JP2015053488A - 有機半導体素子 - Google Patents

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Tetsushi Seo
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Abstract

【課題】優れたキャリア輸送性を有し、発光素子の輸送層やホスト材料として好適に用いることができる新規カルバゾール誘導体を提供することを課題とする。また、当該カルバゾール誘導体を用いた有機半導体材料及び発光素子用材料を提供する。【解決手段】上記課題を解決することができるカルバゾール誘導体として、炭素数が14乃至70であり、3環以上7環以下の縮合環を含む芳香族炭化水素に、ジベンゾチオフェン骨格もしくはジベンゾフラン骨格が、4位でカルバゾールの2位又は3位のいずれか一方に置換しているカルバゾリル基が結合したカルバゾール誘導体を合成することができた。【選択図】図1

Description

本発明は、カルバゾール誘導体に関する。また、それを用いた発光素子用材料及び有機
半導体材料に関する。
薄型軽量に作製できること、入力信号に対する高速な応答性を有すること、低消費電力
などのメリットから、次世代の照明装置や表示装置として有機化合物を発光物質とする発
光素子(有機EL素子)を用いた表示装置の開発が加速している。
有機EL素子は、電極間に発光層を挟んで電圧を印加することにより、電極から発光層
に電子及びホールが注入される。そして、注入された電子およびホールが再結合すること
で発光層に含まれる発光物質が励起状態となり、その励起状態が基底状態に戻る際に発光
が得られる。発光物質が発する光の波長はその発光物質特有のものであり、異なる種類の
有機化合物を発光物質として用いることによって、様々な波長すなわち様々な色の発光を
呈する発光素子を得ることができる。
ディスプレイなど、画像を表示することを念頭においた表示装置の場合、フルカラーの
映像を再現するためには、少なくとも赤、緑、青の3色の光を得ることが必要になる。ま
た、照明装置として用いる場合は、高い演色性を得るために、可視光領域において満遍な
く波長成分を有する光を得ることが理想的であり、現実的には、異なる波長の光を2種類
以上合成することによって得られる光が照明用途として用いられることが多い。なお、赤
と緑と青の3色の光を合成することによって、高い演色性を有する白色光を得ることがで
きることが知られている。
発光物質が発する光は、その物質固有のものであることを先に述べた。しかし、寿命や
消費電力など、発光素子としての重要な性能は、発光を呈する物質のみに依存する訳では
なく、発光層以外の層や、素子構造、そして、発光物質とホストの性質や相性なども大き
く影響する。そのため、この分野の成熟をみるためには多くの種類の発光素子用材料が必
要となることに間違いはない。このような理由により、様々な分子構造を有する発光素子
用材料が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2007−15933号公報
そこで、本発明の一態様では、発光素子の輸送層やホスト材料、発光材料として用いる
ことが可能な新規カルバゾール誘導体を提供することを課題とする。
また、本発明の一態様では、上記新規カルバゾール誘導体を用いた、発光素子用材料を
提供することを課題とする。
また、本発明の一態様では、上記新規カルバゾール誘導体を用いた、有機半導体材料を
提供することを課題とする。
また、本発明の一態様では上記新規カルバゾール誘導体を合成するための合成中間体を
提供することを課題とする。
なお、本発明の一態様では上記課題のいずれか一を解決すればよい。
本発明者らは、炭素数が14乃至70であり3環以上7環以下の縮合環を含む芳香族炭
化水素に、ジベンゾチオフェンもしくはジベンゾフランが4位でカルバゾールの2位又は
3位に置換しているカルバゾリル基が結合しているカルバゾール誘導体を合成することが
できた。そして当該カルバゾール誘導体が適度なキャリア輸送性や良好な膜質を有し、発
光素子の材料や有機半導体材料として好適に用いることが出来ることを見出した。
すなわち、本発明の一態様は、炭素数が14乃至70であり、3環以上7環以下の縮合
環を含む芳香族炭化水素に、ジベンゾチオフェン骨格もしくはジベンゾフラン骨格が、4
位でカルバゾールの2位又は3位に置換しているカルバゾリル基が結合したカルバゾール
誘導体である。
また、本発明の他の一態様は、炭素数が14乃至70であり、3環以上7環以下の縮合
環を含む芳香族炭化水素に、ジベンゾチオフェン骨格もしくはジベンゾフラン骨格が、4
位でカルバゾールの2位又は3位のいずれか一方、及び、6位又は7位のいずれか一方に
置換しているカルバゾリル基が結合したカルバゾール誘導体である。
なお、当該カルバゾリル基におけるジベンゾチオフェン又はジベンゾフランは置換基を
有していても良い。
また、本発明の他の一態様は、下記一般式(G0)で表されるカルバゾール誘導体であ
る。
式中、Arは炭素数が14乃至70であり、3環以上7環以下の縮合環を含むアリール
基を表す。また、Rは下記一般式(g1)で表される基を表し、Rは水素、炭素数1
乃至4のアルキル基、炭素数6乃至15のアリール基及び下記一般式(g2)で表される
基のいずれか一を表す。但し、Rの置換位置はαまたはβが付された炭素のいずれかで
あり、Rの置換位置はγまたはδが付された炭素のいずれかである。
(式中、Xは酸素又は硫黄を表し、R乃至Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至
4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれか一を表す。)
(式中、Xは酸素又は硫黄を表し、R乃至R15はそれぞれ独立に水素、炭素数6乃
至15のアリール基及び炭素数1乃至4のアルキル基のいずれか一を表す。)
また、本発明の他の一態様は、前記Rは前記一般式(g2)で表される置換基であり
、前記Rが前記αの位置に結合している場合は前記Rが前記γの位置に結合し、前記
が前記βの位置に結合している場合は前記Rが前記δの位置に結合する一般式(G
0)で表されるカルバゾール誘導体である。
また、本発明の他の一態様は、下記一般式(G1)で表されるカルバゾール誘導体であ
る。
式中、Arはフェニレン基、ナフチレン基及びビフェニレン基のいずれか一を表し、
Arは炭素数14乃至30の3環以上7環以下の縮合環基を表す。また、nは0又は1
のいずれかの値をとる。なお、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Ar
置換基を有する場合、当該置換基は炭素数1乃至4のアルキル基である。また、Ar
置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数1乃至4の
アルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれかである。また、Rは下記一般
式(g1)で表される基を表し、Rは水素、炭素数6乃至15のアリール基、炭素数1
乃至4のアルキル基及び下記一般式(g2)で表される基のいずれか一を表す。但し、R
の置換位置はαまたはβが付された炭素のいずれかであり、Rの置換位置はγまたは
δが付された炭素のいずれかである。
(式中、Xは酸素又は硫黄を表し、R乃至Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至
4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれか一を表す。)
(式中、Xは酸素又は硫黄を表し、R乃至R15はそれぞれ独立に水素、炭素数6乃
至15のアリール基及び炭素数1乃至4のアルキル基のいずれか一を表す。)
また、本発明の他の一態様は、前記Rは前記一般式(g2)で表される置換基であり
、前記Rが前記αの位置に結合している場合は前記Rが前記γの位置に結合し、前記
が前記βの位置に結合している場合は前記Rが前記δの位置に結合する一般式(G
1)で表されるカルバゾール誘導体である。
また、本発明の他の一態様は、下記一般式(G1)で表されるカルバゾール誘導体であ
る。
式中Arはフェニレン基、ナフチレン基及びビフェニレン基のいずれか一を表し、A
は炭素数14乃至30の3環以上7環以下の縮合環基を表す。また、nは0又は1の
いずれかの値をとる。なお、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置
換基を有する場合、当該置換基は炭素数1乃至4のアルキル基である。また、Arは置
換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数1乃至4のア
ルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれかである。また、Rは下記一般式
(g3)で表される基であり、Rは水素、炭素数6乃至15のアリール基、炭素数1乃
至4のアルキル基及び下記一般式(g4)で表される基のいずれか一を表す。但し、R
の置換位置はαまたはβが付された炭素のいずれかであり、Rの置換位置はγまたはδ
が付された炭素のいずれかである。
式中、Xは酸素又は硫黄を表し、R、R、Rは水素、炭素数6乃至15のアリ
ール基及び炭素数1乃至4のアルキル基のいずれか一を表す。
ただし、式中Xは酸素又は硫黄を表し、R、R11、R14は水素、炭素数6乃至
15のアリール基及び炭素数1乃至4のアルキル基のいずれか一を表す。
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、Rが水素又は下記一般式(g4)
で表される基であるカルバゾール誘導体である。
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記Rは前記一般式(g4)で表
される置換基であり、前記Rが前記αの位置に結合している場合は前記Rが前記γの
位置に結合し、前記Rが前記βの位置に結合している場合は前記Rが前記δの位置に
結合する一般式(G1)で表されるカルバゾール誘導体である。
また、本発明の他の一態様は、下記一般式(G1)で表されるカルバゾール誘導体であ
る。
式中、Arはフェニレン基、ナフチレン基及びビフェニレン基のいずれか一を表し、
Arは炭素数14乃至30の3環以上7環以下の縮合環基を表す。また、nは0又は1
のいずれかの値をとる。なお、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Ar
置換基を有する場合、当該置換基は炭素数1乃至4のアルキル基である。また、Ar
置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数1乃至4の
アルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれかである。また、Rは下記一般
式(g5)で表される基であり、Rは水素又は下記一般式(g6)で表される基である
。但し、Rの置換位置はαまたはβが付された炭素のいずれかであり、Rの置換位置
はγまたはδが付された炭素のいずれかである。
式中、Xは酸素又は硫黄を表す。
(式中、Xは酸素又は硫黄を表す。)
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記Rは前記一般式(g6)で表
される置換基であり、前記Rが前記αの位置に結合している場合は前記Rが前記γの
位置に結合し、前記Rが前記βの位置に結合している場合は前記Rが前記δの位置に
結合する一般式(G1)で表されるカルバゾール誘導体である。
また、本発明の他の一態様は下記一般式(G2)で表されるカルバゾール誘導体である。
ただし、式中Xは酸素又は硫黄を表し、式中Arはフェニレン基、ナフチレン基及び
ビフェニレン基のいずれか一を表し、Arは炭素数14乃至30の3環以上7環以下の
縮合環基を表す。また、nは0又は1のいずれかの値をとる。なお、Arは置換基を有
していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、当該置換基は炭素数1乃至4
のアルキル基である。また、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置
換基を有する場合、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のい
ずれかである。
また、本発明の他の一態様は下記一般式(G3)で表されるカルバゾール誘導体である。
ただし、式中X及びXはそれぞれ独立に酸素又は硫黄を表し、式中Arはフェニ
レン基、ナフチレン基及びビフェニレン基のいずれか一を表し、Arは炭素数14乃至
30の3環以上7環以下の縮合環基を表す。また、nは0又は1のいずれかの値をとる。
なお、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、当
該置換基は炭素数1乃至4のアルキル基である。また、Arは置換基を有していてもい
なくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6
乃至15のアリール基のいずれかである。
また、本発明の他の一態様は下記一般式(G4)で表されるカルバゾール誘導体である。
ただし、式中X及びXはそれぞれ独立に酸素又は硫黄を表し、式中Arはフェニ
レン基、ナフチレン基及びビフェニレン基のいずれか一を表し、Arは炭素数14乃至
30の3環以上7環以下の縮合環基を表す。また、nは0又は1のいずれかの値をとる。
なお、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、当
該置換基は炭素数1乃至4のアルキル基である。また、Arは置換基を有していてもい
なくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6
乃至15のアリール基のいずれかである。
また、本発明の他の一態様は、下記構造式で表されるカルバゾール誘導体である。
また、本発明の他の一態様は、下記構造式で表されるカルバゾール誘導体である。
また、本発明の他の一態様は、下記構造式で表されるカルバゾール誘導体である。
また、本発明の他の一態様は、下記構造式で表されるカルバゾール誘導体である。
また、本発明の他の一態様は、下記構造式で表されるカルバゾール誘導体である。
また、本発明の他の一態様は、下記構造式で表されるカルバゾール誘導体である。
また、本発明の一態様は上記カルバゾール誘導体を合成するための合成中間体である。す
なわち、本発明の一態様は下記一般式(G5)で表されるカルバゾール誘導体である。
(式中、Rは下記一般式(g1)で表される基を表し、Rは水素、炭素数1乃至4の
アルキル基、炭素数6乃至15のアリール基及び下記一般式(g2)で表される基のいず
れか一を表す。但し、Rの置換位置はαまたはβが付された炭素のいずれかであり、R
の置換位置はγまたはδが付された炭素のいずれかである。)
(式中、Xは酸素又は硫黄を表し、R乃至Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至
4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれか一を表す。)
(式中、Xは酸素又は硫黄を表し、R乃至R15はそれぞれ独立に水素、炭素数6乃
至15のアリール基及び炭素数1乃至4のアルキル基のいずれか一を表す。)
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記Rは前記一般式(g2)で表
される置換基であり、前記Rが前記αの位置に結合している場合は前記Rが前記γの
位置に結合し、前記Rが前記βの位置に結合している場合は前記Rが前記δの位置に
結合する一般式(G5)で表されるカルバゾール誘導体である。
また、本発明の他の一態様は、下記一般式(G5)で表されるカルバゾール誘導体である
(式中、Rは下記一般式(g3)で表される基を表し、Rは水素、炭素数6乃至15
のアリール基、炭素数1乃至4のアルキル基及び下記一般式(g4)で表される基のいず
れか一を表す。但し、Rの置換位置はαまたはβが付された炭素のいずれかであり、R
の置換位置はγまたはδが付された炭素のいずれかである。)
(式中、Xは酸素又は硫黄を表し、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数6
乃至15のアリール基及び炭素数1乃至4のアルキル基のいずれか一を表す。)
(ただし、式中Xは酸素又は硫黄を表し、R、R11、R14はそれぞれ独立に水素
、炭素数6乃至15のアリール基及び炭素数1乃至4のアルキル基のいずれか一を表す。
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記Rは前記一般式(g4)で表
される置換基であり、前記Rが前記αの位置に結合している場合は前記Rが前記γの
位置に結合し、前記Rが前記βの位置に結合している場合は前記Rが前記δの位置に
結合する一般式(G5)で表されるカルバゾール誘導体である。
また、本発明の他の一態様は、下記一般式(G5)で表されるカルバゾール誘導体である
(式中Rは下記一般式(g3)で表される基であり、Rは水素又は下記一般式(g4
)で表される基である。但し、Rの置換位置はαまたはβが付された炭素のいずれかで
あり、Rの置換位置はγまたはδが付された炭素のいずれかである。)
(式中、Xは酸素又は硫黄を表し、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数6
乃至15のアリール基及び炭素数1乃至4のアルキル基のいずれか一を表す。)
(ただし、式中Xは酸素又は硫黄を表し、R、R11、R14はそれぞれ独立に水素
、炭素数6乃至15のアリール基及び炭素数1乃至4のアルキル基のいずれか一を表す。
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記Rは前記一般式(g4)で表
される置換基であり、前記Rが前記αの位置に結合している場合は前記Rが前記γの
位置に結合し、前記Rが前記βの位置に結合している場合は前記Rが前記δの位置に
結合する一般式(G5)で表されるカルバゾール誘導体である。
また、本発明の他の一態様は、下記一般式(G5)で表されるカルバゾール誘導体である
(式中、Rは下記一般式(g5)で表される基を表し、Rは水素又は下記一般式(g
6)で表される基を表す。但し、Rの置換位置はαまたはβが付された炭素のいずれか
であり、Rの置換位置はγまたはδが付された炭素のいずれかである。)
(式中、Xは酸素又は硫黄を表す。)
(式中、Xは酸素又は硫黄を表す。)
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記Rは前記一般式(g6)で表
される置換基であり、前記Rが前記αの位置に結合している場合は前記Rが前記γの
位置に結合し、前記Rが前記βの位置に結合している場合は前記Rが前記δの位置に
結合する一般式(G5)で表されるカルバゾール誘導体である。
また、本発明の他の一態様は、下記一般式(G6)で表されるカルバゾール誘導体である
(ただし、式中Xは酸素又は硫黄を表す。)
また、本発明の他の一態様は、下記一般式(G7)で表されるカルバゾール誘導体である
(ただし、式中X及びXはそれぞれ独立に酸素又は硫黄を表す。)
また、本発明の他の一態様は、下記一般式(G8)で表されるカルバゾール誘導体である
(ただし、式中X及びXはそれぞれ独立に酸素又は硫黄を表す。)
また、本発明の他の一態様は、下記構造式で表されるカルバゾール誘導体である。
また、本発明の他の一態様は、下記構造式で表されるカルバゾール誘導体である。
また、本発明の他の一態様は、下記構造式で表されるカルバゾール誘導体である。
また、本発明の他の一態様は、下記構造式で表されるカルバゾール誘導体である。
また、本発明の他の一態様は、下記構造式で表されるカルバゾール誘導体である。
上記構成を有するカルバゾール誘導体は広いエネルギーギャップを有する発光素子用材
料であり、発光素子の輸送層やホスト材料、発光物質として用いることが可能である。ま
た、当該カルバゾール誘導体を含む発光素子用材料を用いた発光素子は、発光効率の高い
発光素子とすることができる。また、当該カルバゾール誘導体を含む発光素子用材料を用
いた発光素子は、駆動電圧の小さい発光素子とすることができる。また、当該カルバゾー
ル誘導体を含む発光素子用材料を用いた発光素子は、寿命の長い発光素子とすることがで
きる。また、当該カルバゾール誘導体は有機半導体材料として用いることもできる。
また、上記カルバゾール誘導体を合成するために用いられる合成中間体である。
発光素子の概念図。 有機半導体素子の概念図。 アクティブマトリクス型発光装置の概念図。 パッシブマトリクス型発光装置の概念図。 電子機器を表す図。 電子機器を表す図。 照明装置を表す図。 照明装置を表す図。 DBTCz−IIのH NMRチャート。 DBTCzPA−IIのH NMRチャート。 DBTCzPA−IIの吸収スペクトル及び発光スペクトル。 DBFCz−IIのH NMRチャート。 DBFCzPA−IIのH NMRチャート。 DBFCzPA−IIの吸収スペクトル及び発光スペクトル。 DBTCzTp−IIのH NMRチャート。 DBTCzTp−IIの吸収スペクトル及び発光スペクトル。 DBFCzTp−IIのH NMRチャート。 DBFCzTp−IIの吸収スペクトル及び発光スペクトル。 2DBFCzPA−IIのH NMRチャート。 DBT2Cz−IIのH NMRチャート。 DBT2CzPA−IIのH NMRチャート。 DBF2Cz−IIのH NMRチャート。 発光素子1及び発光素子2の輝度−電流密度特性を表す図。 発光素子1及び発光素子2の輝度−電圧特性を表す図。 発光素子1及び発光素子2の電流効率−輝度特性を表す図。 発光素子1及び発光素子2の発光スペクトルを表す図。 発光素子1及び発光素子2の規格化輝度−時間特性変化を表す図。 発光素子3及び発光素子4の輝度−電流密度特性を表す図。 発光素子3及び発光素子4の輝度−電圧特性を表す図。 発光素子3及び発光素子4の電流効率−輝度特性を表す図。 発光素子3及び発光素子4の発光スペクトルを表す図。 発光素子3及び発光素子4の規格化輝度−時間特性変化を表す図。 2DBTCzPA−IIのH NMRチャート。 2DBTCzPA−IIの吸収スペクトル及び発光スペクトル。 2DBFCzPA−IIのH NMRチャート。 2DBFCzPA−IIの吸収スペクトル及び発光スペクトル。 mDBTCzPA−IIのH NMRチャート。 mDBTCzPA−IIの吸収スペクトル及び発光スペクトル。 mDBFCzPA−IIのH NMRチャート。 mDBFCzPA−IIの吸収スペクトル及び発光スペクトル。 DBTCz−IVのH NMRチャート。 DBTCzTp−IVのH NMRチャート。 DBTCzTp−IVの吸収スペクトル及び発光スペクトル。 2DBTCzPPA−IIのH NMRチャート。 2DBTCzPPA−IIの吸収スペクトル及び発光スペクトル。 2DBFCzPPA−IIのH NMRチャート。 2DBFCzPPA−IIの吸収スペクトル及び発光スペクトル。 2mDBTCzPPA−IIのH NMRチャート。 2mDBTCzPPA−IIの吸収スペクトル及び発光スペクトル。 2mDBFCzPPA−IIのH NMRチャート。 2mDBFCzPPAーIIの吸収スペクトル及び発光スペクトル。
以下、本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様で実
施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び
詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態
の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態におけるカルバゾール誘導体は、炭素数が14乃至70の芳香族炭化水素
に、ジベンゾチオフェンの4位又はジベンゾフランの4位の炭素がカルバゾールの2位又
は3位の炭素に置換したカルバゾリル基が結合した物質である。なお、当該ジベンゾチオ
フェン又はジベンゾフラン、及びカルバゾールは置換基を有していてもいなくても良い。
また、当該芳香族炭化水素は、3環以上7環以下の環が縮合した縮合環を含む構造で、芳
香族炭化水素の炭素数はアルキル基等の置換基の炭素数も含む、全ての炭素数の合計を示
すものとする。
当該カルバゾリル基に結合するジベンゾチオフェン又はジベンゾフランが置換基を有す
る場合、当該置換基としては、炭素数6乃至15のアリール基、炭素数1乃至4のアルキ
ル基のいずれかが挙げられる。
また、当該カルバゾリル基におけるカルバゾールが、他に置換基を有する場合、当該置
換基の置換位置は6位又は7位であり、置換基としては炭素数6乃至15のアリール基、
炭素数1乃至4のアルキル基、ジベンゾチオフェン−4−イル基及びジベンゾフラン−4
−イル基が挙げられる。カルバゾールの他の置換基として、ジベンゾチオフェン−4−イ
ル基又はジベンゾフラン−4−イル基を選択した場合、これらの基はさらに置換基を有し
ていても良く、当該置換基としては、炭素数6乃至15のアリール基、炭素数1乃至4の
アルキル基を選択することができる。また、当該他の置換基として、ジベンゾチオフェン
−4−イル基又はジベンゾフラン−4−イル基を選択した際、カルバゾールの2位にジベ
ンゾチオフェン又はジベンゾフランが結合している場合は、ジベンゾチオフェン−4−イ
ル基又はジベンゾフラン−4−イル基は7位に置換し、カルバゾールの3位にジベンゾチ
オフェン又はジベンゾフランが結合している場合は、ジベンゾチオフェン−4−イル基又
はジベンゾフラン−4−イル基は6位に置換することが、合成の容易さから好ましい構成
である。なお、合成の容易さから、2位又は3位に結合するジベンゾチオフェン又はジベ
ンゾフランと6位又は7位に結合する置換基は同種のものであることが好ましい構成であ
る。
本発明者らは、以上のようなカルバゾール誘導体が、適度なキャリアの輸送性を有し、
発光素子用材料として好適に利用することができることを見出した。優れたキャリア移動
性を有する当該発光素子用材料を用いることによって、駆動電圧の小さい発光素子を提供
することができる。
また、上述のようなカルバゾール誘導体はジベンゾチオフェンやジベンゾフランのよう
な剛直な基を有するため、モルフォロジーに優れ、膜質が安定である。さらに、熱物性に
も優れる。このことから、カルバゾール誘導体を含む発光材料を用いた発光素子は、寿命
の長い発光素子とすることができる。
なお、上述の3環以上7環以下の環が縮合した縮合環を含む芳香族炭化水素として、電
子輸送性を有する物質を選択することによって、電子輸送性と正孔輸送性の両方を併せ持
つ材料、いわゆるバイポーラ性の材料を得ることもできる。バイポーラ性の材料を発光素
子の発光層に用いることによって、発光領域の偏りを防ぎ、濃度消光や三重項−三重項消
滅(T−Tアニヒレイション)を抑制することができ、発光効率の高い発光素子を得るこ
とができるようになる。このような観点から、当該3環以上7環以下の環が縮合した縮合
環として、アントラセン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ペンタセン、フルオランテン
、ペリレン、コロネン、トリフェニレンを選択することが好ましい。
また、当該3環以上7環以下の環が縮合した縮合環として、トリフェニレン、フェナン
トレン等のT1準位の高い骨格を適用することで、燐光発光素子に好適に用いることがで
きる。
上記のような、カルバゾール誘導体は下記一般式(G0)又は(G1)で表すことがで
きる。
式(G0)中、Arは炭素数14乃至70のアリール基を表す。なお、当該芳香族炭化
水素は、3環以上7環以下の環が縮合した縮合環を含む構造で、芳香族炭化水素の炭素数
はアルキル基等の置換基の炭素数も含む、全ての炭素数の合計を示すものとする。
式(G1)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基及びビフェニレン基のいずれか
一を表し、Arは炭素数14乃至30の3環以上7環以下の縮合環基を表す。また、n
は0又は1のいずれかの値をとる。なお、Arは置換基を有していてもいなくても良く
、Arが置換基を有する場合、当該置換基は炭素数1乃至4のアルキル基である。また
、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数
1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれかである。
Arがこれらのような基である上記一般式(G0)又は(G1)で表されるカルバゾー
ル誘導体は、モルフォロジーに優れ、膜質が安定である。さらに、熱物性にも優れる。
なお、一般式(G0)におけるAr、もしくは一般式(G1)におけるArがジフェ
ニルアントラセンなどアントラセンを含むことによって、電子輸送性と正孔輸送性のバラ
ンスが良い、発光素子用材料として非常に有用な物質となることがわかった。
また、一般式(G0)におけるAr、もしくは一般式(G1)におけるArをアント
ラセン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ペンタセン、フルオランテン、ペリレン、コロ
ネン等の発色団を有する骨格とすることで、キャリアバランスの良い、高効率な発光素子
用材料とすることができる。また、Arをトリフェニレン、フェナントレン等のT1準位
の高い骨格とすることで、燐光発光素子に好適に用いることができる、発光素子用材料と
することができる。
は下記一般式(g1)で表される基を表す。但し、Rの置換位置はαまたはβが
付された炭素のいずれかである。
式(g1)中、Xは酸素又は硫黄を表し、R乃至Rはそれぞれ独立に水素、炭素
数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれか一を表す。
以上のような構成を有するカルバゾール誘導体は、キャリアの輸送性に優れ、当該カル
バゾール誘導体を用いた発光素子は駆動電圧の小さい発光素子とすることが可能である。
また、このようなカルバゾール誘導体は、ジベンゾチオフェンやジベンゾフランのような
剛直な基を有するため、モルフォロジーに優れ、膜質が安定である。さらに、熱物性にも
優れる。このことから、上記カルバゾール誘導体を用いた発光材料を用いることで、寿命
の長い発光素子を提供することができる。
なお、上記一般式(G1)で表されるカルバゾール誘導体は、上記一般式(G1)でも
示されているように、Rで表される置換基を有していても良い。Rは水素、炭素数1
乃至4のアルキル基、炭素数6乃至15のアリール基及び下記一般式(g2)で表される
基のいずれか一を表す。但し、Rの置換位置はγまたはδが付された炭素のいずれかで
ある。
式(g2)中、Xは酸素又は硫黄を表し、R乃至R15はそれぞれ独立に水素、炭
素数6乃至15のアリール基及び炭素数1乃至4のアルキル基のいずれか一を表す。
が水素以外の置換基である場合、RとRは同じ基であることが合成の容易さか
ら好ましい構成である。
上記一般式(g1)で表される基がさらに置換基を有する場合、当該置換基の置換位置
はR、R及びRで表される位置である方が、原料を入手しやすく、また合成が容易
であるため、材料合成のコスト削減の面から好ましい構成である。また、同様の観点から
、R乃至Rはすべて水素であることがさらに好ましい構成である。
また、同様にRとして(g2)で表される基を適用した場合、当該置換基の置換位置
はR、R11及びR14で表される位置であることが好ましい構成であり、R乃至R
15がすべて水素である構成がさらに好ましい構成である。
上記一般式(G0)又は(G1)において、R乃至R15として適用することが可能
な、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基としては、下記構造
式(R−1)乃至(R−23)で表される基を用いることができる。なおRとしては、
下記構造式(R−1)乃至(R−23)で表される基の他、上記一般式(g2)で表され
る基も用いることができる。
上記一般式(G0)において、Arとして適用することが可能な、炭素数が14乃至7
0のアリール基としては、下記構造式(Ar−1)乃至(Ar−78)で表される基を用
いることができる。なお、一般式(G0)における−Ar基は、一般式(G1)における
−(Ar)n−Ar基に相当する(但し、Arはフェニレン基、ナフチレン基、ビ
フェニレン基、nは0または1の値をとる)。
上記一般式(G0)又は(G1)として表されるカルバゾール誘導体の具体的な構造と
しては、下記構造式(100)乃至(441)及び(500)乃至(841)で表される
物質などが挙げられる。
以上のようなカルバゾール誘導体は、キャリアの輸送性に優れていることからキャリア
輸送材料やホスト材料として好適である。これにより、駆動電圧の小さい発光素子を提供
することもできる。また、本実施の形態におけるカルバゾール誘導体は、ジベンゾチオフ
ェンやジベンゾフランのような剛直な基を有するため、モルフォロジーに優れ、膜質が安
定である。さらに、熱物性にも優れる。このことから、このようなカルバゾール誘導体を
用いた発光素子は、寿命の長い発光素子とすることができる。また、アントラセン、ピレ
ン、クリセン、ナフタセン、ペンタセン、フルオランテン、ペリレン、コロネン等の発色
団を有する骨格とすることで、キャリアバランスの良い、高効率な発光材料とすることが
できる。また、Arをトリフェニレン、フェナントレン等のT1準位の高い骨格とするこ
とで、燐光発光素子に好適に用いることができる、発光素子用材料とすることができる。
(実施の形態2)
続いて、本実施の形態では、下記一般式(G0)又は一般式(G1)で表されるカルバ
ゾール誘導体の合成方法について説明する。
式(G0)中Arは炭素数が14乃至70であり、3環以上7環以下の縮合環を含むア
リール基を表す。また、式(G1)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基及びビフ
ェニレン基のいずれか一を表し、Arは炭素数14乃至30の3環以上7環以下の縮合
環基を表す。また、nは0又は1のいずれかの値をとる。なお、Arは置換基を有して
いてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、当該置換基は炭素数1乃至4のア
ルキル基である。また、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基
を有する場合、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれ
かである。なお、一般式(G1)で表されるカルバゾール誘導体は、一般式(G0)にお
けるAr基を(Ar)n−Ar基として表したものである。
また、Rはαもしくはβが付された炭素のいずれか一方に結合する、下記一般式(g
1)で表される置換基である。Rはγもしくはδが付された炭素のいずれか一方に結合
し、水素、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数6乃至15のアリール基及び下記一般式
(g2)で表される基のいずれか一を表す。
式中、Xは硫黄または酸素を表し、R乃至Rは、それぞれ独立に水素、炭素数1
乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれか一を表す
式(g2)中、Xは酸素又は硫黄を表し、R乃至R15はそれぞれ独立に水素、炭
素数6乃至15のアリール基及び炭素数1乃至4のアルキル基のいずれか一を表す。
ここで、上述したように、一般式(G0)におけるAr基は一般式(G1)における(
Ar)n−Ar基であり、式中Rは、上記一般式(g1)で表される置換基である
ため、上記一般式(G0)及び(G1)は下記一般式(G1’)としても表すことができ
る。下記一般式(G1’)において、上記一般式(g1)に相当する置換基の置換位置は
、上記一般式(G0)又は(G1)においてα又はβが付された炭素のいずれかである。
以下、特に説明の無いものに関しては、Ar、R乃至R16、X、Xが表す置換基
や元素、及びR及び上記一般式(g1)に対応する置換基の置換位置は上記説明に順ず
ることとする。
本実施の形態では上記一般式(G0)又は(G1)の代わりに上記一般式(G1’)を用
いてその合成法を説明する。
<合成方法1>
合成方法1では上記一般式(G1’)において、Rが水素である物質(下記一般式(
G1’−1))の合成方法を説明する。
まず、9H−カルバゾールの2位、または3位に、ハロゲン基、またはトリフラート基
を有する化合物(化合物1)と、ジベンゾチオフェンのボロン酸化合物、またはジベンゾ
フランのボロン酸化合物(化合物2)とをカップリングさせることで、9H−カルバゾー
ルの2位、または3位と、ジベンゾチオフェンの4位、またはジベンゾフランの4位が結
合した構造を有する9H−カルバゾール誘導体(化合物3)を得ることができる(反応式
(A−1))。
反応式(A−1)において、Xは酸素または硫黄を表し、Xはハロゲン基、トリフ
ラート基等を表し、Xはボロン酸(ボロン酸はエチレングリコール等により保護されて
いてもよい)を表し、R乃至Rは、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至4のアルキル
基、及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれか一を表す。反応式(A−1)において
行うカップリング反応は、パラジウム触媒を用いた鈴木・宮浦カップリング反応等が挙げ
られる。
次に、得られた9H−カルバゾール誘導体(化合物3)と、ハロゲン化アリール(化合
物4)とをカップリングすることにより、目的の化合物(G1−1)を得ることができる
(反応式(A−2))。
反応式(A−2)において、Xは酸素または硫黄を表し、Xはハロゲン基等を表し
、R乃至Rは、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至4のアルキル基、及び炭素数6乃
至15のアリール基のいずれかを表し、Arは炭素数が14乃至70であり、3環以上7
環以下の縮合環を含むアリール基を表す。反応式(A−2)において行うカップリング反
応は、パラジウム触媒を用いたブッフバルト・ハートウィッグ反応や、銅または銅化合物
を用いたウルマン反応等が挙げられる。
<合成方法2>
合成方法2では上記一般式(G1’)において、Rが上記一般式(g2)で表される
置換基である物質(下記一般式(G1’−2))の合成方法を説明する。
まず、9H−カルバゾールの2位と7位、または3位と6位、または2位と6位がハロ
ゲン基を有するカルバゾール誘導体(化合物5)と、ジベンゾチオフェンのボロン酸化合
物、またはジベンゾフランのボロン酸化合物(化合物2)とをカップリングさせることで
、カルバゾール誘導体(化合物6)を得ることができる(反応式(B−1))。
反応式(B−1)において、X及びXはハロゲン基、トリフラート基等を表し、X
はボロン酸(ボロン酸はエチレングリコール等により保護されていてもよい)を表し、
乃至Rは、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至4のアルキル基、及び炭素数6乃至
15のアリール基のいずれかを表す。XとXは同じであっても異なっていても良い。
反応式(B−1)において行うカップリング反応は、パラジウム触媒を用いた鈴木・宮浦
カップリング反応等が挙げられる。
次に、9H−カルバゾールのモノハロゲン化物(化合物6)と、ジベンゾチオフェンの
ボロン酸化合物、またはジベンゾフランのボロン酸化合物(化合物7)とをカップリング
させることで、カルバゾール誘導体(化合物8)を得ることができる(反応式(B−2)
)。
反応式(B−2)において、Xはハロゲン基、トリフラート基等を表し、Xはボロ
ン酸(ボロン酸はエチレングリコール等により保護されていてもよい)を表し、R乃至
は、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至4のアルキル基及び、炭素数6乃至15のア
リール基のいずれかを表す。反応式(B−1)において行うカップリング反応は、パラジ
ウム触媒を用いた鈴木・宮浦カップリング反応等が挙げられる。
最後に、9H−カルバゾール誘導体(化合物8)と、ハロゲン化アリール(化合物4)
とをカップリングすることにより、目的の化合物(G1’−2)を得ることができる(反
応式(B−3))。
反応式(B−3)において、X、Xは酸素または硫黄を表し、Xはハロゲン基等
を表し、R乃至Rは、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至4のアルキル基、及び炭素
数6乃至15のアリール基のいずれかを表す。また、Arは炭素数が14乃至70であり
、3環以上7環以下の縮合環を含むアリール基を表す。反応式(B−3)において行うカ
ップリング反応は、パラジウム触媒を用いたブッフバルト・ハートウィッグ反応や、銅ま
たは銅化合物を用いたウルマン反応等が挙げられる。上記反応式(B−1)乃至(B−3
)では、9H−カルバゾール化合物にジベンゾチオフェン誘導体、または、ジベンゾフラ
ン誘導体を、1当量ずつカップリングする方法を説明した。しかし、化合物2と化合物7
が同じ構造の時は、9H−カルバゾール化合物に対して、ジベンゾチオフェン誘導体、ま
たは、ジベンゾフラン誘導体を同時に2当量カップリングしても良い。
<合成方法3>
合成方法3では上記一般式(G1’)において、Rが炭素数6乃至15のアリール基
又は炭素数1乃至4のアルキル基である物質(下記一般式(G1’−3))の合成方法を
説明する。
まず、9H−カルバゾールの2位または3位にアルキル基またはアリール基を置換し、
3位または6位にハロゲン基を置換した9H―カルバゾール化合物(化合物9)と、ジベ
ンゾチオフェンのボロン酸化合物、またはジベンゾフランのボロン酸化合物(化合物2)
とをカップリングすることで、9H―カルバゾール誘導体(化合物10)を得ることがで
きる(反応式(C−1))。
反応式(C−1)において、Xは酸素または硫黄を表し、Xはハロゲン基、トリフ
ラート基等を表し、Xはボロン酸(ボロン酸はエチレングリコール等により保護されて
いてもよい)を表し、R乃至Rは、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至4のアルキル
基、及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれか一を表し、R16は、炭素数1乃至4
