JP5044775B2 - 糖尿病性腎症の治療用医薬組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、糖尿病性腎症の治療または予防用医薬組成物に関する。具体的には、本発明の医薬組成物は、3−(2−メチルカルボキシメチル)−6−メトキシ−8−ヒドロキシイソクマリン(以下「NM−3」とも称する)またはその誘導体を有効成分として含むことを特徴とする。
2型糖尿病の発症率は世界的に増加しており、30〜40%の患者にて糖尿病性腎症を発症する。現在、我が国において維持透析患者の原因疾患では、糖尿病性腎症が最多であり、糖尿病性腎症の進展機序の解明および新たな治療法の開発は重要な課題である。
糖尿病性腎症では、早期に糸球体過剰濾過・糸球体肥大、引き続いて糸球体基底膜の肥厚・メサンギウム基質の増加や尿中アルブミン排泄増加が認められ、最終的には糸球体硬化に到る(非特許文献1)。腎症早期の段階で、糸球体係蹄数の増加・既存の血管の伸長等の血管新生様の現象が認められる。1型及び2型糖尿病の進展にTGF−β1,IGF−1等の種々の増殖因子が関与するが、血管新生促進因子である血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor :VEGF) の関与も報告された。
血管新生の進展過程では、最初に血管基底膜がMMP−2,9等のプロテアーゼにより分解される。次に血管内皮細胞が血管外に遊走・増殖する。この過程でVEGF,塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF),アンギオポエチン(angiopoietin)−2等の因子が関与する。次に、血管内皮細胞が管腔を形成し間葉系細胞が付着する。その後、アンギオポエチン−1の作用により間葉系細胞が周皮細胞(pericyte)に分化し、新生血管が安定化する。
ストレプトゾトシン(streptozotocin)誘発糖尿病性腎症ラットモデル(1型糖尿病モデル)にてVEGF発現が早期(3週)にて糸球体上皮細胞(podocyte)で増加し、進展期(83週)においてVEGF受容体のflk−1が糸球体内皮細胞にて増加することが報告された(非特許文献2)。一方、2型糖尿病モデルのOLETFラットでは9,20,68週にてすなわち早期及び進展期にてVEGFの糸球体での発現が増加した。そして、angiotensin変換酵素阻害剤投与にてVEGF発現が抑制された(非特許文献3)。また、streptozotocin誘発糖尿病性腎症ラットモデルおよびdb/dbマウス(2型糖尿病モデル)にて中和型抗VEGF抗体投与により、糸球体過剰濾過、糸球体肥大、アルブミン尿ならびに進展期のメサンギウム基質増加が有意に抑制された(非特許文献4、5)。また、抗VEGF抗体を有効成分として含む糖尿病性腎症診断剤も報告されている(特許文献1)。また、糖尿病性腎症において糸球体係蹄(毛細血管)数の増加、糸球体毛細血管の伸長により糸球体濾過表面積の増加がおこることが糖尿病性腎症ラットモデルにて報告された(非特許文献6)。
サイトゲニン(Cytogenin;8-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-6-メトキシイソクマリン)はストレプトベルチシリウム・ユーロシジカム(Streptoverticillium eurocidicum)の培養濾液より分離された物質であるが、関節炎モデルにおける治療効果・抗血管新生作用をもつ。サイトゲニンは生体内で速やかに代謝されるが、その類似合成物質であるNM−3は、経口投与可能でサイトゲニンに比して安定である。NM−3はマウスdorsal air sac systemを用いた実験系で抗血管新生活性をもつことが報告された(非特許文献7)。II型コラーゲン誘発関節炎マウスモデルにおいて、NM−3経口投与による関節炎すなわち浮腫等の炎症性変化並びに骨破壊の抑制効果が報告されている(非特許文献8)。NM−3はヒト臍帯静脈内皮細胞の増殖・遊走を抑制し、発芽的血管新生・管腔形成を抑制し、腫瘍内血管新生を抑制する作用がある(非特許文献9)。