JPH11269303A - 紫外線遮蔽性粒子、紫外線遮蔽性を有するスラリー、これらの製造方法およびこれらを使用した化粧料 - Google Patents

紫外線遮蔽性粒子、紫外線遮蔽性を有するスラリー、これらの製造方法およびこれらを使用した化粧料

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JPH11269303A
JPH11269303A JP7076098A JP7076098A JPH11269303A JP H11269303 A JPH11269303 A JP H11269303A JP 7076098 A JP7076098 A JP 7076098A JP 7076098 A JP7076098 A JP 7076098A JP H11269303 A JPH11269303 A JP H11269303A
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JP
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particles
slurry
ultraviolet
ultraviolet shielding
oxide
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JP7076098A
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Tsukasa Ishikawa
宰 石川
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Sekisui Plastics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外線遮蔽性に優れ、かつ安定性が低い他の
配合成分を分解することのない紫外線遮蔽性粒子および
スラリーと、それらの製造方法と、紫外線遮蔽性に優
れ、かつ製品の安定性にも優れた化粧料とを提供する。 【解決手段】 本発明の紫外線遮蔽性粒子は、酸化チタ
ン等の粒子の表面にアルミニウム等の含水酸化物を被覆
した粒子Aと、リン酸カルシウム系化合物とを複合一体
化させたものであって、紫外線の吸収(遮蔽)効果が優
れている。この紫外線遮蔽性粒子は、例えば前記粒子A
を水酸化カルシウムの懸濁液に分散し、次いでリン酸水
溶液でpHを9〜11に調節して本発明の紫外線遮蔽性
を有するスラリー製造した後、これを乾燥することによ
って得られる。また、本発明の化粧料は、前述の紫外線
遮蔽性粒子またはスラリーを含有することを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化粧料、塗料、ゴ
ム、プラスチック等に紫外線遮蔽剤として配合される紫
外線遮蔽性粒子および紫外線遮蔽性を有するスラリー
と、それを用いた化粧料とに関する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等
は紫外線の遮蔽能に優れた物質であって、これらの微粒
子は、従来より無機系の紫外線遮蔽剤として知られてい
る。かかる微粒子は、有機系の紫外線吸収剤に比べて耐
候性、耐食性、安全性等に優れるため、化粧料、塗料、
ゴム、プラスチック等の配合成分として広く用いられて
いる。
【0003】しかし、上記酸化チタン等の粒子は紫外線
遮蔽能に優れているものの、光触媒活性や熱触媒活性が
強いため、化粧料等に配合される他の配合成分、とりわ
け安定性の低い配合成分を分解、劣化してしまう。従っ
て、前述の酸化チタン等の粒子は製品の安定性を損なう
という問題があった。例えば、化粧料に酸化チタン等の
粒子を配合すると、油剤の変質・変臭、化粧品用法定タ
ール色素の変色・褐色化、配合成分(粒子)の再凝集化
等が生じる。また、紫外線による皮膚の異常色素沈着を
抑制する目的で化粧料等で広く用いられているL−アス
コルビン酸は、熱や酸化により分解し、黄変・変臭しや
すい安定性の低い物質であるため、前記触媒活性が強い
酸化チタン等の粒子と併用することは従来の技術では困
難である。L−アスコルビン酸に代えて、L−アスコル
ビン酸リン酸エステルマグネシウム塩、L−アスコルビ
ン酸−2−グルコシド、アスコルビン酸−2−硫酸ナト
リウム塩等の誘導体を用いることによって安定化を図る
ことも試みられているが、依然として安定性が不十分で
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述の酸化チタン等の
粒子における光触媒活性や熱触媒活性を抑制する方法と
しては、酸化チタン等の粒子をシリコーン油剤で表面処
理する方法や、ケイ素、アルミニウム、ジルコニア等の
金属の含水酸化物で表面を被覆する方法が開示されてい
る(特開平9−48716号公報、特公昭63−519
74号公報、特公平7−751号公報)。
【0005】しかし、上記公報に開示の方法は、前記の
触媒活性により発生した電子や正孔が微粒子の表面で酸
素や水と接触するのを防止するために、当該微粒子を覆
い隠す方法である。従って、粒子が微細になるほど、表
面処理や被覆が困難になったり不均一になったりする問
題が生じる。また、配合・攪拌時に処理された表面が破
損したり、被膜が剥がれるといった問題も生じる。その
結果、上記公報に開示の方法では、酸化チタン等の粒子
における光触媒活性や熱触媒活性を充分に抑制すること
ができない。
