図1は、本発明の実施形態に係る電子機器としての携帯電話機1の外観を示す斜視図である。
携帯電話機1は、いわゆる折り畳み式の携帯電話機として構成されており、開閉可能に連結された第1筐体3及び第2筐体5を備えている。第1筐体3及び第2筐体5は、連結部7により連結されている。第1筐体3及び第2筐体5は、回転軸RA回りに回転可能である。なお、図1は、開状態を示している。
第1筐体3及び第2筐体5は、携帯電話機1全体の筐体を構成している。第1筐体3及び第2筐体5は、例えば、それぞれ概ね薄型直方体状に形成されており、閉状態では互いに重ねあわされて互いの輪郭が略一致する。
第1筐体3には、例えば、通話用のスピーカ97(図15参照)の放音口9、図形や文字情報等を含む画像を表示する表示部11が設けられている。放音口9は、第1筐体3の、連結部7とは反対側の端部において、閉状態において第2筐体5と対向する対向面部3aにおいて開口している。表示部11は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイにより構成され、対向面部3aにおいて画像を表示する。なお、対向面部3aは、回転軸RAと平行である。
第2筐体5には、例えば、通話用のマイクロフォン39(図2参照)の収音口13、ユーザの操作を受け付ける操作部15が設けられている。収音口13は、第2筐体5の、連結部7側の端部において、第1筐体3と対向する対向面部5aにおいて開口している。操作部15は、対向面部5aにおいて筐体外部へ露出する、複数のダイヤルキー17A、カーソルキー17B、決定キー17C、複数のファンクションキー17D(以下、これらを区別せずに、単に「キートップ17」ということがある。)を含んで構成されている。なお、対向面部5aは、回転軸RAと平行である。
図2は、第2筐体5の分解斜視図である。
第2筐体5においては、図2の紙面上方側から順に、キープレート21、フロントケース23、キーアセンブリ25、シールドアセンブリ27、メイン基板29及びバッテリー31、リアケース33、並びに、バッテリーリッド35が積層されている。なお、メイン基板29とバッテリー31とは、積層方向において並列に配置されている。
第2筐体5は、キープレート21、フロントケース23、リアケース33及びバッテリーリッド35により構成されている。キープレート21、リアケース33、バッテリーリッド35は、例えば、絶縁性の樹脂により構成されている。フロントケース23の材質等については、後述する。第2筐体5の対向面部5aは、キープレート21及びフロントケース23により構成されている。第2筐体5の、対向面部5aを囲む外周面部5c(図1)は、フロントケース23及びリアケース33により構成されている。第2筐体5の、対向面部5aの反対側の背面部5b(図1)は、リアケース33及びバッテリーリッド35により構成されている。
フロントケース23及びリアケース33は、概ね同等の広さを有する矩形状に形成されている。フロントケース23とリアケース33とは、例えば、一方(例えばリアケース33)に挿通された不図示のネジが他方(例えばフロントケース23)に形成されたネジボス23aに螺合することにより、互いに固定される。キーアセンブリ25、シールドアセンブリ27、及び、メイン基板29は、フロントケース23とリアケース33とが互いに固定されることにより、フロントケース23とリアケース33とにより挟持され、第2筐体5内部に固定される。
リアケース33には、バッテリー31を挿入するための開口33aが形成されている。バッテリー31は、開口33aから第2筐体5内部へ挿入され、バッテリーリッド35が開口33aを塞ぐようにリアケース33に係合されることにより、第2筐体5内に装着される。リアケース33の開口33aよりも連結部7とは反対側(図2の左側)の端部には、アンテナ89(図15参照)を配置するための凹部33bが形成されている。
メイン基板29は、例えば、硬質の樹脂をベースとしたプリント配線基板により構成されている。メイン基板29は、例えば、概ね、第2筐体5の半分程度の広さを有する矩形に形成されている。メイン基板29には種々の電子部品が配置されており、電子回路が構成されている。例えば、メイン基板29のフロントケース23側の第1実装面29aには、各種のIC37、通話用のマイクロフォン39が設けられている。メイン基板29のリアケース33側の第2実装面29bには、報知用のスピーカ99(図15参照)、カメラモジュール95(図15参照)が設けられている。メイン基板29の第1実装面29a及び第2実装面29bには、メイン基板29(電子回路)のグランドラインを構成するグランドパターン層29c(一部のみ示す。)が所定のパターンで配置されている。
