JP5050349B2 - 負極およびそれを用いた電池 - Google Patents

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Description

本発明は、メソフェーズ黒鉛小球体を含む負極およびそれを用いた電池に関する。
近年、カメラ一体型VTR(videotape recorder),携帯電話あるいはラップトップコンピュータなどのポータブル電子機器が多く登場し、その小型化および軽量化が図られて いる。それに伴い、これら電子機器のポータブル電源として、電池、特に二次電池について、エネルギー密度を向上させるための研究開発が活発に進められている。
中でも、負極 に炭素材料を用いたリチウムイオン二次電池が知られており(例えば、特許文献1〜6参照。)、これらの電池は、従来の水系電解液二次電池である鉛電池あるいはニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるため、非常に期待されている。
一方、二次電池の大きさを変えずに電池容量を上げるためには、電極材料を高密度に充填するか若しくは電極に対して高負荷(加圧)プレスを行い、電極材料の体積密度を高くすればよいことが知られている。また、高負荷プレスによって電極材料の粒子が壊れないようにするために、負極の炭素材料として、圧縮破壊強度の高いメソフェーズ黒鉛小球体を用いればよいことが知られている(例えば、特許文献7参照。)。
特開昭57−208079号公報 特開昭58−93176号公報 特開昭58−192266号公報 特開昭62−90863号公報 特開昭62−122066号公報 特開平2−66856号公報 特開平7−272725号公報
しかしながら、電池の高容量化を図るために、メソフェーズ黒鉛小球体を高密度に充填しようとすると、メソフェーズ黒鉛小球体の圧縮破壊強度(粒子硬度)が高いため、隣り合う粒子間で隙間が生じてしまい高密度に充填することができないという問題があった。
そこで、メソフェーズ黒鉛小球体に替えて、放電容量が大きい黒鉛材料を高密度に充填すると、放電容量の大きい黒鉛材料は一般に圧縮破壊強度が小さいため、プレスした際に、電極表面近傍の黒鉛材料が潰れて電解液が浸透する空隙を埋めてしまい、これによって、電極の充放電容量が低くなり、電池の高容量化ができないという問題が生じる。
本発明は、上記の問題点を考慮してなされたもので、その目的は、電極の体積密度が高く、放電容量の大きい優れたサイクル特性を有する負極および電池を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明による負極は、負極集電体と、この負極集電体に設けられた負極活物質層とを有し、前記負極活物質層は、メソフェーズ黒鉛小球体と、圧縮破壊強度が30MPa以下の範囲の黒鉛材料と、結着剤と、からなり、前記メソフェーズ黒鉛小球体と前記黒鉛材料との混合比が重量比で70:30〜95:5であるようにしたものである。
本発明による電池は、正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、前記負極は、負極集電体と、この負極集電体に設けられた負極活物質層とを有し、前記負極活物質層は、メソフェーズ黒鉛小球体と、圧縮破壊強度が30MPa以下の範囲の黒鉛材料と、結着剤と、からなり、前記メソフェーズ黒鉛小球体と前記黒鉛材料との混合比が重量比で70:30〜95:5であるようにしたものである。
本発明による負極によれば、負極活物質層は、メソフェーズ黒鉛小球体と、圧縮破壊強度が30MPa以下の範囲の黒鉛材料と、結着剤と、からなり、前記メソフェーズ黒鉛小球体と前記黒鉛材料との混合比が重量比で70:30〜95:5となるようにしたので、体積密度を高くし、放電容量の大きい優れたサイクル特性を得ることができる。
よって、この負極を用いた本発明の電池によれば、充放電容量を大きくすることができ、サイクル特性を向上させることができる。
以下、本発明による負極を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明するが、本発明は以下の形態に限定されるものではない。また、本発明による負極を用いた電池については、負極と併せて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る負極10の構成を模式的に表したものである。負 極10は、例えば、一対の対向面を有する負極集電体11と、負極集電体11の片面に設けられた負極活物質層12とを有している。なお、図示しないが、負極集電体11の両面に負極活物質層12を設けるようにしてもよい。
負極集電体11は、良好な電気化学的安定性、電気伝導性および機械的強度を有することが好ましく、銅(Cu),ニッケル(Ni)あるいはステンレスなどの金属材料により構成されている。
負極活物質層12は、負極活物質として、リチウムなどを吸蔵および放出することが可能な炭素材料を含んでいる。本実施形態では、この炭素材料として、メソフェーズ黒鉛小球体12Aと、圧縮破壊強度が30MPa以下の範囲の黒鉛材料12Bとの混合物を使用する。黒鉛材料12Bには、鱗片状の黒鉛粒子からなる鱗片状黒鉛を使用する。
メソフェーズ黒鉛小球体12Aは、圧縮破壊強度が50MPa以上、好ましくは80MPa以上の範囲となるように構成されている。このとき、メソフェーズ黒鉛小球体12Aの圧縮破壊強度は、破壊強度St(Sx)をSt(Sx)=2.8P/(π×d×d)(St(Sx):破壊強度[Pa]、P:試験力[N]、d:粒子直径[mm])と定義され、島津製小圧縮試験機MCT−W500により測定される値である。