【0006】そこで本発明の目的は、無機系微粒子の優
れた紫外線遮蔽性を維持しつつ、当該微粒子の光触媒活
性や熱触媒活性を、特に化粧料等に配合される安定性の
低い配合成分を分解することがない程度にまで抑制した
紫外線遮蔽性粒子と紫外線遮蔽性を有するスラリー、お
よびそれらの製造方法を提供することである。また、本
発明の他の目的は、紫外線遮蔽性に優れており、かつ配
合成分の熱や酸化による分解、劣化が抑制され、優れた
安定性を有する化粧料を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために研究を重ねていく中で、カルシウムイオ
ンやリン酸イオンには、酸化チタン等の光触媒活性や熱
触媒活性を電気的に抑制する効果があるという知見を
得、さらに研究を重ねた結果、酸化チタン等の紫外線遮
蔽能を有する粒子の表面にアルミニウム等の金属の含水
酸化物を被覆した粒子と、リン酸カルシウム系化合物と
を複合一体化したときは、優れた紫外線遮蔽性を有する
とともに、酸化チタン等の粒子の光触媒活性や熱触媒活
性を、特に化粧料等に配合される安定性の低い配合成分
が分解することのない程度にまで充分に抑制されるとい
う新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明の紫外線遮蔽性粒子は、
アルミニウム、ケイ素およびジルコニウムからなる群よ
り選ばれる少なくとも1種の金属の含水酸化物で表面を
被覆した紫外線遮蔽能を有する粒子と、リン酸カルシウ
ム系化合物とを複合一体化させたことを特徴とする。ま
た、本発明の紫外線遮蔽性を有するスラリーは、アルミ
ニウム、ケイ素およびジルコニウムからなる群より選ば
れる少なくとも1種の金属の含水酸化物で表面を被覆し
た紫外線遮蔽能を有する粒子と、リン酸カルシウム系化
合物とを含有することを特徴とする。
【0009】本発明の紫外線遮蔽性粒子、および紫外線
遮蔽性を有するスラリー(以下、「紫外線遮蔽性スラリ
ー」という)は、優れた紫外線遮蔽能を有するととも
に、紫外線遮蔽能を有する粒子の光触媒活性や熱触媒活
性が充分に抑制されている。従って、本発明の紫外線遮
蔽性粒子や紫外線遮蔽性スラリーを化粧料等に配合して
も、他の配合成分を分解したり、劣化させることがな
く、製品の安定性を損なわずに紫外線遮蔽効果を付与す
ることができる。
【0010】本発明の紫外線遮蔽性粒子および紫外線遮
蔽性スラリーにおけるリン酸カルシウム系化合物は、人
体に対する安全性が高く、皮脂等の吸着能に優れた紫外
線遮蔽性粒子や紫外線遮蔽性スラリーを得ることができ
る。本発明の紫外線遮蔽性スラリーは、以下の第1また
は第2の製造方法によって効率的に製造することができ
る。
【0011】第1の製造方法は、アルミニウム、ケイ素
およびジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも
1種の金属の含水酸化物で表面を被覆した紫外線遮蔽能
を有する粒子を、水酸化カルシウムの懸濁液に分散し、
次いでリン酸水溶液を滴下し、pHを9〜11に調節し
てリン酸カルシウム系化合物を生成させることを特徴と
する。
【0012】第2の製造方法は、水酸化カルシウムの懸
濁液にリン酸水溶液を滴下し、pHを9〜11に調節し
てリン酸カルシウム系化合物を生成させ、次いでアルミ
ニウム、ケイ素およびジルコニウムからなる群より選ば
れる少なくとも1種の金属の含水酸化物で表面を被覆し
た紫外線遮蔽能を有する粒子を分散することを特徴とす
る。
【0013】本発明の紫外線遮蔽性粒子は、上記第1ま
たは第2の製造方法によって得られた紫外線遮蔽性スラ
リーを乾燥することによって効率的に製造することがで
きる。本発明の化粧料は、前述の紫外線遮蔽性粒子また
は紫外線遮蔽性スラリーを含有することを特徴とする。
【0014】本発明の化粧料に配合される紫外線遮蔽性
粒子および紫外線遮蔽性スラリーは、前述のように優れ
た紫外線遮蔽性を有しており、かつ光触媒活性や熱触媒
活性が充分に抑制されている。従って、本発明の化粧料
は、優れた紫外線遮蔽性を有するとともに、他の配合成
分(とりわけ、アスコルビン酸等のように安定性の低い
配合成分)の分解や劣化が充分に抑制されており、製品
の安定性が損なわれることがない。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 〔紫外線遮蔽性粒子〕本発明の紫外線遮蔽性粒子は、所
定の金属の含水酸化物で表面を被覆した紫外線遮蔽能を
有する粒子と、リン酸カルシウム系化合物とを複合一体
化したものである。
【0016】紫外線遮蔽能を有する粒子としては、例え
ば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、酸化
ジルコニウム等の粒子が挙げられる。これらの粒子は単
独で用いるほか、2種以上を併用することもできる。上
記例示の粒子の中でも、特に酸化チタン、酸化亜鉛およ
び酸化セリウムが好適であって、さらに、紫外線遮蔽能
の点からは酸化チタンが最も好適である。酸化チタンに
は、ルチル型、アナタース型等の結晶構造を有するもの
のほか、非晶質(アモルファス)のものがある。本発明
ではルチル型の結晶構造を有するものを用いるのが最も
好ましい。
【0017】紫外線遮蔽能を有する粒子は一次粒子が凝
集した二次粒子であって、一次粒子としては粒子径が約
0.001〜1μm、好ましくは約0.001〜0.5
μmであるものが用いられる。なお、本発明の紫外線遮
蔽性粒子についての以下の記載では、紫外線遮蔽能を有