バッテリー31は、例えば、概ね、第2筐体5の半分程度の広さを有する薄型直方体状に形成されている。バッテリー31は、樹脂等により形成されたケース31bを有している。ケース31b内には、特に図示しないが、例えば、正極と負極とをセパレータを挟んで積層したバッテリーセル、バッテリーセルの正極及び負極に接続され、給電端子や保護回路等を備えた回路基板が設けられている。
シールドアセンブリ27は、メイン基板29等に被せられるシールドケース43と、シールドケース43のフロントケース23側に配置されるFPC(フレキシブルプリント配線板)45とを有している。
シールドケース43は、例えば、金属により形成されている。シールドケース43は、概ね第2筐体5と同等の面積を有する矩形状に形成されている。シールドケース43は、メイン基板29側を凹とする箱状に形成されている。なお、特に図示しないが、シールドケース43のメイン基板29側の面には、IC37等のメイン基板29の第1実装面29a上の複数の電子部品を区画するように囲むリブが設けられている。当該リブは、第1実装面29a上に設けられたグランドパターン層29cに当接する。これにより、シールドケース43は、メイン基板29のグランドラインに電気的に接続される。
FPC45は、例えば、シールドケース43と概ね同等の広さを有する矩形状に形成されている。FPC45は、例えば、半田、両面テープ、接着剤等の適宜な固定手段によりシールドケース43に対して固定されている。FPC45は、シールドケース43に載置される部分から延在する延在部45aを有しており、当該延在部45aに設けられた不図示のコネクタがメイン基板29に設けられた不図示のコネクタに接続されることにより、FPC45とメイン基板29とは電気的に接続される。なお、この接続により、FPC45のグランドラインを構成するグランドパターン層45c(一部のみ示す)と、メイン基板29のグランドラインを構成するグランドパターン層29cとは互いに接続される。
FPC45のフロントケース23側の実装面には、例えば、複数のスイッチ47、複数の発光素子としてのLED49が設けられている。
複数のスイッチ47は、複数のキートップ17に対応して設けられている。すなわち、複数のスイッチ47は、複数のキートップ17と重なる位置に、複数のキートップ17により押下可能に設けられている。複数のスイッチ47は、基本的に、1つのキートップ17に対して1つのスイッチ47が対応している。ただし、カーソルキー17Bに対しては、4つのスイッチ47が対応している。
複数のスイッチ47は、例えばドームスイッチにより構成されており、特に図示しないが、ドーム状の可動接点と、可動接点に対向する固定接点とを有している。スイッチ47は、押下されると、可動接点が固定接点に接触してオン状態となり、押下が解除されると、可動接点の復元力によりオフ状態に復帰する。スイッチ47のオン、オフにより生成される信号は、FPC45を介してメイン基板29に出力される。
複数のLED49は、複数のキートップ17を照明するためのものであり、例えば、複数のスイッチ47間に配置されている。複数のLED49は、FPC43及びメイン基板29を介してバッテリー31から供給される電力により駆動される。複数のLED49の動作(点灯、消灯)は、例えば、メイン基板29に設けられた制御部(CPU85;図11参照)により携帯電話機1の開閉状態等に応じて制御される。
図3は、フロントケース23を筐体外側から見た(図1と同一方向から見た)斜視図である。
フロントケース23は、樹脂により形成された樹脂部55と、金属により形成され、樹脂部55に一部が埋設された板金部57とを有している。
板金部57を構成する金属は、樹脂部55を構成する樹脂よりも弾性係数が高い。樹脂部55を構成する樹脂は絶縁性を有しているのに対し、板金部57を構成する金属は、導電性を有している。樹脂部55を構成する樹脂は、遮光性を有するものの、若干、光を透過するのに対し、板金部57を構成する金属は、光を完全に遮断する。すなわち、板金部57を構成する材料は樹脂部55を構成する材料よりも遮光性が高い。
図4は、樹脂部55の斜視図である。なお、樹脂部55には、板金部57が埋設されるから、実際には、樹脂部55のみが板金部57抜きで形成されることはない。図4は、フロントケース23における、樹脂部55により構成される部分と板金部57により構成される部分とを分かりやすく示すための便宜的な図である。
