JP5049743B2 - 堆積体の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
吸収体の厚さ方向における吸水性ポリマーの分散状態は、吸収体やそれを用いた吸収性物品の触感や性能の面などから重要である。
このような方法において、吸水性ポリマーを、堆積体ないし吸収体の厚み方向に分散させる技術としては、回転ドラムに向けてダクト内を流れる繊維搬送気流中に、吸水性ポリマーを、繊維搬送気流の流れの向きに対して吸水性ポリマーの流れの向きが直交から正対向するように導入する技術(特許文献1参照)、ダクトに繊維搬送気流の流れ方向に離間させて複数のポリマー供給管を設け、ポリマー供給管のポリマー導出口の位置を調整することで複数種類の粒子を所望の態様に分散させるようにする技術(特許文献2参照)、ポリマー供給管を積繊(回転)ドラム近傍に設置し、吸水性ポリマーを層状に積繊する技術(特許文献3参照)等が知られている。
特許文献2の技術は、堆積体ないし吸収体の厚み方向に複数のポリマーリッチ層を形成する場合、その層と同数のポリマー供給管とそれぞれの供給管に吸水性ポリマーを供給する手段が必要となり、設備が、複雑で高価格なものとなってしまう。
特許文献3の技術は、吸水性ポリマーを供給する位置が積繊ドラムの表面に近いため、吸水性ポリマーと繊維材料との混合が充分ではなく、また、ポリマー供給管の存在が繊維材料の流れと干渉して、繊維材料の積繊状態に悪影響を与えるという不都合がある。
本発明の一実施形態である堆積体の製造装置1は、図1に示すように、回転ドラム2に向けてダクト3内を流れる繊維搬送気流42中に、ポリマー供給管5を介して吸水性ポリマー51を導入し、飛散状態とされた繊維材料及び吸水性ポリマー51を吸引により所定形状に堆積させるように構成されている。
回転ドラム2は、円筒状をなし、図1中の矢印A方向に回転駆動されるようになされている。回転ドラム2の外周面には、繊維材料及び吸水性ポリマーの堆積体に付与すべき形状に対応する形状の集積用凹部21,21・・が形成されている。回転ドラム2には、吸気ファン(図示せず)が接続されており、該吸気ファンの駆動により、回転ドラム内の仕切られた空間B及びCを負圧に維持可能に構成されている。個々の集積用凹部21の底面部は、多数の細孔(図示せず)が形成されており、個々の集積用凹部21が、負圧に維持された空間B,C上を通過している間、各集積用凹部21の底面部の細孔が吸引孔として機能する。
ダクト3における、回転ドラム2側とは反対側の端部付近には、パルプシート等のシート状の原料41を粉砕して、繊維材料としてダクト3内に供給する繊維材料供給装置4が設けられている。繊維材料は、前記吸気ファンの駆動によりダクト3内に生じた空気流と混合され、繊維搬送気流42となって、回転ドラム2の外周面に向けて搬送される。図1中、符号43は、粉砕機である。
ポリマー供給管5は、図2及び図3に示すように、ダクト3内に位置する先端部に、ダクト3内に導入される吸水性ポリマー51に複数の流れ方向を与える分流プレート(分流部材,方向制御手段)53を備えている。
第1のポリマー導入口54aは、分流プレート53の後端53aと筒状本体50の円弧状の先端縁50cとに囲まれた開口部として形成されており、第2のポリマー導入口54bは、分流プレート53の上面と、筒状本体50の先端部近傍に設けられた切欠部の端縁50dとに囲まれた開口部として形成されている。
また、第1のポリマー導入口54aは、筒状本体50の中心軸線Lに対して、繊維搬送気流42の流れ方向(X方向)の上流側に開口しており、第2のポリマー導入口54bは、筒状本体50の中心軸線Lに対して、繊維搬送気流42の流れ方向(X方向)の下流側に開口している。
また、分流プレート53の配置位置は、ダクト3の上面からの距離h(図2参照)が、5〜30cm、特に5〜20cmであることが好ましい。
繊維材料は、全体又は一部がパルプ繊維であることが好ましく、繊維材料中のパルプ繊維の割合は20〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは80〜100質量%であり、更に好ましくは100質量%である。
尚、ダクト内には、繊維材料以外に、消臭剤や抗菌剤等を必要に応じ供給してよい。
尚、集積用凹部21からの離型は、回転ドラム2内の仕切られた空間Dを図示しない加圧手段により陽圧に維持して、集積用凹部21の底面部の細孔から空気を吹き出させると共に、バキュームコンベア6から吸引することにより行われる。
