上記「I.有機電荷輸送性化合物」において述べたのと同様のものを用いることができる。
本発明に係る製造方法は、例えば次のように実施することができる。まず、上記一般式(4)で表される構造を有するジアミンと下記一般式(5)で表されるハロゲン化物を、パラジウム触媒と塩基存在下で、不活性溶媒中、窒素雰囲気下で室温にて撹拌した溶液にトリ(tert−ブチル)ホスフィン等のリン系触媒を滴下する。得られた溶液を30〜70℃、好ましくは90〜120℃にて、1〜2時間撹拌する。ここで、下記一般式(5)で表されるハロゲン化物は、上記一般式(4)で表される構造を有するジアミン1.0モルに対して、4〜5モル、更に4.1〜4.5モルであることが好ましい。また、上記パラジウム触媒は、上記一般式(4)で表される構造を有するジアミン1.0モルに対して、0.03〜0.1モル、更に0.05モル程度であることが好ましい。更に、上記塩基は上記一般式(4)で表される構造を有するジアミン1.0モルに対して、4モル以上、更に5〜6モルであることが好ましい。また、上記リン系触媒は、上記一般式(4)で表される構造を有するジアミン1.0モルに対して、0.2〜0.5モル、更に0.4モル程度であることが好ましい。
反応に使用するパラジウム触媒としては、Pd(dba)(トリス−(ジベンジリデンアセトン)パラジウム)、テトラキス(トリフェニル)ホスフィンパラジウムやジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられる。また、反応に使用する塩基としては、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシドなどが挙げられる。反応に使用する不活性溶媒としては、脱水トルエンなどが挙げられる。
上記縮合反応終了後、その反応液を室温まで放冷するなど冷却し、必要に応じてクロロホルム並びに水などの溶媒で有機層を抽出する。その後、水層をクロロホルム等の有機溶媒で数回抽出する。得られた有機層を合わせ、硫酸マグネシウム等で乾燥し、ろ過して得られた溶液を濃縮し、残渣を得る。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(例えば、Merck シリカゲル60; 展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン(体積比3:7)溶媒)で分離する。得られた成分を、ジクロロメタン−ヘキサン等の溶媒を用いて再結晶することにより、目的物が得られる。
III.有機電子デバイス
以下、本発明の有機電子デバイスについて詳しく説明する。
本発明に係る有機電子デバイスは、基板上に、対向する2つ以上の電極と、そのうちの2つの電極間に配置された少なくとも1層の有機層とを有する有機電子デバイスであって、前記有機層のうち少なくとも1つの層に上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物が含有されることを特徴とする。
本発明に係る有機電子デバイスは、上記有機層のうち少なくとも1つの層が上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物を含有し、当該上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物を用いて形成された層は、経時的に結晶化や凝集が起こり難くかつ熱安定性も高いという、安定性の高い均一な膜であることから、例えば各部において均一な発光特性をもたらすことができる上、駆動安定性及び保存安定性に優れる。また、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、優れた電荷輸送性と電子注入性を兼ね備えることから、素子の効率が向上するなど、素子特性に優れる。
また、本発明に係る有機電子デバイスは、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物を含有する層を湿式成膜法により形成可能なため、真空蒸着法に比べてコストが安価で、大面積ディスプレイの製造が可能である。
1.有機発光デバイス
本発明に係る有機電子デバイスの一実施形態は、前記有機層のうち少なくとも1つの層に発光層を有する、有機発光デバイスである。上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、電荷輸送性、及び電子注入性を有するため有機発光素子の有機層に用いられることが好適だからである。
以下、有機発光デバイスの具体的な一例として有機EL素子を挙げて詳細な説明をするが、本発明における有機発光デバイスは有機EL素子に限られず、有機EL素子以外の有機発光デバイスであるライトエミッティングエレクトロケミカルセル(LECs)等にも適用できるものである。
本発明の有機EL素子の代表的な層構成および作製方法について説明する。
有機EL素子の構成については、陽極/発光層/陰極の構成を基本とし、これに正孔注入層や正孔輸送層、電子注入層や電子輸送層を適時設けることができる。
図1は、本発明に係る有機EL素子の層構成の例を示す断面模式図である。
本発明の有機EL素子の一実施形態は、図1に示すように、基板1上に形成された陽極電極2と陰極電極6との間に、有機層である正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5がこの順に設けられたものである。正孔輸送層の代わりに、或いは陽極電極2と正孔輸送層3の間に、更に正孔注入層を有していても良いし、電子輸送層の代わりに、或いは陰極電極6と電子輸送層5の間に、更に電子注入層を有していても良い。上記構成は本発明に係る有機EL素子の例示であって、これらに限定されるものではない。
以下、有機EL素子の各構成について説明する。
(基板)