メソフェーズ黒鉛小球体12Aの比表面積は、N2ガスBET(Brunauer,Emmett,Teller)法による測定で、1.3m/g以下、好ましくは0.9m/g以下となるように構成されている。また、メソフェーズ黒鉛小球体12Aの平均粒子径は、10μm〜30μmの範囲となるように構成されている。さらに、メソフェーズ黒鉛小球体12Aの放電容量は、340mAh/g〜355mAh/gの範囲となるように構成されている。
鱗片状黒鉛12Bは、圧縮破壊強度が30MPa以下、好ましくは8MPa以下の範囲となるように構成されている。このとき、鱗片状黒鉛12Bの圧縮破壊強度は、メソフェーズ黒鉛小球体の場合と同様に定義される。
鱗片状黒鉛12Bの比表面積は、N2ガスBET法による測定で2.0m/g以上、好ましくは3.0m/g以上となるように構成されている。また、鱗片状黒鉛12Bの平均粒子径は、1μm〜50μmの範囲となるように構成されている。さらに、鱗片状黒鉛12Bの放電容量は、355mAh/g〜370mAh/gの範囲となるように構成されている。
圧縮破壊強度が30MPa以下の範囲の黒鉛材料としては、上記鱗片状黒鉛のほか、球状黒鉛や鱗状の天然黒鉛を用いてもよい。
負極活物質層12は、結着剤として、フッ素系高分子バインダ樹脂、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)を含んでいる。フッ素系高分子バインダ樹脂は、ゴム系のバインダ樹脂に比べて、いわゆるスプリングバック(弾性回復)が小さく、高温での加温プレスが可能なため、負極活物質の体積密度を1.80g/cm以上の高密度にすることができる。なお、負極活物質の体積密度は、1.80g/cm以上の範囲とすることで、負極における電子伝導性が良くなり、負極の放電負荷特性を向上させることができる。
また、本実施形態における負極活物質層12に含まれるメソフェーズ黒鉛小球体12Aと圧縮破壊強度が30MPa以下の範囲の黒鉛材料12Bと混合比は、重量比で70:30〜95:5の範囲内であることが好ましい。例えば、黒鉛材料12Bの混合比が30重量%を越える組成では、負極活物質層の体積密度が1.80g/cm以上の範囲となるような場合には、高負荷プレス時に電極表面近傍の黒鉛材料12Bが潰れて活物質層内の電解液が浸透する空隙を埋めてしまい、浸透性低下、エッジ部の埋没、電極面内方向へのベーサル面配向などによって、電池特性を大きく低下させてしまうからである。
メソフェーズ黒鉛小球体12Aと鱗片状黒鉛12Bとの混合比を上述した範囲に設定することにより、負電極を高負荷プレスした後であっても、圧縮破壊強度の大きい(粒子硬度の高い)球状粒子12Aの粒子間隙間に、圧縮破壊強度の小さい(粒子硬度の低い)黒鉛材料12Bが入り込んだ状態を維持することができる。すなわち、圧縮破壊強度の小さい黒鉛材料12Bに極度なプレス負荷がかかることがないので、プレス時に電極表面近傍の黒鉛材料12Bが潰れて、電解液が浸透する空隙を埋めてしまうようなことを少なくすることできる。従って、浸透性低下、エッジ部の埋没、電極面内方向へのベーサル面配向などによって、電池の諸特性が低下してしまうことを防止することができる。
負極10は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、例えば、メソフェーズ黒鉛小球体12Aと、鱗片状の黒鉛粒子からなる黒鉛材料12Bと、フッ素系高分子バインダ樹脂からなる結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、この負極合剤スラリーを負極集電体11に塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して負極10を形成する。
この負極10は、例えば、次のようにしてラミネートフィルムを外装とする二次電池に用いられる。
図2は、その二次電池の構成を分解して表すものである。この二次電池は、正極リード21および負極リード22が取り付けられた巻回電極体20をフィルム状の外装部材30の内部に封入したものである。
正極リード21および負極リード22は、外装部材30の内部から外部に向かい、例えば同一方向にそれぞれ導出されている。正極リード21および負極リード22は、例えば、アルミニウム(Al),銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
外装部材30は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のラミネートフィルムにより構成されている。外装部材30は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回電極体20とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。
なお、外装部材30は、上述したラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
図3は、図2に示した巻回電極体20のI−I線に沿った断面構造を表すものである。巻回電極体20は、正極23と負極10とをセパレータ24を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ25により保護されている。
負極10は、上述した構成を有しており、例えば、負極集電体11と、この負極集電体11の両面あるいは片面に設けられた負極活物質層12を有している。これにより、高容量で、優れた大電流放電特性および低温放電特性などが得られるようになっている。負極集電体11には、長手方向における一方の端部に負極活物質層11が設けられず露出している部分があり、この露出部分に負極リード22が取り付けられている。なお、図3では、負極活物質層12は、負極集電体11の両面に形成されているように表されている。
