JP5053641B2 - 熱可塑性オレフィン系組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、全般的には、0.91g/cc未満の密度を有する少なくとも1つの剪断敏感性エチレン/アルファ(α)−オレフィン(EAO)インターポリマーおよび少なくとも1つのポリプロピレンポリマーを50/50以上のEAO:ポリプロピレンの重量比で含んでなる熱可塑性オレフィン系組成物と、このような組成物を製造物品の製造方法において使用することに関する。本発明は、特に、この剪断敏感性EAOが高レベルのT−タイプの長鎖分岐、8と70の間の加工流動性比(PRR)、200,000よりも大きい0.1ラジアン/秒(190℃)剪断粘度、および5よりも大きい溶融強度を有するオレフィン系組成物と、このような組成物を押し出し、カレンダー加工、ブロー成形、発泡、および加熱成形法において使用することに関する。
米国特許第6,372,847号において、Woutersは熱可塑性オレフィンエラストマーブレンド(TPO)を開示している。Woutersにより説明されているように、TPOは、ポリプロピレンが連続マトリックスを形成し、そしてエラストマーおよび充填剤が分散相である多相ポリマー系である。言い換えれば、TPOは多量のポリプロピレンと少量のエラストマーを含んでなり、所望の構造物を形成する。WoutersのTPOは、プロピレンベースのポリマーと少なくとも8のMLRA/ML比および約74〜約95モルパーセントのエチレン含量を有するエチレン/α−オレフィンエラストマーのブレンドである。MLRA/MLは、Woutersが長鎖分岐の量の表示に使用しているポリマー緩和の尺度である。3未満のMLRA/MV値を有するいかなるポリマーも本質的に線状の構造を有すると考えられる(欄7、行21−22)。Woutersは、少なくとも8のMLRA/ML比のエラストマーが適切に高いレベルの長鎖分岐をもたらす必要があるということを主張している。このようなエラストマーを含んでなるTPOが改善された低温靭性を有するものとして開示されている。加えて、Woutersの実施例における長鎖分岐は、H−タイプ分岐剤、例えばビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、およびノルボナジエンとバナジウム触媒を使用することにより専ら得られ、Woutersの比較例における長鎖分岐はT−タイプ分岐により得られたものであった。
WO00/26268においては、Cadyらは、長鎖分岐が存在することを示す少なくとも4のPRRを特徴とするエチレン/α−オレフィンインターポリマーを開示している。この開示の更なる態様は前記インターポリマーとある量の結晶性ポリオレフィン樹脂を含んでなるポリマーブレンド組成物である。望ましいこととしては、このインターポリマーは50重量部未満の量で存在し、そして望ましいこととしては、この結晶性ポリオレフィン樹脂は50重量部以上の量で存在する。
エラストマー系パーツの製造者は、特に多量のエラストマーを含んでなる組成物に対しては高度の生産性、改善された品質と広い市場のいくらかあるいは全部の獲得を可能とさせる加工特性のエラストマーを探索し続けている。エラストマー系組成物の構成部材によりパーツを製造するのに使用される慣用の方法は、限定ではないが、プロフィール押し出し、フィルム押し出し、シート押し出し、カレンダー加工、ブロー成形、ブローフィルム、および加熱成形法を含む。特別なポリマーあるいはポリマーブレンドが特別な方法および/またはパーツに有用であるかどうかを測定する多くの方法がある。これらの測定技術の一部の例は、溶融強度(MS)、剪断減粘指数、ゼロ剪断粘度、分子量、分子量分布、クリープ抵抗(高温クリープおよびクリープセット)、長鎖分岐度(LCB)、ゲル含量、伸び、および引っ張り強さを含む。特定の用途に依って、これらの性質のあるものは他のものよりも重要である。これらの性質のあるものの改善は、このようなエラストマー系パーツに関する生産性、品質および市場の広さに直接的な影響を及ぼす。
プロフィール押し出し法を使用する場合、製造者は、「剪断減粘する」(言い換えれば剪断敏感性である)あるいは印加剪断力と共に粘度が減少するエラストマーを通常所望する。押し出し機ダイにおける圧力低下および押し出し機スクリューの回転に必要とされる電流はエラストマー粘度に直接に関連するために、剪断減粘によるエラストマー粘度の低下は、圧力低下の減少および電流必要量の低下を必然的に生じる。次に、この製造者は、電流または圧力低下により決められた限界に達するまで押し出し機スクリュー速度を増加させることができる。スクリュー速度の増加は押し出し機の押し出し量の増加に転換される。剪断減粘の増加は、押し出し機の押し出し量を制限する現象である表面メルトフラクチュア(OSMF)の開始も遅らせる。表面メルトフラクチュアは通常品質欠陥と考えられる。製造者は、通常、押し出し機の押し出し量を制限し、そして表面メルトフラクチュアを実質的に無くする生産速度とするには生産性の損失を蒙る。
薄壁および複雑な形状のプロフィール押し出し物を製造する場合、製造者は、良好な剪断減粘挙動に加えて高MSで、冷却時に迅速な固化するエラストマーを探す。高MSと冷却時に迅速な固化の組み合わせによって、パーツを高温に押し出し、そして重力と押し出し力が形状歪を生じる前に、エラストマーの固化温度以下に冷却することが可能となる。最終的に、広く市場で受け入れられるためには、完成パーツは加工、出荷または最終使用時の高温への短時間暴露に拘わらずその形状も保持しなければならない。
エラストマー系の押し出しフィルムとブローフィルムとカレンダー加工されたシートを製造する製造者は、プロフィール押し出し物を使用するのと同一の特性を追求する。剪断減粘流動性の改善あるいは増大は、OSMFの前にフィルムあるいはシートの厚さの付随する変動を伴って製造速度の向上を生じる。高MSはブローフィルム操作において泡安定性を促進し、そして加熱成形によりこのようなフィルムを更に加工するための広い操作窓をもたらす。高MSはカレンダー加工時のロール離れも促進する。迅速な固化または高温における固化によって、エンボスされたカレンダー加工プロフィール品が潰れたり、あるいは消滅しないようになる。射出成形の場合のように、クリープ抵抗の増大は得られるフィルムおよびシートに対する潜在的な市場の膨張を生じる。
