JP5046176B2 - 平面画像表示装置用ガラスおよびそれを用いたガラス基板並びにその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、平面画像表示装置用ガラスに関し、特にフィールドエミッションディスプレイ(Field Emission Display、以下FEDと称する)に好適なガラスに関する。また、本発明は、平面画像表示装置用ガラス基板に関し、特にFEDに好適なガラス基板に関する。さらに、本発明は、平面画像表示装置用ガラス基板の製造方法に関する。
FEDは、陰極線管(Cathode Ray Tube、CRT)で培われた技術を利用できるとともに、他の平面画像表示装置、例えば液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、以下LCDと称する)やプラズマディスプレイ(Plasma Display Panel、以下PDPと称する)よりも消費電力を低減できるため、次世代の平面画像表示装置として期待されている。
FEDは、図1に示すように、電子ビームが照射されると発光する蛍光体7を有する前面板8と、電子を放出する素子5が多数形成された背面板3とを、ガラスフリットや紫外線硬化樹脂で気密封止した構造を有している。そして、前面板8と背面板3とで形成される装置内部の空間は、電子の照射を可能にするために真空状態に保持される。FEDの画像特性は電子放出源に左右されるといっても過言ではなく、近年、様々な電子放出素子が提案、開発されている。これらの電子放出素子は、物質に印加する電界の強度を上げると、その強度に応じて、物質表面のエネルギー障壁の幅が次第に狭まる。その結果、エネルギー障壁を突破できるようになり、物質から電子が放出されるという現象を利用している。この場合、電場がポアッソンの方程式に従うために、電子を放出する部材(エミッタ)に電界が集中する部分を形成すると、比較的低い引出し電圧で効率的に電子の放出を行うことができる。このような電界放射型の電子放出素子の一般的なものとしてスピント型エミッタが広く知られている。
スピント型エミッタの製造工程では、導電層が形成された絶縁性基板上に、絶縁層及びゲート電極をスパッタ法または真空蒸着法等により順次成膜する。続いて、フォトリソグラフィー法と反応性イオンエッチング法(RIE)とを利用して絶縁層およびゲート電極の一部を、導電層が露出するまで円形の孔(ゲート孔)が開口するようにエッチングする。次に、斜方蒸着により剥離層をゲート電極上面と側面にのみ形成する。続いて、導電層上に、その垂直な方向から通常の異方性蒸着により、エミッタ用の金属材料を蒸着する。このとき、蒸着の進行につれて、ゲート孔の開口径が狭まると同時に導電層上に円錐形のエミッタが自己整合的に形成される。蒸着は、最終的にゲート孔が閉じるまで行う。最後に、剥離層をエッチングにより剥離し、必要に応じてゲート電極をパターニングする。これによりスピント型エミッタを備えた電界電子放出素子が得られる。すなわち、FEDに用いられるガラス基板の表面には、透明電極、絶縁膜等の様々な膜やエミッタ等が成膜され、しかもフォトリソグラフィーエッチング(フォトエッチング)によって種々の回路やパターンが形成される。
FEDに使用されるガラス基板には、次の特性が要求される。
(1)熱処理工程でガラス基板に割れが生じないように、周辺部材と適合する熱膨張係数を有すること
(2)成膜等の熱処理工程でガラス基板が熱収縮して、パターンずれを起こさないように、高い歪点を有すること
(3)FEDの画質に影響を及ぼすような内部欠陥が存在しないこと、特に泡欠陥が存在しないこと
(4)FED全体の重量を軽減するために、低密度であること
ところで、近年、電子放出効率の高いFEDを作製するために、フォトリソグラフィーの精度をより高めることが求められている。フォトリソグラフィーの精度を高めるためには、マスクを通過する光をより集光する必要があるが、光をより集光すると焦点深度が浅くなる。そのため、ガラス基板の平坦性が悪いと露光時に焦点があわず、精度の高いパターニングが行えない。結果としてゲート孔形状にバラツキが生じるために所望の円錐の形状が得られなくなる場合がある。上記したように電子放出素子では電界が集中する部分において、低電圧で効率的に電子の放出を行うことができるのであるが、所望の円錐形状が得られない場合には、駆動電圧が高くなったり、電子が放出されないといった不具合が発生する虞がある。
このような事情から、FED用ガラス基板には、上記要求特性(1)〜(4)に加えて、(5)ガラス基板の表面形状が優れること、つまりガラス基板の平坦性が優れることが要求される。ガラス基板の平坦性は、種々の要因により決定されるが、最も影響が大きい因子としてガラス基板の成形方法および加工方法が挙げられる。
ガラス基板を成形する方法としては、オーバーフローダウンドロー法(fusion法とも称される)、フロート法、スロットダウンドロー法等の種々の方法がある。その中でも、オーバーフローダウンドロー法は、ガラス基板を研磨しなくても、言い換えれば加工工程を別途経なくても平坦性の高いガラス基板を得ることができる。したがって、オーバーフローダウンドロー法は、優れた表面形状が要求されるFED用ガラス基板の成形方法として好適であると考えられる。
一方、オーバーフローダウンドロー法は、他の成形法と比較して、ガラスの成形時における粘度が高いため、ガラスの耐失透性が悪いと、成形中に失透ブツが発生し、ガラスの成形ができなくなる。そのため、FED用ガラス基板として、(6)失透しにくいガラス組成であることが望ましい。
