JP5051808B2 - プラスチック成形品、およびそれからなるコンタクトレンズ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高酸素透過性と低弾性率および高含水性を併せ持つプラスチック成形品に関するものであり、特にコンタクトレンズや眼内レンズや人工角膜などの眼用レンズに好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
近年数々の用途でプラスチック成形品が提案されている。中でもケイ素やフッ素を含有するプラスチック成形品は、酸素透過性が良好であることからコンタクトレンズに種々提案されている。しかしながら、ケイ素やフッ素を含有するプラスチック成形品は確かに高酸素透過性であるがソフトコンタクトレンズに適用する場合は弾性率が高く装用感が悪いため低弾性率化が特に望まれている。高酸素透過性と高含水性を両立するプラスチック成形品の素材として、シリコーンポリマーセグメント、親水性ポリマーセグメント(ポリエチレングリコールなど)および重合性基を有するマクロマータイプのものが利用されている。(米国特許第5,760,100号公報、米国特許第5,776,999号公報)。しかしながら、かかるマクロマータイプの素材は分子量が大きいために精製が難しく品質が安定しないという問題があった。一方、マクロマーでない比較的低分子量のモノマーとしては、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレートが眼用レンズ素材として広く利用されている。(特開昭60−142324号公報、特開昭54−24047号公報)。トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレートを重合して得られるポリマーは、確かに高酸素透過性であるが弾性率が比較的高くソフトコンタクレンズ用としては最適なものではなかった。
【0003】
一方、例えば、特開昭56−39450号公報および特公昭56−40324号公報には下記式(M1)で表されるモノマーが記載されている。
【0004】
【化1】
【0005】
このモノマーを重合して得られるポリマーは比較的高い酸素透過性を有し、かつ比較的低い弾性率を有する特徴を有する。しかしながら、近年眼用レンズ用ポリマーとしては、より長い時間の連続装用を可能にするためにさらなる高い酸素透過性が要求されるようになっており、式(M1)のモノマーから得られる眼用レンズ用ポリマーの酸素透過性は必ずしも十分ではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ね、高酸素透過性、高含水性および低弾性率といったプラスチック成形品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために下記の構成を有する。
「(1)酸素透過係数が60×10-11(cm2/sec)[mlO2/(ml・hPa)]以上でかつ弾性率が275〜830kPa以下であることを特徴とするプラスチック成形品、(2)ケイ素および/またはフッ素原子を含有することを特徴とする請求項1記載のプラスチック成形品、(3)含水率が15%以上、60%以下であることを特徴とする請求項1または2記載のプラスチック成形品、(4)請求項1〜3いずれかに記載のプラスチック成形品からなるコンタクトレンズ。」
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のプラスチック成形品としては、後述する種々のモノマーのホモポリマー、あるいはこれらのモノマーと他のモノマーとのコポリマー、ポリマーの主鎖および/または側鎖にケイ素を含有しているポリマー(例えばシロキサン結合やトリメチルシリル基などの有機シラン基を含有するポリマー)、あるいは炭素、フッ素結合を含有するポリマーを主成分としてなる成形品である。かかるポリマーを得るモノマーの具体例としては、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、両末端に二重結合を持ったポリジメチルシロキサン、シリコーン含有(メタ)アクリレートあるいはフッ素含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。本発明のプラスチック成形品は、これらのモノマーを用いたホモポリマー、あるいはこれらのモノマーと他のモノマーとのコポリマーなどが挙げられる。共重合可能なモノマーとしては、(メタ)アクリルモノマー、芳香族ビニルモノマー、ヘテロ環ビニルモノマーなどの単官能モノマー、あるいは、2官能、3官能、4官能の(メタ)アクリレート、芳香族ジビニルモノマー、芳香族ジアリールモノマーなどの多官能モノマーなどが挙げられる。