する粒子を代表して酸化チタン粒子で説明するが、特に
断りがない限り酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、酸化
ジルコニウムにおいても同様である。
【0018】酸化チタン粒子の表面を被覆する金属の含
水酸化物としては、アルミニウム、ケイ素およびジルコ
ニウムの含水酸化物が挙げられる。これらは単独で用い
られるほか、2種以上を併用してもよい。すなわち、本
発明においては、酸化チタン粒子の表面に、上記例示の
うち1種の金属の含水酸化物からなる被膜のみを形成し
てもよく、2種以上の含水酸化物を組み合わせた(混在
させた)単独の被膜を形成してもよい。また、含水酸化
物の種類が異なる複数の被膜を積層してもよい。なお、
分散性等の観点から、上記含水酸化物の種類が異なる複
数の被膜を積層して使用するのが好ましい。
【0019】金属の含水酸化物(以下、単に「含水酸化
物」という)には、上記例示のほかに、例えばアンチモ
ン、スズ等の含水酸化物が使用可能である。しかし、本
願の紫外線遮蔽性粒子を化粧料等に配合する場合には、
人体に対する安全性の観点からケイ素、アルミニウムお
よびジルコニウムの含水酸化物を用いるのが好ましい。
なお、アンチモン、スズ等の含水酸化物を使用する場合
には、ケイ素、アルミニウムおよびジルコニウムの含水
酸化物からなる被膜とともに複数の被膜を形成し、アン
チモン、スズ等の含水酸化物からなる被膜が内側となる
ように積層するのが好ましい。
【0020】酸化チタン粒子の表面に含水酸化物を被覆
させる方法としては、例えば酸化チタン粒子を水等の水
性媒体に懸濁させ、懸濁液を撹拌しながらpHを調整し
た後、アルミニウム、ケイ素またはジルコニウムの水溶
性化合物と、酸またはアルカリとを添加する方法が挙げ
られる。こうして得られた懸濁液を常法に従って濾過、
水洗、乾燥することにより、所望の含水酸化物を表面に
被覆させた酸化チタン粒子が得られる。なお、含水酸化
物で表面を被覆した酸化チタン粒子を得た後、必要に応
じて高温高圧下で水熱処理を施してもよい。
【0021】含水酸化物を被覆させるのに使用するアル
ミニウムの水溶性化合物としては、アルミン酸ナトリウ
ム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられ
る。ケイ素の水溶性化合物としては、ケイ酸ナトリウ
ム、ケイ酸カリウム等が挙げられる。ジルコニウムの水
溶性化合物としては、オキシ塩化ジルコニウム、硫酸ジ
ルコニウム、塩化ジルコニウム等が挙げられる。
【0022】酸化チタン粒子の表面に含水酸化物を被覆
させる他の方法としては、例えばケイ素、アルミニウム
またはジルコニウムのアルコキシドからゾルを生成し、
ゾル−ゲル法によって被覆させる方法が挙げられる。酸
化チタン粒子に被覆させる含水酸化物の量は、アルミニ
ウム、ケイ素およびジルコニウムを合わせた量が、酸化
チタン粒子の重量に対して1〜20重量%であるのが好
ましい。この比率はケイ素をSiO2 、アルミニウムを
Al2 3 、ジルコニウムをZrO2 として換算したも
のである。上記比率が1重量%を下回ると、酸化チタン
粒子の触媒活性を抑制する効果が不十分になるおそれが
ある。逆に、上記比率が20重量%を超えると、含水酸
化物を被覆して得られる酸化チタン粒子の水性媒体中で
の分散性が低下して凝集し易くなり、かえって紫外線遮
蔽能が低下するおそれがある。
【0023】本発明の紫外線遮蔽性粒子におけるリン酸
カルシウム系化合物としては、第一リン酸カルシウム
(リン酸二水素カルシウム)、第二リン酸カルシウム
(リン酸一水素カルシウム)、第三リン酸カルシウム
(リン酸カルシウム)の三種類のリン酸カルシウム;ポ
リリン酸カルシウム、メタリン酸カルシウム等の縮合リ
ン酸塩;アパタイト系リン酸カルシウムおよびこれらの
混合物が挙げられる。アパタイト系リン酸カルシウム粒
子とは、一般式: Ca10(PO4 6 2 (Xは、F、OH、Cl、BrまたはOで表される原子
(団)を示す。)で表される物質群とその誘導体であ
る。この誘導体には、(i) Caイオンが、全体の50%
(元素比)を超えない範囲で他の金属イオン(Caイオ
ン以外のアルカリ土類金属イオンを含む)と置換したも
の、(ii)PO4 が、全体の50%(原子団比)を超えな
い範囲でAsO4 、VO4 、SiO4 またはCO3 の原
子団と置換したものをいう。ヒドロキシアパタイトの前
駆体として知られる非晶質リン酸カルシウムは、生体と
の親和性や、皮膚の老廃物、皮脂等に対する吸着性が特
に優れたものであって、化粧料に配合するのに適してい
る。
【0024】本発明の紫外線遮蔽性粒子において、含水
酸化物で表面を被覆した酸化チタン粒子の含有率は10
〜90重量%、好ましくは40〜90重量%の範囲で設
定される。酸化チタン粒子の含有率が前記範囲を下回る
と、紫外線遮蔽性粒子の紫外線遮蔽効果が低下するおそ
れがある。また、リン酸カルシウム系化合物の含有率が
少なくなり過ぎると、光触媒活性および熱触媒活性を充
分に抑制できなくなるおそれがある。
【0025】〔紫外線遮蔽性スラリーおよびその製造方
法〕本発明の紫外線遮蔽性スラリーは、アルミニウム、
ケイ素およびジルコニウムからなる群より選ばれる少な
くとも1種の金属の含水酸化物で表面を被覆した紫外線
遮蔽能を有する粒子と、リン酸カルシウム系化合物と
が、水等の水性媒体中に分散されたものである。
【0026】本発明の紫外線遮蔽性スラリーにおける紫
