JP5630751B2 - インターロイキン−2産生抑制剤 - Google Patents

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Description

本発明は、インターロイキン−2(IL-2)産生抑制剤及びそれを含む免疫抑制剤に関する。
過去数十年の間、多くの免疫抑制剤が開発され、抗炎症剤や臓器移植の際の拒絶反応を軽減させる目的で利用されてきた(非特許文献1)。免疫抑制剤の多くはリンパ球を標的としたものだが、その作用機構の違いによりいくつかのタイプに分類される。例えば、グルココルチコイドは主にIL-2やその他のメディエータの遺伝子発現を抑制することで、免疫抑制効果を発揮している。シクロホスファミド代謝物はDNA 塩基をアルキル化し、B リンパ球による免疫反応を優先的に抑制する。また、シクロスポリンA(CsA)やタクロリムス(FK506)は、T 細胞のカルシニューリン活性を抑制することで、IL-2 やその他のサイトカインの産生を抑制している。
しかし、これらの免疫抑制剤を患者に投与する場合、程度の差はあるものの常に副作用を警戒する必要がある。免疫抑制剤の種類によりその副作用も異なるがグルココルチコイドの場合、高濃度で投与すると、糖尿病、骨粗鬆症、緑内障や感染症の罹患率上昇などの副作用がある。また、CsA やFK506 は臓器移植時の拒絶反応の抑制や関節リウマチ患者における病状の進行を遅らせることなどで臨床的な効果をもたらしているが、これらの薬剤も腎機能障害や神経障害、消化器系の毒性などが臨床的に観察されており、明らかにそれらの有用性を減少させている。
今後も、従来とは作用機序の異なる薬剤、副作用の少ない薬剤の開発が待ち望まれている。
細胞性粘菌Dictyostelium discoideum(以後、粘菌)は、森の落ち葉の下などに生息する下等真核生物で、カビに良く似た子実体を形成する。しかし、粘菌とカビ(真菌)類は、進化的にかけ離れた生物群であり、本発明者らは、真菌類と同様に「粘菌類=薬剤資源(抗生物質などの宝庫)」と考え研究を進めており、実際に、いくつかの薬剤候補物質を報告してきた。
DIF-1 (differentiation-inducing factor-1)は、粘菌の柄細胞分化誘導因子として単離、同定された塩素を含む低分子化合物である。同時に単離されたDIF-3は分化誘導活性が低く、DIF-1 の分解産物であることがわかっている。
近年本発明者らは、哺乳類細胞に対する各種DIF 誘導体の薬理作用を調べ、DIF関連化合物(DIFs)に抗腫瘍活性や細胞の糖代謝を促進する活性があることを報告してきた。また、「化学構造-活性相関」の解析を行い、DIFs の有する「抗腫瘍活性」と「糖代謝促進活性」は、DIF の側鎖修飾によって分離できる可能性も示してきた(非特許文献2〜5)。
Allison, A.C. Immunosuppressive drugs: the first 50 years and a glance forward. Immunopharmacol. 47, 63-83 (2000) Biochem Biophys Res Commun. 1997 Jul 18;236(2):418-22 Cancer Res. 2004, 64, 2568-2571 Biochem. Pharmacol. 2005, 70, 676-685 FEBS Journal 2007, 274, 3392-3404
本発明は、免疫抑制剤などとして有用なIL-2産生抑制剤を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、式(I)〜(V)のいずれかで表される化合物がIL-2産生抑制作用を有することを見出した。このことから、これらの化合物が免疫抑制剤などとして有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記式(I)〜(V)のいずれかで表される化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分とするIL-2産生抑制剤に関する。
本発明はまた、前記IL-2産生抑制剤を含む免疫抑制剤に関する。
本発明はまた、IL-2産生抑制または免疫抑制のための下記式(I)〜(V)のいずれかで表される化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
本発明はまた、下記式(I)〜(V)のいずれかで表される化合物またはその薬学的に許容される塩の、IL-2産生抑制または免疫抑制の製造における使用に関する。
本発明はまた、下記式(I)〜(V)のいずれかで表される化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を含むIL-2産生抑制方法または免疫抑制方法に関する。
式(I)〜(V)で表される化合物は、哺乳類免疫系細胞の活性を調節する薬剤、あるいは、抗炎症剤、自己免疫疾患やアレルギーの治療薬、臓器移植時の拒絶反応抑制剤などとして好適に用いることができる。また、IL-2 発現やサイトカイン研究などの基礎研究用試薬としても好適に用いることができる。