カレンダー加工およびブロー成形操作において高い溶融強度およびクリープ抵抗を有する組成物が所望される。多くの場合、カレンダーロールは組成物を溶融ロッドの形で供給される。この溶融組成物はカレンダーロールにわたって拡がることができなければならない。加えて、シート形成の後、高温シートは冷却するまでクリープまたは垂れ下がりへの抵抗性を示さなければならない。
高い溶融強度およびクリープ抵抗を有する組成物は加熱成形用途にも好ましい。加えて、高温におけるこの組成物の引っ張りの性質はこれらの用途に対して重要である。例えば、インストルメントパネルスキン材料を製造する一つの方法は、エンボスされたシートをカレンダー加工するか、あるいは押し出すことである。次に、このシートはインストルメントパネルの輪郭に真空加熱成形される。コンパウンドの加熱成形性を決める一つの方法は高温応力−歪挙動を評価することによるものである。しばしば、可撓性ポリプロピレン熱可塑性(TPO)シートはポリプロピレン相の融点以下の温度で加熱成形される。加熱成形法は二軸引っ張りの一つであるが、加熱成形温度における引っ張り試験を使用して、加熱成形および列理保持挙動を比較することができる。エンボスされた列理の山と谷は厚さの大きい領域および厚さの小さい領域であり、列理を見ると、谷は山領域よりも狭く、低光沢であることが示される。スキンを加熱成形する場合、薄い領域は大きな応力を受け、そしてこれらの領域における大きな印加応力は伸びを薄い谷領域に集中させる。これらの領域は優先的に伸び、そして材料が更に均等に伸びるように設計可能でない限り、魅力的な「狭い谷、広い山」の外観が失われ、「列理消滅」と呼ばれる。歪硬化は、既に歪を与えられた材料の領域が硬くなり、以降の伸びを歪を与えられていない領域に移行させる性質である。このように、歪硬化によって、加熱成形されたスキンは更に均等に分散された伸びと最小化された列理消滅を呈することが可能となる。
このタイプの用途に対してポリマーおよびポリマーブレンドの性能を改善する試みにおいて種々の方法が使用されてきた。一つの方法は、HeckらによりWO98/32795で開示されているようなTPE組成物の流動性変成である。この組成物は、エラストマー系EAOポリマーあるいはEAOポリマーブレンドおよび高融解ポリマーを含んでなる。望ましいこととしては、この組成物は、EAOポリマーまたはEAOポリマーブレンドを約50〜約90重量%の量で、そして高融解性ポリマーを約50〜約10重量%の量で含有する。両方のパーセントは組成物重量基準のものである。この好ましいエラストマー系EAOポリマーは、流動性変成の前には、骨格中で1000個の炭素当たり0.01〜3個の長鎖分岐により置換されたポリマー骨格を有する実質的に線状のエチレンポリマーである。流動性変成はペルオキシドおよび輻射線を含む種々の手段により誘起可能である。Heckらの組成物は、少なくとも20の剪断減粘指数(STI)、流動性変成をしない組成物の少なくとも1.5倍の溶融強度(MS)、流動性変成をしない組成物より少なくとも10℃高い固化温度(ST)、および流動性変成しない組成物より少なくとも10℃高い上限使用温度(UST)限界の4つの性質の組み合わせを呈し、この組成物を高温工程に適したものとする。しかしながら、これらの組成物は自動車パーツおよびブーツシャフトに使用されるなど高温用途において有用であるが、流動性変成は余計な段階であり、輻射線は高価であり、そしてペルオキシド副生物は望ましくない残存する悪臭を残すことがある。種々の高温用途、例えば押し出し、カレンダー加工、ブロー成形および加熱成形に対する同等のあるいは卓越した性能の組成物を製造するための安価で、容易な方法を見出す必要性がなお存在する。
驚くべきことには、特定の特性を有するしかるべき多量の高長鎖分岐のEAOポリマーを種々のタイプの少量のポリプロピレンポリマーと共に単純に含んでなる組成物がペルオキシドまたは他の流動性変成剤を必要とせずに、カレンダー加工、押し出し、ブロー成形、発泡、および加熱成形操作で使用するための優れた物理的性質を有するブレンド組成物をもたらすことが見出された。本発明の一つの態様は、高レベルのT−タイプ長鎖分岐、0.91g/cc未満の密度、8と70の間の加工流動性比(PRR)、200,000以上の0.1ラジアン/秒粘度および5以上の溶融強度を有する少なくとも1つのEAOインターポリマーと、ポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン/α−オレフィンコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのポリプロピレンポリマーを含んでなる熱可塑性オレフィン系組成物である。
本発明の第二の態様は、第一の態様の熱可塑性オレフィン系組成物から加工される少なくとも1つのこれらの構成部材を含んでなる製造物品である。この組成物によって、比較的長い流れ経路および狭い流れチャンネルと組み合わされた好適な上限圧力限界を持つ装置、例えばカレンダー加工、押し出し、ブロー成形および/または加熱成形法を用いて製造物品の形成が容易に可能となる。
本発明の組成物は少なくとも1つのEAOインターポリマーを含んでなる。「インターポリマー」は、この明細書で使用されるように、少なくとも2つのモノマーをその中に重合したポリマーを指す。これは、例えばコポリマー、ターポリマーおよびテトラポリマーを含む。これは、特に、エチレンを少なくとも1つのコモノマー、通常3〜20個の炭素原子(C3−C20)のアルファオレフィン(α−オレフィン)と重合させることにより製造されるポリマーを含む。例示のα−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、ブタジエン、およびスチレンを含む。このα−オレフィンは望ましくはC3−C10α−オレフィンである。例示のポリマーは、エチレン/プロピレン(EP)コポリマー、エチレン/ブテン(EB)コポリマー、エチレン/オクテン(EO)コポリマー、エチレン/アルファ−オレフィン/ジエン変成(EAODM)インターポリマー、例えばエチレン/プロピレン/ジエン変成(EPDM)インターポリマーおよびエチレン/プロピレン/オクテンターポリマーを含む。好ましいコポリマーはEP、EB、エチレン/ヘキセン−1(EH)およびEOポリマーを含む。
