JP2006176409A - 有機化合物、及び有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 塗布法によるコーティングが容易で、駆動安定性及び保存安定性に優れ高い発光効率、長寿命を実現可能な有機化合物、及び当該有機化合物を用いた高い発光効率を有し、長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【解決手段】 本発明に係る有機化合物は、B、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、及びPoよりなる群から選択される元素を環内に少なくとも1つ有するヘテロ五員環と、正孔輸送性構造とを含有する。更に、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも一対の対向電極と当該電極間に挟持される単層または多層の有機化合物層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記有機化合物層のうち少なくとも1つの層が、上記本発明に係る有機化合物を含有することを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機化合物、及び有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「エレクトロルミネッセンス」を「EL」と略すことがある)に関し、さらに詳しくは、発光効率を向上可能で湿式成膜法に適した有機化合物、及び当該有機化合物を含有する有機化合物層を備えた有機EL素子に関するものである。
有機化合物材料の電界発光を利用した有機EL素子は、蛍光有機化合物に電場を与えることにより発光する自発光型の素子であり、視野角が広いこと、低電圧で駆動できること、高輝度であること、構成層が液晶素子と比べて少なく製造が容易であること、薄形化できること等の多くの長所を有しており、次世代の表示素子として注目されている。特に有機EL素子は、無機EL素子に比べ、印加電圧を大幅に低くできるので消費電力を小さくすることができ、小型化が容易で、面発光が可能でありかつ三原色発光も可能であることから活発な研究開発がなされている。
有機EL素子の構成については、陽極/発光層/陰極の構成を基本とし、これに正孔注入・輸送層や電子注入・輸送層を適時設けたもの、例えば陽極/正孔注入・輸送層/発光層/陰極や、陽極/正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/陰極などの構成のものが知られている。
有機EL素子は、素子内に注入された電子と正孔の再結合により生じた励起状態のエネルギーを発光として取り出すものであり、生じた励起状態は、一重項状態が25%、三重項状態が75%になると考えられている。蛍光を利用した有機EL素子では一重項状態のエネルギーのみを利用しているため、内部量子収率が原理的に25%に留まるのが難点である。
現在注目されているのが燐光を利用した有機EL素子である。燐光を利用した有機EL素子(燐光有機EL素子ともいう。)では、一重項状態のエネルギーのみならず三重項状態のエネルギーも利用することが可能であり、内部量子収率を原理的には100%まで上げることが可能となる。
燐光有機EL素子は、燐光を発するドーパントとして白金やイリジウムなどの重金属を含む金属錯体系発光性材料をホスト材料にドーピングすることにより燐光発光を取り出している(例えば、非特許文献1を参照)。
燐光ドーパントの発光はホスト材料に依存するが、そのホスト材料に必要とされる基本性能としては、正孔輸送性および電子輸送性を有すること、ホスト材料の還元電位が燐光ドーパントの還元電位よりも高いこと、ホスト材料の三重項状態のエネルギーレベルがドーパントの還元電位よりも低いこと、更に、還元電位と酸化電位の差が大きいことなどが挙げられ、一般には低分子材料であるCBP(4,4’−bis(carbazol−9‐yl)−biphenyl)が好適に用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
このような低分子材料を用いた燐光素子は、層構成の最適化を容易に行うことができるため、高効率化や長寿命化が期待できるが、一方で経時的に有機層の結晶化や凝集が起こり、素子が劣化して、素子寿命に多大な影響を与えるといった問題がある。さらに、蒸着プロセスにより素子を作製しなければならず、大掛かりな蒸着装置が必要でコストが高いという問題があり、さらに、基材の大面積化が困難という問題がある。真空蒸着法に比べてコストが安価で、大面積ディスプレイの製造が可能な方法としては、溶媒を用いて基材に塗布するなどの湿式成膜法がある。しかしながら、従来の低分子材料を溶剤に溶解又は分散させて塗工液を調製しようとしても溶解性、分散性が悪いため、均一で安定な塗工液が得られず、成膜できても膜安定性が悪いため、従来の低分子材料を湿式成膜法により利用することは困難であった。
こうした問題を解決すべく、近年湿式成膜法により成膜可能な燐光素子が開発されている。例えば、(1)PVCz(ポリビニルカルバゾール)などの高分子ホストとIr(ppy)(トリス(2−フェニルピリジネート−N,C2’)イリジウム(III)錯体)などの低分子燐光ゲストとの混合溶液を塗布する方法(例えば、特許文献2を参照)、(2)ホスト分子とゲスト分子のモノマーを共重合させた高分子の溶液を塗布する方法(例えば、非特許文献2、3を参照)、(3)共役系デンドリマーの中心に低分子燐光ゲストを配し、低分子ホストとの混合溶液を塗布する方法(例えば、非特許文献4を参照)等が報告されている。
一方、ヘテロール環が一次元につながったポリヘテロールでは、用いるヘテロ原子によってLUMOの準位が変化することが報告されており、これに注目したケイ素を含んだシロール環を基本構造に用いたπ電子系分子は、有機発光ダイオードにおいて高い電子輸送性を示すことが開示されている(非特許文献5)。
また、特許文献3と特許文献4には、特定の構造を有するシロール誘導体が開示されているが、これらのシロール誘導体は、主に発光性材料として有機発光素子に用いられている。
M.A.Baldo et.al., Nature, vol.403, p.750-753(2000) J.-S.Lee et.al., Polymer Preprints 2001, 42(2), p.448-449(2001) 鈴木充典、時任静士, NHK技研 R&D, No.77, p.34-41(2003) S.-C.Lo et.al., Adv.Mater., vol.14, No.13-14, p.975-979(2002) M.Uchida et.al., Chem.Mater., vol. 13, No. 8, p. 2680-2683 (2001) 特開平10−168443号公報 特開2001−257076号公報 特開2000−186094号公報 国際公開00/02886号パンフレット
しかしながら、上述した(1)〜(3)の報告例では、溶液をスピン塗布して成膜することができるが、発光特性や素子寿命が十分ではないという課題がある。発光特性や素子寿命が不十分な理由として、(1)と(2)の報告例においては、ホスト高分子自身に電子輸送能がないためにオキサジアゾールやトリアゾールなどの電子輸送性低分子を必須とした塗布溶液を用いているが、その電子輸送性低分子材料が劣化や凝集を起こし易いためと考えられている。また、(3)の報告例においては、ゲスト分子は、その発光中心の周囲に枝(デンドロン)を持ち、ゲスト分子の均一分散に寄与しているが、反面、ホスト材料として低分子材料を用いており、膜の熱的あるいは保存安定性が不十分ではないかと考えられている。
また、上記文献に開示されているようなケイ素含有π共役系の化合物は、燐光ドーパントのホスト材料として用いることは困難であった。これは、ケイ素含有π共役系の化合物は、電子輸送性は有するが正孔輸送性を有しないこと、更に、ケイ素含有π共役系の化合物はHOMOが変わらずにLUMOが下がることでバンドギャップが狭くなるため、還元電位と酸化電位の差が小さいことによると考えられる。また従来ではケイ素含有π共役系の化合物は主に蒸着プロセスを用いることが多く、湿式成膜法に適したケイ素含有π共役系の化合物はほとんど知られていない。
更に、従来、電子輸送性及び正孔輸送性を有する層を形成する場合、上記のCBP(4,4’−bis(carbazol−9‐yl)−biphenyl)のような限られた電子輸送性及び正孔輸送性を有する材料を用いない限り、電子輸送性を有する材料と正孔輸送性を有する材料を共蒸着させるなどして層を形成していた。電子輸送性を有する材料と正孔輸送性を有する材料を共に含む層を湿式成膜法で形成しようとすると、いずれかが低分子で凝集し易いことや、互いの相溶性に問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためのなされたものであり、本発明の第一の目的は、湿式成膜法により成膜可能で、駆動安定性及び保存安定性に優れ高い発光効率、長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子を実現可能な有機化合物、すなわち、湿式成膜法により安定性の高い膜を成膜可能で、電子輸送性及び正孔輸送性を有し、還元電位と酸化電位の差が大きく、更に電子注入特性に優れた有機化合物を提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、当該有機化合物を用いた高い発光効率を有し、長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することにある。
本発明者は、湿式成膜法により成膜可能な、高い発光効率を有する有機EL素子の研究を行っている過程で、以下のことを見出した。すなわち、LUMOが低く電子輸送性構造を有するヘテロ五員環と、還元電位と酸化電位が大きな差を有し得る正孔輸送性構造を同一分子内に含有させた比較的分子量の高い有機化合物により、湿式成膜法により安定性の高い膜を成膜可能で、電子輸送性及び正孔輸送性を有し、還元電位と酸化電位の差が大きく、更に電子注入特性に優れた有機化合物を得ることが可能なことを見出した。ヘテロ五員環を用いると、LUMOが下がることで陰極とのエネルギー差が解消され、電子注入も良好となるからと考えられる。更に、当該有機化合物を燐光ドーパントのホスト材料として用いることにより、燐光ドーパントへのエネルギー移動をより効率的に行うことが可能で、且つ駆動安定性が向上し、従来の湿式成膜法による燐光発光素子に比べ、再結合時の発光効率を向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の有機化合物は、B、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、及びPoよりなる群から選択される元素を環内に少なくとも1つ有するヘテロ五員環と、正孔輸送性構造とを含有する有機化合物である。