各種DIF関連化合物の構造を示す図。 Jurkat細胞における、各種DIF関連化合物(それぞれ5μM)のIL-2 mRNA量(A)、IL-2 タンパク質量(B)、および細胞増殖(C)に対する効果を示す図。コントロールとして0.1% EtOH (vehicle)を、ポジティブコントロールとして1μM のCsAとFK506をそれぞれ用いた。*はp<0.05 versus 0.1% EtOH (by t-test)で有意差があることを示す。 Jurkat細胞におけるIL-2 mRNA量、IL-2 タンパク質量、および細胞増殖に対するTH-DIF-1,TM-DIF-1,Bu-DIF-3 およびCP-DIF-3の効果の濃度依存性を示す図。 Jurkat細胞におけるAP-1、NF-ATおよびNF-κBの活性に対するTH-DIF-1, TM-DIF-1,Bu-DIF-3 およびCP-DIF-3の効果の濃度依存性を示す図。 Jurkat細胞におけるINF-γ mRNA量とINF-γ タンパク質量に対するTH-DIF-1, TM-DIF-1,Bu-DIF-3 およびCP-DIF-3(それぞれ5 μM)の効果を示す図。コントロールとして0.1% EtOH (vehicle)を、ポジティブコントロールとして1μM のCsAとFK506を用いた。*はp<0.05 versus 0.1% EtOH (by t-test)で有意差があることを示す。 (A)各種DIF関連化合物(それぞれ5μM)の、K562 ヒト白血病細胞とマウス3T3-L1 細胞の増殖に対する効果を示す図。(B)各種DIF関連化合物(それぞれ5μM)の、Confluentマウス3T3-L1 細胞の糖取り込みに対する効果を示す図。CsAとFK506についても評価した。*はp<0.05 versus 0.1% EtOH (by t-test)で有意差があることを示す。 コンカナバリンA (ConA)刺激によるマウス血清中IL-2の上昇に対するTM-DIF-1の効果を示す図。グラフの値は平均値(n=4)と標準偏差(Bars)。*P<0.03 versus Control. **P<0.0001 versus Control (by ANOVA, post hoc Fisher's protected least significant difference)で、それぞれ有意差があることを示す。
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明のIL-2産生抑制剤は、式(I)〜(V)のいずれかで表される化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分とする。
Figure 0005630751
式中、R1、R2、R3は水素または炭素数1〜5のアルキル基から選ばれる同一の基を示す。XはCl、Br、Iなどのハロゲンを表し、Clがより好ましい。尚、本明細書において、アルキル基はシクロアルキル基を含む。
式(I)の化合物としては、下記の化合物が好ましい。
Figure 0005630751
Figure 0005630751
式中、R4は水素または炭素数1〜5のアルキル基を示す。XはCl、Br、Iなどのハロゲンを表し、Clがより好ましい。
式(II)の化合物としては、下記の化合物が好ましい。
Figure 0005630751
Figure 0005630751
上記式(I)〜(V)の化合物はBiochem. Pharmacol. 2005, 70, 676-685.に記載された方法によって合成することができる。
式(I)〜(V)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、IL-2産生抑制効果を有する。したがって、免疫抑制剤の有効成分として用いることができる。なお、IL-2産生抑制効果とは、IL-2の産生をmRNAレベルとタンパク質レベルの少なくとも一方において抑制する効果を意味し、少なくともタンパク質レベルにおいて産生を抑制することが好ましい。
式(I)〜(V)の化合物の薬学的に許容される塩としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。なお、式(I)〜(V)の化合物は水和物であってもよい。
式(I)〜(V)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有してなる医薬は、医薬製剤の製造法で一般的に用いられている公知の手段に従って、該化合物またはその薬学的に許容される塩を、そのまま、あるいは薬理学的に許容される担体と混合して、例えば、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤、(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等の医薬製剤として、経口的または非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。
式(I)〜(V)の化合物またはその塩のIL-2産生抑制剤または免疫抑制剤中の含有量は、製剤全体の約0.01ないし約100重量%である。