本発明のこのEAOインターポリマーは現行の市販のEAOポリマーに比較して極めて長鎖分岐である。LCBをポリマー骨格の中に組み込むことは永い間既知であり、実施されてきた。米国特許第3,821,143号においては、LCBを有するエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)ポリマーの製造に1,4−ヘキサジエンが分岐モノマーとして使用された。このような分岐剤は時にはH分岐剤と呼ばれる。米国特許第6,300,451号および第6,372,847号もLCBを有するポリマーを製造するのに種々のHタイプ分岐剤を使用する。米国特許第6,278,272号においては、拘束構造の触媒(CGC)は、ビニル末端マクロモノマーをポリマー骨格の中に組み込んで、LCBポリマーを形成する能力を有することが見出された。このような分岐はTタイプ分岐と呼ばれる。
上記の米国特許第6,278,272号は、このようなCGCが大きな不飽和分子をポリマー骨格の中に組み込む能力の点で独特であるということを教示している。これらのCGCにより組み込み可能なLCBの量は、0.01個LCB/1000個炭素原子〜3個LCB/1000個炭素原子である。分子中のLCBの度合いを定義するのに使用可能な種々の他の方法がある。一つのこのような方法は米国特許第6,372,847号で教示されている。この方法は、MLRA/ML比の計算にムーニー応力緩和データを使用する。MLRAはムーニー緩和面積であり、そしてMLはこのポリマーのムーニー粘度である。もう一つの方法は、ポリマー中のLCBのレベルを計算するのにインターポリマー粘度を使用するPRRである。
インターポリマーの粘度は、0.1〜100ラジアン/秒で行われる動的掃引下で動的メカニカルスペクトロメーター(RheometricsからのRMS−800またはARES)を用いて、0.1−100ラジアン/秒の範囲内の剪断速度において、そして190℃において窒素雰囲気下でポイズ(ダイン−秒/平方センチメートル(d−sec/cm2))で簡便に測定される。0.1ラジアン/秒および100ラジアン/秒における粘度は、それぞれV0.1およびV100と表され得、この2つの値の比はRRと呼ばれ、そしてV0.1/V100と表される。PRRは次式によって算出される。
PRR=RR+[[3.82−インターポリマームーニー粘度(125℃におけるML1+4)]×0.3]
本発明のEAOインターポリマーは、8と70の間の、好ましくは12と60の間の、更に好ましくは15と55の間の、そして最も好ましくは18と50の間のPRRを有する。通常のレベルのLCBを有する現在市販されているEAO樹脂は、通常、3未満のPRR値を有する。70のPRRは7.6のMLRA/MV値に同等である。
本発明のインターポリマー中のLCBのタイプは、H−タイプ分岐に相対するT−タイプ分岐である。T−タイプ分岐は、通常、エチレンまたは他のアルファオレフィンを鎖末端不飽和のマクロモノマーとメタロセン触媒の存在下WO00/26268で述べられているものなどの適切な反応器条件下で共重合させることにより得られる。極端に高いレベルのLCBを所望する場合には、T−タイプ分岐はLCB度に対して実用的な上限を有するので、H−タイプ分岐が好ましい方法である。WO00/26268で述べられているように、T−タイプ分岐のレベルが増加するのに従って、製造工程の効率またはスループットは製造が経済的に継続不能となる点に達するまで著しく減少する。測定され得るゲルが無く、T−タイプLCBのレベルが極めて高いT−タイプLCBポリマーがメタロセン触媒により容易に製造可能である。成長ポリマー鎖の中に組み込まれるマクロモノマーは唯一の反応性不飽和部位を有するために、得られるポリマーは種々の長さの側鎖をポリマー骨格に沿って異なる間隔で含有するのみである。
H−タイプ分岐は、通常、エチレンまたは他のアルファオレフィンを重合過程で非メタロセンタイプの触媒と反応性のある2つの二重結合を有するジエンと共重合させることにより得られる。名称が示唆するように、このジエンは一方のポリマー分子を他方のポリマー分子にジエン架橋により結合し、得られるポリマー分子はHに類似して、長鎖分岐よりもむしろ架橋と記述され得る。極めて高レベルの分岐を所望する場合には、H−タイプ分岐が通常使用される。過多のジエンを使用する場合には、このポリマー分子は多くの分岐または架橋を形成することができて、反応器溶媒にもはや可溶でなくなり(溶液法においては)、そして溶液から沈降し、このポリマー中でゲル粒子の形成を起こす。加えて、H−タイプ分岐剤の使用はメタロセン触媒を不活性化し、そして触媒効率を低下させ得る。このように、H−タイプ分岐剤を使用する場合には、使用される触媒は通常メタロセン触媒でない。米国特許第6,372,847号においてH−タイプ分岐ポリマーの製造に使用される触媒は、バナジウムタイプ触媒である。
Laiらは、LCB度が0.01個LCB/1000個炭素原子〜3個LCB/1000個炭素原子であり、そして触媒がメタロセン触媒であるT−タイプLCBポリマーを米国特許第2,272,236号において特許請求している。「P.Doerpinghaus and D.Baird,in the Journal of Rheology,47(3),pp717-736 May/June2003,「Separating the Effects of Sparse Long-Chain Branching on Rheology from Those Due to Molecular Weight in Polyethylenes」によれば、低密度ポリエチレン(LDPE)の製造に使用されるものなどのフリーラジカル法は極めて高レベルのLCBを有するポリマーを生成する。例えば、DoerpinghausおよびBairdの表I中の樹脂NA952は、フリーラジカル法により製造されるLDPEであり、そして表IIによれば3.9個LCB/1000個炭素原子を含有する。The Dow Chemical Company(Midland,Michigan,USA)から市販されている平均レベルのLCBを有すると考えられるエチレンアルファオレフィン(エチレン−オクテンコポリマー)の、表IおよびIIの樹脂のAffinityPL1880およびAffinityPL1840は、それぞれ0.018および0.057個LCB/1000個炭素原子を含有する。
本発明の組成物のEAO成分は現在市販されているEAOのレベルを大きく超えるT−タイプLCBレベルを有するが、LCBレベルはH−タイプおよびフリーラジカル分岐剤を使用することにより入手可能なもの以下である。表Iは種々のタイプのポリマーのLCBレベルを列挙する。本発明の成分であるEAOは数字で指定され(例えば、EAO−1)、比較のEAOはアルファベットで指定されている(例えば、EAO−A)。EAO−GからEAO−J中のLCBはH−タイプであり、すべての他の挙げられたEAO中のLCBはT−タイプである。
