JP5055043B2 - 混合粒子の製造方法ならびに艶消し塗料 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、リン酸カルシウム粒子を艶消し材として用いることが記載されている。
この架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が用いられてなる多孔質粒子やリン酸カルシウム粒子は、下記特許文献3および4に記載されているように、艶消し効果のみならず皮脂などの吸着性に優れ、ソフトな触感を有している。
このようなことから、優れた質感を有することが求められる塗料や化粧料に広く採用されている。
しかし、特許文献2には、単にリン酸カルシウム粒子と樹脂粒子とを艶消し材として併用することが記載されているのみであり、架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が用いられてなる多孔質粒子とリン酸カルシウム粒子とを、艶消しなどの目的で、併用することについては十分な検討がなされていない。
すなわち、架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が用いられてなる多孔質粒子とリン酸カルシウム粒子とが含有されている混合粒子においては、艶消し性と質感との向上についての十分な検討がなされてはいない。
なお、艶消し性と質感との向上については、艶消し塗料や化粧料のみならず、架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が用いられてなる多孔質粒子とリン酸カルシウム粒子とが含有されている混合粒子全般において要望されている事項である。
以下に、本発明の好ましい第一の実施の形態について説明する。
本実施形態の艶消し塗料には、架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が用いられてなる多孔質粒子(以下、単に「多孔質粒子」ともいう)とリン酸カルシウム粒子とを含む混合粒子が含有されている。
前記混合粒子は、(1)架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が用いられてなる多孔質粒子とリン酸とが含有されているpH1.5以下の樹脂粒子混合リン酸水溶液を作製する混合液作製工程と、(2)該混合液作製工程で作製された前記樹脂粒子混合リン酸水溶液を水で希釈してpH2.0以上の希釈液を作製する希釈工程と、(3)前記混合液作製工程で作製された樹脂粒子混合リン酸水溶液を含む前記希釈液と水酸化カルシウムとを混合してアルカリ性の懸濁液を作製する懸濁液作製工程と、(4)該懸濁液作製工程で作製された懸濁液とリン酸とを混合し、第二リン酸カルシウム粒子または第三リン酸カルシウム粒子のいずれかのリン酸カルシウム粒子を析出させて、該リン酸カルシウム粒子と前記多孔質粒子とが含有されている混合粒子含有液を作製するリン酸カルシウム粒子析出工程とを実施して作製する。
混合粒子に含有される多孔性粒子の粒子径は、初期多孔性粒子の粒子径とほぼ同等であり、この初期多孔質粒子の平均粒子径が3μm未満の場合には、艶消し塗膜において形成される凹凸が小さくなるために、実質的な艶消し効果が得られにくいので好ましくない。
また、初期多孔性粒子の平均粒子径が50μmを超える場合には、艶消し塗膜を形成した場合の外観がざらざらと荒れた状態になりやすく、仕上り外観が悪くなるおそれがあるために好ましくない。
また、比表面積については、JIS Z 8830に準じて測定することができ、例えば、流動式比表面積自動測定装置を用いてBET一点法により測定することができる。
なお、上記水中での重合方法は特に限定されず、例えば懸濁重合、乳化重合、シード重合等のいずれであってもよいが、上記のような初期多孔質粒子をより形成させやすい点において懸濁重合が特に好ましい。
これらの(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、それぞれ単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
なお、(メタ)アクリル酸エステル系単量体と共重合可能な単量体を併用することも可能であり、この共重合可能な単量体としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル等のビニル基を有するものが挙げられる。