正極23は、例えば、正極集電体23Aと、この正極集電体23Aの両面あるいは片面に設けられた正極活物質層23Bを有している。正極集電体23Aには、長手方向における一方の端部に正極活物質層23Bが設けられず露出している部分があり、この露出部分に正極リード21が取り付けられている。正極集電体23Aは、例えば、アルミニウム箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属材料により構成されている。
正極の材料としては、例えば、リチウム酸化物,リチウム硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物などのリチウム含有化合物が適当であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。特に、エネルギー密度を高くするには、一般式Lix MO2 で表されるリチウム複合酸化物あるいはリチウムを含んだ層間化合物が好ましい。なお、Mは1種類以上の遷移金属が好ましく、具体的には、コバルト(Co),ニッケル,マンガン(Mn),鉄,アルミニウム,バナジウム(V)およびチタン(Ti)のうちの少なくとも1種が好ましい。xは、電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。また、他にも、スピネル型結晶構造を有するマンガンスピネル(LiMn2 4 )、あるいはオリビン型結晶構造を有するリン酸鉄リチウム(LiFePO4 )なども高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。
また、リチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料として、他の金属化合物あるいは高分子材料が挙げられる。他の金属化合物としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムあるいは二酸化マンガンなどの酸化物、または硫化チタンあるいは硫化モリブデンなどの二硫化物が挙げられ、高分子材料としては、例えば、ポリアニリンあるいはポリチオフェンが挙げられる。
正極合剤層は、例えば導電剤を含んでおり、必要に応じて更に結着剤を含んでいてもよい。導電剤としては、例えば、黒鉛,カーボンブラックあるいはケッチェンブラックなどの炭素材料が挙げられる。また、炭素材料の他にも、導電性を有する材料であれば金属材料あるいは導電性高分子材料などを用いるようにしてもよい。導電剤は、いずれか1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。結着剤としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム,フッ素系ゴムあるいはエチレンプロピレンジエンゴムなどの合成ゴム、またはポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料が挙げられる。結着剤はいずれか1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
セパレータ24は、正極と負極とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン,ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜はショート防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。特に、ポリエチレンは、100℃以上160℃以下の範囲内においてシャットダウン効果を得ることができ、かつ電気化学的安定性にも優れているので、セパレータ24を構成する材料として好ましい。また、ポリプロピレンも好ましく、他にも化学的安定性を備えた樹脂であればポリエチレンあるいはポリプロピレンと共重合させたり、またはブレンド化させたりすることで用いることができる。
セパレータ24に含浸された電解液は、液状の溶媒、例えば有機溶剤などの非水溶媒と、この非水溶媒に溶解された電解質塩と、必要に応じて添加剤とを含んでいる。液状の非水溶媒というのは、例えば、非水化合物よりなり、25℃における固有粘度が10.0mPa・s以下のものを言う。なお、電解質塩を溶解した状態での固有粘度が10.0mPa・s以下のものでもよく、複数種の非水化合物を混合して溶媒を構成する場合には、混合した状態での固有粘度が10.0mPa・s以下であればよい。
非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシドあるいはリン酸トリメチル、リン酸トリエチルなどが挙げられる。
特に、優れた充放電容量特性および充放電サイクル特性を実現するためには、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネート、エチレンサルファイトのうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。
また、非水溶媒に常温溶融塩を含むこともできる。中でも、4級アンモニウムカチオンとフッ素原子含有アニオンとから成る4級アンモニウム塩構造をとるものが好ましい。例えば、下記のアンモニウムカチオン群から選ばれた少なくとも1つのアンモニウムカチオンと下記のアニオン群から選ばれた少なくとも1つのアニオンから成る塩構造を挙げることができる。
