JP4696237B2 - 糖尿病性腎症の治療用医薬組成物 - Google Patents

糖尿病性腎症の治療用医薬組成物 Download PDF

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本発明は、糖尿病性腎症の治療または予防用医薬組成物に関する。具体的には、本発明の医薬組成物は、エンドスタチン、その変異体またはその断片を有効成分として含むことを特徴とする。
2型糖尿病の発症率は世界的に増加しており、30〜40%の患者にて糖尿病性腎症を発症する。現在、我が国において維持透析患者の原因疾患では、糖尿病性腎症が最多であり、糖尿病性腎症の進展機序の解明および新たな治療法の開発は重要な課題である。
糖尿病性腎症では、早期に糸球体過剰濾過・糸球体肥大、引き続いて糸球体基底膜の肥厚・メサンギウム基質の増加や尿中アルブミン排泄増加が認められ、最終的には糸球体硬化に到る(非特許文献1)。腎症早期の段階で、糸球体係蹄数の増加・既存の血管の伸長等の血管新生様の現象が認められる。1型及び2型糖尿病の進展にTGF−β1,IGF−1等の種々の増殖因子が関与するが、血管新生促進因子である血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor :VEGF) の関与も報告された。
血管新生の進展過程では、最初に血管基底膜がMMP−2,9等のプロテアーゼにより分解される。次に血管内皮細胞が血管外に遊走・増殖する。この過程でVEGF,塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF),アンギオポエチン(Angiopoietin)−2等の因子が関与する。次に、血管内皮細胞が管腔を形成し間葉系細胞が付着する。その後、アンギオポエチン−1の作用により間葉系細胞が周皮細胞(pericyte)に分化し、新生血管が安定化する。
ストレプトゾトシン(streptozotocin)誘発糖尿病性腎症ラットモデル(1型糖尿病モデル)にてVEGF発現が早期(3週)にて糸球体上皮細胞(podocyte)で増加し、進展期(83週)においてVEGF受容体のflk−1が糸球体内皮細胞にて増加することが報告された(非特許文献2)。一方、2型糖尿病モデルのOLETFラットでは9,20,68週にてすなわち早期及び進展期にてVEGFの糸球体での発現が増加した。そして、angiotensin変換酵素阻害剤投与にてVEGF発現が抑制された(非特許文献3)。また、streptozotocin誘発糖尿病性腎症ラットモデルおよびdb/dbマウス(2型糖尿病モデル)にて中和型抗VEGF抗体投与により、糸球体過剰濾過、糸球体肥大、アルブミン尿ならびに進展期のメサンギウム基質増加が有意に抑制された(非特許文献4、5)。また、抗VEGF抗体を有効成分として含む糖尿病性腎症診断剤も報告されている(特許文献1)。
さらに、糖尿病性腎症において糸球体係蹄(毛細血管)数の増加、糸球体毛細血管の伸長により糸球体濾過表面積の増加がおこることが糖尿病性腎症ラットモデルにて報告された(非特許文献6)。
エンドスタチンはマウス血管内皮細胞種の細胞系の培養上清から分離された184アミノ酸(ヒトは183アミノ酸)から成る蛋白質である(特許文献2、3)。1994年に報告されたXVIII型コラーゲンは、N末端領域(3つのスプライス変異体をもつ)、Gly−X−Yシークエンスを繰り返すコラーゲン領域、および35kD(キロダルトン、分子量)のC末端のnoncollagenousドメイン(NC1)より構成され、エンドスタチンはXVIII型コラーゲンのNC1ドメインのC末端断片である。エンドスタチン蛋白はウシ毛細血管内皮細胞の増殖を抑制するが、血管平滑筋細胞、線維芽細胞、肺上皮細胞、Lewis肺癌細胞等の非内皮細胞の増殖抑制作用はない(非特許文献7、特許文献4)。エンドスタチンはさらに、血管内皮細胞の遊走を抑制し(非特許文献8)、アポトーシスを促進する(非特許文献9)。エンドスタチンはさらに、腫瘍において内在性の血管内皮増殖因子VEGF発現を抑制し腫瘍増殖及び血管新生を抑制する(非特許文献10、7)。
エンドスタチンは内皮細胞上のαvβ3−インテグリン(integrin)、 α5β1インテグリンに結合し、またヘパラン硫酸プロテオグリカンであるグリピカン(glypican)に低親和性にて結合する(非特許文献11)。これらの細胞膜上の受容体との結合はエンドスタチンの血管新生抑制効果において重要な役割を果たす(非特許文献11、12)。ヒトエンドスタチンペプチドは、血管内皮細胞増殖・遊走及び血管新生を抑制する(非特許文献13、特許文献5)。腫瘍以外の作用について、局所でのエンドスタチン過剰発現による網膜血管新生・網膜剥離の抑制効果(非特許文献14)、関節リウマチモデルにおける治療効果(非特許文献15)も実験レベルで報告されている。
さらにまた、固形癌患者を対照とした米国での臨床試験では、組換え型ヒトエンドスタチンを15〜240mg/m/日にて連日経静脈投与し、一部患者において治療効果を認めた(非特許文献16)。また、30〜300mg/m/日にて連日経静脈投与した場合にも有意の毒性を認めなかった(非特許文献17)。
特開平08−245424号公報 国際公開WO 97/15666 特表2002−504494 特表2002−503449 特表2002−544124 Makino H.ら,Diabetes,45:488−495(1996) Cooper,M.E.ら,Diabetes,48:2229(1999) Tsuchida,K.ら,Diabetologia,42:579(1999) De Vriese,A.S.ら,J Am Soc Nephrol,12:993(2001) Flyvbjerg,A.ら,Diabetes,51:3090(2002) Nyengaard,J.R.ら,Diabetologia,36:189(1993) O'Reilly, M.S.ら,J Cell,88:277−285(1997) Yamaguchi, N.ら,Embo J,18:4414−4423(1999) Dhanabal M.ら,J Biol Chem,274:11721−11726(1999) Hajitou A.ら,Faseb J,16:1802−1804 (2002) Karumanchi S.A.ら,Mol Cell,7:811−822(2001) Sudhakar A.ら,Proc Natl Acad Sci U S A,100:4766−4771(2003) Cattaneo M.G.ら,Exp Cell Res,283,230−236(2003) Takahashi K.ら, Faseb J,17:896−898(2003) Matsuno H.ら,J Rheumatol,29:890−895(2002) Eder J.P.ら,J Clin Oncol,20:3772−3784(2002) Thomas J.P.ら,J Clin Oncol,21:223−231(2003)