単官能モノマーの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリル酸などのカルボン酸類、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート類、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレートなどのハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート類、2ーヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドなどのジアクリルアミド類、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレートなどのシロキサニル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類、スチレン、ビニルピリジンなどの芳香族ビニルモノマー類、N−ビニルピロリドンなどのヘテロ環ビニルモノマー類が挙げられる。2官能モノマーの具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジビスフェノールA(メタ)アクリレートおよびそのウレタン変成体、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。3官能性モノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。4官能モノマーの具体例としては、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。芳香族ジビニルモノマーの具体例としては、ジビニルベンゼンなどが、また、芳香族ジアリールモノマーの具体例としては、ジアリールフタレートなどが挙げられる。その他の多官能モノマーの具体例としては、ビスマレイミド、アリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのモノマーの共重合比によって本発明に用いるプラスチック成形品は、含水したヒドロゲルであっても良いし、非含水のゴム状のポリマーであっても良いし、非含水ないしは低含水の硬いポリマーであっても良い。
【0009】
本発明のプラスチック成形品は、透明であっても不透明であっても良いが、前述のケイ素および/またはフッ素原子を含有するプラスチック成形品は、酸素透過性に優れることから光学材料などに適用することが好ましく、この場合は、透明性を付与したものが好ましい。また、本発明のプラスチック成形品を構成するポリマーにおいて、ケイ素および/またはフッ素原子を含有するポリマーの含有量は酸素透過性と機械的特性とのバランスを維持できる点で、好ましくは5重量%以上、より好ましくは30重量%以上である。なお、重合方法しては公知の方法を使用することができる。さらに、本発明のプラスチック成形品は、紫外線吸収剤や色素、着色剤などを含んでも良い。本発明のプラスチック成形品を得る際は、重合をし易くするために過酸化物やアゾ化合物に代表される熱重合開始剤や、光重合開始剤を配合することが好ましい。熱重合を行う場合は、処望の反応温度に対して最適な分解特性を有するものを選択して使用する。一般的には10時間半減期温度が40〜120℃の過酸化物系開始剤およびアゾ系開始剤が好適である。光重合開始剤としては、カルボニル化合物、過酸化物、アゾ化合物、硫黄化合物、ハロゲン化合物および金属塩などが挙げられる。これらの重合開始剤は、単独または混合して用いられ、およそ1重量%くらいまでの量で使用される。本発明のプラスチック成形品を得る際は、重合溶媒を使用することができる。溶媒としては、有機系、無機系の各種溶媒が適用可能であり特に限定されないが例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、tert−ブタノールなどの各種アルコール系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、パラフィンなどの各種脂肪族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチルなどの各種エステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルなどの各種グリコールエーテル系溶剤などが挙げられ、これらは単独あるいは混合して使用することができる。
【0010】
本発明のプラスチック成形品は、例えば、以下の方法により製造することができる。
【0011】
すなわち、ポリマーを一旦、丸棒や板状などに成形しこれを切削加工などによって所望の形状に加工したり、また、モールド重合やスピンキャスト重合などの公知の手法を用いることができる。さらに、繊維やフィルムなどに成形する場合は、ポリマーを溶融もしくは溶媒などで溶解し、紡糸、押し出し成形することができる。一例として本発明のプラスチック成形品をモールド重合法により得る場合について、次に説明する。前記モノマー組成物と重合開始剤のモノマー混合物を一定の形状を有する2枚の空隙に充填する。そして、光重合あるいは熱重合を行ってモールドの形状に賦型する。モールドは、樹脂、ガラス、セラミックス、金属等で製作されているが、光重合の場合は光学的に透明な素材が用いられ、通常は樹脂またはガラスが使用される。プラスチック成形品を製造する場合には、多くの場合、2枚の対向するモールドにより空隙が形成されており、その空隙にモノマー混合物が充填されるが、モールドの形状やモノマー混合物の性状によってはプラスチック成形品に一定の厚みを与えかつ充填したモノマー混合物の液漏れを防止する目的を有するガスケットを併用しても良い。空隙にモノマー混合物を充填したモールドは、続いて紫外線のような活性光線を照射されるか、オーブンや液槽に入れて加熱されて重合される。光重合の後に熱重合したり、逆に熱重合後に光重合する両重合法を併用する方法も有り得る。光重合の場合は、例えば水銀ランプや捕虫灯を光源とする紫外線を多く含む光を短時間照射するのが一般的であり、通常は1時間以内である。熱重合を行う場合には、室温付近から徐々に昇温し、数時間ないし数十時間かけて60〜200℃の温度まで高めていく条件がプラスチック成形品の光学的な均一性、品位を保持し、かつ再現性を高めるために好適である。