これらの単量体は、単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
これらの架橋性単量体は、単独で、または2種以上を組み合せて用いることもできる。
架橋性単量体の使用割合が多くなると、多孔形状の形成や比表面積、吸油特性に問題は生じないが、微粒子が硬くなりソフトな触感が得られない、圧縮強度が増大する、復元率が減少する等の傾向が見られるため、架橋性単量体の使用割合が50質量%を超える場合は好ましくない。
また、架橋性単量体の使用割合が少なくなると、粒子による質感が充分に得られない等の傾向が見られ、架橋性単量体の使用割合が5質量%に満たない場合は好ましくない。
したがって、架橋性単量体の使用割合は、目的に応じて適宜調整され得る。
非重合性有機溶媒としては、溶解度パラメーターが6〜11であり、より好ましくは7〜10のものが挙げられる。
溶解度パラメーターが6未満または11を超える非重合性有機溶媒を使用すると、粒子形状や多孔形状が良好に形成されないおそれがあるため好ましくない。
非重合性有機溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n−ヘキサン、n−オクタン、n−ドデカン等の飽和脂肪族炭化水素類などが挙げられる。これらの非重合性有機溶媒は、それぞれ単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
油相中の非重合性有機溶媒の使用量が30質量%未満では、得られる初期多孔質粒子の比表面積などが減少するので好ましくない。また、使用量が90質量%を超えると得られる初期多孔質粒子内の空隙率が大きくなり過ぎて、初期多孔質粒子を使用したときに粒子の変形、破壊等が起こり、良好な感触が得られないので好ましくない。
懸濁重合では重合開始剤を用いてもよい。
重合開始剤としては、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性過酸化物、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等の油溶性アゾ化合物が挙げられる。
これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、または2種以上組合せて用いることができる。
また、懸濁重合では、分散剤および/または界面活性剤等を用いてもよい。
分散剤としては、例えばリン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難水溶性無機塩、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子等が挙げられる。界面活性剤としては、例えばオレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル等のノニオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイドのような両性界面活性剤等が挙げられる。
中でも、分散安定性の点から、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難水溶性リン酸塩等の分散剤と、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤とを組み合わせて用いるのが好ましい。
分散剤の使用割合は、通常、油相に対して0.5〜10質量%程度であり、界面活性剤の使用割合は、水相に対して0.01〜0.2質量%程度である。
水相は、通常、油相100質量部に対し100〜1000質量部用いられる。
重合開始温度は、40〜90℃程度が好ましい。
反応混合物を重合開始温度に保持しながら重合させる時間は、通常、1〜10時間程度である。
多孔質樹脂微粒子の平均粒子径は油相と水相との割合や分散剤、界面活性剤の使用量等および攪拌条件、分散条件を調整することにより適宜制御することができる。
例えば、ホモジナイザーの場合、回転数が大きく、分散時間が長いと得られる液滴径が小さくなる傾向が見られる。
重合反応終了後、所望により分散剤を酸などで分解し、濾過、洗浄、乾燥、粉砕、分級を行うことにより、目的とする初期多孔質粒子が得られる。
(1)初期多孔質粒子とリン酸とが含有されているpH1.5以下の樹脂粒子混合リン酸水溶液を作製する混合液作製工程。