Engage(登録商標)、ENR、ENX、Nordel(登録商標)およびNordel(登録商標)IP製品はDu Pont Dow Elastomers LLC(Wilmington,DE)からのものであった。VistalonはExxonMobil Chemical Company(Houston,TX)からの製品であった。
本発明のEAOインターポリマーは、また、200,000以上の、好ましくは300,000以上の、更に好ましくは400,000の、最も好ましくは450,000以上の0.1ラジアン/秒剪断粘度(この明細書中では低剪断粘度とも呼ばれる)も有する。これは、RMS−800またはRheometricsからのARESなどの動的メカニカルスペクトロメーターを用いて、190℃において窒素雰囲気下で0.1ラジアン/秒の剪断速度においてこのポリマー粘度を測定することにより得られる。
低剪断粘度はポリマーの分子量(MW)とLCB度により影響を受ける。MWは溶融強度により間接的に測定される。一般則として、ポリマーのMWが大きいほど、溶融強度は良好である。しかしながら、分子量が大きくなり過ぎると、ポリマーは加工が不可能になる。ポリマー骨格の中へのLCBの組み込みは高MWポリマーの加工性を改善する。このように、低剪断粘度(0.1ラジアン/秒)はポリマー中のMWとLCBのバランスの若干の尺度である。
本発明のEAOインターポリマーは、5以上の、好ましくは6以上の、そして更に好ましくは7以上の溶融強度を有する。溶融強度(MS)は、この明細書で使用されるように、33逆数秒(sec−1)の一定の剪断速度で毛管レオメーターダイから押し出され、1cm/秒の初期速度から0.24センチメートル毎秒毎秒(cm/秒2)の割合でフィラメントを加速する一対のニップローラーにより延伸されるポリマー溶融物の溶融フィラメントについて測定されるセンチニュートン(cN)での最大の引っ張り力である。この溶融フィラメントは、好ましくはInstron毛管レオメーターのバレルの中に充填された10グラム(g)のポリマーを加熱し、このポリマーを190℃で5分間平衡化させ、次に2.54cm/分のピストン速度で直径0.21cmおよび長さ4.19cmのキャピラリーダイからこのポリマーを押し出すことにより生成される。この引っ張り力は、好ましくはフィラメントがキャピラリーダイを出る地点の10cm直下にニップローラーがあるように配置されたGoettfertRheotensにより測定される。
好ましくは、本発明のEAOインターポリマーは、1.5〜4.5の、更に好ましくは1.8〜3.8の、そして最も好ましくは2.0〜3.4の分子量分布(MWD)を有する。
本発明に好適なEAOインターポリマーは、引用により本明細書に組み込まれているWO00/26268で述べられている方法により製造可能である。
本発明の組成物のポリプロピレンポリマー成分は、プロピレンのホモポリマー、プロピレンと少なくとも1つのα−オレフィンとのコポリマー、またはホモポリマーとコポリマーのブレンドまたは核形成されたホモポリマー、核形成されたコポリマーまたはホモポリマーとコポリマーの核形成されたブレンドである。このプロピレンコポリマー中のα−オレフィンは、好ましくはエチレン、1−ブテン、1−ヘキセンまたは4−メチル−1−ペンテンであり、エチレンが更に好ましい。このプロピレンコポリマー中のα−オレフィンは好ましくはエチレンである。このコポリマーは、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーまたはランダムコポリマーとブロックコポリマーのブレンドであり得る。このポリマーは分岐でもあり得る。このように、この成分は、好ましくはポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン/エチレンコポリマーまたはこれらの混合物からなる群から選択される。
この成分は、望ましくは0.1〜150の、好ましくは0.3〜60g/10分の、更に好ましくは0.8〜40g/10分の、最も好ましくは0.8〜25g/10分のメルトフロー速度(MFR)(230℃および2.16kg荷重)を有する。望ましいこととしては、この成分は145℃を超える融点も有する。
この明細書で使用されるように、「核形成された」は、核形成剤、例えばMillikenから市販されているジベンジルソルビトールのMillad(登録商標)の添加により変成されたポリマーを指す。他の慣用の核形成剤も使用され得る。
このポリプロピレンポリマーの製造は、チーグラー触媒、例えばCecchin、米国特許第4,177,160号により述べられているアルミニウムジエチルモノクロリドと組み合わせた三塩化チタンの使用を伴う。このような高融解性ポリマーの製造に使用される重合法は、約50〜90℃および0.5〜1.5MPa(5−15気圧)で行われるスラリー法、および非晶性ポリマーの除去に更なる注意を払わなければならない気相および液体モノマー法を含む。α−オレフィンコポリマーをこの反応物に添加して、ブロックコポリマーを形成し得る。このポリプロピレンポリマーは、また、種々のメタロセン単一部位および拘束構造の触媒のいずれかを関連した方法と一緒に使用することにより製造され得る。
本発明の組成物は、少なくとも1つのEAOインターポリマーと少なくとも1つのポリプロピレンポリマーを含んでなる。このEAOインターポリマーは約50超〜約90重量%の量で存在し、そしてこのポリプロピレンポリマーは約50未満〜約10重量%の量で存在し、両方のパーセントはEAOインターポリマーとポリプロピレンポリマーの合体重量基準のものである。この量は、好ましくは約60〜約90重量%のEAOおよび約40〜約10重量%のポリプロピレンポリマーであり、更に好ましくは約65〜約85重量%のEAOおよび約35〜約15重量%のポリプロピレンポリマーである。この量は合計100重量%となるように選択される。このEAO濃度が約50重量%以下である場合には、このポリプロピレンポリマーの物理的性質の影響は支配的となり始め(このポリプロピレンポリマーが連続層となる)、そしてこのような組成物は、この材料の屈曲モジュラスが不適当であるために、カレンダー加工、押し出し、発泡、ブロー成形あるいは加熱成形操作に不利である。
本発明の組成物は、高温工程、例えばカレンダー加工、押し出し、発泡、ブロー成形および加熱成形に有利な性質を有する。WO98/32795の組成物と同様に、本発明の組成物は、190℃で少なくとも20の剪断減粘指数(STI)および少なくとも118℃である上昇した上限使用温度(UST)を有する。