アンモニウムカチオン群としては、ピロリウムカチオン,ピリジニウムカチオン,イミダゾリウムカチオン,ピラゾリウムカチオン,ベンズイミダゾリウムカチオン,インドリウムカチオン,カルバゾリウムカチオン,キノリニウムカチオン,ピロリジニウムカチオン,ピペリジニウムカチオン,ピペラジニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン(但し,炭素数1〜30の炭化水素基,ヒドロキシアルキル,アルコキシアルキルで置換されているものを含む。)などが挙げられる。なお、いずれのものも,Nおよび/又は環に炭素数1〜10の炭化水素基,ヒドロキシアルキル基,アルコキシアルキル基が結合しているものを含む。
アニオン群としては、BF,PF,C2n+1CO(但しnは1〜4の整数), C2n+1SO(但しnは1〜4の整数),(FSON,(CFSON,(CSON,(CFSOC,CFSO−N−COCF,R−SO−N−SOCF(Rは脂肪族基),ArSO−N−SOCF(Arは芳香族基)などが挙げられる。
リチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド,過塩素酸リチウム(LiClO4 ),六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 ),四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 ),トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiSO3 CF3 ),ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN[SO2 (CF3 )]2 ),トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチルリチウム(LiC[SO2 (CF3 )]3 ),塩化リチウム(LiCl)あるいは臭化リチウム(LiBr)などのリチウム塩が挙げられ、電解質塩としては、目的に応じた特性を得るため、これらリチウム塩のいずれか1種または2種以上を含んでいてもよい。
なお、電解液に代えて、高分子化合物に電解液を保持させたゲル状の電解質を用いてもよい。高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンあるいはポリカーボネートが挙げられる。特に、電気化学的安定性の点からは、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンあるいはポリエチレンオキサイドの構造を持つ高分子化合物を用いることが望ましい。なお、電解液に対する高分子化合物の添加量は両者の相溶性によっても異なるが、通常、電解液の5質量%〜50質量%に相当する高分子化合物を添加することが好ましい。
このようにして得られた電極材料は、各種の電池の電極として利用可能であり、電池の種類は特に限定されないが、好ましくは二次電池の電極に用いられる。特に好ましい二次電池としては、過塩素酸リチウム、硼フッ化リチウム、6フッ化リン酸リチウムのようにアルカリ金属塩を含む非水電解液を用いた二次電池を挙げることができる。
また、本実施形態では、正極材料、負極材料を集電体に塗布して電極シートを作製する方法は特に限定されないが、本発明の性質上、結着材や導電材などとともに溶媒に分散させた溶液を塗布後、乾燥させたり、活物質を導電性結着材や導電材と結着材の混合物を用いたりして集電体に張り付ける方法が一般的である。また、本実施形態における集電体は、金属を箔状、網状、ラス状などの形態で用いることが可能であるが、これらの形態に限定されるものではない。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、正極および負極を巻回する場合について説明したが、正極と負極とを複数積層するようにしてもよく、また、折り畳むようにしてもよい。更に、本発明は、外装部材に缶を用いた円筒型、角型、コイン型、ボタン型などの電池にも適用することができる。さらには、二次電池に限らず、一次電池についても適用することもできる。
以下、本発明の具体的な実施例について、詳細に説明する。
(実施例1−1〜1−4)
まず、負極活物質として、破壊強度の大きいメソフェーズ黒鉛小球体(以下、黒鉛1という。)と、破壊強度が30MPa以下の範囲の黒鉛材料(以下、黒鉛2という。)を用いた。表1に、黒鉛1および黒鉛2の平均粒径(μm)、比表面積(m/g)、破壊強度(MPa)、放電容量(mAh/g)を比較した結果を示す。
Figure 0005050349
比表面積は、N2ガスによるBET法により測定した。なお、粒子の破壊強度St(Sx)は、島津製小圧縮試験機MCT−W500により測定した(St(Sx)=2.8P/(π×d×d)St(Sx):破壊強度[Pa]、P:試験力[N]、d:粒子直径[mm])。
前記黒鉛1および黒鉛2の放電容量は、以下の方法にて算出した。
まず、各黒鉛粉末90質量%と結着剤であるポリフッ化ビニリデン10質量%とを混合して負極合剤を調製した。次いで、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させてペースト状の負極合剤スラリーとし、厚み15μmの帯状銅箔よりなる負極集電体に塗布して乾燥させることにより負極を作製した。
この負極を使用して、直径20mmで厚さ1mmのコイン型のテストセル(セル構成:対極/Li金属;セパレータ/ポリエチレン製多孔質膜;電解液/炭酸エチレンと炭酸ジエチルとの混合溶媒(1:1(体積比))にLiPFを1mol/dmの割合で溶解させた溶液;集電体/銅箔)を作製した。
上述のテストセルに対し、まず、0.1Cの定電流で平衡電位がリチウムに対し30mVとなるまで充電を行い、さらに、30mVで20時間の定電圧充電を行った。そののち、テストセル電圧が1.5Vになるまで0.1Cの定電流で放電を行い、その放電容量を負極の放電容量とした。なお、0.1Cは、理論容量を10時間で放出しきる電流値である。このようにして見積もられた放電(負極)容量は、平衡電位を基準としているので、材料固有の特性を反映したものとなっている。