(2)該混合液作製工程で作製された前記樹脂粒子混合リン酸水溶液を水で希釈してpH2.0以上の希釈液を作製する希釈工程。
(3)前記混合液作製工程で作製された樹脂粒子混合リン酸水溶液を含む前記希釈液と水酸化カルシウムとを混合してアルカリ性の懸濁液を作製する懸濁液作製工程。
(4)該懸濁液作製工程で作製された懸濁液とリン酸とを混合し、第二リン酸カルシウム粒子または第三リン酸カルシウム粒子のいずれかのリン酸カルシウム粒子を析出させて、該リン酸カルシウム粒子と前記多孔質粒子とが含有されている混合粒子含有液を作製するリン酸カルシウム粒子析出工程。
以下に、それぞれの工程について詳述する。
該混合液作製工程においては、通常、前記初期多孔質粒子とpH1.5以下のリン酸水溶液とを混合することで、pH1.5以下の樹脂粒子混合リン酸水溶液を作製させ得る。
この混合液作製工程は、前記初期多孔質粒子にリン酸を吸収させるとともに水に対する濡れ性が悪い初期多孔質粒子の濡れ性を改善させるべく実施される。
この樹脂粒子混合リン酸水溶液の作製方法としては、特に限定されず、初期多孔質粒子にpH1.5以下のリン酸水溶液などをシャワーリングしつつ混合する方法や、pH1.5以下のリン酸水溶液が貯留された槽などに初期多孔質粒子を投入して含浸させる方法などを採用することができる。
初期多孔質粒子を全体的に均一かつ十分に処理し得る点から、リン酸水溶液に初期多孔質粒子を含浸させる方法を採用することが好ましい。
この固形分濃度がこのような範囲であることが好ましいのは、固形分濃度が50質量%を超えると、初期多孔質粒子がリン酸水溶液吸着して全体が固化してしまい、後段の工程が手間のかかるものとなるおそれを有し、0.1質量%未満の固形分濃度としても、使用する設備が大掛かりとなり、使用するリン酸の量に対して得られるリン酸カルシウム粒子の量が少なくなることなど生産性が低下するおそれを有するためである。
この樹脂粒子混合リン酸水溶液に用いるリン酸水溶液は、pH1.5以下であれば特にそのpH値を限定されるものではない。
前記混合液作製工程後には、作製された樹脂粒子混合リン酸水溶液を水で希釈してpHが2.0以上の希釈液を作製する。
この希釈工程の方法については、特に限定されるものではなく、例えば、樹脂粒子混合リン酸水溶液が貯留されている槽にイオン交換水を添加する方法など、全体を水で希釈する方法を採用することができる。
また、要すれば、樹脂粒子混合リン酸水溶液に含まれているリン酸水溶液の一部を除去した後に水を加えることにより、樹脂粒子混合リン酸水溶液中のリン酸水溶液のみを水で希釈して、全体に占める多孔質樹脂粒子の割合が樹脂粒子混合リン酸水溶液と同等の希釈液を作製したり、あるいは全体に占める多孔質樹脂粒子の割合が樹脂粒子混合リン酸水溶液よりも増大された希釈液を作製したりすることも可能である。
さらに、要すれば、遠心脱水法などにより樹脂粒子混合リン酸水溶液を多孔質樹脂粒子とリン酸水溶液とに分離して多くのリン酸水溶液を除去させた後に多孔質樹脂粒子に水を加えて多孔質樹脂粒子に付着して残留しているリン酸を水で希釈することも可能であり、この脱水分離と水の添加とを複数回繰り返して希釈液を作製することもできる。
このとき、多孔質粒子が固形分濃度0.1〜50質量%、好ましくは1〜50質量%で含有されている希釈液を作製することが好ましい。
すなわち、この希釈工程を設けることにより粗大粒子の形成を防止できこの艶消し塗料を用いた塗膜に均質で優れた質感を付与させ得る。
また希釈工程では、後段の懸濁液作製工程やリン酸カルシウム粒子析出工程における制御を容易とし且つ得られる塗膜の質感を向上させ得る点においてpHが2.0〜4.0の希釈液を作製することが好ましい。
次いで、前記混合液作製工程で作製された樹脂粒子混合リン酸水溶液を含む希釈液と、水酸化カルシウムとを混合して、アルカリ性の懸濁液を作製する懸濁液作製工程を実施する。
この懸濁液作製工程における希釈液と水酸化カルシウムとの混合方法については特に限定されず、一般的なリン酸カルシウム粒子作製方法を同様に実施することができ、例えば、水中に水酸化カルシウムをホモジナイザーなどで分散させた石灰乳を、全体がpH12程度となるまで希釈液中に投入してアルカリ性の懸濁液を作製する方法などを採用し得る。
なお、このとき希釈液(懸濁液)の液温を50℃以下に維持することが好ましい。
このときの液温を50℃以下に維持することでリン酸カルシウムの粗大粒子の形成を抑制することができ塗膜の質感を向上させ得る。