のアルキル基、または、炭素数6乃至15のアリール基を表す。反応式(C−1)におい
て行うカップリング反応は、パラジウム触媒を用いた鈴木・宮浦カップリング等が挙げら
れる。
次に、9H−カルバゾール誘導体(化合物10)と、ハロゲン化アリール(化合物4)
とをカップリングすることにより、目的の化合物(G1’−3)を得ることができる(反
応式C−2))。
反応式(C−2)において、Xは酸素または硫黄を表し、Xはハロゲン基等を表し
、R乃至Rは、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至4のアルキル基、及び炭素数6乃
至15のアリール基のいずれか一を表し、R16は、炭素数1乃至4のアルキル基、また
は、炭素数6乃至15のアリール基のいずれかを表し、Arは炭素数が14乃至70であ
り、3環以上7環以下の縮合環を含むアリール基を表す。
ここで、上記合成方法のうち、化合物3、化合物8及び化合物10が実施の形態1に記
載のカルバゾール誘導体の合成中間体である。すなわち、下記一般式(G5)で表される
カルバゾール誘導体が一般式(G1)で表されるカルバゾール誘導体の合成中間体である
(式中、Rは下記一般式(g1)で表される基を表し、Rは水素、炭素数1乃至4の
アルキル基、炭素数6乃至15のアリール基及び下記一般式(g2)で表される基のいず
れか一を表す。但し、Rの置換位置はαまたはβが付された炭素のいずれかであり、R
の置換位置はγまたはδが付された炭素のいずれかである。)
(式中、Xは酸素又は硫黄を表し、R乃至Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至
4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれか一を表す。)
(式中、Xは酸素又は硫黄を表し、R乃至R15はそれぞれ独立に水素、炭素数6乃
至15のアリール基及び炭素数1乃至4のアルキル基のいずれか一を表す。)
ここで、一般式(G0)又は(G1)で表されるカルバゾール誘導体において、上記一
般式(g1)で表される基がさらに置換基を有する場合、当該置換基の置換位置はR
及びRで表される位置である方が、原料が入手しやすく、また合成が容易であるた
め、材料のコスト削減の面から好ましい構成であるとされ、また、同様の観点から、R
乃至Rはすべて水素であることがさらに好ましい構成であるとされている。そのため、
一般式(G0)又は(G1)で表されるカルバゾール誘導体の合成中間体である一般式(
G5)で表されるカルバゾール誘導体においても、上記一般式(g1)で表される基がさ
らに置換基を有する場合、当該置換基の置換位置はR、R及びRで表される位置で
あることが好ましく、R乃至Rがすべて水素である構成がさらに好ましい。
また、同様にRとして(g2)で表される基を適用した場合、当該置換基の置換位置
はR、R11及びR14で表される位置であることが好ましい構成であり、R乃至R
15がすべて水素である構成がさらに好ましい構成である。
なお、化合物3において、R乃至Rがすべて水素である好ましい構成が、下記一般
式(G6)で表されるカルバゾール誘導体である。
また、化合物8において、R乃至R及びR乃至R15がすべて水素である好まし
い構成が下記一般式(G7)及び下記一般式(G8)で表されるカルバゾール誘導体であ
る。
上記一般式(G5)で表されるカルバゾール誘導体におけるR乃至R15として適用
することが可能な、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基の具
体的な例としては、実施の形態1で一般式(G0)又は(G1)におけるR乃至R15
として適用可能な基として記載した構造式(R−1)乃至(R−27)で表される基を適
用することができる。
上記一般式(G5)で表されるカルバゾール誘導体の具体的な例を以下の構造式(UT
−1)乃至(UT−137)及び(UF−1)乃至(UF−137)に示す。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体を有機半導体素子の一種
である縦型トランジスタ(SIT)の活性層として用いる形態を例示する。
素子の構造としては、図2に示すように、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体を
含む薄膜状の活性層1202をソース電極1201およびドレイン電極1203で挟み、
ゲート電極1204が活性層1202に埋め込まれた構造を有する。ゲート電極1204
は、ゲート電圧を印加するための手段に電気的に接続されており、ソース電極1201お
よびドレイン電極1203は、ソース−ドレイン間の電圧を制御するための手段に電気的
に接続されている。
このような素子構造において、ゲート電圧を印加しない状態においてソース−ドレイン
間に電圧を印加すると、電流が流れる(ON状態となる)。そして、その状態でゲート電
圧を印加するとゲート電極1204周辺に空乏層が発生し、電流が流れなくなる(OFF
状態となる)。以上の機構により、トランジスタとして動作する。
縦型トランジスタにおいては、発光素子と同様、キャリア輸送性と良好な膜質を兼ね備
えた材料が活性層に求められるが、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体はその条件
を十分に満たしており、好適に用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では実施の形態1に示したカルバゾール誘導体を用いた発光素子の一態様
について図1(A)を用いて以下に説明する。
本実施の形態における発光素子は、一対の電極間に複数の層を有する。本形態において
、発光素子は、第1の電極102と、第2の電極104と、第1の電極102と第2の電
極104との間に設けられた有機化合物を含む層103とから構成されている。なお、本
形態では第1の電極102は陽極として機能し、第2の電極104は陰極として機能する
ものとして、以下説明をする。つまり、第1の電極102の方が第2の電極104よりも
電位が高くなるように、第1の電極102と第2の電極104に電圧を印加したときに、
発光が得られる構成となっている。
基板101は発光素子の支持体として用いられる。基板101としては、例えばガラス
、またはプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子の支持体として機能す
るものであれば、これら以外のものでもよい。
第1の電極102としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合
金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例
えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、ケイ
素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛
(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含
有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通
常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例え
ば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸
化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また
、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジ
ウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有した
ターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。この他、金(Au)
、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン
(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、グラフェ
ン、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
有機化合物を含む層103の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物
質を含む層または正孔輸送性の高い物質を含む層、電子注入性の高い物質を含む層、正孔
注入性の高い物質を含む層、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質を
含む層等を適宜組み合わせて構成すればよい。例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層
、電子輸送層、電子注入層等を適宜組み合わせて構成することができる。本実施の形態で
は、有機化合物を含む層103は、第1の電極102の上に順に積層した正孔注入層11
1、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114を有する構成について説明する
。各層を構成する材料について以下に具体的に示す。
正孔注入層111は、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物やバナ
ジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いること
ができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPC)
等のフタロシアニン系の化合物、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル
)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス[4−[ビス
(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル]−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフ
ェニル]−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポ
リ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS
)等の高分子等によっても正孔注入層111を形成することができる。
また、正孔注入層111として、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有さ
せた複合材料を用いることができる。なお、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質
を含有させたものを用いることにより、電極の仕事関数に依らず電極を形成する材料を選
ぶことができる。つまり、第1の電極102として仕事関数の大きい材料だけでなく、仕
事関数の小さい材料も用いることができるようになる。アクセプター性物質としては、7
,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F
−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げるこ
とができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げるこ
とができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸
化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため
好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いや
すいため好ましい。
複合材料に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール
誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など
、種々の有機化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては
、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/V
s以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。ただし、電子よりも正孔の輸送
性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料における
正孔輸送性の高い物質として用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフ
ェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−
ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N
,N’−ビス[4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル]−N,N’−ジフ
ェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)、1,3
,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン
(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−
(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバ
ゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3
−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)
、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]
−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
また、複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、他に、4,4’−
ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−
カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−
9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、1,4−ビス[
4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用
いることができる。
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert
−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−
tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,
5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9
,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,1
0−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラ
セン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAn
th)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)
、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセ
ン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−
テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメ
チル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,1
0’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニ
ル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフ
ェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、
ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。ま
た、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6
cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いる
ことがより好ましい。
なお、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよ
い。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−
ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−
ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェ
ニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニル
アミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](
略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス
(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)等の高分子化合物を用いることも
できる。
なお、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体も複合材料における有機化合物として
用いることもできる。正孔輸送層が実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体を含む本実
施の形態のような発光素子である場合は、正孔注入層から正孔輸送層へのホールの注入が
スムーズとなるため、駆動電圧の低減を図ることができ、好ましい構成である。なお、同
様の理由により、複合材料の有機化合物に実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体を用
いた場合、当該カルバゾール誘導体と、正孔輸送層に用いられるカルバゾール誘導体は同
じ物質であることがさらに好ましい構成である。
正孔輸送層112は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。本実施の形態では、正孔
輸送層として実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体を用いる。
発光層113は、発光性の物質を含む層である。発光層113は、発光物質単独の膜で
構成されていても、ホスト材料中に発光中心物質を分散された膜で構成されていても良い
発光層113において、上記発光物質、若しくは発光中心物質として用いることが可能
な材料としては特に限定は無く、これら材料が発する光は蛍光であっても燐光であっても
良い。上記発光物質又は発光中心物質としては例えば、以下のようなものが挙げられる。
蛍光発光性の物質としては、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フ
ェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)
、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)
トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4
’−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAP
PA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル
]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,1
1−テトラ−tert−ブチルペリレン(略称:TBP)、4−(10−フェニル−9−
アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルア
ミン(略称:PCBAPA)、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,
10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[N,N’,N’−トリフェニル−1,4−
フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(9,
10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略
称:2PCAPPA)、N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル
]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPP
A)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベ
ンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、クマ
リン30、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H
−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’
−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾー
ル−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アント
リル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPA
PA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]
−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPh
A)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバ
ゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YG
ABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAP
hA)クマリン545T、N,N’−ジフェニルキナクリドン、(略称:DPQd)、ル
ブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテ
トラセン(略称:BPT)、2−(2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテ
ニル}−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM
1)、2−{2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベ
ンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパ
ンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニ
ル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル
−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フ
ルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)、2−{2−イソプロピ
ル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H
,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデ
ン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2−{2−tert−ブチル−6−[2
−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベン
ゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパン
ジニトリル(略称:DCJTB)、2−(2,6−ビス{2−[4−(ジメチルアミノ)
フェニル]エテニル}−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:Bi
sDCM)、2−{2,6−ビス[2−(8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル
−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)
エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJT
M)などが挙げられる。りん光発光性の物質としては、ビス[2−(3’,5’−ビスト
リフルオロメチルフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナー
ト(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロ
フェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称
:FIracac)、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:
Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)アセチルア
セトナート(略称:Ir(ppy)(acac))、トリス(アセチルアセトナト)(
モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)(Phen)
)、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称
:Ir(bzq)(acac))、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト
−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)
acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジ
ウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)(acac))
、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルア
セトナート(略称:Ir(bt)(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5
−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート
(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C
2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac
))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリ
ナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、(アセチルア
セトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:
Ir(tppr)(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタ
エチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)、トリス(1
,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム
(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−
3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III
)(略称:Eu(TTA)(Phen))などが挙げられる。
また、上記ホスト材料として用いることが可能な材料としては、特に限定はないが、例
えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(
4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(
10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、
ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(II
I)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビ
ス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、
ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)な
どの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1
,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブ
チルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−
7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル
)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベ
ンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI
)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、
9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9
H−カルバゾール(略称:CO11)などの複素環化合物、4,4’−ビス[N−(1−
ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD)、N,
N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]
−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビ
フルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳
香族アミン化合物が挙げられる。また、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピ
レン誘導体、クリセン誘導体、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化
合物が挙げられ、具体的には、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth
)、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−
9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−
アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、4−(9H−カルバゾール−9
−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YG
APA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニ
ル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N
−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カル
バゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N,9−ジフェニル−N−(9,10−
ジフェニル−2−アントリル)−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA
)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセン、N,N,N’,N’,N’
’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7
,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、9−[4−(10−フェニル−9−ア
ントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−
9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称
:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称
:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−te
rt−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、
9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイ
ル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル
)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5
−トリイル)トリピレン(略称:TPB3)などを挙げることができる。これら及び公知
の物質の中から、上記発光中心物質のエネルギーギャップより大きなエネルギーギャップ
を有する物質を、一種もしくは複数種選択して用いればよい。また、発光中心物質がりん
光を発する物質である場合、ホスト材料は該発光中心物質の三重項励起エネルギー(基底
状態と三重項励起状態とのエネルギー差)よりも大きい三重項励起エネルギーを有する物
質を選択すれば良い。
なお、発光層113は2層以上の複数層でもって構成することもできる。例えば、第1
の発光層と第2の発光層を正孔輸送層側から順に積層して発光層113とする場合、第1
の発光層のホスト材料として正孔輸送性を有する物質を用い、第2の発光層のホスト材料
として電子輸送性を有する物質を用いる構成などがある。
以上のような構成を有する発光層は、複数の材料で構成されている場合、真空蒸着法で
の共蒸着や、混合溶液としてインクジェット法やスピンコート法やディップコート法など
を用いて作製することができる。
電子輸送層114は、電子輸送性の高い物質を含む層である。例えば、トリス(8−キ
ノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)
アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)
ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニ
ルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリ
ン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシ
フェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒ
ドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾ
ール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属
錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1
,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−
ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD
−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニ
ル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BP
hen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた
物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よ
りも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わ
ない。
また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層した
ものとしてもよい。
また、電子輸送層と発光層との間に電子キャリアの移動を制御する層を設けても良い。
これは上述したような電子輸送性の高い材料に、電子トラップ性の高い物質を少量添加し
た層であって、電子キャリアの移動を抑制することによって、キャリアバランスを調節す
ることが可能となる。このような構成は、発光層を電子が突き抜けてしまうことにより発
生する問題(例えば素子寿命の低下)の抑制に大きな効果を発揮する。
また、電子輸送層と第2の電極104との間に、第2の電極104に接して電子注入層
を設けてもよい。電子注入層としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(C
sF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属又
はそれらの化合物を用いることができる。例えば、電子輸送性を有する物質からなる層中
にアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を含有させたもの、例えばAl
q中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることができる。なお、電子注入
層として、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を
含有させたものを用いることにより、第2の電極104からの電子注入が効率良く行われ
るためより好ましい。
第2の電極104を形成する物質としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV
以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる
。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族または第2族に属する元素
、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム
(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、および
これらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Y
b)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。しかしながら、第2の電極
104と電子輸送層との間に、電子注入層を設けることにより、仕事関数の大小に関わら
ず、Al、Ag、ITO、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム−酸化ス
ズ等様々な導電性材料を第2の電極104として用いることができる。これら導電性材料
は、スパッタリング法やインクジェット法、スピンコート法等を用いて成膜することが可
能である。
また、有機化合物を含む層103の形成方法としては、乾式法、湿式法を問わず、種々
の方法を用いることができる。例えば、真空蒸着法、インクジェット法またはスピンコー
ト法など用いても構わない。また各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成し
ても構わない。
電極についても、ゾル−ゲル法を用いて湿式法で形成しても良いし、金属材料のペース
トを用いて湿式法で形成してもよい。また、スパッタリング法や真空蒸着法などの乾式法
を用いて形成しても良い。
以上のような構成を有する発光素子は、第1の電極102と第2の電極104との間に
生じた電位差により電流が流れ、発光性の高い物質を含む層である発光層113において