糖尿病患者の著しい増加に伴い、糖尿病性腎症の進展機序の解明および有効な治療法の開発が緊急の課題である。腎症へのVEGFの関与が報告されているが、複雑な生体系でこの特定の因子のみが疾患に関わるとは考え難い。一方、エンドスタチンはこれまで抗癌剤として使用されてきたが、糖尿病性腎症に有効であるかどうかは不明であった。これまでに、糖尿病性腎症の治療を目的とした、エンドスタチンの糸球体内皮細胞への作用や腎における血管新生誘導因子もしくは制御因子発現への作用に関する検討はなされていなかった。
本発明は、糖尿病性腎症の治療に有効な薬剤を提供することを目的とする。
本発明は、以下の特徴を有する。
すなわち、本発明は、エンドスタチン、その変異体またはその断片を有効成分として含む糖尿病性腎症の治療または予防用医薬組成物を提供する。
第1の実施形態において、本発明の変異体または断片は、腎臓において血管新生抑制活性を有するものである。
第2の実施形態において、本発明のエンドスタチン、その変異体またはその断片はヒト由来のものである。
第3の実施形態において、本発明の断片は、エンドスタチンのN末端ドメインを含むものである。
第4の実施形態において、上記N末端ドメインは、ヒトエンドスタチンのアミノ酸配列の少なくとも1位〜27位または6位〜49位の配列、あるいはそれらに対応する非ヒト哺乳類エンドスタチン由来の配列、を含むものである。
第5の実施形態において、本発明の断片は、エンドスタチンのC末端ドメインを含むものである。
第6の実施形態において、上記C末端ドメインは、ヒトエンドスタチンのアミノ酸配列の少なくとも134位〜178位の配列、あるいはそれに対応する非ヒト哺乳類エンドスタチン由来の配列、を含むものである。
第7の実施形態において、本発明の断片は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むものである。
第8の実施形態において、本発明の変異体は、エンドスタチンのアミノ酸配列中に1もしくは数個の置換、欠失および/または付加を含み、かつ腎臓において血管新生抑制活性を有するものである。
第9の実施形態において、本発明は糖尿病性腎症の早期病変に有効である。
本発明により、糖尿病性腎症の予防または治療、特にその早期病変の進行の抑制に有効である。
本発明は、上記のとおり、糖尿病性腎症の治療または予防に有効な医薬組成物を提供する。その治療または予防に有効な成分は、エンドスタチン、その変異体またはその断片である。
糖尿病性腎症は、早期に糸球体過剰濾過、糸球体肥大、それに続いて糸球体基底膜の肥厚、メサンギウム基質の増加、尿中アルブミン排泄増加が認められ、最終的には糸球体硬化に到る疾患である。本発明の有効成分は、特に早期の糖尿病性腎症に有効であり、腎症を早期の段階で改善または緩和する作用効果を有する。具体的には、次のような作用効果が示される。
(a)腎重量/体重比が減少する(図1A)。
(b)尿中アルブミン・クレアチニン比(UACR)が減少する(図2)。
(c)クレアチニンクリアランスが低下する(図1B)。
(d)糸球体容積が減少する(図3)。
(e)メサンギウム基質の蓄積及びIV型コラーゲンの蓄積が減少する(図3F、図4)。
(f)糸球体単球/マクロファージ浸潤が抑制される(図6)。
(g)糸球体におけるCD31(+)内皮細胞領域が減少する(図5)。
(h)腎皮質における血管内皮細胞増殖因子(VEGF)およびアンギオポエチン−2蛋白質発現が抑制される(図7)。
(i)Flk−1(VEGF受容体)発現が抑制される(図8)。
本発明において、糖尿病とは、インスリン不足により引き起こされるグルコース代謝異常の疾患であり、インスリン依存型糖尿病(1型)およびインスリン非依存型糖尿病(2型)の両方が含まれる。1型糖尿病は、すい臓ランゲルハンス氏島のβ細胞の破壊のためにインスリン分泌が欠乏し、インスリンの絶対的不足によって発症する疾患である。一方、2型糖尿病は、インスリン分泌異常かあるいはインスリン抵抗性のために発症する疾患である。糖尿病患者の約85〜90%が2型糖尿病に罹患しているといわれている。
糖尿病患者の約30%以上の患者は合併症の1つとして糖尿病性腎症を発症する。上記のとおり、本発明の医薬組成物は、糖尿病自体を改善するものではないが、この1型、2型糖尿病性腎症の予防または治療に有効である。
本明細書で使用する「予防」または「予防する」とは、目的の疾患の発症を抑制または阻止することを意味する。
本明細書で使用する「治療」または「治療する」とは、目的の疾患を治癒、軽減または抑制することを意味する。
本発明の医薬組成物の有効成分は、エンドスタチン、その変異体またはその断片である。この中には、エンドスタチン、その変異体またはその断片と酸または塩基との付加塩も含まれるものとする。変異体および断片は、腎臓において血管新生抑制活性を有し、かつ糖尿病性腎症の治療または予防効果を有するものである。
本明細書で使用する「血管新生抑制活性」とは、アンギオポエチン−2/VEGF発現の抑制作用を指す。
本発明で使用可能なエンドスタチンは、血管基底膜を形成するXVIII型コラーゲンのNCドメインに由来するタンパク質であり、ヒト、マウス、ネコなどの哺乳動物由来のエンドスタチンである。特にヒト、マウスおよびネコ由来のエンドスタチンはそれぞれ183アミノ酸、184アミノ酸、185アミノ酸からなり、これらのエンドスタチン間の相同率は約85%である(米国特許公開2005/0032163)。好ましいエンドスタチンはヒトエンドスタチンである。ヒトエンドスタチンのヌクレオチド、アミノ酸配列は、特表2002−504494、特表2002−503449などに記載されている。マウスエンドスタチンのヌクレオチド、アミノ酸配列は、国際公開WO97/15666にも記載されている。ネコエンドスタチンのヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、米国特許公開2005/0032163に記載されている。