基板は、観察者側の表面に通常設けられる。そのため、この基板は、発光層からの光を観察者が容易に視認することができる程度の透明性を有していることが好ましい。なお、この基板の反対が観察者側である場合には、この基板は不透明であってもよい。
基板としては、フィルム状の樹脂製基板、または、ガラス板に保護プラスチックフィルム若しくは保護プラスチック層を設けたものが用いられる。
基板を形成する樹脂材料または保護プラスチック材料としては、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオキシメチレン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、アクリロニトリル−スチレン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂、非晶質ポリオレフィン等が挙げられる。この他の樹脂材料であっても、有機EL素子用として使用できる条件を満たす高分子材料であれば使用可能である。基板の厚さは、通常50〜200μmである。
これらの基板においては、その用途にもよるが水蒸気や酸素等のガスバリアー性のよいものであればより好ましい。なお、基板上に、蒸気や酸素等のガスバリアー層を形成してもよい。バリアー層としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機酸化物をスパッタリング法や真空蒸着法等の物理蒸着法により形成したものを例示できる。
(電極)
電極は有機層を挟持するようにその両側に設けられる。基板側の電極は、陽極でも陰極でもよいが、ここでは陽極として説明する。基板側の電極は、発光層に正電荷(正孔)を注入するために発光層に隣接する態様で基板上に設けられる。なお、発光層と基板との間に正孔輸送層が設けられている場合には、電極は正孔輸送層に隣接して設けられる。
陽極である電極は、通常の有機EL素子に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)などの導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケルなどの金属、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、これらの混合物または積層物などが挙げられ、中でも、正孔が注入し易いように仕事関数の大きい透明または半透明材料であるITO、酸化インジウム、金、IZOが好ましい。電極の厚さは、何れも0.005〜0.5μmであることが好ましく、通常、スパッタリング法や真空蒸着法等により全面にまたはパターン状に形成される。パターン状の電極は、全面に形成した後、感光性レジストを用いてエッチングすることにより形成される。
また、上記電極に対向して設けられる一方の電極は、上記電極とは異なる極性であればよいが、ここでは陰極として説明する。この電極(以下、陰極という)は、発光層に負電荷(電子)を注入するための電子注入層に隣接して設けられる。
陰極は、通常の有機EL素子に用いられるものであれば特に限定されず、上述した電極(陽極)と同様の酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)または金等の薄膜電極材料の他、マグネシウム合金(MgAg等)、アルミニウムまたはその合金(AlLi、AlCa、AlMg等)、銀等を挙げることができる。中でも、電子を注入しやすいように4eVより小さい仕事関数を持つものが好ましく、例えば、アルカリ金属(たとえばリチウム、ナトリウム、セシウムなど)およびそのハロゲン化物(たとえばフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化セシウムなど)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウムなど)およびそのハロゲン化物(フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなど)、アルミニウム、銀などの金属、導電性金属酸化物およびこれらの合金または混合物などが挙げられる。陰極の厚さは、何れも0.005〜0.5μmであることが好ましく、通常、真空蒸着法、スパッタング法、金属薄膜を圧着するラミネート法などが用いられる。
なお、陰極作製後においては、有機EL素子を保護する保護層を装着してもよい。この有機EL素子を長期間安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層または保護カバーを装着することが望ましい。保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物、珪素酸化物、珪素窒化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、このカバーを熱硬化樹脂や光硬化樹脂で素子基板と張り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。
(有機層)
電極間に挟持される単層または多層の有機層、すなわち有機EL層は、広義にはエレクトロルミネッセンスを起こす層をいい、発光層のほか、発光層に正孔を輸送する正孔輸送層、その正孔輸送層および発光層に正孔を注入する正孔注入層、発光層に電子を輸送する電子輸送層、その電子輸送層および発光層に電子を注入する電子注入層等を任意に組み合わせてなる多層構造の形態を含む。