しかし、従来までのFED用ガラス基板は、上記要求特性(1)〜(6)をすべて満足するものがなく、特に、耐失透性が良好なガラスを得ることが困難であり、オーバーフローダウンドロー法を採用することができず、フロート法等の成形方法によって製造されていた。その結果、FED用ガラス基板として、表面品位が良好なガラス基板を得ることが困難であった。
したがって、本発明は、上記要求特性(1)〜(4)を満たすことができるとともに、耐失透性が良好であり、しかもオーバーフローダウンドロー法等に好適なガラスを得ることにより、表面品位の良好なガラス基板を得ることを技術的課題とする。
本発明者は、鋭意努力の結果、平面画像表示装置用ガラスにおいて、ガラスの組成範囲を、質量%でSiO2 45〜70%、Al233〜20%、B23 0〜10%、MgO 0〜10%、CaO 0〜1%(但し1%を除く)、SrO 0〜17%、BaO 0〜17%、Na2O 0〜10%、K2O 0〜10%、ZrO2 0.01〜8%、(MgO+CaO)/(SrO+BaO)の値を0〜0.1に、モル分率でAl 2 3 /BaOの値を0.1〜1.12に規制し、且つ30〜380℃における熱膨張係数を50〜90×10-7/℃に設定することで上記課題を解決できることを見出し、本発明として提案するものである。なお、本発明において、「30〜380℃における熱膨張係数」は、ディラトメーターを用いて、30〜380℃における平均熱膨張係数を測定した値を指す。
ガラス組成を上記の範囲に規制することによって、ガラスの耐失透性が良好なガラスを得ることができる。一般的に、オーバーフローダウンドロー法において、ガラスの耐失透性は、具体的には、少なくとも液相温度で1200℃以下、液相粘度で104.5dPa・s以上が要求されるが、本発明の平面画像表示装置用ガラスは、ガラスを上記の範囲に規制しているため、耐失透性が良好であり、液相温度で1200℃以下、液相粘度で104.5dPa・s以上の特性を達成することができる。また、本発明の平面画像表示装置用ガラスは、ガラス組成を上記の範囲に規制していることにより、オーバーフローダウンドロー法に適した粘度特性を有している。なお、本発明は、オーバーフローダウンドロー法以外の成形方法を排除するものではない。オーバーフローダウンドロー法以外の成形方法であっても、ガラスの製造工程ではガラスの耐失透性が良好であればあるほど、ガラス基板の製造効率が向上するため、本発明が他の成形方法でも有効である点は言うまでもない。
また、本発明者は、ガラス基板の表面品位を向上させるためには、溶融時におけるガラスの溶融分離を低減させればよいことを見出した。すなわち、組成差によるわずかな熱膨張係数の差が、ガラス成形時に体積収縮率が異なる部位を発生させ、その部分がガラス基板の表面粗さやうねりを悪化させる原因であることを明らかにした。また、ガラスの組成差を生じさせる主な成分としてはZrO2の寄与が高く、その成分を減じることで脈理を低減させることが可能であることも見出した。一方、ZrO2は歪点を高くしたり、オーバーフローダウンドロー法を行うために必要な粘性を確保する上で必要な成分であることを見出すとともに、ガラスの脈理を発生させず、且つ十分な歪点と液相粘度を確保するためには、ZrO2の含有量を適正量に規制すればよいことを見出した。したがって、本発明の平面画像表示装置用ガラスは、ガラス組成として、ZrO2の含有量を0.01〜8%の範囲に規制することによって、ガラスの組成差を抑制できるとともに、ガラスの粘度特性を調整することができ、その結果、ガラス基板の表面品位を確保する上で有利な特性をガラスに付与することが可能となる。
さらに、本発明の平面画像表示装置用ガラスは、30〜380℃における熱膨張係数を50〜90×10-7/℃に規制することにより、良好にフリットシールを行うことができ、且つ平面画像表示装置を製造する際の成膜等の熱処理工程でガラス基板の割れを的確に防止することが可能となる。
第二に、本発明の平面画像表示装置用ガラスは、ガラス組成として、質量%でSiO2 50〜60%、Al235〜10%、B23 0〜5%、MgO 0〜5%、CaO 0〜1%(但し1%を除く)、SrO 5〜12.5%、BaO 9〜14%、Na2O 0〜5%、K2O 3〜6%、ZrO2 1〜4%を含有し、(MgO+CaO)/(SrO+BaO)の値が0〜0.1、モル分率でAl 2 3 /BaOの値を0.1〜1.12であり、30〜380℃における熱膨張係数が65〜80×10-7/℃であることに特徴付けられる。
第三に、本発明の平面画像表示装置用ガラスは、ガラス組成として、質量%でSiO2 55〜58%、Al237〜9.5%、B23 0〜2%、MgO 0〜3%、CaO 0〜1%(但し1%を除く)、SrO 7〜10.5%、BaO 11.5〜14%、Na2O 1〜5%、K2O 3〜6%、ZrO2 2.5〜4%を含有し、(MgO+CaO)/(SrO+BaO)の値が0〜0.1、モル分率でAl 2 3 /BaOの値が0.1〜1.12であり、30〜380℃における熱膨張係数が65〜75×10-7/℃であることに特徴付けられる。
第四に、本発明の平面画像表示装置用ガラスは、上記ガラス組成において、モル分率でAl23/BaOの値が0.1〜2であることに特徴付けられる。