上記本発明の有機化合物は、B、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、及びPoよりなる群から選択される元素を環内に少なくとも1つ有するヘテロ五員環を有するため、電子輸送性、並びに低いLUMOを有することによる優れた電子注入性を有し、更に正孔輸送性構造を含有するため、正孔輸送性を有し、且つ還元電位と酸化電位の差を大きくすることが可能である。その結果、本発明の有機化合物は、優れた電子注入性も兼ね備えた燐光ドーパントのホスト材料として用いることが可能である。また、上記本発明の有機化合物は、上記ヘテロ五員環と、正孔輸送性構造とを含有する構造を有することから、分子量が比較的大きくなって、熱安定性が高く且つ非晶質性になり易くなるため、湿式成膜法により成膜可能であり、また耐熱性が高く且つ凝集等を起こさない安定性に優れた膜が得られる。したがって、本発明の有機化合物を素子に用いると発光特性や素子寿命が向上する。
本発明に係る有機化合物において、前記正孔輸送性構造は、熱的安定性の点から、π共役系構造を有することが好ましい。
本発明に係る有機化合物は、三重項準位の値が前記正孔輸送性構造の理論値と比べて保持していることが好ましい。保持されている場合には、有機化合物中の正孔輸送性構造が有する正孔輸送性と、ヘテロ五員環が有する電子輸送性及び電子注入性とが分断されて機能するため、より高い発光効率を達成できるからである。
本発明に係る有機化合物において、前記ヘテロ五員環と前記正孔輸送性構造の間に、前記ヘテロ五員環と前記正孔輸送性構造を非共役系とする連結基を有することが好ましい。この場合には、有機化合物中の正孔輸送性構造が有する正孔輸送性と、ヘテロ五員環が有する電子輸送性及び電子注入性とが分断されて機能するため、より高い発光効率を達成できるからである。
また、本発明に係る有機化合物において、前記ヘテロ五員環及び/又は前記正孔輸送性構造に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、複素環化合物基、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる1種以上の置換基を有することが、溶媒溶解性が向上する点から好ましい。
本発明に係る有機化合物の好適な形態は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2006176409
(Xは、B、C、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、Poのいずれかの元素を表し、Y,Zは、B、C、N、Si、P、Ge、As、Sb、Biのいずれかの元素を表し、X,Y,Zの少なくとも1つは、B、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、Poのいずれかの元素である。
l、mは、それぞれ置換基R、Rの数を表し、各々独立に0又は1である。nは、置換基Rの数を表し、0、1又は2である。
〜Rは、各々独立に、水素原子、又は異種原子を含んでも良い炭化水素基を表し、R〜Rの少なくとも1つは、下記一般式(2)で表される置換基である。また、n=2の場合のRは、それぞれ同一でも異なっていても良い。)
Figure 2006176409
(Wは、直接結合、又は2〜5価の連結基を表す。Ar0は、直接結合、或いは、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。Araは、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。Arbは、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。また、AraとArbは、結合して縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換されていても良い。また、Ar0とArbは、結合して縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換されていても良い。pは、1又は2である。qは、1以上の整数である。)
本発明に係る有機化合物の更に好適な形態は、下記一般式(3)で表される。
Figure 2006176409
(Y,Zは、B、C、N、のいずれかの元素を表す。l、mは、それぞれ置換基R、Rの数を表し、各々独立に0又は1である。R〜R6は、各々独立に、水素原子、又は異種原子を含んでも良い炭化水素基を表し、R〜R6の少なくとも1つは、下記一般式(2)で表される置換基である。)
Figure 2006176409
(Wは、直接結合、又は2〜5価の連結基を表す。Ar0は、直接結合、或いは、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。Araは、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。Arbは、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。また、AraとArbは、結合して縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換されていても良い。また、Ar0とArbは、結合して縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換されていても良い。pは、1又は2である。qは、1以上の整数である。)
本発明に係る有機化合物において、ガラス転移温度が130℃以上であることが、耐熱性が高くなり、当該有機化合物が用いられた素子等の信頼性が向上する点から好ましい。
本発明に係る有機化合物において、分子量が500〜5000であることが、湿式成膜法により成膜可能であり且つ精製し易く、また耐熱性が高く且つ凝集等を起こさない安定性に優れた膜が得られ、有機EL素子にした場合の駆動安定性が良好な点から好ましい。
本発明に係る有機化合物は、有機溶剤及び/又は水に可溶であることが、湿式成膜法により成膜可能となる点から好ましい。
一方、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも一対の対向電極と当該電極間に挟持される単層または多層の有機化合物層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記有機化合物層のうち少なくとも1つの層が、上記本発明に係る有機化合物を含有することを特徴とする。
本発明に係る有機EL素子は、前記有機化合物層のうち少なくとも1つの層が、上記本発明に係る有機化合物を含有する。上記本発明に係る有機化合物は、湿式成膜法により安定性の高い均一な膜を成膜可能であることから、当該有機化合物が用いられた本発明に係る有機EL素子は、各部において均一な発光特性をもたらすことができる上、駆動安定性が良好である。また、上記本発明に係る有機化合物は、電子輸送性及び正孔輸送性を有し、還元電位と酸化電位の差が大きく、更に電子注入特性に優れているため、優れた電子注入性も兼ね備えた燐光ドーパントのホスト材料として用いることができ、その場合に特に、本発明に係る有機EL素子は、駆動安定性及び保存安定性に優れ高い発光効率、長寿命を実現する。
本発明に係る有機EL素子において、上記本発明に係る有機化合物は発光層に含有されることが好ましい。上記本発明に係る有機化合物は、電子輸送性及び正孔輸送性を有するため発光層に用いられることが好適であり、中でも、燐光ドーパントのホスト材料として用いることが好適だからである。
本発明の有機EL素子は、上記本発明に係る有機化合物に少なくとも燐光発光材料が混合・分散されて発光層を構成していることが好ましい。上記本発明に係る有機化合物は、燐光ドーパントのホスト材料として用いることができ、その場合に特に、本発明に係る有機EL素子が、駆動安定性及び保存安定性に優れ高い発光効率、長寿命を実現するからである。
また、本発明の有機EL素子においては、陰極と発光層の間に電子輸送層を設けることが好ましく、さらに、陽極と発光層の間に正孔輸送層を設けることが好ましい。
更に、本発明の有機EL素子において、上記本発明に係る有機化合物を含有する有機化合物層は、湿式成膜法を用いて形成されてなることが、コストが安価で、大面積ディスプレイの製造が可能な点から好ましい。
本発明に係る有機化合物は、電子輸送性と正孔輸送性の両方を有する上、優れた電子注入性を有することから、電子輸送性材料と正孔輸送性材料を混合することなく、電子輸送性と正孔輸送性の両方が必要とされる有機発光素子の発光層等に好適に用いることができる。更に、電子輸送性構造と正孔輸送性構造の分子内割合により電子輸送性と正孔輸送性の程度を最適化することが可能であり、且つ還元電位と酸化電位の差を大きくすることが可能であるため、特に、優れた電子注入特性も兼ね備えた燐光ドーパントのホスト材料として好適に用いることができる。
本発明に係る有機化合物は、上記ヘテロ五員環と、正孔輸送性構造とを含有する構造を有することから、分子量が比較的大きく、剛直な骨格を分子内に有する。これにより、本発明に係る有機化合物は、従来の低分子化合物に比べて熱安定性が高くなり、凝集し難くなるため、均一分散性が向上する。従って、本発明に係る有機化合物は、湿式成膜法により成膜可能でありながら、耐熱性が高く且つ凝集等を起こさない安定性に優れた膜が得られ、有機発光素子の寿命向上に有利である。一方、従来の高分子化合物に比べて分子量分布がないことから純度を上げることが可能なため、発光・燐光スペクトルがシャープとなり、高い色純度を有すると共に不純物に起因する劣化を抑制することができる。
従って、本発明の有機化合物は、これまでの発光素子、特に燐光発光素子が抱える問題を解決し、高効率的発光により長寿命な有機EL素子の実現を可能にする。
本発明に係る有機EL素子は、上記効果を有する本発明に係る有機化合物を含有する層が設けられていることにより、湿式成膜法により、電子輸送性及び正孔輸送性を有し、還元電位と酸化電位の差が大きく、更に電子注入特性に優れた有機層が得られるため、高い発光効率を得ることができ、長寿命素子の実現が可能である。
<有機化合物>
以下、本発明に係る有機化合物について詳しく説明する。
本発明の有機化合物は、B、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、及びPoよりなる群から選択される元素を環内に少なくとも1つ有するヘテロ五員環と、正孔輸送性構造とを含有する有機化合物である。