具体的には、正孔輸送層/発光層/電子注入層の順に形成された態様、正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層の順に形成された態様、発光層/電子輸送層/電子注入層の順に形成された態様、等が含まれる。また、発光層に正孔輸送性材料や電子輸送性材料を混合することにより、正孔輸送層や電子輸送層を省略することもできる。本発明においては、これらのうち少なくとも1つの有機層が上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物を含有する層である。なお、この有機EL層と上記電極との間の一部または全部に、紫外線硬化樹脂等の光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を含む材料からなる絶縁層を形成してショート等の欠陥発生を抑えてもよいし、ブラックマトリックスなどの遮光層を設けることもできる。
上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物を含有する有機層は、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物が有機溶剤に可溶なため湿式成膜法を用いて形成することができる。
(発光層)
発光層は、有機EL素子における必須の層である。発光層は、従来から知られた発光性材料を用いて形成されても良いが、本発明に係る有機発光デバイスにおいては、発光層が、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物が含有される有機層であることが好ましい。上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、設計により、電子輸送性及び正孔輸送性を有し、更には発光性を有するため発光層に用いられることが好適だからである。上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物については既述したので、ここでは省略する。
本発明の有機EL素子の発光層の形態としては、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物のみを発光性材料として用いて構成しても良いが、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物に、発光性材料を混合・分散して発光層を構成することが好ましく、中でも上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物に、少なくとも燐光発光性材料を混合・分散して発光層を構成することが好ましい。上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物は、設計により、電子輸送性及び正孔輸送性を有し、還元電位と酸化電位の差が大きくすることができ、更に電子注入性に優れているため、電子注入性も兼ね備えた燐光ドーパントのホスト材料として用いることが好適だからである。またこの場合には、本発明に係る有機電子デバイスである有機発光デバイスは、特に高い発光効率、長寿命を実現するからである。
また、本発明の有機EL素子の発光層には、本発明の効果を損なわない限り、別の電荷輸送性材料を含んでいても良い。
単独で、又は本発明に係る有機電荷輸送性化合物と組み合わせて用いられる発光性材料としては、従来から知られた蛍光発光性材料、および燐光発光性材料が挙げられる。蛍光発光性材料としては、色素系材料および金属錯体系材料が挙げられる。色素系材料としては、例えば、クマリン誘導体、DCM2(キノリジン誘導体)、キナクリドン誘導体、ペリレン、ルブレン等の多環芳香属炭化水素、ピレン誘導体、ピロロピロール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリメチン誘導体、キサンテン誘導体などが挙げられる。金属錯体系材料としては、例えば、Alq(アルミノキノリノール錯体)などのキノリノール錯体誘導体、Beq(ベリリウム−キノリン錯体)などのキノリン錯体誘導体、そのほかには、ヒドロキシフェニルオキサゾールやヒドロキシフェニルチアゾール、アゾメチン金属錯体誘導体などが挙げられる。
燐光ドーパントとして用いられる燐光発光性材料としては、例えば、Ir(ppy)などのイリジウム錯体誘導体、PtOEPなどの白金錯体誘導体、などの遷移金属錯体が用いられる。
燐光発光性材料としては、例えば、下記一般式(7)で表される化合物が好適に用いられる。
Figure 2006273791
一般式(7)において、Mはルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金などの遷移金属の中から選択される。qは0〜2の何れかの整数であり、rは1〜3の何れかの整数であり、qとrの和は、2または3である。A〜Dは、一般式(7)に示した各種のものを適用できる。
中でも、イリジウム錯体誘導体が好適に用いられる。燐光発光性材料の一例を以下に挙げる。
Figure 2006273791
Figure 2006273791
Figure 2006273791
さらに、発光層中に発光効率向上、発光波長を変化させる等の目的で、更にドーピングを行うことができる。このドーピング材料としては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポリフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンが挙げられる。