次に、前記黒鉛1および黒鉛2を使用した負極と正極を、ポリエチレン製セパレータを介して、直径20mmで厚さ1mmのコインセルに組み込み、電解液として炭酸エチレンと炭酸ジエチルとの混合溶媒(1:1(体積比))にLiPFを1mol/dmの割合で溶解させた溶液を用いてコインセルを作製し、初回放電容量と放電容量維持率を算出した。
なお、前記正極には、レーザ回折法により得られる累積50%粒径が15μmのリチウム・コバルト複合酸化物を活物質として用いた。このリチウム・コバルト複合酸化物粉末95質量%と炭酸リチウム粉末5質量%とを混合し、この混合物94質量%と、導電剤であるケッチェンブラック3質量%と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン3質量%とを混合して正極合剤を調製した。次いで、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させてペースト状の正極合剤スラリーとし、厚み20μmの帯状アルミニウム箔よりなる正極集電体の両面に均一に塗布して乾燥させ、圧縮成型して正極合剤層を形成し、前記正極とした。
前記コインセルの初回放電容量(mAh)は、下記のようにして測定した。まず、0.1Cの定電流で電池電圧が4.2Vとなるまで充電を行い、さらに、4.2Vで10時間の定電圧充電を行った。そののち、電池電圧が3.0Vになるまで0.2Cの定電流で放電を行い、初回放電容量とした。なお、0.1C,0.2Cは、理論容量をそれぞれ10時間,5時間で放出しきる電流値である。
また、放電容量維持率(%)は、下記のようにして測定した。まず、0.1Cの定電流で電池電圧が4.2Vとなるまで充電を行い、さらに4.2Vで3時間の定電圧充電を行った。そののち、電池電圧が3.0Vになるまで1.0Cの定電流で放電を行い、放電容量とした。この充放電を続けて行い、1サイクル時の放電容量に対する100サイクル時の放電容量(100サイクル時の放電容量/1サイクル時の放電容量)を求め、その容量維持率((100サイクル時の放電容量/1サイクル時の放電容量)×100)(%)を放電容量維持率(%)とした。なお、1.0Cは、理論容量を1時間で放出しきる電流値である。
さらに、缶内径17.3mm、缶内長55.5mmの円筒缶を用いて円筒缶電池を作製し、初回放電容量を測定した。
図4に、本実施例に係る円筒缶電池の断面構造を表す。
図4に示すように、円筒缶電池は、ほぼ中空円柱状の電池缶31の内部に、前記コインセルと同様組成の帯状の正極41と負極42とが、厚み25μmの微多孔性ポリエチレン延伸フィルムよりなるセパレータ43を介して巻回された巻回電極体40を有している。 巻回電極体40は、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順に積層してから多数回巻回することにより形成される外径17mmのジェリーロール型の巻回電極体とした。電池缶31は、ニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、巻回電極体40を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板32,33がそれぞれ配置されている。
電池缶31の開放端部には、電池蓋34が、ガスケット37を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶31の内部は密閉されている。電池蓋34は、電池缶31と同様の材料により構成されている。ガスケット37は、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体40の中心には例えばセンターピン44が挿入されている。巻回電極体40の正極41には、アルミニウムよりなる正極リード45が、安全機構35に溶接されることで電池蓋34と電気的に接続されており、負極42には、ニッケルよりなる負極リード46が接続されており、この負極リード46は溶接により電池缶31へ電気的に接続されている。
続いて、電池缶の内部に電解液を注入した。電解液には、炭酸エチレンと炭酸ジエチルとの混合溶媒(1:1(体積比))にLiPFを1mol/dmの割合で溶解させた溶液を用いた。
このようにして作製した円筒缶電池の初回放電容量は、下記のようにして測定した。まず、0.2Cの定電流で電池電圧が4.2Vとなるまで充電を行い、さらに、4.2Vで3時間の定電圧充電を行った。そののち、電池電圧が3.0Vになるまで0.2Cの定電流で放電を行い、初回放電容量とした。なお、0.2Cは、理論容量を5時間で放出しきる電流値である。
実施例1−1〜1−4においては、メソフェーズ黒鉛小球体12Aと黒鉛材料12Bとの混合比を重量比で95:5〜70:30の範囲内で変化させた。
また、実施例1−1〜1−4に対する比較例1−1〜1−4として、メソフェーズ黒鉛小球体12Aと黒鉛材料12Bとの合計に対するメソフェーズ黒鉛小球体12Aの重量比率が、100wt%、98wt%、60wt%、0wt%となるように変化させた。
さらに、比較例1−5として、結着剤に、ゴム系のスチレンブタジエンゴム(SBR)を用いた場合について、測定を行った。
作製した実施例1−1〜1−4および比較例1−1〜1−5の二次電池について、負極活物質層の体積密度(g/cm)、円筒缶電池の初回放電容量(mAh)、コイン電池の初回放電容量(mAh)、放電容量維持率(100サイクル後の容量維持率)(%)を調べ、その結果を表2に示す。
Figure 0005050349