また、NM−3と抗癌化学療法剤パクリタキセル(paclitaxel)との併用による相乗的抗腫瘍効果がヒト乳癌モデルマウスを用いて報告されている(非特許文献9)。また、放射線療法との併用による抗腫瘍効果も報告されている(非特許文献10)。最近、デキサメサゾン誘発ヒト多発性骨髄腫細胞のアポトーシスをNM−3が促進する作用が報告された(非特許文献11)。以前、米国ILEX Oncology社が固形腫瘍患者を対照とした第一相臨床試験を行った。経口投与にて150−2000mg/mを投与されているが、毒性は認めず一部患者にて進行抑制効果を認めた(非特許文献12)。また、経口投与時の半減期は6時間で、組織への移行も良好であった(非特許文献13)。
特開平08−245424号公報 Makino,H.ら,Diabetes,45:488−495(1996) Cooper,M.E.ら,Diabetes,48:2229(1999) Tsuchida,K.ら,Diabetologia,42:579(1999) De Vriese,A.S.ら,J Am Soc Nephrol,12:993(2001) Flyvbjerg,A.ら,Diabetes,51:3090(2003) Nyengaard,J.R.ら,Diabetologia,36:189(1993) Nakashima,T.ら,J Antibiot(Tokyo), 52:426−428(1999) Agata,N.ら,Res Commun Mol Pathol Pharmacol,108:297−309(2000) Reimer,C.L.ら,Cancer Res,62:789−795(2002) Salloum,R.M.ら,Cancer Res,60:6958−6963(2000) Agata,N.ら,Cancer Res,64:8512−8516(2004) Soulie,P.ら,Proc Am Soc Clin Oncol,22:194(abstr)(2003) Bonate,P.L.ら,Proc Am Soc Clin Oncol,22:134(abstr)(2003)
糖尿病患者の著しい増加に伴い、糖尿病性腎症の進展機序の解明および有効な治療法の開発が緊急の課題である。腎症へのVEGFの関与が報告されているが、複雑な生体系でこの特定の因子のみが疾患に関わるとは考え難い。一方、NM−3については、これまで抗癌剤としての使用例はあるが、糖尿病性腎症に有効であるかどうかは不明であった。これまでに、糖尿病性腎症の治療を目的とした、NM−3の糸球体内皮細胞への作用や腎における血管新生誘導因子もしくは制御因子発現への作用に関する検討はなされていなかった。
本発明は、糖尿病性腎症の治療に有効な薬剤を提供することを目的とする。
本発明は、以下の特徴を有する。
すなわち、本発明は、下記の式1:
Figure 0005044775
によって表される3−(2−メチルカルボキシメチル)−6−メトキシ−8−ヒドロキシイソクマリン、あるいはプロドラッグとしてのその誘導体、を有効成分として含む糖尿病性腎症の治療または予防用医薬組成物を提供する。
第1の実施形態において、上記式1の化合物が、光学活性体である。
第2の実施形態において、前記式1の化合物が、ラセミ体である。
第3の実施形態において、前記式1の化合物が、エナンチオマーの混合物である。
第4の実施形態において、前記誘導体が、式1の化合物の塩、エステル化物、アミド化物またはアシル化物である。
本発明は、糖尿病性腎症の予防または治療に有効である。
本発明は、上記のとおり、糖尿病性腎症の治療または予防に有効な医薬組成物を提供する。その治療または予防に有効な成分は、NM−3、またはプロドラッグとしてのその誘導体、である。
糖尿病性腎症は、早期に糸球体過剰濾過、糸球体肥大、それに続いて糸球体基底膜の肥厚、メサンギウム基質の増加、尿中アルブミン排泄増加が認められ、最終的には糸球体硬化に到る疾患である。本発明のNM−3は、糖尿病性腎症の治療または予防のために有効であり、腎症を改善または緩和する作用効果を有する。具体的には、NM−3は次のような作用効果を示す。
(a)尿中アルブミン・クレアチニン比(UACR)が減少する(図1B)。
(b)クレアチニンクリアランスが低下する(図1A)。