発光層が上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物が含有される有機層である場合、発光層は、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物と、場合により発光性材料、更に場合によりドーピング材料、別のホスト材料である電荷輸送性材料を含む層であり、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物と、場合により発光性材料、更に場合によりドーピング材料、別のホスト材料である電荷輸送性材料、その他の成分として分散剤、界面活性剤等とを含む混合溶液を塗布等することにより形成される。溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒等を挙げることができる。混合溶液は、固形分として、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物を70〜99重量部、好ましくは90〜98重量部と、場合により発光性材料を1〜6重量部、好ましくは3〜4重量部の範囲の割合で、更に場合によりドーピング材料を1〜10重量部;別のホスト材料である電荷輸送性材料を1〜10重量部;その他の成分の総量を1〜10重量部の範囲の割合で更に混合して調製し、溶液の固形分が0.1重量%〜50重量%となるように溶媒を含有させて得ることが好ましい。
発光層は、その混合溶液をスピンコート法、キャストコート法、ディップコート法、ダイコート法、ビードコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などの塗布方法により形成することができる。発光層の膜厚としては、1nm〜1μm、好ましくは2nm〜500nm、さらに好ましくは5nm〜500nmである。なお、塗布法により成膜した場合には、溶媒を除去するために、好ましくは減圧下または不活性雰囲気下で、30〜300℃、好ましくは60〜200℃の温度で加熱乾燥することが望ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、陽極と発光層との間、または正孔注入層と発光層との間に設けられる。正孔輸送層を形成する正孔輸送性材料としては、例えば、トリフェニルアミン類、ビス類、ピラゾリン誘導体、ポリフィリン誘導体に代表される複素環化合物、ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネート、スチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリシランが挙げられる。正孔輸送層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法等により形成される。正孔輸送層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
(正孔注入層)
正孔注入層は、陽極と正孔輸送層との間、または陽極と発光層との間に設けることができる。正孔注入層を形成する材料としては、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
正孔注入層の形成方法としては、特に限定されないが、固体状態からの真空蒸着法、または溶融状態、溶液状態、分散液状態、混合液状態からのスピンコート法、キャストコート法、ディップコート法、ダイコート法、ビードコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法を用いることができる。正孔注入層の膜厚としては、1nm〜1μm、好ましくは2nm〜500nm、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
(電子輸送層)
電子輸送層は、発光層と陰極との間、または発光層と電子注入層との間に設けることができる。電子輸送層を形成する材料としては、YにB、Siを用いて、末端に電子輸送性を付与したような本発明に係る有機電荷輸送性化合物も好適に用いることができる。その他の電子輸送層を形成する材料としては、例えば、オキサジアゾール類、アルミニウムキノリノール錯体など、一般的に安定なラジカルアニオンを形成し、イオン化ポテンシャルの大きい物質が挙げられる。具体的には、1,3,4−オキサジアゾール誘導体、1,2,4−トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体などが挙げられる。電子輸送層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法等により形成される。電子輸送層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
(電子注入層)
電子注入層は、電子輸送層と陰極との間、または発光層と陰極との間に設けられる。電子注入層としては、発光層の種類に応じて、Ca層の単層構造からなる電子注入層、または、Caを除いた周期律表IA族とIIA族の金属であり且つ仕事関数が1.5〜3.0eVの金属およびその金属の酸化物、ハロゲン化物および炭酸化物の何れか1種または2種以上で形成された層とCa層との積層構造からなる電子注入層を設けることができる。仕事関数が1.5〜3.0eVの、周期律表IA族の金属またはその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物の例としては、リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、酸化リチウム、炭酸リチウム等が挙げられる。また、仕事関数が1.5〜3.0eVの、Caを除いた周期律表IIA族の金属またはその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物の例としては、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法等により形成される。電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