このリン酸カルシウム粒子析出工程においては、前記懸濁液作製工程で作製されたアルカリ性の懸濁液とリン酸水溶液とを混合して、第二リン酸カルシウム粒子または第三リン酸カルシウム粒子のいずれかのリン酸カルシウム粒子を析出させ、該リン酸カルシウム粒子と多孔質粒子とが混合されて含有されている混合粒子含有液を作製する。
また、第三リン酸カルシウム粒子を析出させるには、例えば、アルカリ性の懸濁液にリン酸水溶液添加後のpHが10程度となるようにしてリン酸水溶液を加える方法が挙げられる。
なお、第二リン酸カルシウム粒子は第三リン酸カルシウム粒子に比べてソフトな感触が得られやすく塗膜の質感を向上させ得るのみならず、このようにして形成される第二リン酸カルシウム粒子は、平板状に形成させることができることから、塗膜の隠蔽力を向上させ得る。
このような効果を奏する点からは、このリン酸カルシウム粒子析出工程において多孔質粒子存在下で析出させるリン酸カルシウム粒子としては、第二リン酸カルシウム粒子が好適である。
さらに、リン酸カルシウムが、1種または2種以上の金属酸化物と複合してもよい。
金属酸化物としては、特に限定されないが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどがあげられる。
このとき、解砕などの工程を必要とせず、解砕時にリン酸カルシウム粒子(あるいは、リン酸カルシウムが被覆された多孔質粒子)同士が擦れあって、リン酸カルシウム粒子が微細化してしまうことを抑制し得る点から、噴霧乾燥による乾燥手段を採用することが好ましい。
もちろん、表面処理せずに艶消し塗料に使用してもよい。
例えば、有機溶剤や水に可溶な樹脂や、有機溶剤や水中に分散し得る樹脂や、エマルション型の水性樹脂を使用することができる。
具体的には、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、アモルフォスポリオレフィン樹脂等を用いることができる。
溶剤の塗料全体に占める含有量は、通常、20〜60質量%である。
また、本実施形態の艶消し塗料は、例えば、スプレー塗装、ロール塗装、ハケ塗り等の公知の塗装方法に使用することができる。
また、必要に応じて、塗布組成物の粘度を調整するために、前記溶剤による希釈を実施して前記塗装を実施してもよい。
以下に、本発明の好ましい第二の実施の形態について化粧料に用いる混合粒子を例に説明する。
本実施形態の化粧料には、前記艶消し塗料と同様に架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が用いられてなる多孔質粒子とリン酸カルシウム粒子とを含む混合粒子が含有されている。
配合量が0.1質量%未満の場合には、リン酸カルシウム粒子や多孔質粒子の量が少なすぎて、リン酸カルシウム粒子などに期待される質感が得られにくいばかりでなく、皮脂、細菌、ウィルスなどのいわゆる老廃物を吸着、除去する効果も得られにくくなる。
一方で、99質量%を超えて配合する場合には、後述する他の粉末成分、油性成分、機能性成分など化粧料として必要な成分を含有させる余地がなく、化粧料とすることが困難となる。
また、触感に優れた化粧料を作製し得る点から、リン酸カルシウム粒子と多孔質粒子との比率については、3/97〜30/70であることが好ましく、5/95〜20/80であることが好ましい。
また、比表面積についても、JIS Z 8830に準じて測定することができ、例えば、流動式比表面積自動測定装置を用いてBET一点法により測定することができる。
架橋性単量体の使用割合が多くなると、多孔形状の形成や比表面積、吸油特性に問題は生じないが、微粒子が硬くなり化粧料にソフトな触感が得られにくくなる。
また、圧縮強度が増大する、復元率が減少する等の傾向が見られるため、架橋性単量体の使用割合が50質量%を超える場合は好ましくない。
また、架橋性単量体の使用割合が少なくなると、化粧料に良好なる質感を付与させることが困難となる。
そして、多孔形状が形成され難く比表面積や吸油特性が減少する結果、復元率が減少し、塗布時の余剰な有効成分の吸収が充分ではなくべたつき感が残る等の傾向が見られ、架橋性単量体の使用割合が5質量%に満たない場合は好ましくない。
第二リン酸カルシウム粒子は第三リン酸カルシウム粒子に比べてソフトな感触が得られやすく化粧料を肌触りの良いものとさせ得るのみならず、このようにして形成される第二リン酸カルシウム粒子は、平板状に形成させることができることから、化粧料を滑りのよいキシミ感の抑制されたものとさせ得る。