エンドスタチンの変異体は、エンドスタチンのアミノ酸配列中に1以上、好ましくは1もしくは数個の置換、欠失および/または付加からなる変異を含み、かつ腎臓において血管新生抑制活性を有するものである。好ましい変異体は、ヒトエンドスタチンの変異体である。置換は、好ましくは、荷電性アミノ酸類の間、極性アミノ酸類の間、非極性アミノ酸類の間、または芳香族性アミノ酸類の間での保存的アミノ酸置換である。荷電性アミノ酸には、グルタミン酸およびアスパラギン酸からなる酸性アミノ酸、あるいは、リシン、アルギニンおよびヒスチジンからなる塩基性アミノ酸が含まれる。極性アミノ酸にはセリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、グリシンおよびシステインが含まれる。非極性アミノ酸にはアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニンなどが含まれる。芳香族アミノ酸には、フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンが含まれる。欠失、置換または付加は、エンドスタチンのアミノ酸配列において、血管新生抑制活性を損なわない部位または領域のアミノ酸の欠失、置換または付加である。例えばヒトエンドスタチンの場合、例えばそのアミノ酸配列の1〜27位、6〜49位、134〜178位を除く部位または領域での欠失、置換または付加である。
本明細書で使用する「数個」とは、2〜15、2〜10、2〜8、2〜6、2〜5、2〜4または2〜3個を意味する。
エンドスタチンの変異体は、エンドスタチン、好ましくはヒトエンドスタチンのアミノ酸配列と85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、98%以上または99%以上の%同一性を有するものである。
2つの配列間の%同一性は、数学的アルゴリズムを用いて判定し得る。アルゴリズムの例は、Karlin−Altschulアルゴリズム(Altschulら,Proc. Natl.Acad.Sci.USA87:2264−2268,1990)、その改良アルゴリズム(Altschulら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:5873−5877,1993)などである。このようなアルゴリズムは、NBLASTやXBLASTプログラム(J.Mol.Biol.215:403−410,1990) に取り入れられている。また、2つの配列間でギャップ付き整列比較を行うことによって%同一性を決定することができる(Altschulら,Nucleic Acids Res.25:3389−3402,1997)。さらにまた、BLAST等のプログラムはヌクレオチド配列やタンパク質検索のために使用できる。起源の異なるエンドスタチンのヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、GenBankなどのデータベースから検索プログラムを用いて得ることができる。
エンドスタチンまたはその変異体の断片は、エンドスタチンまたはその変異体のアミノ酸配列において少なくともN末端ドメインまたはC末端ドメイン配列を含む部分配列であり、かつ腎臓において血管新生抑制活性を有するものである。
この部分配列は、エンドスタチンのアミノ酸配列において、連続する少なくとも20アミノ酸、少なくとも30アミノ酸、少なくとも40アミノ酸、少なくとも50アミノ酸、少なくとも60アミノ酸、少なくとも70アミノ酸、少なくとも80アミノ酸、少なくとも90アミノ酸、少なくとも100アミノ酸、少なくとも110アミノ酸、少なくとも120アミノ酸、少なくとも130アミノ酸、少なくとも140アミノ酸、少なくとも150アミノ酸、少なくとも160アミノ酸、少なくとも170アミノ酸、または少なくとも180アミノ酸からなる。
好ましい断片は、ヒトエンドスタチンまたはその変異体の断片である。
ヒトエンドスタチンにおいて、N末端ドメインを含む断片は、例えばヒトエンドスタチンのアミノ酸配列の少なくとも1位〜27位または6位〜49位の配列を含むものであり、また、C末端ドメインを含む断片は、該アミノ酸配列の少なくとも134位〜178位の配列を含むものである。特に、ヒトエンドスタチン1−27断片のアミノ酸配列は、HSHRDFQPVLHLVALNSPLSGGMRGIR(配列番号1)である。
1位〜27位のアミノ酸配列を含む断片には、例えば、ヒトエンドスタチンのアミノ酸配列中の1位〜X位(ここで、X=27〜182である。)が含まれる。
6位〜49位のアミノ酸配列を含む断片には、例えば、ヒトエンドスタチンのアミノ酸配列中のX位〜X位(ここで、X=1〜6、X=49〜182である。)が含まれる。
134位〜178位のアミノ酸配列を含む断片には、例えば、ヒトエンドスタチンのアミノ酸配列中のX位〜X位(ここで、X=1〜134、X=178〜182である。)が含まれる。
ヒト以外の哺乳類のエンドスタチンの断片の例は、エンドスタチンのアミノ酸配列において、上記のヒトエンドスタチンの血管新生抑制活性のあるN末端ドメインおよびC末端ドメインに対応する領域を含む断片である。
さらにまた、エンドスタチンのアミノ酸配列中、1位〜27位、6位〜49位または134位〜178位のヒト配列あるいはこれらに対応する非ヒト哺乳類エンドスタチン由来の配列が保持されかつ血管新生抑制活性を有する限り、それ以外の部分の配列に1以上、好ましくは1もしくは数個、の配列の置換、欠失および/または付加が含まれてもよい。このような断片もまた、本発明に包含されるものとする。
本発明で使用されるエンドスタチン、その変異体およびその断片は、医薬上許容されうる有機または無機の酸あるいは塩基との塩の形態であってもよい。そのような酸および塩基は当業界で周知、慣用のものが好ましい。例えば、そのような塩には、塩酸、酢酸、硫酸、炭酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香酸などの酸との付加塩が含まれる。また、ナトリム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、アンモニア、アミン類との塩が含まれる。
本発明の医薬組成物の有効成分である、エンドスタチン、その変異体またはその断片は、当技術分野で公知の技術を用いて作製することができる。
そのような技術には、例えばDNA組換え技術、タンパク質またはペプチド合成技術、部位特異的突然変異誘発技術、PCR技術などが含まれる。
DNA組換え技術は、ヒトエンドスタチンを含む哺乳類エンドスタチンのヌクレオチド配列を適切な発現ベクターに挿入し、適切な宿主細胞に移入したのち、宿主細胞の培養によってエンドスタチンを得ることができる。発現ベクターは、原核および真核生物用のいずれのベクターも使用できる。原核生物ベクターには、例えば大腸菌、枯草菌などの細菌用のベクターが含まれる。また、真核生物ベクターには、例えば酵母、糸状菌、担子菌、昆虫細胞、単子葉もしくは双子葉植物細胞、哺乳類細胞(ヒト細胞、ヒト株化細胞を含む)動物細胞用のベクターが含まれる。