式(I)〜(V)の化合物またはその塩の投与量は、IL-2産生抑制または免疫抑制に有効な量であればよく、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより異なり特に制限されないが、一般的に、患者(体重60kgとして)に対して、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。
薬理学的に許容される担体としては、例えば固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤、あるいは液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤及び無痛化剤等が挙げられる。更に必要に応じ、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤等の添加物を適宜、適量用いることもできる。賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。結合剤としては、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。崩壊剤としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L−ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。溶剤としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。溶解補助剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。懸濁化剤としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、等の界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。等張化剤としては、例えばブドウ糖、 D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。緩衝剤としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。無痛化剤としては、例えばベンジルアルコール等が挙げられる。防腐剤としては、例えばパラヒドロキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。抗酸化剤としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等が挙げられる。
なお、本発明の免疫抑制剤はその他の薬剤と併用してもよい。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
1)Jurkat 細胞におけるIL-2 産生に対する各種DIF誘導体(DIFs)の効果
一連の実験では、Jurkat 細胞(T 細胞のモデル細胞)のin vitro 培養系を用いた。12 wellプラスチックプレートのそれぞれのwell中に、10%の牛胎児血清を含むRPMI1640培地に懸濁したJurkat細胞を1 mL(106 cells/mL)ずつ分注する。そこにvehicle (0.1% EtOH:Control)あるいはDIFs(それぞれ5μM)を加え、30分後、ConA (コンカナバリンA:25μg/mL)を添加し、3時間後のIL-2 mRNA 発現量と、12時間後のIL-2 タンパク質産生量(培地中に分泌されたIL-2量)を調べた(図2)。ポジティブコントロールとして1μM のCsAとFK506を用いた。なお、IL-2 タンパク質産生は抗IL-2抗体を用いたELISA法、IL-2 mRNA 発現はReal Time RT-PCR法により測定した。
その結果、いくつかの誘導体がIL-2 産生を阻害することが明らかとなった(図2A、B)。
さらに、IL-2 産生をよく阻害するDIF 誘導体TH-DIF-1, TM-DIF-1,Bu-DIF-3 およびCP-DIF-3 を用いて、詳細な検討をした(図3)。その結果、これらの誘導体は濃度依存的にIL-2 産生を阻害することが明らかとなった。
同時に、ConA添加12時間後のcell viability に対する各化合物の効果をMTT 法によって検討したが、5 μMのDIFs の細胞毒性はほとんど見られなかった(図2C)。
これらの結果は、DIF 誘導体がIL-2 産生制御剤として、基礎研究に利用できる可能性、さらには免疫抑制剤として臨床応用できる可能性を示唆している。
2)AP-1, NFκB, NFAT 活性に対するDIFs の効果
ConAは、Jurkat細胞表面のT-cell receptorに結合し、細胞内の各種酵素活性を調節し、最終的に転写制御因子であるAP-1, NFκB, NFATを活性化することによってIL-2発現を制御していると考えられている。そこで、DIFs の作用機序を明らかにするために、AP-1, NFκB, NFAT活性に対するDIFs の効果を検討した。それぞれの因子が結合するpromoter 領域にレポーター(ルシフェレース)遺伝子をつないだベクターをJurkat 細胞に導入し、DIFs(それぞれ5 μM)の存在下、非存在下でConA で刺激後、それぞれの細胞のルシフェレース活性を測定した。さらに、TH-DIF-1, TMDIF-1, Bu-DIF-3 とCP-DIF-3を用いて、詳細な検討をした(図4)。