(実施例1−1)
実施例1−1では、前記黒鉛1と黒鉛2とを重量比95:5となるように混ぜ合わせた。バインダには、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を全固形分の5wt%で用いた。ここで、全固形分とは、負極において集電体を除いた部分を指す。電極のプレスは、面圧2100kgf/cmで、プレス温度130℃にてプレスした。その結果、表2に示すように、作製した電極の黒鉛系活物質、バインダ、炭素系導電材量から計算される負極塗膜の体積密度は1.82g/cmとなった。また、コインセルの初回放電容量は10.2mAhとなり、1C/1Cサイクル(1Cの定電流で電池電圧が4.2Vとなるまで充電を行い、さらに4.2Vの定電圧充電を、充電開始からの合計充電時間が3時間となるまで行い、そののち、電池電圧が3.0Vになるまで1Cの定電流放電を行う)での100サイクル後の放電容量維持率は92.5%と高いサイクル特性を示した。また、円筒缶電池の場合は、2240mAhの初回放電容量が得られた。
(実施例1−2)
実施例1−2では、前記黒鉛1と黒鉛2とが、重量比80:20となるように混ぜ合わせ、その他は実施例1−1と同様にして評価を行った。その結果、表2に示すように、プレス後の体積密度は1.86g/cmとなった。初回放電容量は10.3mAhとなり、1C/1Cサイクルでの100サイクル後の放電容量維持率は91.8%と高いサイクル特性を示した。また、円筒缶電池の場合は、2200mAhの初回放電容量が得られた。
(実施例1−3)
実施例1−3では、前記黒鉛1と黒鉛2とが、重量比70:30となるように混ぜ合わせ、その他は実施例1−1と同様の評価を行った。その結果、表2に示すように、プレス後の体積密度は1.88g/cmとなった。初回放電容量は10.1mAhとなり、1C/1Cサイクルでの100サイクル後の放電容量維持率は90.3%と高いサイクル特性を示した。また、円筒缶電池の場合は、2229mAhの初回放電容量が得られた。
(実施例1−4)
実施例1−4では、前記黒鉛1と黒鉛2とを重量比70:30となるように混ぜ合わせ、評価を行った。このときのプレス温度は120℃とし、プレス後の体積密度は1.86g/cmとなった。その結果、表2に示すように、初回放電容量は10.1mAhとなり、1C/1Cサイクルでの100サイクル後の放電容量維持率は94.5%と高いサイクル特性を示した。また、実施例1−1と同様に円筒缶電池を作製し、放電特性を測定すると2220mAhの初回放電容量が得られた。
(比較例1−1)
前記黒鉛1と黒鉛2とを重量比100:0となるように混ぜ合わせ、実施例1−1と同様の評価を行った。その結果、表2に示すように、プレス後の体積密度は1.78g/cmと低い値を示した。また、円筒缶電池の初回放電容量も2174mAh程度と実施例1−4に比べて低く、従来の電池容量レベルであり、特に新規的な高容量の電池は実現できないことが分かった。
(比較例1−2)
前記黒鉛1と黒鉛2とを重量比98:2となるように混ぜ合わせ、実施例1−1と同様の評価を行った。その結果、プレス後の体積密度は1.78g/cmと低い値を示した。また、円筒缶電池の初回放電容量も2174mAh程度と実施例1−4に比べて低く、従来の電池容量レベルであり、特に新規的な高容量電池は実現できないことが分かった。
(比較例1−3)
前記黒鉛1と黒鉛2とを重量比60:40となるように混ぜ合わせ、実施例1−1と同様の評価を行った。その結果、表2に示すように、プレス後の体積密度は1.89g/cmとなった。コインセルの初回放電容量は8.9mAhと低く、1C/1Cサイクルでの100サイクル後の放電容量維持率は68.7%と低いサイクル特性を示すことが分かった。
(比較例1−4)
前記黒鉛1と黒鉛2とを重量比0:100となるように混ぜ合わせ、実施例1−1と同様の評価を行った。その結果、表2に示すように、プレス後の体積密度は1.91g/cmとなった。コインセルの初回放電容量は7.7mAhと低く、1C/1Cサイクルでの100サイクル後の放電容量維持率は26.8%と低いサイクル特性を示した。
(比較例1−5)
前記黒鉛1と黒鉛2とを重量比95:5となるように混ぜ合わせ、バインダとしてゴム系のSBRを用い、プレス温度以外は実施例1−1と同様にして評価を行った。その結果、表2に示すように、プレス後の体積密度は1.60g/cmと低い値を示した。また、円筒缶電池の初回放電容量も2080mAh程度となり、実施例1−4に比べて低く、従来の電池容量レベルであり、特に新規的な高容量電池は実現できないことが分かった。
表2の結果から、メソフェーズ黒鉛小球体12Aと圧縮破壊強度が30MPa以下の範囲の黒鉛材料12Bとの混合比を重量比で70:30〜95:5の範囲内に設定した実施例1−1〜1−4によれば、比較例1−1〜1−4よりも、負極活物質層の体積密度が高く、円筒缶電池の初回放電容量も高いことが分かる。また、コイン初回放電容量も高く、1C/1Cサイクルにおける100サイクル後の放電容量維持率も高く、優れたサイクル特性を示すことが分かった。
一方、黒鉛材料12Bの混合比を実施例よりも少なくした比較例1−1、1−2によれば、実施例に比べて、負極活物質の体積密度が低く、円筒缶電池の初回放電容量も低くなっている。これは、放電容量の大きい黒鉛材料12Bの含有率が少ないため、メソフェーズ黒鉛小球体12Aの粒子間の隙間に黒鉛材料12Bが効率よく充填されないためと考えられる。
また、黒鉛材料12Bの混合比を実施例よりも多くした比較例1−3、1−4によれば、実施例に比べて、負極の体積密度及び円筒缶電池の初回放電容量も高くなっているが、コイン電池の初回放電容量が低くなり、また、100サイクル後の放電容量維持率も低くなっている。これは、圧縮破壊強度の小さい黒鉛12Bが多く含まれるため、高負荷のプレス圧によって、電極表面近傍の黒鉛材料12Bが潰されて、電極表面の空隙を埋めてしまい、これにより、電解液の浸透性低下、黒鉛の有効エッジ部の埋没、電極面内方向へのベーサル面の配向が発生しているためと考えられる。