以上、本発明の有機EL素子の構成について説明したが、本発明の目的及び効果を損なわない範囲であれば、上述した層以外の機能層が設けられていても構わない。そうした機能層としては、通常の有機EL素子又は発光表示体に用いられている低屈折率層、反射層、光吸収層、バリアー層、封止剤等が挙げられる。また、隔壁が設けられているものも含まれる。
面状の有機EL素子を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機層を極端に厚く形成して実質的に非発光とする方法、陽極または陰極のいずれか一方、または両方の電極をパターン状に形成する方法が挙げられる。さらに、ドットマトリクス素子とするためには、陽極と陰極を共にストライプ状に形成して直交するように配置する方法、片方の電極をTFTで選択駆動できるようにする方法などが挙げられる。また、同一面状に発光色の異なる有機EL素子を複数配置することにより部分カラー表示、マルチカラー表示、フルカラー表示が可能となる。
2.有機トランジスタ
次に、本発明の有機電子デバイスの他の例である有機トランジスタについて説明する。上記有機電荷輸送性化合物は、電子注入性に優れた有機半導体材料であるため、本発明に係る有機電子デバイスである有機トランジスタは、電極との電荷注入障壁を低減可能で、有機トランジスタのオン電流値が向上し、かつ素子特性が安定化する。
図2及び3は、本発明に係る有機トランジスタの例を示す概略断面図である。
本発明に係る有機トランジスタ20の実施態様の一例としては、図2に示すように、基板21上に、対向するゲート電極22とソース電極25とドレイン電極26と、そのうちのゲート電極22とソース電極25及びドレイン電極26間に配置された有機半導体層24と、絶縁層23を有しており、ソース電極25及びドレイン電極26が絶縁層23上に接触して設けられているものが挙げられる。
また、本発明に係る有機トランジスタ20の実施態様の他の一例としては、図3に示すように、基板21上に、対向するゲート電極22とソース電極25とドレイン電極26と、そのうちのゲート電極22とソース電極25及びドレイン電極26間に配置された有機半導体層24と、絶縁層23を有しており、ソース電極25及びドレイン電極26が有機半導体層24上に接触し、絶縁層23には接触しないで設けられているものが挙げられる。
本発明の有機トランジスタは、有機半導体層に上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物を含有することにより、電荷輸送性が良好な上、ソース電極25及びドレイン電極26と有機半導体層24との電荷注入障壁が低減されることにより、有機トランジスタのオン電流値が向上し、素子特性が安定化する。
(有機半導体層)
本発明の有機トランジスタにおいて、有機半導体層は、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物が含まれる有機層である。有機半導体層は、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物のみが含まれていても良いし、他の有機半導体材料などが混合されていても良い。
有機層である有機半導体層のキャリア移動度は10−6cm/Vs以上であることが、特に10−3cm/Vs以上であることが、トランジスタ特性の点から好ましいため、キャリア移動度が上記の範囲になるように、上記本発明に係る有機電荷輸送性化合物を適宜選択して用いることが好ましい。
混合しても良い他の有機半導体材料としては、ドナー性あるいはアクセプター性の、低分子あるいは高分子の有機半導体材料が使用できる。
ドナー性を有する有機半導体材料としてはアセン分子材料、金属フタロシアニン、チオフェンオリゴマー、レジオレギュラ・ポリ(3−アルキルチオフェン)などが、アクセプター性の有機半導体材料としてはフラーレン、ヘキサデカフルオロ銅フタロシアニンなどを挙げることができる。また、特開2004−6754号公報記載の有機半導体材料も好適に用いることができる。
また、有機半導体層は、湿式成膜法により形成することが好ましい。
基板、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極と、絶縁層については、特に限定されず、例えば以下のような材料を用いて形成することができる。
(基板)
基板21は、本発明の有機電子デバイスの支持体になるものであり、例えばフレキシブルな材質であっても、硬質な材質であってもよい。具体的には、上記有機EL素子の基板と同様のもの用いることができる。
(電極)
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極としては、導電性材料であれば特に限定されない。具体的には、上述の有機EL素子における電極と同様の金属又は金属酸化物を用いることができるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITOおよび炭素が好ましい。
(絶縁層)
ゲート電極を絶縁する絶縁層には種々の絶縁材料を用いることができ、無機酸化物でも有機化合物でも用いることが出来るが、特に、比誘電率の高い無機酸化物が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの無機窒化物も好適に用いることができる。
絶縁層に用いられる有機化合物としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、およびシアノエチルプルラン、ポリマー体、エラストマー体を含むホスファゼン化合物等が挙げられる。
なお、図2及び3には、本発明に係る有機トランジスタの一例として、絶縁層、有機半導体層を有する場合を挙げたが、その他、いかなる層構成を有していてもよい。本発明に係る有機トランジスタは、例えば層間絶縁層のような、ゲート絶縁層上にドレイン電極及びソース電極を形成する際にゲート電極の表面汚染を防ぐための層など、その他の機能層等を更に設けても良い。これら任意の層に用いられる材料は特に限定されず、一般的に各層を形成するために用いられる材料を用いることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