正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり発光層113に発光領域が形成さ
れるような構成となっている。
発光は、第1の電極102または第2の電極104のいずれか一方または両方を通って
外部に取り出される。従って、第1の電極102または第2の電極104のいずれか一方
または両方は、透光性を有する電極で成る。第1の電極102のみが透光性を有する電極
である場合、発光は第1の電極102を通って基板側から取り出される。また、第2の電
極104のみが透光性を有する電極である場合、発光は第2の電極104を通って基板と
逆側から取り出される。第1の電極102および第2の電極104がいずれも透光性を有
する電極である場合、発光は第1の電極102および第2の電極104を通って、基板側
および基板と逆側の両方から取り出される。
なお、第1の電極102と第2の電極104との間に設けられる層の構成は、上記のも
のには限定されない。しかし、発光領域と電極やキャリア注入層に用いられる金属とが近
接することによって生じる消光が抑制されるように、第1の電極102および第2の電極
104から離れた部位に正孔と電子とが再結合する発光領域を設けた構成が好ましい。ま
た、層の積層順もこれに限定されず、基板側から第2の電極、電子注入層、電子輸送層、
発光層、正孔輸送層、正孔注入層、第1の電極といった、図1とは反対の順番に積層され
た積層構造であっても良い。
また、直接発光層に接する正孔輸送層や電子輸送層、特に発光層113における発光領
域に近い方に接するキャリア輸送層は、発光層で生成した励起子からのエネルギー移動を
抑制するため、そのエネルギーギャップが発光層を構成する発光物質もしくは、発光層に
含まれる発光中心物質が有するエネルギーギャップより大きいエネルギーギャップを有す
る物質で構成することが好ましい。
本実施の形態における発光素子は、正孔輸送層として、エネルギーギャップの大きい実
施の形態1に記載のカルバゾール誘導体が用いられていることから、発光物質もしくは発
光中心物質がエネルギーギャップの大きい、青色の蛍光を呈する物質や、三重項励起エネ
ルギー(基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差)の大きい緑色のりん光を呈する物
質であっても、効率良く発光させることができ、発光効率の良好な発光素子を得ることが
できるようになる。このことで、より低消費電力の発光素子を提供することが可能となる
。また、色純度の良い発光を得ることができる発光素子を提供することができるようにな
る。また、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体は、キャリアの輸送性に優れること
から、駆動電圧の小さい発光素子を提供することが可能となる。
本実施の形態においては、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に発光素子を作製
している。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブマトリクス型
の発光装置を作製することができる。また、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に
、例えば薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、TFTと電気的に接続された電極上に発
光素子を作製してもよい。これにより、TFTによって発光素子の駆動を制御するアクテ
ィブマトリクス型の発光装置を作製できる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。
スタガ型のTFTでもよいし逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFTに用いる半導体
の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体を用いてもよいし、結晶性半導体を用
いてもよい。また、TFT基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のT
FTからなるものでもよいし、若しくはN型のTFTまたはP型のTFTのいずれか一方
からのみなるものであってもよい。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態4で示した構成と異なる構成の発光素子について説明す
る。
実施の形態4で示した発光層113を、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体に発
光性の発光中心物質を分散させた構成とすることで、発光中心物質からの発光を得る構成
、即ち、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体を発光層113のホスト材料として用
いる構成を説明する。
実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体は大きなエネルギーギャップ若しくは大きな
三重項励起エネルギー(基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差)を有するため、他
の発光物質を有効に励起、発光させることができることから、ホスト材料として好適に用
いることができ、当該発光物質に起因した発光を得ることが可能である。そのため、エネ
ルギーのロスが少ない、発光効率の高い発光素子とすることができる。また、発光中心物
質由来の所望の色の発光を得ることが容易な発光素子とすることができる。このことから
、色純度の高い発光を呈する発光素子を得ることも容易となる。また、実施の形態1に記
載のカルバゾール誘導体は、キャリアの輸送性にも優れることから、駆動電圧の小さい発
光素子を提供することも可能となる。
ここで、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体に分散させる発光中心物質としては
、特に制限は無く種々の材料を用いることができる。具体的には、4−(ジシアノメチレ
ン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(略称:DCM
1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(ジュロリジン−4−イル−ビニル
)−4H−ピラン(略称:DCM2)、N,N−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd
)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)、5,12−ジフェニルテトラ
セン(略称:DPT)、クマリン6、ペリレン、ルブレン、N,N’−ビス〔4−(9−
フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−N,N’−ジフェニル−ピレン−
1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)やその他公知の蛍光を発光する蛍光発
光性物質を用いることができる。また、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C
)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac))
、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(
pq))、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチ
ルアセトナート(略称:Ir(pq)(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾ[4
,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナ
ート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N
,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(ac
ac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキ
サリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、トリス(
2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)
)、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフ
ィリン白金(II)(略称:PtOEP)やその他公知の燐光を発光する燐光発光性物質
を用いることができる。また、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体が発光性を示す
場合には、当該カルバゾール誘導体を発光中心物質として用いることができる。この場合
、ホスト材料として用いるカルバゾール誘導体と発光中心物質として用いるカルバゾール
誘導体は異なる物質であることが好ましい。以上に挙げた物質もしくは公知の物質の中か
ら、ホスト材料に用いる実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体よりバンドギャップも
しくは三重項励起エネルギーの小さな物質を発光中心物質として選択する。
また、発光層には、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体と、そこに分散させる発
光中心物質以外にも、さらに他の有機化合物を同時に分散させても良い。この場合、発光
層のキャリアバランスを向上させる物質が好ましく、上記電子輸送性の高い物質などが挙
げられる。
なお、発光層113以外は、実施の形態4に示した構成を適宜適用することができる。
なお、正孔輸送層112としては、実施の形態4の複合材料に用いることが可能な、正孔
輸送性が高い物質として示した材料を用いることができる。また、それ以外に、4,4’
−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN
,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル
]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェ
ニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N
−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDA
TA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フ
ェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等の正孔輸送性
の高い物質を用いて形成することができる。もちろん、実施の形態1に記載のカルバゾー
ル誘導体を用いることもできる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の
正孔移動度を有する物質である。ただし、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、
これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のもの
だけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
また、正孔輸送層112として、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)や
ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いる
こともできる。
(実施の形態6)
本実施の形態は、複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、積層型素子と
もいう)の態様について、図1(B)を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極
と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する発光素子である。発光ユニットとし
ては、実施の形態4又は実施の形態5で示した有機化合物を含む層103と同様な構成を
用いることができる。つまり、実施の形態4又は実施の形態5で示した発光素子は、1つ
の発光ユニットを有する発光素子であり、本実施の形態では、複数の発光ユニットを有す
る発光素子ということができる。
図1(B)において、第1の電極501と第2の電極502との間には、第1の発光ユ
ニット511と第2の発光ユニット512が積層されており、第1の発光ユニット511
と第2の発光ユニット512との間には電荷発生層513が設けられている。第1の電極
501と第2の電極502はそれぞれ実施の形態4における第1の電極102と第2の電
極104に相当し、実施の形態4で説明したものと同様なものを適用することができる。
また、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異な
る構成であってもよい。
電荷発生層513には、有機化合物と金属酸化物の複合材料が含まれている。この有機
化合物と金属酸化物の複合材料は、実施の形態4で示した複合材料であり、有機化合物と
バナジウム酸化物やモリブデン酸化物やタングステン酸化物等の金属酸化物を含む。有機
化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化
合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができ
る。なお、有機化合物としては、正孔輸送性有機化合物として正孔移動度が10−6cm
/Vs以上であるものを適用することが好ましい。ただし、電子よりも正孔の輸送性の
高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。有機化合物と金属酸化物の複合体
は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現
することができる。
なお、電荷発生層513は、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と他の材料に
より構成される層を組み合わせて形成してもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複
合材料を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合
物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合材
料を含む層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
いずれにしても、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512に挟まれる電
荷発生層513は、第1の電極501と第2の電極502に電圧を印加したときに、一方
の発光ユニットに電子を注入し、他方の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い
。例えば、図1(B)において、第1の電極の電位の方が第2の電極の電位よりも高くな
るように電圧を印加した場合、電荷発生層513は、第1の発光ユニット511に電子を
注入し、第2の発光ユニット512に正孔を注入するものであればよい。
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、同様に
、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能で
ある。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷
発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での発光が可
能である。また、電流密度を低く保てるため、長寿命素子を実現できる。また、照明を応
用例とした場合は、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一
発光が可能となる。また、低電圧駆動が可能で消費電力が低い発光装置を実現することが
できる。
また、それぞれの発光ユニットの発光色を異なるものにすることで、発光素子全体とし
て、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つの発光ユニットを有する発光素子
において、第1の発光ユニットの発光色と第2の発光ユニットの発光色を補色の関係にな
るようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である
。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係に
ある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また
、3つの発光ユニットを有する発光素子の場合でも同様であり、例えば、第1の発光ユニ
ットの発光色が赤色であり、第2の発光ユニットの発光色が緑色であり、第3の発光ユニ
ットの発光色が青色である場合、発光素子全体としては、白色発光を得ることができる。
本実施の形態の発光素子は実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体を含むことから、
発光効率の良好な発光素子とすることができる。また、駆動電圧の小さな発光素子とする
ことができる。また、寿命の長い発光素子とすることができる。又、当該カルバゾール誘
導体が含まれる発光ユニットは発光中心物質由来の光を色純度良く得られるため、発光素
子全体としての色の調製が容易となる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体を含む発光素子を用いた
発光装置について説明する。
本実施の形態では、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体を含む発光素子を用いて
作製された発光装置について図3を用いて説明する。なお、図3(A)は、発光装置を示
す上面図、図3(B)は図3(A)をA−A’およびB−B’で切断した断面図である。
この発光装置は、発光素子の発光を制御するものとして、点線で示された駆動回路部(ソ
ース側駆動回路)601、画素部602、駆動回路部(ゲート側駆動回路)603を含ん
でいる。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた
内側は、空間607になっている。
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入
力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプ
リントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号
等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント
配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光
装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものと
する。
次に、断面構造について図3(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路
部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601
と、画素部602中の一つの画素が示されている。
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT62
4とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、種々のCMOS回路
、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板
上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を
基板上ではなく外部に形成することもできる。
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とその
ドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。
なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ
型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有
する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性ア
クリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有
する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、光の照射によってエッ
チャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となる
ポジ型のいずれも使用することができる。
第1の電極613上には、有機化合物を含む層616、および第2の電極617がそれ
ぞれ形成されている。ここで、陽極として機能する第1の電極613に用いる材料として
は、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、またはケイ素を
含有したインジウム錫酸化物膜、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒
化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタン
とアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする
膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線
としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させる
ことができる。
また、有機化合物を含む層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、
スピンコート法等の種々の方法によって形成される。有機化合物を含む層616は、実施
の形態1で示したカルバゾール誘導体を含んでいる。また、有機化合物を含む層616を
構成する他の材料としては、低分子化合物、または高分子化合物(オリゴマー、デンドリ
マーを含む)であっても良い。
さらに、有機化合物を含む層616上に形成され、陰極として機能する第2の電極61
7に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料(Al、Mg、Li、Ca、またはこれ
らの合金や化合物、MgAg、MgIn、AlLi、LiF、CaF等)を用いること
が好ましい。なお、有機化合物を含む層616で生じた光が第2の電極617を透過させ
る場合には、第2の電極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO
、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、ケイ素を含有したインジウム錫酸化
物、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用いるのが良い。
なお、第1の電極613、有機化合物を含む層616、第2の電極617でもって、発
光素子が形成されている。当該発光素子は実施の形態4乃至実施の形態6いずれかの構成
を有する発光素子である。なお、画素部は複数の発光素子が形成されてなっているが、本
実施の形態における発光装置では、実施の形態4乃至実施の形態6で説明した構成を有す
る発光素子と、それ以外の構成を有する発光素子の両方が含まれていても良い。
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、
素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素
子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されてお
り、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填され
る場合もある。
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料
はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604
に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Rei
nforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステル
またはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようにして、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体を含む発光素子を用いて
作製された発光装置を得ることができる。
本実施の形態における発光装置は、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体を含む発
光素子を用いているため、良好な特性を備えた発光装置を得ることができる。具体的には
、実施の形態1で示したカルバゾール誘導体はエネルギーギャップや三重項励起エネルギ
ーが大きく、発光物質からのエネルギーの移動を抑制することが可能であることから、発
光効率の良好な発光素子を提供することができ、もって、消費電力の低減された発光装置
とすることができる。また、駆動電圧の小さい発光素子を得ることができることから、駆
動電圧の小さい発光装置を得ることができる。また、実施の形態1に記載のカルバゾール
誘導体を用いた発光素子は寿命の長い発光素子であることから、信頼性の高い発光装置を
提供することができる。
以上のように、本実施の形態では、アクティブマトリクス型の発光装置について説明し
たが、この他、パッシブマトリクス型の発光装置であってもよい。図4には本発明を適用
して作製したパッシブマトリクス型の発光装置の図を示す。なお、図4(A)は、発光装
置を示す斜視図、図4(B)は図4(A)をX−Yで切断した断面図である。図4におい
て、基板951上には、電極952と電極956との間には有機化合物を含む層955が
設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層95
3上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴
って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、
隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の
方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向
を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けるこ
とで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことが出来る。また、パッシブマトリク
ス型の発光装置においても、低駆動電圧で動作する実施の形態4乃至実施の形態6のいず
れかに記載の、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体を含む発光素子を有することに
よって、低消費電力で駆動させることができる。また、実施の形態1に記載のカルバゾー
ル誘導体を含むために発光効率の高い実施の形態4乃至実施の形態6のいずれかに記載の
発光素子を含むことによって、低消費電力で駆動させることができる。また、実施の形態
1に記載のカルバゾール誘導体を含む実施の形態4乃至実施の形態6のいずれかに記載の
発光素子を有することによって信頼性の高い発光装置とすることが可能となる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態7に示す発光装置をその一部に含む本発明の電子機器に
ついて説明する。本実施の形態における電子機器は、実施の形態1に記載のカルバゾール
誘導体を含む発光素子を含み、その結果、消費電力が低減された表示部を有する電子機器
とすることが可能である。また、駆動電圧の小さい電子機器とすることが可能である。ま
た、信頼性の高い電子機器とすることが可能である。
実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体を含む電子機器として、ビデオカメラ、デジ
タルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオ
ーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイル
コンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再
生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録
媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これら
の電子機器の具体例を図5に示す。
図5(A)はテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、表示部9103、ス
ピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ装置において、表示
部9103は、実施の形態4乃至実施の形態6いずれかで説明したものと同様の発光素子
をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、実施の形態1に記載のカル
バゾール誘導体を含むため発光効率の良好な発光素子とすることが可能である。また、駆
動電圧の小さい発光素子とすることが可能である。また、信頼性の高い発光素子とするこ
とが可能である。そのため、当該発光素子で構成される表示部9103を有するテレビ装
置は消費電力の低減されたテレビ装置とすることができる。また、駆動電圧の小さいテレ
ビ装置とすることが可能である。また、信頼性の高いテレビ装置とすることが可能である
図5(B)は本発明に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部
9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングデバイス92
06等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態4乃至実施の
形態6いずれかで説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されてい
る。当該発光素子は、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体を含むため発光効率の良
好な発光素子とすることが可能である。また、駆動電圧の小さい発光素子とすることが可
能である。また、信頼性の高い発光素子とすることが可能である。そのため、当該発光素
子で構成される表示部9203有するこのコンピュータは消費電力の低減されたコンピュ
ータとすることができる。また、駆動電圧の小さいコンピュータとすることが可能である
。また、信頼性の高いコンピュータとすることが可能である。
図5(C)は本発明に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部94
03、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9
407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、実施の
形態4乃至実施の形態6いずれかで説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列
して構成されている。当該発光素子は、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体を含む
ため発光効率の良好な発光素子とすることが可能である。また、駆動電圧の小さい発光素
子とすることが可能である。また、信頼性の高い発光素子とすることが可能である。その
ため、当該発光素子で構成される表示部9403を有するこの携帯電話は消費電力の低減
された携帯電話とすることができる。また、駆動電圧の小さい携帯電話とすることが可能
である。また、信頼性の高い携帯電話とすることが可能である。
図5(D)は本発明に係るカメラであり、本体9501、表示部9502、筐体950
3、外部接続ポート9504、リモコン受信部9505、受像部9506、バッテリー9
507、音声入力部9508、操作キー9509、接眼部9510等を含む。このカメラ
において、表示部9502は、実施の形態4乃至実施の形態6いずれかで説明したものと
同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、実施の形態
1に記載のカルバゾール誘導体を含むため発光効率の良好な発光素子とすることが可能で
ある。また、駆動電圧の小さい発光素子とすることが可能である。また、信頼性の高い発
光素子とすることが可能である。そのため、当該発光素子で構成される表示部9502を
有するこのカメラは消費電力の低減されたカメラとすることができる。また、駆動電圧の
小さい高いカメラとすることが可能である。また、信頼性の高いカメラとすることができ
る。
以上の様に、実施の形態7に記載の発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置を
あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。実施の形態1に記載のカルバゾー
ル誘導体を用いることにより、消費電力の低減された電子機器を得ることができる。また
、色再現性に優れた高品質な表示を提供することが可能な表示部を有する電子機器を得る
ことができる。
また、実施の形態7に記載の発光装置は、照明装置として用いることもできる。実施の
形態7に記載の発光装置を照明装置として用いる一態様を、図6を用いて説明する。
図6は、実施の形態7に記載の発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一
例である。図6に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライト90
3、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、
バックライト903は、実施の形態7に記載の発光装置が用いられおり、端子906によ
り、電流が供給されている。
実施の形態7に記載の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより
、消費電力の低減されたバックライトが得られる。また、実施の形態7に記載の発光装置
は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能
であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、実施の形態7に記載の発光装置
は薄型であるため、表示装置の薄型化も可能となる。
図7は、実施の形態7に記載の発光装置を、照明装置である電気スタンドとして用いた
例である。図7に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源20
02として、実施の形態7に記載の発光装置が用いられている。
図8は、実施の形態7に記載の発光装置を、室内の照明装置3001として用いた例で
ある。実施の形態7に記載の発光装置は消費電力の低減された発光装置であるため、消費
電力の低減された照明装置とすることができる。また、実施の形態7に記載の発光装置は
大面積化が可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、実施の
形態7に記載の発光装置は、薄型であるため、薄型化した照明装置として用いることが可
能となる。
≪合成例1≫
本実施例では実施の形態1に構造式(358)として示したカルバゾール誘導体である
、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9−[4−(10−フェニル−9−アントリ
ル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DBTCzPA−II)の合成方法につい
て説明する。DBTCzPA−IIの構造を下記構造式に示す。
まず、DBTCzPA−IIの合成中間体である、3−(ジベンゾチオフェン−4−イ
ル)−9H−カルバゾール(略称:DBTCz−II)の合成方法を説明する。DBTC
z−IIは下記構造式で表されるカルバゾール誘導体である。DBTCz−IIの構造を
下記構造式に示す。
<ステップ1:3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9H−カルバゾール(略称:D
BTCz−II)の合成>
3.0g(12mmol)の3−ブロモカルバゾールと、2.8g(12mmol)の
ジベンゾチオフェン−4−ボロン酸と、150mg(0.5mol)のトリ(オルトート
リル)ホスフィンを、200mL三つ口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。こ
の混合物へ40mLのトルエンと、40mLのエタノールと、15mL(2.0mol/
L)の炭酸カリウム水溶液を加えた。フラスコ内を減圧下で攪拌することにより、混合物
を脱気した。脱気後窒素置換し、この混合物へ、23mg(0.10mmol)の酢酸パ
ラジウム(II)を加えてから、110℃で3時間還流した。還流後、混合物を室温まで
さましてから、析出した固体を吸引濾過により回収した。回収した固体を100mLのト
ルエンに溶かし、この溶液をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−
16855)、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−0013
5)、アルミナを通して濾過した。得られた濾液を濃縮して得た固体を、トルエン/ヘキ
サンにより再結晶したところ、目的物の白色固体を1.4g、収率32%で得た。ステッ
プ1の合成スキームを(a−1)に示す。
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル
)−9H−カルバゾール(略称:DBTCz−II)であることを確認した。得られた化
合物のH NMRデータを以下に示す。また、1H NMRチャートを図9に示す。
H NMR(DMSO, 300MHz):δ=7.18−7.23(m,1H),7
.41−7.46(m,1H),7.51−7.53(m,3H),7.64−7.70
(m,3H),7.78(dd,J=1.8Hz,J=8.1Hz,1H),8.0
0−8.05(m,1H),8.21(d,J=7.8Hz,1H),8.35−8.
46(m,2H),8.50(d,J=1.8Hz,1H),11.46(s,1H)
<ステップ2:DBTCzPA−IIの合成>
100mL三口フラスコに、1.8g(4.4mmol)の9−(4−ブロモフェニル
)−10−フェニルアントラセンと、1.5g(4.4mmol)の3−(ジベンゾチオ
フェン−4−イル)−9H−カルバゾールと、0.85g(8.8mmol)のナトリウ
ム tert−ブトキシドを入れた。フラスコ内を窒素置換してから、この混合物へ25
mLのトルエンと、2.2mLのトリ−(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘ
キサン溶液)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気をした。脱気後、
この混合物へ0.12g(0.22mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジ
ウム(0)を加えた。この混合物を窒素気流下、110℃で18時間攪拌したところ、固
体が析出した。攪拌後、この混合物を室温まで冷却し、析出した固体を吸引ろ過により回
収した。回収した固体を約60mLのトルエンに溶解し、この溶液をセライト(和光純薬
工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、フロリジール(和光純薬工業株式
会社、カタログ番号:540−00135)、アルミナを通して吸引ろ過した。得られた
ろ液を濃縮して得た固体を、トルエンにより再結晶したところ、白色粉末を1.1g、収
率36%で得た。ステップ2の合成スキームを(b−1)に示す。
得られた白色粉末1.1gを昇華精製した。昇華精製は、トレインサブリメーション法
を用い、圧力は3.0Pa、アルゴンガスを流量4.0mL/minで流しながら、白色
粉末を300℃で加熱することにより行った。昇華精製後、淡黄色固体を1.0g、回収
率90%で得た。
上記昇華精製後の淡黄色固体を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定デ