樹脂部55は、図3及び図4に示すように、第2筐体5の対向面部5aを構成する対向面構成部55aと、第2筐体5の外周面部5cを構成する外周面構成部55bとを有している。対向面構成部55aには、複数のキートップ17を第2筐体5外部へ露出させるためのキー用開口56が形成されている。キー用開口56は、例えば、複数のダイヤルキー17A、カーソルキー17B、決定キー17C及び複数のファンクションキー17Dの全てに対して、一つだけ形成されている。
図5は、板金部57の斜視図である。なお、図5は、図3や図4と略同一の方向から見た斜視図である。
板金部57は、図3及び図5に示すように、第2筐体5の対向面部5aを構成する基部57aと、基部57aの縁部から基部57aに交差する方向に延びる連結部側折り返し部57b及び側面側折り返し部57cとを有している。
基部57aには、複数のキートップ17を露出させるための複数のキー用開口58A、58BC、58D(以下、A、BC、Dを省略することがある。)が形成されている。キー用開口58Aは、例えば、複数のダイヤルキー17Aに対応して一つ設けられており、キー用開口58BCは、カーソルキー17B及び決定キー17Cに対応して一つ設けられており、キー用開口58Dは、2つのファンクションキー17Dに対応して一つ、合計2つ設けられている。
図5に示すように、連結部側折り返し部57bは、基部57aの連結部7側(図5の右上側)の縁部から、キートップ17が露出する側(図5の上方側)へ折り返されている。また、側面部側折り返し部57cは、基部57aの側面側(図5の左上側又は左下側)の縁部から、携帯電話機1の背面側(図5の下方側)へ折り返されている。
図3〜図5に示すように、板金部57は、外周部が全周に亘って樹脂部55に埋設されている。具体的には、基部57aの外周部は、対向面構成部55aに埋設されている。連結部側折り返し部57bは、連結部7の一部を構成する連結突部5eに埋設されている。側面側折り返し部57cは、外周面構成部55bに埋設されている。
板金部57の基部57aは、樹脂部55の対向面構成部55aと同等の広さを有している。板金部57の基部57aの中央側は、樹脂部55のキー用開口56から樹脂部55外部へ露出している。複数のキー用開口58は、キー用開口56と重なる位置に設けられている。板金部57のキー用開口58は、樹脂部55のキー用開口56よりも径が小さく、板金部57のキー用開口58それぞれの外周部はキー用開口56から露出している。
図3に示すように、樹脂部55のキー用開口56と、板金部57のキー用開口58Aとは、複数のダイヤルキー17A(図1)を共に露出させる一の開口59を構成している。また、ファンクションキー17Dも2つずつ共に一の開口から露出し、カーソルキー17B及び決定キー17Cも共に一の開口から露出している。
なお、図1及び図2に示すように、キープレート21の外縁は、フロントケース23の樹脂部55に形成されたキー用開口56(ただし、樹脂部55のうち板金部57よりも筐体外側の部分)に嵌合する形状である。キープレート21は、板金部57の基部57aに対して、接着剤や両面テープ等の適宜な固定部材により固定されている。キープレート21の開口も、キー用開口56、58と共に開口59等のキートップ17を露出させる開口を構成している。
図6は、フロントケース23を筐体内部側から見た斜視図である。なお、上述の図3〜5は、樹脂部55と板金部57との概ねの位置関係を示す図であることから、図6に比較して、板金部57の細部の形状が省略されている。
図3及び図6の比較から読解されるように、樹脂部55のキー用開口56の形状は、板金部57よりも筐体外側(図3)と、板金部57よりも筐体内側(図6)とで細部の形状が異なっている。ただし、板金部57は、筐体内部側においても、キー用開口56を介して樹脂部55から露出している。
図6に示すように、樹脂部55の、キー用開口56を構成する内縁、及び、板金部57の、キー用開口58を構成する内縁には、他の部材との導通、他の部材の位置決め、他の部材の配置領域の確保等の目的から、複数の凹部(切り欠き部)や突部が形成されている。
例えば、板金部57の、キー用開口58を構成する内縁には、キーアセンブリ25を平面方向において位置決めするための複数の位置決め凹部(切り欠き部)61が形成されている。なお、一部の位置決め凹部61には、後の説明の便宜のために、A、Bの付加記号を付している。
また、樹脂部55の、キー用開口56を構成する内縁には、板金部57のうち、後述すフレーム53(図8)に当接する部分(押圧部65A、65B)を露出させるための複数の露出用凹部(切り欠き部)63A、63B(以下、A、Bを省略することがある。)が形成されている。露出用凹部63は、例えば、板金部57の内縁に沿う方向において位置決め凹部61と重なる位置に形成されている。なお、樹脂部55は、筐体外側においては、露出用凹部63と重なる位置において、板金部57を被覆している。すなわち、露出用凹部63は、樹脂部55の板金部57よりも筐体内部側においてのみ形成されている。