第五に、本発明の平面画像表示装置用ガラスは、上記ガラス組成において、モル分率でNa2O/K2Oの値が0〜2であることに特徴付けられる。
第六に、本発明の平面画像表示装置用ガラスは、液相温度が1200℃以下および/または液相粘度が104.5dPa・s以上であることに特徴付けられる。なお、本発明において、「液相粘度」は、ガラスを粉砕し、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れ、温度勾配炉中に48時間保持して、結晶の析出する温度を測定したものである。また、本発明において、「液相粘度」は、上記方法で測定した液相温度におけるガラスの粘度を周知の白金引き上げ法で測定した値を指す。
第七に、本発明の平面画像表示装置用ガラスは、密度が3.0g/cm3以下であることに特徴付けられる。
第八に、本発明の平面画像表示装置用ガラスは、歪点が590℃以上であることに特徴付けられる。なお、本発明において、「歪点」は、ASTM C336−71に準拠した方法で測定した値を指す。
第九に、本発明の平面画像表示装置用ガラスは、高温粘度102.5dPa・sに相当する温度が1650℃以下であることに特徴付けられる。なお、本発明において、「高温粘度102.5dPa・sに相当する温度」は、白金球引き上げ法で測定した値を指す。
第十に、本発明の平面画像表示装置用ガラスは、平面画像表示装置がFEDであることに特徴付けられる。
第十一に、本発明の平面画像表示装置用ガラス基板は、上記平面画像表示装置用ガラスから構成されることに特徴付けられる。
第十二に、本発明の平面画像表示装置用ガラス基板は、平面画像表示装置がFEDであることに特徴付けられる。
第十三に、本発明の平面画像表示装置用ガラス基板の製造方法は、上記平面画像表示装置用ガラス基板の製造方法であって、ガラス基板の成形方法がオーバーフローダウンドロー法であることに特徴付けられる。
本発明の平面画像表示用ガラスは、上記要求特性(1)〜(4)を満たすことができるとともに、耐失透性が良好であり、しかもオーバーフローダウンドロー法等に好適なガラスを得ることができることにより、ガラス基板の表面品位を向上させることが可能となる。その結果、ガラス基板の表面に精度が高いフォトリソグラフィーを行うことが可能となり、電子源の電子放出特性を安定に保持することが可能となる。さらに、本発明の平面画像表示装置用ガラス基板は、精度の高いフォトリソグラフィーを行うことができるため、精度が高い回路パターンを形成することが可能となり、平面画像表示装置の信頼性確保(例えば、断線、ショートの発生確率を低減できること等)に寄与することができる。
以下に、上記のように組成範囲を限定した理由を詳述する。なお、以下の%表示は特に限定がある場合を除き、質量%を指す。
SiO2は、ガラスのネットワークフォーマーであり、その含有量は45〜70%、好ましくは48〜65%、より好ましくは50〜60%、更に好ましくは52〜58%、最も好ましくは55〜58%である。SiO2の含有量が70%より多くなると、ガラスの溶融、成形が難しくなったり、熱膨張係数が小さくなりすぎて周辺材料との整合性が取り難くなったりする。一方、SiO2の含有量が45%より少なくなると、熱膨張係数が大きくなり過ぎてガラスの耐熱衝撃性が低下したり、ガラス化が困難になったりする傾向にある。
Al23は、ガラスの歪点やヤング率を高める成分であり、その含有量は3〜20%、好ましくは5〜18%、より好ましくは6〜15%、更に好ましくは7〜13%である。Al23の含有量が20%より多くなると、ガラスの耐失透性が悪化するとともに、高温粘性が高くなり、ガラスの溶融性が悪化する傾向がある。Al23の含有量が3%より少なくなると、熱膨張係数が大きくなり、ガラスの耐熱衝撃性が低下したり、ガラスの歪点が低下する傾向があり、平面画像表示装置を製造する際の熱処理工程でガラス基板に割れが発生したり、熱変形や熱収縮が生じやすくなる。また、ガラスの耐失透性を改善する観点から、Al23の含有量を11%以下、更に10%以下、特に9.5%以下に抑えると、より的確に上記効果を享受することができる。
23は、ガラスの溶融性を向上させ、ZrO2に関係する失透を抑制する効果を有する成分であり、その含有量は0〜10%であり、好ましくは0.1〜8%、より好ましくは0.5〜5%である。B23の含有量が10%より多くなると、歪点やヤング率が低下する傾向があり、平面画像表示装置を製造する際の熱処理工程でガラス基板に割れが発生したり、熱変形や熱収縮が生じやすくなる。更に、ガラスの歪点やヤング率を上昇させる観点から、B23の含有量を3%以下(好ましくは2.5%以下、2%以下)に低下させると、より的確に上記効果を享受することができる。
MgOは、ガラスの歪点を高める成分であり、その含有量は0〜10%、より好ましくは0〜8%、更に好ましくは0〜5%、最も好ましくは0〜3%である。MgOの含有量が10%より多くなると、熱膨張係数が高くなり過ぎたり、密度が高くなったり、耐失透性が悪化する傾向がある。
CaOは、歪点をあまり低下させることなく、高温粘性を低下させる成分であり、その含有量は0〜1%(但し1%を除く)である。CaOの含有量が多くなると、熱膨張係数が高くなり過ぎたり、密度が高くなったり、耐失透性が悪化したり傾向がある。