発現ベクターには、プラスミド、ウイルス、コスミドなどが含まれる。原核生物または真核生物用ベクターには、例えば、pMAL系、pTYB系ベクター(以上、第一化学薬品)、PAUR123(宝酒造)、pET系、pBAC系、pTri−Ex1ベクター(以上、Novagen, Inc.)、pCruzTM系ベクター(コスモバイオ)、pHB6、pVB6、pBX、pHM6、pVM6、pMH、pSV40/SEAP、pCMV/SEAPベクター(以上、Roche Diagnostics)、pcDNA−3、pEF、pSec、pFastBac、pDEST、pMT/V5−His(Invitrogen)、pQE30(Qiagen)、T7系ベクター(Rosenbergら, Gene (1987), 56: 125)、pEZZ(Pharmacia)、pMAL(New England Biolabs)、pCMV(Stratagene)、pCMS−EGFP(Clontech)、アグロバクテリウム系Tiプラスミド、pJB8、c2RB、CDM8、pCEV4、pME18S、pDOL(例えば日本生化学会編、新生化学実験講座2、核酸III、組換えDNA技術、東京化学同人、1992年;塚越規弘編著、生物化学実験法45、組換えタンパク質生産法、学会出版センター)などが含まれる。
ベクターには、エンドスタチンDNA配列の他に、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、開始コドン、スプライスシグナル、停止コドン、複製開始点、選択マーカー、マルチプルクローニングサイト、リボソーム結合部位などを含むことができる。
プロモーターは、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターであり、例えば、バクテリオファージλのpL、plac、ptrp、ptacなどのプロモーター、T7プロモーター、ユビキチンプロモーター、TKプロモーター、メタロチオネインプロモーター、レトロウイルス末端反復配列、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、CMVプロモーター、SV40プロモーター、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、MTプロモーター、OplE2プロモーターなどが例示される。
選択マーカーは、薬剤耐性マーカーおよび栄養要求性相補マーカーを含み、例えばアンピシリン、カナマイシン、ネオマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、G418、ハイグロマイシン、メトトレキサート、URA3などを含む。
宿主細胞は、原核細胞、例えば細菌、例えば大腸菌、枯草菌(例えばバチルス・ブレビス)、シュードモナス属細菌、ザイモモナス属細菌など、真核細胞、例えば酵母(例えばサッカロマイセス属、ピチア属など)、昆虫細胞(例えばSf9細胞)、ヒト細胞を含む哺乳類細胞(例えばHEK293細胞などのヒト胎児腎臓細胞、ヒト神経前駆細胞、BHK21細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS細胞)、双子葉もしくは単子葉細胞(例えばタバコ、トウモロコシ)などを含む。
上記の適切なベクターは、公知の形質転換又はトランスフェクション技術、例えばリン酸カルシウム法、塩化カルシウム法、DEAE−デキストラン仲介トランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーション(電気窄孔法)、マイクロインジェクションなどを用いて、上記の適切な宿主細胞、好ましくはコンピテント宿主細胞中に導入される。
形質転換またはトランスフェクションされた宿主細胞は、公知の適当な培地にて、エンドスタチンタンパク質が発現産生されるような条件下で培養され、発現産物を宿主細胞又は培養上清から回収し、必要に応じて精製プロセスにかける。
シグナルペプチドコード配列をエンドスタチン遺伝子配列にフランキングするときには、形質転換もしくはトランスフェクションされた宿主細胞を適する培地中で培養することによって、エンドスタチンが成熟形態で培地中に産生されるので、エンドスタチンを容易に回収できる。一方、シグナルペプチドコード配列を含まない場合には、宿主細胞内に蓄積されたエンドスタチンを、低張液、超音波破砕機、ダウノミル、マウントガウリンホモゲナイザー、フレンチプレスなどの手段を用いて破壊し、その上清からエンドスタチンを回収することができる。
さらに、発現に際して、HisタグやGFPなどのタグを連結した形態でエンドスタチンを発現するときには、タンパク質の精製が容易になる。そのための発現ベクターとして、例えばpQE30(Qiagen)、 pET21b(Novagen)およびpCMS−EGFP(Clontech)を使用することができる。
他の哺乳類のエンドスタチンについては、その動物組織から慣用の手法でcDNAライブラリーを作製するかあるいは市販のライブラリーを入手し、ヒトもしくはマウスエンドスタチンのヌクレオチド配列、特に相同性の高い領域の配列、をプローブとして用いるサザンハイブリダイゼーションによって目的のエンドスタチンDNAをスクリーニングし、上記の適切なベクター・宿主系でクローニングおよび発現することによってエンドスタチンを得ることができる。ハイブリダイゼーション技術は、例えば中山広樹ら著、細胞工学別冊、バイオ実験イラストレイテッド、遺伝子解析の基礎、秀潤社、1995年;松村正明ら監修、細胞工学別冊、DNAマイクロアレイと最新PCR法、秀潤社、2000年に記載されている。
プローブは、通常、標識されるが、標識の例は、放射性標識、蛍光標識(例えば、Cy3、Cy5、ローダミン、フルオレサミン、その誘導体)などである。標識化には、ニックトランスレーション、ランダムプライム法、エンドラベルなどの方法が含まれる。