ータを示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.36−7.68(m,15H),
7.72−7.93(m,12H),8.19−8.286(m,3H),8.57(s
d,J=1.5Hz,1H)
また、H NMRチャートを図10に示す。測定結果から、上述の構造式で表される
カルバゾール誘導体であるDBTCzPA−IIが得られたことがわかった。
次に、DBTCzPA−IIのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図
11(A)、薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図11(B)に示す。吸収スペ
クトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。ト
ルエン溶液のスペクトルは、DBTCzPA−IIのトルエン溶液を石英セルに入れて測
定しこの吸収スペクトルから、石英セルを用いて測定したトルエンの吸収スペクトルを差
し引いた吸収スペクトルを図示した。また、薄膜の吸収スペクトルは、DBTCzPA−
IIを石英基板に蒸着してサンプルを作製し、このサンプルの吸収スペクトルから石英の
吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。発光スペクトルの測定には吸収
スペクトルの測定と同様に紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用
いた。トルエン溶液の発光スペクトルは、DBTCzPA−IIのトルエン溶液を石英セ
ルに入れて測定し、薄膜の発光スペクトルは、DBTCzPA−IIを石英基板に蒸着し
てサンプルを作製して測定した。これにより、DBTCzPA−IIのトルエン溶液にお
ける最大発光波長は436nm付近(励起波長376nm)、薄膜における最大発光波長
は447nm付近(励起波長400nm)にあることがわかった。
また、薄膜状態のDBTCzPA−IIのイオン化ポテンシャルの値を大気中にて光電
子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した。得られたイオン化ポテンシャルの値を
、負の値に換算した結果、DBTCzPA−IIのHOMO準位は−5.73eVであっ
た。図11の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したTaucプロット
から求めたDBTCzPA−IIの吸収端は2.92eVであった。従って、DBTCz
PA−IIの固体状態の光学的エネルギーギャップは2.92eVと見積もられ、先に得
たHOMO準位とこのエネルギーギャップの値から、DBTCzPA−IIのLUMO準
位が−2.81eVと見積もることができる。このように、DBTCzPA−IIは固体
状態において2.92eVの広いエネルギーギャップを有している事がわかった。
また、DBTCzPA−IIの酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイクリッ
クボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(
ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A又は600C)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(
Sigma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い
、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO
((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるよ
うに溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した
。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、
補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極
(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE
5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20〜25℃)で行った
。また、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに統一した。
測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.05Vから1.10Vまで変化させ
た後、1.1Vから−0.05Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル
測定した。
測定の結果、100サイクル測定後でも、酸化ピークに大きな変化は無くDBTCzP
A−IIは酸化状態と中性状態との間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すことがわ
かった。
また、CV測定の結果からも、DBTCzPA−IIのHOMO準位を算出した。
まず、使用する参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4.94e
Vであることがわかっている。DBTCzPA−IIの酸化ピーク電位Epaは1.01
Vであった。また、還元ピーク電位Epcは0.86Vであった。したがって、半波電位
(EpaとEpcの中間の電位)は0.94Vと算出できる。このことは、DBTCzP
A−IIは0.94[V vs.Ag/Ag]の電気エネルギーにより酸化されること
を示しており、このエネルギーはHOMO準位に相当する。ここで、上述した通り、本実
施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4.94[eV
]であるため、DBTCzPA−IIのHOMO準位は、−4.94−0.94=−5.
88[eV]であることがわかった。
なお、参照電極(Ag/Ag電極)の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、
Ag/Ag電極のフェルミ準位に相当し、その算出は、真空準位からのポテンシャルエ
ネルギーが既知の物質を当該参照電極(Ag/Ag電極)を用いて測定した値から行え
ば良い。
本実施例で用いる参照電極(Ag/Ag電極)の真空準位に対するポテンシャルエネ
ルギー(eV)の算出方法を具体的に説明する。メタノール中におけるフェロセンの酸化
還元電位は、標準水素電極に対して+0.610[V vs. SHE]であることが知
られている(参考文献;Christian R.Goldsmith et al.,
「J.Am.Chem.Soc.」, Vol.124, No.1,83−96,
2002)。一方、本実施例で用いる参照電極を用いて、メタノール中におけるフェロセ
ンの酸化還元電位を求めたところ、+0.11[Vvs.Ag/Ag]であった。した
がって、この参照電極のポテンシャルエネルギーは、標準水素電極に対して0.50[e
V]低くなっていることがわかった。
ここで、標準水素電極の真空準位からのポテンシャルエネルギーは−4.44eVであ
ることが知られている(参考文献;大西敏博・小山珠美著、「高分子EL材料」(共立出
版)、p.64−67)。以上のことから、用いた参照電極の真空準位に対するポテンシ
ャルエネルギーは、−4.44−0.50=−4.94[eV]であると算出できる。
≪合成例2≫
本実施例では実施の形態1に構造式(758)として示したカルバゾール誘導体である
、3−(ジベンゾフラン−4−イル)−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)
フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DBFCzPA−II)の合成方法について説
明する。DBFCzPA−IIの構造を下記構造式に示す。
まず、DBFCzPA−IIの合成中間体である3−(ジベンゾフラン−4−イル)−
9H−カルバゾール(略称:DBFCz−II)の合成方法について説明する。3−(ジ
ベンゾフラン−4−イル)−9H−カルバゾールは下記構造式で表されるカルバゾール誘
導体である。
<ステップ1:3−(ジベンゾフラン−4−イル)−9H−カルバゾール(略称:DBF
Cz−II)の合成>
2.0g(8.1mmol)の3−ブロモカルバゾールと、1.7g(8.1mmol
)のジベンゾフラン−4−ボロン酸と、150mg(0.5mol)のトリ(オルトート
リル)ホスフィンを、200mL三つ口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。こ
の混合物へ20mLのトルエンと20mLのエタノールと、15mL(0.2mol)の
炭酸カリウム水溶液(2.0mol/L)を加えた。フラスコ内を減圧下で攪拌すること
により、混合物を脱気した。この混合物へ、23mg(0.10mmol)の酢酸パラジ
ウム(II)を加えてから、80℃で還流した。還流後、混合物を室温までさましてから
、得られた固体を吸引濾過により回収した。回収した固体を100mLのトルエンに溶か
し、この溶液をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)
、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、アルミ
ナを通して濾過した。得られた濾液を濃縮して得た固体を、トルエン/ヘキサンにより再
結晶したところ白色固体を2.3g、収率85%で得た。ステップ1の合成スキームを(
a−2)に示す。
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が3−(ジベンゾフラン−4−イル)−
9H−カルバゾール(略称:DBFCz−II)であることを確認した。得られた化合物
H NMRデータを以下に示す。また、H NMRチャートを図12に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.26−7.29(m、1H)、7
.33−7.48(m、5H)、7.58(d、J=8.4Hz、1H)、7.62(d
、J=8.4Hz、1H)、7.70(dd、J=1.2Hz、J=7.8Hz、1
H)、7.93(dd、J=1.5Hz、J=7.5Hz、1H)、7.97−8.
02(m、2H)、8.16(d、J=7.5Hz、2H)、8.58(d、J=1.5
Hz、1H)
<ステップ2:DBFCzPA−IIの合成>
50mL三口フラスコに、0.61g(1.5mmol)の9−(4−ブロモフェニル
)−10−フェニルアントラセンと、0.50g(1.5mmol)の3−(ジベンゾフ
ラン−4−イル)−9H−カルバゾールと、0.29g(3.0mmol)のナトリウム
tert−ブトキシドを入れた。フラスコ内を窒素置換してから、この混合物へ8.0
mLのトルエンと、0.76mLのトリ−(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%
ヘキサン溶液)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気をした。脱気後
、この混合物へ43mg(0.075mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラ
ジウム(0)を加えた。この混合物を窒素気流下、110℃で10時間攪拌した。攪拌後
、得られた混合物をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−1685
5)、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、ア
ルミナを通して吸引ろ過した。得られたろ液を濃縮して得た油状物を、シリカゲルカラム
クロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:トルエン=5:1)で精製した。得られた固
体をトルエン/ヘキサンにより再結晶したところ、白色粉末を0.63g、収率63%で
得た。ステップ2の合成スキームを(b−2)に示す。
得られた白色粉末0.63gを昇華精製した。昇華精製は、トレインサブリメーション
法を用い、圧力は3.0Pa、アルゴンガスを流量4.0mL/minで流しながら、白
色粉末を300℃で加熱することにより行った。昇華精製後、淡黄色固体を0.55g、
回収率87%で得た。
上記昇華精製後の淡黄色固体を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定デ
ータを示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.30−7.66(m,15H),
7.71−7.79(m,6H),7.83−7.91(m,5H),7.97(dd,
=1.2Hz,J=7.2Hz,1H),8.04(dd,J=0.90Hz,
=7.8Hz,1H),8.10(dd,J=1.8Hz,J=8.4Hz,1
H),8.31(d,J=7.5Hz,1H),8.72(sd,J=0.90Hz
,1H)
また、H NMRチャートを図13に示す。測定結果から、上述の構造式で表される
カルバゾール誘導体であるDBFCzPA−IIが得られたことがわかった。
次に、DBFCzPA−IIのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図
14(A)に、薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図14(B)に示す。吸収ス
ペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。
トルエン溶液のスペクトルは、DBFCzPA−IIのトルエン溶液を石英セルに入れて
測定しこの吸収スペクトルから、石英セルを用いて測定したトルエンの吸収スペクトルを
差し引いた吸収スペクトルを図示した。また、薄膜の吸収スペクトルは、DBFCzPA
−IIを石英基板に蒸着してサンプルを作製し、このサンプルの吸収スペクトルから石英
の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。発光スペクトルの測定には吸
収スペクトルの測定と同様に紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を
用いた。トルエン溶液の発光スペクトルは、DBFCzPA−IIのトルエン溶液を石英
セルに入れて測定し、薄膜の発光スペクトルは、DBFCzPA−IIを石英基板に蒸着
してサンプルを作製して測定した。これにより、DBFCzPA−IIのトルエン溶液に
おける最大発光波長は435nm付近(励起波長376nm)、薄膜における最大発光波
長は449nm付近(励起波長380nm)にあることがわかった。
また、薄膜状態のDBFCzPA−IIのイオン化ポテンシャルの値を大気中にて光電
子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した。得られたイオン化ポテンシャルの値を
、負の値に換算した結果、DBFCzPA−IIのHOMO準位は−5.64eVであっ
た。図14(B)の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したTaucプ
ロットから求めたDBFCzPA−IIの吸収端は2.93eVであった。従って、DB
FCzPA−IIの固体状態の光学的エネルギーギャップは2.93eVと見積もられ、
先に得たHOMO準位とこのエネルギーギャップの値から、DBTCzPA−IIのLU
MO準位は−2.71eVと見積もることができる。このように、DBTCzPA−II
は固体状態において2.93eVの広いエネルギーギャップを有している事がわかった。
また、DBFCzPA−IIの酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイクリッ
クボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(
ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A又は600C)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(
Sigma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い
、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO
((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるよ
うに溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した
。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、
補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極
(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE
5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20〜25℃)で行った
。また、CV測定のスキャン速度は0.1V/secに統一した。
測定は、参照電極に対する作用電極の電位を0.35Vから0.95Vまで変化させた
後、0.95Vから0.35Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測
定した。
測定の結果、100サイクル測定後でも、酸化ピークに大きな変化は無くDBFCzP
A−IIは酸化状態と中性状態との間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すことがわ
かった。
また、CV測定の結果からも、DBFCzPA−IIのHOMO準位を算出した。
まず、実施例1で算出したように、使用する参照電極の真空準位に対するポテンシャル
エネルギーは、−4.94eVである。DBFCzPA−IIの酸化ピーク電位Epa
0.91Vであった。また、還元ピーク電位Epcは0.78Vであった。したがって、
半波電位(EpaとEpcの中間の電位)は0.85Vと算出できる。このことは、DB
FCzPA−IIは0.85[V vs.Ag/Ag]の電気エネルギーにより酸化さ
れることを示しており、このエネルギーはHOMO準位に相当する。ここで、上述した通
り、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4.9
4[eV]であるため、DBFCzPA−IIのHOMO準位は、−4.94−0.85
=−5.79[eV]であることがわかった。
≪合成例3≫
本実施例では実施の形態1に構造式(287)として示したカルバゾール誘導体である
、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9−(トリフェニレン−2−イル)−9H−
カルバゾール(略称:DBTCzTp−II)の合成方法について説明する。DBTCz
Tp−IIの構造を下記構造式(5)に示す。
<ステップ1:3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9H−カルバゾールの合成>
合成例1におけるステップ1と同様に合成した。
<ステップ2:DBTCzTp−IIの合成>
1.0g(2.9mmol)の2−ブロモトリフェニレンと、0.88g(2.9mm
ol)の3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9H−カルバゾールを100mLの三
口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、15mLのトルエンと、
0.10mLのトリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)と、0
.45g(4.3mmol)のナトリウム tert−ブトキシドを加えた。この混合物
を、減圧下で攪拌しながら脱気した。脱気後窒素置換し、この混合物を80℃に加熱して
から、14mg(0.025mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(
0)を加えた。この混合物を、80℃で4時間攪拌した。撹拌後、この混合物へ15mg
(0.025mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を追加して
から、更に110℃で8時間撹拌した。撹拌後、混合物へ約30mLのトルエンを加えて
から80℃で撹拌し、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−168
55)、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、
アルミナを通して熱濾過した。得られた濾液を濃縮し、白色固体を得た。得られた固体を
、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、ヘキサン:酢酸エチル=9:1)に
より精製し、さらにトルエン/ヘキサンを用いて再結晶したところ、白色固体を0.50
g、収率27%で得た。ステップ2の合成スキームを(b−3)に示す。
得られた白色固体0.50gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華
精製条件は、圧力2.1Pa、アルゴンガス流量5.0mL/min、加熱温度310℃
とした。昇華精製後、無色透明固体を0.40g、回収率78%で得た。
昇華精製後の無色透明固体を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定デー
タを示す。また、H NMRチャートを図15に示す。
H NMR(CDCl、300MHz):δ=7.37−7.41(m、2H)、7
.45−7.52(m、3H)、7.58−7.77(m、8H)、7.93(dd、J
=2.1Hz、J=8.7Hz、1H)、7.96(dd、J=1.5Hz、J
=7.8Hz、1H)、8.03(dd、J=1.5Hz、J=8.2Hz、2H)
、8.31(d、J=7.5Hz、1H)、8.61(dd、J=1.5Hz、J
8.0Hz、1H)、8.72−8.77(m、4H)、8.91−8.94(m、2H
測定結果から、上述の構造式(5)で表されるカルバゾール誘導体であるDBTCzT
p−IIが得られたことがわかった。
次に、DBTCzTp−IIのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図
16(A)に、薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図16(B)に示す。吸収ス
ペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。
トルエン溶液のスペクトルは、DBTCzTp−IIのトルエン溶液を石英セルに入れて
測定しこの吸収スペクトルから、石英セルを用いて測定したトルエンの吸収スペクトルを
差し引いた吸収スペクトルを図示した。また、薄膜の吸収スペクトルは、DBTCzTp
−IIを石英基板に蒸着してサンプルを作製し、このサンプルの吸収スペクトルから石英
の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。発光スペクトルの測定には吸
収スペクトルの測定と同様に紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を
用いた。トルエン溶液の発光スペクトルは、DBTCzTp−IIのトルエン溶液を石英
セルに入れて測定し、薄膜の発光スペクトルは、DBTCzTp−IIを石英基板に蒸着
してサンプルを作製して測定した。これにより、DBTCzTp−IIのトルエン溶液に
おける最大発光波長は363nm付近、及び379nm付近(励起波長340nm)、薄
膜における最大発光波長は390nm付近(励起波長336nm)にあることがわかった
また、薄膜状態のDBTCzTp−IIのイオン化ポテンシャルの値を大気中にて光電
子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した。得られたイオン化ポテンシャルの値を
、負の値に換算した結果、DBTCzTp−IIのHOMO準位は−5.84eVであっ
た。図16の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したTaucプロット
から求めたDBTCzTp−IIの吸収端は3.34eVであった。従って、DBTCz
Tp−IIの固体状態の光学的エネルギーギャップは3.34eVと見積もられ、先に得
たHOMO準位とこのエネルギーギャップの値から、DBTCzTp−IIのLUMO準
位を−2.50eVと見積もることができる。このように、DBTCzTp−IIは固体
状態において3.34eVの広いエネルギーギャップを有している事がわかった。
また、DBTCzTp−IIの酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイクリッ
クボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(
ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A又は600C)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(
Sigma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い
、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO
((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるよ
うに溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した
。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、
補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極
(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE
5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20〜25℃)で行った
。また、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに統一した。
測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.05Vから1.10Vまで変化させ
た後、1.10Vから−0.05Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイク
ル測定した。
測定の結果、100サイクル測定後でも、酸化ピークに大きな変化は無くDBTCzT
p−IIは酸化状態と中性状態との間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すことがわ
かった。
また、CV測定の結果からも、DBTCzTp−IIのHOMO準位を算出した。
まず、実施例1で算出したように、使用する参照電極の真空準位に対するポテンシャル
エネルギーは、−4.94eVである。DBTCzTp−IIの酸化ピーク電位Epa
1.01Vであった。また、還元ピーク電位Epcは0.86Vであった。したがって、
半波電位(EpaとEpcの中間の電位)は0.94Vと算出できる。このことは、DB
TCzTp−IIは0.94[V vs.Ag/Ag]の電気エネルギーにより酸化さ
れることを示しており、このエネルギーはHOMO準位に相当する。ここで、上述した通
り、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4.9
4[eV]であるため、DBTCzTp−IIのHOMO準位は、−4.94−0.94
=−5.88[eV]であることがわかった。
≪合成例4≫
本実施例では実施の形態1に構造式(687)として示したカルバゾール誘導体である
、3−(ジベンゾフラン−4−イル)−9−(トリフェニレン−2−イル)カルバゾール
(略称:DBFCzTp−II)の合成方法について説明する。DBFCzTp−IIの
構造を下記構造式(6)に示す。
<ステップ1:3−(ジベンゾフラン−4−イル)−9H−カルバゾールの合成>
実施例2におけるステップ1と同様に合成した。
<ステップ2:DBFCzTp−IIの合成>
0.62g(2.0mmol)の2−ブロモトリフェニレンと、0.67g(2.0m
mol)の3−(ジベンゾフラン−4−イル)−9H−カルバゾールを50mLの三口フ
ラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、15mLのトルエンと、0.
10mLのトリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)と、0.4
8g(4.3mmol)のナトリウム tert−ブトキシドを加えた。この混合物を、
減圧下で攪拌しながら脱気した。この混合物を80℃で加熱してから、14mg(0.0
25mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を加えた。この混合
物を、110℃で15.5時間攪拌した。撹拌後、混合物を約30mLの水で2回洗浄し
、有機層と洗浄した水層を分離した。得られた水層を約30mLのトルエンで2回抽出し
た。有機層と抽出溶液を合わせて、約100mLの飽和食塩水で1回洗浄した。得られた
有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、この混合物をセライト(和光純薬工業株式会社
、カタログ番号:531−16855)、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタロ
グ番号:540−00135)、アルミナを通して濾過した。得られた濾液を濃縮し、褐
色固体を得た。得られた褐色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はヘ
キサン:トルエン=2:1)により精製し、さらにヘキサン/トルエンにより再結晶した
ところ、白色固体を0.73g、収率65%で得た。ステップ2の合成スキームを(b−
4)に示す。
得られた白色固体0.73gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華
精製条件は、圧力2.2Pa、アルゴンガス流量5.0mL/min、加熱温度310℃
とした。昇華精製後、無色透明固体を0.59g、回収率81%で得た。
昇華精製後の無色透明固体を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定デー
タを示す。また、H NMRチャートを図17に示す。なお、図17(B)は図17(
A)における7.25ppm−9ppmの範囲を拡大して示したグラフである。
H NMR(CDCl、300MHz):δ=7.37−7.41(m、2H)、7
.45−7.52(m、3H)、7.58−7.77(m、8H)、7.93(dd、J
=2.1Hz、J=8.7Hz、1H)、7.96(dd、J=1.5Hz、J
=7.8Hz、1H)、8.03(dd、J=1.5Hz、J=8.2Hz、2H)
、8.31(d、J=7.5Hz、1H)、8.61(dd、J=1.5Hz、J
8.0Hz1H)、8.72−8.77(m、4H)、8.91−8.94(m、2H)
測定結果から、上述の構造式で表されるカルバゾール誘導体であるDBFCzTp−I
Iが得られたことがわかった。
次に、DBFCzTp−IIのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図
18(A)に、薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図18(B)に示す。吸収ス
ペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。
トルエン溶液のスペクトルは、DBFCzTp−IIのトルエン溶液を石英セルに入れて
測定し、石英とトルエンの吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示したトルエ
ン溶液を石英セルに入れて測定しこの吸収スペクトルから、石英セルを用いて測定したト
ルエンの吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。また、薄膜の吸収スペ
クトルは、DBFCzTp−IIを石英基板に蒸着してサンプルを作製し、このサンプル
の吸収スペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。発
光スペクトルの測定には吸収スペクトルの測定と同様に紫外可視分光光度計(日本分光株
式会社製、V550型)を用いた。トルエン溶液の発光スペクトルは、DBFCzTp−
IIのトルエン溶液を石英セルに入れて測定し、薄膜の発光スペクトルは、DBFCzT
p−IIを石英基板に蒸着してサンプルを作製して測定した。これにより、DBFCzT
p−IIのトルエン溶液における極大発光波長は380nm付近、及び395nm付近(
励起波長340nm)、薄膜における最大発光波長は413nm付近(励起波長334n
m)にあることがわかった。
また、薄膜状態のDBFCzTp−IIのイオン化ポテンシャルの値を大気中にて光電
子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した。得られたイオン化ポテンシャルの値を
、負の値に換算した結果、DBFCzTp−IIのHOMO準位は−5.79eVであっ
た。図18(B)の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したTaucプ
ロットから求めたDBFCzTp−IIの吸収端は3.33eVであった。従って、DB
FCzTp−IIの固体状態の光学的エネルギーギャップは3.33eVと見積もられ、
先に得たHOMO準位とこのエネルギーギャップの値から、DBFCzTp−IIのLU
MO準位を−2.46eVと見積もることができる。このように、DBFCzTp−II
は固体状態において3.33eVの広いエネルギーギャップを有している事がわかった。
また、DBFCzTp−IIの酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイクリッ
クボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(
ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A又は600C)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(
Sigma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い
、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO
((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるよ
うに溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した
。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、
補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極
(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE
5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20〜25℃)で行った
。また、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに統一した。
測定は、参照電極に対する作用電極の電位を0.00Vから1.10Vまで変化させた
後、1.10Vから0.00Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測
定した。
測定の結果、100サイクル測定後でも、酸化ピークに大きな変化は無くDBFCzT
p−IIは酸化状態と中性状態との間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すことがわ
かった。
また、CV測定の結果からも、DBFCzTp−IIのHOMO準位を算出した。
まず、実施例1で算出したように、使用する参照電極の真空準位に対するポテンシャル
エネルギーは、−4.94eVである。DBFCzTp−IIの酸化ピーク電位Epa
1.00Vであった。また、還元ピーク電位Epcは0.83Vであった。したがって、
半波電位(EpaとEpcの中間の電位)は0.92Vと算出できる。このことは、DB
FCzTp−IIは0.92[V vs.Ag/Ag]の電気エネルギーにより酸化さ
れることを示しており、このエネルギーはHOMO準位に相当する。ここで、上述した通
り、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4.9
4[eV]であるため、DBFCzTp−IIのHOMO準位は、−4.94−0.92
=−5.86[eV]であることがわかった。
≪合成例5≫
本実施例では実施の形態1に構造式(728)として示したカルバゾール誘導体である
、3−(ジベンゾフラン−4−イル)−N−(9,10−ジフェニルアントラセン−2−
イル)−9H−カルバゾール(略称:2DBFCzPA−II)の合成方法について説明
する。2DBFCzPA−IIの構造を下記構造式に示す。
<ステップ1:3−(ジベンゾフラン−4−イル)−9H−カルバゾールの合成>
実施例2におけるステップ1と同様に合成した。
<ステップ2:2DBFCzPA−IIの合成>
100mL三口フラスコに、1.00g(3.00mmol)の2−ブロモ−9,10
−ジフェニルアントラセンと、1.23g(3.00mmol)の3−(ジベンゾフラン
−4−イル)−9H−カルバゾールと、0.86g(9.00mmol)のナトリウム
tert−ブトキシドを入れた。フラスコ内を窒素置換してから、この混合物へ20mL
のトルエンと、0.2mLのトリ−(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサ
ン溶液)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気をした。脱気後、この
混合物へ86mg(0.15mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(
0)を加えた。この混合物を窒素気流下、110℃で10時間攪拌した。還流後、混合物
を室温までさましてから、得られた固体を吸引濾過により回収した。回収した固体を10
0mLのトルエンに溶かし、この溶液をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号
:531−16855)、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540
−00135)、アルミナを通して濾過した。得られた濾液を濃縮して橙色固体を得た。
得られた固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。カラムクロマト
グラフィーは展開溶媒にトルエン:ヘキサン=1:5の溶液を用い行った。得られたフラ
クションを濃縮して淡黄色固体を得た。得られた固体をトルエン/ヘキサンにより再結晶
したところ、淡黄色固体を1.27g、収率64%で得た。ステップ2の合成スキームを
(b−5)に示す。
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が、3−(ジベンゾフラン−4−イル)−
N−(9,10−ジフェニルアントラセン−2−イル)−9H−カルバゾール(略称:2
DBFCzPA−II)であることを確認した。得られた化合物のH NMRデータを
以下に示す。また、H NMRチャートを図19に示す。
H NMR(CDCl、300MHz):δ=7.26−7.49(m、9H)、7
.54−7.72(m、13H)、7.75−7.79(m、2H)、7.92−7.9
7(m、4H)、8.01(d、J=8.1Hz、1H)、8.21(d、J=7.5H
z、1H)、8.63(d、J=0.9Hz、1H)
≪合成例6≫
本実施例では実施の形態1で構造式(201)として示したカルバゾール誘導体である
、3,6−ビス(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9−[4−(10−フェニル−9−
アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DBT2CzPA−II)の合成
方法について説明する。3,6−ビス(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9−[4−(
10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾールの構造を下記構造式
に示す。
まず、DBT2CzPA−Iの合成中間体である、3,6−ジ(ベンゾチオフェン−4
−イル)−9H−カルバゾール(略称:DBT2Cz−II)の合成方法について示す。
DBT2Cz−IIを下記構造式に示す。
<ステップ1:3,6−ジ(ベンゾチオフェン−4−イル)−9H−カルバゾールの合成