外線遮蔽能を有する粒子としては、前述と同様に、酸化
チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、酸化ジルコ
ニウム等の粒子が挙げられる。なお、本発明の紫外線遮
蔽性スラリーおよびその製造方法についての以下の記載
では、紫外線遮蔽能を有する粒子について、前述と同様
に酸化チタンで代表して説明するが、特に断りがない限
り酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム
においても同様である。。
【0027】また、酸化チタン粒子の表面を被覆する含
水酸化物およびリン酸カルシウム系化合物についても、
前述と同じものが挙げられる。本発明の紫外線遮蔽性ス
ラリーに占める、含水酸化物で表面を被覆した酸化チタ
ン粒子とリン酸カルシウム系化合物との合計量(固形
分)の割合は、スラリーの用途、必要とされる粘度等に
応じて適宜設定される。
【0028】前記固形分のうち、含水酸化物で表面を被
覆した酸化チタン粒子の含有率は10〜90重量%、好
ましくは40〜90重量%の範囲で設定される。酸化チ
タン粒子の含有率が前記範囲を下回ると、紫外線遮蔽性
スラリーの紫外線遮蔽効果が低下するおそれがある。ま
た、リン酸カルシウム系化合物の含有率が少なくなり過
ぎると、光触媒活性および熱触媒活性を充分に抑制でき
なくなるおそれがある。
【0029】本発明の紫外線遮蔽性スラリーの製造方法
には、(1) 水酸化カルシウムの懸濁液を撹拌しつつ、所
定の含水酸化物で表面を被覆した酸化チタン粒子を水に
分散した状態で混合し、次いで1〜10倍に希釈したリ
ン酸水溶液を滴下し、pHを9〜11に調節てリン酸カ
ルシウム系化合物を生成させる方法(第1の製造方法)
と、(2) 水酸化カルシウムの懸濁液を撹拌しつつ、1〜
10倍に希釈したリン酸水溶液を滴下し、pHを9〜1
1に調節してリン酸カルシウム系化合物を生成させ、次
いで所定の含水酸化物で表面を被覆した酸化チタン粒子
を水に分散した状態で混合する方法(第2の製造方法)
とがある。
【0030】上記第1および第2の製造方法において、
水酸化カルシウムの懸濁液は、その濃度が50重量%以
下となるように設定するのが好ましい。水酸化カルシウ
ムの懸濁液にリン酸水溶液を滴下することにより、非晶
質のリン酸カルシウム系化合物を得ることができる。こ
の際、リン酸水溶液の濃度や滴下速度を適宜調整するこ
とによって、生成するリン酸カルシウム系化合物の粒径
を調節できる。本発明においては、リン酸カルシウム系
化合物の粒径は0.1μm以下に設定するのが好まし
い。
【0031】リン酸水溶液の滴下量は、カルシウムとリ
ンとのモル比が1:1〜2:1となるように、かつスラ
リーのpHが9〜11の範囲となるように調節される。
スラリーのpHが9を下回ると、リン酸カルシウム系化
合物の結晶性が上昇して、結晶水が脱落する。その結
果、得られる紫外線遮蔽性スラリーの皮脂等に対する吸
着が低下するおそれが生じる。一方、スラリーのpHが
11を超えると、水酸化カルシウムの未反応物が残存す
るおそれが生じる。
【0032】水酸化カルシウムの懸濁液(または水酸化
カルシウムの懸濁液にリン酸水溶液を滴下した後の懸濁
液)と、所定の含水酸化物で表面を被覆した酸化チタン
粒子の分散液を混合する際の懸濁液の温度は90℃以下
であるのが好ましく、50℃以下であるのがより好まし
い。また、水酸化カルシウムの懸濁液(または水酸化カ
ルシウムの懸濁液に、所定の含水酸化物で表面を被覆し
た酸化チタン粒子の分散液を混合した後の懸濁液)に対
して、リン酸水溶液を滴下する際の懸濁液の温度は90
℃以下であるのが好ましく、50℃以下であるのがより
好ましい。懸濁液の温度が高くなるほど、非晶質リン酸
カルシウムの結晶性が上昇して結晶水が脱落し、吸着性
能等が不十分になるおそれがある。
【0033】上記第1または第2の製造方法で得られた
紫外線遮蔽性を有するスラリーは、表面に前記含水酸化
物を被覆した紫外線吸収能を有する粒子と、リン酸カル
シウム系化合物とを複合一体化させたものを含有するも
のである。この、紫外線吸収能を有する前記粒子と、リ
ン酸カルシウム系化合物とを複合一体化させたものは、
微粒子状または略球状である。
【0034】〔本発明の紫外線遮蔽性粒子の製造方法〕
本発明の紫外線遮蔽性粒子は、上記紫外線遮蔽性スラリ
ーの製造方法(第1および第2の製造方法)によって得
られた紫外線遮蔽性を有するスラリーを乾燥したもので
ある。また、本発明の紫外線遮蔽性粒子は、アルミニウ
ム、ケイ素およびジルコニウムからなる群より選ばれる
少なくとも1種の金属の含水酸化物で表面を被覆した紫
外線遮蔽能を有する粒子と、リン酸カルシウム系化合物
とを水性媒体に分散し、こうして得られたスラリーを乾
燥することによって製造することもできる。
【0035】乾燥の方法としては特に限定されないが、
粒子の比表面積を大きくできる方法であるのが好まし
く、例えば噴霧造粒法等の、任意の粒径を有する粒子に
乾燥・造粒することができる方法が好適に用いられる。
しかし、造粒乾燥する場合、酸化チタン等の紫外線遮蔽
能を有する粒子が90重量%以上となると粘度が高くな
るので、造粒に不適となる。好ましい酸化チタン等の紫
外線遮蔽能を有する粒子の濃度としては1〜90重量%
である。
【0036】他の造粒法としては、フリーズドライ後に
粉砕する造粒法、高速攪拌型造粒法等が挙げられる。さ
らに、濾過、遠心脱水、フィルタープレス、吸引濾過法