STIは、この明細書で使用されるように、WO98/32795におけるのと同一であり、そして特定の低剪断速度におけるポリマー粘度を特定の高剪断速度におけるポリマー粘度により割った比である。エチレン/アルファ−オレフィン(EAO)ポリマーに対しては、慣用のSTI試験温度は摂氏190℃(℃)である。粘度は、動的メカニカルスペクトロメーター(RheometricからのRMS−800またはARESなど)を用いて、0.1−100ラジアン/秒〜100ラジアン/秒の範囲内の剪断速度において、そして190℃において窒素雰囲気下でポイズ(ダイン−秒/平方センチメートル(d−sec/cm2))で簡便に測定される。
USTは、この明細書で使用されるように、WO98/32795におけるのと同一であり、そして熱機械分析装置(TMA)針入プローブが2〜3ミリメートル(mm)の厚さを有する試料を900マイクロメートル(μm)の深さまで貫通する温度(℃)である。好適なTMAはTA Instruments,Inc.により製造されているものである。1ニュートン(N)の力がチャンバー中にある試料の表面上に置かれた針入プローブに印加され、温度を5℃/分の速度でランプ昇温させる。
本発明の特に好ましい組成物は、70重量%〜50重量%超のEAOおよび30重量%〜50重量%未満のポリプロピレンポリマーを含んでなり、そして100%未満の高温クリープ値(クリープ抵抗)を120℃において有する。クリープ抵抗は、ポリマーの高温クリープおよびクリープセットを8.7psiにおいて求めることにより定義される。高温クリープは、1平方インチ当たり8.7ポンドの力を与える、116グラムの荷重を標準のASTMD412の引っ張りバー(1インチ長、3mm厚、6.35mm幅)の底部において懸垂し、次に、荷重をかけられたバーをオーブン中120℃で15分間入れ、そしてこの15分の終わりにこのバーの高温クリープ長さを測定することにより求められる。高温クリープ伸びは式
%伸び=((高温クリープ長さ−元の長さ)/元の長さ)×100
により計算される。
最終の長さを測定した後、荷重をバーから取り外し、次に23℃で1時間で平衡化し、そしてバーのクリープセット長さを測定して、クリープセットを求める。1時間後に回復する高温クリープ試験時に観察される伸びの量がクリープセットであり、式%クリープセット=((クリープセット長さ−元の長さ)/元の長さ)×100により計算される。
本発明の組成物は、EAOポリマーをポリプロピレンと合体することにより製造可能である。このような組成物は多数の異なる方法のいずれか一つにより製造可能であるが、一般に、これらの方法は、2つのカテゴリー、すなわち後反応器ブレンドおよび反応器内ブレンドの一つに入る。前者を例示するのは、溶融押し出し機であり、この中に2つ以上の固体ポリマーを供給し、そして実質的に均質な組成物に物理的に混合し、そして多数個の溶液、スラリーあるいは気相反応器を平行なアレーに配列し、各々からの出力を相互にブレンドして、実質的に均質な組成物を形成し、最終的にこれを固体の形で回収する。後者を例示するのは、多数個の反応器であり、これらを直列に接続し、そして単一の反応器を2つ以上の触媒により装填する。
EAOおよびポリプロピレンポリマーに加えて、有利なこととしては、本発明の組成物は、ポリマーまたはポリマー組成物に慣用的に添加されるタイプの少なくとも1つの添加物を更に含んでなり得る。これらの添加物は、例えばプロセスオイル、酸化防止剤、表面張力改良剤、ブロッキング防止剤、分散剤、発泡剤、線状あるいは実質的に線状のEAO、LDPE、LLDPE、潤滑剤、架橋剤、例えばペルオキシド、殺菌剤、例えば有機金属、イソチアゾロン、有機イオウおよびメルカプタン;酸化防止剤、例えばフェノール類、二級アミン、ホスファイトおよびチオエステル;帯電防止剤、例えば四級アンモニウム化合物、アミン、およびエトキシル化、プロポキシル化あるいはグリセロール化合物;充填剤および補強剤、例えばウオラストナイト、カーボンブラック、ガラス、金属炭酸塩、例えば炭酸カルシウム、金属硫酸塩、例えば硫酸カルシウム、タルク、クレーまたはグラファイト繊維;加水分解安定剤;潤滑剤、例えば脂肪酸、脂肪アルコール、エステル、脂肪酸アミド、金属ステアリン酸塩、パラフィン系およびミクロクリスタリンワックス、シリコーンおよびオルトリン酸エステル;離型剤、例えば微細粒子または粉末化固体、せっけん、ワックス、シリコーン、ポリグリコールおよび複雑なエステル、例えばトリメチロールプロパントリステアレートまたはペンタエリスリトールテトラステアレート;顔料、染料および着色剤;可塑剤、例えば二塩基酸(またはこれらの酸無水物)の一価アルコールとのエステル、例えばo−フタレート、アジペートおよびベンゾエート;熱安定剤、例えば有機スズメルカプチド、チアグリコール酸のオクチルエステルおよびバリウムあるいはカドミウムカルボキシレート;紫外線安定剤、例えばヒンダードアミン、o−ヒドロキシ−フェニルベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ、4−アルコキシベンゾフェノン、サリシレート、シアノアクリレート、ニッケルキレートおよびベンジリデンマロネートおよびオキサルアニリド;およびゼオライト、モレキュラーシーブおよび他の既知の脱臭剤を含む。好ましいヒンダードフェノール系酸化防止剤は、Ciba−Geigy Corpから入手し得るIrganox(登録商標)1076酸化防止剤である。当業者ならば添加物および添加物量ならびに過度の実験無しでこの添加物をこの組成物の中に組み込む方法いかなる好適な組み合わせも容易に選択することができる。通常、上記の添加物の各々は、使用されるならば、全組成物重量基準で45重量%を超えず、そして有利なこととしては、約0.001〜約20重量%、好ましくは約0.01〜約15重量%そして更に好ましくは約0.1〜約10重量%である。本発明のEAO/ポリオレフィンポリマー組成物から製造されるこのような添加物を含有するコンパウンドは、EAOを除いて同一のポリマーから製造され、本発明の特質であるPRR、溶融強度および低剪断粘度の組み合わせを持たないコンパウンドを超える加工性の利点を有する。
組成物の粘度、硬さ、モジュラスおよびコストのいずれか1つ以上を低下させるのにしばしば使用されるプロセスオイルは好ましい添加物である。最も普通のプロセスオイルは、パラフィン系、ナフテン系あるいは芳香系オイルとして分類されるかどうかに依って特別なASTM表示を有する。エラストマー加工分野の当業者ならば、一般に、どのタイプのオイルが最もメリットがあるかを認識する。望ましいこととしては、このプロセスオイルは、使用される場合、全組成物重量基準で約5〜約50重量%の範囲内の量で存在する。