上記本発明の有機化合物は、B、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、及びPoよりなる群から選択される元素を環内に少なくとも1つ有するヘテロ五員環を有するため、電子輸送性、並びに低いLUMOを有することによる優れた電子注入性を有し、更に正孔輸送性構造を含有するため、正孔輸送性を有し、且つ還元電位と酸化電位の差を大きくすることが可能である。その結果、本発明の有機化合物は、優れた電子注入性も兼ね備えた燐光ドーパントのホスト材料として用いることが可能である。また、上記本発明の有機化合物は、上記ヘテロ五員環と、正孔輸送性構造とを含有する構造を有することから、分子量が比較的大きくなって、熱安定性が高く且つ非晶質性になり易くなるため、湿式成膜法により成膜可能でありながら、耐熱性が高く且つ凝集等を起こさない安定性に優れた膜が得られる。したがって、本発明の有機化合物を素子に用いると発光特性や素子寿命が向上する。
[ヘテロ五員環]
本発明において用いられる、B、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、及びPoよりなる群から選択される元素を環内に少なくとも1つ有するヘテロ五員環は、いずれも低いLUMO(最低空軌道)を有し、且つ電子輸送性を有するものである。低いLUMOを有することから、優れた電子注入特性を期待できる。
本発明において用いられる上記ヘテロ五員環は、低いLUMO(最低空軌道)を有し、且つ電子輸送性を有するものであれば、特に構造は限定されないが、ヘテロ五員環がπ共役系となっているものであることが、電子輸送特性の点から好ましい。
B、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、及びPoよりなる群から選択される元素を環内に少なくとも1つ有するヘテロ五員環は、分子内に2つ以上有していても良い。当該ヘテロ五員環を2つ以上有する場合には、当該へテロ五員環同士が2つ以上連結していても良いし、連結基を介して当該へテロ五員環が2つ以上結合されている形態であっても良い。分子内に有するヘテロ五員環は、合成的な容易さの点から、1〜8つであることが好ましく、更に1〜4つであることが好ましく、特に精製のし易さの点から1つであることが好ましい。
また、本発明において用いられるヘテロ五員環は、中でも、B、Si、P、Ge、As、Se、及びSbよりなる群から選択される元素を環内に少なくとも1つ有するヘテロ五員環であることが好ましく、更に、B、Si、及びPよりなる群から選択される元素を環内に少なくとも1つ有するヘテロ五員環であることが好ましく、更に、BまたはSiから選択される元素を環内に少なくとも1つ有するヘテロ五員環であることが好ましく、特に、Si元素を環内に少なくとも1つ有するヘテロ五員環であることが、低いLUMO準位を有し、且つ合成が容易な点から好ましい。
また、B、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、及びPoよりなる群から選択される元素を環内に少なくとも1つ有するヘテロ五員環は、下記式(4)で表される構造であることが低いLUMO準位を有し、電子輸送特性を有する点から好ましい。
Figure 2006176409
(Xは、B、C、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、Poのいずれかの元素を表し、Y,Zは、B、C、N、Si、P、Ge、As、Sb、Biのいずれかの元素を表し、X,Y,Zの少なくとも1つは、B、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、Poのいずれかの元素である。
l、mは、それぞれ置換基R、Rの数を表し、各々独立に0又は1である。nは、置換基Rの数を表し、0、1又は2である。
〜Rは、各々独立に、水素原子、又は異種原子を含んでも良い炭化水素基を表し、R〜Rの少なくとも1つは、正孔輸送性構造を含有する置換基である。また、n=2の場合のRは、それぞれ同一でも異なっていても良い。)
式(4)で表される構造の中でも、下記一般式(5)で表される構造が、作製した有機EL素子において良好な電子注入特性と電子輸送特性を得るという点から、好ましい。
Figure 2006176409
(Y,Zは、B、C、N、のいずれかの元素を表す。l、mは、それぞれ置換基R、Rの数を表し、各々独立に0又は1である。R〜R6は、各々独立に、水素原子、又は異種原子を含んでも良い炭化水素基を表し、R〜R6の少なくとも1つは、正孔輸送性構造を含有する置換基である。)
上記の中でも、合成しやすく、作製した有機EL素子の良好な電子注入特性と電子輸送特性を得るという点から、下記構造を有するシロール環であることが特に好ましい。
Figure 2006176409
上記式(4)において、R〜R5は、各々独立に、水素原子、又は異種原子を含んでも良い炭化水素基を表し、R〜R5の少なくとも1つは、正孔輸送性構造を含有する置換基である。正孔輸送性構造を含有する置換基については、後で詳述する。
正孔輸送性構造を含有する置換基以外のR〜R5としては、水素原子、置換基を有していても良い炭素数6〜60の芳香族炭化水素基、置換基を有していても良い核原子数5〜50の芳香族複素環基、置換基を有していても良い炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基が好適に用いられる。なお上記炭素数や核原子数には、置換基の原子数は含まれない。
炭素数6〜60の芳香族炭化水素基としては、更に炭素数6〜30、特に炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であることが好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、ターフェニル基、トリル基、ベンジル基、フェネチル基、トリフェニルメチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。
核原子数5〜50の芳香族複素環基としては、更に核原子数5〜10の芳香族炭化水素基であることが好ましく、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ピペリジノ基、ピペリジル基、キノリル基、シロール基などが挙げられる。
炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基としては、更に炭素数1〜12の直鎖または分岐のアルキル基であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などが挙げられる。
なお、これらに置換されていても良い置換基としては、置換基を有していても良いアルキル基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基であり、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアルケニル基(たとえば、炭素数1〜8のアルケニル基であり、たとえばビニル、アリル、1−ブテニル基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアルキニル基(たとえば、炭素数1〜8のアルキニル基であり、たとえばエチニル、プロパルギル基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアラルキル基(たとえば、炭素数1〜8のアラルキル基であり、たとえばベンジル基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアミノ基(好ましくは、置換基に炭素数1〜8のアルキル基を1つ以上有するものであり、たとえばメチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアリールアミノ基(たとえばフェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ基などが挙げられる。);置換基を有していても良いヘテロアリールアミノ基(たとえばピリジルアミノ、チエニルアミノ、ジチエニルアミノ基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアルコキシ基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルコキシ基であり、たとえばメトキシ、エトキシ、ブトキシ基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアリールオキシ基(好ましくは芳香族炭化水素基や複素環基を有するものであり、たとえばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、ピリジルオキシ、チエニルオキシ基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアラルキルオキシ基(たとえばベンジルオキシ、フェネチルオキシ基等が挙げられる。);置換基を有していても良いアシル基(好ましくは、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアシル基であり、たとえばホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアルコキシカルボニル基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数2〜13のアルコキシカルボニル基であり、たとえばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などが挙げられる。);置換基を有していても良いアリールオキシカルボニル基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数2〜13のアリールオキシカルボニル基であり、たとえばアセトキシ基などが挙げられる。);カルボキシル基;シアノ基;水酸基;メルカプト基;ハロゲン原子(たとえばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜8のアルキルチオ基であり、たとえば、メチルチオ基、エチルチオ基などが含まれる。);アリールチオ基(好ましくは炭素数1〜8のアリールチオ基であり、たとえば、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基などが挙げられる。);置換基を有していても良いスルホニル基(たとえばメシル、トシル基などが挙げられる。);置換基を有していても良いシリル基(たとえばトリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる。);置換基を有していても良いボリル基(たとえばジメシチルボリル基などが挙げられる。);置換基を有していても良いホスフィノ基(たとえばジフェニルホスフィノ基などが挙げられる。);置換基を有していても良い芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基(好ましくは、5または6員環の、単環または2縮合環である、芳香族炭化水素環または芳香族複素環であり、例えばフェニル基、ナフチル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基などが挙げられる。)