スクリーニングは、低、中又は高ストリンジェント条件で行うことができる。温度、イオン強度、洗浄条件を適度に選択することによってストリンジェンシーが変わる。高ストリンジェント条件は、例えば、50%ホルムアミド、5×デンハート液、5×SSPE、0.2%SDS、42℃でのハイブリダイゼーションのあと、0.1×SSPE、0.1%SDS、65℃での洗浄からなる。低ストリンジェント条件は、例えば10%ホルムアミド、5×デンハート液、6×SSPE、0.2%SDS、42℃でのハイブリダイゼーションのあと、1×SSPE、0.2%SDS、50℃での洗浄からなる。あるいは、高ストリンジェント条件は、例えば、65℃で1×SSCまたは42℃で1×SSCおよび50%ホルムアミド、中ストリンジェント条件は、65℃で4×SSCまたは42℃で4×SSCおよび50%ホルムアミド、低ストリンジェント条件は、50℃で4×SSCまたは40℃で6×SSCおよび50%ホルムアミドである。(例えば、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY,1989)。
必要に応じて、PCRによってエンドスタチンDNAを増幅することができる。PCRは、DNAの変性、アニーリング、伸長反応からなり、変性は、二本鎖DNAを通常94℃で15秒〜1分で処理して一本鎖DNAに解離させる段階、アニーリングは、鋳型DNAにプライマーをアニーリングさせる段階であり、通常55℃、30秒〜1分の処理条件からなる段階、伸長は、プラーマーの伸長を通常72℃、30秒〜10分の条件でTaqなどの耐熱性ポリメラーゼを使用して行う段階を含み、これを1サイクルとして通常25〜40サイクル繰り返してDNA増幅行う。プライマーは通常15〜30塩基長が好ましい。PCR技術は、例えば蛋白質核酸酵素増刊、PCR法最前線(1996),41巻5号,共立出版に記載されている。
上記のようにして得られたエンドスタチンは、例えば、抽出、濃縮(例えば、限外濾過膜使用)、塩析(硫安沈殿)、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、色素吸着クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーおよびHPLCなどのクロマトグラフィーなどの慣用の技術を適宜組み合わせて精製することができる。
エンドスタチンの変異体は、例えば部位特異的突然変異誘発法、好ましくはPCRによる部位特異的突然変異誘発法によって作製することができる。簡単に説明すると、エンドスタチンをコードするヌクレオチド配列を含むクローニングベクターDNAを鋳型にして、目的の変異を導入したプライマーを用いたPCRを行い、該変異を含むエンドスタチン変異体をコードするDNAを作製することができる(MA Innis編,PCR Protocols,A Guide to Methods and Applications, Academic Press, San Diego,1990;Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY,1989)。一旦そのようなDNAを得たならば、上記のように発現ベクター/宿主系に適用して目的のエンドスタチン変異体を得ることができる。
エンドスタチンの断片の作製は、より長い鎖の場合には、エンドスタチンをコードするヌクレオチド配列を含むクローニングベクターDNAを鋳型にしたPCRを行うか、あるいはより短い鎖の場合には、自動DNA合成装置を用いて化学合成することによって行うことができる。PCRによって合成されたエンドスタチン断片をコードするDNAは、上記のように発現ベクター/宿主系に適用して目的のエンドスタチン断片を得ることができる。
本発明の医薬組成物は、上で説明したように、ヒトを含む哺乳類のエンドスタチン、その変異体またはその断片を有効成分とし、糖尿病性腎症、好ましくは早期腎症、の治療および予防のために使用される。
本発明の医薬組成物の形態は、特に限定されないが、例えば錠剤、丸剤、顆粒剤、散剤、溶液剤、懸濁剤、座剤、カプセル剤などである。好ましい形態は、溶液剤、懸濁剤などの液剤である。これらの製剤は、当業界で一般的に知られる方法によって作製することができる。
さらに、本発明の医薬組成物は、多層被覆構造の遅延放出製剤、胃溶性もしくは腸溶性製剤などの剤型としうる。このような製剤は、例えばアルキルセルロース(例えば、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートフタレート)、アクリルポリマー(例えば、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミノアルキルメタクリレート)などのポリマーで、有効成分を含むコアを被覆することによって作製されうる。
本発明の医薬組成物は、上記の有効成分の他に、担体(賦形剤、希釈剤)を含み、必要ならば添加剤を含むことができる。添加剤には、溶解補助剤、保存剤、安定化剤、懸濁化剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、等張化剤、風味剤、着色剤、甘味剤、乳化剤などが含まれるが、これらに限定されない。このような担体および添加剤は、医薬上許容されうるものであり、当業界で慣用されるものを使用することができる。以下に、担体、溶解補助剤、安定化剤、懸濁化剤、懸濁化剤、崩壊剤、滑沢剤、乳化剤、等張化剤の具体例を記載する。
担体には、例えば、乳糖、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、オリーブ油、ゴマ油、カカオバター、エチレングリコール、水、生理食塩液、エタノール、その他常用されるものが含まれる。
溶解補助剤には、例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、その他常用されるものが含まれる。
結合剤には、例えば、ポリビニルピロリドン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、その他常用されるものが含まれる。
安定化剤には、例えば、メチオニンなどのアミノ酸類、糖類、その他常用されるものが含まれる。
懸濁化剤には、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、アルコール類、ポリソルベート80(登録商標)、その他常用されるものが含まれる。
崩壊剤には、例えば、繊維素グリコール酸カルシウム、デンプン、アルギン酸、その他常用されるものが含まれる。
滑沢剤には、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、その他常用されるものが含まれる。
乳化剤には、例えば、ショ糖界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウム、その他常用されるものが含まれる。
等張化剤には、例えば、塩化ナトリウム、その他常用されるものが含まれる。
本発明の医薬組成物中に、有効成分が例えば1〜70重量%、1〜50重量%、5〜30重量%などの量で含まれるが、有効成分量は効能の程度や患者の年齢に応じて変えることができる。
