JP5051603B2 - シール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス板、合成樹脂板、金属板等の平滑面を有する基材に塗布した絵の具を乾燥させてシールを作成するための絵の具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より着色剤を配合した合成樹脂エマルジョンからなる絵の具をもって、ガラス板等の平滑面を有する基材に塗布描画し、これを乾燥させて絵の具をシール状とし、次に乾燥した絵の具を基材から剥離してシールを作成することが行われている。このシールは粘着性があるので、他の基材に貼り着けたり、剥がしたりする遊びができるものである。
このような絵の具としては、特開昭54−163941号、特開昭56−037197号、特開昭55−067545号、特開昭55−113599号、特開昭57−038870号、特開平06−172681号等が公知となっており、主材としてポリアクリル酸エステルエマルジョン、ポリメタクリル酸エステルエマルジョン、ポリアクリル酸エマルジョン、ポリメタクリル酸エマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−メタクリル酸共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−メタクリル酸エステル共重合体エマルジョンなどの合成樹脂エマルジョンが使用されており、特に、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−メタクリル酸共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−メタクリル酸エステル共重合体エマルジョンなどの酢酸ビニル系の合成樹脂エマルジョンが好ましく用いられている。
しかし、前記合成樹脂エマルジョンは乾燥して皮膜になると臭気を発し、人によっては気分が悪くなるなどの欠点があった。特に、酢酸ビニル系合成樹脂エマルジョンの乾燥皮膜は、すっぱい感じのする酢酸臭が残存する欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、ガラス板等の平滑面を有する基材に塗布描画した絵の具を乾燥させてシールを作成するにあたって、臭気の無いシールを作成できる絵の具を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
酢酸ビニル−アクリル酸共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−メタクリル酸共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−メタクリル酸エステル共重合体エマルジョンから選択される1以上の酢酸ビニル−アクリル酸系共重合体エマルジョンが絵の具全量に対して50〜99重量%と、
ポリアクリル酸エマルジョン、ポリアクリル酸エステルエマルジョン、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体エマルジョンから選ばれる1以上の増粘剤が絵の具全量に対して0.1〜20重量%と、
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノールから選ばれるアミノアルコールが絵の具全量に対して0.1〜10重量%と、
着色剤が絵の具全量に対して0.001〜10重量%を少なくとも含有してなる絵の具を乾燥させて作成されるシール。
【0005】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の絵の具は、合成樹脂エマルジョン、増粘剤、アミノアルコール、着色剤を少なくとも必須構成要素とする。
合成樹脂エマルジョンとしては、ポリアクリル酸エステルエマルジョン、ポリメタクリル酸エステルエマルジョン、ポリアクリル酸エマルジョン、ポリメタクリル酸エマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−メタクリル酸共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−メタクリル酸エステル共重合体エマルジョンから1以上を選択して使用する。すなわち、前記合成樹脂エマルジョンをそれぞれ単独で使用しても良いし、2以上を併用して使用しても良い。
特に、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−メタクリル酸共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−メタクリル酸エステル共重合体エマルジョンといった酢酸ビニル−アクリル酸系共重合体エマルジョンは、強力な接着力を有する酢酸ビニルと比較的弱い粘着力を有するアクリル酸やメタクリル酸を単量体として用いることによって適当な粘着力を有する合成樹脂エマルジョンが得られ、シールを作成する際、シールが容易に基材から剥離でき、かつ、作成したシールを基材に何度貼付・剥離させても粘着性を失わないシールを作成できるので好ましく用いられる。
ここで、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体エマルジョンに使用されるアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシルなどを使用することができ、酢酸ビニル−メタクリル酸エステル共重合体エマルジョンに使用されるメタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシルなどを使用することができる。
前記合成樹脂エマルジョンは、微細な樹脂粒子を均一に水に分散させたものであって、固形分10〜80重量部、好ましくは固形分20〜70重量部のものが使用される。
また、合成樹脂エマルジョンは絵の具全量に対して50〜99重量%程度が用いられる。
【0006】
また、絵の具としての高粘度化するため、本発明には増粘剤を使用する。増粘剤としては、前記合成樹脂エマルジョンの作用効果を阻害しないために、ポリアクリル酸エマルジョン、ポリアクリル酸エステルエマルジョン、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体エマルジョンから選ばれる1以上の増粘剤が用いられる。すなわち、ポリアクリル酸エマルジョン、ポリアクリル酸エステルエマルジョン、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体エマルジョンをそれぞれ単独で使用しても良いし、これらを併用して使用しても良好な結果が得られる。前記ポリアクリル酸エマルジョン、ポリアクリル酸エステルエマルジョン、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体エマルジョンは、乳化剤等の助剤の使用により均一に水に分散させたものであって、固形分10〜80重量部、好ましくは固形分20〜70重量部のものが使用される。
