JP5048928B2 - 連続鋳造用通気性耐火材料 - Google Patents

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本発明は、連続鋳造用ノズルのような連続鋳造用部材に適用される通気性耐火材料に関する。
ロングノズル、浸漬ノズル等の連続鋳造用ノズルには、受鋼時の熱衝撃に対するスポーリング抵抗性を向上させるために、黒鉛、アルミナ等の耐火性骨材の他に低膨張性の溶融シリカが配合されることが多い。
とくに、浸漬ノズルにおいては、溶鋼中の介在物の浮上と内孔のアルミナ介在物等による閉塞防止等を目的として、ノズル内孔からArガス等の不活性ガスを吹き込むことが行われており、この不活性ガスの吹き込みは、鋼の品質低下を防止するために、微細な気泡を一定の量で安定的に吹き込むことが必要であり、操業面では背圧(P)−流量(Q)、いわゆるP−Q特性値の管理が重要視されている。
また、この浸漬ノズルのガスを吹き込む部分に使用される通気性耐火材料にも熱衝撃に対するスポ−リング抵抗性を向上させるために、黒鉛、アルミナの他に低膨張性の溶融シリカが配合されている。
しかし、高温下で長時間使用する間に、その通気性耐火材料中の溶融シリカのSiO成分と炭素質成分との間で、
SiO+C→SiO↑+CO↑
の反応が生じてSiOが消失し、ノズル通気性耐火材料中のその部分が空隙化して組織劣化が起り、通気性が高くなり、一定流量の下では背圧低下が生じP−Q特性値が低下する。
このようなSiOの消失によってもたらされた気孔径の大形化、気孔量の増大、通気性の増大によって、吹き込まれる不活性ガスの気泡径が大きくなり、それが鋼の泡欠陥をもたらすことになる。
この対策として、例えば、特許文献1には、添加する溶融SiOの量を低減せずにその粒度を0.1〜0.6mmの比較的小さい粒径を使用する方法が開示されている。この方法によればSiOの消失に伴う気孔径の拡大は比較的小さいものとなるが、SiOの絶対量は変わらず、SiOの消失に伴う空隙部分の通気特性の変化は依然大きく、上述の問題は解決されない。
また特許文献2には、添加する溶融SiO等のシリカをアルミナ溶剤で被覆してノズルに使用することで、そのシリカを侵蝕から保護することが開示されている。しかしながら、この方法では、シリカの周囲のアルミナ皮膜は極めて薄く、強固な皮膜を形成することは困難であり、また、その皮膜の存在状態も不安定であり、通常の鋳造条件では、とくに、鋳造初期や短時間の鋳造ではシリカの侵蝕を遅らせるのに若干の効果はあるものの、シリカの消失を抑制することができず、シリカ消失後には通気特性劣化を抑制するという面では、抜本的な対策にはなっていない。
さらに、特許文献3には、耐火骨材として、溶融シリカを含まない低膨張性のアルミナを使用することで、耐スポーリング性の低下を抑制することが提案されている。しかしながら、そのような低膨張性のアルミナを使用しても熱膨張性の低下幅は小さいので耐スポーリング性の改善効果は小さく、抜本的な対策にはなっていない。
特開2002−254145号公報 特開平4−127944号公報 特開平3−243257号公報
本発明の課題は、低膨張性の原料としての溶融SiOを含む連続鋳造ノズル等に使用される通気性耐火材料において、シリカ消失後の通気特性劣化を抑制することにある。
本発明は、連続鋳造用通気性耐火材料において、その骨材が、耐スポーリング性を付与するためにそのSiO成分の少なくとも一部を0.1mm以上の粒径を含む非晶質の耐火性骨材で構成し、その通気特性の変化を使用前すなわち加熱前の状態と1550℃×10時間還元雰囲気加熱後の状態の、それぞれの常温に於ける通気率の変化により特定することが有効であるとの知見に基づいて完成した。