【0012】
本発明のプラスチック成形品の酸素透過性の測定は電極法が用いられる。酸素透過係数が60×10-11(cm2/sec)[mlO2/(ml・hPa)]より小さければ、本発明のプラスチック成形品をコンタクトレンズに適用した場合、角膜表面よりレンズを介して角膜に必要な酸素を充分に供給できることが困難になり、長い時間の連続装用をした場合、角膜の生理的負担が大きくなる傾向がある。弾性率は、275〜830kPaであることが好ましく、かかる値より小さいと軟らかすぎて形態保持性が悪くなり取扱いが困難となり大きいとコンタクトレンズとしての装用感が悪いという問題があり、より好ましくは345〜620kPaである。含水率は、好ましくは15〜60%であり、さらに好ましくは20〜50%である。含水率を15%以上にすることにより、ソフトコンタクトレンズとして適用した場合に目の中での動きがスムーズになり連続装用が容易になる。含水率が60%を越えると酸素透過性が小さくなるために好ましくない。
【0013】
本発明のプラスチック成形品は、種々の方法で表面改質処理を行うことができ、表面の水濡れ性を向上させることができる。プラスチック成形品の具体的な表面改質処理法は、公知の物理的手法および化学的手法が挙げられる。プラスチック成形品がヒドロゲルの場合には、高分子量の酸や塩基の処理が特に有効である。
【0014】
本発明のプラスチック成形品の好ましい実施態様としては、レンズ、繊維、フィルムなどが挙げられ特にその良好な光学的特性、高い酸素透過率、良好な水濡れ性および機械的特性の観点から、コンタクトレンズ、眼内レンズ、プラスチックレンズなどの光学物品に好適に使用される。
【0015】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0016】
なお、各測定および評価は次の方法で行った。
1.含水率
プラスチック成形品を水和処理した後、次式により重合体の含水率(%)を測定した。
【0017】
含水率(%)=(W−WO)/W*100
(たたし、Wは水和処理後のプラスチック成形品の重量(g)、WOは乾燥状態でのプラスチック成形品の重量(g)を表す。)。
2.動的接触角
5mm×10mm×0.1mmのプラスチック成形品を使用し、硼酸緩衝液(pH7.1〜7.3)に対する前進時の動的接触角を測定した。浸漬速度は0.1mm/sec、浸漬深さは7mmとした。本発明の動的接触角とは、ウィルヘルミー法の原理に基づく表面張力および接触角の評価である(繊維高分子材料研究所報告第167号(特集号)「感熱性高分子の合成と機能の研究」第51〜52頁参照 )。
3.水濡れ性
プラスチック成形品を硼酸緩衝液(硼酸、硼酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよびエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを精製水に溶解させた希薄溶液pH7.1〜7.3)に一晩浸漬した後に引き上げて表面の外観を目視にて観察し、以下の基準にて評価を行った。
【0018】
◎:プラスチック成形品の表面が均一に濡れている。
【0019】
○:プラスチック成形品の表面の面積の半分以上が均一に濡れている。
【0020】
△:プラスチック成形品の表面の面積の半分以上の濡れが不均一である。
【0021】
×:プラスチック成形品の表面が殆ど濡れていない。
4.機械的特性
サンプルとして、15mm×10mm×0.1mmのサイズのプラスチック成形品を使用し、(株)東洋ボールドウィン製のテンシロンRTM−100型を用いて弾性率を測定した。100mm/minの速度で引っ張り、つかみ間距離は5mmとした。
5.酸素透過性
サンプルとして、15mmφのサイズのプラスチック成形品を使用し、(株)理化精機工業製の製科研式フィルム酸素透過率計を用いて35℃の水中にて酸素透過係数を測定した。尚、サンプルの厚みは必要に応じて複数枚を重ね合わせることによって調整した。
実施例1
トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルアクリレート50重量部、(M1)の化合物25重量部、N−ビニルホルムアミド25重量部、アクリル酸1重量部、アクリル酸ビニル0.2重量部、トリエチレングリコールジメタクリレート1重量部、エチレングリコールジアセテート20重量部を均一に混合し、重合開始剤として“ダロキュア1173”(CIBA社製)0.5重量部を添加した後、このモノマー混合物をアルゴン雰囲気下で脱気した。窒素雰囲気下のグローブボックス中でプラスチック製のモールド間に注入し密封した。捕虫灯を用いて光照射(照度1mW/cm2、25分間)して、重合を行った。その後、イソプロピルアルコールにモールド毎浸漬させ、40℃/30分間、さらに60℃/60分間浸漬し、離型を行い被処理用プラスチック成形品を得た。その後、60℃/16時間の残存モノマー抽出を行った。その後、イソプロピルアルコールで被処理用プラスチック成形品を2回洗浄した後、まずイソプロピルアルコール/精製水=50/50(重量部)に30分間浸漬し、次にイソプロピルアルコール/精製水=25/75(重量部)に30分間浸漬し、さらに精製水に16時間浸漬静置し、プラスチック成形品からイソプロピルアルコールを完全に除去して被処理用プラスチック成形品を得た。前記被処理用プラスチック成形品を0.25N−NaOH水溶液に23℃/24時間浸漬させた。その後、該プラスチック成形品を精製水で十分洗浄した後、バイアル瓶中の硼酸緩衝液(pH7.1〜7.3)に浸漬し、バイアル瓶を密封した。該バイアル瓶をオートクレーブに入れ、120℃/120分間の煮沸処理を行った。放冷後、プラスチック成形品をバイアル瓶から取り出し、硼酸緩衝液(pH7.1〜7.3)に浸漬した。このプラスチック成形品の含水率は35%であり、硼酸緩衝液中の前進接触角は48゜であった。また、水濡れ性は◎であった。さらに、機械的特性は弾性率は445kPaであった。さらには、酸素透過係数は90×10-11(cm2/sec)[mlO2/(ml・hPa)]であった。
実施例2
トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルアクリレート56.25重量部、以下に示す(M2)の化合物18.75重量部、N−ビニルホルムアミド25重量部、ポリエチレングリコールジメタクリレート(MW:771)1重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル20重量部を均一に混合し、重合開始剤として“ダロキュア1173”(CIBA社製)0.5重量部を添加した後、このモノマー混合物をアルゴン雰囲気下で脱気した。窒素雰囲気下のグローブボックス中でプラスチック製のモールド間に注入し密封した。捕虫灯を用いて光照射(照度1mW/cm2、10分間)して、重合を行った。その後、ジエチレングリコールジメチルエーテルにモールド毎浸漬させ、40℃/30分間、さらに60℃/60分間浸漬し、離型を行い被処理用プラスチック成形品を得た。その後、ジエチレングリコールジメチルエーテルからイソプロピルアルコールに置換し、60℃/16時間の残存モノマー抽出を行った。その後、イソプロピルアルコールで被処理用プラスチック成形品を2回洗浄した後、まずイソプロピルアルコール/精製水=50/50(重量部)に30分間浸漬し、次にイソプロピルアルコール/精製水=25/75(重量部)に30分間浸漬し、さらに精製水に16時間浸漬静置し、プラスチック成形品からイソプロピルアルコールを完全に除去して被処理用プラスチック成形品を得た。前記被処理用プラスチック成形品を0.5N−NaOH水溶液に40℃/24時間浸漬させた。その後、該プラスチック成形品を精製水で十分洗浄した後、バイアル瓶中の硼酸緩衝液(pH7.1〜7.3)に浸漬し、バイアル瓶を密封した。該バイアル瓶をオートクレーブに入れ、120℃/60分間の煮沸処理を行った。放冷後、プラスチック成形品をバイアル瓶から取り出し、硼酸緩衝液(pH7.1〜7.3)に浸漬した。このプラスチック成形品の含水率は31%であり、硼酸緩衝液中の前進接触角は54゜であった。また、水濡れ性は◎であった。さらに、機械的特性は弾性率は600kPaであった。さらには、酸素透過係数は106×10-11(cm2/sec)[mlO2/(ml・hPa)]であった。
【0022】
【化2】
【0023】
比較例5
トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート30.5重量部、(M1)の化合物30.5重量部、N,N−ジメチルアクリルアミド39重量部、両末端に重合性基を有するポリジメチルシロキサンマクロマー(MW:1,900)2.5重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル10重量部を均一に混合し、重合開始剤として“ダロキュア1173”(CIBA社製)0.2重量部を添加した後、このモノマー混合物をアルゴン雰囲気下で脱気した。窒素雰囲気下のグローブボックス中でプラスチック製のモールド間に注入し密封した。捕虫灯を用いて光照射(照度1mW/cm2、12分間)して、重合を行った。その後、ジエチレングリコールジメチルエーテルにモールド毎浸漬させ、40℃/30分間、さらに60℃/60分間浸漬し、離型を行い被処理用プラスチック成形品を得た。その後、ジエチレングリコールジメチルエーテルからイソプロピルアルコールに置換し、60℃/16時間の残存モノマー抽出を行った。