(c)糸球体容積が減少する(図2D)。
(d)メサンギウム領域が減少する(図2E)。
(e)腎皮質における血管内皮細胞増殖因子(VEGF)およびアンギオポエチン−2蛋白質発現が抑制される(図3A,B,D)。
本発明において、糖尿病とは、インスリン不足により引き起こされるグルコース代謝異常の疾患であり、インスリン依存型糖尿病(1型)およびインスリン非依存型糖尿病(2型)の両方が含まれる。1型糖尿病は、すい臓ランゲルハンス氏島のβ細胞の破壊のためにインスリン分泌が欠乏し、インスリンの絶対的不足によって発症する疾患である。一方、2型糖尿病は、インスリン分泌異常かあるいはインスリン抵抗性のために発症する疾患である。糖尿病患者の約85〜90%が2型糖尿病に罹患しているといわれている。糖尿病患者の約30%以上の患者は合併症の1つとして糖尿病性腎症を発症する。
上記のとおり、本発明の医薬組成物は、糖尿病自体を改善するものではないが、この1型、2型糖尿病性腎症の予防または治療に有効である。
本明細書で使用する「予防」または「予防する」とは、目的の疾患の発症を抑制または阻止することを意味する。
本明細書で使用する「治療」または「治療する」とは、目的の疾患を治癒、軽減または抑制することを意味する。
本発明の医薬組成物の有効成分は、NM−3、またはプロドラッグとしてのその誘導体、であり、腎臓での血管新生抑制活性を有するものである。
本明細書で使用する「血管新生抑制活性」とは、アンギオポエチン−2/VEGF発現の抑制作用を指す。
本明細書で使用する「プロドラッグ」とは、被験者の体内に投与されたときに例えば生体内酵素または体液によってNM−3に変換されうる前駆体薬剤を意味する。本発明におけるプロドラッグは、それ自体が糖尿病性腎症に対して治療効果を示してもよいし、あるいはそのような効果を示さなくてもよいものとする。
本発明の有効成分であるNM−3は、ILEX Oncology社(テキサス、USA)から市販されており入手可能である。
NM−3は、哺乳類肉腫細胞系S−180が誘導する血管新生を抑制することは知られていた(非特許文献7)が、糖尿病性腎症の治療および予防のために有効であることは、今回本発明者らによって初めて見出された。
本発明で使用可能なNM−3は、その3位の置換基(すなわち、2−メチルカルボキシメチル基)に不斉炭素原子を含むため、光学活性体であってもよいし、あるいはエナンチオマー混合物またはラセミ体であることもできる。
エナンチオマー混合物は、NM−3の2つの光学活性エナンチオマー(すなわち、鏡像異性体)の混合物であり、そのいずれか一方の含有量が他方より多いものをいう。例えばエナンチオマーAとBの混合比は、50超:50未満、例えば60:40、70:30、80:20、90:10、95:5、98:2、99:1、あるいは逆に、50未満:50超、例えば40:60、30:70、20:80、10:90、5:95,2:98、1:99などである。また、2つのエナンチオマーが50:50の比で含まれる場合、NM−3はラセミ体であるという。糖尿病性腎症の治療または予防効果が得られるならば、いかなるエナンチオマーの混合比のエナンチオマー混合物またはラセミ体であってもよい。
本発明ではさらに、NM−3のプロドラッグ誘導体も有効成分として使用しうる。そのような誘導体は、被験者に投与されたときに、その生体内で例えば酵素的にまたは体液によって分解されてNM−3に変換されるようなものである。生体内酵素には、エステラーゼ、アミダーゼ、プロテアーゼ、アシラーゼなどが含まれる。体液には、血液、消化液(例えば胃液、膵液、腸液など)などが含まれる。
本発明の実施形態により、そのようなNM−3誘導体には、NM−3の塩、エステル化物、アミド化物またはアシル化物が含まれる。
塩には、NM−3のカルボキシル基と、製薬上許容可能な無機塩基または有機塩基との塩が含まれる。そのような塩には、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属などの金属との塩、脂肪族アミン、芳香族アミン、環状アミンなどのアミンとの塩、リジン、アルギニンなどのアミノ酸との塩などが含まれる。