なお、上述の各置換基が「有していても良い置換基」としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基でありたとえばメチル基、エチル基、2−プロピル基などが挙げられる。);無置換あるいはアルキル基で置換された芳香族炭化水素基(たとえばフェニル基、トリル基、メシチル基などが挙げられる。)が挙げられる。
正孔輸送性構造を含有する置換基以外のR〜R5としては、中でも、水素原子、置換基を有していても良い炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していても良い炭素数1〜12の直鎖または分岐のアルキル基であることが好ましく、特に、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などであることが好ましい。
〜Rの少なくとも1つは、正孔輸送性構造を含有する置換基であるが、中でも、R1及び/又はR4が正孔輸送性構造を含有する置換基であることが好ましく、R1及びR4が正孔輸送性構造を含有する置換基であることが、作製した有機EL素子の駆動安定性の点から好ましい。
また、式(4)において、X,Y,Zの少なくとも1つは、B、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、Poのいずれかの元素であるが、これらY,Z,Xに結合するR2、R3、Rのうち、B、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、Poのいずれかの元素に結合する置換基については、電子注入効果の点から、水素原子、又は置換基を有していても良い炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、更に、水素原子、又は置換基を有していても良い炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基が好適に用いられる。中でも、水素原子、メチル基、エチル基が好適に用いられる。
一方、式(4)において、Y,Z,Xに結合するR2、R3、Rのうち、B、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、Poのいずれかの元素に結合しない置換基については、置換基を有していても良い炭素数6〜60の芳香族炭化水素基、或いは、置換基を有していても良い核原子数5〜50の芳香族複素環基であることが好ましく、中でも置換基を有していても良い炭素数6〜18の芳香族炭化水素基であることが好ましく、これらの芳香族炭化水素としては、中でもフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、トリル基、ベンジル基が好適に用いられる。
なお、上記のヘテロ五員環のうち、例えばシロール環骨格は、例えば、S, Yamaguchi et al., Chemistry A European Journal, vol. 6, No. 9, p.1683-1692に記載の方法に従って合成することができる。
[正孔輸送性構造]
本発明における正孔輸送性構造とは、正孔を輸送する機能を示す構造であれば、特に限定されない。正孔輸送性は、例えば、電荷移動度測定により、確認することが可能である。
正孔輸送性を示す構造としては、例えば従来正孔輸送層を形成する正孔輸送性材料として用いられているものを用いることができる。例えば、芳香族3級アミン誘導体、スターバーストポリアミン類、フタロシアニン金属錯体誘導体が用いられる。その一例を以下に挙げる。
Figure 2006176409
Figure 2006176409
また、正孔および電子輸送性材料であるカルバゾールビフェニル(CBP)誘導体を用いても良い。その一例を以下に挙げる。
Figure 2006176409
また、下記式(6)で表されるような窒素を含有する3級アミン構造も正孔輸送性を示す構造として好適に用いることができる。
Figure 2006176409
(Ar0は、直接結合、或いは、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、又はこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。Araは、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。Arbは、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。また、AraとArbは、結合して縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換されていても良い。また、Ar0とArbは、結合して縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換されていても良い。qは、1以上の整数である。)
式(6)において、Araは、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、Arbは、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基を表し、これらはいずれも置換基を有していても良いが、これらのアルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基は、好ましくは、炭素数6〜60の芳香族炭化水素基、核原子数5〜50の芳香族複素環基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基であり、上述のR〜R5で述べたものと同様のものを用いることができる。また、有していても良い置換基も、上述のR〜R5で述べたものと同様のものを用いることができる。
また、AraとArbは、結合して縮合環を形成していても良く、中でも、カルバゾール環を形成していることが特に好ましい。
式(6)において、Ar0は、直接結合、或いは、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、又はこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良いが、これらのアルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基は、好ましくは、炭素数6〜60の芳香族炭化水素基、置核原子数5〜50の芳香族複素環基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基である。アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、また、有していても良い置換基は、上述のR〜R6で述べたものと同様のものを用いることができる。芳香族複素環基としては、更に、カルバゾール基なども用いることができる。
また、Ar0とArbとが、結合して縮合環を形成していても良く、この場合カルバゾール環を形成していることが好ましい。
中でも、式(6)において、トリフェニルアミン構造を含有することが好ましい。ここでいうトリフェニルアミン構造には、カルバゾール環の窒素にフェニル基やビフェニル基等が結合したものも含まれる。
式(6)で表される具体的な構造としては、例えば、下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
Figure 2006176409
本発明に係る有機化合物は、上述のようなヘテロ五員環と上述のような正孔輸送性構造を含有する有機化合物であるが、中でも、上述のようなヘテロ五員環に、上述のような正孔輸送性構造が結合した構造であることが、作製した有機EL素子の駆動安定性の点から好ましい。
更に、本発明に係る有機化合物は、上述のようなヘテロ五員環と上述のような正孔輸送性構造の間に、前記ヘテロ五員環と前記正孔輸送性構造を非共役系とする連結基を有することが好ましい。この場合には、有機化合物中の正孔輸送性構造が有する正孔輸送性と、ヘテロ五員環が有する電子輸送性及び電子注入性とが分断されて機能するため、作製した有機EL素子のより高い発光効率を達成できるからである。
なおここで非共役系とは、前記ヘテロ五員環と前記正孔輸送性構造が共役系でつながれていない状態をいい、前記ヘテロ五員環と前記正孔輸送性構造の間に共役系が切断される非共役鎖や原子を有する場合や、当該非共役鎖や原子を有しなくてもねじれにより共役系が切断される場合が含まれる。
非共役系とする連結基としては、π共役系を構成しない非共役鎖を含有するものか、ねじれにより共役系が切断される構造を有していることが好ましい。連結基としては、非共役鎖かねじれにより共役系が切断される構造を含めば、他の部分は特に限定されず、共役系を構成する構造を有していても良い。
非共役鎖としては、共役系を構成しない2価以上の連結基であれば特に制限されず、不飽和結合を含まないものである。例えば、直鎖または分岐のアルキル鎖、−N<、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−NH−CO−O−、及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
また、ねじれにより共役系が切断される構造としては、共役系同士が10度以上ねじれた構造を有している場合などが挙げられる。
連結基としては、上記非共役鎖のみであってもよいし、上記非共役鎖と置換基を有していても良い炭素数6〜60の芳香族炭化水素基や、置換基を有していても良い核原子数5〜50の芳香族複素環基との組み合わせなども好適に用いられる。
なお、有機化合物中の正孔輸送性構造が有する正孔輸送性と、ヘテロ五員環が有する電子輸送性及び電子注入性とが分断されて機能しているかどうかは、有機化合物の三重項準位の値が、前記正孔輸送性構造の三重項準位の理論値と比べて保持しているかどうかにより、確認することができる。ここで保持とは、理論値と比較して三重項準位の差が±0.3eV程度の範囲をいう。
例えば、本発明に係る有機化合物について、極低温で観測される燐光スペクトルのピークトップのエネルギーからイオン化ポテンシャルの値、すなわち三重項準位を見積もり、一方で本発明に係る有機化合物中に含まれる正孔輸送性構造に対応する分子について三重項準位を同様に見積もり、両者の三重項準位を比較して、当該有機化合物の三重項準位が同様であれば、有機化合物中の正孔輸送性構造が有する正孔輸送性と、ヘテロ五員環が有する電子輸送性及び電子注入性とが分断されて機能していると判断することができる。ここで、三重項準位が同様とは、理論値と比較して三重項準位の差が±0.3eVの範囲を目安にすることができる。