などで脱水した後、乾燥機などで乾燥し、その後粉砕機
等を用いて微粉砕する方法であってもよい。 〔化粧料〕本発明の化粧料としては、例えば、ファンデ
ーション、口紅、アイシャドウ、チーク、ネイルカラー
等のメイクアップ化粧料;シャンプー、リンス、コンデ
ィショナー、ヘアートリートメント等の頭髪化粧料;乳
液、ローション、クリーム、クレンジング、パック、サ
ンスクリーン剤、化粧下地料等の基礎化粧料;デオドラ
ント、入浴剤、ボディシャンプー、石鹸、香水等が挙げ
られる。また、本発明の化粧料にはエアゾール型化粧料
も含まれる。
【0037】本発明の化粧料において、紫外線遮蔽性粒
子および紫外線遮蔽性を有するスラリーの配合量は、化
粧料の総量に対して0.1〜99重量%が好ましく、さ
らに好ましくは0.5〜50重量%である。本発明の化
粧料に配合される紫外線遮蔽性粒子および紫外線遮蔽性
を有するスラリーは、あらかじめ表面処理が施されてい
てもよい。表面処理には、例えばフッ素化合物処理、シ
リコーン処理、金属石鹸処理、アシル化リジン処理、油
剤処理、シラン処理、アミノ酸処理、ワックス処理、金
属酸化物処理等の、従来より化粧料の配合成分に施され
ている処理が挙げられる。
【0038】本発明の化粧料は、本発明の複合粒子紫外
線遮蔽性粒子または紫外線遮蔽性を有するスラリーとと
もに、従来より化粧料に配合されている油剤、粉体類
(顔料、色素)、樹脂、界面活性剤、粘剤、防腐剤、香
料、紫外線吸収剤(有機系、無機系を含む)、保湿剤、
生理活性成分、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、
中和剤、pH調整剤等の成分を配合することができる。
【0039】油剤の例としては、例えばセチルアルコー
ル、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、
ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等の高
級アルコール;イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オ
レイン酸等の脂肪酸;グリセリン、ソルビトール、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレン
グリコール等の多価アルコール;ミリスチン酸ミリスチ
ル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチ
ン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシ
ル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、
モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリ
ン酸オクチル等のエステル類;流動パラフィン、イソパ
ラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素;ラノリ
ン、還元ラノリン、カルナバロウ等のロウ;ミンク油、
カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒ
マシ油、オリーブ油等の油脂などが挙げられる。
【0040】また、上記例示の油剤のほかにも、シリコ
ーン化合物系の油剤やフッ素化合物系の油剤を使用する
こともできる。シリコーン化合物系の油剤としては、例
えばジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポ
リシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエ
ーテル変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オル
ガノポリシロキサン、糖変性シリコーン、グリセリル変
性シリコーン、アモジメチコーン、アミノ変性オルガノ
ポリシロキサン、シリコーンゲル、アクリルシリコー
ン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム
等が挙げられる。フッ素化合物系の油剤としては、例え
ばパーフルオロデカリン等のフルオロカーボン類;パー
フルオロポリエーテル、フッ化ピッチ、パーフルオロア
ルキル鎖を有するフルオロアルコールなどのアルコール
類;パーフルオロアルキルリン酸エステルトリエタノー
ルアミン塩等のリン酸エステル類;フルオロアルキル鎖
を有するカルボン酸類、フルオロアルキル変性シリコー
ン、フッ素・ポリエーテル共変性シリコーン、フッ素化
シリコーン樹脂などが挙げられる。
【0041】粉体類の例としては、ナイロンビーズ、シ
リコーンビーズ、テフロン、シリコーンエラストマー等
の樹脂粉体;黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化ク
ロム、酸化コバルト、カーボンブラツク、群青、紺青、
酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ
素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、雲母チタン、硫
酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸
アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭化珪素、有機色