特に、前記(1)混合液作製工程、(2)希釈工程、(3)懸濁液作製工程、(4)リン酸カルシウム粒子析出工程を実施して作製された多孔質粒子とリン酸カルシウム粒子とを配合する場合、単なる多孔質粒子とリン酸カルシウム粒子との混合物を配合する場合に比べて、プレス成形品に割れや欠けが生じることを抑制させる効果も奏する。
したがって、プレス成形により固形化されて用いられる粉末化粧料などにおいて、その含有量に制限が加えられることを抑制でき好適に用い得る。
のではない。
(実施例1)
イオン交換水1リットルに、基体材料としての架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が用いられてなる初期多孔質粒子(積水化成品工業株式会社製「テクポリマーMBP−8」:平均粒径約8μm)450gを入れ、攪拌下で7.5質量%リン酸水溶液を1500g加えて10分間攪拌して樹脂粒子混合リン酸水溶液を作製する混合液作製工程を実施した。
この樹脂粒子混合リン酸水溶液を一昼夜静置してpHをpHメーターにて測定したところ、0.1であった。
次いで、樹脂粒子混合リン酸水溶液を、吸引ろ過により多孔質粒子をろ別し、該ろ別された多孔質粒子を固形分濃度20%でpHが2.0以上となるまでイオン交換水を加えて希釈し、pH2.0の希釈液を作製した。
次いで、ホモミキサーを用いて水酸化カルシウム37.3gをイオン交換水1リットル
に分散させた水酸化カルシウム懸濁液を作製し、前記希釈液に対して、水酸化カルシウム懸濁液添加後のpHが12.5となるように水酸化カルシウム懸濁液を加えてアルカリ性の懸濁液を作製する懸濁液作製工程を実施した。
さらに、このアルカリ性の懸濁液の液温を、50℃以下になるよう維持しつつ、7.5質量%リン酸水溶液を最終的なpHが5.0となるまで加え30分間攪拌し第二リン酸カルシウム粒子を多孔質粒子との混合状態で析出させるリン酸カルシウム粒子析出工程を実施した。
さらに、第二リン酸カルシウム粒子と多孔質粒子とが混合状態で含有されている液体をスプレードライヤー(大川原化工機械株式会社製「L−8」)を用いて、噴霧乾燥造粒を行い、多孔質粒子とリン酸カルシウム粒子との混合粒子を作製した。
リン酸カルシウム粒子析出工程において、7.5質量%リン酸水溶液を加え、最終的なpHが10.0となるまで加えて第三リン酸カルシウム粒子を析出させたこと以外は実施例1と同様に多孔質粒子とリン酸カルシウム粒子との混合粒子を作製した。
リン酸カルシウム粒子析出工程において、アルカリ性の懸濁液の液温を80℃に維持しつつ、7.5質量%リン酸水溶液を最終的なpHが8.5となるまで加え30分間攪拌しハイドロキシアパタイト粒子(Ca10(PO4)6(OH)2)を析出させたこと以外は実施例1と同様に多孔質粒子とリン酸カルシウム粒子との混合粒子を作製した。
混合液作製工程において、7.5質量%リン酸水溶液1500gを加えず、2.5リットルのイオン交換水に多孔質粒子を分散させた。
この結果、リン酸カルシウム粒子析出工程においては、多孔質粒子が攪拌により泡状となり液表面に浮き上がり均一な分散状態が得られなかった。
これを実施例1と同様にして、多孔質粒子とリン酸カルシウム粒子との混合粒子を作製した。
実施例1、参考例2の走査型電子顕微鏡写真を図1a)、b)、および図2に示す。
また、比較例2において分離した沈殿物の走査型電子顕微鏡写真を図3に示す。
さらに、実施例1、参考例2、比較例1、2に用いた多孔質粒子単体(初期多孔質粒子)の走査型電子顕微鏡写真を図4に示す。
これに対し、比較例2(図3)では塊状の粒子が観察され、球状の粒子は観察されなかった。
さらに、多孔質粒子単体は、nmレベルの粒子が集合したような真球状の粒子が観察された。
走査型電子顕微鏡 S−2380N((株)日立製作所製)とエネルギー分散型X線分析装置(エダックス・ジャパン社製:EMAX−700) にてカルシウムとリンの分布を観察したところ、図1、図2で平板状に観察されたものがリン酸カルシウム粒子であることが確認された。
実施例1、参考例2及び比較例1の粉末X線回折を実施した。得られた、X線回折パターンを図5に示す。
(評価試料)
評価試料としては、下記の4つを用いた
試料1:実施例1の混合粒子
試料2:実施例1の混合粒子と同じ重量割合となるように初期多孔質粒子と第二リン酸カルシウム粒子とを乾式混合した混合粒子
