JP2006290810A - 糖代謝促進剤並びに肥満及び糖尿病治療薬のスクリーニング方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また近年、各種生活習慣病の原因の1つとして、肥満自体が問題になっているが、有効な肥満改善・治療薬の開発も求められている。
(1)式(I)で示される化合物を有効成分とする糖代謝促進剤。
(2)血糖降下剤として用いられる(1)の糖代謝促進剤。
(3)肥満及び/又は糖尿病の予防又は治療用である(1)の糖代謝促進剤。
(4)化合物を添加した培地中で各種細胞を培養し、該培地中の糖濃度を測定することによって、該細胞の糖代謝能を活性化させる物質を選択することを特徴とする、肥満および/又は糖尿病治療薬のスクリーニング方法。
脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜10であるが、炭素数1〜8が好ましく、炭素数1〜5がより好ましい。該脂肪族炭化水素基は直鎖でもよいし、分岐鎖を有するものでもよく、さらに、環状構造を含むものでもよい。また、1又は複数の2重結合や3重結合を含むものでもよい。R1は炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基がより好ましく、炭素数1〜8のアルキル基又はフェニル基がさらに好ましく、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基が特に好ましい。
R2は脂肪族炭化水素基又はフェニル基である。該脂肪族炭化水素基又はフェニル基において、任意の水素原子はハロゲンによって置換されていてもよい。該脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜10であるが、炭素数2〜8が好ましく、炭素数3〜7がより好ましい。該脂肪族炭化水素基は直鎖でもよいし、分岐鎖を有するものでもよく、さらに、環状構造を含むものでもよい。また、1又は複数の2重結合や3重結合を含むものでもよい。R2は炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、炭素数2〜8のアルキル基がさらに好ましく、炭素数3〜7のアルキル基が特に好ましい。
X1はハロゲンであり、具体的には塩素、臭素、ヨウ素、フッ素であり、より好ましくは塩素である。
X2はハロゲン又は水素であり、具体的には塩素、臭素、ヨウ素、フッ素又は水素であり、より好ましくは塩素又は水素である。
式(I)の化合物はまた、市販の化合物を入手することもできる。
式(I)の化合物を含有してなる医薬は、医薬製剤の製造法で一般的に用いられている公知の手段に従って、式(I)の化合物をそのままあるいは薬理学的に許容される担体と混合して、例えば、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤、(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等の医薬製剤として、経口的または非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。
式(I)の化合物の製剤中の含有量は、製剤全体の約0.01ないし約100重量%である。
式(I)の化合物の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより異なり特に制限されないが、一般的に、患者(体重60kgとして)に対して、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。
及び崩壊剤、あるいは液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤及び無痛化剤等が挙げられる。更に必要に応じ、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤等の添加物を適宜、適量用いることもできる。賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。結合剤としては、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。崩壊剤としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L−ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。溶剤としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。溶解補助剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。懸濁化剤としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、等の界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。等張化剤としては、例えばブドウ糖、 D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。緩衝剤としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。無痛化剤としては、例えばベンジルアルコール等が挙げられる。防腐剤としては、例えばパラヒドロキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。抗酸化剤としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等が挙げられる。