すなわち、本発明の連続鋳造用通気性耐火材料は、はい土を加圧成型し還元焼成した鋳造用通気性耐火材料の使用前の未加熱の状態において、耐火材料と黒鉛と1550℃×10時間還元雰囲気の加熱過程で活性が高く易結晶性炭素系材料と結合材とを含み、前記耐火材料はSiO成分の粒子を8質量%以上50質量%以下含み、且つ、前記SiO成分の粒子は、0.1mm以上0.6mm以下の粒径の粒子を80質量%以上含む非晶質である溶融SiO2の耐火性骨材から構成されており、前記易結晶性炭素系材料は、キシレン樹脂、キシレン変性樹脂、タール、ピッチの何れかからなり、前記溶融SiO 成分の粒子の周囲に相互に高密度で接触するような状況で集中的に配合してなり、常温通気率Aが、NL・cm/(min・atm・cm)で、5×10−3以上、3×10−1以下であり、また、1550℃×10時間還元雰囲気加熱後の状態において、前記活性の高い易結晶性炭素系材料と加熱中に揮発するSiO成分とその他材質中の諸成分が相互に反応して生成した物質から構成された皮膜状物質を溶融SiO 揮発によって生じる空隙の周囲に存在せしめてなり、前記皮膜状物質は、独立して存在するそれぞれの空隙の周囲面積の30%以上の領域に存在しており、前記皮膜状物質の厚みは、3μm以上150μm以下であり、かつ、前記はい土を加圧成型し還元焼成した鋳造用通気性耐火材料の使用前の未加熱の状態の特定の測定条件の下での常温通気率をAとし、前記1550℃×10時間還元雰囲気加熱後の常温通気率をBとしたとき、B/A≦4の条件を満たしたものであることを特徴とする。
その要件を得るために、本発明では活性度の高い、易結晶性等の特性を有する、炭素系材料を耐火材料中に適量配合せしめ、揮発するSiO成分と他の耐火性骨材等との間の反応性や耐火材の焼結性等を高めて、通気性耐火材料中に緻密な物質を形成せしめて、耐火材料中の気孔が増大又は拡大することを抑制する。
通気性耐火材料の通気特性の劣化は、とくに溶融SiOを適量分布せしめて膨張特性を低位に保つ耐火材料の場合に顕著になる。本発明では、そのような通気性耐火材料に顕著な効果を付与することができる。すなわち、溶融SiOを適量分布せしめて膨張特性を低位に保ちつつ、且つ、それらの周囲に耐火材質からなる緻密な皮膜状物質を形成させて、その皮膜状物質が、溶融SiO消失後の溶融SiOが存在していた周辺のマトリクス中の気孔を塞ぎ、ガスの流通経路が拡大することを防いで、通気性耐火材料の通気特性の劣化を抑制する。
溶融SiOをアルミナ等の酸化物等で被覆して配合することは従来も試みられているが、これらは溶融SiOの周囲に耐食性や耐火性の高い耐火骨材等を予め配置しておいて、溶融SiOを保護し、そのスラグ等との反応による低融化ないし溶損、消失等を抑制しようとするものである。すなわち、従来のそれら技術は、耐火材料の耐食性向上を目的としている。したがって通気性耐火材料へのそのような試みは行われていない。
また、とくに通気性耐火材料に関しては、その中の溶融SiOはできるだけ長時間消失させないために、その周囲にはSiO成分の揮発を促進する原因となる炭素系、とくに活性の高い炭素系材料を配合することは否定されてきた。
しかしながら,本発明は、通気性耐火材料の通気特性の改善を目的としており、溶融SiOの周囲に予め耐火性の材質を配置しておくのではなく、また耐食性向上を主たる目的とするものでもなく、逆に従来否定されてきたSiO成分周囲への炭素系、とくに活性の高い炭素系統材料を配合することにより通気特性の安定化をなすことに成功したものである。