また、表2の結果から、結着剤として、フッ素系高分子バインダ樹脂を含有させた実施例1−1によれば、比較例1−5よりも、負極活物質の体積密度が高く、円筒缶電池の放電容量も高いことが分かる。
これに対して、結着剤として、ゴム系のSBRを用いた比較例1−5によれば、実施例1−1に比べて、負極の体積密度も低く、また、円筒缶の初回放電容量も低くなっている。これは、プレス温度を上げることができないことと、プレス後直後にゴム系の高い弾性率によるスプリングバッグ現象が起きているためと考えられる。
すなわち、メソフェーズ黒鉛小球体12Aと圧縮破壊強度が30MPa以下の黒鉛材料12Bとの混合比を重量比で70:30〜95:5の範囲内に設定すれば、負極を製造する際に加圧プレスを用いた場合であっても、圧縮破壊強度の低い黒鉛材料12Bが圧縮破壊強度の高いメソフェーズ黒鉛小球体12Aの隙間に入り込んで存在しているので、負極活物質層の体積密度を高くすることができる。また、加圧プレスをかける際、黒鉛材料12Bの多くはメソフェーズ黒鉛小球体12Aの隙間に存在しているので、プレスにより電極表面近傍で潰される黒鉛材料12Bの割合が小さくなり、上述したような電解液の浸透圧の低下等の問題は少なくなる。従って、負極活物質の体積密度を高くしつつ、放電容量も大きくすることができ、優れたサイクル特性を有する電池を得ることができることがわかった。
さらに、負極の結着剤として、フッ素系高分子バインダ樹脂を含有させることで、プレス温度を高くした場合のスプリングバック現象の発生をおさえ、体積密度の高い負極を得ることができることが分かった。
(実施例2−1〜2−5)
まず、破壊強度の大きいメソフェーズ黒鉛小球体(黒鉛1)として、メソフェーズ系A、メソフェーズ系B、メソフェーズ系Cを用い、破壊強度が30MPa以下の範囲の黒鉛材料(黒鉛2)として、人造黒鉛A、人造黒鉛B、天然黒鉛を用いた。表3に、黒鉛1および黒鉛2の平均粒径(μm)、比表面積(m/g)、破壊強度(MPa)、放電容量(mAh/g)を比較した結果を示す。
Figure 0005050349
このとき、比表面積は、N2ガスによるBET法により測定した。粒子の破壊強度St(Sx)は、島津製小圧縮試験機MCT−W500により測定した(St(Sx)=2.8P/(π×d×d)St(Sx):破壊強度[Pa]、P:試験力[N]、d:粒子直径[mm])。
前記黒鉛1および黒鉛2の放電容量は、以下の方法にて算出した。
まず、各黒鉛粉末90質量%と結着剤であるポリフッ化ビニリデン10質量%とを混合して負極合剤を調製した。次いで、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させてペースト状の負極合剤スラリーとし、厚み15μmの帯状銅箔よりなる負極集電体に塗布して乾燥させることにより負極を作製した。
この負極を使用して、直径20mmで厚さ1mmのコイン型電池のテストセル(セル構成:対極/Li金属;セパレータ/ポリエチレン製多孔質膜;電解液/炭酸エチレンと炭酸ジエチルとの混合溶媒(1:1(体積比))にLiPFを1mol/dmの割合で溶解させた溶液;集電体/銅箔)を作製した。
上述のテストセルに対し、まず、0.1Cの定電流で平衡電位がリチウムに対し30mVとなるまで充電を行い、さらに、30mVで20時間の定電圧充電を行った。そののち、テストセル電圧が1.5Vになるまで0.1Cの定電流で放電を行い、その放電容量を負極の放電容量とした。なお、このようにして見積もられた放電(負極)容量は、平衡電位を基準としているので、材料固有の特性を反映したものとなっている。
次に、前記黒鉛1および黒鉛2を使用した負極と正極を、セパレータを介して、直径20mmで厚さ1mmのコインセルに組み込み、電解液として炭酸エチレンと炭酸ジエチルとの混合溶媒(1:1(体積比))にLiPFを1mol/dmの割合で溶解させた溶液を用いてコインセルを作製し、初回放電容量と放電容量維持率を算出した。
なお、前記正極には、レーザ回折法により得られる累積50%粒径が15μmのリチウム・コバルト複合酸化物を活物質として用いた。このリチウム・コバルト複合酸化物粉末95質量%と炭酸リチウム粉末5質量%とを混合し、この混合物94質量%と、導電剤であるケッチェンブラック3質量%と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン3質量%とを混合して正極合剤を調製した。次いで、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させてペースト状の正極合剤スラリーとし、厚み20μmの帯状アルミニウム箔よりなる正極集電体の両面に均一に塗布して乾燥させ、圧縮成型して正極合剤層を形成し、前記正極とした。
作製した実施例2−1〜2−5の二次電池について、負極活物質層の体積密度(g/cm)、コインセルの初回放電容量(mAh)、放電容量維持率(100サイクル後の容量維持率)(%)を調べ、その結果を表4に示す。
前記コインセルの初回放電容量(mAh)は、下記のようにして測定した。まず、0.1Cの定電流で電池電圧が4.2Vとなるまで充電を行い、さらに、4.2Vで10時間の定電圧充電を行った。そののち、電池電圧が3.0Vになるまで0.2Cの定電流で放電を行い、初回放電容量とした。