その結果、TH-DIF-1 やTM-DIF-1 はAP-1 とNFAT を阻害し、Bu-DIF-3 やCP-DIF-3 は、NFAT とNFkB 活性を阻害することが明らかとなった。これらの結果は、DIFs によるIL-2 発現制御の機序には複数の作用点があることが示唆している。
3)IFN-γ 発現に対するDIFs の効果(図5)
次に、Jurkat 細胞における(ConA 刺激による)Interferon-γ (IFN-γ) mRNAとタンパク質発現に対するDIFsの効果を調べた。細胞を5 μM DIFs存在下で30分培養し、さらにConAを添加し3時間後のIFN-γ mRNA発現量と、12時間後のIFN-γタンパク質量(培地中に分泌されたIFN-γタンパク質量)を調べた。コントロールとして0.1% EtOH (vehicle)を、ポジティブコントロールとして1μM のCsAとFK506を用いた。なお、IFN-γタンパク質産生は抗IFN-γ抗体を用いたELISA法、IFN-γmRNA 発現はReal Time RT-PCR法により測定した。
その結果、既知の免疫抑制剤であるCsA やFK506 (1 μM)がIFN-γ mRNA とタンパク質の発現をよく抑制したのに対して、DIF 誘導体の作用は小さかった。この結果は、IL-2 発現を比較的特異的に制御できる因子、さらにはより副作用の少ない免疫制御因子として、DIF 誘導体を利用できる可能性を示唆している。
4)K562 ヒト白血病細胞とマウス3T3-L1 細胞に対するDIFs の効果(図6)
前述のように、DIF 誘導体には、抗腫瘍活性(Kubohara, 1999; Shimizu etal. 2004; Gokan et al. 2005;etc.)と糖代謝促進活性(Omata et al. 2007; Kubohara et al. 2008)を有するものがある。そこで、DIFs の化学構造とそれらの薬理活性と本発明のIL-2 発現制御活性の相関を検討した。
まず、K562細胞、あるいは3T3-L1細胞を0.1% EtOH, 1μM CsA, 1μM FK506, あるいは5μM DIFs存在下で3日間培養後の細胞数を測定、比較した。その結果、TH-DIF-1, TM-DIF-1 は、K562 細胞や3T3-L1 細胞(正常細胞のモデル)の増殖にはほとんど影響しないこと、Bu-DIF-3, CP-DIF-3はK562 細胞の増殖をある程度阻害すること等が明らかとなった(図6A)。
また、confluent な状態の3T3-L1 細胞を、0.1% EtOH, 1μM CsA, 1μM FK506, あるいは5μM DIFs存在下で数時間培養し、細胞の糖消費量を測定した。その結果、細胞の糖代謝に対する影響は、TM-DIF-1 の活性もやや高いが、その他のDIFs の効果は程度の差はあるが総じて小さかった(図6B)。さらに、既知免疫抑制剤CsA が若干の細胞増殖抑制作用と糖代謝抑制作用を示すことも明らかとなった。
これらの結果から、既知の2つの作用機序と本発明IL-2 発現制御機序は少なくとも一部異なる可能性が示された。特に、TH-DIF-1 は高いIL-2 発現抑制活性のみが確認されており、特異的IL-2 発現抑制剤、さらには副作用の少ない免疫抑制剤の候補物質、リード化合物として特に期待できる。
5)コンカナバリンA (ConA)刺激によるマウス血清中IL-2の上昇に対するTM-DIF-1の効果
Control群およびTM-DIF-1群のマウス(それぞれn = 4)に、5 mL/kgのVehicleとTM-DIF-1 (10 mg/kg)を静脈内投与し、その15分後にConA(200 μg/個体)を静脈内に投与した。
IL-2抑制のポジティブコントロールとしてFK506を用いた。FK506群のマウス(n = 4)は、FK506(50 mg/kg)を経口投与し、120分後にConA(200 μg/個体)を静脈内に投与した。
そして、Control群、TM-DIF-1群およびFK506群について、ConA刺激4時間後に全採血し、血清中のIL-2濃度を測定した。
その結果、TM-DIF-1が有意にConA刺激によるIL-2上昇を抑制した。なお、TM-DIF-1投与に伴う急性毒性やマウスの行動異常等は特に観察されなかった。

Claims (2)

  1. 記のいずれかで表される化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分とするインターロイキン−2産生抑制剤。
    Figure 0005630751
  2. 記のいずれかで表される化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分とする免疫抑制剤。
    Figure 0005630751
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