とくに、通気特性の劣化の指標としての、上記B/Aの比が、4またはそれ以下であれば、安定的な不活性ガスの吹き込みを約8時間以上継続することが可能となる。また、このB/Aが4を超えると、連続鋳造に於いて鋳造開始後約5時間程度から、内孔面全体からの均一な不活性ガスの吹き込みが困難になって内孔への介在物の付着が大きくなり、また不活性ガスの気泡径の拡大による鋼の泡欠陥の増大が顕著になる。
なお、B/Aの条件は、加熱前の試料と1550℃×10時間還元雰囲気加熱後の試料とを同じ測定方法により得た通気率の値を相対的に得ればよく、測定方法に依存されない。
本発明の材質は、耐火性骨材、黒鉛、結合材からなり、金属や炭化珪素等の非酸化物の化合物等を含んでもよいが、使用前の未加熱の状態において、SiO成分として8質量%以上50質量%以下を含む。このSiO成分は、耐火性骨材として、例えば、ムライト、フォルステライト、ジルコン等のSiO成分含有の化合物をも使用できるが、優れた耐スポーリング性を付与するためには、0.1mm以上0.6mm以下の粒径を、80質量%以上含む非晶質の溶融SiO骨材を含む。また、溶融SiO骨材がその材質中に占める割合は、8質量%以上30質量%以下程度であることが好ましい。
溶融SiO骨材の粒径が0.1mm未満のものが20質量%を超える場合、材質の膨張性を低くする効果が小さく、粒径が0.6mmを超えるものが20質量%を超える場合には、材質中の溶融SiO骨材が偏在する傾向となって材質中に歪みやそれに起因する損傷を生じやすくなり、また耐食性や耐摩耗性等の物性の低下が著しくなると共にその消失後の気泡径も大きくなる。
但し、本発明では、溶融SiO骨材の周囲に、ガスの通気を抑制する程度に緻密な耐火性の皮膜を形成するので、溶融SiO骨材の粒径が0.6mmを越える比較的大きいものが溶融SiO骨材量の20%を超えて存在していても、通気特性の劣化の程度は、耐火性の皮膜状物質を備えない従来の通気性耐火材料よりは小さいので、特定の粒径とそれを超える粒径の含有量を限定しなくても構わない。
溶融SiO骨材が8質量%未満では耐スポーリング性の向上効果が小さく、30質量%を超えると通気特性の変化が大きくなりやすく、また耐食性や耐摩耗性の低下、加熱中〜加熱後の強度劣化等が大きい。
さらに、本発明では、このような非晶質の溶融SiOの消失に伴う通気特性の劣化を抑制するために、溶融SiOの消失後に空隙となる部分に、その空隙の周囲に、耐火性材質からなる皮膜状物質を形成させる。
本発明でいう皮膜状とは、空隙の外周面方向に連続した組織で存在する状態を意味し、その外周面方向の長さが、外周面方向に垂直方向の長さすなわち厚みを越えて存在する状態をいう。
そして、この皮膜状物質のそれぞれの空隙毎の周囲面積に対する存在領域の割合とは、顕微鏡視野内の独立した空隙の断面の外周を周囲の面とみなして、その外周の長さに対する皮膜状物質が存在する領域の長さの合計を百分率で示した値をいい、その厚みは、上記の皮膜状物質の最大厚みと最小厚みを平均した値をいう。
この皮膜状物質は、溶融SiO骨材、その他材質中の諸成分、および、受鋼した溶鋼中の成分に起因する成分が相互に反応して生成した酸化物、炭化物、炭化珪素等、さらには反応生成物にとどまらず組織中に存在する酸化物、炭化物、炭化珪素等が結合あるいは焼結したものから構成される。
これらの中で、多くは、溶融SiO骨材の揮発したのちの空隙すなわち気孔の周囲に存在する他の耐火性骨材等と反応して生成した物質からなる。
しかも、その通気性耐火材料の組織中には密封状態の気孔は見られるものの、皮膜状物質を貫通する気孔は極めて少なく、この皮膜状物質がガスの流通することを抑制している。