3.3g(10mmol)の3,6−ジブロモカルバゾールと、4.6g(20mmo
l)のジベンゾチオフェン−4−ボロン酸と、156mg(0.5mol)のトリ(オル
トートリル)ホスフィンを、200mL三つ口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換し
た。この混合物へ25mLのトルエンと、25mLのエタノールと、15mL(2.0m
ol/L)の炭酸カリウム水溶液を加えた。フラスコ内を減圧下で攪拌することにより、
混合物を脱気した。脱気後窒素置換し、この混合物へ、22mg(0.10mmol)の
酢酸パラジウム(II)を加えてから、80℃で2時間還流した。還流後、白色固体が析
出したので、この混合物へ約450mLのトルエンを加えて加熱撹拌し、白色固体を溶か
した。得られた懸濁液を、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−1
6855)、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135
)、アルミナを通して濾過した。得られた濾液を濃縮して得た固体を、約200mLのト
ルエンにより再結晶したところ目的物の白色固体を2.0g、収率38%で得た。ステッ
プ1の合成スキームを(a−1)に示す。
核磁気共鳴測定(NMR)によって、この化合物が、3,6−ジ(ジベンゾチオフェン
−4−イル)−9H−カルバゾール(略称:DBT2Cz−II)であることを確認した
。得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。また、H NMRチャートを図
20に示す。
H NMR(CDCl、300MHz):δ=7.44−7.50(m、4H)、7
.57−7.64(m、6H)、7.82−7.88(m、4H)、8.15−8.22
(m、4H)、8.90(d、J=0.9Hz、1H)、8.50(d、J=1.2Hz
、2H)
<ステップ2:3,6−ビス(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9−[4−(10−フ
ェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DBT2CzPA−
II)の合成>
100mL三口フラスコに、0.95g(2.32mmol)の9−(4−ブロモフェニ
ル)−10−フェニルアントラセンと、1.23g(2.32mmol)の3,6−ジ(
ベンゾチオフェン−4−イル)−9H−カルバゾールと、0.67g(6.96mmol
)のナトリウム tert−ブトキシドを入れた。フラスコ内を窒素置換してから、この
混合物へ20mLのトルエンと、0.1mLのトリ−tert−ブチル−ホスフィン(1
0wt%ヘキサン溶液)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気をした
。脱気後、この混合物へ24mg(0.11mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン
)パラジウム(0)を加えた。この混合物を窒素気流下、110℃で10時間攪拌した。
攪拌後、得られた混合物にトルエン100mLを加え、この懸濁液をセライト(和光純薬
工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、フロリジール(和光純薬工業株式
会社、カタログ番号:540−00135)、アルミナを通して吸引ろ過した。得られた
濾液を濃縮して得た油状物を、トルエンで再結晶した所、目的物の淡黄色固体を0.75
g、収率38%で得た。ステップ2の合成スキームを(b−6)に示す。
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が、3,6−ビス(ジベンゾチオフェン−
4−イル)−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバ
ゾール(略称:DBT2CzPA−II)であることを確認した。得られた化合物の
NMRデータを以下に示す。また、H NMRチャートを図21に示す。
H NMR(CDCl、300MHz):δ=7.38−7.69(m、17H)、
7.76−7.91(m、10H)、7.95−7.99(m、4H)、8.18−8.
24(m、4H)、8.63(d、J=0.9Hz、1H)
≪合成例7≫
本合成例では実施の形態2に示した、実施の形態1に示すカルバゾール誘導体の合成中
間体として用いることが可能な一般式(G5)で表されるカルバゾール誘導体である3,
6−ジ(ベンゾフラン−4−イル)−9H−カルバゾール(略称:DBF2Cz−II)
の合成方法について説明する。DBF2Cz−IIの構造を下記構造式に示す。
3.00g(9.23mmol)の3,6−ジブロモカルバゾールと、3.91g(18
.5mmol)のジベンゾチオフェン−4−ボロン酸と、140mg(0.46mol)
のトリ(オルトートリル)ホスフィンを、200mL三つ口フラスコへ入れ、フラスコ内
を窒素置換した。この混合物へ35mLのトルエンと、10mLのエタノールと、20m
L(2.0mol/L)の炭酸カリウム水溶液を加えた。フラスコ内を減圧下で攪拌する
ことにより、混合物を脱気した。脱気後窒素置換し、この混合物へ、21mg(92.3
μmol)の酢酸パラジウム(II)を加えてから、80℃で3時間還流した。還流後、
混合物へ約200mLのトルエンを加えてから、約110℃で撹拌した。この懸濁液を、
熱いままセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、フロ
リジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、アルミナを通
して濾過した。得られた濾液を濃縮して得た固体を、トルエンにより再結晶したところ白
色固体を1.40g、収率30%で得た。合成スキームを(c−1)に示す。
核磁気共鳴法(NMR)によって、この白色固体が、3、6−ビス(ジベンゾフラン−4
−イル)−9H−カルバゾール (DBF2Cz−II)であることを確認した。得られ
た化合物のH NMRデータを以下に示す。また、H NMRチャートを図22に示
す。
H NMR(CDCl、300MHz):δ=7.37(dt、J1=0.9Hz、
J2=7.2Hz、2H)、7.44−7.50(m、4H)、7.64(d、J=8.
1Hz、4H)、7.74(dd、J=0.9Hz、J=7.7Hz、2H)、7.
95(dd、J=0.9Hz、J=7.5Hz、2H)、8.03(dt、J=1.
8Hz、J2=8.4Hz、4H)、8.26(br、1H)、8.69(d、J=2.
1Hz、1H)
本実施例では実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体である、3−(ジベンゾチオフ
ェン−4−イル)−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−
カルバゾール(略称:DBTCzPA−II))及び3−(ジベンゾフラン−4−イル)
−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略
称:DBFCzPA−II))を、青色の蛍光を発する発光中心物質を用いた発光層にお
けるホスト材料として用いた発光素子について説明する。
なお、本実施例で用いた有機化合物の分子構造を下記構造式(iv)〜(vi)に示す
。素子構造は図1(A)において、電子輸送層114と第2の電極104との間に電子注
入層を設けた構造とした。
≪発光素子1、発光素子2の作製≫
まず、第1の電極102として110nmの膜厚でケイ素を含むインジウム錫酸化物(
ITSO)が成膜されたガラス基板101を用意した。ITSO表面は、2mm角の大き
さで表面が露出するよう周辺をポリイミド膜で覆い、電極面積は2mm×2mmとした。
この基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃
で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10−4Pa程度まで
内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において170
℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
次に、ITSOが形成された面が下方となるように、基板101を真空蒸着装置内に設
けられたホルダーに固定した。
真空装置内を10−4Paに減圧した後、上記構造式(v)で表される9−[4−(9
−フェニルカルバゾール−3−イル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:
PCzPA)と酸化モリブデン(VI)とを、PCzPA:酸化モリブデン(VI)=2
:1(質量比)となるように共蒸着することにより、正孔注入層111を形成した。膜厚
は50nmとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源から同
時に蒸発させる蒸着法である。
続いて、PCzPAを10nm蒸着することにより正孔輸送層112を形成した。
さらに、正孔輸送層112上に、発光素子1では、上記構造式で表される実施形態1で
説明したカルバゾール誘導体であるDBTCzPA−IIと上記構造式(vi)で表され
るN,N’−ビス〔4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−N
,N’−ジフェニル−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)をDB
TCzPA−II:1,6FLPAPrn=1:0.05(質量比)となるように30n
m蒸着することによって発光層113を形成した。
発光素子2では、正孔輸送層112上に上記構造式で表される実施形態1で説明したカ
ルバゾール誘導体であるDBFCzPA−IIと1,6FLPAPrnをDBFCzPA
−II:1,6FLPAPrn=1:0.05(質量比)となるように30nm蒸着する
ことによって発光層113を形成した。
次に、発光層113上に、上記構造式(vii)で表されるトリス(8−キノリノラト
)アルミニウム(III)を10nm、さらに上記構造式(iv)で表されるバソフェナ
ントロリン(略称:BPhen)を15nm蒸着することにより、電子輸送層114を形
成した。さらに電子輸送層114上にフッ化リチウムを1nmとなるように蒸着すること
によって電子注入層を形成した。最後に、陰極として機能する第2の電極104としてア
ルミニウムを200nm成膜し、発光素子1及び発光素子2を完成させた。上述した蒸着
過程においては、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
≪発光素子1及び発光素子2の動作特性≫
以上により得られた発光素子1及び発光素子2を、窒素雰囲気のグローブボックス内にお
いて、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、これらの発光素子の
動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った
各発光素子の輝度−電流密度特性を図23、輝度−電圧特性を図24、電流効率−輝度
特性を図25に示す。図23では縦軸が輝度(cd/m)、横軸が電流密度(mA/c
)を示す。図24では縦軸が輝度(cd/m)、横軸が電圧(V)を示す。図25
では縦軸が電流効率(cd/A)、横軸が輝度(cd/m)を示す。
図25から、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体を青色の蛍光を発する発光素子
の発光層におけるホスト材料に用いた発光素子は、良好な輝度−発光効率特性を示し、発
光効率が良好な発光素子であることがわかった。これは、実施の形態1に記載のカルバゾ
ール誘導体が広いエネルギーギャップを有することから、青色の蛍光を発するエネルギー
ギャップの大きい発光物質であっても、有効に励起することができるためである。また、
図23から、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体を青色の蛍光を発する発光素子の
発光層におけるホスト材料に用いた発光素子は、良好な輝度−電圧特性を示し、駆動電圧
の小さな発光素子であることがわかった。これは、実施の形態1に記載のカルバゾール誘
導体が、優れたキャリア輸送性を有していることを示している。
また、作製した発光素子に1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図26に示す
。図26では縦軸が発光波長(nm)、横軸が発光強度を示す。発光強度は最大発光強度
を1とした相対的な値として示す。図26より発光素子1、発光素子2のいずれも、発光
中心物質である1,6FLPAPrn起因の青色の発光を呈することがわかった。
次に、初期輝度を1000cd/mに設定し、電流密度一定の条件でこれらの素子を
駆動し、輝度の駆動時間に対する変化を調べた。図27に各発光素子の規格化輝度−時間
特性を示す。図27から、発光素子1及び発光素子2共に、良好な特性を示し、信頼性の
高い素子であることがわかった。
本実施例ではカルバゾール誘導体である、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9
−(トリフェニレン−2−イル)−9H−カルバゾール(略称:DBTCzTp−II)
)及び3−(ジベンゾフラン−4−イル)−9−(トリフェニレン−2−イル)カルバゾ
ール(略称:DBFCzTp−II))を、緑色のりん光を発する発光中心物質を用いた
発光層におけるホスト材料として用いた実施の形態1に記載の発光素子について説明する
なお、本実施例で用いた有機化合物の分子構造を下記構造式(i)、(iii)、(i
v)に示す。素子構造は図1(A)において、電子輸送層114と第2の電極104との
間に電子注入層を設けた構造とした。
≪発光素子3、発光素子4の作製≫
まず、第1の電極102として110nmの膜厚でケイ素を含むインジウム錫酸化物(
ITSO)が成膜されたガラス基板101を用意した。ITSO表面は、2mm角の大き
さで表面が露出するよう周辺をポリイミド膜で覆い、電極面積は2mm×2mmとした。
この基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃
で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10−4Pa程度まで
内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において170
℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
次に、ITSOが形成された面が下方となるように、基板101を真空蒸着装置内に設
けられたホルダーに固定した。
真空装置内を10−4Paに減圧した後、上記構造式(i)で表される4−フェニル−
4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP
)と酸化モリブデン(VI)とを、BPAFLP:酸化モリブデン(VI)=2:1(質
量比)となるように共蒸着することにより、正孔注入層111を形成した。膜厚は50n
mとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源から同時に蒸発
させる蒸着法である。
続いて、BPAFLPを10nm蒸着することにより正孔輸送層112を形成した。
さらに、正孔輸送層112上に、発光素子3では、上記構造式で表される実施形態1で
説明したカルバゾール誘導体であるDBTCzTp−IIと上記構造式(iii)で表さ
れるトリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir
(ppy))をDBTCzTp−II:Ir(ppy)=1:0.06(質量比)と
なるように40nm、続いてDBTCzTp−IIを15nm蒸着することによって発光
層113を形成した。
発光素子4では、正孔輸送層112上に上記構造式で表される実施形態1で説明したカ
ルバゾール誘導体であるDBFCzTp−IIとIr(ppy)をDBFCzTp−I
I:Ir(ppy)=1:0.06(質量比)となるように40nm、続いてDBFC
zTp−IIを15nm蒸着することによって発光層113を形成した。
次に、発光層113上に、上記構造式(iv)で表されるバソフェナントロリン(略称
:BPhen)を15nm蒸着することにより、電子輸送層114を形成した。さらに電
子輸送層114上にフッ化リチウムを1nmとなるように蒸着することによって電子注入
層を形成した。最後に、陰極として機能する第2の電極104としてアルミニウムを20
0nm成膜し、発光素子3及び発光素子4を完成させた。上述した蒸着過程においては、
蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
≪発光素子3及び発光素子4の動作特性≫
以上により得られた発光素子3及び発光素子4を、窒素雰囲気のグローブボックス内にお
いて、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、これらの発光素子の
動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った
各発光素子の輝度−電流密度特性を図28、輝度−電圧特性を図29、電流効率−輝度
特性を図30に示す。図28では縦軸が輝度(cd/m)、横軸が電流密度(mA/c
)を示す。図29では縦軸が輝度(cd/m)、横軸が電圧(V)を示す。図30
では縦軸が電流効率(cd/A)、横軸が輝度(cd/m)を示す。
図30から、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体を、緑色のりん光を発する発光
素子の発光層におけるホスト材料に用いた発光素子は、良好な輝度−発光効率特性を示し
、発光効率が良好な発光素子であることがわかった。これは、実施の形態1に記載のカル
バゾール誘導体が広いエネルギーギャップを有し、結果、広い三重項励起エネルギーを有
することから、緑色のりん光を発する発光物質であっても、有効に励起することができる
ためである。また、図28から、実施の形態1に記載のカルバゾール誘導体を緑色のりん
光を発する発光素子の発光層におけるホスト材料に用いた発光素子は、良好な輝度−電圧
特性を示し、駆動電圧の小さな発光素子であることがわかった。これは、実施の形態1に
記載のカルバゾール誘導体が、優れたキャリア輸送性を有していることを示している。
また、作製した発光素子3及び発光素子4に1mAの電流を流したときの発光スペクト
ルを図31に示す。図31では縦軸が発光波長(nm)、横軸が発光強度を示す。発光強
度は最大発光強度を1とした相対的な値として示す。図31より発光素子3、発光素子4
のいずれも、発光中心物質であるIr(ppy)起因の緑色の発光を呈することがわか
った。
次に、初期輝度を1000cd/mに設定し、電流密度一定の条件でこれらの素子を
駆動し、輝度の駆動時間に対する変化を調べた。図32に規格化輝度−時間特性を示す。
図32から、発光素子3及び発光素子4共に、良好な特性を示し、信頼性の高い素子であ
ることがわかった。
≪合成例8≫
本合成例では実施の形態1に構造式(328)として示したカルバゾール誘導体である
、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9−(9,10−ジフェニル−2−アントリ
ル)−9H−カルバゾール(略称:2DBTCzPA−II)の合成方法について説明す
る。2DBTCzPA−IIの構造を下記構造式に示す。
<ステップ1:3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9H−カルバゾール(略称:D
BTCz−II)の合成>
実施例1におけるステップ1と同様に合成した。
<ステップ2:3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9−(9,10−ジフェニル−
2−アントリル)−9H−カルバゾール(略称:2DBTCzPA−II)の合成>
100mL三口フラスコに、1.4g(3.0mmol)の2−ヨード−9,10−ジ
フェニルアントラセンと、1.1g(3.0mmol)の3−(ジベンゾチオフェン−4
−イル)−9H−カルバゾールと、0.86g(9.0mmol)のナトリウム ter
t−ブトキシドを入れた。フラスコ内を窒素置換してから、この混合物へ20mLのトル
エンと、0.2mLのトリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)
を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気をした。脱気後、この混合物へ
86mg(0.15mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を加
えた。この混合物を窒素気流下、110℃で4時間攪拌した。攪拌後、得られた混合物を
セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナ、フ
ロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)を通して吸引
ろ過した。濾液を濃縮して黄色固体を得た。得られた固体を、シリカゲルカラムクロマト
グラフィー(展開溶媒ヘキサン:トルエン=5:1)で精製した。得られたフラクション
を濃縮して黄色固体を得た。得られた黄色固体をトルエン/ヘキサンを用いて再結晶し、
黄色固体を1.5g、収率76%で得た。ステップ2の合成スキームを(b−7)に示す
得られた黄色固体をトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は圧力
2.2Pa、アルゴン流量5mL/minの条件で、黄色固体1.5gを300℃で加熱
して行った。昇華精製後、黄色固体を1.3g、回収率87%で得た。
上記昇華精製後の黄色固体を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定デー
タを示す。
H NMR(CDCl, 300MHz):δ=7.29−7.51(m,8H),
7.54−7.69(m,13H),7.74−7.79(m,3H),7.81−7.
86(m,1H),7.94(s,1H),7.96(d,J=5.7Hz,1H),
8.13−8.22(m,3H),8.49(d,J=1.5Hz,1H)
また、H NMRチャートを図33に示す。測定結果から、上述の構造式で表される
カルバゾール誘導体である2DBTCzPA−IIが得られたことがわかった。
次に、2DBTCzPA−IIのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを
図34(A)、薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図34(B)に示す。吸収ス
ペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。
トルエン溶液のスペクトルは、2DBTCzPA−IIのトルエン溶液を石英セルに入れ
て測定しこの吸収スペクトルから、石英セルを用いて測定したトルエンの吸収スペクトル
を差し引いた吸収スペクトルを図示した。また、薄膜の吸収スペクトルは、2DBTCz
PA−IIを石英基板に蒸着してサンプルを作製し、このサンプルの吸収スペクトルから
石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。発光スペクトルの測定に
は吸収スペクトルの測定と同様に紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型
)を用いた。トルエンの発光スペクトルは、2DBTCzPA−IIのトルエン溶液を石
英セルに入れて測定し、薄膜の発光スペクトルは、2DBTCzPA−IIを石英基板に
蒸着してサンプルを作製して測定した。これにより、2DBTCzPA−IIのトルエン
溶液における吸収ピーク波長は376nm付近、341nm付近及び288nm付近に存
在し、発光ピーク発光波長は438nm付近及び460nm付近(励起波長377nm)
、薄膜における吸収ピーク波長は423nm付近、381nm付近、346nm付近及び
263nm付近にあり、最大発光波長は460nm付近(励起波長420nm)にあるこ
とがわかった。
また、薄膜状態の2DBTCzPA−IIのイオン化ポテンシャルの値を大気中にて光
電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した。得られたイオン化ポテンシャルの値
を、負の値に換算した結果、2DBTCzPA−IIのHOMO準位は−5.59eVで
あった。図34(B)の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したTau
cプロットから求めた2DBTCzPA−IIの吸収端は2.75eVであった。従って
、2DBTCzPA−IIの固体状態の光学的エネルギーギャップは2.75eVと見積
もられ、先に得たHOMO準位とこのエネルギーギャップの値から、2DBTCzPA−
IIのLUMO準位が−2.84eVと見積もることができる。このように、2DBTC
zPA−IIは固体状態において2.75eVの広いエネルギーギャップを有している事
がわかった。
また、2DBTCzPA−IIの酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイクリ
ックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー
(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A又は600C)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(
Sigma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い
、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO
((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるよ
うに溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した
。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、
補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極
(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE
5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20〜25℃)で行った
。また、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに統一した。
測定は、参照電極に対する作用電極の電位を0.37Vから0.90Vまで変化させた
後、0.90Vから0.36Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測
定した。
測定の結果、100サイクル測定後でも、酸化ピークに大きな変化は無く2DBTCz
PA−IIは酸化状態と中性状態との間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すことが
わかった。
また、CV測定の結果からも、2DBTCzPA−IIのHOMO準位を算出した。
まず、実施例1で算出したように、使用する参照電極の真空準位に対するポテンシャル
エネルギーは、−4.94eVである。2DBTCzPA−IIの酸化ピーク電位Epa
は0.87Vであった。また、還元ピーク電位Epcは0.74Vであった。したがって
、半波電位(EpaとEpcの中間の電位)は0.81Vと算出できる。このことは、2
DBTCzPA−IIは0.81[V vs.Ag/Ag]の電気エネルギーにより酸
化されることを示しており、このエネルギーはHOMO準位に相当する。ここで、上述し
た通り、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4
.94[eV]であるため、2DBTCzPA−IIのHOMO準位は、−4.94−0
.81=−5.75[eV]であることがわかった。
≪合成例9≫
本合成例では、実施の形態1に構造式(601)として示したカルバゾール誘導体であ
る、3.6−ビス(ジベンゾフラン−4−イル)−9−[4−(10−フェニル−9−ア
ントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DBF2CzPA−II)の合成方
法について説明する。DBF2CzPA−IIの構造を下記構造式に示す。
<ステップ1:3,6−ジ(ベンゾフラン−4−イル)−9H−カルバゾール(略称:D
BF2Cz−II)の合成>
実施例7と同様に合成した。
<ステップ2:3,6−ビス(ジベンゾフラン−4−イル)−9−[4−(10−フェニ
ル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DBF2CzPA−II
)の合成>
100mL三口フラスコに、0.99g(2.4mmol)の9−(4−ブロモフェニ
ル)−10−フェニルアントラセンと、1.2g(2.4mmol)の3,6−ビス(ジ
ベンゾフラン−4−イル)−9H−カルバゾールと、0.62g(6.4mmol)のナ
トリウム tert−ブトキシドを入れた。フラスコ内を窒素置換してから、この混合物
へ20mLのトルエンと、0.2mLのトリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt
%ヘキサン溶液)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気をした。脱気
後、この混合物へ62mg(0.11mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラ
ジウム(0)を加えた。この混合物を窒素気流下、110℃で20時間攪拌した。攪拌後
、得られた混合物にトルエン100mLを加え、セライト(和光純薬工業株式会社、カタ
ログ番号:531−16855)、アルミナ、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カ
タログ番号:540−00135)を通して吸引ろ過した。濾液を濃縮して得られた油状
物をトルエン/ヘキサンで再結晶し、黄色固体を1.2g、収率59%で得た。ステップ
2の合成スキームを(bー8)に示す。
得られた黄色固体をトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は圧力
2.6Pa、アルゴン流量5mL/minの条件で黄色固体1.2gを385℃で加熱し
て行った。昇華精製後、黄色固体を0.73g、回収率61%で得た。
上記昇華精製後の黄色固体を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定デー
タを示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.36−7.55(m,12H),
7.58−7.67(m,5H),7.76−7.82(m,6H),7.89(d,J
=8.4Hz,4H),7.95−8.00(m,4H),8.02−8.05(m,
2H),8.28(dd,J=1.5Hz,J=8.7Hz,2H),8.81(d
,J=1.5Hz,2H)
また、H NMRチャートを図35に示す。図35(B)は図35(A)の7ppm
から9ppmの範囲を拡大して示したチャートである。測定結果から、上述の構造式で表
されるカルバゾール誘導体であるDBF2CzPA−IIが得られたことがわかった。
次に、DBF2CzPA−IIのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを
図36(A)、薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図36(B)に示す。吸収ス
ペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。
トルエン溶液のスペクトルは、DBF2CzPA−IIのトルエン溶液を石英セルに入れ
て測定しこの吸収スペクトルから、石英セルを用いて測定したトルエンの吸収スペクトル
を差し引いた吸収スペクトルを図示した。また、薄膜の吸収スペクトルは、DBF2Cz
PA−IIを石英基板に蒸着してサンプルを作製し、このサンプルの吸収スペクトルから
石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。発光スペクトルの測定に
は吸収スペクトルの測定と同様に紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型
)を用いた。トルエンの発光スペクトルは、DBF2CzPA−IIのトルエン溶液を石
英セルに入れて測定し、薄膜の発光スペクトルは、DBF2CzPA−IIを石英基板に
蒸着してサンプルを作製して測定した。これにより、DBF2CzPA−IIのトルエン
溶液における吸収ピーク波長は396nm付近、376nm付近、357nm付近、32
6nm付近及び291nm付近に存在し、発光ピーク発光波長は424nm付近(励起波
長376nm)、薄膜における吸収ピーク波長は402nm付近、381nm付近、35
7nm付近、325nm付近、293nm付近及び260nm付近にあり、発光ピーク波
長は542nm付近及び447nm付近(励起波長403nm)にあることがわかった。
また、薄膜状態のDBF2CzPA−IIのイオン化ポテンシャルの値を大気中にて光
電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した。得られたイオン化ポテンシャルの値
を、負の値に換算した結果、DBF2CzPA−IIのHOMO準位は−5.74eVで
あった。図36(B)の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したTau
cプロットから求めたDBF2CzPA−IIの吸収端は2.91eVであった。従って
、DBF2CzPA−IIの固体状態の光学的エネルギーギャップは2.91eVと見積
もられ、先に得たHOMO準位とこのエネルギーギャップの値から、DBF2CzPA−
IIのLUMO準位が−2.83eVと見積もることができる。このように、DBF2C
zPA−IIは固体状態において2.91eVの広いエネルギーギャップを有している事
がわかった。
また、DBF2CzPA−IIの酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイクリ
ックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー
(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A又は600C)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(
Sigma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い
、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO
((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるよ
うに溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した
。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、
補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極
(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE
5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20〜25℃)で行った
。また、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに統一した。
測定は、参照電極に対する作用電極の電位を0.08Vから0.90Vまで変化させた
後、0.90Vから0.08Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測
定した。
測定の結果、100サイクル測定後でも、酸化ピークに大きな変化は無くDBF2Cz
PA−IIは酸化状態と中性状態との間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すことが
わかった。
また、CV測定の結果からも、DBF2CzPA−IIのHOMO準位を算出した。
まず、実施例1で算出したように、使用する参照電極の真空準位に対するポテンシャル
エネルギーは、−4.94eVである。DBF2CzPA−IIの酸化ピーク電位Epa
は0.87Vであった。また、還元ピーク電位Epcは0.73Vであった。したがって
、半波電位(EpaとEpcの中間の電位)は0.80Vと算出できる。このことは、D
BF2CzPA−IIは0.80[V vs.Ag/Ag]の電気エネルギーにより酸
化されることを示しており、このエネルギーはHOMO準位に相当する。ここで、上述し
た通り、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4
.94[eV]であるため、DBF2CzPA−IIのHOMO準位は、−4.94−0
.80=−5.74[eV]であることがわかった。
≪合成例10≫
本合成例では、実施の形態1に構造式(335)として示したカルバゾール誘導体であ
る、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9−[3−(10−フェニル−9−アント
リル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:mDBTCzPA−II)の合成方法に
ついて説明する。mDBTCzPA−IIの構造を下記構造式に示す。
<ステップ1:3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9H−カルバゾール(略称:D
BTCz−II)の合成>
実施例1におけるステップ1と同様に合成した。
<ステップ2:3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9−[3−(10−フェニル−
9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:mDBTCzPA−II)の
合成>
50mL三口フラスコに、1.2g(3.0mmol)の9−(3−ブロモフェニル)
−10−フェニルアントラセンと、1.1g(3.0mmol)の3−(ジベンゾチオフ
ェン−4−イル)−9H−カルバゾールと、0.87g(9.1mmol)のナトリウム
tert−ブトキシドを入れた。フラスコ内を窒素置換してから、この混合物へ20m
Lのトルエンと、0.2mLのトリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサ
ン溶液)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気をした。脱気後、この
混合物へ87mg(0.15mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(
0)を加えた。この混合物を窒素気流下、110℃で5時間攪拌した。攪拌後、得られた
混合物をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アル
ミナ、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)を通
して吸引ろ過した。濾液を濃縮して黄色固体を得た。得られた固体を、トルエンを用いて
再結晶した。得られた結晶を高速液体カラムクロマトグラフィー(略称:HPLC)(展
開溶媒:クロロホルム)により精製した。得られたフラクションを濃縮して淡黄色固体を
1.5g、収率72%で得た。ステップ2の合成スキームを(bー9)に示す。
得られた淡黄色固体をトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は圧
力2.6Pa、アルゴン流量5mL/minの条件で、淡黄色固体1.0gを300℃で
加熱して行った。昇華精製後、白色固体を0.79g、回収率79%で得た。
上記昇華精製後の淡黄色固体を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定デ
ータを示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.30−7.52(m,10H),
7.55−7.68(m,7H),7.71−7.77(m,3H),7.81−7.9
2(m,7H),8.14−8.23(m,3H),8.51(d,J=0.90Hz
,1H)
また、H NMRチャートを図37に示す。図37(B)は図37(A)における7
ppmから9ppmの範囲を拡大して示したチャートである。測定結果から、上述の構造
式で表されるカルバゾール誘導体であるmDBTCzPA−IIが得られたことがわかっ
た。
次に、mDBTCzPA−IIのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを
図38(A)、薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図38(B)に示す。吸収ス
ペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。
トルエン溶液のスペクトルは、mDBTCzPA−IIのトルエン溶液を石英セルに入れ
て測定しこの吸収スペクトルから、石英セルを用いて測定したトルエンの吸収スペクトル
を差し引いた吸収スペクトルを図示した。また、薄膜の吸収スペクトルは、mDBTCz
PA−IIを石英基板に蒸着してサンプルを作製し、このサンプルの吸収スペクトルから
石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。発光スペクトルの測定に
は吸収スペクトルの測定と同様に紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型
)を用いた。トルエンの発光スペクトルは、mDBTCzPA−IIのトルエン溶液を石
英セルに入れて測定し、薄膜の発光スペクトルは、mDBTCzPA−IIを石英基板に
蒸着してサンプルを作製して測定した。これにより、mDBTCzPA−IIのトルエン
溶液における吸収ピーク波長は396nm付近、375nm付近、354nm付近、33
6nm付近及び290nm付近に存在し、発光ピーク発光波長は412nm付近及び43
3nm付近(励起波長376nm)、薄膜における吸収ピーク波長は402nm付近、3
81nm付近、359nm付近、340nm付近、291nm付近、261nm付近及び
207nm付近にあり、最大発光波長は443nm付近(励起波長402nm)にあるこ
とがわかった。
また、薄膜状態のmDBTCzPA−IIのイオン化ポテンシャルの値を大気中にて光
電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した。得られたイオン化ポテンシャルの値
を、負の値に換算した結果、mDBTCzPA−IIのHOMO準位は−5.77eVで
あった。図38(B)の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したTau
cプロットから求めたmDBTCzPA−IIの吸収端は2.95eVであった。従って
、mDBTCzPA−IIの固体状態の光学的エネルギーギャップは2.95eVと見積
もられ、先に得たHOMO準位とこのエネルギーギャップの値から、mDBTCzPA−
IIのLUMO準位が−2.82eVと見積もることができる。このように、mDBTC
zPA−IIは固体状態において2.95eVの広いエネルギーギャップを有している事
がわかった。
また、mDBTCzPA−IIの酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイクリ
ックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー
(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A又は600C)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(
Sigma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い
、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO
((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるよ
うに溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した
。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、
補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極
(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE
5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20〜25℃)で行った
。また、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに統一した。
測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.04Vから1.15Vまで変化させ
た後、1.15Vから−0.04Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイク
ル測定した。
測定の結果、100サイクル測定後でも、酸化ピークに大きな変化は無くmDBTCz
PA−IIは酸化状態と中性状態との間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すことが
わかった。
また、CV測定の結果からも、mDBTCzPA−IIのHOMO準位を算出した。
まず、実施例1で算出したように、使用する参照電極の真空準位に対するポテンシャル
エネルギーは、−4.94eVである。mDBTCzPA−IIの酸化ピーク電位Epa
は0.95Vであった。また、還元ピーク電位Epcは0.83Vであった。したがって
、半波電位(EpaとEpcの中間の電位)は0.89Vと算出できる。このことは、m
DBTCzPA−IIは0.89[V vs.Ag/Ag]の電気エネルギーにより酸
化されることを示しており、このエネルギーはHOMO準位に相当する。ここで、上述し
た通り、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4
.94[eV]であるため、mDBTCzPA−IIのHOMO準位は、−4.94−0
.89=−5.83[eV]であることがわかった。
≪合成例11≫
本合成例では、実施の形態1に構造式(734)として示したカルバゾール誘導体であ
る、3−(ジベンゾフラン−4−イル)−9−[3−(10−フェニル−9−アントリル
)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:mDBFCzPA−II)の合成方法につい
て説明する。mDBFCzPA−IIの構造を下記構造式に示す。
<ステップ1:3−(ジベンゾフラン−4−イル)−9H−カルバゾール(略称:DBF
Cz−II)の合成>
実施例2におけるステップ1と同様に合成した。
<ステップ2:3−(ジベンゾフラン−4−イル)−9−[3−(10−フェニル−9−
アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:mDBFCzPA−II)の合成