以上のようなフロントケース23は、例えば、いわゆるインサート成形により構成される。具体的には、まず、板金部57が形成される。板金部57は、例えば、一枚の板金に対して、打ち抜き加工、曲げ加工、絞り加工等のプレス加工を行うことにより形成される。次に、板金部57は、射出成形機の一対の金型のキャビティ内に配置されるとともに、一対の金型に挟持される。そして、樹脂部55となるべき溶融した樹脂がキャビティ内に射出、充填されることにより、フロントケース23は形成される。
インサート成形においては、板金部57を一対の金型により挟持することから、板金部57には、樹脂部55に埋設されずに、樹脂部55から露出する部分が必ず生じる。一方、仮に、樹脂部55のみによりフロントケース23が構成されたとしても、一対の金型は、キー用開口56を形成するために、互いに当接する部分を有する。すなわち、一対の金型の一方又は双方には、型開閉方向に突出し、他方の金型に当接する、断面形状がキー用開口56と同一の柱部が形成されている。フロントケース23では、板金部57のうち、樹脂部55のキー用開口56から露出する部分を、一対の金型により挟持する部分としていることから、樹脂部55のキー用開口56を形成するための柱部が板金部57を挟持する部分を兼ねることになり、インサート成形が好適に行われることになる。
図7は、キーアセンブリ25を筐体外側から見た斜視図である。図8は、キーアセンブリ25を筐体外側から見た分解斜視図である。
キーアセンブリ25は、例えば、FPC45側(図7及び図8の下方側)から順に、複数のスイッチ47及び複数のLED49に被せられるキーシート51と、フレーム53と、複数のキートップ17とを有している。
キーシート51は、例えば、シリコンゴム等の絶縁性の弾性材料により形成されている。キーシート51は、透光性を有しており、LED49の光を透過可能である。なお、図7及び図8では、キーシート51が一枚のシートにより構成されている場合を例示しているが、キーシート51は、2枚以上のシートが積層されて構成されていてもよい。キーシート51は、例えば、複数のスイッチ47の配置領域を覆うことが可能な広さを有する矩形状に形成されている。
キーシート51は、縁部側部分を構成する下層部51aと、中央側部分を構成する、下層部51aよりも筐体外部側(図7及び図8の上方側)へ一段高くなった上層部51bと、上層部51bよりも筐体外部側へ一段高くなった、キートップ17が固着される複数の台座部51c(図8)とを有している。
上層部51bは、キーシート51の筐体内側の面においては、基本的には下層部51aよりも一段低い凹部となっている(図12参照)。上層部51bの、筐体外側への突出形状と、筐体内側における凹形状とは、基本的には同一である。
上層部51bの外縁には、フロントケース23の位置決め凹部61(図6)に嵌合する位置決め突部67(図8)が形成されている。なお、説明の便宜上、位置決め突部67のうち、位置決め凹部61A、61Bに嵌合する位置決め突部67には、それぞれA、Bの付加記号を付している。
台座部51c(図8)は、複数のキートップ17に対応して設けられている。すなわち、基本的には、一つのキートップ17に対して、一つの台座部51cが設けられている。ただし、カーソルキー17Bに対しては、4つの台座部51cが設けられている。
台座部51cは、キーシート51の筐体内側の面においては、上層部51bよりも一段低い凹部となっている(図12参照)。台座部51cの、筐体外側への突出形状と、筐体内側における凹形状とは、基本的に同一である。ただし、カーソルキー17Bや決定キー17Cに対応する台座部51cにおいては、筐体外側への突出形状と、筐体内側における凹形状とは異なっている。
フレーム53は、導電性を有するとともに弾性変形可能な材料により構成されている。例えば、金属により構成されている。フレーム53は、全体として、概ね、ダイヤルキー17Aの配置領域と同等の広さを有する板状に形成されている。フレーム53には、フレーム53がキーシート51のフロントケース23側の面に積層されたときに、ダイヤルキー17Aに対応する台座部51cが挿入される孔部53a(図8)が複数設けられている。
フレーム53は、複数の孔部53aが形成されたフレーム本体部69と、フレーム本体部の外縁に設けられたフレーム導通部71A〜71D(以下、A〜Dを省略することがある。)とを有している。フレーム導通部71は、フレーム53とシールドケース43とを導通させるための部分である。また、フレーム導通部71は、フレーム53と板金部57とを導通させるための部分である。