素、レーキ、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒
子酸化鉄、セリサイト、マイカ、雲母、タルク、板状硫
酸バリウム等が挙げられる。これらの粉体類は、さらに
シリコーン処理、フツ素化合物処理、シランカップリン
グ剤処理、シラン処理、有機チタネート処理、アシル化
リジン処理、脂肪酸処理、金属石鹸処理、油剤処理、ア
ミノ酸処理、ワックス処理、金属酸化物処理等の表面処
理を施したものであってもよい。
【0042】界面活性剤としては、例えばアニオン型界
面活性剤、カチオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性
剤、ベタイン型界面活性剤を用いることができる。生理
活性成分としては、例えば抗炎症剤、血行促進剤、ビタ
ミン類、チロシナーゼ活性阻害剤、尿素等が挙げられ
る。溶媒としては、例えば精製水、メタノール、エタノ
ール、イソプロピルアルコール、エーテル、LPG、揮
発性シリコーン、軽質流動イソパラフィン、代替フロン
等が挙げられる。なお、精製水の代わりにミネラルウォ
ーターを使用することも可能である。
【0043】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。 参考例 (含水酸化物で被覆された酸化チタン粒子の作製)ルチ
ル型酸化チタン粒子(TiO2 、石原産業(株)製の
「TTO−51」、一次粒子の平均粒径0.02μm)
を水に懸濁させ、得られた水性スラリーを撹拌しなが
ら、塩酸を添加してpHを2.0に調整した。この水性
スラリーにオキシ塩化ジルコニウム水溶液を、ジルコニ
ア(ZrO2 )で換算したときの添加量が酸化チタン
(TiO2 )に対して5重量%となるように添加して、
しばらく撹拌した。攪拌後、水酸化ナトリウム水溶液を
添加して水性スラリーを中性に調整することにより、前
記酸化チタン粒子の表面にジルコニアの含水酸化物を被
覆させた。
【0044】次いで、ケイ酸ナトリウム水溶液を、シリ
カ(SiO2 )で換算したときの添加量が酸化チタン
(TiO2 )に対して5重量%となるように調整して、
水酸化ナトリウムとともに時間をかけて添加した。水性
スラリーのpHは最終的に7.0となるように調節し
た。さらに、アルミン酸ナトリウム水溶液を、アルミナ
(Al2 3 )で換算したときの添加量が酸化チタン
(TiO2 )に対して8重量%となるように調整して、
硫酸とともに時間をかけて添加した。この際、水性スラ
リーのpHが7付近となるように硫酸の添加量を調節し
た。
【0045】こうして得られた水性スラリーをしばらく
撹拌して熟成した後、濾過、乾燥し、小型ジェットミル
(日清エンジニアリング製)で粉砕した。こうして、表
面にジルコニウム、ケイ素およびアルミニウムの含水酸
化物を被覆した酸化チタン粒子を得た。 実施例1 (紫外線遮蔽性を有するスラリーの製造)イオン交換水
10リットル中に水酸化カルシウム〔Ca(OH)2
500gを入れて、攪拌機にて混合した。
【0046】こうして得られた懸濁液の中に、上記参考
例で得られた、表面にジルコニウム、ケイ素およびアル
ミニウムの含水酸化物を被覆した酸化チタン粒子500
gを水1000mlに分散させた状態で混入した。得ら
れたスラリー(懸濁液)を攪拌しながら、85%リン酸
を3倍量のイオン交換水で希釈して得られたリン酸水溶
液1380gを1.5時間かけて徐々に滴下した。
【0047】こうして、表面にジルコニウム、ケイ素お
よびアルミニウムの含水酸化物を被覆した酸化チタン粒
子と、非晶質のリン酸カルシウム系化合物とを含有する
スラリー得た。なお、実施例1におけるスラリーの製造
方法は、本発明の第1の製造方法によるものである。 (紫外線遮蔽性粒子の製造)こうして得られた、上記酸
化チタン微粒子と非晶質リン酸カルシウム系化合物とを
含むスラリーを、定量ポンプによりスプレードライヤー
(大川原化工機械社製の「L−8」)に供給し、そのア
トマイザーを高速回転させることにより、噴霧造粒法に
よる造粒乾燥を行って、紫外線遮蔽性粒子を得た。
【0048】造粒乾燥により得られた紫外線遮蔽性粒子
はサイクロンにより採取した。サイクロンにより採取さ
れた紫外線遮蔽性粒子の平均粒子径は10μmであっ
た。一方、サイクロンにより採取できない超微粉体はバ
グフィルターにより採取した。なお、上記定量ポンプに
よるスラリーの供給速度は1〜3kg/hで行い、スプ
レードライヤーにおけるエアフィルターを介して、電気
ヒーターによって加温された空気の熱ガス室の入口温度
を200〜250℃に制御し、サイクロンにつながる排
出孔における出口温度を80℃以下にならないように制
御した。また、アトマイザーの回転数は10000〜3
7000rpmの範囲内に設定した。
【0049】実施例1で得られた紫外線遮蔽性粒子にお
ける、含水酸化物で被覆された酸化チタンの含有比率は
50重量%であった。 実施例2 イオン交換水10リットル中に水酸化カルシウム〔Ca
(OH)2 〕500gを入れて、攪拌機にて混合した。
【0050】こうして得られたスラリー(懸濁液)の中
に、85%リン酸を3倍量のイオン交換水で希釈して得
られたリン酸水溶液1380gを1.5時間かけて徐々
に滴下して、非晶質リン酸カルシウム系化合物のスラリ
ーを得た。次いで、こうして得られたスラリーの中に、
上記参考例で得られた、表面にジルコニウム、ケイ素お
よびアルミニウムの含水酸化物を被覆した酸化チタン微