エステル化物には、NM−3のカルボキシル基とアルコールとのエステル化反応によって得られるエステル類が含まれる。アルコールは、一般式R−OHを有し、ここでR基には、脂肪族基、芳香族基、脂環式基、ヘテロ環式基、またはそれらの組み合わせが含まれ、例えば、置換または未置換の、アルキル基、アルキルアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基などである。アルキル基は、分枝状または未分枝状であってもよいし、ならびに/あるいは、飽和または不飽和であってもよい。アルコールは、例えば、エタノール、プロパノール、桂皮アルコール、ベンジルアルコール、糖アルコール、グリコールなどを含む。
アミド化物には、NM−3のカルボキシル基とアミノ化合物とのアミド化反応によって得られるアミド類が含まれる。アミノ化合物は、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂環式アミン、ヘテロ環式アミン、アミノ酸(例えばリシン)、またはそれらの組み合わせが含まれ、例えば、プロピルアミン、ジエチルアミン、アミノ酸、アミノピリミジン、ベンズアミド、プリン、シクロヘキシルメチルアミンなどが挙げられる。
アシル化物には、NM−3のカルボキシル基と、例えばハロゲン化アシル化合物とのアシル化反応によって得られるものが含まれる。アシル化物は、−CO−O−CO−Rの構造を含む。R基は、脂肪族基、芳香族基、脂環式基、ヘテロ環式基、またはそれらの組み合わせが含まれ、例えば、置換または未置換の、アルキル基、アルキルアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基などである。アルキル基は、分枝状または未分枝状であってもよいし、ならびに/あるいは、飽和または不飽和であってもよい。ハロゲン化アシル化合物の例は、酢酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸、脂肪酸などのカルボン酸の酸ハロゲン化物、例えば酸塩化物である。
NM−3の塩、エステル化物、アミド化物またはアシル化物は、当業界で公知の化学合成技術を用いて作製することができる。
エステル化物は、適当な溶媒中、例えば酸触媒の存在下で加熱しながらNM−3とアルコールとを反応させるか、あるいはNM−3を塩化チオニルと反応させて酸塩化物を形成したのち、塩基の存在下でアルコールと反応させることによって得ることができる。
アミド化物は、適当な溶媒中、NM−3の酸塩化物または酸無水物とアミンとの反応によって得ることができる。
アシル化物は、適当な溶媒中、塩基の存在下でNM−3とカルボン酸塩化物との反応によって得ることができる。
本発明の医薬組成物は、NM−3、またはプロドラッグとしてのその誘導体、を有効成分として含み、糖尿病性腎症の治療および予防のために使用される。
本発明の医薬組成物の形態は、特に限定されないが、例えば錠剤、丸剤、顆粒剤、散剤、溶液剤、懸濁剤、座剤、カプセル剤などである。好ましい形態は、溶液剤、懸濁剤などの液剤である。これらの製剤は、当業界で一般的に知られる方法によって作製することができる。
さらに、本発明の医薬組成物は、多層被覆構造の遅延放出製剤、胃溶性もしくは腸溶性製剤などの剤型としうる。このような製剤は、例えばアルキルセルロース(例えば、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートフタレート)、アクリルポリマー(例えば、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミノアルキルメタクリレート)などのポリマーで、有効成分を含むコアを被覆することによって作製されうる。
本発明の医薬組成物は、上記の有効成分の他に、担体(賦形剤、希釈剤)を含み、必要ならば添加剤を含むことができる。添加剤には、溶解補助剤、保存剤、安定化剤、懸濁化剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、等張化剤、風味剤、着色剤、甘味剤、乳化剤などが含まれるが、これらに限定されない。このような担体および添加剤は、医薬上許容されうるものであり、当業界で慣用されるものを使用することができる。以下に、担体、溶解補助剤、安定化剤、懸濁化剤、懸濁化剤、崩壊剤、滑沢剤、乳化剤、等張化剤の具体例を記載する。