フレーム本体部69の外縁の形状は、キーシート51の上層部51bのうち、フレーム本体部69が積層される部分(ダイヤルキー17Aの配置領域側の部分)の外縁の形状と同一である。従って、フレーム本体部69は、上層部51bの位置決め突部67と同一の平面形状を有する、フロントケース23の複数の位置決め凹部61(図6)に嵌合する複数の位置決め突部73を有している。なお、説明の便宜上、位置決め突部73のうち、位置決め凹部61A、61Bに嵌合する位置決め突部73には、それぞれA、Bの付加記号を付している。フレーム導通部71A、71Bは、位置決め突部73A、73Bから突出している。
複数のキートップ17は、例えば、樹脂により構成されている。複数のキートップ17は、キーシート51の台座部51cに、接着剤等の適宜な固定部材により固定されている。例えば、複数のダイヤルキー17Aは、フレーム53の孔部53aに挿入された、複数のダイヤルキー17Aと同数の台座部51cに固定されている。
図9(a)は、筐体外部側(フロントケース23側)から見たフレーム導通部71Aの拡大図である。図9(b)は、筐体内部側(キーシート51側)から見たフレーム導通部71Aの拡大図である。
なお、フレーム導通部71B〜71Dの構造も、基本的にはフレーム導通部71Aと同様であることから、以下では、基本的にA〜Dの付加記号を省略し、フレーム導通部71A〜71Dに共通する構造の説明として図9の説明を行い、必要に応じて、A〜Dの付加記号を付し、フレーム導通部71A〜71D個別の構造の説明を行う。
フレーム導通部71は、平面視において(フレーム53のキーシート51に対する積層方向に見て)、概ねT字状に形成されている。すなわち、フレーム導通部71は、フレーム本体部69の外縁から突出する導通支持部71aと、導通支持部71aからフレーム本体部69の外縁に沿って延びる導通延在部71bとを有している。なお、フレーム導通部71A、71Bの導通支持部71aは、フレーム本体部69のうち、位置決め突部73A、73Bから突出している。
導通支持部71aは、例えば、平面視において、フレーム本体部69の外縁に直交する方向に突出している。導通支持部71aには、導通支持部71aの先端側部分がフレーム本体部69に対して筐体内部側(キーシート51側、図9(a)の紙面奥手側、図9(b)の紙面手前側)に位置するように段差が形成されている。具体的には、キーシート51の外縁又は外縁よりも外側において段差が形成されている(図7参照)。なお、フレーム導通部71A、71Bにおいては、導通支持部71aの根元において段差が形成され、フレーム導通部71C、Dにおいては、導通支持部71aの中途において段差が形成されている。導通支持部71aの先端側部分には、フロントケース23側へ突出する突出部71c(図9(a))が形成されている。なお、突出部71cの裏側は凹部となっている(図9(b))。突出部71cは、導通延在部71bの延びる方向において、導通支持部71aの中央に設けられている。
導通延在部71bは、導通支持部71aから互いに反対方向に延びるように2つ設けられている。2つの導通延在部71bは、例えば互いに同一の形状及び大きさである。導通延在部71bは、例えば、導通支持部71aの先端から導通支持部71aの突出方向に直交する方向へ延びている。導通延在部71bは、例えば、フレーム本体部69の外縁に沿う方向に長い矩形に形成されている。導通延在部71bのフレーム本体部69の外縁に沿う方向の長さは、例えば、導通支持部71aのキーシート51の外縁からの突出長さよりも大きい。導通延在部71bには、導通延在部71bの先端側部分が導通支持部71aに対して筐体内部側(キーシート51側、図9(a)の紙面奥手側、図9(b)の紙面手前側)に位置するように、段差が形成されている。段差は、例えば、導通延在部71bの根元に形成されている。なお、段差は、導通支持部71aに形成されたり、導通延在部71bの中途に形成されてもよい。
図10は、シールドケース43とフレーム導通部71との接続状態を説明する、筐体外部側から見た斜視図である。
なお、上述のように、キープレート21は、フロントケース23の樹脂部55のキー用開口56(図4)に筐体外側から嵌合し、板金部57の基部57aのうちキー用開口56から露出する部分に対して固定されるものであるから、図10に示すように、フロントケース23抜きでキープレート21がフレーム53等に被せられることはない。図10は、シールドケース43とフレーム導通部71との接続状態を説明するための便宜的なものである。