これらの空隙中の皮膜状物質の形成は、必ずしも画一的な速度等で形成するものではなく、空隙の周囲に存在した諸成分の量や質等、溶融SiO骨材等ないし空隙の大きさ、熱の程度等も影響し、熱を受ける間に連続的に形成されていく。このため、ある加熱後時点で、対象となる空隙の全てに形成されていないことは当然であり、また消失途中の溶融SiO骨材の残留機能等の影響もあるので全てに形成させる必要もない。
むしろ、使用時の熱衝撃抵抗性を高位に確保するためには、使用前時点では溶融SiO骨材の周囲には強固な皮膜状物質が形成されていないことが好ましい。
したがって、この皮膜状物質は、1550℃×10時間還元雰囲気での加熱後の組織観察に於いても、その中に存在する空隙の少なくとも一部に存在すればよいが、検査試料の断面の視野内の0.1mm以上の空隙の数の少なくとも30%以上に存在していることが好ましく、全個に存在していることがさらに好ましい。
なお、この皮膜状物質は、約0.1mm以上の溶融SiO骨材が消失した位置の空隙にとどまらず、マトリクス中のさらに小さい空隙部分でも反応生成物や耐火性骨材等の焼結や結合によって促進されるもので、約0.1mmより小さなSiO成分の消失等によるマトリクスの組織劣化に伴う通気特性の劣化も顕著ではないが抑制する。
本発明において、この空隙の外周に皮膜状物質を形成せしめる通気性耐火材料は、耐火性骨材や黒鉛の種類、粒度、構成及び結合材の種類、構成、配合添加量、さらには、溶融SiO骨材の粒径や配合添加量等を調整すること、並びに製造時の混練等の条件を調整することにより、通気量等の絶対的な水準、受鋼後または加熱後の通気特性の変化の程度等を任意に設定することを可能とする。
この空隙は、材質が溶鋼受鋼や1550℃×10時間還元雰囲気加熱等の強い熱を受けることにより溶融SiO骨材を中心とするSiO成分が揮発して生じる。しかし、SiO成分の揮発過程で、殆ど同時にこの溶融SiO骨材の周囲に耐火性材質からなる強固な皮膜状物質を形成させることで、溶融SiOの消失により生じた空隙が、いわゆる殻の壁で囲まれたような状態にすることができる。
このような状態で存在する皮膜状物質は、以下の機能を果たす。
その第1は、溶融SiOとの境界部分すなわち空隙の壁に存在するガスの流通経路となり得るマトリクス内の気孔の開放を抑制して、材質の通気特性が劣化することを抑制することである。
その第2は、通気材質の組織内で補強材となり、また応力を分散して、材質の破壊抵抗性を向上させることである。
その第3は、付随的にスラグ等が通気材質のマトリクス深部へ浸透するのを防止して、耐食性や耐摩耗性を向上させることである。
この皮膜状物質は、3μm以上〜150μm以下の厚みであることが好ましく、20μm以上〜80μm以下であることがさらに好ましい。3μm未満の場合はその皮膜状物質の形成自体が散逸的で不十分になりやすく、また皮膜状物質内の気孔が相互に連結してガスの流通経路となったり、皮膜状物質自体の破壊等による欠損部位も生じやすいため、上述の各機能が小さくて材質の改善効果が現れにくい。150μmを超えると皮膜状物質自体の柔軟性が小さくなり、また皮膜状物質自体の膨張がその周辺の材質組織に応力を生じさせて、材質の破壊抵抗性を低下させる虞がある。
さらに、この皮膜状物質は、溶融SiOの消失に伴い生じた空隙の周囲面積の少なくとも30%以上の領域に形成させることが好ましく、60%以上の領域に形成させることがさらに好ましい。
この皮膜状物質の形成割合と通気特性の変化の程度との間には反比例的な関係があるが、連続鋳造の通気材質の実用上、30%未満では、上記B/A≦4を満足し難い。60%以上であれば、さらに安定的に上記B/Aを小さくすること、例えば2〜3程度以下にすることができる。