SrOは、耐失透性を悪化させることなく、高温粘性を低下させる成分であり、その含有量は0〜17%、好ましくは2〜15%、より好ましくは5〜13%、更に好ましくは7〜13%である。SrOの含有量が17%より多くなると、熱膨張係数や密度が高くなり過ぎたり、ガラス組成のバランスを欠いて耐失透性が悪化する。また、ガラスの耐失透性を向上させる観点から、SrOの含有量を11%以下、更に10.5%以下にすると、上記効果をより的確に享受することが可能となる。
BaOは耐失透性を悪化させずに、高温粘性を低下させる成分であり、その含有量は0〜17%(好ましくは2〜17%、5〜16%、7〜15%、9〜14%、11.5〜14%)である。BaOの含有量が17%より高くなると、熱膨張係数が高くなりすぎたり、密度が高くなったり、ガラス組成のバランスを欠いて、逆に耐失透性が悪化したりする。
MgO+CaO+SrO+BaOの合量は15〜28%とするのが好ましく、17〜26%がより好ましく、19〜24%が更に好ましい。MgO+CaO+SrO+BaOの合量が28%を超えると、ガラスの密度や熱膨張係数が高くなる傾向があるとともに、耐失透性も悪化する傾向がある。一方、MgO+CaO+SrO+BaOの合量が15%より少ないと、ガラスの溶融性が悪化したり、熱膨張係数が小さくなりすぎる。
SrO、BaOは、他のアルカリ土類金属酸化物と比較して、ガラス組成に導入しても液相温度付近における粘性があまり低下しないため、オーバーフローダウンドロー法による成形に適正な液相粘度を得るために、積極的に含有させることが望ましい。さらに、ガラスの耐失透性や化学的耐久性を向上させる観点から、質量分率で(MgO+CaO)/(SrO+BaO)の値を0〜0.1(好ましくは0〜0.05)に設定することが有効である。特に、上記観点から、質量分率でSrO/BaOの値を0.4〜1.2(好ましくは、0.4〜1.2、0.5〜1.1、0.6〜1.0、0.6〜0.9、0.6〜0.8)に設定することが有効である。上記設定値範囲外であると、想定した効果を最大限に享受できなくなる。
Na2Oは、高温粘性を低下させるとともに、熱膨張係数を調整する成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0.1〜8%、より好ましくは0.5〜6%、更に好ましくは1〜5%である。Na2Oの含有量が10%より多くなると、歪点が低下したり、熱膨張係数が高くなりすぎる。
2Oは、高温粘性を低下させ熱膨張係数を調整する成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0.1〜8%、より好ましくは0.5〜6%である。K2Oの含有量が10%より多くなると、歪点が低下したり、熱膨張係数が高くなりすぎる。特に、高温粘性を低下させる効果および熱膨張係数を調整する効果を的確に享受するために、K2Oを1%以上(好ましくは2%以上、3%以上)含有させることが望ましい。
ZrO2は、歪点やヤング率を上昇させる成分であり、本発明において必須成分である。ZrO2の含有量は0.01〜8%(好ましくは、0.1〜8%、0.5〜7%、1〜6%、2〜5%、2.5〜4%)である。ZrO2の含有量が8%より多くなると、耐失透性が悪化したり、平均表面粗さ、うねり等のガラス基板の表面品位に悪影響を及ぼす虞が生じる。ZrO2の含有量が0.01%より少ないと、歪点の低下を招くとともに、オーバーフローダウンドロー法で成形を行うために必要な粘度特性を確保することが困難になる。
また、モル分率でAl23/BaOの値を0.1〜1.12(好ましくは、0.3〜1.12、0.5〜1.12、0.7〜1.12、0.8〜1.1)に設定すると、ガラスの耐失透性を悪化させることなく、高歪点化を達成できるため、好ましい。Al23/BaOのモル分率が1.12を超えると、耐失透性が悪化する傾向がある。Al23/BaOのモル分率が0.1より小さくなると、ガラスの耐失透性が悪化するとともに、歪点が低下する傾向がある。
さらに、Al23/BaOのモル分率を0.1〜2の範囲に設定して、耐失透性を抑制しつつ歪点を高くする効果は、モル分率でNa2O/K2Oの値を0〜2(好ましくは、0.3〜1.5、0.5〜1.3、0.7〜1.1、0.8〜0.9)の範囲に調整することで、より的確に享受することが可能となる。Na2O/K2Oのモル分率が小さくなると、Al23/BaOのモル分率を調整することによる上記効果が若干得られにくくなるため、Na2O/K2Oのモル分率を0.3以上にすることがより好ましい。また、Na2O/K2Oのモル分率が2を超えると、歪点が低下したり、ガラス組成のバランスを欠いて、失透が生じやすくなる。
ガラスの歪点を高く保ち、熱膨張係数を高くしすぎない観点から、質量分率で(Na2O+K2O)/(MgO+CaO+SrO+BaO)の値を0〜0.5に設定することが好ましく、0.1〜0.4に設定することがより好ましく、0.2〜0.4に設定することが更に好ましい。質量分率で(Na2O+K2O)/(MgO+CaO+SrO+BaO)の値が0.5より大きいと、上記効果を的確に享受できない虞がある。
本発明のガラスは、上記成分以外にもガラスの特性を損なわない範囲で種々の成分を10%まで添加させることが可能である。例えば、ZnO、TiO2、CeO2、Y23、La23、Nb25をそれぞれ10%以下含有させてもよい。また、着色剤としてFe23、CoO、NiO、Cr23、Nd25をそれぞれ2%以下含有させても良い。さらに、清澄剤としてAs23、SO3、Sb23、SnO2、F、Clの群から選択された1種または2種以上を合量で0〜3%含有させてもよい。