その後、イソプロピルアルコールで被処理用プラスチック成形品を2回洗浄した後、まずイソプロピルアルコール/精製水=50/50(重量部)に30分間浸漬し、次にイソプロピルアルコール/精製水=25/75(重量部)に30分間浸漬し、さらに精製水に16時間浸漬静置し、プラスチック成形品からイソプロピルアルコールを完全に除去して被処理用プラスチック成形品を得た。前記被処理用プラスチック成形品を1.2wt%ポリアクリル酸(平均分子量:250,000)水溶液(pH3.1)に23℃/4時間浸漬させた。その後、該プラスチック成形品を精製水で十分洗浄した後、バイアル瓶中の硼酸緩衝液(pH7.1〜7.3)に浸漬し、バイアル瓶を密封した。該バイアル瓶をオートクレーブに入れ、120℃/30分間の煮沸処理を行った。放冷後、プラスチック成形品をバイアル瓶から取り出し、硼酸緩衝液(pH7.1〜7.3)に浸漬した。このプラスチック成形品の含水率は32%であり、硼酸緩衝液中の前進接触角は24゜であった。また、水濡れ性は◎であった。さらに、機械的特性は弾性率は517kPaであった。さらには、酸素透過係数は68×10−11(cm2/sec)[mlO2/(ml・hPa)]であった。
比較例6
トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート21.33重量部、以下に示す(M3)の化合物42.67重量部、N,N−ジメチルアクリルアミド36重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテルをエチレングリコールジアセテートに変更する以外は全て同様に行った。このプラスチック成形品の含水率は33%であり、硼酸緩衝液中の前進接触角は27゜であった。また、水濡れ性は◎であった。さらに、機械的特性の弾性率は558kPaであった。さらには、酸素透過係数は69×10−11(cm2/sec)[mlO2/(ml・hPa)]であった。
【0024】
【化3】
【0025】
比較例1
実施例3において、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート60重量部、N,N−ジメチルアクリルアミド40重量部に変更する以外は全て同様に行った。このプラスチック成形品の含水率は31%であり、硼酸緩衝液中の前進接触角は58゜であった。また、水濡れ性は◎であった。さらに、機械的特性の弾性率は1165kPaであった。さらには、酸素透過係数は75×10-11(cm2/sec)[mlO2/(ml・hPa)]であった。
比較例2
実施例3において、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート50重量部、N,N−ジメチルアクリルアミド50重量部に変更する以外は全て同様に行った。このプラスチック成形品の含水率は50%であり、硼酸緩衝液中の前進接触角は41゜であった。また、水濡れ性は◎であった。さらに、機械的特性は弾性率は731kPaであった。さらには、酸素透過係数は42×10-11(cm2/sec)[mlO2/(ml・hPa)]であった。
比較例3
実施例3において、(M1)の化合物65重量部、N,N−ジメチルアクリルアミド35重量部に変更する以外は全て同様に行った。このプラスチック成形品の含水率は39%であり、硼酸緩衝液中の前進接触角は65゜であった。また、水濡れ性は◎であった。さらに、機械的特性の弾性率は483kPaであった。さらには、酸素透過係数は52×10-11(cm2/sec)[mlO2/(ml・hPa)]であった。
比較例4
実施例3において、両末端に重合性基を有するポリジメチルシロキサンマクロマー(MW:1,900)20重量部、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート40重量部、N,N−ジメチルアクリルアミド40重量部に変更し、トリエチレングリコールジメタクリレートを配合しない以外は全て同様に行った。このプラスチック成形品の含水率は28%であり、硼酸緩衝液中の前進接触角は26゜であった。また、水濡れ性は◎であった。さらに、機械的特性の弾性率は1407kPaであった。さらには、酸素透過係数は79×10-11(cm2/sec)[mlO2/(ml・hPa)]であった。
【0026】
【発明の効果】
本発明により、高酸素透過性、低弾性率および高含水率といった各種性能のバランスに優れたプラスチック成形品を得ることができる。
【0027】
特にプラスチック成形品が、コンタクトレンズ、眼内レンズ、プラスチックレンズなどの光学物品の場合、前記した優れた性能が発揮され優れた製品が得られる。
Claims (4)
- プラスチック成型品を高分子量の酸、または塩基で処理して得られることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック成型品。
- 含水率が20%以上、50%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチック成形品。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のプラスチック成形品からなるコンタクトレンズ。
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