これらの空隙と皮膜状物質は、1550℃×10時間還元雰囲気加熱後の組織を顕微鏡で観察することで特定できる。1550℃×10時間還元雰囲気加熱の条件は、通気材質が溶鋼を長時間受鋼して、溶融SiO骨材が消失する温度と時間に相当する条件とみなしたものである。
これらの空隙は溶融SiO骨材の消失により生じた部分を主な対象とするので、1550℃×10時間還元雰囲気加熱後の組織中に存在する空隙の内、材質中に配合添加した溶融SiO骨材の最小粒径に相当する大きさ以上の空隙を主な対象とする。
溶融SiO骨材は、0.1mm以上好ましくは0.6mm以下の粒径を、好ましくは80質量%以上含むように配合添加するので、材質断面の空隙の直径が約0.1mm以上のものを観察の対象にすればよい。
その大きさは、顕微鏡視野内の独立した空隙につき、その空隙の断面全体を覆う最小の円を想定して、その直径が0.1mm以上のものを0.1mm以上の空隙とみなす方法を採ればよい。
本発明の通気性耐火材料は、鋼の連続鋳造に於けるP−Q特性、鋳片の膨れ、鋳造可能時間等の前述の課題を解決するために前記のB/A≦4を満たすようにするが、それらは、通気特性の絶対的な水準にも影響されることから、個別の操業条件に応じてその設定をすることが必要である。
とくに、連続鋳造用ノズルの通気用の材質の場合には、使用前の未加熱の常温通気率(NL・cm/(min・atm・cm))すなわち前記Aが、5×10−3以上3×10−1以下であることが好ましく、1.0×10−2以上1.2×10−1であることがさらに好ましい。
5×10−3未満の場合は所用の通気量が得にくく、通気性耐火材料を適用するノズルのガス流通部分の圧力が過度に高まって、ノズルの破壊を生じる虞があり、また溶鋼接触面へのアルミナを中心とする介在物の付着が増大する虞もある。3×10−1を超える場合は、過剰なガス流量により鋳片の膨れ等の品質劣化を生じる虞があり、また通気性耐火材料の組織が粗になりやすく、強度低下や耐食性、耐摩耗性の低下を生じる虞がある。
この通気率の値は、図5に示すように、外径φ95×内径φ75×高さ50mmの試料aの上下面をシ−ルし、常温で内孔に1kg/cmのArガスを流したときの通気量を測定し、次の関係式より通気率を算出した値である。
K=V・ln(R1/R0)/(2π・H・ΔP)
K :通気率(NL・cm/(min・atm・cm))
V :内孔通気量(NL/min)
ΔP:背圧(atm)
R1:試料外半径(cm)
R0:試料内半径(cm)
H :試料高さ(cm)
π :円周率
尚、この通気特性の条件は、適用する連続鋳造用ノズルの構造や個別の操業条件に対応して決定されるべきものであるが、この試料の個別の寸法が異なっても、上記条件に換算した場合に、上記通気率の値の範囲を充たしていればよく、試料形状等を特定するものではない。
本発明の通気性耐火材料の製造に於いては、溶融SiO骨材の周囲に皮膜状物質を形成しやすくするための添加材の選定、混合物の形態の制御等を行うことが好ましい。
例えば、活性の高い、易結晶性炭素系材料等の高温下で無定形から結晶層へと変化するカーボン層と、高温の還元雰囲気下で揮発するSiOとを直接接触させることで、SiOと他骨材等との反応性等を高め、それらの反応生成物等の存在位置を、揮発するSiOの周囲に集中させることができる。
それを基本に、溶融SiO骨材、他の耐火性骨材等との通気性耐火材料中での相互の存在形態を次のような条件で制御することが好ましい。
構成原料を混練する過程で、最初に溶融SiO骨材と共に、活性の高い、高温での炭素化過程で易結晶性を有し、且つ溶融SiO骨材の濡れ性が比較的高い炭素系材料をミキサーに投入し、溶融SiO骨材に被覆されるまで混練する。この易結晶性炭素系材料としては、キシレン樹脂、キシレン変性樹脂、タール、ピッチの中のいずれかが使用できる。その後溶融SiO骨材以外の耐火性骨材、黒鉛等の残余の構成原料、フェノール樹脂等を投入して均一に混ざるまで混練する。