(実施例1:本発明に係る有機電荷輸送性化合物の製造)
下記構造式の本発明に係る有機電荷輸送性化合物を製造した。
Figure 2006273791
4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル(1.521mmol;1.0モル当量)、9−(4−ブロモフェニル)カルバゾール(4.1モル当量)、Pd(dba)(トリス−(ジベンジリデンアセトン)パラジウム)(0.05モル当量)、ナトリウムtert−ブトキシド(6.0モル当量)を脱水トルエン(30ml)中、窒素雰囲気下で室温にて撹拌した溶液にトリ(tert−ブチル)ホスフィン(0.4モル当量)を滴下した。得られた溶液を100℃にて2時間撹拌した。室温まで放冷した後、クロロホルム(150ml)並びに水(200ml)で抽出した。水層をクロロホルム(50ml)で2回抽出した。得られた有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して得られた溶液を濃縮し、残渣を得た。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(Merck シリカゲル60; 展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン(体積比1:1)溶媒)で分離した。得られた成分をジクロロメタン−ヘキサンを用いて再結晶することにより、目的物を85.7%収率で白色粉末として得た。
得られた化合物のHNMR、13CNMRを測定したところ、下記データが得られた。
HNMR(400MHz、CDCl、TMS):σ(ppm)7.305(t,J=7.4Hz,8H,arom.H)、7.42−7.49(m,24H,arom.H)、7.60(d,J=8.8Hz,8H,arom.H)、8.16(d,J=7.2Hz,8H,arom.H)
13CNMR(100MHz、CDCl):σ(ppm)109.74、120.06、120.37、123.25、123.42、126.02、128.47、133.78、140.96、144.38
また、得られた化合物の質量分析を質量分析装置(MALDI−TOF MS)により行なったところ、m/z=1293であった。
(実施例2:本発明に係る有機電荷輸送性化合物の製造)
下記構造式の本発明に係る有機電荷輸送性化合物を製造した。
Figure 2006273791
4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル(1.222mmol;1.0モル当量)、3,6−ジ−tert−ブチル−9−(4−ヨードフェニル)カルバゾール(4.1モル当量)、Pd(dba)(トリス−(ジベンジリデンアセトン)パラジウム)(0.05モル当量)、ナトリウムtert−ブトキシド(6.0モル当量)を脱水トルエン(25ml)中、窒素雰囲気下で室温にて撹拌した溶液にトリ(tert−ブチル)ホスフィン(0.4モル当量)を滴下した。得られた溶液を100℃にて2時間撹拌した。室温まで放冷した後、クロロホルム(150ml)並びに水(200ml)で抽出した。水層をクロロホルム(50ml)で2回抽出した。得られた有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して得られた溶液を濃縮し、残渣を得た。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(Merck シリカゲル60; 展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン(体積比3:7)溶媒)で分離した。得られた成分をジクロロメタン−ヘキサンを用いて再結晶することにより、目的物を73.5%収率で白色粉末として得た。
得られた化合物のHNMR、13CNMRを測定したところ、下記データが得られた。
HNMR(400MHz、CDCl、TMS):σ(ppm)1.47(s,72H,CH)7.39−7.43(m,16H,arom.H)、7.49(dd,J=8.6Hz及び1.8Hz,8H,arom.H)、7.58(d,J=8.8Hz,8H,arom.H)、8.15(d,J=1.2Hz,8H,arom.H)
13CNMR(100MHz、CDCl):σ(ppm)32.05、34.77、109.22、116.32、123.21、123.42、123.69、128.01、134.28、139.35、143.00、144.06
また、得られた化合物の質量分析を質量分析装置(MALDI−TOF MS)により行なったところ、m/z=1742であった。
本発明の有機EL素子の一例を示す断面図である。 本発明の有機トランジスタの一例を示す断面図である。 本発明の有機トランジスタの他の一例を示す断面図である。
符号の説明
1…基板
2…陽極電極
3…正孔輸送層
4…発光層
5…電子輸送層
6…陰極電極
20…有機トランジスタ
21…基板
22…ゲート電極
23…絶縁層
24…有機半導体層
25…ソース電極
26…ドレイン電極

Claims (13)

  1. 下記一般式(1)で表される有機電荷輸送性化合物。
    Figure 2006273791