本発明の組成物は、好ましくはゲルを含まないが、所望ならば最終使用用途に依ってゲルを種々の量で導入するようにペルオキシドにより更に変成可能である。本発明のポリマー組成物中の不溶性ゲルの存在を検出し、そして所望する場合には量を定量するためには、ASTMD2765−90、方法Bで述べられているようにこの組成物を好適な溶剤、例えば還流キシレン中で12時間単純に漬ける。次に、この組成物のいかなる不溶性部分も単離し、乾燥しそして秤量し、この組成物の知識に基づいて好適な補正を行う。例えば、この溶剤に可溶な非ポリマー性成分の重量を初期重量から差し引き、そしてこの溶剤に不溶な非ポリマー性成分の重量を初期および最終の重量から差し引く。回収される不溶性ポリマーをパーセントゲル(%ゲル)含量として表す。本発明の目的には、「実質的にゲルを含まない」は、キシレンを溶剤として使用する場合好ましくは約0.5%未満、そして最も好ましくは検出限界以下を意味する。
本発明の組成物は、いかなる慣用の押し出し、カレンダー加工、ブロー成形、発泡あるいは加熱成形法を用いてもパーツ、シート他の製造物品に加工可能である。この組成物の成分は予備混合されるか、あるいは好ましい態様で工程に供給可能であり、この成分は工程装置、例えば転換押し出し機に直接に供給され、この組成物は押し出し、カレンダー加工、ブロー成形、発泡あるいは加熱成形法で成形可能である。この組成物は物品の加工の前にもう一つのポリマーともブレンドされ得る。このようなブレンドは種々の慣用の方法のいずれかにより行われ得、その一つがTPE組成物のペレットのもう一つのポリマーのペレットとのドライブレンドである。
カレンダー加工、押し出し、ブロー成形、発泡、および加熱成形の操作に有用であるためには、本発明のEAO/ポリプロピレンポリマー組成物は、特定の性質の組み合わせを有するEAOインターポリマーを使用しなければならない。特定のPRRまたはLCB度単独は本発明に要求される性質を得るのに充分でない。同様に、特定の溶融強度あるいは低剪断粘度を有するEAOインターポリマーは本発明に要求される性質を得るのに充分でない。本発明の組成物に卓越した物理的性質、例えばクリープ抵抗を与えるのは、PRR、溶融強度、および低剪断粘度の組み合わせである。
EAOが本発明の性質の組み合わせを有し、そして少なくとも50重量%以上のEAO/ポリプロピレンポリマーブレンドを含んでなる、EAOとポリプロピレンポリマーを含んでなる組成物のレオロジー的挙動は、驚くべきそして有用な特徴を示す。これらのEAOインターポリマーは同一分子量の線状ポリマーよりも大きな低剪断粘度を有する。これらは、剪断速度と共の粘度の迅速な低下(大きな剪断減粘度)、分子量とLCB度の両方に関連する優れた溶融強度を示す。LCB度はPRRにより定義される。これらポリマーは、好ましくは測定可能なゲルを持たない。これらの性質の有利な効果は、本発明の組成物が溶融加工条件下で分子量による極めて低い粘度を有し、そして増大した溶融強度を示唆する増大した伸張粘度を呈する一方で、先行技術のポリマーよりも容易に加工されるということである。
本発明の組成物から加工可能な物品のリストアップは、一部であって網羅的ではないが、自動車ボディパーツ、例えばインストルメントパネル、インストルメントパネルスキン、インストルメントパネルフォーム、バンパーフェイシア、ボディサイドモールディング、インテリアピラー、エクステリアトリム、インテリアトリム、ウエザーストリップ、エアダム、エアダクト、およびホイールカバー、および非自動車用途、例えばポリマーフィルム、ポリマーシート、フォーム、チューブ、繊維、コーティング、ごみ入れ、貯蔵あるいは包装容器、芝生ファーニチュア細片または帯ひも、芝刈り機、ガーデンホース、および他のガーデン用品パーツ、冷蔵庫ガスケット、リクリエーションビークルパーツ、ゴルフカートパーツ、ユーティリティカートパーツ、玩具および小型船舶パーツを含む。この組成物はルーフィング用途、例えばルーフィング膜でも使用可能である。この組成物は履物の加工部品、例えばブーツ用シャフト、特に工業用作業ブーツで更に使用可能である。当業者ならば過度の実験無しにこのリストを容易に増やすことができる。
次の実施例は本発明を例示するが、明白にあるいは含みにより限定するものでない。特記しない限り、すべての部およびパーセントは全重量基準での重量によるものである。本発明の実施例はアラビア数字により識別され、そして比較例はアルファベット文字により表される。
次のEAOポリマーをこの実施例および比較例で使用した。
EAO−1は表2に掲げた性質を有するENX7086.00(表1に掲げた通りである)である。
EAO−2−1は表2に掲げた性質を有するENR7086.01(表1のEAO−2類似の)である。
EAO−7−1は表2に掲げた性質を有するNordel(登録商標)IP3722(表1のEAO−7に類似の)である。
EAO−B−Aは表2に掲げた性質を有するENR7380(表1のEAO−Bに類似の)である。
EAO−E−Aは表2に掲げた性質を有するEngage(登録商標)8180ポリオレフィンエラストマー(表1のEAO−Eに類似の)である。
米国特許第6,369,176号で述べられている混合触媒系を用いてWO00/26268に述べられている方法によりEAO−1とEAO−2−1を製造した。WO00/26268に述べられている方法によりEAO−7−1をデュアル反応器中で製造した。
EAO−B−AとEAO−E−Aを米国特許第5,272,236号および第5,278,272号で述べられているように製造した。
次のポリプロピレンポリマーを実施例および比較例で使用した。
PP−1はBasell(Elkton、MD)から入手可能な密度0.90およびMFR2g/10分の透明化されたポリプロピレンコポリマー樹脂のProfaxSR−256Mであった。
PP−2はBasell(Elkton、MD)から入手可能な密度0.90およびMFR1.5g/10分の高衝撃ポリプロピレンコポリマー樹脂のProfax8623であった。
次の付加的な材料を実施例および比較例で使用した。
Irganox B225はCiba Specialty Chemicals(Terrytown,NY)からのフェノール系ベースの酸化防止剤であった。