図7に示すように、フレーム導通部71は、キーシート51の外縁から突出している。そして、図10に示すように、フレーム導通部71は、シールドケース43のうち、キーシート51の外縁よりも外周側の部分に当接している。なお、フレーム導通部71A〜71C(71Bは図10では不図示)は、キープレート21の外縁よりも外側へ突出している。フレーム導通部71Dは、キープレート21の外縁よりも内側に位置しており、図10ではキープレート21に隠れている。
図11は、図10においてフレーム導通部71A付近を拡大して示す図である。
シールドケース43の筐体外側(キーシート51側)の面には、フレーム導通部71Aの導通延在部71bの先端側部分に対向する位置に、導通延在部71b側に突出する突出部43aが形成されている。突出部43aは、2つの導通延在部71bに対応して2つ設けられている。導通支持部71aと各突出部43aとの距離は同一である。導通延在部71bの先端側部分は、フレーム53のキーシート51に対する積層方向において、突出部43aに当接している。これにより、フレーム53とシールドケース43とは電気的に接続されている。
なお、フレーム導通部71B〜71Dにおいても、フレーム導通部71Aと同様に、導通延在部71bの先端側部分は、フレーム53のキーシート51に対する積層方向において、シールドケース43に形成された突出部43aに当接している。
図12は、フレーム導通部71とフロントケース23の板金部57との接続状態を説明する、筐体内部側から見た斜視図である。
キーシート51の下層部51aには、縁部において、筐体内側へ肉厚となる縁部肉厚部51dが形成されている。また、キーシート51の上層部51bには、台座部51c間において、筐体内側へ肉厚となる中央側肉厚部51eが形成されている。縁部肉厚部51d及び中央側肉厚部51eは、キーシート51がFPC45に載置されたときに、FPC45に当接する。台座部51cの筐体内側には、複数のスイッチ47を押下するための複数の押し子51fが形成されている。押し子51fは、台座部51cの中央部が肉厚に形成されることにより設けられ、筐体内側へ突出している。
キーシート51の下層部51aは、樹脂部55のキー用開口56に概ね嵌合している。図6に示すように、板金部57のうち、キー用開口58A、58BC、58Dの間の部分は、基部57aの外周側の部分よりも筐体外部側(図6の紙面奥手方向)へ一段高く形成されており、板金部57には、キー用開口58A、58BC、58Dの筐体外周側の内縁により形成された凹部が形成されている。図6、図7、図12から読解されるように、キーシート51の上層部51bは、そのキー用開口58A、58BC、58Dにより形成された凹部に概ね嵌合している。また、上層部51bの一部(ダイヤルキー17A側の部分)と同一の平面形状を有するフレーム53のフレーム本体部69も、上層部51bと共に、キー用開口58Aに概ね嵌合している。
図2、図6、図7、図12から読解されるように、板金部57のうち、樹脂部55のキー用開口56から露出した部分は、キーシート51の下層部51aに当接して、キーシート51をFPC45に対して押さえつけている。また、キープレート21は、板金部57のうち、樹脂部55のキー用開口56から露出した部分、及び、フレーム53のうちダイヤルキー17Aの外周側部分であって板金部57のキー用開口58Aから露出した部分(図8に示した位置決め突部67を含む)に当接及び固定され、フレーム53をキーシート51に対して押さえつけている。
図12に示すように、フレーム導通部71は、板金部57のうち、樹脂部55から露出している部分であって、キーシート51(フレーム本体部69)の外縁よりも外周側の部分に当接している。具体的には、フレーム導通部71A〜71Dは、それぞれ、図6に示す押圧部65A〜65Dに当接している。
図13は、図12においてフレーム導通部71A付近を拡大して示す図である。
フレーム導通部71Aは、樹脂部55の、板金部57よりも筐体内部側に形成された露出用凹部63A(図6も参照)内に収容されている。フレーム導通部71Aは、板金部57のうち、露出用凹部63Aが形成されることにより樹脂部55から露出した押圧部65Aに対して、フレーム53のフロントケース23への積層方向へ当接している。具体的には、突出部71c(図9参照)が押圧部65Aに当接する。これにより、フレーム53と板金部57とは電気的に接続されている。
なお、フレーム導通部71Bも、フレーム導通部71Aと同様に、導通支持部71aが板金部57に当接している。また、フレーム導通部71C、71Dも、露出用凹部63に収容されない以外は、フレーム導通部71Aと同様に、導通支持部71aが板金部57に当接している。
図14は、フレーム導通部71B付近の断面図(図1のXIV−XIV線矢視方向の断面図)である。