また、溶媒溶解性が向上する点から、本発明に係る有機化合物は、前記ヘテロ五員環及び/又は前記正孔輸送性構造に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、複素環化合物基、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる1種以上の置換基を有することが、好ましい。
このような置換基は、化合物に立体障害を持たせるように振る舞うので、化合物が溶媒中に溶解又は分散した際の凝集等を防ぎ、有機化合物層中単独で、又は有機化合物層を構成する低分子又は高分子バインダー中に、均一に分散させることができる。化合物が膜中に均一に分散することは、注入された電荷に基づく発光が面内で均一に生じることとなるので、発光効率の向上にも寄与できる。
このような置換基は、正孔輸送性材料上に導入されることが、本有機化合物の分子構造のより外側に配置されることから、溶媒溶解性や凝集抑制により大きく寄与する点から、特に好ましい。
溶媒溶解性向上のための置換基は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜60のアルキルシリル基、炭素数1〜40のアルキルアミノ基、炭素数6〜60のアリール基、炭素数7〜60のアリールアルキル、炭素数7〜60のアリールアルコキシ基、炭素数8〜60のアリールアルキニル基、炭素数6〜60のアリールアミノ基、及び炭素数4〜60の複素環化合物基からなる群から選ばれることが好ましい。
上記のアルキル基は、直鎖状あるいは分枝状のアルキル基で、1つもしくは隣接しない2つ以上のメチレン基は−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CH=CH−、−C≡C−で置きかえられても良く、該アルキル基中の水素原子はフッ素原子に置換されていても良い。
これらの中でも、好適な置換基としては、有機溶媒への溶解性、化学的安定性の点から、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基のような直鎖又は分岐のアルキル基、トリメチルシリル基のようなアルキルシリル基などが挙げられる。
本発明に係る有機化合物の好適な形態としては、下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。
Figure 2006176409
(Xは、B、C、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、Poのいずれかの元素を表し、Y,Zは、B、C、N、Si、P、Ge、As、Sb、Biのいずれかの元素を表し、X,Y,Zの少なくとも1つは、B、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、Poのいずれかの元素である。
l、mは、それぞれ置換基R、Rの数を表し、各々独立に0又は1である。nは、置換基Rの数を表し、0、1又は2である。
〜Rは、各々独立に、水素原子、又は異種原子を含んでも良い炭化水素基を表し、R〜Rの少なくとも1つは、下記一般式(2)で表される置換基である。また、n=2の場合のRは、それぞれ同一でも異なっていても良い。)
Figure 2006176409
(Wは、直接結合、又は2〜5価の連結基を表す。Ar0は、直接結合、或いは、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。Araは、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。Arbは、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。また、AraとArbは、結合して縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換されていても良い。また、Ar0とArbは、結合して縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換されていても良い。pは、1又は2である。qは、1以上の整数である。)
式(1)において、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は異種原子を含んでも良い炭化水素基を表すが、上述の「[ヘテロ五員環]」の箇所で説明したR〜Rと同様のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。
一方、式(2)において、Wは、ヘテロ五員環と正孔輸送性構造をつなぐ連結基であり、直接結合、又は2〜5価の連結基を表す。Wとしては、例えば、直鎖または分岐のアルキル鎖、−N<(3価)、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−NH−CO−O−、及びこれら非共役鎖と置換基を有していても良い炭素数6〜60の芳香族炭化水素基や置換基を有していても良い核原子数5〜50の芳香族複素環基との組み合わせが好適に用いられる。組み合わせとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2006176409
また、式(2)において、Ar0、Ara、Arbは、上記「[正孔輸送性構造]」において説明したものと同様のものを用いることができるのでここでは説明を省略する。なお、qの結合数はAr0の構造により上限はないが、好ましくは1〜10である。
本発明に係る有機化合物は、一般式(1)の中でも、下記一般式(3)で表される構造であることが、作製した有機EL素子において良好な電子注入特性と電子輸送特性を得るという点から、好ましい。
Figure 2006176409
(Y,Zは、B、C、N、のいずれかの元素を表す。l、mは、それぞれ置換基R、Rの数を表し、各々独立に0又は1である。R〜R6は、各々独立に、水素原子、又は異種原子を含んでも良い炭化水素基を表し、R〜R6の少なくとも1つは、下記一般式(2)で表される置換基である。)
Figure 2006176409
(Wは、直接結合、又は2〜5価の連結基を表す。Ar0は、直接結合、或いは、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。Araは、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。Arbは、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。また、AraとArbは、結合して縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換されていても良い。また、Ar0とArbは、結合して縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換されていても良い。pは、1又は2である。qは、1以上の整数である。)
式(3)において、R〜R6は、各々独立に、水素原子、又は異種原子を含んでも良い炭化水素基を表すが、上述の「[ヘテロ五員環]」の箇所で説明したR〜Rと同様のものを用いることができる。
また、R〜R6の少なくとも1つは、上記一般式(2)で表される置換基であるが、中でも、R1及び/又はR4が下記一般式(2)で表される置換基であることが好ましく、R1及びR4が下記一般式(2)で表される置換基であることが、作製した有機EL素子の駆動安定性の点から好ましい。
また、R5及びR6は、電子注入効果の点から、水素原子、又は置換基を有していても良い炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、更に、水素原子、又は置換基を有していても良い炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基が好適に用いられる。中でも、水素原子、メチル基、エチル基が好適に用いられる。
一方、式(3)においてR2、R3は、置換基を有していても良い炭素数6〜60の芳香族炭化水素基、或いは、置換基を有していても良い核原子数5〜50の芳香族複素環基であることが好ましく、中でも置換基を有していても良い炭素数6〜18の芳香族炭化水素基であることが好ましく、これらの芳香族炭化水素としては、中でもフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、トリル基、ベンジル基が好適に用いられる。
一般式(3)における一般式(2)は、上述と同様のものを用いることができるので、ここでは説明を省略する。
上記一般式(3)で表される構造としては、例えば、下記構造を挙げることができるが、本発明はこれらの具体例に限定されるわけではない。
Figure 2006176409
Figure 2006176409
Figure 2006176409
Figure 2006176409
以上に説明したような本発明に係る有機化合物において、ガラス転移温度(Tg)は130℃以上であることが、耐熱性が高くなり、薄膜化した場合でも100℃以下では凝集せず、膜安定性が維持でき、当該有機化合物が用いられた素子等の信頼性が向上する点から好ましい。
また、本発明に係る有機化合物において、分子量は、500〜5000であることが、湿式成膜法により成膜可能であり且つ精製し易く、また耐熱性が高く且つ凝集等を起こさない安定性に優れた膜が得られ、有機EL素子にした場合の駆動安定性が良好な点から好ましい。分子量は、中でも600〜3000、特に700〜2000であることが好ましい。
本発明の有機化合物は、低分子でもなく、分子量分布を持つ高分子でもなく、比較的大きな分子量を有する所謂中分子であることにより、塗布適性を有しながらこれまでの塗布型発光・燐光材料に比べて純度を高くすることができ、かつ発光材料自身の凝集を抑制できるため、得られる発光・燐光スペクトルがシャープとなり、高い色純度を有する。また、本発明の有機化合物は熱的安定性が高く、寿命向上に有利である。
さらに、本発明の有機化合物において、前記ヘテロ五員環と正孔輸送性構造のモル比は、ヘテロ五員環と正孔輸送性構造が有する電子輸送性と正孔輸送性により、適宜決定される。前記ヘテロ五員環と正孔輸送性構造のモル比は、特に限定されないが、1:1〜1:10、更に1:2〜1:8であることが、素子駆動時の正孔と電子との電荷のバランスを整える点から好ましい。
また、本発明に係る有機化合物は、分子全体のかさ高さや溶剤溶解性に優れた置換基の導入により溶媒溶解性及び分散性に優れるため、有機溶剤または水に可溶であり、溶剤を用いた湿式成膜法によって成膜することが可能である。湿式成膜法としては、スピンコート法、キャストコート法、ディップコート法、ダイコート法、ビードコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などが挙げられる。