粒子500gを水1000mlに分散させた状態で混入
した。こうして、表面にジルコニウム、ケイ素およびア
ルミニウムの含水酸化物を被覆した酸化チタン微粒子
と、非晶質のリン酸カルシウム系化合物とを含有するス
ラリーを得た。
【0051】なお、実施例2におけるスラリーの製造方
法は、本発明の第2の製造方法によるものである。次い
で、こうして得られたスラリーを使用し、上記実施例1
の「紫外線遮蔽性粒子の製造」と同様にして、紫外線遮
蔽性粒子を製造した。実施例2で得られた紫外線遮蔽性
粒子における、含水酸化物で被覆された酸化チタンの含
有比率は50重量%であった。
【0052】実施例3 イオン交換水10リットル中に水酸化カルシウム〔Ca
(OH)2 〕100gを入れて、攪拌機にて混合した。
こうして得られたスラリー(懸濁液)の中に、上記参考
例で得られた、表面にジルコニウム、ケイ素およびアル
ミニウムの含水酸化物を被覆した酸化チタン微粒子90
0gを水1500mlに分散させた状態で混入した。
【0053】次いで、得られたスラリー(懸濁液)を攪
拌しながら、85%リン酸を3倍量のイオン交換水で希
釈して得られたリン酸水溶液276gを0.5時間かけ
て徐々に滴下した。こうして、表面にジルコニウム、ケ
イ素およびアルミニウムの含水酸化物を被覆した酸化チ
タン微粒子と、非晶質のリン酸カルシウム系化合物とを
含有するスラリーを得た。
【0054】なお、実施例3におけるスラリーの製造方
法は、本発明の第1の製造方法によるものである。次い
で、こうして得られたスラリーを使用し、上記実施例1
の「紫外線遮蔽性粒子の製造」と同様にして、紫外線遮
蔽性粒子を製造した。実施例3で得られた紫外線遮蔽性
粒子における、含水酸化物で被覆された酸化チタンの含
有比率は90重量%であった。
【0055】比較例1 イオン交換水10リットル中に水酸化カルシウム〔Ca
(OH)2 〕500gを入れて、攪拌機にて混合した。
こうして得られたスラリー(懸濁液)の中に、金属の含
水酸化物で被覆されていないルチル型酸化チタン微粒子
(TiO2 、テイカ(株)製の「MT−150W」)5
00gを水1000mlに分散させた状態で混入した。
【0056】次いで、得られたスラリー(懸濁液)を攪
拌しながら、85%リン酸を3倍量のイオン交換水で希
釈して得られたリン酸水溶液1380gを1.5時間か
けて徐々に滴下した。こうして、上記酸化チタン微粒子
と、非晶質のリン酸カルシウム系化合物とを含有するス
ラリー得た。さらに、こうして得られたスラリーを使用
し、上記実施例1の「紫外線遮蔽性粒子の製造」と同様
にして、紫外線遮蔽性粒子を製造した。
【0057】比較例1で得られた紫外線遮蔽性粒子にお
ける酸化チタンの含有比率は50重量%であった。 触媒活性測定用試料の作製 実施例1〜3および比較例1において得られた紫外線遮
蔽性粒子を小型ジェットミル(日清エンジニアリング
製)で平均粒径が0.8μmとなるように粉砕して、測
定用試料とした。ルチル型酸化チタン粒子〔TiO2
前出の「MT−150W」〕をそのまま使用して、比較
例2の試料とした。また、上記参考例で得られた、表面
にジルコニウム、ケイ素およびアルミニウムの含水酸化
物を被覆した酸化チタン微粒子をそのまま使用して、比
較例3の試料とした。
【0058】光触媒活性の測定 光触媒活性は、エタノールの分解減少率によって評価し
た。すなわち、密閉ガラス容器に100ppmのエタノ
ール水溶液を入れ、さらに上記試料を添加した上で、ス
ターラーで攪拌しながら紫外線ランプを照射し、4時間
経過後および15時間経過後のエタノールの減少率
(%)をスチームクロマトグラムにて測定した。
【0059】以上の結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】熱触媒活性の測定I (L−アスコルビン酸の誘導体の変質)熱触媒活性は、
L−アスコルビン酸の誘導体の変質に伴う黄変(変色)
をもとにして評価した。すなわち、密閉ガラス容器にL
−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム3%水溶
液4mlと、上記試料2.0mgを添加し、40℃およ
び50℃の温度環境に設定されたオーブンに3ヶ月間放
置して、L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウ
ム水溶液の色の変化を観察した。
【0062】評価の基準は次のとおりである。 −:着色が観察されなかった。 +:わずかに着色した。 ++:着色が顕著であった。 以上の結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】熱触媒活性試験II 熱触媒活性の他の評価として、化粧料のモデルを使用
し、その変質に伴う着色変化をもとに熱触媒活性を評価
した。すなわち、密閉ガラス容器に、ジメチルポリシロ
キサン(信越化学工業(株)製の「KF96A−100
cs」)10g、スクアラン10gおよびオレインオク
トドデシル10gと、上記試料0.1gを添加して分散
した。次いで、こうして得られた化粧料のモデルを、9
0℃の温度環境に設定されたオーブンに放置して、着色
変化を確認した。評価の基準は前述と同じである。
【0065】以上の結果を表3に示す。
【0066】
【表3】
【0067】表1〜3より明らかなように、比較例1〜
3では光触媒活性および熱触媒活性を充分に抑制できな
かったのに対し、実施例1〜3の紫外線遮蔽性粒子で