フレーム導通部71Bは、導通支持部71aの突出部71cが板金部57の押圧部65Bに当接し、導通延在部71bがシールドケース43の突出部43aに当接することにより、板金部57とシールドケース43とに挟持されている。従って、フレーム導通部71Bは、導通支持部71aが押圧部65Bから受ける力と、導通延在部71bが突出部43aから受ける力とにより、弾性変形させられている。なお、突出部71cと各突出部43aとの距離は互いに等しいから、フレーム導通部71Bは、導通延在部71bの延びる方向において、突出部71cに対して左右対称に弾性変形する。
フレーム導通部71A、71C、71Dも、フレーム導通部71Bと同様に、導通支持部71aが押圧部65から受ける力と、導通延在部71bが突出部43aから受ける力とにより、弾性変形させられている。
図15は、携帯電話機1の信号処理系の構成を示すブロック図である。
携帯電話機1は、CPU85、メモリ86、通信処理部87、音響処理部91及び画像処理部93を備えている。これら各部は例えばメイン基板29に設けられたIC37により構成されている。
CPU85及びメモリ86は、操作部15等の各種手段からの信号に基づいて所定の演算を行い、画像処理部93等の各種手段の制御を実行する制御部として機能する。
通信処理部87は、高周波回路を含んで構成されている。通信処理部87は、電波を利用した遠距離無線通信を行うために、CPU85で処理された音響データ、画像データ等の各種データを変調して、アンテナ89を介して送信する。また、通信処理部87は、アンテナ89を介して受信した信号を復調してCPU85に出力する。
音響処理部91は、CPU85からの音響データを電気信号に変換して通話用のスピーカ97、着信等を報知するためのスピーカ99に出力する。スピーカ97及びスピーカ99は、音響処理部91からの電気信号を音響に変換して出力する。一方、マイクロフォン39は、入力された音響を電気信号に変換して音響処理部91に出力する。音響処理部91は、マイクロフォン39からの電気信号を音響データに変換してCPU85に出力する。
画像処理部93は、CPU85からの画像データを画像信号に変換して表示部11へ出力する。また、所定のカメラモジュール95から出力される撮像信号(画像データ)を所定のフォーマットの画像データに変換してCPU85へ出力する。
以上の実施形態によれば、携帯電話機1は、第2筐体5と、第2筐体5内に配置されたFPC45と、FPC45に配置された複数のスイッチ47と、複数のスイッチ47に被せられる絶縁性のキーシート51と、キーシート51のFPC45とは反対側に積層され、複数のスイッチ47に重なる位置に複数の孔部53aが形成された、導電性を有するフレーム53と、FPC45のグランドラインに接続され、フレーム53よりもFPC45側に配置されたシールドケース43とを有し、フレーム53は、複数の孔部53aが形成されたフレーム本体部69と、フレーム本体部69の外縁に設けられ、シールドケース43に当接するフレーム導通部71とを有し、フレーム導通部71は、フレーム本体部69の外縁から突出する導通支持部71aと、導通支持部71aからフレーム本体部69の外縁に沿って延び、先端側部分がフレーム53のキーシート51に対する積層方向においてシールドケース43に当接する導通延在部71bとを有し、シールドケース43から受ける力により弾性変形していることから、フレーム53とシールドケース43とを適切な接触圧で当接させるために十分なフレーム導通部71のストローク量を確保することができる。すなわち、導通延在部71bは、フレーム本体部69の外縁に沿って延びていることから、導通延在部71bを長く形成してストローク量を大きくしても、フレーム導通部71が、第2筐体5の外周面部5c内に収まるとともに、シールドケース43の外縁内に収まる。
フレーム導通部71は、導通支持部71aから互いに反対方向に延びる2つの導通延在部71bを有することから、一のフレーム導通部71により2箇所の接点を確保できるとともに、フレーム導通部71は全体としてバランスよく弾性変形されることになり、フレーム本体部69等に不必要な歪みを生じることがない。
特に、第2筐体5が、導通支持部71aをシールドケース43側へ押圧する押圧部65を有することから、導通支持部71aを支点としてバランスよくフレーム導通部71を曲げ変形させ、フレーム本体部69へ不必要な歪みが生じることを抑制することができるとともに、フレーム53の筐体外側への浮きを抑制することができる。また、より強い接触圧を得ることも可能となる。押圧部65は、第2筐体5に形成されていることから、部品点数の増加もない。