担体には、例えば、乳糖、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、オリーブ油、ゴマ油、カカオバター、エチレングリコール、水、生理食塩液、エタノール、その他常用されるものが含まれる。
溶解補助剤には、例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、その他常用されるものが含まれる。
結合剤には、例えば、ポリビニルピロリドン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、その他常用されるものが含まれる。
安定化剤には、例えば、メチオニンなどのアミノ酸類、糖類、その他常用されるものが含まれる。
懸濁化剤には、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、アルコール類、ポリソルベート80(登録商標)、その他常用されるものが含まれる。
崩壊剤には、例えば、繊維素グリコール酸カルシウム、デンプン、アルギン酸、その他常用されるものが含まれる。
滑沢剤には、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、その他常用されるものが含まれる。
乳化剤には、例えば、ショ糖界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウム、その他常用されるものが含まれる。
等張化剤には、例えば、塩化ナトリウム、その他常用されるものが含まれる。
本発明の医薬組成物中に、有効成分が例えば1〜70重量%、1〜50重量%、5〜30重量%などの量で含まれるが、有効成分量は効能の程度や患者の年齢等に応じて変えることができる。
NM−3またはその誘導体の投与量は、約150〜約2000mg/m/日であるが、これらに限定されないものとする。投与量は、患者または被験者の性別、年齢、体重、状態などに応じて変わるので、効能や副作用(毒性)の程度をも考慮しながら決定されるべきである。なお、NM−3またはその誘導体は上記の用量範囲であれば毒性がないといわれている。
投与経路は、非経口または経口投与であるが、好ましくは非経口投与、より好ましくは静脈内投与である。非経口投与には、例えば静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、局所、皮内、皮下、経粘膜、経直腸などの投与が含まれる。
本発明はさらに、糖尿病を患っている、あるいは糖尿病の兆候を示しつつある患者において、本発明のNM−3、またはプロドラッグとしてのその誘導体、を投与することを含む、患者の糖尿病性腎症を予防または治療する方法も提供する。
患者は、哺乳類、好ましくはヒトである。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって制限されないものとする。
血管新生抑制物質NM−3を2型糖尿病モデルであるdb/dbマウス(C57BL/KsJ-db Jcl; Clea Japan, Inc.)に投与し腎症進展制御効果を調べた。db/dbマウスは、食欲調節・肥満に関与するレプチン(leptin)の受容体を欠損し、肥満・高血糖・高インスリン血症を呈する。
(方法)
方法1:雌のdb/dbマウス(2型糖尿病モデル)と、対照群のdb/mマウス(C57BL/KsJ-db /+m Jcl; Clea Japan, Inc.)(正常血糖マウス)を実験に用いた。高血糖を認めた8週齢のdb/dbマウスにPBS(対照群)もしくはNM−3(150mg/kg)を連日8週間にわたり腹腔内投与した(n=6)。グループ1は正常コントロール(db/m)であり、グループ2は糖尿病群(db/db)にビヒクルバッファ(vehicle buffer)(PBS)を8週間投与した群であり、グループ3は糖尿病群(db/db)にNM−3 (150mg/kg) を8週間投与した群である。NM−3はPBSに溶解し、1回あたり100μLずつ腹腔内投与した。