AX−71はAmfine Chemical Corporation(Allendale,NJ)からの離型化合物であった。
Kraton G−1650はKraton Polymers(Houston,TX)からのスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)ブロックコポリマーであった。
表3は実施例および比較例に対する組成物を示す。
AX−71およびIrganox B−225をPPおよびエラストマー全重量基準での重量により添加した。すべて他の材料を添加して合計100重量%とした。




表3に掲げたポリマーおよび添加物を250Fまで予熱したバンバリーミキサーにすべて同時に添加した。すべての成分を添加した後、温度が約300〜320Fに達するまでこのミキサーを110rpmで回転(ほぼ3分)させ、その時点でミキサーを停止し、そして内容物を投下し、David標準単軸押し出し機への供給のために50.8mm幅の片に細片化するために加熱ロールに送った。この押し出し機を使用して、カレンダー加工ロールに供給した。押し出し機およびカレンダー加工条件を表4、4A、5および5Aに示す。押し出し機域およびカレンダーロールに対して示される温度は種々のランに対する最低および最高温度であった。










得られるカレンダー加工されたシートをSTI、UST、120℃における高温クリープ伸び(クリープ抵抗)および高温工程での使用への材料の適合性、例えばカレンダー加工、押し出し、発泡、ブロー成形および加熱成形、すなわち屈曲モジュラス、ショアA硬さおよび応力−歪勾配を示す他の性質について試験した。この結果を表6に示す。
ASTMD−790を用いて屈曲モジュラスを圧縮成形されたシート試料から求めて、この試験に必要な厚さを得た。
ショアA硬さをAmerican Society of Testing and Materials(ASTM)試験D−2240にしたがって測定した。
最初に設計応力−歪を測定することにより、高温引っ張り性質を示す応力歪勾配(SSS)を求めた。これを行うために、ISO 37T2ダイからシート化機械方向で切断された試料を140℃まで加熱される環境チャンバーを備えた引っ張り試験機で測定した。試験前に試料を10分間平衡化した。試料を20mmの初期ゲージ長で500mm/分で歪を加えた。光学レーザーは歪速度を0.45sec-1で測定した。
Considereの式:
σT=σ(l+ε)
ここで、
σT=真の応力
σ=設計応力
ε=延伸比=(L−Li)/Li
ここで、
L=変形下での試料長さ
Li=初期試料長さ
を用いて、この試験からの設計応力−歪を真の応力−歪に転換した。
0.25〜2の延伸比範囲から真の応力−歪データをプロットした。このデータに最小自乗線形回帰を行った。求められた式は形式:
σT=aε+b
のものであった。
ここで、
a=直線の勾配(歪硬化の勾配)
b=直線のy切片
勾配aを次の最小二乗法を用いたデータから決定した。
a=SSxy/SSxx
ここで、




であり、
εi=個別データ点の外延値
ε=中間外延値
σj=個別のデータ点の真の応力値
σ=平均の真の応力値
である。


比較例Aは、ポリプロピレンポリマーをブレンドしない高度に分岐したEAOが本発明の物理的性質の要求に合致しないということを示す。このポリマーは高温クリープ試験に不合格であり、応力歪試験時に融解した。
比較例Bは、本発明のブレンドのEAO含量が少なくとも50重量%でなければならないということを示す。EAOが50重量%未満で存在する場合には、屈曲モジュラスは高過ぎ、そしてこの材料は充分に剪断減粘しない。
比較例CおよびDは、PPとの適切なブレンド比で使用される場合でも本発明のブレンド組成物と比較した場合極めて少ない長鎖分岐(PRR値により示される)の付いたEAOがSTI結果により示される劣ったメルト関連の物理的性質および劣った加工性を有するということを示す。
本発明の実施例1−3は、高レベルのLCBを有するEAOをこのブレンド組成物に使用する利点を示す。これらのブレンド組成物は、用途、例えば押し出し、カレンダー加工、ブロー成形、発泡、および加熱成形法において極めて有用である。実施例3は、高分岐EAO:PPの比が50%以上である限り、少量の他のポリマーがこの組成物に添加され得るということを示す。
実施例4および5は、ジエンを含有し、そして高レベルのLCBを有するEAOインターポリマーも本発明のブレンド組成物の製造に使用可能であるということを示す。

Claims (41)

  1. 10と70の間のPRR、少なくとも5cNの溶融強度(MS)、0.91g/cc未満の密度、および0.1ラジアン/秒かつ190℃で少なくとも200,000の粘度を有する少なくとも1つのエチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー;および
    ポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン/アルファ−オレフィンインターポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのポリプロピレンポリマーを含んでなり、このポリプロピレンポリマーが145℃を超える融点を有し、
    この組成物中のエチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー:ポリプロピレンポリマーの重量比が60:40〜90:10であり、
    この組成物が実質的にゲルを含まず、
    PRRが以下の式(I)
    PRR=RR+[[3.82−インターポリマームーニー粘度(125℃におけるML1+4)]×0.3](I)
    (式(I)中、RR=V0.1/V100で表され、V0.1は0.1ラジアン/秒かつ190℃において測定されるインターポリマーの粘度であり、V100は100ラジアン/秒かつ190℃において測定されるインターポリマーの粘度である)で表され、
    溶融強度が、33逆数秒(sec−1)の一定の剪断速度で毛管レオメーターダイから押し出されるポリマー溶融物の溶融フィラメントについて測定されるセンチニュートン(cN)での最大の引っ張り力であり、フィラメントは、1cm/秒の初期速度から0.24センチメートル毎秒毎秒(cm/秒)の割合でフィラメントを加速する一対のニップローラーにより延伸され、溶融フィラメントは、Instron毛管レオメーターのバレルの中に充填された10グラム(g)のポリマーを加熱し、このポリマーを190℃で5分間平衡化させ、次に2.54cm/分のピストン速度で直径0.21cmおよび長さ4.19cmのキャピラリーダイからこのポリマーを押し出すことにより生成される、熱可塑性組成物。