第2筐体5は、絶縁性の樹脂により形成された樹脂部55と、樹脂よりも弾性係数の高い導電性の金属により形成され、樹脂部55に埋設された板金部57とを有し、押圧部65は、板金部57の樹脂部55から露出する部分により構成され、導通支持部71aに当接して導通支持部71aを押圧することから、フレーム導通部71は、フレーム53をグランドラインに接続するだけでなく、板金部57をグランドラインに接続することにも寄与し、加えて、上述のように、押圧部65及びシールドケース43からの力により、バランスよく弾性変形して適切な接触圧を生じることになる。また、第2筐体5は、板金部57により強度を保ちつつ薄型化が図られるとともに、第2筐体5の、複数のキートップ17の周囲の幅が狭くても、導通延在部71bによりフレーム導通部71のストローク量を確保できるから、全体として、第2筐体5の小型化が図られる。
なお、以上の実施形態において、携帯電話機1は本発明の電子機器の一例であり、第2筐体5は本発明の筐体の一例であり、FPC45は本発明の回路基板の一例であり、シールドケース43は本発明の導電部材の一例であり、樹脂部55は本発明の第1部材の一例であり、板金部57は本発明の第2部材の一例であり、樹脂は本発明の第1材料の一例であり、金属は本発明の第2材料の一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
電子機器は、携帯電話機に限定されない。例えば、PDA、ノートパソコン、デジタルカメラ、ゲーム機であってもよい。電子機器は、開閉可能な筐体を有するものに限定されず、筐体を一つのみ有するものであってもよい。
筐体は、第1材料により形成された第1部材と、第1材料とは異なる第2材料により形成され、第1部材に埋設された第2部材とを有するものに限定されない。例えば、一の材料により一体形成された部材のみを有するものであってもよい。この場合、筐体は、絶縁性であってもよいし、導電性であってもよい。
複数のスイッチは、ドーム式の押圧スイッチに限定されない。フレームが積層されたキーシートを介して操作されるものであればよい。例えば、スイッチは、導電ゴム接点を有するタクティクルプッシュスイッチであってもよい。キートップは、キーシートに固着されるものに限定されない。例えば、キーシートに肉厚部が形成されることにより、キーシート自体にキートップとして機能する部分が形成されてもよい。
複数のスイッチが設けられる回路基板は、フレキシブルな基板に限定されない。例えば、硬質の樹脂をベースとしたプリント配線基板であってもよい。キーシートは、弾性を有するものに限定されない。例えば、キーシートは、絶縁性の樹脂により形成された、可撓性は有するが弾性は有しないフィルムであってもよい。
グランドラインに接続されるとともにフレームに接続される導電部材は、シールドケースに限定されない。例えば、筐体を補強するために設けられた補強部材であってもよい。また、導電部材は、回路基板のグランドラインに接続された、回路基板とは別個に設けられた部材に限定されず、回路基板の表面に形成されたグランドパターン層や板状端子であってもよい。
フレーム導通部は、2つの導通延在部を有するものに限定されない。例えば、フレーム導通部は、導通延在部を一つのみ有し、全体として、L字状に形成されていてもよい。また、フレーム導通部が、導通支持部から互いに反対方向に延びる2つの導通延在部を有する場合、2つの導通延在部は、互いに同一の形状及び大きさでなくてもよいし、同一線上に配置されなくてもよい。
導通支持部を導電部材側へ押圧する押圧部は、筐体に形成されるものに限定されない。他の部材により押圧部が形成されてもよい。ただし、一般には、フレーム上には筐体の所定面部が配置され、また、筐体に押圧部を形成すれば、部品点数や組立工程の増加を招くこともないから、筐体に押圧部を形成したほうが、簡素且つ安価である。
実施形態では、導通支持部がグランドラインに接続されている部材に当接した。しかし、導通支持部は、グランドラインに接続されていない部材に当接してもよい。
図16は、フレーム導通部の変形例を示す断面図である。
この変形例では、フレーム導通部171は、導通支持部171aがシールドケース143に当接し、導通延在部171bがフロントケース123の板金部157に当接している。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
1…携帯電話機(電子機器)、5…第2筐体(筐体)、43…シールドケース(導電部材)、45…FPC(回路基板)、47…スイッチ、51…キーシート、53…フレーム、53a…孔部、69…フレーム本体部、71…フレーム導通部、71a…導通支持部、71b…導通延在部。