100mL三口フラスコに、1.2g(3.0mmol)の9−(3−ブロモフェニル
)−10−フェニルアントラセンと、1.0g(3.0mmol)の3−(ジベンゾフラ
ン−4−イル)−9H−カルバゾールと、0.87g(9.1mmol)のナトリウム
tert−ブトキシドを入れた。フラスコ内を窒素置換してから、この混合物へ20mL
のトルエンと、0.2mLのトリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン
溶液)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気をした。脱気後、この混
合物へ87mg(0.15mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0
)を加えた。この混合物を窒素気流下、110℃で6時間攪拌した。攪拌後、得られた混
合物をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミ
ナ、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)を通し
て吸引ろ過した。濾液を濃縮して黄色固体を得た。得られた固体を、トルエンを用いて再
結晶し、目的物の白色固体を1.8g、88%の収率で得た。ステップ2の合成スキーム
を(bー10)に示す。
得られた白色固体をトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は圧力
2.6Pa、アルゴン流量5mL/minの条件で、白色固体1.2gを300℃で加熱
して行った。昇華精製後、白色固体を1.1g、回収率89%で得た。
上記昇華精製後の白色固体を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定デー
タを示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.31−7.40(m,4H),7
.42−7.67(m,13H),7.70−7.81(m,5H),7.85−7.9
2(m,4H),7.95(dd,J=1.5Hz,J=7.8Hz,1H),7.
99−8.03(m,2H),8.24(d,J=7.8Hz,1H),8.65(d
,J=1.5Hz,1H)
また、H NMRチャートを図39に示す。図39(B)は図39(A)における7
ppmから9ppmの範囲を拡大して示したチャートである。測定結果から、上述の構造
式で表されるカルバゾール誘導体であるmDBFCzPA−IIが得られたことがわかっ
た。
次に、mDBFCzPA−IIのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを
図40(A)、薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図40(B)に示す。吸収ス
ペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。
トルエン溶液のスペクトルは、mDBFCzPA−IIのトルエン溶液を石英セルに入れ
て測定しこの吸収スペクトルから、石英セルを用いて測定したトルエンの吸収スペクトル
を差し引いた吸収スペクトルを図示した。また、薄膜の吸収スペクトルは、mDBFCz
PA−IIを石英基板に蒸着してサンプルを作製し、このサンプルの吸収スペクトルから
石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。発光スペクトルの測定に
は吸収スペクトルの測定と同様に紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型
)を用いた。トルエンの発光スペクトルは、mDBFCzPA−IIのトルエン溶液を石
英セルに入れて測定し、薄膜の発光スペクトルは、mDBFCzPA−IIを石英基板に
蒸着してサンプルを作製して測定した。これにより、mDBFCzPA−IIのトルエン
溶液における吸収ピーク波長は396nm付近、375nm付近、354nm付近、33
6nm付近及び290nm付近に存在し、発光ピーク発光波長は412nm付近及び43
3nm付近(励起波長375nm)、薄膜における吸収ピーク波長は402nm付近、3
81nm付近、359nm付近、340nm付近、291nm付近、261nm付近及び
207nm付近にあり、最大発光波長は443nm付近(励起波長402nm)にあるこ
とがわかった。
また、薄膜状態のmDBFCzPA−IIのイオン化ポテンシャルの値を大気中にて光
電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した。得られたイオン化ポテンシャルの値
を、負の値に換算した結果、mDBFCzPA−IIのHOMO準位は−5.77eVで
あった。図40(B)の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したTau
cプロットから求めたmDBFCzPA−IIの吸収端は2.95eVであった。従って
、mDBFCzPA−IIの固体状態の光学的エネルギーギャップは2.95eVと見積
もられ、先に得たHOMO準位とこのエネルギーギャップの値から、mDBFCzPA−
IIのLUMO準位が−2.82eVと見積もることができる。このように、mDBFC
zPA−IIは固体状態において2.95eVの広いエネルギーギャップを有している事
がわかった。
また、mDBFCzPA−IIの酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイクリ
ックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー
(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A又は600C)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(
Sigma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い
、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO
((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるよ
うに溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した
。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、
補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極
(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE
5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20〜25℃)で行った
。また、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに統一した。
測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.04Vから1.15Vまで変化させ
た後、1.15Vから−0.04Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイク
ル測定した。
測定の結果、100サイクル測定後でも、酸化ピークに大きな変化は無くmDBFCz
PA−IIは酸化状態と中性状態との間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すことが
わかった。
また、CV測定の結果からも、mDBFCzPA−IIのHOMO準位を算出した。
まず、実施例1で算出したように、使用する参照電極の真空準位に対するポテンシャル
エネルギーは、−4.94eVである。mDBFCzPA−IIの酸化ピーク電位Epa
は0.95Vであった。また、還元ピーク電位Epcは0.83Vであった。したがって
、半波電位(EpaとEpcの中間の電位)は0.89Vと算出できる。このことは、m
DBFCzPA−IIは0.89[V vs.Ag/Ag]の電気エネルギーにより酸
化されることを示しており、このエネルギーはHOMO準位に相当する。ここで、上述し
た通り、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4
.94[eV]であるため、mDBFCzPA−IIのHOMO準位は、−4.94−0
.89=−5.83[eV]であることがわかった。
≪合成例12≫
本合成例では、実施の形態1に構造式(203)として示したカルバゾール誘導体であ
る、3−(6−フェニルジベンゾチオフェン−4−イル)−9−[4−(10−フェニル
−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DBTCzPA−IV)の
合成方法について説明する。DBTCzPA−IVの構造を下記構造式に示す。
<ステップ1:3−(6−フェニルジベンゾチオフェン−4−イル)−9H−カルバゾー
ル(略称:DBTCz−IV)の合成>
50mL三口フラスコに1.0g(4.1mmol)の3−ブロモカルバゾールと、1
.2g(4.1mmol)の6−フェニル−4−ジベンゾチエニルボロン酸と、62mg
(0.20mmol)のトリス(2−メチルフェニル)ホスフィンを入れた。この混合物
に、15mLのトルエンと、5mLのエタノールと、5mLの2.0M炭酸ナトリウム水
溶液を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気した。この混合物に9mg
(0.041mmol)の酢酸パラジウム(II)を加え、窒素気流下、80℃で3時間
攪拌した。撹拌後、この混合物の水層をトルエンで抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて
、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥した。この混合物を自然
濾過により濾別し、濾液を濃縮し固体を得た。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(展開溶媒トルエン:ヘキサン=1:2、次いでトルエン:ヘキサン=3:2)で
精製した。得られた固体に酢酸エチル/ヘキサンを加え、超音波を照射し、固体を吸引濾
過により回収して目的物の白色固体を1.0g、収率59%で得た。ステップ1の合成ス
キームを(a−11)に示す。
得られた白色固体を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定データを示す
H NMR(CDCl, 300MHz):δ=7.34−7.55(m,7H),
7.56(d,J=4.2Hz,1H),7.58−7.64(m,3H),7.68
−7.72(m,2H),7.78(dd,J=1.8Hz,J=8.4Hz,1H
),8.10(dd,J=0.90Hz,J=1.8Hz,1H),8.15(s,
1H),8.19−8.23(m,2H),8.36(d,J=1.5Hz,1H)
また、H NMRチャートを図41に示す。図41(B)は図41(A)における7
ppmから8.5ppmの範囲を拡大して示したチャートである。測定結果から、上述の
構造式で表されるカルバゾール誘導体であるDBTCz−IVが得られたことがわかった
<ステップ2:3−(6−フェニルジベンゾチオフェン−4−イル)−9−[4−(10
−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DBTCzPA
−IV)の合成>
50mL三口フラスコに、1.3g(3.3mmol)の9−(4−ブロモフェニル)
−10−フェニルアントラセンと、1.0g(2.4mmol)の3−(6−フェニルジ
ベンゾチオフェン−4−イル)−9H−カルバゾールと、0.95g(9.9mmol)
のナトリウム tert−ブトキシドを入れた。フラスコ内を窒素置換してから、この混
合物へ20mLのトルエンと、0.2mLのトリ(tert−ブチル)ホスフィン(10
wt%ヘキサン溶液)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気をした。
脱気後、この混合物へ11mg(0.18mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)
パラジウム(0)を加えた。この混合物を窒素気流下、110℃で6時間攪拌した。攪拌
後、この混合物の水層をトルエンで抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、飽和食塩水で
洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥した。この混合物を自然濾過し、濾液を
濃縮して固体を得た。
得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒トルエン:ヘキサン=1
:9、次いでトルエン:ヘキサン=3:7)で精製した。得られた固体をトルエン/ヘキ
サンで再結晶したところ、淡黄色固体を1.4g、収率80%で得た。ステップ2の合成
スキームを(bー11)に示す。
得られた淡黄色固体1.4gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精
製は圧力2.9Pa、アルゴン流量5mL/minの条件で、淡黄色固体を360℃で加
熱して行った。昇華精製後、淡黄色固体を1.2g、回収率86%で得た。
上記昇華精製後の淡黄色固体を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定デ
ータを示す。
H NMR(CDCl, 300MHz):δ=7.34−7.49(m,9H),
7.51−7.54(m,3H),7.57(t,J=1.5Hz,1H),7.59
−7.66(m,5H),7.67−7.80(m,8H),7.84−7.90(m,
5H),8.22−8.25(m,3H),8.49(d,J=1.5Hz,1H)
また、H NMRチャートを図42に示す。図42(B)は図42(A)における7
ppmから9ppmの範囲を拡大して示したチャートである。測定結果から、上述の構造
式で表されるカルバゾール誘導体であるDBTCzPA−IVが得られたことがわかった
次に、DBTCzPA−IVのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図
43(A)、薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図43(B)に示す。吸収スペ
クトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。ト
ルエン溶液のスペクトルは、DBTCzPA−IVのトルエン溶液を石英セルに入れて測
定しこの吸収スペクトルから、石英セルを用いて測定したトルエンの吸収スペクトルを差
し引いた吸収スペクトルを図示した。また、薄膜の吸収スペクトルは、DBTCzPA−
IVを石英基板に蒸着してサンプルを作製し、このサンプルの吸収スペクトルから石英の
吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。発光スペクトルの測定には吸収
スペクトルの測定と同様に紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用
いた。トルエンの発光スペクトルは、DBTCzPA−IVのトルエン溶液を石英セルに
入れて測定し、薄膜の発光スペクトルは、DBTCzPA−IVを石英基板に蒸着してサ
ンプルを作製して測定した。これにより、DBTCzPA−IVのトルエン溶液における
吸収ピーク波長は396nm付近、376付近、340付近及び281nm付近に存在し
、発光ピーク発光波長は423nm付近及び437nm付近(励起波長376nm)、薄
膜における吸収ピーク波長は403nm付近、382nm付近、356nm付近、345
nm付近、296nm付近及び264nm付近にあり、最大発光波長は443nm付近(
励起波長403nm)にあることがわかった。
また、薄膜状態のDBTCzPA−IVのイオン化ポテンシャルの値を大気中にて光電
子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した。得られたイオン化ポテンシャルの値を
、負の値に換算した結果、DBTCzPA−IVのHOMO準位は−5.80eVであっ
た。図43(B)の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したTaucプ
ロットから求めたDBTCzPA−IVの吸収端は2.93eVであった。従って、DB
TCzPA−IVの固体状態の光学的エネルギーギャップは2.93eVと見積もられ、
先に得たHOMO準位とこのエネルギーギャップの値から、DBTCzPA−IVのLU
MO準位が−2.87eVと見積もることができる。このように、DBTCzPA−IV
は固体状態において2.93eVの広いエネルギーギャップを有している事がわかった。
また、DBTCzPA−IVの酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイクリッ
クボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(
ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A又は600C)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(
Sigma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い
、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO
((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるよ
うに溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した
。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、
補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極
(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE
5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20〜25℃)で行った
。また、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに統一した。
測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.02Vから0.93Vまで変化させ
た後、0.93Vから−0.02Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイク
ル測定した。
測定の結果、100サイクル測定後でも、酸化ピークに大きな変化は無くDBTCzP
A−IVは酸化状態と中性状態との間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すことがわ
かった。
また、CV測定の結果からも、DBTCzPA−IVのHOMO準位を算出した。
まず、実施例1で算出したように、使用する参照電極の真空準位に対するポテンシャル
エネルギーは、−4.94eVである。DBTCzPA−IVの酸化ピーク電位Epa
0.89Vであった。また、還元ピーク電位Epcは0.79Vであった。したがって、
半波電位(EpaとEpcの中間の電位)は0.84Vと算出できる。このことは、DB
TCzPA−IVは0.84[V vs.Ag/Ag]の電気エネルギーにより酸化さ
れることを示しており、このエネルギーはHOMO準位に相当する。ここで、上述した通
り、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4.9
4[eV]であるため、DBTCzPA−IVのHOMO準位は、−4.94−0.84
=−5.78[eV]であることがわかった。
≪合成例13≫
本合成例では、実施の形態1に構造式(323)として示したカルバゾール誘導体であ
る、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9−[4−(9,10−ジフェニル−2−
アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:2DBTCzPPA−II)の合
成方法について説明する。2DBTCzPPA−IIの構造を下記構造式に示す。
<ステップ1:3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9H−カルバゾール(略称:D
BTCz−II)の合成>
実施例1におけるステップ1と同様に合成した。
<ステップ2:3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9−[4−(9,10−ジフェ
ニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:2DBTCzPPA−
II)の合成>
50mL三口フラスコに、1.3g(2.7mmol)の2−(4−ブロモフェニル)
−9,10−ジフェニルアントラセンと、0.93g(2.7mmol)の3−(ジベン
ゾチオフェン−4−イル)−9H−カルバゾールと、0.76g(8.0mmol)のナ
トリウム tert−ブトキシドを入れた。フラスコ内を窒素置換してから、この混合物
へ20mLのトルエンと、0.2mLのトリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt
%ヘキサン溶液)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気をした。脱気
後、この混合物へ76mg(0.13mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラ
ジウム(0)を加えた。この混合物を窒素気流下、110℃で4時間攪拌した。攪拌後、
得られた混合物をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855
)、アルミナ、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−0013
5)を通して吸引ろ過し、濾液を濃縮して固体を得た。
得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:トルエン=5
:1)で精製した。得られた固体にトルエン/ヘキサンを加え、懸濁液とし、この懸濁液
に超音波を照射してから、吸引ろ過により固体を回収したところ、目的物の黄色固体を1
.2g、収率61%で得た。ステップ2の合成スキームを(b−12)に示す。
得られた黄色固体をトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は圧力
2.6Pa、アルゴン流量5mL/minの条件で、黄色固体1.2gを335℃で加熱
して行った。昇華精製後、黄色固体を1.01g、回収率83%で得た。
上記昇華精製後の黄色固体を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定デー
タを示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.29−7.39(m,3H),7
.41−7.51(m,4H),7.52−7.75(m,18H),7.78−7.8
8(m,5H),8.03(d,J=1.5Hz,1H),8.15−8.23(m,
3H),8.51(d,J=0.90Hz,1H)
また、H NMRチャートを図44に示す。図44(B)は図44(A)における7
ppmから9ppmの範囲を拡大して示したチャートである。測定結果から、上述の構造
式で表されるカルバゾール誘導体である2DBTCzPPA−IIが得られたことがわか
った。
次に、2DBTCzPPA−IIのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトル
を図45(A)、薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図45(B)に示す。吸収
スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた
。トルエン溶液のスペクトルは、2DBTCzPPA−IIのトルエン溶液を石英セルに
入れて測定しこの吸収スペクトルから、石英セルを用いて測定したトルエンの吸収スペク
トルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。また、薄膜の吸収スペクトルは、2DBT
CzPPA−IIを石英基板に蒸着してサンプルを作製し、このサンプルの吸収スペクト
ルから石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。発光スペクトルの
測定には吸収スペクトルの測定と同様に紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V5
50型)を用いた。トルエンの発光スペクトルは、2DBTCzPPA−IIのトルエン
溶液を石英セルに入れて測定し、薄膜の発光スペクトルは、2DBTCzPPA−IIを
石英基板に蒸着してサンプルを作製して測定した。これにより、2DBTCzPPA−I
Iのトルエン溶液における吸収ピーク波長は404nm付近、382nm付近、336n
m付近及び285nm付近に存在し、発光ピーク発光波長は483nm付近、452付近
及び427nm付近(励起波長387nm)、薄膜における吸収ピーク波長は415nm
付近、393nm付近、346nm付近、291nm付近及び244nm付近にあり発光
ピーク波長は461nm付近及び442nm付近(励起波長415nm)にあることがわ
かった。
また、薄膜状態の2DBTCzPPA−IIのイオン化ポテンシャルの値を大気中にて
光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した。得られたイオン化ポテンシャルの
値を、負の値に換算した結果、2DBTCzPPA−IIのHOMO準位は−5.70e
Vであった。図45(B)の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したT
aucプロットから求めた2DBTCzPPA−IIの吸収端は2.81eVであった。
従って、2DBTCzPPA−IIの固体状態の光学的エネルギーギャップは2.81e
Vと見積もられ、先に得たHOMO準位とこのエネルギーギャップの値から、2DBTC
zPPA−IIのLUMO準位が−2.89eVと見積もることができる。このように、
2DBTCzPPA−IIは固体状態において2.81eVの広いエネルギーギャップを
有している事がわかった。
また、2DBTCzPPA−IIの酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイク
リックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザ
ー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A又は600C)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(
Sigma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い
、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO
((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるよ
うに溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した
。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、
補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極
(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE
5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20〜25℃)で行った
。また、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに統一した。
測定は、参照電極に対する作用電極の電位を0.31Vから0.92Vまで変化させた
後、0.92Vから0.31Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測
定した。
測定の結果、100サイクル測定後でも、酸化ピークに大きな変化は無く2DBTCz
PPA−IIは酸化状態と中性状態との間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すこと
がわかった。
また、CV測定の結果からも、2DBTCzPPA−IIのHOMO準位を算出した。
まず、実施例1で算出したように、使用する参照電極の真空準位に対するポテンシャル
エネルギーは、−4.94eVである。2DBTCzPPA−IIの酸化ピーク電位E
は0.88Vであった。また、還元ピーク電位Epcは0.80Vであった。したがっ
て、半波電位(EpaとEpcの中間の電位)は0.84Vと算出できる。このことは、
2DBTCzPPA−IIは0.84[V vs.Ag/Ag]の電気エネルギーによ
り酸化されることを示しており、このエネルギーはHOMO準位に相当する。ここで、上
述した通り、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、
−4.94[eV]であるため、2DBTCzPPA−IIのHOMO準位は、−4.9
4−0.84=−5.78[eV]であることがわかった。
≪合成例14≫
本合成例では、実施の形態1に構造式(719)として示したカルバゾール誘導体であ
る、3−(ジベンゾフラン−4−イル)−9−[4−(9,10−ジフェニル−2−アン
トリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:2DBFCzPPA−II)の合成方
法について説明する。2DBFCzPPA−IIの構造を下記構造式に示す。
<ステップ1:3−(ジベンゾフラン−4−イル)−9H−カルバゾール(略称:DBF
Cz−II)の合成>
実施例2におけるステップ1と同様に合成した。
<ステップ2:3−(ジベンゾフラン−4−イル)−9−[4−(9,10−ジフェニル
−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:2DBFCzPPA−II
)の合成>
50mL三口フラスコに、1.3g(2.7mmol)の2−(4−ブロモフェニル)
−9,10−ジフェニルアントラセンと、0.88g(2.7mmol)の3−(ジベン
ゾフラン−4−イル)−9H−カルバゾールと、0.76g(8.0mmol)のナトリ
ウム tert−ブトキシドを入れた。フラスコ内を窒素置換してから、この混合物へ2
0mLのトルエンと、0.2mLのトリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘ
キサン溶液)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気をした。脱気後、
この混合物へ76mg(0.13mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウ
ム(0)を加えた。この混合物を窒素気流下、110℃で4時間攪拌した。攪拌後、得ら
れた混合物をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、
アルミナ、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)
を通して吸引ろ過し、濾液を濃縮して固体を得た。
この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:トルエン=5:1
)で精製した。この固体を高速液体カラムクロマトグラフィー(略称:HPLC)(展開
溶媒:クロロホルム)により精製した。得られたフラクションを濃縮し、目的物の黄色固
体を1.4g、収率71%で得た。ステップ2の合成スキームを(b−13)に示す。
得られた黄色固体をトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は圧力2
.6Pa、アルゴン流量5mL/minの条件で、黄色固体0.90gを360℃で加熱
して行った。昇華精製後、黄色固体を0.73g、回収率81%で得た。
上記昇華精製後の黄色固体を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定デー
タを示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.30−7.42(m,4H),7
.45−7.52(m,4H),7.53−7.75(m,18H),7.78−7.8
8(m,3H),7.93−8.03(m,4H),8.24(d,J=7.5Hz,
1H)8.66(d,J=1.5Hz,1H)
また、H NMRチャートを図46に示す。図46(B)は図46(A)における7
ppmから9ppmの範囲を拡大して示したチャートである。測定結果から、上述の構造
式で表されるカルバゾール誘導体である2DBFCzPPA−IIが得られたことがわか
った。
次に、2DBFCzPPA−IIのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトル
を図47(A)、薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図47(B)に示す。吸収
スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた
。トルエン溶液のスペクトルは、2DBFCzPPA−IIのトルエン溶液を石英セルに
入れて測定しこの吸収スペクトルから、石英セルを用いて測定したトルエンの吸収スペク
トルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。また、薄膜の吸収スペクトルは、2DBF
CzPPA−IIを石英基板に蒸着してサンプルを作製し、このサンプルの吸収スペクト
ルから石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。発光スペクトルの
測定には吸収スペクトルの測定と同様に紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V5
50型)を用いた。トルエンの発光スペクトルは、2DBFCzPPA−IIのトルエン
溶液を石英セルに入れて測定し、薄膜の発光スペクトルは、2DBFCzPPA−IIを
石英基板に蒸着してサンプルを作製して測定した。これにより、2DBFCzPPA−I
Iのトルエン溶液における吸収ピーク波長は403nm付近、381nm付近、336n
m付近及び284nm付近に存在し、発光ピーク発光波長は453nm付近及び427n
m付近(励起波長387nm)、薄膜における吸収ピーク波長は415nm付近、392