  2. このエチレン/α−オレフィンインターポリマーが15から50のPRRを有する請求項1に記載の組成物。
  3. このエチレン/α−オレフィンインターポリマーが15より大きいPRRを有する請求項1に記載の組成物。
  4. このエチレン/α−オレフィンインターポリマーが18より大きいPRRを有する請求項1に記載の組成物。
  5. この熱可塑性組成物が、0.06MPa(8.7psi)における高温クリープおよびクリープセットにより定められる、120℃で100%未満のクリープ抵抗を有する請求項1に記載の組成物。
  6. このエチレン/α−オレフィンインターポリマーが少なくとも1つのα−オレフィンコモノマーをその中に重合させたものであり、このα−オレフィンが3〜20個の炭素原子を含有する請求項1に記載の組成物。
  7. このα−オレフィンが3〜10個の炭素原子を含有する請求項6に記載の組成物。
  8. このエチレン/α−オレフィンインターポリマーがエチレン/α−オレフィン/ポリエンポリマーであり、このポリエンがノルボナジエン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ピペリレンまたは5−エチリデン−2−ノルボルネンおよびこれらの混合物からなる群から選択されるものである請求項1に記載の組成物。
  9. このエチレン/α−オレフィンが20より大きいPRRを有する請求項8に記載の組成物。
  10. このエチレン/α−オレフィンが25より大きいPRRを有する請求項9に記載の組成物。
  11. 分岐剤を含有する少なくとも1つのエラストマーを20%まで更に含んでなる請求項1に記載の組成物。
  12. 少なくとも1つのエラストマー性のポリプロピレンホモポリマーあるいはコポリマーを20%まで更に含んでなる請求項1に記載の組成物。
  13. この少なくとも1つのポリプロピレンポリマーが核形成されたポリマーである請求項1に記載の組成物。
  14. この少なくとも1つのポリプロピレンポリマーが分岐ポリマーである請求項1に記載の組成物。
  15. この組成物が、20以上の190℃剪断減粘指数(STI)を有し、剪断減粘指数が、低剪断速度(0.1ラジアン/秒、190℃)における粘度の高剪断速度(100ラジアン/秒、190℃)における粘度に対する比である請求項1に記載の組成物。
  16. この組成物が、0.06MPa(8.7psi)における120℃の高温クリープ伸びが100%未満であり、高温クリープ伸びが、下記の式(II)
    %伸び=((高温クリープ長さ−元の長さ)/元の長さ)×100(II)
    で表される請求項1に記載の組成物。
  17. プロセスオイルを全組成物重量基準で0超〜50重量パーセントの範囲内の量で更に含んでなる請求項1に記載の組成物。
  18. 発泡剤を全組成物重量基準で0超〜10重量パーセントの範囲内の量で更に含んでなる請求項1または請求項17に記載の組成物。
  19. 充填剤を全組成物重量基準で0〜70重量パーセントの範囲内の量で更に含んでなる請求項1または請求項17に記載の組成物。
  20. 0〜50重量パーセントのプロセスオイル、0〜70重量パーセントの充填剤、および0〜10重量パーセントの発泡剤からなる群から選択され、すべての量が全組成物重量基準である少なくとも1つの添加物を更に含んでなる請求項1に記載の組成物。
  21. この少なくとも1つの添加物がガラス、シリカ、カーボンブラック、金属炭酸塩、金属硫酸塩、タルク、クレーおよびグラファイト繊維からなる群から選択される充填剤である請求項20に記載の組成物。
  22. 離型剤、帯電防止剤および架橋剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加物を更に含んでなる請求項1または請求項20に記載の組成物。
  23. エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーが、1.5〜4.5の分子量分布(MWD)を有する請求項1に記載の組成物。
  24. この組成物が、ASTMD2765−90、方法Bにおいて記載されているように測定したときに0.5%未満のゲル含量を有する請求項1に記載の組成物。
  25. この物品の少なくとも1つの構成部材が請求項1に記載の組成物から製造される製造物品。
  26. この物品がブロー成形法により製造される請求項25に記載の物品。
  27. 物品が発泡物品である、請求項25に記載の物品。
  28. この物品がブローフィルムである請求項25に記載の物品。
  29. この物品がカレンダー加工法により製造される請求項25に記載の物品。
  30. この物品が加熱成形物品である、請求項25に記載の物品。
  31. この加熱成形物品が自動車インテリアパーツである請求項30に記載の物品。
  32. この自動車インテリアパーツがインストルメントパネルスキンである請求項31に記載の物品。
  33. この自動車インテリアパーツがドアパネルスキンである請求項31に記載の物品。
  34. この自動車インテリアパーツがシートトリムである請求項31に記載の物品。
  35. この物品が押し出し法により製造される請求項25に記載の物品。
  36. この物品が真空成形されたプロフィール品である請求項29または請求項35に記載の物品。
  37. この物品がコーティング布である請求項29または請求項35に記載の物品。
  38. この物品が冷蔵庫ガスケットである請求項36に記載の物品。
  39. このコーティング布がボートカバーまたはトラック荷台カバーである請求項37に記載の物品。
  40. この物品が発泡シートと非発泡シートの積層品である請求項29または請求項35に記載の物品。
  41. 請求項25に記載の物品を製造する方法であって、物品を製造するための押し出し、カレンダー加工、ブロー成形、発泡あるいは加熱成形工程において、前記少なくとも1つのエチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーと、前記少なくとも1つのポリプロピレンポリマーを別々に添加することを含んでなる方法。
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