本発明の糖代謝促進剤はインスリンその他の糖尿病治療薬と併用してもよい。
本発明はまた、化合物を添加した培地中で各種細胞を培養し、該培地中の糖濃度を測定することによって該細胞の糖代謝能を活性化させる物質を選択することを特徴とする、肥満及び/又は糖尿病治療薬のスクリーニング方法を提供する。
スクリーニングに用いる化合物の種類は特に制限されず、例えば、低分子合成化合物であってもよいし、天然物に含まれる化合物であってもよい。また、ペプチドであってもよい。スクリーニングには個々の被検物質を用いてもよいが、これらの物質を含む化合物ライブラリーを用いてもよい。
細胞の種類は特に制限されず、培養細胞株であっても、生体から単離された細胞であってもよい。好ましくは、CHO細胞、L6細胞、3T3−L1細胞、RGM−1細胞などの培養細胞が挙げられ、特に好ましくは3T3−L1細胞が挙げられる。これらの細胞はATCC(American Type Culture Collection)より入手することが可能である。例えば、3T3−L1細胞はATCCにCL−173で登録されている。
添加する化合物の濃度は評価する化合物の活性の程度にもよるため、適宜変更されるが、一般的に1nM〜1mM、好ましくは10nM〜0.1mMである。これらの濃度範囲において化合物濃度を変化させて添加してもよい。
化合物を添加した状態で0.5〜24時間、好ましくは1〜12時間培養し、培養後の培地中の糖濃度を測定する。糖濃度は通常の方法に従って測定することができ、例えば、市販の測定器グルテストエースとグルテストセンサー(いずれも三和化学研究所)などを用いて安価(1測定は20-30円)で簡単(1測定は30秒)に測定することができる。
評価化合物を添加しない場合と比較し、添加することにより培地中の糖濃度を減少させた化合物を選択することにより、肥満及び/又は糖尿病治療薬(候補薬)を得ることができる。
(1)マウス3T3L1繊維芽細胞を適当な培地1ml中(12穴のプラスチック容器中)でコンフルエント状態になるまで数日間培養した。次に、何も加えない栄養培地(None)、DIF-1の溶剤である0.2%エタノールのみを加えた栄養培地(EtOH)、10又は20μMのDIF-1(エタノールに溶解)を加えた栄養培地で、それぞれ10-12時間ほど培養し、培地中のブドウ糖の濃度を測定し、それぞれの細胞の糖代謝の速度を計算し、コントロールに対する比で表した(図1)。その結果、DIF-1存在下では、DIF-1の濃度依存性に細胞の糖代謝速度が上がることが明らかとなった。なお、図1の値は4回の独立実験結果の平均と標準偏差である。
この結果から、DIF-1が細胞数には影響せずに(図2C)、濃度依存性に細胞の糖代謝を促進していることが分かる(図2B)。また、DIF-1の作用は可逆的であり、途中でDIF-1を除去すれば、細胞の糖代謝は元の状態に戻ることも分った(図2A)。顕微鏡による観察では、DIF-1存在下においても、細胞形状に変化はなく、目立った傷害はなかった。
実施例1と同様の条件下で、DIF-1とその人工的類似体(2-MIDIF1、DMPH、THPH)の糖代謝促進作用を比較した(図3:グラフの値は、3回の独立実験結果の平均と標準偏差である)。
興味深いことに、下記のDIF-1類似体は、ほとんど糖代謝促進作用がなく、DIF-1の糖代謝促進作用がその化学構造に特異的なものであることが分かる。また、DIF-1は、細胞内カルシウム濃度を上昇させる作用と細胞内cyclicAMPを上昇させる作用が知られているが、Tg(タプシガルギン)やA23187(共に細胞内カルシウムを上昇させる薬剤)や8-MIBMX(細胞内cyclicAMPを上昇させる薬剤)といった他の薬剤は、糖代謝を促進しない。したがって、DIF-1による糖代謝促進作用は、細胞内カルシウムやcyclicAMP上昇を介していない、新しい現象であることが示唆された。
ラット胃粘膜より単離されたRGM-1細胞という培養細胞を用いて、上記と同様の実験を行い、DIF-1又はその他の化合物存在下での培地中のグルコース濃度の変化を調べた(図3)。
この結果、RGM-1細胞においても、DIF-1が細胞数には影響せずに、DIF-1の濃度依存性に細胞の糖代謝を促進していることが分かる。また、この検定系が薬剤の糖代謝促進効果を測定するのに有効であり、また、各種培養細胞を用いて実行できる簡便法であることが分かる。
Claims (4)
- 血糖降下剤として用いられる請求項1に記載の糖代謝促進剤。
- 肥満および/又は糖尿病の予防又は治療用である請求項1に記載の糖代謝促進剤。
- 化合物を添加した培地中で細胞を培養し、該培地中の糖濃度を測定することによって、該細胞の糖代謝能を活性化させる物質を選択することを特徴とする、肥満および/又は糖尿病治療薬のスクリーニング方法。
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