nm付近、347nm付近、291nm付近及び254nm付近にあり発光ピーク波長は
461nm付近及び443nm付近(励起波長415nm)にあることがわかった。
また、薄膜状態の2DBFCzPPA−IIのイオン化ポテンシャルの値を大気中にて
光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した。得られたイオン化ポテンシャルの
値を、負の値に換算した結果、2DBFCzPPA−IIのHOMO準位は−5.68e
Vであった。図47(B)の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したT
aucプロットから求めた2DBFCzPPA−IIの吸収端は2.81eVであった。
従って、2DBFCzPPA−IIの固体状態の光学的エネルギーギャップは2.81e
Vと見積もられ、先に得たHOMO準位とこのエネルギーギャップの値から、2DBFC
zPPA−IIのLUMO準位が−2.87eVと見積もることができる。このように、
2DBFCzPPA−IIは固体状態において2.81eVの広いエネルギーギャップを
有している事がわかった。
また、2DBFCzPPA−IIの酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイク
リックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザ
ー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A又は600C)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(
Sigma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い
、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO
((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるよ
うに溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した
。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、
補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極
(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE
5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20〜25℃)で行った
。また、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに統一した。
測定は、参照電極に対する作用電極の電位を0.27Vから0.90Vまで変化させた
後、0.90Vから0.26Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測
定した。
測定の結果、100サイクル測定後でも、酸化ピークに大きな変化は無く2DBFCz
PPA−IIは酸化状態と中性状態との間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すこと
がわかった。
また、CV測定の結果からも、2DBFCzPPA−IIのHOMO準位を算出した。
まず、実施例1で算出したように、使用する参照電極の真空準位に対するポテンシャル
エネルギーは、−4.94eVである。2DBFCzPPA−IIの酸化ピーク電位E
は0.89Vであった。また、還元ピーク電位Epcは0.75Vであった。したがっ
て、半波電位(EpaとEpcの中間の電位)は0.82Vと算出できる。このことは、
2DBFCzPPA−IIは0.82[V vs.Ag/Ag]の電気エネルギーによ
り酸化されることを示しており、このエネルギーはHOMO準位に相当する。ここで、上
述した通り、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、
−4.94[eV]であるため、2DBFCzPPA−IIのHOMO準位は、−4.9
4−0.82=−5.76[eV]であることがわかった。
≪合成例15≫
本合成例では、実施の形態1に構造式(324)として示したカルバゾール誘導体であ
る、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9−[3−(9,10−ジフェニル−2−
アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:2mDBTCzPPA−II)の
合成方法について説明する。2mDBTCzPPA−IIの構造を下記構造式に示す。
<ステップ1:3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9H−カルバゾール(略称:D
BTCz−II)の合成>
実施例1におけるステップ1と同様に合成した。
<ステップ2:3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)−9−[3−(9,10−ジフェ
ニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:2mDBTCzPPA
−II)の合成>
100mL三口フラスコに、1.0g(2.1mmol)の2−(3−ブロモフェニル
)−9,10−ジフェニルアントラセンと、0.72g(2.1mmol)の3−(ジベ
ンゾチオフェン−4−イル)−9H−カルバゾールと、0.59g(6.2mmol)の
ナトリウム tert−ブトキシドを入れた。フラスコ内を窒素置換してから、この混合
物へ20mLのトルエンと、0.2mLのトリ(tert−ブチル)ホスフィン(10w
t%ヘキサン溶液)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気をした。脱
気後、この混合物へ59mg(0.10mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パ
ラジウム(0)を加えた。この混合物を窒素気流下、110℃で5時間攪拌した。攪拌後
、得られた混合物をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−1685
5)、アルミナ、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−001
35)を通して吸引ろ過した。濾液を濃縮して黄色固体を得た。この固体をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:トルエン=5:1)で精製した。得られた
固体をトルエン/ヘキサンを用いて再結晶し、黄色固体を1.1g、収率70%で得た。
ステップ2の合成スキームを(b−14)に示す。
得られた黄色固体をトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は圧力2
.9Pa、アルゴン流量5mL/minの条件で、黄色固体1.1gを330℃で加熱し
て行った。昇華精製後、黄色固体を0.89g、回収率84%で得た。
上記昇華精製後の黄色固体を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定デー
タを示す。
1H NMR(CDCl3,300MHz):δ=7.30−7.38(m,3H),7
.40−7.76(m,23H),7.77−7.87(m,4H),8.01(d,J
=0.90Hz,1H),8.16−8.24(m,3H),8.52(d,J=1
.2Hz,1H)
また、H NMRチャートを図48に示す。図48(B)は図48(A)における7
ppmから9ppmの範囲を拡大して示したチャートである。測定結果から、上述の構造
式で表されるカルバゾール誘導体である2mDBTCzPPA−IIが得られたことがわ
かった。
次に、2mDBTCzPPA−IIのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクト
ルを図49(A)、薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図49(B)に示す。吸
収スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用い
た。トルエン溶液のスペクトルは、2mDBTCzPPA−IIのトルエン溶液を石英セ
ルに入れて測定しこの吸収スペクトルから、石英セルを用いて測定したトルエンの吸収ス
ペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。また、薄膜の吸収スペクトルは、2m
DBTCzPPA−IIを石英基板に蒸着してサンプルを作製し、このサンプルの吸収ス
ペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。発光スペク
トルの測定には吸収スペクトルの測定と同様に紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製
、V550型)を用いた。トルエンの発光スペクトルは、2mDBTCzPPA−IIの
トルエン溶液を石英セルに入れて測定し、薄膜の発光スペクトルは、2mDBTCzPP
A−IIを石英基板に蒸着してサンプルを作製して測定した。これにより、2mDBTC
zPPA−IIのトルエン溶液における吸収ピーク波長は406nm付近、385nm付
近、365nm付近、335nm付近及び292nm付近に存在し、発光ピーク発光波長
は424nm付近及び437nm付近(励起波長385nm)、薄膜における吸収ピーク
波長は414nm付近、392nm付近、370nm付近、339nm付近、295nm
付近、245nm付近及び208nm付近にあり発光ピーク波長は492nm付近、45
9nm付近及び440nm付近(励起波長403nm)にあることがわかった。
また、薄膜状態の2mDBTCzPPA−IIのイオン化ポテンシャルの値を大気中に
て光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した。得られたイオン化ポテンシャル
の値を、負の値に換算した結果、2mDBTCzPPA−IIのHOMO準位は−5.7
4eVであった。図49(B)の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定し
たTaucプロットから求めた2mDBTCzPPA−IIの吸収端は2.84eVであ
った。従って、2mDBTCzPPA−IIの固体状態の光学的エネルギーギャップは2
.84eVと見積もられ、先に得たHOMO準位とこのエネルギーギャップの値から、2
mDBTCzPPA−IIのLUMO準位が−2.90eVと見積もることができる。こ
のように、2mDBTCzPPA−IIは固体状態において2.84eVの広いエネルギ
ーギャップを有している事がわかった。
また、2mDBTCzPPA−IIの酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイ
クリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライ
ザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A又は600C)を用いた
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(
Sigma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い
、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO
((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるよ
うに溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した
。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、
補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極
(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE
5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20〜25℃)で行った
。また、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに統一した。
測定は、参照電極に対する作用電極の電位を0.06Vから1.05Vまで変化させた
後、1.05Vから0.06Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測
定した。
測定の結果、100サイクル測定後でも、酸化ピークに大きな変化は無く2mDBTC
zPPA−IIは酸化状態と中性状態との間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すこ
とがわかった。
また、CV測定の結果からも、2mDBTCzPPA−IIのHOMO準位を算出した
まず、実施例1で算出したように、使用する参照電極の真空準位に対するポテンシャル
エネルギーは、−4.94eVである。2mDBTCzPPA−IIの酸化ピーク電位E
paは0.91Vであった。また、還元ピーク電位Epcは0.82Vであった。したが
って、半波電位(EpaとEpcの中間の電位)は0.87Vと算出できる。このことは
、2mDBTCzPPA−IIは0.87[V vs.Ag/Ag]の電気エネルギー
により酸化されることを示しており、このエネルギーはHOMO準位に相当する。ここで
、上述した通り、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギー
は、−4.94[eV]であるため、2mDBTCzPPA−IIのHOMO準位は、−
4.94−0.87=−5.81[eV]であることがわかった。
≪合成例16≫
本合成例では、実施の形態1に構造式(727)として示したカルバゾール誘導体であ
る、3−(ジベンゾフラン−4−イル)−9−[3−(9,10−ジフェニル−2−アン
トリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:2mDBFCzPPA−II)の合成
方法について説明する。2mDBFCzPPA−IIの構造を下記構造式に示す。
<ステップ1:3−(ジベンゾフラン−4−イル)−9H−カルバゾール(略称:DBF
Cz−II)の合成>
実施例2におけるステップ1と同様に合成した。
<ステップ2:3−(ジベンゾフラン−4−イル)−9−[3−(9,10−ジフェニル
−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:2mDBFCzPPA−I
I)の合成>
100mL三口フラスコに、1.0g(2.1mmol)の2−(3−ブロモフェニル
)−9,10−ジフェニルアントラセンと、0.69g(2.1mmol)の3−(ジベ
ンゾフラン−4−イル)−9H−カルバゾールと、0.59g(6.2mmol)のナト
リウム tert−ブトキシドを入れた。フラスコ内を窒素置換してから、この混合物へ
20mLのトルエンと、0.2mLのトリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%
ヘキサン溶液)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気をした。脱気後
、この混合物へ59mg(0.10mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジ
ウム(0)を加えた。この混合物を窒素気流下、110℃で5時間攪拌した。攪拌後、得
られた混合物をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)
、アルミナ、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135
)を通して吸引ろ過した。濾液を濃縮して黄色固体を得た。得られた固体を、トルエンを
用いて再結晶し、得られた結晶を高速液体カラムクロマトグラフィー(略称:HPLC)
(展開溶媒:クロロホルム)により精製した。得られたフラクションを濃縮して淡黄色固
体を0.91g、収率60%で得た。ステップ2の合成スキームを(b−15)に示す。
得られた淡黄色固体をトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は圧力
2.7Pa、アルゴン流量5mL/minの条件で、淡黄色固体0.90gを335℃で
加熱して行った。昇華精製後、淡黄色固体を0.78g、回収率87%で得た。
上記昇華精製後の黄色固体を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定デー
タを示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.30−7.41(m,4H),7
.44−7.76(m,23H),7.81−7.85(m,2H),7.95−8.0
5(m,4H),8.25(d,J=7.5Hz,1H),8.66(d,J=1.
5Hz,1H)
また、H NMRチャートを図50に示す。図50(B)は図50(A)における7
ppmから9ppmの範囲を拡大して示したチャートである。測定結果から、上述の構造
式で表されるカルバゾール誘導体である2mDBFCzPPA−IIが得られたことがわ
かった。
次に、2mDBFCzPPA−IIのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクト
ルを図51(A)、薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図51(B)に示す。吸
収スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用い
た。トルエン溶液のスペクトルは、2mDBFCzPPA−IIのトルエン溶液を石英セ
ルに入れて測定しこの吸収スペクトルから、石英セルを用いて測定したトルエンの吸収ス
ペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。また、薄膜の吸収スペクトルは、2m
DBFCzPPA−IIを石英基板に蒸着してサンプルを作製し、このサンプルの吸収ス
ペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。発光スペク
トルの測定には吸収スペクトルの測定と同様に紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製
、V550型)を用いた。トルエンの発光スペクトルは、2mDBFCzPPA−IIの
トルエン溶液を石英セルに入れて測定し、薄膜の発光スペクトルは、2mDBFCzPP
A−IIを石英基板に蒸着してサンプルを作製して測定した。これにより、2mDBFC
zPPA−IIのトルエン溶液における吸収ピーク波長は406nm付近、385nm付
近、365nm付近及び291nm付近に存在し、発光ピーク発光波長は436nm付近
及び424nm付近(励起波長386nm)、薄膜における吸収ピーク波長は414nm
付近、391nm付近、369nm付近、328nm付近、294nm付近及び252n
m付近にあり発光ピーク波長は488nm付近、457nm付近及び438nm付近(励
起波長413nm)にあることがわかった。
また、薄膜状態の2mDBFCzPPA−IIのイオン化ポテンシャルの値を大気中に
て光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した。得られたイオン化ポテンシャル
の値を、負の値に換算した結果、2mDBFCzPPA−IIのHOMO準位は−5.7
5eVであった。図51(B)の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定し
たTaucプロットから求めた2mDBFCzPPA−IIの吸収端は2.84eVであ
った。従って、2mDBFCzPPA−IIの固体状態の光学的エネルギーギャップは2
.84eVと見積もられ、先に得たHOMO準位とこのエネルギーギャップの値から、2
mDBFCzPPA−IIのLUMO準位が−2.91eVと見積もることができる。こ
のように、2mDBFCzPPA−IIは固体状態において2.84eVの広いエネルギ
ーギャップを有している事がわかった。
また、2mDBFCzPPA−IIの酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイ
クリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライ
ザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A又は600C)を用いた
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(
Sigma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い
、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO
((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるよ
うに溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した
。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、
補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極
(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE
5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20〜25℃)で行った
。また、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに統一した。
測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.41Vから1.05Vまで変化させ
た後、1.05Vから−1.41Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイク
ル測定した。
測定の結果、100サイクル測定後でも、酸化ピークに大きな変化は無く2mDBFC
zPPA−IIは酸化状態と中性状態との間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すこ
とがわかった。
また、CV測定の結果からも、2mDBFCzPPA−IIのHOMO準位を算出した
まず、実施例1で算出したように、使用する参照電極の真空準位に対するポテンシャル
エネルギーは、−4.94eVである。2mDBFCzPPA−IIの酸化ピーク電位E
paは0.93Vであった。また、還元ピーク電位Epcは0.82Vであった。したが
って、半波電位(EpaとEpcの中間の電位)は0.88Vと算出できる。このことは
、2mDBFCzPPA−IIは0.88[V vs.Ag/Ag]の電気エネルギー
により酸化されることを示しており、このエネルギーはHOMO準位に相当する。ここで
、上述した通り、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギー
は、−4.94[eV]であるため、2mDBFCzPPA−IIのHOMO準位は、−
4.94−0.88=−5.82[eV]であることがわかった。
(参考例1)
上記実施例で用いたN,N’−ビス〔4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イ
ル)フェニル〕−N,N’−ジフェニル−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FL
PAPrn)(構造式(vi))の合成方法について具体的に説明する。1,6FLPA
Prnの構造を以下に示す。
[ステップ1:9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニルフルオレンの合成法]
100mL三口フラスコにて、マグネシウムを1.2g(50mmol)減圧下で30分
加熱撹拌し、マグネシウムを活性化させた。これを室温に冷まして窒素雰囲気にした後、
ジブロモエタン数滴を加えて発泡、発熱するのを確認した。ここにジエチルエーテル10
mL中に溶かした2−ブロモビフェニル12g(50mmol)をゆっくり滴下した後、
2.5時間撹拌してグリニヤール試薬とした。
4−ブロモベンゾフェノンを10g(40mmol)、ジエチルエーテルを100mL、
を500mL三口フラスコに入れ、系内を窒素置換した。ここに先に合成したグリニヤー
ル試薬をゆっくり滴下した後、9時間加熱還流撹拌した。
反応後、この混合液をろ過して濾物を得た。得られた濾物を酢酸エチル150mLに溶か
し、ここに1M−塩酸を酸性になるまで加えて、酸性にした後2時間撹拌した。この混合
物の有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物をろ過し、得
られたろ液を濃縮し油状物を得た。
500mLなすフラスコに、得られた油状物と、氷酢酸50mLと、塩酸1.0mLを入
れ、窒素雰囲気下、130℃で1.5時間加熱撹拌した。
反応後、この反応混合物をろ過して濾物を得た。得られた濾物を水、水酸化ナトリウム水
溶液、水、メタノールの順で洗浄したのち乾燥したところ、目的物の白色粉末を収量11
g、収率69%で得た。上記ステップ1の合成スキームを下記(E1−1)に示す。
[ステップ2:4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ジフェニルアミン(
略称:FLPA)の合成法]
9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニルフルオレン5.8g(14.6mmol)、
アニリン1.7mL(18.6mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド4.2g
(44.0mmol)を200mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。こ
の混合物にトルエン147.0mLとトリ(tert−ブチル)ホスフィンの10%ヘキ
サン溶液0.4mLを加えた。この混合物を60℃にし、ビス(ジベンジリデンアセトン
)パラジウム(0)66.1mg(0.1mmol)を加え3.5時間攪拌した。攪拌後
、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、セライ
ト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナを通して吸
引ろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮した。得られたろ液を濃縮し得た固体を、シ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はヘキサン:トルエン=2:1)により精
製し、得られたフラクションを濃縮し、目的物の白色固体6.0gを収率99%で得た。
上記ステップ2の合成スキームを下記(E1−2)に示す。
[ステップ3:N,N’−ビス〔4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フ
ェニル〕−N,N’−ジフェニル−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAP
rn)の合成法]
1,6−ジブロモピレン0.4g(1.2mmol)、ステップ2で得た4−(9−フェ
ニル−9H−フルオレン−9−イル)ジフェニルアミン(略称:FLPA)1.0g(2
.4mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド0.3g(3.6mmol)を50
mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン11.5m
Lとトリ(tert−ブチル)ホスフィンの10%ヘキサン溶液0.20mLを加えた。
この混合物を70℃にし、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)31.1m
g(0.05mmol)を加え4.0時間攪拌した。攪拌後、フロリジール、セライト、
アルミナを通して吸引ろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮した。得られたろ液を濃
縮し得た固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はクロロホルム)によ
り精製し、得られたフラクションを濃縮し、黄色固体を得た。得られた固体を、トルエン
とヘキサンの混合溶媒により洗浄した後、吸引ろ過をおこない黄色固体を得た。得られた
黄色固体をクロロホルムとヘキサンの混合溶媒で洗浄したところ、淡黄色粉末状固体0.
8gを、収率68%で得た。
得られた淡黄色固体0.8gを、トレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華
精製条件は、圧力2.7Pa、アルゴンガスを流量5.0mL/minで流しながら、3
60℃で加熱した。昇華精製後、目的物を0.4g、収率56%で得た。上記ステップ3
の合成スキームを下記(E2−A)に示す。
核磁気共鳴法(NMR)及びMSスペクトルによって、得られた化合物がN,N’−ビ
ス〔4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−N,N’−ジフェ
ニル−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)であることを確認した
H NMRデータを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=6.88−6.91(m、6H)、7
.00−7.03(m、8H)、7.13−7.40(m、26H)、7.73−7.8
0(m、6H)、7.87(d、J=9.0Hz、2H)、8.06−8.09(m、4
H)
(参考例2)
上記実施例で用いた4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフ
ェニルアミン(略称:BPAFLP)(構造式(i)の合成方法について具体的に説明す
る。BPAFLPの構造を以下に示す。
[ステップ1:9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニルフルオレンの合成]
参考例1のステップ1と同様に合成した。
[ステップ2:4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニ
ルアミン(略称:BPAFLP)の合成]
100mL三口フラスコへ、9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニルフルオレンを3
.2g(8.0mmol)、4−フェニル−ジフェニルアミンを2.0g(8.0mmo
l)、ナトリウム tert−ブトキシドを1.0g(10mmol)、ビス(ジベンジ
リデンアセトン)パラジウム(0)を23mg(0.04mmol)加え、フラスコ内の
雰囲気を窒素置換した。この混合物へ、脱水キシレン20mLを加えた。この混合物を、
減圧下で攪拌しながら脱気した後、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘ
キサン溶液)0.2mL(0.1mmol)を加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、1
10℃で2時間加熱撹拌した。
反応後、この反応混合物にトルエン200mLを加え、この懸濁液をフロリジール(和光
純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、セライト(和光純薬工業株式
会社、カタログ番号:531−16855)を通してろ過した。得られたろ液を濃縮して
得た物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1
:4)にて精製した。得られたフラクションを濃縮して得た物質を、アセトン/メタノー
ルを用いて再結晶したところ、目的物の白色粉末を収量4.1g、収率92%で得た。ま
た、上記合成法の反応スキームを下記(J−4)に示す。
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキ
サン=1:10)は、目的物は0.41、9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニルフ
ルオレンは0.51、4−フェニル−ジフェニルアミンは0.27だった。
上記ステップ2で得られた化合物を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定
データを示す。測定結果から、フルオレン誘導体であるBPAFLPが得られたことがわ
かった。
H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=6.63−7.02(m,
3H),7.06−7.11(m,6H),7.19−7.45(m,18H),7.5
3−7.55(m,2H),7.75(d、J=6.9,2H)
101 基板
102 第1の電極
103 有機化合物を含む層
104 第2の電極
111 正孔注入層
112 正孔輸送層
113 発光層
114 電子輸送層
501 第1の電極
502 第2の電極
511 第1の発光ユニット
512 第2の発光ユニット
513 電荷発生層
601 駆動回路部(ソース側駆動回路)
602 画素部
603 駆動回路部(ゲート側駆動回路)
604 封止基板
605 シール材
607 空間
608 引き回し配線
609 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
610 素子基板
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 第1の電極
614 絶縁物
616 有機化合物を含む層
617 第2の電極
618 発光素子
623 nチャネル型TFT
624 pチャネル型TFT
901 筐体
902 液晶層
903 バックライト
904 筐体
905 ドライバIC
906 端子
951 基板
952 電極
953 絶縁層
954 隔壁層
955 有機化合物を含む層
956 電極
1201 ソース電極
1202 活性層
1203 ドレイン電極
1204 ゲート電極
2001 筐体
2002 光源
3001 照明装置
9101 筐体
9102 支持台
9103 表示部
9104 スピーカー部
9105 ビデオ入力端子
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングデバイス
9401 本体
9402 筐体
9403 表示部
9404 音声入力部
9405 音声出力部
9406 操作キー
9407 外部接続ポート
9408 アンテナ
9501 本体
9502 表示部
9503 筐体
9504 外部接続ポート
9505 リモコン受信部
9506 受像部
9507 バッテリー
9508 音声入力部
9509 操作キー
9510 接眼部