本発明に係る有機化合物は、分子内に電子輸送性と正孔輸送性の両方を有し、還元電位と酸化電位の差が大きく、更に電子注入性を兼ね備えると共に、化合物を膜中に均一に分散することができるので、有機EL素子用材料、有機EL素子用の燐光ドーパントのホスト材料として好適に用いられ、有機EL素子において効率的で安定な発光が実現でき、その結果、有機EL素子の長寿命化を実現できるという効果がある。
また、本発明に係る有機化合物は、太陽電池や有機トランジスタにおける有機薄膜のための有機電子材料としても、好適に用いることができる。
<有機EL素子>
以下、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子について詳しく説明する。
本発明の有機EL素子は、少なくとも一対の対向電極とその電極間に挟持される単層または多層の有機化合物層とを有するものであり、その特徴は、その有機化合物層のうち少なくとも1つの層が、上記本発明に係る有機化合物を含有することである。
上記本発明に係る有機化合物は、湿式成膜法により安定性の高い均一な膜を成膜可能であることから、当該有機化合物が用いられた本発明に係る有機EL素子は、各部において均一な発光特性をもたらすことができる上、駆動安定性が良好である。また、上記本発明に係る有機化合物は、電子輸送性及び正孔輸送性を有し、還元電位と酸化電位の差が大きく、更に電子注入特性に優れているため、優れた電子注入性も兼ね備えた燐光ドーパントのホスト材料として用いることができ、その場合に特に、本発明に係る有機EL素子は、駆動安定性及び保存安定性に優れ高い発光効率、長寿命を実現する。
本発明の有機EL素子の代表的な層構成および作製方法について説明する。
(基板)
基板は、観察者側の表面に通常設けられる。そのため、この基板は、発光層からの光を観察者が容易に視認することができる程度の透明性を有していることが好ましい。なお、この基板の反対が観察者側である場合には、この基板は不透明であってもよい。
基板としては、フィルム状の樹脂製基板、または、ガラス板に保護プラスチックフィルム若しくは保護プラスチック層を設けたものが用いられる。
基板を形成する樹脂材料または保護プラスチック材料としては、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオキシメチレン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、アクリロニトリル−スチレン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂、非晶質ポリオレフィン等が挙げられる。この他の樹脂材料であっても、有機EL素子用として使用できる条件を満たす高分子材料であれば使用可能である。基板の厚さは、通常50〜200μmである。
これらの基板においては、その用途にもよるが水蒸気や酸素等のガスバリアー性のよいものであればより好ましい。なお、基板上に、蒸気や酸素等のガスバリアー層を形成してもよい。バリアー層としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機酸化物をスパッタリング法や真空蒸着法等の物理蒸着法により形成したものを例示できる。
(電極)
電極は有機化合物層を挟持するようにその両側に設けられる。基板側の電極は、陽極でも陰極でもよいが、本願においては陽極として説明する。基板側の電極は、発光層に正電荷(正孔)を注入するために発光層に隣接する態様で基板上に設けられる。なお、発光層と基板との間に正孔輸送層が設けられている場合には、電極は正孔輸送層に隣接して設けられる。
陽極である電極は、通常の有機EL素子に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)などの導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケルなどの金属、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、これらの混合物または積層物などが挙げられ、中でも、正孔が注入し易いように仕事関数の大きい透明または半透明材料であるITO、酸化インジウム、金、IZOが好ましい。電極の厚さは、何れも0.005〜0.5μmであることが好ましく、通常、スパッタリング法や真空蒸着法等により全面にまたはパターン状に形成される。パターン状の電極は、全面に形成した後、感光性レジストを用いてエッチングすることにより形成される。
また、上記電極に対向して設けられる一方の電極は、上記電極とは異なる極性であればよいが、本願においては陰極として説明する。この電極(以下、陰極という)は、発光層に負電荷(電子)を注入するための電子注入層に隣接して設けられる。
陰極は、通常の有機EL素子に用いられるものであれば特に限定されず、上述した電極(陽極)と同様の酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)または金等の薄膜電極材料の他、マグネシウム合金(MgAg等)、アルミニウムまたはその合金(AlLi、AlCa、AlMg等)、銀等を挙げることができる。中でも、電子を注入しやすいように4eVより小さい仕事関数を持つものが好ましく、例えば、アルカリ金属(たとえばリチウム、ナトリウム、セシウムなど)およびそのハロゲン化物(たとえばフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化セシウムなど)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウムなど)およびそのハロゲン化物(フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなど)、アルミニウム、銀などの金属、導電性金属酸化物およびこれらの合金または混合物などが挙げられる。陰極の厚さは、何れも0.005〜0.5μmであることが好ましく、通常、真空蒸着法、スパッタング法、金属薄膜を圧着するラミネート法などが用いられる。
なお、陰極作製後においては、有機EL素子を保護する保護層を装着してもよい。この有機EL素子を長期間安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層または保護カバーを装着することが望ましい。保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物、珪素酸化物、珪素窒化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、このカバーを熱硬化樹脂や光硬化樹脂で素子基板と張り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。
(有機化合物層)
電極間に挟持される単層または多層の有機化合物層、すなわち有機EL層は、広義にはエレクトロルミネッセンスを起こす層をいい、発光層のほか、発光層に正孔を輸送する正孔輸送層、その正孔輸送層および発光層に正孔を注入する正孔注入層、発光層に電子を輸送する電子輸送層、その電子輸送層および発光層に電子を注入する電子注入層等を任意に組み合わせてなる多層構造の形態を含む。
具体的には、正孔輸送層/発光層/電子注入層の順に形成された態様、正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層の順に形成された態様、発光層/電子輸送層/電子注入層の順に形成された態様、等が含まれる。また、発光層に正孔輸送性材料や電子輸送性材料を混合することにより、正孔輸送層や電子輸送層を省略することもできる。なお、この有機EL層と上記電極との間の一部または全部に、紫外線硬化樹脂等の光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を含む材料からなる絶縁層を形成してショート等の欠陥発生を抑えてもよいし、ブラックマトリックスなどの遮光層を設けることもできる。
上記本発明に係る有機化合物を含有する有機化合物層は、上記本発明に係る有機化合物が有機溶剤又は水に可溶なため湿式成膜法を用いて形成することができる。
(発光層)
発光層は、有機EL素子における必須の層であり、上記本発明に係る有機化合物を含有する材料で形成されることが好ましい。上記本発明に係る有機化合物については既述したので、ここでは省略する。
本発明の有機EL素子の発光層の形態としては、上記本発明に係る有機化合物に、発光性材料を混合・分散して発光層を構成することが好ましく、中でも上記本発明に係る有機化合物に、少なくとも燐光発光性材料を混合・分散して発光層を構成することが好ましい。また、本発明の効果を損なわない限り、別の電荷輸送性材料を含んでいても良い。
発光性材料としては、従来用いられる蛍光発光性材料、および燐光発光性材料が挙げられる。蛍光発光性材料としては、色素系材料および金属錯体系材料が挙げられる。色素系材料としては、例えば、クマリン誘導体、DCM2(キノリジン誘導体)、キナクリドン誘導体、ペリレン、ルブレン等の多環芳香属炭化水素、ピレン誘導体、ピロロピロール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリメチン誘導体、キサンテン誘導体などが挙げられる。金属錯体系材料としては、例えば、Alq(アルミノキノリノール錯体)などのキノリノール錯体誘導体、Beq(ベリリウム−キノリン錯体)などのキノリン錯体誘導体、そのほかには、ヒドロキシフェニルオキサゾールやヒドロキシフェニルチアゾール、アゾメチン金属錯体誘導体などが挙げられる。
燐光発光性材料としては、例えば、Ir(ppy)などのイリジウム錯体誘導体、PtOEPなどの白金錯体誘導体、などの遷移金属錯体が用いられる。
燐光発光性材料としては、例えば、下記一般式(7)で表される化合物が好適に用いられる。
Figure 2006176409
一般式(7)において、Mはルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金などの遷移金属の中から選択される。sは0〜2の何れかの整数であり、rは1〜3の何れかの整数であり、sとrの和は、2または3である。A〜Dは、一般式(7)に示した各種のものを適用できる。
燐光発光性材料の一例を以下に挙げる。
Figure 2006176409
Figure 2006176409
Figure 2006176409
さらに、発光層中に発光効率向上、発光波長を変化させる等の目的でドーピングを行うことができる。このドーピング材料としては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポリフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンが挙げられる。