本実施形態の堆積体の製造方法は、ダクト3内を流れる繊維搬送気流42中に、ポリマー供給管5を介して吸水性ポリマー51を導入し、飛散状態とされた繊維材料及び吸水性ポリマー51を所定形状に堆積させる工程を具備しており、当該工程において、一つのポリマー供給管5からダクト3内に導入される吸水性ポリマー51に複数の流れ方向F1,F2を与え、堆積体8の厚み方向における吸水性ポリマー51の分布状態を所望の状態に制御する。
堆積体の製造装置1を用いて堆積体8を製造するためには、回転ドラム2を回転させると共に、上記吸気ファンを作動させて空間B及びCを負圧にする。また、バキュームコンベア6を作動させ、更に第1及び第2コアラップシート7A,7Bの供給機構も作動させる。
吸気ファンの作動により、空間B上に位置する集積用凹部20の底面部に吸引力が生じると共に、ダクト3内に、回転ドラム2の外周面に向けて流れる空気流が生じる。
ポリマー投入口58に投入された吸水性ポリマーは、主としてダクトに生じた空気流の影響によりポリマー導入管57及びポリマー供給管5内に生じる空気の流れと、自重によって、ポリマー供給管5内へと導かれる。圧縮空気噴射口52から圧縮空気を噴射した場合は、
ポリマー供給管5内で吸水性ポリマー51が強く加速される。
そして、ポリマー供給管5内へと導かれた吸水性ポリマー51は、図1に示すように、第1のポリマー導入口54aからダクト内に導入される吸収性ポリマーと、第2のポリマー導入口54aからダクト3内に導入される吸収性ポリマーとに分かれ、相互に流れ方向の異なる流れF1,F2となってダクト3に導入される。
例えば、分流プレート53の大きさに対する第1のポリマー導入口54aの大きさの比を、図5に示す堆積体を製造した場合よりも大きくことにより、図6(a)に示すような、ポリマーの分布状態を得ることができ、逆に、分流プレート53の大きさに対する第1のポリマー導入口54aの大きさの比を、図5に示す堆積体を製造した場合よりも小さくすることにより、図6(b)に示すような、ポリマーの分布状態を得ることができる。更に、堆積体8の厚み方向の全体に吸収性ポリマーが分布するものを製造することもできる。
一般に、分流プレートの角度調整において、空気流のベクトル(流れの水平方向)に角度を持たせる方法が厚み方向への分散性コントロールであり、空気流のベクトルと直交する方向に角度を持たせることが、幅方向への分散性コントロールである。
厚み方向の分散として、分流プレート位置を上に上げると、ドラムの外側表面にリッチな構成となり、逆に分流プレート位置を下げると、ドラムの内側にリッチな構成となる傾向がある。また、圧縮空気の流速を高めると、分散状態が広範囲にわたるようになるため、厚み方向と、幅方向の分散性が優れるようになる。
このようにして製造した吸収体9も、上述のように製造した堆積体8を含むものであるため、厚み方向に所望の状態に吸水性ポリマー51が分布したものとなる。
例えば、分流プレートとしては、一つのポリマー供給管からダクト内に導入される吸水性ポリマーに複数の流れ方向を与え得る限り多様な形状のものを用いることができ、例えば、他の分流プレートの形状の例として、図7に示す分流プレート53Aを挙げることができる。分流プレート53Aにおいては、ダクト3内を流れる繊維搬送気流の流れ方向(X方向)の上流側に、櫛歯状に複数本のスリットが形成され、該各スリットが、第1のポリマー導入口54aである。分流部材としては、分流プレート53,53Aのように板状のものに代えて、ブロック状のもの等を用いることもできる。
図8に示す実施形態においては、ダクトの左右の側壁から延びる支持棒(図示せず)に支持された分流プレート53Bが、ポリマー供給管5の中心軸線Lの延長線上に配されている。分流プレート53Bとしては、楕円形状のものや、繊維搬送気流の流れ方向(X方向)を短辺とする長方形状のもの、正方形状のもの等を用いることができる。
図8に示す実施形態においては、ポリマー供給管5から供給される吸水性ポリマーが、分流プレート53の前後に分かれて、流れ方向の異なる流れF1,F2として、ダクト3内に供給される。
図9に示す実施形態においては、ダクト3の上壁31を貫通する接続管59bを介して、圧縮空気が先端部の噴射ノズル59cに供給され、該噴射ノズル59cの噴射口59から、圧縮空気が噴射される。接続管59bは、圧縮空気のタンク(図示せず)に接続されている。該噴射ノズル59cと圧縮空気のタンクとの間には、電磁弁が設けられており、図示しない制御装置(コンピュータ等)により電磁弁が所定のサイクルで開閉を繰り返すように制御され、それにより、圧縮空気が間欠的に噴射されるようになっている。圧縮空気のタンクには、コンプレッサーが接続されており、タンク内の圧力が、常時、所定の範囲の圧力に維持されるようになされている。