    (Xは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。Yは、B、N、Si、O、Se、P、及びGeのいずれかの元素を表す。Arは、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良い複素環基を表す。複数のArは、直接又は置換基を介して互いに結合してYと共に縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換基を有していても良い。Zは、一般式(1)で表されている−Y−(Ar)、又は、水素原子、フッ素以外のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、複素環基、シアノ基、ニトロ基から選択される1種を表す。nは、1〜20の数を表し、mは、1以上の整数である。)
  2. 下記一般式(2)で表される、請求項1に記載の有機電荷輸送性化合物。
    Figure 2006273791
    (Yは、B、N、Si、O、Se、P、及びGeのいずれかの元素を表す。Arは、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良い複素環基を表す。複数のArは、直接又は置換基を介して互いに結合してYと共に縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換基を有していても良い。Zは、一般式(1)で表されている−Y−(Ar)、又は、水素原子、フッ素以外のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、複素環基、シアノ基、ニトロ基から選択される1種を表す。s及びtは、0〜20の数を表すが、sとtの和は1〜20である。mは、1以上の整数である。)
  3. 前記一般式(1)及び(2)で表される化合物のArが、各々独立に下記一般式(3)で表される、請求項1又は2に記載の有機電荷輸送性化合物。
    Figure 2006273791
    (Yは、B、N、Si、O、Se、P、及びGeのいずれかの元素を表す。Ar0は、置換基を有していても良いアリーレン基又は置換基を有していても良い2価の複素環基を表す。Ar’は、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良い複素環基を表す。複数のAr’は、直接又は置換基を介して互いに結合してYと共に縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換基を有していても良い。lは、1以上の整数である。)
  4. 発光性を有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の有機電荷輸送性化合物。
  5. ガラス転移温度が90℃以上である、請求項1乃至4のいずれかに記載の有機電荷輸送性化合物。
  6. 有機溶剤に可溶である、請求項1乃至5のいずれかに記載の有機電荷輸送性化合物。
  7. 下記一般式(4)で表される構造を有するジアミンと、
    Figure 2006273791
    (式中のXは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。nは、1〜20の数を表す。)
    下記一般式(5)で表されるハロゲン化物を、
    Figure 2006273791
    (式中のArは、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良い複素環基を表す。複数のArは、直接又は置換基を介して互いに結合してYと共に縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換基を有していても良い。Qは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選択される1種以上である。)
    少なくともパラジウム触媒と塩基を用いて反応させる工程を有する、一般式(6)で表される有機電荷輸送性化合物の製造方法。
    Figure 2006273791
    (式中のXは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。Arは、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良い複素環基を表す。複数のArは、直接又は置換基を介して互いに結合してYと共に縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換基を有していても良い。nは、1〜20の数を表し、mは、1以上の整数である。)
  8. 基板上に、対向する2つ以上の電極と、そのうちの2つの電極間に配置された少なくとも1層の有機層とを有する有機電子デバイスであって、前記有機層のうち少なくとも1つの層に請求項1乃至6のいずれかに記載の有機電荷輸送性化合物が含有されることを特徴とする、有機電子デバイス。
  9. 前記有機層のうち少なくとも1つの層に発光層を有し、有機発光デバイスであることを特徴とする、請求項8に記載の有機電子デバイス。
  10. 前記請求項1乃至6のいずれかに記載の有機電荷輸送性化合物が含有される有機層が発光層であり、有機発光デバイスであることを特徴とする、請求項9に記載の有機電子デバイス。
  11. 前記発光層が、請求項1乃至6のいずれかに記載の有機電荷輸送性化合物に、少なくとも燐光発光性材料が混合・分散されていることを特徴とする、請求項10に記載の有機電子デバイス。
  12. 前記請求項1乃至6のいずれかに記載の有機電荷輸送性化合物が含有される有機層が有機半導体層であり、有機トランジスタであることを特徴とする、請求項8に記載の有機電子デバイス。
  13. 前記請求項1乃至6のいずれかに記載の有機電荷輸送性化合物が含有される有機層が湿式成膜法を用いて形成されてなること特徴とする、請求項8乃至12のいずれかに記載の有機電子デバイス。
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