発光層は、上記本発明に係る有機化合物と、発光性材料、場合によりドーピング材料、更に場合により別のホスト材料である電荷輸送性材料を含む層であり、上記本発明に係る有機化合物と、発光性材料、場合によりドーピング材料、更に場合により別のホスト材料である電荷輸送性材料、その他の成分として分散剤、界面活性剤等とを含む混合溶液を塗布等することにより形成される。溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒等を挙げることができる。混合溶液は、固形分として、上記本発明に係る有機化合物を0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部と、発光性材料を0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲の割合で、場合によりドーピング材料を0.001〜10重量部;更に場合により別のホスト材料である電荷輸送性材料を0.01〜10重量部;更に場合によりその他の成分の総量を0.01〜10重量部の範囲の割合で更に混合して調製し、溶液の固形分が0.1重量%〜50重量%となるように溶媒を含有させて得ることが好ましい。
発光層は、その混合溶液をスピンコート法、キャストコート法、ディップコート法、ダイコート法、ビードコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などの塗布方法により形成することができる。発光層の膜厚としては、1nm〜1μm、好ましくは2nm〜500nm、さらに好ましくは5nm〜500nmである。なお、塗布法により成膜した場合には、溶媒を除去するために、好ましくは減圧下または不活性雰囲気下で、30〜300℃、好ましくは60〜200℃の温度で加熱乾燥することが望ましい。
また、発光層と他の電荷輸送性材料とを積層する場合には、上記の成膜方法で発光層を設ける前に、陽極上に正孔輸送層を形成する、または、発光層を設けた後に電子輸送層を形成することが望ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、陽極と発光層との間、または正孔注入層と発光層との間に設けられる。正孔輸送層を形成する正孔輸送性材料としては、例えば、トリフェニルアミン類、ビス類、ピラゾリン誘導体、ポリフィリン誘導体に代表される複素環化合物、ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネート、スチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリシランが挙げられる。正孔輸送層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法等により形成される。正孔輸送層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
(正孔注入層)
正孔注入層は、陽極と正孔輸送層との間、または陽極と発光層との間に設けることができる。正孔注入層を形成する材料としては、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
正孔注入層の形成方法としては、特に限定されないが、固体状態からの真空蒸着法、または溶融状態、溶液状態、分散液状態、混合液状態からのスピンコート法、キャストコート法、ディップコート法、ダイコート法、ビードコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法を用いることができる。正孔注入層の膜厚としては、1nm〜1μm、好ましくは2nm〜500nm、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
(電子輸送層)
電子輸送層は、発光層と陰極との間、または発光層と電子注入層との間に設けることができる。電子輸送層を形成する材料としては、例えば、オキサジアゾール類、アルミニウムキノリノール錯体など、一般的に安定なラジカルアニオンを形成し、イオン化ポテンシャルの大きい物質が挙げられる。具体的には、1,3,4−オキサジアゾール誘導体、1,2,4−トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体などが挙げられる。電子輸送層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法等により形成される。電子輸送層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
(電子注入層)
電子注入層は、電子輸送層と陰極との間、または発光層と陰極との間に設けられる。電子注入層としては、発光層の種類に応じて、Ca層の単層構造からなる電子注入層、または、Caを除いた周期律表IA族とIIA族の金属であり且つ仕事関数が1.5〜3.0eVの金属およびその金属の酸化物、ハロゲン化物および炭酸化物の何れか1種または2種以上で形成された層とCa層との積層構造からなる電子注入層を設けることができる。仕事関数が1.5〜3.0eVの、周期律表IA族の金属またはその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物の例としては、リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、酸化リチウム、炭酸リチウム等が挙げられる。また、仕事関数が1.5〜3.0eVの、Caを除いた周期律表IIA族の金属またはその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物の例としては、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法等により形成される。電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
以上、本発明の有機EL素子の構成について説明したが、本発明の目的及び効果を損なわない範囲であれば、上述した層以外の機能層が設けられていても構わない。そうした機能層としては、通常の有機EL素子又は発光表示体に用いられている低屈折率層、反射層、光吸収層、バリアー層、封止剤等が挙げられる。また、隔壁が設けられているものも含まれる。
面状の有機EL素子を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機層を極端に厚く形成して実質的に非発光とする方法、陽極または陰極のいずれか一方、または両方の電極をパターン状に形成する方法が挙げられる。さらに、ドットマトリクス素子とするためには、陽極と陰極を共にストライプ状に形成して直交するように配置する方法、片方の電極をTFTで選択駆動できるようにする方法などが挙げられる。また、同一面状に発光色の異なる有機EL素子を複数配置することにより部分カラー表示、マルチカラー表示、フルカラー表示が可能となる。
(実施例1:本発明に係る有機化合物の合成)
<1,1-ジメチル-2,5-ビス(p-ニトロフェニル)-3,4-ジフェニルシロール[1]の合成>
1,1-ジメチル-2,5-ビス(p-ニトロフェニル)-3,4-ジフェニルシロール[1]はS, Yamaguchi etal., Chemistry A European Journal, vol. 6, No. 9, p.1683-1692に記載の方法に従って合成した。
Figure 2006176409
<1,1-ジメチル-2,5-ビス(p-アミノフェニル)-3,4-ジフェニルシロール[2]の合成>
攪拌子を入れた50mLナスフラスコに亜鉛屑(6mmol)を入れ、1N塩酸(5mL)で洗浄し活性化し、上澄みの塩酸を除いた。このものにメタノール(5mL)、1,1-ジメチル-2,5-ビス(p-ニトロフェニル)-3,4-ジフェニルシロール[1](5mmol)、90%ギ酸(2.5mL)を室温で加え、1時間攪拌した。有機溶媒を減圧下留去し、残渣をクロロホルムに溶解し、飽和食塩水で洗浄した。有機溶媒を減圧下留去し目的とする1,1-ジメチル-2,5-ビス(p-アミノフェニル)-3,4-ジフェニルシロール[2]を得た。
Figure 2006176409
<9-(4'-ブロモビフェニル-4-イル)-9H-カルバゾール[3]の合成>
下記構造式で表される9-(4'-ブロモビフェニル-4-イル)-9H-カルバゾール[3]は、B. K. Koene etal., Chemistry of Materials, Vol. 10, No. 8, p.2235-2250.に記載の方法に従って合成した。
Figure 2006176409
<本発明に係る有機化合物(I)の合成>
還流管を付した200ml三ッ口フラスコに攪拌子をいれ減圧下加熱乾燥した後、アルゴン置換をし、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム (0.068mmol)、トルエン60ml、さらに、トリ-tert-ブチルホスフィン (0.26mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド (9.54mmol)を加え、5分間室温で撹拌した。このものに9-(4'-ブロモビフェニル-4-イル)-9H-カルバゾール[3] (6.8mmol)、1,1-ジメチル-2,5-ビス(p-アミノフェニル)-3,4-ジフェニルシロール[2](1.6mmol)を加え、20分間撹拌させたのち、110℃で20時間加熱還流した。反応液を室温まで戻し、水100ml、クロロホルム100mlを加えた。有機層を分取し、水層をクロロホルム(100ml×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水100mlでし、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮することで茶色の粗生成物が得られた。このものをシリカゲルクロマトグラフィーに供し、粗生成物から再結晶することで目的とする本発明に係る有機化合物(I)を得た。
Figure 2006176409
上記の要領で得られた本発明に係る有機化合物(I)をトルエン/イソプロピルアルコールから3回再沈殿し、素子作製に使用した。
本発明に係る有機化合物(I)の構造については、H−NMR、13C−NMR、IRスペクトルで相当するスペクトルが確認された。
(実施例2:有機EL素子の作製)
実施例1で得られた本発明に係る有機化合物(I)を用いて実施例2の有機EL素子を作製した。先ず、ガラス基板上にITOの透明導電性膜が成膜された基板を所望の形状にパターニングした後、洗浄およびUV/オゾン処理を施した。次いで、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート水分散液(略称PEDOT/PSS、商品名Baytron TP CH8000、バイエル社)を洗浄基板上に滴下し、スピンコートした。その後、200℃のホットプレート上で10分間加熱乾燥することにより、80nmの正孔輸送層を形成した。