方法2:腎臓、肝臓、心臓の重量、体重、血糖を測定した。24時間蓄尿にて尿中アルブミン・クレアチニン比(UACR)(治療開始2,3,4週後)、クレアチニンクリアランス(治療開始4週後)を測定した。PAS染色腎組織像にて糸球体容積、メサンギウム基質インデックスを画像解析を行い測定した。
方法3:腎皮質部からRIPA bufferを用いて蛋白を抽出し、ウエスタンブロット(western blot)を行い、VEGF,アンギオポエチン(Angiopoietin)−1,アンギオポエチン−2,アクチン(actin)の発現を検討した。統計学的解析にはScheffe’s test(StatView,Abacus Concepts社のソフトウェア)を用いた。
(結果)
投与0週目および8週目における各群のマウスの体重、血糖値および食餌量を調べた結果を表1に示す。
Figure 0005044775
表1から、体重はdb/m非糖尿病マウスに比してdb/dbマウスにて、投与0週目(week 0)及び8週目(week 8)にて増加しており、NM−3投与による影響は認めなかった。血糖値は、db/dbマウスにてdb/mマウスに比して高値であったが、NM−3投与群、およびvehicle buffer対照群にて差を認めなかった。同様に食餌量もdb/db群にて増加していた。
投与8週目における各群のマウスの血清インスリン、肝臓重量、心臓重量、腎臓重量を測定した結果を表2に示す。血清インスリンはELISA法 (モリナガ、超高感度インスリン測定キット) にて測定した。
Figure 0005044775
血清インスリンはdb/m非糖尿病マウスに比してdb/dbマウスにて8週目にて高値を示したが、NM−3投与による影響は認めなかった。肝臓重量及び腎重量は、db/dbマウスにてdb/mマウスに比して有意に高値であったが、NM−3投与群にて有意な抑制効果は認めなかった。心重量はdb/m群とdb/db群間で有意差を認めなかった。
次に、図1〜図3の結果について説明する。
図1Aから、db/db糖尿病群にて認められた24時間クレアチニンクリアランスの増加は、NM−3投与群ではvehicle buffer対照群に比して有意に抑制された。
図1Bは、一日尿中アルブミン量/クレアチニン比(UACR)を示す。UACRは、db/db糖尿病群でdb/m非糖尿病群に比して増加したが、NM−3投与群ではvehicle buffer対照群に比して増加が有意に抑制された。
上記の結果より、db/db糖尿病マウスにおける糸球体過剰濾過がNM−3投与により有意に抑制されたものと考えられた。
図2A〜Cは、腎糸球体凍結切片のPAS染色像(4週投与後、400倍)を示す。Aはdb/m、Bはvehicle buffer投与db/db群、CはNM−3投与db/db群である。糖尿病対照群(B)にて糸球体肥大・メサンギウム領域の拡大を認めたが、NM−3投与群にて(C)上記の組織学的変化が抑制された。Dに示されるように、db/db糖尿病群における糸球体容積の増加は、NM−3投与群にて有意に抑制された。Eに示されるように、db/db糖尿病群におけるメサンギウム基質indexの増加は、NM−3投与群にて有意に抑制された。
図3は、治療開始8週後のマウス腎皮質より蛋白を抽出しウエスタンブロットを行った結果を示す。Aは、VEGF、アンギオポエチン−1(Ang1)、アンギオポエチン−2(Ang2)およびアクチン(actin)の発現レベルを検討した結果である。VEGF,Ang1,Ang2の免疫ブロットを行った後に、同じ膜を用いてstripping後アクチンの免疫ブロットを行った。Bは、VEGFとactinのバンドをデンシトメトリーにて数値化し、その比を算定した結果である。db/m群を1として各群における相対的数値をグラフ化した。VEGF蛋白レベルはvehicle−db/db群においてdb/m群に比して有意に増加したが、NM−3投与群ではvehicle投与群に比して有意な抑制効果を認めた。Cに示されるように、Angiopoietin−1蛋白レベルはdb/db群においてdb/m群と差がなかった。NM−3投与群でも特に変化を認めなかった。Dに示されるように、Angiopoietin−2蛋白レベルはvehicle−db/db群においてdb/m群に比して有意に増加したが、NM−3投与群ではvehicle投与群に比して有意な抑制効果を認めた。