上記組成範囲において、各成分の好ましい範囲を任意に組み合わせて、好ましい組成範囲を選択することは当然可能であるが、その中にあって、平面画像表示装置用ガラスとして、より好ましい組成範囲は、SiO2 50〜60%、Al23 5〜10%、B23 0〜5%、MgO 0〜5%、CaO 0〜(但し1%を除く)、SrO 5〜12.5%、BaO 9〜14%、Na2O 0〜5%、K2O 3〜6%、ZrO2 1〜4%を含有し、(MgO+CaO)/(SrO+BaO)の値が0〜0.1であり、30〜380℃における熱膨張係数を65〜80×10-7/℃とするガラスが挙げられる。ガラスの組成範囲を上記に規制すれば、耐失透性を大幅に改善できるとともに、オーバーフローダウンドロー法による成形を行うために必要な粘度特性を的確に確保することができる。
平面画像表示装置用ガラスの更に好ましい態様として、SiO2 55〜58%、Al237〜9.5%、B23 0〜2%、MgO 0〜3%、CaO 0〜1%(但し1%を除く)、SrO 7〜10.5%、BaO 11.5〜14%、Na2O 1〜5%、K2O 3〜6%、ZrO2 2.5〜4%を含有し、(MgO+CaO)/(SrO+BaO)の値が0〜0.1、モル分率でAl 2 3 /BaOの値が0.1〜1.12であり、30〜380℃における熱膨張係数を65〜75×10-7/℃とするガラスが挙げられる。ガラスの組成範囲を上記に規制すれば、耐失透性を顕著に改善できるとともに、オーバーフローダウンドロー法による成形を行うために必要な粘度特性をより的確に確保することができる。
本発明の平面画像表示装置用ガラスは、30〜380℃における熱膨張係数が50〜90×10-7/℃であり、好ましくは55〜85×10-7/℃、より好ましくは60〜80×10-7/℃である。良好にフリットシールを行い、平面画像表示装置を製造する際の成膜等の熱処理工程でのガラス基板の割れを確実に防止する観点から、65〜80未満×10-7/℃が好ましく、65〜75×10-7/℃がより好ましい。30〜380℃における熱膨張係数が50×10-7/℃より小さいと、前面ガラス基板と背面ガラス基板をフリットシールするための封着ガラスの熱膨張係数と整合が取れず、封着工程後にガラス基板に割れ等の問題が生じやすくなる。また、30〜380℃における熱膨張係数が90×10-7/℃より大きいと、平面画像表示装置に使用される他の周辺部材の熱膨張係数と整合が取れない虞がある。
本発明の平面画像表示装置用ガラスにおいて、液相温度は1200℃以下が好ましく、1080℃以下がより好ましく、1050℃以下が更に好ましく、1000℃以下が最も好ましい。一般的に、オーバーフローダウンドロー法は、他の成形方法と比較して、ガラス成形時の粘度が高いため、ガラスの耐失透性が悪いと、成形中に失透ブツが発生し、ガラス基板に成形できなくなる虞がある。具体的には、少なくとも液相温度が1200℃より高いと、オーバーフローダウンドロー法の適用が困難になる。したがって、液相温度が1200℃より高いと、平面画像表示装置用ガラスの成形方法に不当な制約が課され、所望の表面形状のガラスを成形できなくなる虞が生じる。なお、液相温度が低いほど、ガラスの耐失透性は良好である。また、一般的に、ガラスの特性改善は、何らかの特性を低下させることによって達成され、他の特性といわゆるトレードオフの関係となり易い。ここで、粘度、密度、熱膨張係数等のガラスに要求される種々の特性を満たすためのバランスを考慮すると、ガラスの液相温度は850℃以上に設計することが目安となる。
本発明の平面画像表示装置用ガラスにおいて、液相粘度は104.5dPa・s以上が好ましく、105.0dPa・s以上がより好ましく、105.5dPa・s以上が更に好ましく、105.8dPa・s以上が最も好ましい。一般的に、オーバーフローダウンドロー法は、他の成形方法と比較して、ガラス成形時の粘度が高いため、ガラスの耐失透性が悪いと、成形中に失透ブツが発生し、ガラス基板に成形できなくなる虞がある。具体的には、少なくとも液相粘度が104.5dPa・s未満であると、オーバーフローダウンドロー法の適用が困難になる。したがって、104.5dPa・s未満であると、平面画像表示装置用ガラスの成形方法に不当な制約が課され、所望の形状のガラスを成形できなくなる虞が生じる。なお、液相粘度が高いほど、ガラスの耐失透性は良好である。ここで、粘度、密度、熱膨張係数等のガラスに要求される種々の特性を満たすためのバランスを考慮すると、ガラスの液相粘度は106.5dPa・s以下に設計することが目安となる。
本発明の平面画像表示装置用ガラスにおいて、密度は3.0g/cm3以下であることが好ましく、2.9g/cm3以下であるとより好ましい。ガラスの密度が低ければ低いほど、ガラスの軽量化を図ることができ、平面画像表示装置の軽量化に寄与することができる。密度が3.0g/cm3より大きいと、平面画像表示装置の軽量化に寄与し難くなる。
本発明の平面画像表示装置用ガラスにおいて、歪点は590℃以上(好ましくは600℃以上、610℃以上、620℃以上、630℃以上)が好ましい。歪点が590℃未満であると、平面画像表示装置を製造する際の成膜等の熱処理工程で、ガラス基板の熱収縮が生じ易くなり、ゲート電極のパターニングのずれ等が生じ易くなる。
