JP5041000B2 - ネジ締め装置 - Google Patents

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Description

本発明は、一般に、ネジを締め付けるネジ締め装置に係り、特に、ネジを真空吸着するネジ締め装置に関する。
技術背景
近年、スリーブの吸着孔に吸着してネジ締め箇所まで搬送し、スリーブに収納されているビットでネジを締め付けるネジ締め装置が提案されている。ネジ締めにおいては、発塵を防止することが重要である。例えば、ハードディスク装置(Hard Disk Drive:HDD)のディスクを固定するクランプリングのネジ締めにおいては、塵埃がディスクを傷つけて記録再生を不能にする場合がある。また、電子機器の回路基板上に金属磨耗粉が落下すれば短絡する可能性もある。
従来、図10に示すように、スリーブ20の真空吸着孔22がネジ10のネジ頭12の径よりも大きく、ネジ10のネジ頭12を真空吸着孔22内で吸着保持するネジ締め装置が知られている(特許文献1参照。)ネジ10のリセス13にはビット30が係合する。真空吸着孔22は吸引プラグ40から真空引きされる。
また、スリーブの吸着孔がネジ頭の径よりも小さく、ネジ頭の上面の一部を真空吸着するネジ締め装置も知られている(特許文献2参照。)
更に、図11に示すように、スリーブ5の外径がネジSのネジ頭の径よりも小さく、ネジ頭上面の一部を磁化部材3により磁気吸着するネジ締め装置1も知られている(特許文献3参照)。ビット2の先端2aがネジSのリセスに嵌合し、ビット2に設けられたピン6がスリーブ5の溝5aに嵌合する。4は付勢用磁化部材である。
その他の従来技術としては特許文献4がある。
特開平2−237775号公報(第3頁左上欄第2段落、第1図) 特開2001−121440号公報(段落0048、図6) 特開2001−71277号公報(図1、図3、要約) 実開平9−131668号公報
特許文献3のような磁気吸着は非磁性ネジを使用することができないため、ネジの種類が限定されてしまう。このため、真空吸着が好ましい。しかし、従来の真空吸着では発塵の問題があった。
図12は、図10に示す特許文献1に記載されたネジ締め装置において、ネジ10を真空吸着しているスリーブ20の部分拡大断面図である。同図に示すように、ネジ10はスリーブ20の吸着孔22にZ方向に真空吸着された状態で、ビット30がネジ10のネジ頭12のリセス13に係合して回転する。ビット30は回転するが、スリーブ20は固定であるため、ネジ10のネジ頭12の側面18は、スリーブ20と接触しやすい状態でビット30により回転される。この結果、回転中に側面18が磨耗して磨耗粉を発生し易い。
一方、磁気吸着に係る特許文献3においては、ビット2とスリーブ5とをピン6と溝5aを介して結合して一体として回転している。この結果、ネジSとスリーブ5とは相対移動しないので磨耗粉が発生しない。しかし、かかる構造を図10に示す真空吸着に適用する場合、ビット30をスリーブ20と共に回転させようとすると、吸引プラグ40がスリーブ20に固定されているから吸引プラグ40も回転することになる。しかし、吸引プラグ40には図示しない真空引き用のホースや配管が取り付けられるため、回転させることはできない。また、スリーブ50はスリーブ20と一体なので一回転できない。
本発明は、ネジを真空吸着すると共に発塵を防止するネジ締め装置に関する。
本発明の一側面としてのドライバは、吸着孔を有するスリーブと、前記スリーブに結合されて当該スリーブと一体的に回転するビットと、前記スリーブを収納すると共に前記吸着孔に接続する中央貫通孔を有するスリーブホルダと、前記スリーブホルダの側面に設けられて前記中央貫通孔に接続する側面貫通孔に設けられて真空引きする吸引プラグと、を有することを特徴とする。かかるドライバは、吸引プラグがスリーブではなくスリーブホルダに設けられており、スリーブはスリーブホルダに対して移動可能(回転可能)に構成される。このため、吸着孔内部の減圧環境を維持したまま(即ち、吸引プラグを固定した状態で)ビットとスリーブを回転することができる。また、ネジと係合するビットとスリーブが一体として回転するのでネジとスリーブとの間で相対移動がなくなる。このため、スリーブとネジとの間で磨耗粉が発生することを防止することができる。
前記ドライバは、モータにより駆動されるシャフトと前記ビットの係合部を収納する別のスリーブを更に有し、前記スリーブホルダの前記中央貫通孔は、第1の径を有して前記別のスリーブに収納される第1の穴部と、第1の径よりも大きい第2の径を有する第2の穴部を有し、前記スリーブは、前記第1の径よりも大きい径を有し、前記第2の穴部に挿入されて前記スリーブホルダの内面と接触する中央部を有してもよい。かかる構造は、前記別のスリーブから上の従来のドライバの主要部をそのまま転用することができるので便宜である。この場合、スリーブはスリーブホルダの第2の穴部から挿入され、中央部はスリーブホルダの内面に接触した状態でビットと共に回転する。