また、前記増粘剤は絵の具全量に対し、0.1〜20重量%程度が用いられる。
【0007】
また、本発明ではアミノアルコールを必須としている。
前記合成樹脂エマルジョンは乾燥して皮膜になると臭気を発していたが、本発明ではアミノアルコールを配合することによって、臭気を消去することができるようになった。特に、酢酸ビニル系合成樹脂エマルジョンの乾燥皮膜は、すっぱい感じのする酢酸臭が残存していたが、本発明ではアミノアルコールを配合することによって、酢酸臭が全くしなくなった。
本発明に用いることのできるアミノアルコールとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノールなどをあげることができ、特に2−アミノ−2−メチルプロパノールが好ましく用いられる。当該アミノアルコールは、絵の具全量に対し、0.1〜10重量%程度を用いると効果的である。
【0008】
ここで、前記増粘剤はアルカリ性にしないと増粘しないのでpH調整剤が必要であるが、前記アミノアルコールはアルカリ性を示すため、pH調整剤も兼ねることができ、特に別途pH調整剤を配合する必要はない。
しかし、pH調整剤としてはアルカリ剤であれば特に支障なく使用することができるので、アンモニア水、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムなどを、前記アミノアルコールに更に加えて使用してもよい。
pH調整剤としては、絵の具全量に対し、0.1〜10重量%程度を用いることができる。
【0009】
また、本発明には着色剤として、酸性染料・塩基性染料・直接染料・含金染料・蛍光染料・無機顔料・有機顔料・パール顔料・金属顔料・蛍光顔料・蛍光増白剤・蓄光剤・夜光剤・示温染料・ラメ・両面を無色または着色した樹脂層で被覆された金属蒸着箔の破砕超微小片からなる樹脂顔料、微小なガラス粒子の表面を金属又は金属酸化物でコートしたガラスフレーク顔料などの公知の染料・顔料を用いることができる。
前記着色剤は、絵の具全量に対し、0.001〜10重量%程度が用いられる。
【0010】
本発明には必要に応じて、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンナトリウム塩・1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンアルキルアミン塩などの防腐防かび剤、シリコーン界面活性剤などの消泡剤、紫外線吸収剤等の添加剤、ポリアルキレングリコールなどのひび割れ防止剤、タック調整剤、等を適量配合していてもよい。
【0011】
上記の要素を混合すると本発明の絵の具が得られる。当該絵の具は、0.5rpmで500〜100000mPa・s、100rpmで50〜5000mPa・s程度の粘度を有するものとなる。
【0012】
次に、本発明の使用方法について説明する。
各色に着色した本発明の絵の具を容器に詰め、ガラス板、合成樹脂板、金属板等の平滑面を有する基板上に塗布しつつ描画する。この際、基板の下に描きたい図案をおき、これにしたがって絵の具を塗布すると図案に忠実なシールを得ることができる。
塗布した直後の絵の具は、白濁状の合成樹脂エマルジョンに着色剤が配合されている状態なので不透明体である。このまま完全に乾燥するまで放置すると、合成樹脂エマルジョンが透明に変化し、着色剤が鮮やかに発色する。この乾燥した絵の具は容易に基板から剥離することができ、シールが得られる。このシールは柔らかく、他の基材に貼ったり剥したりすることが自在にできる。また、平面のみならず、おもちゃなどの曲面などにも貼ることができる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0014】
(実施例1)
固形分50重量%の酢酸ビニル−アクリル酸共重合体エマルジョンを94重量%、固形分25重量%のポリアクリル酸エマルジョンを2重量%、50%2−アミノ−2−メチルプロパノール水溶液を2重量%、メタシャインREFSX−2040PS(日本板ガラス社製銀被膜ガラスフレーク 平均粒径40μm)を1重量%、シリコーン系界面活性剤(消泡剤)を0.5重量%、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンナトリウム塩(防腐防黴剤)を0.5重量%、以上の物質を攪拌機にて20分間攪拌後、約1時間静置、脱泡して粘度1500mPa・s(0.5rpm、B型粘度計、液温20℃)の絵の具を製造した。
【0015】
(実施例2)
固形分50重量%の酢酸ビニル−アクリル酸エチル共重合体エマルジョンを92.5重量%、固形分25重量%のポリアクリル酸エチルエマルジョンを2重量%、50%のトリエタノールアミン水溶液を2重量%、40%の2−アミノ−2−メチルプロパノール水溶液を2重量%、エルジーSILVER#325(尾池工業社製顔料着色金属被膜樹脂粒子 平均粒径44μm)を0.5重量%、シリコーン系界面活性剤(消泡剤)を0.5重量%、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンナトリウム塩(防腐防黴剤)を0.5重量%、以上の物質を攪拌機にて20分間攪拌後、約1時間静置、脱泡して粘度1500mPa・s(0.5rpm、B型粘度計、液温20℃)の絵の具を製造した。
【0016】
上記実施例の絵の具をもってシールを作成したところ、臭気の発生を極めて少なく抑えることができた。特に酢酸臭は全くしなかった。
また、基材からの剥離性及び基材への粘着性において、いずれも優れた効果を示した。実施例の絵の具は流動性が良く塗布が容易で、作成したシールの表面は透明度も良好であり、発色が鮮やかで、衛生的にも安全であった。
【0017】
【効果】
以上の通り、本発明はガラス板等の平滑面を有する基材に塗布描画した絵の具を乾燥させてシールを作成するにあたって、シールからの臭気の発生を極めて少なく抑えることができ、特に酢酸臭は全くしないシールを作成できる絵の具を得ることができるものである。
Claims (1)
- 酢酸ビニル−アクリル酸共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−メタクリル酸共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−メタクリル酸エステル共重合体エマルジョンから選択される1以上の酢酸ビニル−アクリル酸系共重合体エマルジョンが絵の具全量に対して50〜99重量%と、
ポリアクリル酸エマルジョン、ポリアクリル酸エステルエマルジョン、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体エマルジョンから選ばれる1以上の増粘剤が絵の具全量に対して0.1〜20重量%と、
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノールから選ばれるアミノアルコールが絵の具全量に対して0.1〜10重量%と、
着色剤が絵の具全量に対して0.001〜10重量%を少なくとも含有してなる絵の具を乾燥させて作成されるシール。
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