以上の結果から、Angiopoietin−2はVEGF存在下にて血管新生を誘導することより、NM−3投与による糖尿病性腎症における過剰の血管新生促進作用の抑制効果が示唆された。
上記の結果から、糖尿病性腎症モデルにて正常マウスに比してAngiopoietin−2発現が増加し、Angiopoietin−1/2比が低下してTie−2受容体を介した血管安定化シグナルが減少し、VEGF増加も相乗的に作用して血管透過性亢進をきたし、アルブミン尿増加に至ったと考えられた。NM−3投与にてAngiopoietin−2発現増加の抑制、VEGF発現増加の抑制作用を介してアルブミン尿増加が抑制されたと考えられた。NM−3は血管新生抑制作用を介して糖尿病性腎症における糸球体濾過面積の増加を有意に抑制し、したがって糖尿病性腎症の進展を有意に抑制し得たものと考えられた。
本発明により、これまで有効な治療法がなかった糖尿病性腎症に対して該腎症の進展を有意に抑制することが可能となった。したがって、本発明は、糖尿病性腎症の治療または予防のために有用である。
2型糖尿病db/dbマウスにNM−3(150mg/kg)を連日8週間にわたり投与したときの、A:24時間クレアチニンクリアランス(*P<0.01vs.db/mまたはvehicle−db/db,#P<0.05vs.db/m)、およびB: 一日尿中アルブミン量/クレアチニン比(UACR)(*P<0.01vs.db/mまたはvehicle−db/db,#P<0.05vs.db/m)を示す。陰性対照は正常db/mマウス、陽性対照はビヒクル(PBS)投与のdb/dbマウスである。 2型糖尿病db/dbマウスにNM−3(150mg/kg)を連日8週間にわたり投与したときの、腎糸球体のPAS染色像(4週投与後、400倍)を示す。A: db/m、B:vehicle buffer投与db/db群、C:NM−3投与db/db群。Dは、各群における%糸球体容積(*P<0.01vs.db/m,#P<0.05vs.db/m またはvehicle−db/db)、Eは、各群におけるメサンギウム基質インデックス(*P<0.01vs.db/m,#P<0.05vs.vehicle−db/db)をそれぞれ示す。 2型糖尿病db/dbマウスにNM−3(150mg/kg)を連日8週間にわたり投与したときの、治療開始8週後のマウス腎皮質から抽出した蛋白のウエスタンブロットを示す。A:VEGF、アンギオポエチン−1(Ang1)、アンギオポエチン−2(Ang2)およびアクチン(actin)の各発現レベルを示す。B:VEGF/actin比(*P<0.01vs.db/m,#P<0.05vs.db/m,**P<0.01vs.vehicle−db/db)を示す。C:Angiopoietin−1/actin比を示す。D:Angiopoietin−2/actin比(*P<0.01vs.db/m,#P<0.05vs.db/m,**P<0.01vs.vehicle−db/db)を示す。

Claims (4)

  1. 下記の式1:
    Figure 0005044775
    によって表される3−(2−メチルカルボキシメチル)−6−メトキシ−8−ヒドロキシイソクマリンまたはその塩、あるいはプロドラッグとしてのその誘導体、を有効成分として含む、ただし該誘導体が、式1の化合物における環3位のカルボキシル基によって形成されるアルキルエステルまたはアルキルアミドである、糖尿病性腎症の治療または予防用医薬組成物。
  2. 前記式1の化合物が、光学活性体である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記式1の化合物が、ラセミ体である、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 前記式1の化合物が、エナンチオマーの混合物である、請求項1に記載の医薬組成物。
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