この他に、この易結晶性炭素系結合材を比較的多めに添加する事で、溶融SiOを含む耐火性骨材、黒鉛、易結晶性炭素系材料、フェノール樹脂等を同時にミキサーに投入し、均一に混ざるまで混練するという方法でも構わない。さらに、溶融SiO骨材と他の耐火性骨材の中の微粉部分、易結晶性炭素系材料等を先に混合又は造粒等を行ってから残余の原料を加える等の方法も採り得る。
要は、溶融SiO骨材と易結晶性を有する炭素系材料、いわゆるソフトカーボン等が相互に高密度で接触するような状況を作ること、さらには、反応性を高めるために、溶融SiO骨材に接触する他の耐火性骨材の比表面積を大きくする、すなわち粒径の小さなものを溶融SiO骨材周辺に多く存在させる等が効果的であり、その条件を満たせば他の代替手段も採り得る。
このような方法を採ることで、溶融SiO骨材の揮発時に形成される皮膜状物質の形成速度を高くすること、その皮膜状物質を強固に且つ大きくすること、その皮膜状物質をより緻密なものにして溶融SiO骨材の周囲のマトリクスに存在するガスの流通経路となり得る気孔を塞ぐこと等が可能になり、またはそれら機能を強化できる。
さらには、溶融SiO骨材、炭素系材料、その他耐火性骨材、及びそれらの質や形態等を適宜通気性耐火材料毎に調整することで、皮膜状物質の厚み、分散状態等の諸特性を調整することができる。
このようにして得たはい土を、通常のノズルの製法と同じく、成型用モールド等に適宜配置、充填してアイソスタティックプレスにより加圧成型し、還元焼成後、浸漬ノズル等の鋳造用ノズルの製品とする。
連続鋳造用ノズルに使用する溶融SiOを含む通気性耐火材料において、その組織や物性の劣化を抑制できるので耐熱衝撃性に優れ、熱衝撃による割れ等の危険性が少なくなる。
とくに、内孔面からのガス吹き機能を有する浸漬ノズルに於いては、内孔体剥離や首部折損の危険を回避しつつ、ガスの吹き込みの通気特性を長時間安定化させることで、溶鋼中の介在物の浮上効果と浸漬ノズル内孔の閉塞防止効果を持続させ、鋼の泡欠陥と鋼の品質低下を抑制し、さらには鋳造時間を延長することが可能になる。
以下、実施例によって、本発明の実施の形態を説明する。
空隙内に皮膜状物質を形成した本発明の実施例と、空隙内に皮膜状物質を形成しない比較例との通気特性の変化を調査した。
表1は、実施例及び比較例の各配合割合を示す。易結晶性炭素系結合材としてはキシレン変性樹脂を使用した。
図1に、この実施例及び比較例の各通気特性の変化を示す。
供試料は、浸漬ノズルと同様の外径φ95×内径φ75×高さ50mmの試料を作製し、実使用後を想定した1550℃の10時間、コークス詰めの還元雰囲気下で加熱処理を行い、その前後での通気特性と組織を調べた。
通気率は、前記の図5に示す方法、および、関係式によって得たものである。
図1中のB/Aは、使用前の未加熱の状態の常温通気率をAとし、使用時を想定した1550℃×10時間還元雰囲気加熱後の常温での通気率をBとした際の通気率増加割合を示す。
実施例のB/Aは2.2であるのに対し、比較例のB/Aは5.5であり、通気特性が顕著に改善されていることがわかる。
図2に、実施例の加熱処理後の組織写真を、図4に皮膜状物質の更なる拡大写真を、図3に、比較例の加熱処理後の組織写真を示す。
実施例には、溶融SiO骨材が揮発した空隙の外周部に約15μmの厚み、外周面の殆ど全領域に緻密な皮膜状物質が形成されているが、比較例には緻密な皮膜状物質は観られない。