は、光触媒活性および熱触媒活性が充分に抑制された。 紫外線吸収率の測定 上記「光触媒活性の測定」に使用した試料のうち、実施
例1および3、比較例2の試料を用いて、紫外線吸収率
(%)を測定した。
【0068】すなわち、各試料を重量比で10%となる
ようにジメチルポリシロキサン(前出の「KF96A−
100cs」)中に攪拌、分散し、これを石英ガラス板
上に5μmの厚みで塗布した。次いで、自立分光光度計
を用いて、250〜600nmの波長領域での透過率を
測定した。測定結果を図1および2に示す。図1および
2より明らかなように、実施例1〜3の紫外線遮蔽性粒
子は、250〜400nmの波長領域での紫外線透過率
が充分に低下しており、当該波長領域で紫外線を充分に
吸収していることがわかる。すなわち当該波長領域での
紫外線の遮蔽効果が優れていることがわかる。なお、か
かる波長領域での紫外線の吸収率は、比較例2のルチル
型酸化チタンと同程度であった。
【0069】また、実施例1の結果から、ルチル型酸化
チタン(比較例2)と同程度の紫外線吸収率を得るに
は、紫外線遮蔽性粒子中の酸化チタンの含有比率が50
重量%あれば充分であることがわかる。
【0070】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
紫外線遮蔽能に優れるとともに、光触媒活性および熱触
媒活性が充分に抑制された紫外線遮蔽性粒子および紫外
線遮蔽性を有するスラリーが得られる。かかる粒子およ
びスラリーは、塗料、ゴム、プラスチック、セラミック
ス等の配合成分として好適に用いられる。とりわけ、L
−アスコルビン酸とその誘導体のように安定性の低い配
合成分についても分解、劣化が起こしにくいため、前記
粒子およびスラリーを含有する化粧料は、優れた紫外線
遮蔽能を有するだけでなく、安定性にも優れたものとな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および3の紫外線遮蔽性粒子における
紫外線吸収率を示すグラフである。
【図2】ルチル型酸化チタン(比較例2)の紫外線吸収
率を示すグラフである。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム、ケイ素およびジルコニウム
    からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属の含水酸
    化物で表面を被覆した紫外線遮蔽能を有する粒子と、リ
    ン酸カルシウム系化合物とを複合一体化させたことを特
    徴とする紫外線遮蔽性粒子。
  2. 【請求項2】リン酸カルシウム系化合物が非晶質である
    請求項1記載の紫外線遮蔽性粒子。
  3. 【請求項3】紫外線遮蔽能を有する粒子が、酸化チタ
    ン、酸化亜鉛および酸化セリウムからなる群より選ばれ
    る少なくとも1種の粒子である請求項1記載の紫外線遮
    蔽性粒子。
  4. 【請求項4】アルミニウム、ケイ素およびジルコニウム
    からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属の含水酸
    化物で表面を被覆した紫外線遮蔽能を有する粒子と、リ
    ン酸カルシウム系化合物とを含有することを特徴とする
    紫外線遮蔽性を有するスラリー。
  5. 【請求項5】リン酸カルシウム系化合物が非晶質である
    請求項4記載の紫外線遮蔽性を有するスラリー。
  6. 【請求項6】紫外線遮蔽能を有する粒子が、酸化チタ
    ン、酸化亜鉛および酸化セリウムからなる群より選ばれ
    る少なくとも1種の粒子である請求項4記載の紫外線遮
    蔽性を有するスラリー。
  7. 【請求項7】アルミニウム、ケイ素およびジルコニウム
    からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属の含水酸
    化物で表面を被覆した紫外線遮蔽能を有する粒子を、水
    酸化カルシウムの懸濁液に分散し、次いでリン酸水溶液
    を滴下し、pHを9〜11に調節してリン酸カルシウム
    系化合物を生成させることを特徴とする紫外線遮蔽性を
    有するスラリーの製造方法。
  8. 【請求項8】水酸化カルシウムの懸濁液にリン酸水溶液
    を滴下し、pHを9〜11に調節してリン酸カルシウム
    系化合物を生成させ、次いでアルミニウム、ケイ素およ
    びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種
    の金属の含水酸化物で表面を被覆した紫外線遮蔽能を有
    する粒子を分散することを特徴とする紫外線遮蔽性を有
    するスラリーの製造方法。
  9. 【請求項9】請求項7または8記載の製造方法によって
    得られた紫外線遮蔽性を有するスラリーを乾燥すること
    を特徴とする紫外線遮蔽性粒子の製造方法。
  10. 【請求項10】スラリーを噴霧して乾燥する請求項9記
    載の紫外線遮蔽性粒子の製造方法。
  11. 【請求項11】請求項1〜3のいずれかに記載の紫外線
    遮蔽性粒子を含有することを特徴とする化粧料。
  12. 【請求項12】請求項4〜6のいずれかに記載の紫外線
    遮蔽性を有するスラリーを含有することを特徴とする化
    粧料。
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