有効成分の投与量は、約1〜約80mg/kg体重/日、約1〜約50mg/kg体重/日、約1〜約20mg/kg体重/日などであるが、これらに限定されないものとする。投与量は、患者または被験者の性別、年齢、体重、状態などに応じて変わるので、効能や副作用(毒性)の程度をも考慮しながら決定されるべきである。なお、毒性について、例えばヒトエンドスタチンペプチド(配列番号1)は、これまでに固形腫瘍を対象として米国にて臨床試験が実施されており、重大な副作用発生事例の報告はなく、投与時の安全性も確立されていると考えられる。また、癌治療において、組換え型ヒトエンドスタチンを30−300mg/m/日にて連日経静脈投与しても有意の毒性を認めなかったことが報告されている(Thomas J.P.ら,J Clin Oncol,21:223−231(2003))
投与経路は、非経口または経口投与であるが、好ましくは非経口投与、より好ましくは静脈内投与である。非経口投与には、例えば静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、局所、皮内、皮下、経粘膜、経直腸などの投与が含まれる。
本発明はさらに、糖尿病を患っている、あるいは糖尿病の兆候を示しつつある患者または被験者において、本発明のエンドスタチン、その変異体またはその断片を投与することを含む、患者または被験者の糖尿病性腎症を予防または治療する方法も提供する。
患者または被験者には、ヒト、ネコ、イヌ、ブタなどの哺乳類が含まれ、好ましくはヒトである。
有効成分の投与量、投与形態、投与経路は、上記と同様である。好ましい投与経路は、静脈内投与である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって制限されないものとする。
方法1:雄性C57/BL6Jマウス(Clea Japan, Inc.)を用いた。ストレプトゾトシン(streptozotocin)を腹腔内に1日おきに計3回投与し(125mg/kg体重/回)血糖が250〜400 mg/dlに至ったマウスを実験に用いた。グループ1:正常コントロール、グループ2:糖尿病群にビヒクルバファ(vehicle buffer)(PBS)を4週間投与、グループ3:糖尿病群にエンドスタチンペプチド(配列番号1;純度97%以上;分子量2995.5Da;Multiple Peptide Systems社(San Diego,CA,USA))を1mg/kg体重/日にて4週間投与、グループ4: 糖尿病群にエンドスタチンペプチドを5mg/kg体重/日にて4週間投与(n=5)。エンドスタチンペプチドはPBSに溶解し、皮下に埋め込んだ浸透圧ミニポンプ(Alzet社)にて投与した。
方法2:腎重量/体重比、血糖を測定した。24時間蓄尿にて尿中アルブミン・クレアチニン比(UACR)(治療開始2,3,4週後)、クレアチニンクリアランス(Ccr)(治療開始4週後)を測定した。PAS染色像にて糸球体容積、糸球体細胞数、メサンギウム基質インデックスを測定した。また、血管内皮細胞マーカーであるCD31免疫蛍光染色にて糸球体係蹄(毛細血管)領域を検出し、NIH imageを用いて画像解析を行った。蛍光抗体法にてIV型コラーゲン(collagen)の免疫染色を行い、糸球体内の陽性領域を画像解析にて評価した。F4/80免疫染色にて糸球体単核球/マクロファージ浸潤を評価した。
方法3:腎皮質部からRIPA bufferを用いて蛋白を抽出しウエスタンブロット(western blot)を行い、VEGF,アンギオポエチン(Angiopoietin)−1,Angiopoietin −2,Flk−1(VEGFの受容体), Tie−2(angiopoietin−1の受容体),アクチン(actin)の発現を検討した。統計解析にはScheffe’s testを用いた。
その結果、治療開始後4週の時点で、糖尿病マウスにて血糖値上昇,体重減少を認めたが、エンドスタチンペプチド投与による影響は認められなかった。腎重量/体重比は糖尿病マウス群にて非糖尿病マウス群に比して有意に増加し、エンドスタチンペプチド投与群にて抑制効果を認めた(図1A)。UACR(図2)及びCcr(図1B)は糖尿病マウス群にて非糖尿病マウス群に比して有意に高値を呈したが、エンドスタチンペプチド投与により濃度依存性に有意な抑制効果を認めた(糸球体過剰濾過の是正効果)。糸球体容積は、糖尿病マウス群にて非糖尿病マウス群に比して増加し、エンドスタチンペプチド投与により濃度依存性に有意な抑制効果を認めた(糸球体肥大の抑制効果;図3)。糖尿病群の糸球体における、メサンギウム基質の蓄積、IV型コラーゲンの蓄積がエンドスタチンペプチド投与により濃度依存性に有意に抑制された(図3F,図4)。さらに、糸球体単球マクロファージ浸潤もエンドスタチンペプチド投与により抑制された(図6)。糖尿病群の糸球体におけるCD31(+)内皮細胞領域は糖尿病群にて増加したが、エンドスタチンペプチド投与により抑制された(図5)。腎皮質におけるVEGF(図7A,7B),angiopoietin−2(図7E,F)蛋白発現は糖尿病マウス群にて非糖尿病マウス群に比して有意に増加し、エンドスタチンペプチド投与群にて有意な抑制効果を認めた。Flk−1(図8A,8B)およびTie−2(図8C,8D)発現は、エンドスタチンペプチド投与群にて有意な抑制効果を認めた。angiopoietin−1(図7C,6D)発現はグループ間での差を認めなかった。
体重は糖尿群において正常群に比して低値であったがエンドスタチンペプチド投与による影響は認めなかった。血糖値は、STZ投与糖尿病群で正常群に比して高値を示したが、エンドスタチンペプチド投与群、およびvehicle buffer対照群にて差を認めなかった。(表1)。
Figure 0004696237
以下に各図から得られる結果についてさらに説明する。
図1から、A:腎重量/体重比は、糖尿病群で正常群に比して増加したが、エンドスタチンペプチド投与群ではビヒクルバッファ(vehicle buffer)対照群に比して増加が濃度依存性に抑制され、5mg/kg投与群にて有意に抑制された。B:糖尿病群にて認められた24時間クレアチニンクリアランスの増加は、エンドスタチンペプチド投与群ではvehicle buffer対照群に比して濃度依存性に抑制され、5mg/kg投与群にて有意に抑制された。以上の結果より、糖尿病マウスにおける糸球体過剰濾過がエンドスタチンペプチドにより有意に抑制されたものと考えられた。