試料3:初期多孔質粒子(積水化成品工業株式会社製「テクポリマーMBP−8」:平均粒径約8μm)単体
試料4:第二リン酸カルシウム粒子単体
(測定試料の作製)
この光反射性の測定については、温度20℃、相対湿度65%の環境下で実施した。
まず、白色隠蔽紙(BYK−Gardner社製、「Test chart 2803」)の黒色部分を中心として、一辺5cmの正方形にカットした両面テープ(日東電工社製、「ORT−1」)を貼り付け、この両面テープ貼り付け位置にカサ比重測定器(JIS K 5101準拠品)を用いて試料1〜4の粒子を落下させた後に、圧縮空気により余剰の粒子を除去して光反射性の測定試料とした。
各測定試料を、粒子付着面を上面にして測定ステージ上に載置し、この測定試料の粒子付着面に対する法線を0度として、−45度方向からハロゲンランプを光源とした入射光を照射し、−90度から+90度の範囲における反射光を測定した。
なお、測定に際しては、全ての入射光が黒色部に入射されるように試料の位置を調整した。
また、反射光検出は、分光感度範囲185〜850nm、最高感度波長530nmの分光特性を有する光電子増倍管が備えられた自動変角光度計(村上色彩研究所社製、「GP−200」)を用いて実施し、入射角−45度の際の反射角−90度から90度における反射光分布を測定した。
+45度における反射光強度を100とした、−65度、0度、+25度の反射光強度の相対値を表1に示す。
光反射性の測定試料と同様にして、表面に粒子が付着された試料を作製し、以下の条件により平均摩擦係数(MIU値)を測定した。
使用機器:摩擦感テスター(カトーテック社製、「KES−SE」)
・本体設定:1)SENS;H、2)SPEED;1.0mm/秒
・測定子設定:1)摩擦子;シリコーンゴム製摩擦子、2)摩擦子荷重;25g
・データ計測設定:1)使用プログラム;「KSE−FB SYSTEMデータ計測プログラムver6.46WJ」、2)摩擦SENS;H、3)SPEED;1.0mm/秒、4)摩擦静荷重;25g、5)方向選択;WARP
上記測定により得られた各試料のMIU値を基にして、初期多孔質粒子単体を用いた試料3のMIU値を1.0とする相対値を算出した。結果を表1に示す。
しかも、滑らかで質感に優れた混合粒子が得られることがわかる。
Claims (2)
- 架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が用いられてなる多孔質粒子とリン酸カルシウム粒子とが含有されている混合粒子の製造方法であって、
架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が用いられてなる多孔質粒子とリン酸とが含有されているpH1.5以下の樹脂粒子混合リン酸水溶液を作製する混合液作製工程と、
該混合液作製工程で作製された前記樹脂粒子混合リン酸水溶液を水で希釈してpH2.0以上の希釈液を作製する希釈工程と、
該希釈工程で作製された前記希釈液と水酸化カルシウムとを混合してアルカリ性の懸濁液を作製する懸濁液作製工程と、
該懸濁液作製工程で作製された懸濁液とリン酸とを混合し、第二リン酸カルシウム粒子を析出させて、該第二リン酸カルシウム粒子と前記多孔質粒子とが含有されている混合粒子含有液を作製するリン酸カルシウム粒子析出工程とを実施することを特徴とする混合粒子の製造方法。 - 架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が用いられてなる多孔質粒子とリン酸とが含有されているpH1.5以下の樹脂粒子混合リン酸水溶液を作製する混合液作製工程と、
該混合液作製工程で作製された前記樹脂粒子混合リン酸水溶液を水で希釈してpH2.0以上の希釈液を作製する希釈工程と、
該希釈工程で作製された前記希釈液と水酸化カルシウムとを混合してアルカリ性の懸濁液を作製する懸濁液作製工程と、
該懸濁液作製工程で作製された懸濁液とリン酸とを混合し、第二リン酸カルシウム粒子を析出させて、該第二リン酸カルシウム粒子と前記多孔質粒子とが含有されている混合粒子含有液を作製するリン酸カルシウム粒子析出工程とが実施されて作製された前記第二リン酸カルシウム粒子ならびに前記多孔質粒子が含有されていることを特徴とする艶消し塗料。
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