図10に示す実施形態において、ポリマー供給管5内へと導かれた吸水性ポリマーは、第一の分流プレート53Cにより、第一のポリマー導入口からダクト内に導入される吸水性ポリマーと第二のポリマー導入口から第二の分流プレート53Dに導かれる吸水性ポリマーとに分かれる。
そして、第二の分流プレート53Dにおいて吸水性ポリマーは、第三のポリマー導入口からダクト内に導入される吸水性ポリマーと第四のポリマー導入口から第三の分流プレート53Eに導かれる吸水性ポリマーとに分かれる。
そして、第三の分流プレート53Eにおいて吸水性ポリマーは、第五のポリマー導入口からダクト内に導入される吸水性ポリマーと第六のポリマー導入口からダクト内に導入される吸水性ポリマーとに分かれる。
このようにして、吸収性ポリマーは複数の分流プレートにより相互に流れ方向の異なる流れF4、F5、F6、F7となってダクトに導入される。
分散プレートを複数にすると、ポリマーの分散を複数箇所(図10に示す例では4箇所)で行うこととなるため、分散プレートが単数の場合と比べて、厚み方向での分散状態をより高めることができる。
図8〜図10に示す実施形態について、特に説明しない点は、上述した堆積体の製造装置1及びそれを用いた堆積体の製造方法と同様とすることができる。尚、図10に示すように、3枚の分流プレートを用いるのに代えて2枚あるいは4枚以上の分流プレートを用いることもできる。
また、集積用凹部21は、回転ドラム2の外周面に、周方向に連続する溝状の凹部として形成されていても良い。
また、本発明の方法及び装置においては、非凹状の堆積部に、吸水性ポリマーや繊維材料を堆積させても良い。例えば、ダクトに臨む面に凹部が形成されていないメッシュコンベアや外周面に凹部が形成されていない回転ドラムの外周面における一定の領域のみに吸引力を作用させ、該一定領域のみに吸水性ポリマーや繊維材料を堆積させても良い。この場合、その吸引力を作用させた部分が堆積部である。
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
2 回転ドラム
21 集積用凹部
3 ダクト
4 繊維材料供給装置
41 シート状の原料
42 繊維搬送気流
5 ポリマー供給管
51 吸水性ポリマー
53,53A〜53E 分流プレート(分流部材、方向制御手段)
54a 第1のポリマー導入口
54b 第2のポリマー導入口
59a 圧縮空気の噴射口
6 バキュームコンベア
7A,7B 第1及び第2コアラップシート
8 繊維材料及び吸収性ポリマーを含む堆積体
9 吸収体
9A 吸収体の連続体
Claims (4)
- ダクト内を流れる繊維搬送気流中に、ポリマー供給管を介して吸水性ポリマーを導入し、飛散状態とされた繊維材料及び吸水性ポリマーを吸引により堆積させる工程を具備する堆積体の製造方法であって、
前記ダクト内に突出する一つのポリマー供給管の先端部に分流プレートを設け、該分流プレートにより、該一つのポリマー供給管の先端部に、該ポリマー供給管の中心軸線に対して繊維搬送気流の流れ方向の上流側に開口する第1のポリマー導入口及び該中心軸線に対して繊維搬送気流の流れ方向の下流側に開口する第2のポリマー導入口を形成して、該一つのポリマー供給管から前記ダクト内に導入される吸水性ポリマーに複数の流れ方向を与えることにより、堆積体の厚み方向における吸水性ポリマーの分布状態を制御する堆積体の製造方法。 - ダクト内を流れる繊維搬送気流中に、ポリマー供給管を介して吸水性ポリマーを導入し、飛散状態とされた繊維及び吸水性ポリマーを吸引により堆積部に堆積させるように構成されている堆積体の製造装置であって、
前記ダクト内に突出する一つのポリマー供給管の先端部に分流プレートを設け、該分流プレートにより、該一つのポリマー供給管の先端部に、該ポリマー供給管の中心軸線に対して繊維搬送気流の流れ方向の上流側に開口する第1のポリマー導入口及び該中心軸線に対して繊維搬送気流の流れ方向の下流側に開口する第2のポリマー導入口を形成して、該一つのポリマー供給管から前記ダクト内に導入される吸水性ポリマーに複数の流れ方向を与えるようにした堆積体の製造装置。 - 前記分流プレートは、前記繊維搬送気流の流れ方向の上流側に、櫛歯状に複数本のスリットを有しており、該各スリットが、第1のポリマー導入口として機能する、請求項2記載の堆積体の製造装置。
- 前記分流プレートを、前記一つのポリマー供給管の先端部に複数設けた請求項2記載の堆積体の製造装置。
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