実施例の皮膜状物質は連続的で緻密な状態になっており、この皮膜状物質を貫通するような開放気孔は見られない。
図4と表2にこの実施例の皮膜状物質を分析した結果を示す。
表2中の番号は、図4の組織写真中の各番号に対応する部分を示す。
本実施例では、溶融SiO骨材以外の耐火性骨材にアルミナを使用しているため、アルミニウム成分、シリコン成分を中心とする多様な形態の反応生成物等が形成されていることがわかる。
本発明の連続鋳造ノズル用通気性耐火材料は、ロングノズル、浸漬ノズル、その他の溶鋼排出用のノズルをはじめ、ストッパーにも適用できる。
また、本発明の通気性耐火材料は、溶鋼との接触面を持つ通気性耐火材料にとくに好適である。その典型的な形態は、タンディッシュからモールドに溶鋼を排出する浸漬ノズルの内孔からガスを吹き込むために配置される内孔内張材または吐出孔周辺を含む溶鋼接触面全面への内張材である。
実施例1に示す本発明の実施例及び比較例の各通気特性の変化を示すグラフである。 実施例1に示す本発明の実施例の加熱処理後の組織写真である。 実施例1に示す比較例の組織写真である。 皮膜状物質の更なる拡大写真である。 本発明の通気性耐火材料の通気率の測定方法の概要を示す図である。
符号の説明
1 溶融SiOが消失した部分の空隙を示す。
2 皮膜状物質の一部を示す。

Claims (1)

  1. はい土を加圧成型し還元焼成した鋳造用通気性耐火材料の使用前の未加熱の状態において、
    耐火材料と黒鉛と1550℃×10時間還元雰囲気の加熱過程で活性が高く易結晶性炭素系材料と結合材とを含み、
    前記耐火材料はSiO成分の粒子を8質量%以上50質量%以下含み、且つ、前記SiO成分の粒子は、0.1mm以上0.6mm以下の粒径の粒子を80質量%以上含む非晶質である溶融SiO2の耐火性骨材から構成されており、
    前記活性が高く易結晶性炭素系材料は、キシレン樹脂、キシレン変性樹脂、タール、ピッチの何れかからなり、前記溶融SiO 成分の粒子の周囲に相互に高密度で接触するような状況で集中的に配合してなり、
    常温通気率Aが、NL・cm/(min・atm・cm)で、5×10−3以上、3×10−1以下であり、
    また、
    1550℃×10時間還元雰囲気加熱後の状態において、
    前記活性の高い易結晶性炭素系材料と加熱中に揮発するSiO成分とその他材質中の諸成分が相互に反応して生成した物質から構成された皮膜状物質を溶融SiO 揮発によって生じる空隙の周囲に存在せしめてなり、
    前記皮膜状物質は、独立して存在するそれぞれの空隙の周囲面積の30%以上の領域に存在しており、前記皮膜状物質の厚みは、3μm以上150μm以下であり、
    かつ、
    前記はい土を加圧成型し還元焼成した鋳造用通気性耐火材料の使用前の未加熱の状態の常温通気率をAとし、前記1550℃×10時間還元雰囲気加熱後の常温通気率をBとしたとき、B/A≦4の条件を満たしたもので、
    前記常温通気率のA,Bの値は、外径φ95×内径φ75×高さ50mmの試料aの上下面をシ−ルし、常温で内孔に1kg/cm のArガスを流したときの通気量を測定し、下記関係式より通気率を算出した値である連続鋳造用通気性耐火材料。

    K=V・ln(R1/R0)/(2π・H・ΔP)
    K :通気率(NL・cm/(min・atm・cm ))
    V :内孔通気量(NL/min)
    ΔP:背圧(atm)
    R1:試料外半径(cm)
    R0:試料内半径(cm)
    H :試料高さ(cm)
    π :円周率
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