続いて、Ir(ppy)と本発明に係る有機化合物(I)をクロロホルムに下記構成比率で混合し、電子注入及び電子輸送層兼発光層形成用組成物として滴下し、スピンコートすることにより、80nmの電子注入及び電子輸送兼発光層を形成した(構成比率:Ir(ppy)を2重量部、本発明に係る有機化合物(I)を18重量部、クロロホルムを995 重量部)。
さらに、5.0×10−6Torrの真空条件下で、金属カルシウムを0.14nm/sの成膜速度で10nm真空蒸着し、さらにその上に銀を0.23nm/sの成膜速度で250nm真空蒸着して電極を形成した。
このようにして得られた有機EL素子に、外部電源(ケースレー社製ソースメーター2400)を接続し、ITOを陽極、金属電極を陰極として直流電圧を印加すると、Ir(ppy)に由来する緑色の発光を得た。素子の輝度は、トプコン社製の輝度計BM−8を用いて測定した。その結果、輝度が1000Cd/mのとき最大電流効率30Cd/Aが得られた。この結果は、従来の低分子蒸着型の素子と同程度の輝度および効率が塗布型素子で得られたことを示している。また、トプコン社製分光放射計SR−2を用いて発光スペクトルを測定した結果を図1に示した。
(比較例1:低分子蒸着型有機EL素子の作製)
対照として低分子発光性材料と低分子電荷輸送性材料を共蒸着して発光層を形成した有機EL素子を作製した。先ず、ガラス基板上にITOの透明導電性膜が成膜された基板を所望の形状にパターニングした後、洗浄およびUV/オゾン処理を施した。次いで、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート水分散液(略称PEDOT/PSS、商品名Baytron TP CH8000、バイエル社)を洗浄基板上に滴下し、スピンコートした。その後、200℃のホットプレート上で10分間加熱乾燥することにより、80nmの正孔輸送層を形成した。
続いて、CBP(ケミプロ化成社製)、Ir(ppy)(ケミプロ化成社製)を4.0×10−6Torrの真空条件下で、それぞれ0.3nm/s、0.02nm/sの成膜速度で40nm蒸着した。
さらに、5.0×10−6Torrの真空条件下で、金属カルシウムを0.14nm/sの成膜速度で10nm真空蒸着し、さらにその上に銀を0.23nm/sの成膜速度で250nm真空蒸着して電極を形成した。
(実施例2、比較例1の評価:有機EL素子の評価)
(1)素子の輝度
上記のようにして得られた有機EL素子に、外部電源(ケースレー社製ソースメーター2400)を接続し、ITOを陽極、金属電極を陰極として直流電圧を印加すると、Ir(ppy)に由来する緑色の発光を得た。素子の輝度は、トプコン社製の輝度計BM−8を用いて測定した。得られた最高輝度の結果を表1に示す。
Figure 2006176409
これらの結果は、本発明に係る有機化合物を燐光発光層におけるホスト材料として用いた有機EL素子では、従来の低分子ホスト材料を用いた蒸着型材料を用いた場合に比べ、高い輝度が塗布型素子で得られたことを示している。
(2)電流効率
電流効率は、上記の輝度測定用の外部電源から得られた駆動時の電流値とそのときの輝度によって求められた。
その結果から得られたそれぞれ素子の最高電流効率を表2に示す。
Figure 2006176409
これらの結果は、本発明に係る有機化合物を燐光発光層におけるホスト材料として用いた有機EL素子では、従来の低分子ホスト材料を用いた蒸着型材料を用いた場合に比べ、高い電流効率が塗布型素子で得られたことを示している。
(3)輝度半減時間
それぞれの素子において100Cd/mの輝度を与える電流値を一定に保ち、そこからの輝度減衰を観察したときの半減時間を求めた。
その結果から得られたそれぞれの素子の輝度半減時間を表3に示す。
Figure 2006176409
これらの結果は、本発明に係る有機化合物を燐光発光層におけるホスト材料として用いた有機EL素子では、従来の低分子ホスト材料を用いた蒸着型材料を用いた場合に比べ、高い駆動安定性が塗布型素子で得られたことを示している。
本発明に係る有機EL素子の発光スペクトルを示す図である。

Claims (16)

  1. B、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、及びPoよりなる群から選択される元素を環内に少なくとも1つ有するヘテロ五員環と、正孔輸送性構造とを含有する有機化合物。
  2. 前記正孔輸送性構造がπ共役系構造を有する、請求項1に記載の有機化合物。
  3. 三重項準位の値が前記正孔輸送性構造の理論値と比べて保持している、請求項1又は2に記載の有機化合物。
  4. 前記ヘテロ五員環と前記正孔輸送性構造の間に、前記ヘテロ五員環と前記正孔輸送性構造を非共役系とする連結基を有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の有機化合物。
  5. 前記ヘテロ五員環及び/又は前記正孔輸送性構造に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、複素環化合物基、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる1種以上の置換基を有する、請求項1乃至4のいずれかに記載の有機化合物。
  6. 下記一般式(1)で表される、請求項1乃至5のいずれかに記載の有機化合物。
    Figure 2006176409
    (Xは、B、C、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、Poのいずれかの元素を表し、Y,Zは、B、C、N、Si、P、Ge、As、Sb、Biのいずれかの元素を表し、X,Y,Zの少なくとも1つは、B、Si、P、Ge、As、Se、Sb、Te、Bi、Poのいずれかの元素である。
    l、mは、それぞれ置換基R、Rの数を表し、各々独立に0又は1である。nは、置換基Rの数を表し、0、1又は2である。
    〜Rは、各々独立に、水素原子、又は異種原子を含んでも良い炭化水素基を表し、R〜Rの少なくとも1つは、下記一般式(2)で表される置換基である。また、n=2の場合のRは、それぞれ同一でも異なっていても良い。)
    Figure 2006176409
    (Wは、直接結合、又は2〜5価の連結基を表す。Ar0は、直接結合、或いは、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。Araは、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。Arbは、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。また、AraとArbは、結合して縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換されていても良い。また、Ar0とArbは、結合して縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換されていても良い。pは、1又は2である。qは、1以上の整数である。)
  7. 下記一般式(3)で表される、請求項1乃至6のいずれかに記載の有機化合物。
    Figure 2006176409
    (Y,Zは、B、C、N、のいずれかの元素を表す。l、mは、それぞれ置換基R、Rの数を表し、各々独立に0又は1である。R〜R6は、各々独立に、水素原子、又は異種原子を含んでも良い炭化水素基を表し、R〜R6の少なくとも1つは、下記一般式(2)で表される置換基である。)
    Figure 2006176409
    (Wは、直接結合、又は2〜5価の連結基を表す。Ar0は、直接結合、或いは、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。Araは、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。Arbは、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせを表し、これらはいずれも置換基を有していても良い。また、AraとArbは、結合して縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換されていても良い。また、Ar0とArbは、結合して縮合環を形成していても良く、該縮合環は置換されていても良い。pは、1又は2である。qは、1以上の整数である。)
  8. ガラス転移温度が130℃以上である、請求項1乃至7に記載の有機化合物。
  9. 分子量が500〜5000である、請求項1乃至8のいずれかに記載の有機化合物。
  10. 有機溶剤及び/又は水に可溶である、請求項1乃至9のいずれかに記載の有機化合物。
  11. 少なくとも一対の対向電極と当該電極間に挟持される単層または多層の有機化合物層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記有機化合物層のうち少なくとも1つの層が、請求項1乃至10のいずれかに記載の有機化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  12. 前記請求項1乃至10のいずれかに記載の有機化合物が、発光層に含有されることを特徴とする、請求項11に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  13. 前記請求項1乃至10のいずれかに記載の有機化合物に少なくとも燐光発光材料が混合・分散されて発光層を構成することを特徴とする、請求項11又は12に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  14. 前記有機化合物層と陰極との間に電子輸送層を設けることを特徴とする、請求項11乃至13のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  15. 前記有機化合物層と陽極との間に正孔輸送層を設けることを特徴とする、請求項11乃至14のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  16. 前記請求項1乃至10のいずれかに記載の有機化合物を含有する有機化合物層が湿式成膜法を用いて形成されてなること特徴とする、請求項11乃至15のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
JP2004368162A 2004-12-20 2004-12-20 有機化合物、及び有機エレクトロルミネッセンス素子 Pending JP2006176409A (ja)

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