また、放電容量維持率(%)は、下記のようにして測定した。まず、0.1Cの定電流で電池電圧が4.2Vとなるまで充電を行い、さらに4.2Vで3時間の定電圧充電を行った。そののち、電池電圧が3.0Vになるまで1.0Cの定電流で放電を行い、放電容量とした。この充放電を続けて行い、1サイクル時の放電容量に対する100サイクル時の放電容量(100サイクル時の放電容量/1サイクル時の放電容量)を求め、その容量維持率を放電容量維持率(%)とした。
Figure 0005050349
(実施例2−1)
実施例2−1として、メソフェーズ系Aの黒鉛1と人造黒鉛Aの黒鉛2とを重量比80:20となるように混ぜ合わせた。バインダにはPVdF(ポリフッ化ビニリデン)を全固形分の5wt%で用いた。電極のプレスは、面圧2100kgf/cmでプレス温度130℃にてプレスした。その結果、表4に示すように、作製した電極の黒鉛系活物質、バインダ、炭素系導電材量から計算される負極塗膜の体積密度は1.86g/cmとなった。また、コインセルの初回放電容量は10.1mAhとなり、1C/1Cサイクルでの100サイクル後の放電容量維持率は91.6%と高いサイクル特性を示した。
(実施例2−2)
前記メソフェーズ系Bの黒鉛1と人造黒鉛Aの黒鉛2とを重量比80:20となるように混ぜ合わせ、実施例2−1と同様の評価を行った。その結果、表4に示すように、プレス後の体積密度は1.88g/cmとなった。また、初回放電容量は10.3mAhとなり、1C/1Cサイクルでの100サイクル後の放電容量維持率は92.3%と高いサイクル特性を示した。
(実施例2−3)
前記メソフェーズ系Cの黒鉛1と人造黒鉛Aの黒鉛2とを重量比80:20となるように混ぜ合わせ、実施例2−1と同様の評価を行った。その結果、表4に示すように、プレス後の体積密度は1.88g/cmとなった。また、初回放電容量は10.6mAhとなり、1C/1Cサイクルでの100サイクル後の放電容量維持率は91.8%と高いサイクル特性を示した。
(実施例2−4)
前記メソフェーズ系Aの黒鉛1と人造黒鉛Bの黒鉛2とを重量比80:20となるように混ぜ合わせ、実施例2−1と同様の評価を行った。その結果、表4に示すように、プレス後の体積密度は1.86g/cmとなった。また、初回放電容量は10.4mAhとなり、1C/1Cサイクルでの100サイクル後の放電容量維持率は91.5%と高いサイクル特性を示した。
(実施例2−5)
前記メソフェーズ系Aの黒鉛1と天然黒鉛の黒鉛2とを重量比80:20となるように混ぜ合わせ、実施例2−1と同様の評価を行った。その結果、表4に示すように、プレス後の体積密度は1.87g/cmとなった。また、初回放電容量は10.6mAhとなり、1C/1Cサイクルでの100サイクル後の放電容量維持率は90.1%と高いサイクル特性を示した。
表4から分かるように、メソフェーズ黒鉛小球体12Aと、圧縮破壊強度が30MPa以下の範囲の黒鉛材料12Bとの混合比を重量比で70:30〜95:5の範囲内に設定すれば、負極活物質層の体積密度を高くして、放電容量が大きい優れたサイクル特性を有する負極およびそれを用いた電池を得ることができることが分かった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形が可能であることはいうまでもない。
本発明の一実施形態に係る負極の構成を模式的に表す断面図である。 図1に示した負極を用いた二次電池の構成を表す分解斜視図である。 図2に示した巻回電極体のI―I線に沿った構成を表す断面図である。 本発明の実施例に係る円筒缶電池の構成を表す断面図である。
符号の説明
10・・負極、11・・負極集電体、12・・負極活物質層、12A・・メソフェーズ黒鉛小球体、12B・・黒鉛材料、20・・巻回電極体、21・・正極リード、22・・負極リード、23・・正極、23A・・正極集電体、23B・・正極活物質層、24・・セパレータ、25・・保護テープ、30・・外装部材、31・・電池缶、32・・絶縁板、33・・絶縁板、34・・電池蓋、35・・安全機構、37・・ガスケット、40・・巻回電極体、41・・正極、42・・負極、43・・セパレータ、44・・センターピン、45・・正極リード、46・・負極リード

Claims (4)

  1. 負極集電体と、
    この負極集電体に設けられた、体積密度が、1.80g/cm 以上の範囲である負極活物質層と、を有し、
    前記負極活物質層は、
    圧縮破壊強度が80MPa以上の範囲であるメソフェーズ黒鉛小球体と、
    圧縮破壊強度が30MPa以下の範囲の球状黒鉛若しくは鱗片状黒鉛である黒鉛材料と、
    フッ素系高分子バインダ樹脂を含有する結着剤と、からなり、
    前記メソフェーズ黒鉛小球体と前記黒鉛材料との混合比が重量比で70:30〜95:5であること
    を特徴とする負極。
  2. 前記黒鉛材料の圧縮破壊強度が、8MPa以下の範囲であること
    を特徴とする請求項1に記載の負極。
  3. 正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
    前記負極は、負極集電体と、この負極集電体に設けられた、体積密度が1.80g/cm 以上の範囲である負極活物質層とを有し、
    前記負極活物質層は、
    圧縮破壊強度が80MPa以上の範囲であるメソフェーズ黒鉛小球体と、
    圧縮破壊強度が30MPa以下の範囲の球状黒鉛若しくは鱗片状黒鉛である黒鉛材料と、
    フッ素系高分子バインダ樹脂を含有する結着剤と、からなり、
    前記メソフェーズ黒鉛小球体と前記黒鉛材料との混合比が重量比で70:30〜95:5であること
    を特徴とする電池。
  4. 前記黒鉛材料の圧縮破壊強度が、8MPa以下の範囲であること
    を特徴とする請求項3に記載の電池。
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