Claims (13)

  1. 下記一般式(G0)で表されるカルバゾール誘導体を有する有機半導体素子。

    (式中、Arは炭素数14乃至70の3環以上7環以下の縮合環を含むアリール基を表す。また、Rは下記一般式(g1)で表される基を表し、Rは水素、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数6乃至15のアリール基及び下記一般式(g2)で表される基のいずれか一を表す。但し、Rの置換位置はαまたはβが付された炭素のいずれかであり、Rの置換位置はγまたはδが付された炭素のいずれかである。)

    (式中、Xは酸素又は硫黄を表し、R乃至Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれか一を表す。)

    (式中、Xは酸素又は硫黄を表し、R乃至R15はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれか一を表す。)
  2. 請求項1において、
    前記Rは前記一般式(g2)で表される置換基であり、前記Rが前記αの位置に結合している場合は前記Rが前記γの位置に結合し、前記Rが前記βの位置に結合している場合は前記Rが前記δの位置に結合する有機半導体素子。
  3. 下記一般式(G1)で表されるカルバゾール誘導体を有する有機半導体素子。

    (式中、Arはフェニレン基、ナフチレン基及びビフェニレン基のいずれか一を表し、Arは炭素数14乃至30の3環以上7環以下の縮合環基を表す。また、Rは下記一般式(g1)で表される基を表し、Rは水素、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数6乃至15のアリール基及び下記一般式(g2)で表される基のいずれか一を表す。但し、Rの置換位置はαまたはβが付された炭素のいずれかであり、Rの置換位置はγまたはδが付された炭素のいずれかである。また、nは0又は1のいずれかの値をとる。なお、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数1乃至4のアルキル基である。また、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれかである。)

    (式中、Xは酸素又は硫黄を表し、R乃至Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれか一を表す。)

    (式中、Xは酸素又は硫黄を表し、R乃至R15はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれか一を表す。)
  4. 請求項3において、
    前記Rは前記一般式(g2)で表される置換基であり、前記Rが前記αの位置に結合している場合は前記Rが前記γの位置に結合し、前記Rが前記βの位置に結合している場合は前記Rが前記δの位置に結合する有機半導体素子。
  5. 下記一般式(G1)で表されるカルバゾール誘導体を有する有機半導体素子。

    (式中、Arはフェニレン基、ナフチレン基及びビフェニレン基のいずれか一を表し、Arは炭素数14乃至30の3環以上7環以下の縮合環基を表す。また、Rは下記一般式(g3)で表される基を表し、Rは水素、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数6乃至15のアリール基及び下記一般式(g4)で表される基のいずれか一を表す。但し、Rの置換位置はαまたはβが付された炭素のいずれかであり、Rの置換位置はγまたはδが付された炭素のいずれかである。また、nは0又は1のいずれかの値をとる。なお、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数1乃至4のアルキル基である。また、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれかである。)

    (式中、Xは酸素又は硫黄を表し、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれか一を表す。)

    (式中、Xは酸素又は硫黄を表し、R、R11、R14はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれか一を表す。)
  6. 下記一般式(G1)で表されるカルバゾール誘導体を有する有機半導体素子。

    (式中、Arはフェニレン基、ナフチレン基及びビフェニレン基のいずれか一を表し、Arは炭素数14乃至30の3環以上7環以下の縮合環基を表す。また、Rは下記一般式(g3)で表される基であり、Rは水素又は下記一般式(g4)で表される基である。但し、Rの置換位置はαまたはβが付された炭素のいずれかであり、Rの置換位置はγまたはδが付された炭素のいずれかである。また、nは0又は1のいずれかの値をとる。なお、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数1乃至4のアルキル基である。また、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれかである。)

    (式中、Xは酸素又は硫黄を表し、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれか一を表す。)

    (式中、Xは酸素又は硫黄を表し、R、R11、R14はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれか一を表す。)
  7. 請求項5または請求項6において、前記Rは前記一般式(g4)で表される置換基であり、前記Rが前記αの位置に結合している場合は前記Rが前記γの位置に結合し、前記Rが前記βの位置に結合している場合は前記Rが前記δの位置に結合するカルバゾール誘導体。
  8. 下記一般式(G1)で表されるカルバゾール誘導体を有する有機半導体素子。

    (式中、Arはフェニレン基、ナフチレン基及びビフェニレン基のいずれか一を表し、Arは炭素数14乃至30の3環以上7環以下の縮合環基を表す。また、Rは下記一般式(g5)で表される基を表し、Rは水素又は下記一般式(g6)で表される基を表す。但し、Rの置換位置はαまたはβが付された炭素のいずれかであり、Rの置換位置はγまたはδが付された炭素のいずれかである。また、nは0又は1のいずれかの値をとる。なお、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数1乃至4のアルキル基である。また、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれかである。)

    (式中、Xは酸素又は硫黄を表す。)

    (式中、Xは酸素又は硫黄を表す。)
  9. 請求項8において、前記Rは前記一般式(g6)で表される置換基であり、前記Rが前記αの位置に結合している場合は前記Rが前記γの位置に結合し、前記Rが前記βの位置に結合している場合は前記Rが前記δの位置に結合するカルバゾール誘導体。
  10. 下記一般式(G2)で表されるカルバゾール誘導体を有する有機半導体素子。

    (式中、Xは酸素又は硫黄を表し、Arはフェニレン基、ナフチレン基及びビフェニレン基のいずれか一を表し、Arは炭素数14乃至30の3環以上7環以下の縮合環基を表す。また、nは0又は1のいずれかの値をとる。なお、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数1乃至4のアルキル基である。また、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれかである。)
  11. 下記一般式(G3)で表されるカルバゾール誘導体を有する有機半導体素子。

    (式中、X及びXはそれぞれ独立に酸素又は硫黄を表し、Arはフェニレン基、ナフチレン基及びビフェニレン基のいずれか一を表し、Arは炭素数14乃至30の3環以上7環以下の縮合環基を表す。また、nは0又は1のいずれかの値をとる。なお、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数1乃至4のアルキル基である。また、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれかである。)
  12. 下記一般式(G4)で表されるカルバゾール誘導体を有する有機半導体素子。

    (式中、X及びXはそれぞれ独立に酸素又は硫黄を表し、Arはフェニレン基、ナフチレン基及びビフェニレン基のいずれか一を表し、Arは炭素数14乃至30の3環以上7環以下の縮合環基を表す。また、nは0又は1のいずれかの値をとる。なお、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数1乃至4のアルキル基である。また、Arは置換基を有していてもいなくても良く、Arが置換基を有する場合、炭素数1乃至4のアルキル基及び炭素数6乃至15のアリール基のいずれかである。)
  13. 下記構造式のいずれか一で表されるカルバゾール誘導体を有する有機半導体素子。















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