本発明の平面画像表示装置用ガラスにおいて、高温粘度102.5dPa・sに相当する温度は1650℃以下が好ましく、1620℃以下がより好ましく、1600℃以下が更に好ましい。この温度が低いほど、溶融時にガラス中に存在する気泡の浮上速度が速くなるため、泡を低減し易くなり、泡品位が向上する。また、この温度が低いほど、炉体耐火物の耐久性も向上し、その結果、溶融炉等の耐久性向上に寄与することができる。高温粘度102.5dPa・sに相当する温度が1650℃よりも高いと、溶融時にガラス中に存在する気泡の浮上速度が遅くなるため、泡を低減し難くなり、泡品位が悪化する。また、高温粘度102.5dPa・sに相当する温度が1650℃よりも高いと、炉体耐火物の耐久性も低下し、その結果、溶融炉等の耐久性が低下し、ガラスの製造コストの高騰を招く虞が生じる。
本発明の平面画像表示装置用ガラスにおいて、平面画像表示装置はFEDであることが好ましい。本発明の平面画像表示装置用ガラスは、FEDが要求する特性を満足しているため、本用途に好適に使用することができる。特に、本発明の平面画像表示装置用ガラスは、オーバーフローダウンドロー法を採用することができるため、ガラス基板の表面品位を向上させることができるだけでなく、熱膨張係数等の特性も同時に充足するため、本用途に好適に使用することが可能となる。
本発明の平面画像表示装置用ガラスは、ガラス基板として使用することが好ましい。本発明の平面画像表示装置用ガラスは、種々の成形方法を採用することができるが、いずれにしてもガラスの耐失透性が優れるため、良好にガラス基板に成形することができ、これを平面画像表示装置に適用することができる。
本発明の平面画像表示装置用ガラス基板において、平均表面粗さ(Ra)は、10Å以下であることが好ましく、7Å以下がより好ましく、4Å以下が更に好ましく、2Å以下が最も好ましい。平均表面粗さ(Ra)が10Åより大きいと、FED等の製造工程において、ゲート電極等の正確なパターニングを行うことが困難となり、その結果、回路電極が断線、ショートする確率が上昇し、平面画像表示装置の信頼性を担保し難くなる。なお、本発明において、「平均表面粗さ(Ra)」は、SEMI D7−94「FPDガラス基板の表面粗さの測定方法」に準拠した方法により測定した値を指す。
本発明の平面画像表示装置用ガラス基板において、最大板厚と最小板厚の差は20μm以下であることが好ましく、10μm以下がより好ましい。平面画像表示装置の画面サイズが大きくなると、ガラス基板の最大板厚と最小板厚の差が20μmより大きい場合、前面板と背面板の間隔(ギャップ)が局所的に異なる部位が生じる。このような場合、FED等の平面画像表示装置では前面板と背面板の間に印加される加速電圧にばらつきが生じたり、蛍光体に衝突する電子の速度が変化したりして、平面画像表示装置の輝度特性に悪影響を及ぼす虞がある。また、ガラス基板の最大板厚と最小板厚の差が20μmより大きい場合、FED等の製造工程において、露光時に焦点が合わないため、精度の高いパターニングが行えず、結果としてゲート孔形状にバラツキが生じるために所望の円錐の形状が得られなくなる虞が生じる。上記したように電子放出素子では電界が集中する部分において、低電圧で効率的に電子の放出を行うことができるのであるが、所望の円錐形状が得られない場合には、駆動電圧が高くなったり、電子が放出されないといった不具合が発生する虞が生じる。したがって、ガラス基板の最大板厚と最小板厚の差が20μmより大きいと、平面画像表示装置の高精細化の要請を満たすことが困難になる。ここで、本発明において、「最大板厚と最小板厚の板厚差」は、レーザー式厚み測定装置を用いて、ガラス基板の任意の一辺に板厚方向からレーザーを走査することにより、ガラス基板の最大板厚と最小板厚を測定した上で、最大板厚の値から最小板厚の値を減じた値を指す。
本発明の平面画像表示装置用ガラス基板において、うねりは、0.1μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.03μm未満が更に好ましく、0.01μm以下が最も好ましい。さらに、理想的には、実質的にうねりが存在しないことが望ましい。近年、平面画像表示装置の大画面化や高精細化が進んでいる。平面画像表示装置の画面サイズが大きくなると、ガラス基板にうねりが存在した場合、平面画像表示装置の映像品位が損なわれる虞がある。したがって、うねりが0.1μmより大きいと、近年の平面画像表示装置の大画面化、高精細化の要請を満たすことが困難になる。なお、本発明において、「うねり」は、触針式の表面形状測定装置を用いて、JIS B−0610に記載のWCA(ろ波中心線うねり)を測定した値であり、この測定は、SEMI STD D15−1296「FPDガラス基板の表面うねりの測定方法」に準拠した方法で測定し、測定時のカットオフは0.8〜8mm、ガラス基板の引き出し方向に対して垂直な方向に300mmの長さで測定したものである。
本発明の平面画像表示装置用ガラス基板において、目標板厚に対する誤差は10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。ガラス基板の目標板厚に対する誤差が10μmより大きいと、ゲート電極等のパターニングを精度良く行うことができなくなり、所定の条件で高品質の平面画像表示装置を安定して製造することが困難となる。なお、本発明において、「目標板厚に対する誤差」は、目標板厚から上記方法で得られる最大板厚または最小板厚の値を減じた値の絶対値のうち、大きな方の値を指す。