図2から、一日尿中アルブミン量/クレアチニン比(UACR)は、糖尿病群で正常群に比して増加したが、エンドスタチンペプチド投与群ではvehicle buffer対照群に比して増加が濃度依存性に抑制され、5mg/kg投与群にて2,3,4週の各時点で有意に抑制された。糖尿病マウスにおける糸球体過剰濾過がエンドスタチンペプチドにより有意に抑制されたものと考えられた。
図3は、糸球体のPAS染色像(4週投与後、400倍)を示す(A−D)。A:正常対照、B:vehicle buffer投与糖尿病群、C:エンドスタチンペプチド(1mg/kg)投与糖尿病群、D:エンドスタチンペプチド(5mg/kg)投与糖尿病群である。糖尿病対照群(B)にて糸球体肥大・メサンギウム領域の拡大を認めたが、エンドスタチンペプチド投与群にて上記の組織学的変化が抑制された。糖尿病群における糸球体容積の増加は、エンドスタチンペプチド投与群にて(1及び5mg/kgにて)有意に抑制された(E)。
図4は、間接蛍光抗体法にてIV型コラーゲン(collagen)の免疫染色を行い、糸球体内の陽性領域を画像解析にて評価した結果を示す(A〜D)。1型糖尿病性腎症モデルマウスに、vehicle buffer(V)(陽性対照、図B)、エンドスタチンペプチド(1 mg/kg)(E1)(図C)、エンドスタチンペプチド(5 mg/kg)(E5)(図D)をそれぞれ投与した。陰性対照は 正常マウス(N)(図A)を用いた。各実験群の4週投与後のマウスから糸球体を取り出し、凍結切片を調製し、蛍光標識抗IV型collagen抗体を用いて糸球体におけるIV型collagenの発現を蛍光顕微鏡にて観察した。その結果、糖尿病対照群(図B)にて糸球体IV型collagen蓄積が増加していたが、エンドスタチンペプチド投与群(5mg/kg投与)にて糸球体IV型collagen蓄積が有意に抑制された(図E)。
図5は、糸球体のCD31染色像(4週投与後、400倍)を示す(A〜E)。凍結切片を用いて、間接免疫蛍光抗体法によりCD31の糸球体における発現領域を蛍光顕微鏡にて観察した結果である。A:正常対照、B:vehicle buffer投与糖尿病群、C:エンドスタチンペプチド(1mg/kg)投与糖尿病群、D:エンドスタチンペプチド(5mg/kg)投与糖尿病群、E:陰性対照(正常対照を抗CD31抗体の代わりに正常IgGにて反応)である。糖尿病対照群(B)にて糸球体CD31陽性内皮細胞領域が増加していたが、エンドスタチンペプチド投与群にて(5mg/kgにて)有意に抑制された(F)。エンドスタチンペプチドによる血管新生抑制作用を介して糖尿病における糸球体CD31陽性内皮細胞領域の増加が抑制されたものと考えられた。
図6は、糸球体の単球/マクロプァージ染色像(4週投与後、F4/80抗体、400倍)を示す(A〜D)。凍結切片を用いて、酵素抗体法により単球/マクロプァージの糸球体における蓄積を観察した結果である。各切片より20個以上の糸球体を観察し、1糸球体当たりの陽性細胞数を算出した。A:正常対照、B:vehicle buffer投与糖尿病群、C:エンドスタチンペプチド(1mg/kg)投与糖尿病群、D:エンドスタチンペプチド(5mg/kg)投与糖尿病群である。矢頭はF4/80陽性細胞を示す。糖尿病対照群にて糸球体における単球/マクロプァージが増加していたが、エンドスタチンペプチド投与群にて(5mg/kgにて)有意に抑制された(E)。
図7は、ウエスタンブロット(western blot)による蛋白発現レベルの検討結果を示す。治療開始4週後のマウス腎皮質より蛋白を抽出し免疫ブロットを行った。AはVEGFおよびactinの発現レベルを示す。VEGFの免疫ブロットを行った後に、同じ膜を用いてstripping後actinの免疫ブロットを行った。BはVEGFとactinのバンドをデンシトメトリーにて数値化し、その比を算定した結果を示す。正常コントロール群を1として各群における相対的数値をグラフ化した。VEGF蛋白レベルは糖尿病群において正常コントロール群に比して有意に増加したが、エンドスタチンペプチド投与群(1及び5 mg/kg)ではビヒクル投与群に比して有意な抑制効果を認めた。Cは 同様にAngiopoietin−1の免疫ブロットの結果を示し、DはAngiopoietin−1/actin比を算定した結果である。DからAngiopoietin−1蛋白レベルは糖尿病群において正常コントロール群と差がなかった。エンドスタチンペプチド投与群でも特に変化を認めなかった。EはAngiopoietin−2 の免疫ブロットの結果を示し、FはAngiopoietin−2/ actin比を算定した結果である。Fから、Angiopoietin−2蛋白レベルは糖尿病群において正常コントロール群に比して有意に増加したが、エンドスタチンペプチド投与群(5mg/kg)では有意な抑制効果を認めた。Angiopoietin−2はVEGF存在下にて血管新生を誘導することより、エンドスタチンペプチド投与による糖尿病性腎症における過剰の血管新生の抑制効果が示唆された。また、血管透過性因子VEGF, 血管不安定化作用を持つAng−2の抑制を介して、エンドスタチンペプチドは糖尿病性腎症における単球・マクロファージ浸潤を抑制し得たものと推察された。
図8は、ウエスタンブロット(western blot)による蛋白発現レベルの検討結果を示す。治療開始4週後のマウス腎皮質より蛋白を抽出し免疫ブロットを行った。A:はFlk−1およびactinの発現レベルを示す。Flk−1の免疫ブロットを行った後に、同じ膜を用いてstripping後actinの免疫ブロットを行った。Bは、Flk−1とactinのバンドをデンシトメトリーにて数値化し、その比を算定した結果である。正常コントロール群を1として各群における相対的数値をグラフ化した。Flk−1蛋白レベルは糖尿病群において正常コントロール群に比して有意に増加したが、エンドスタチンペプチド投与群(5 mg/kg)ではビヒクル投与群に比して有意な抑制効果を認めた。Cは、Tie−2の免疫ブロットの結果を示し、DはTie−2/actin比を算定した結果である。Dから、Tie−2蛋白レベルは糖尿病群において正常コントロール群に比して低下傾向を示していた。エンドスタチンペプチド投与群で特に変化を認めなかった。Flk−1増加の抑制作用を介して、エンドスタチンペプチドによる抗血管新生・抗炎症作用が観察された可能性がある。
本発明の有効成分により、糖尿病性腎症モデルにて正常マウスに比してAngiopoietin−2発現が増加し、Angiopoietin−1/2比が低下してTie−2受容体を介した血管安定化シグナルが減少し、VEGFおよびFlk−1受容体増加も相乗的に作用して血管透過性亢進をきたし、アルブミン尿、単球/マクロファージ浸潤増加に至ったと考えられた。エンドスタチンペプチド投与にてAngiopoietin−2発現増加の抑制、VEGF発現増加の抑制作用を介してアルブミン尿、単球/マクロファージ浸潤が抑制されたと考えられた。エンドスタチンペプチドは血管新生抑制作用を介して糖尿病性腎症における糸球体濾過面積の増加を制御し得たものと考えられた。