本発明の平面画像表示装置用ガラス基板において、比ヤング率(ヤング率を密度で割った値)は25GPa/g・cm-3以上が好ましく、26GPa/g・cm-3以上がより好ましく、26.5GPa/g・cm-3以上が更に好ましい。比ヤング率が25GPa/g・cm-3以上であれば、大型で薄肉のガラス基板、具体的には、ガラス基板の縦寸法が500mm以上、横寸法が600mm以上、厚みが0.7mm以下であっても、問題が生じない程度のたわみ量に抑えることができる。なお、ヤング率は、周知の共振法で測定した値を使用する。
本発明の平面画像表示装置用ガラス基板において、基板ガラスのサイズは、32インチ以上が好ましく、36インチ以上がより好ましく、40インチ以上が更に好ましい。基板ガラスのサイズが大きくなる程、基板ガラスに求められる表面品位が厳しくなることに加えて、基板ガラスの成形が困難となるため、本発明が奏する効果を的確に享受することができる。
本発明の平面画像表示装置用ガラス基板において、平面画像表示装置はFEDであることが好ましい。本発明の平面画像表示装置用ガラス基板は、FEDが要求する特性を満足しているため、本用途に好適に使用することができる。特に、本発明の平面画像表示装置用ガラス基板は、オーバーフローダウンドロー法で成形することができるため、ガラス基板の表面品位を向上させることができるだけでなく、熱膨張係数等の特性も同時に充足するため、本用途に好適に使用することが可能となる。
本発明の平面画像表示装置用ガラスは、所望のガラス組成となるように調合したガラス原料を連続溶融炉に投入し、ガラス原料を加熱溶融し、脱泡した後、成形装置に供給した上で溶融ガラスを板状に成形し、徐冷することにより製造することができる。
表面品位が良好なガラス基板を製造する観点から、オーバーフローダウンドロー法で板状に成形することが好ましい。その理由は、オーバーフローダウンドロー法の場合、ガラス基板の表面となるべき面は桶状耐火物に接触せず、自由表面の状態で成形されることにより、無研磨で表面品位が良好なガラス基板を成形できるからである。ここで、オーバーフローダウンドロー法は、溶融状態のガラスを耐熱性の桶状構造物の両側から溢れさせて、溢れた溶融ガラスを桶状構造物の下端で合流させながら、下方に延伸成形してガラス基板を製造する方法である。桶状構造物の構造や材質は、ガラス基板の寸法や表面精度を所望の状態とし、平面画像表示装置用ガラス基板用途で使用できる品位を実現できるものであれば、特に限定されない。また、下方への延伸成形を行うためにガラス基板に対してどのような方法で力を印加するものであってもよい。例えば、充分に大きい幅を有する耐熱性ロールをガラス基板に接触させた状態で回転させて延伸する方法を採用してもよいし、複数の対になった耐熱性ロールをガラス基板の端面近傍のみに接触させて延伸する方法を採用してもよい。本発明の平面画像表示装置用ガラスは、耐失透性が優れるとともに、成形に適した粘度特性を有しているため、オーバーフローダウンドロー法による成形を精度よく実行することができる。
本発明の平面画像表示装置用ガラス基板の製造方法は、オーバーフローダウンドロー法以外にも、種々の方法を採用することができる。例えば、フロート法、スロットダウンドロー法、リドロー法、ロールアウト法等の様々な成形方法を採用することができる。安価でガラス基板を製造する観点から、フロート法で板状に成形することが好ましい。その理由は、フロート法の場合、比較的安価に大型の板ガラスを得やすいためである。
以下、本発明を実施例の基づいて説明する。
表1〜5において、試料No.7、18、19、21〜24は本発明の実施例を示しており、試料No.1〜6、8〜17、20は、参考例を示しており、試料No.25は本発明の比較例を示している。
各試料は、次のようにして作製した。
まず表1〜5の組成となるように各種ガラス原料を調合した。これらの原料を、白金ポットを用いて1580℃で5.5時間溶融した。その後、溶融ガラスをカーボン板の上に流し出して板状に成形し、各種の評価に供した。
このようにして作製した各試料について、密度、熱膨張係数、歪点、液相温度、液相粘度、高温粘度を測定した。また、実施例No.21〜24の試料については、ヤング率を測定した。結果を表1〜5に示す。

密度は、周知のアルキメデス法によって測定した。
熱膨張係数は、ディラトメーターを用いて、30〜380℃における平均熱膨張係数を測定したものである。
歪点は、ASTM C336−71に準拠した方法により測定した。
液相温度の測定は、ガラスを粉砕し、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れ、温度勾配炉中に48時間保持して、結晶の析出する温度を測定したものである。液相粘度は、液相温度における各ガラスの粘度を周知の白金引き上げ法で測定した。
高温粘度102.5dPa・sに相当する温度は、周知の白金球引き上げ法で測定した。
ヤング率は、共振法によって測定した。
表1〜5から明らかなように、試料No.1〜24は、密度が2.83〜2.89g/cm3、熱膨張係数が67〜78×10-7/℃、歪点が605〜660℃、液相温度が950〜1200℃、液相粘度が104.5〜106.4、高温粘度102.5dPa・sに相当する温度が1510〜1650℃であり、いずれの試料も密度が3.0g/cm3以下、熱膨張係数も50〜90×10-7/℃の範囲内であり、歪点が590℃以上、液相温度が1200℃以下、液相粘度が104.5dPa・s以上、高温粘度102.5dPa・sに相当する温度が1650℃以下であった。
表5から明らかなように、試料No.25は歪点が510℃と低く、耐熱性が乏しかった。