以上の結果より、エンドスタチンペプチドは、1型糖尿病性腎症モデルを用いた上記実験の結果、エンドスタチンペプチドは、腎病変の進展を血管新生関連因子制御を介して抑制することが判明した。
今回、実験に使用したエンドスタチンペプチドは、ヒトエンドスタチンの1位〜27位の断片(配列番号1)であり、血管新生抑制活性を有するものである。それゆえ、この領域を無傷に含むヒトエンドスタチン断片または変異体もまた、糖尿病性腎症の治療または予防に対して有効である。
本発明により、これまで有効な治療法がなかった糖尿病性腎症に対して腎症の進展を有意に抑制することが可能となった。したがって、本発明は、糖尿病性腎症の治療または予防のために有用である。
1型糖尿病性腎症モデルマウスにエンドスタチンペプチド(1mg/kgまたは5mg/kg)を投与したときの、A:腎重量/体重比およびB:24時間クレアチニンクリアランスを測定した結果を示す。陰性対照は正常マウス(Non−diabetic)、陽性対照はビヒクルバッファ(vehicle buffer)PBSである。 1型糖尿病性腎症モデルマウスにエンドスタチンペプチド(1mg/kgまたは5mg/kg)を投与したときの、一日尿中アルブミン量/クレアチニン比(UACR)を示す。陰性対照は正常マウス(Non−diabetic)、陽性対照はvehicle bufferである。 1型糖尿病性腎症モデルマウスにエンドスタチンペプチド(1mg/kgまたは5mg/kg)を投与したときの、糸球体のPAS染色像(4週投与後、400倍)を示す。A: 正常対照(N)、B:vehicle buffer投与糖尿病群(V)、C:エンドスタチンペプチド(1mg/kg)投与糖尿病群(E1)、D:エンドスタチンペプチド(5mg/kg)投与糖尿病群(E5)。また、%糸球体容積を図3Eに示す。 1型糖尿病性腎症モデルマウスにエンドスタチンペプチド(1mg/kgまたは5mg/kg)を投与したときの、間接免疫蛍光抗体法による糸球体凍結切片のIV型collagen染色像(4週投与後、200倍)(A〜D)及びその定量結果(E)を示す。A:正常対照(N)、B:vehicle buffer投与糖尿病群(V)、C:エンドスタチンペプチド(1 mg/kg)投与糖尿病群(E1)、D:エンドスタチンペプチド(5 mg/kg)投与糖尿病群(E5)。 1型糖尿病性腎症モデルマウスにエンドスタチンペプチド(1mg/kgまたは5mg/kg)を投与したときの、間接免疫蛍光抗体法による糸球体凍結切片のCD31染色像(4週投与後、400倍)を示す。A:正常対照(N)、B:vehicle buffer投与糖尿病群(V)、C:エンドスタチンペプチド(1mg/kg)投与糖尿病群(E1)、D:エンドスタチンペプチド(5mg/kg)投与糖尿病群(E5)、E: 陰性対照(正常対照を抗CD31抗体の代わりに正常IgGにて反応)。また、%糸球体CD31陽性内皮細胞領域の増減を図4Fに示す。 1型糖尿病性腎症モデルマウスにエンドスタチンペプチド(1mg/kgまたは5mg/kg)を投与したときの、酵素抗体法による糸球体凍結切片の単球/マクロプァージ染色像(4週投与後、F4/80抗体、400倍)を示す。A:正常対照(N)、B:vehicle buffer投与糖尿病群(V)、C:エンドスタチンペプチド(1 mg/kg)投与糖尿病群(E1)、D:エンドスタチンペプチド(5mg/kg)投与糖尿病群(E5)。矢頭はF4/80陽性細胞を示す。また、F4/80陽性細胞数の変化を図5Eに示す。 1型糖尿病性腎症モデルマウスにエンドスタチンペプチド(1mg/kgまたは5mg/kg)を投与したときの、治療開始4週後のマウス腎皮質から抽出した蛋白のウエスタンブロットを示す。A:VEGFの発現レベル、B:VEGF/アクチン(actin)比、C:アンギオポエチン(Angiopoietin)−1の発現レベル、D:Angiopoietin−1/actin比、E:Angiopoietin−2 の発現レベル、F:Angiopoietin−2/actin比。A:また図中、Nは正常対照、Vはvehicle buffer投与糖尿病群、E1はエンドスタチンペプチド (1 mg/kg)投与糖尿病群、E5はエンドスタチンペプチド(5mg/kg)投与糖尿病群を示す。 1型糖尿病性腎症モデルマウスにエンドスタチンペプチド(1mg/kgまたは5mg/kg)を投与したときの、治療開始4週後のマウス腎皮質から抽出した蛋白のウエスタンブロットを示す。A:Flk−1およびactinの発現レベル、B:Flk−1/actin比、C:Tie−2の発現レベル、D:Tie−2/actin比。また図中、Nは正常対照、Vはvehicle buffer投与糖尿病群、E1はエンドスタチンペプチド(1mg/kg)投与糖尿病群、E5はエンドスタチンペプチド(5mg/kg)投与糖尿病群を示す。

Claims (7)

  1. ヒトエンドスタチン、その変異体またはその断片を有効成分として含み、ただし、該変異体がヒトエンドスタチンのアミノ酸配列中に1もしくは数個の置換、欠失および/または付加を含み、かつ腎臓において血管新生抑制活性を有するものであり、ならびに、該断片がヒトエンドスタチンのアミノ酸配列において連続する少なくとも20アミノ酸からなる配列を有し、かつ腎臓において血管新生抑制活性を有するものである、糖尿病性腎症の治療または予防用医薬組成物。
  2. 前記断片がエンドスタチンのN末端ドメインを含むものである請求項記載の医薬組成物。
  3. 前記N末端ドメインが、ヒトエンドスタチンのアミノ酸配列の少なくとも1位〜27位または6位〜49位の配列を含むものである請求項記載の医薬組成物。
  4. 前記断片がエンドスタチンのC末端ドメインを含むものである請求項記載の医薬組成物。
  5. 前記C末端ドメインがヒトエンドスタチンのアミノ酸配列の少なくとも134位〜178位の配列を含むものである請求項記載の医薬組成物。
  6. 前記断片が配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むものである請求項1〜のいずれか1項記載の医薬組成物。
  7. 前記糖尿病性腎症のうち早期腎症に有効である請求項1〜のいずれか1項記載の医薬組成物。
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