本発明の平面画像表示用ガラスは、FEDに用いるガラス基板に要求される上記特性(1)〜(4)を満たすことができるとともに、耐失透性が良好であり、しかもオーバーフローダウンドロー法等に好適なガラスを得ることができることにより、ガラス基板の表面品位を向上させることが可能となる。その結果、ガラス基板の表面に精度が高いフォトリソグラフィーを行うことが可能となり、電子源の電子放出特性を安定に保持することが可能となる。さらに、本発明の平面画像表示装置用ガラス基板は、精度の高いフォトリソグラフィーを行うことができるため、精度が高い回路パターンを形成することが可能となり、平面画像表示装置の信頼性確保(例えば、断線、ショートの発生確率を低減できること等)に寄与することができる。
本発明は、平面画像表示装置がFEDの場合について詳述したが、本発明の平面画像表示装置用ガラスは、当然のことながらFED用途に限られるものではなく、例えば、TFT−LCD、STN−LCD、プラズマアシスト液晶ディスプレイ(PALC)、PDP、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL)等の各種用途に好適に使用することが可能である。
FEDの構造概略説明図である。
符号の説明
1 スペーサー
2 ゲートライン
3 背面板
4 エミッタライン
5 電子放出素子
6 ブラックマトリックス
7 蛍光体
8 前面板

Claims (12)

  1. ガラス組成として、質量%でSiO2 45〜70%、Al233〜20%、B23 0〜10%、MgO 0〜10%、CaO 0〜1%(但し1%を除く)、SrO 0〜17%、BaO 0〜17%、Na2O 0〜10%、K2O 0〜10%、ZrO2 0.01〜8%を含有し、
    (MgO+CaO)/(SrO+BaO)の値が0〜0.1であり、
    モル分率でAl 2 3 /BaOの値が0.1〜1.12であり、
    30〜380℃における熱膨張係数が50〜90×10-7/℃であることを特徴とする平面画像表示装置用ガラス。
  2. ガラス組成として、質量%でSiO2 50〜60%、Al235〜10%、B23 0〜5%、MgO 0〜5%、CaO 0〜1%(但し1%を除く)、SrO 5〜12.5%、BaO 9〜14%、Na2O 0〜5%、K2O 3〜6%、ZrO2 1〜4%を含有し、
    (MgO+CaO)/(SrO+BaO)の値が0〜0.1であり、
    モル分率でAl 2 3 /BaOの値が0.1〜1.12であり、
    30〜380℃における熱膨張係数が65〜80×10-7/℃であることを特徴とする請求項1に記載の平面画像表示装置用ガラス。
  3. ガラス組成として、質量%でSiO2 55〜58%、Al237〜10%、B23 0〜2%、MgO 0〜3%、CaO 0〜1%(但し1%を除く)、SrO 7〜10.5%、BaO 11.5〜14%、Na2O 1〜5%、K2O 3〜6%、ZrO2 2.5〜4%を含有し、
    (MgO+CaO)/(SrO+BaO)の値が0〜0.1であり、
    モル分率でAl 2 3 /BaOの値が0.1〜1.12であり、
    30〜380℃における熱膨張係数が65〜75×10-7/℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の平面画像表示装置用ガラス。
  4. モル分率でNa2O/K2Oの値が0〜2であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の平面画像表示装置用ガラス。
  5. 液相温度が1200℃以下および/または液相粘度が104.5dPa・s以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の平面画像表示装置用ガラス。
  6. 密度が3.0g/cm3以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の平面画像表示装置用ガラス。
  7. 歪点が590℃以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の平面画像表示装置用ガラス。
  8. 高温粘度102.5dPa・sに相当する温度が1650℃以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の平面画像表示装置用ガラス。
  9. 平面画像表示装置がフィールドエミッションディスプレイであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の平面画像表示装置用ガラス。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の平面画像表示装置用ガラスから構成されることを特徴とする平面画像表示装置用ガラス基板。
  11. 平面画像表示装置がフィールドエミッションディスプレイであることを特徴とする請求項10に記載の平面画像表示装置用ガラス基板。
  12. 請求項10または11に記載の平面画像表示装置用ガラス基板の製造方法であって、
    ガラス基板の成形方法がオーバーフローダウンドロー法であることを特徴する平面画像表示装置用ガラス基板の製造方法。
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