前記スリーブはフランジを有し、前記ドライバは、前記スリーブホルダの一部を収納する円筒形状を有し、当該円筒形状の底部に前記スリーブの一部を突出させる貫通孔を有するカバーと、前記スリーブの前記フランジを前記カバーの前記貫通孔の周りの底部の内面に前記ビットの長手方向に沿って付勢する圧縮バネと、前記カバーの前記スリーブホルダに対する前記ビットの前記長手方向に平行な位置を調節すると共に前記カバーと前記スリーブホルダを固定する固定機構と、を更に有してもよい。圧縮バネによってスリーブがカバーの底部の貫通孔近傍の内面に押圧されることによって、スリーブの位置が決定される。また、フランジとカバー底部の内面が接触することによって、吸着孔における減圧環境を維持することもできる。固定機構が、ビットの長手方向に平行なカバーの位置を調節することによってビットがネジのリセスに接触する位置を調節することができる。
前記ビットと前記スリーブの一方には突起が形成され、他方には前記突起が係合する溝が形成されてもよい。このようにビットとスリーブは分離可能でもよい。あるいは、前記ビットは前記スリーブと一体で分離不可能でもよい。また、後者の場合、スリーブとスリーブホルダの境界が外部に露出すれば、カバーを設けなくてもよいので部品点数の削減になる。
前記吸着孔の径は前記ビットが係合するネジのネジ頭の径よりも小さくてもよい。この場合に、従来は磨耗粉の発生が多かったからである。前記スリーブは制電樹脂からなることが好ましい。樹脂により、スリーブのスリーブホルダに対する回転が円滑になり、制電材料により電荷によるスリーブの破壊を防止することができる。
本発明の別の側面としてのドライバは、真空吸着孔を有するスリーブと、前記スリーブに結合されて当該スリーブと一体的に回転するビットと、を有することを特徴とする。かかるドライバは、真空吸着によりネジを吸着し、ネジに係合されるビットとスリーブが一体として回転するのでネジとスリーブとの間の相対移動がなくなる。このため、スリーブとネジとの間で磨耗粉が発生することを防止することができる。
本発明の別の側面としてのネジ締め装置は、ネジを収納する収納部から前記ネジをピックアップし、被締結物に部品を前記ネジで固定するネジ締め装置であって、上述のドライバと、前記収納部と前記被締結物との間で前記ドライバを移動する移動部とを有することを特徴とする。かかるネジ締め装置も上述のドライバの作用を奏することができる。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
本発明の一側面としてのネジ締め装置のブロック図である。 図1に示す収納部に収納されたネジの断面図である。 図1に示すネジ締め装置のドライバの概略断面図である。 図3に示す部分拡大断面図である。 図4に示す構造の要部の分解斜視図である。 図5に示すビットの変形例の斜視図である。 図6に示すビットを搭載したドライバの部分断面図である。 図8(a)及び図8(b)は、図4に示すドライバのネジ締め前後の状態を説明する部分断面図である。 図1に示すネジ締め装置の動作を説明するためのフローチャートである。 従来のネジ締め装置の概略部分断面図である。 別の従来のネジ締め装置の概略部分断面図である。 図12は従来技術の問題点を説明するための部分拡大断面図である。
以下、添付図面を参照して、ネジ締め装置100について説明する。ネジ締め装置100は、ネジをピックアップして被締結物としてのワークに部品を締結する機能を有し、収納部110と、ドライバ120と、移動機構180とを有する。図1は、ネジ締め装置100の概略ブロック図であり、図2は、収納部110の部分拡大断面図である。
収納部110は図示しない作業台に載置され、ネジ供給機または、一又は複数のネジ10を収納するトレイである。ネジ10はドライバのビットが係合されるリセス13を有する。リセス13の形状は、マイナス、十字、星型の凹部など限定されない。トレイ供給の場合は、図2に示すように、ネジ10のネジ部15が挿入される穴112を有する。穴112はネジ切りされておらず、ネジ10は穴112に固定されていない。この結果、ネジ10は、穴112に挿入された状態で回転可能である。ビットとネジリセスの勘合はピックアップ時ビットを1〜2回転させることで行う。
本実施例において、ワークWは、携帯電話の筐体の下型(ベース)であり、ネジ締め装置100は携帯電話の他の部品である筐体の上型(カバー)Pを下型にネジ止めする。別の実施例では、ワークWはHDDで、ネジ締め装置100はHDDのスピンドルハブに部品としてのクランプリングをネジ止めする。クランプリングは、複数のネジ穴を有して一定の押圧力でスピンドルハブの周りに取り付けられたディスクを固定する。
ドライバ120は、駆動系によりビット130を回転してネジ10を締め付ける。図3は、ドライバ120の部分断面図である。駆動系は、図3に示すように、サーボモータ121と、ギアボックス122と、シャフト123と、ビットホルダ124と、を有する。
サーボモータ121はモータ軸を有し、図示しないケーブルを介して電源が供給される。モータ軸の周りにはギアボックス122のギアが取り付けられ、モータ軸とギアとは一体として回転する。ギアボックス122は、モータ121の動力をシャフト123に伝達するトルク伝達機構である。サーボモータ121とギアボックス122には、例えば、PCT/JP2007/052752に開示された技術を適用することができるが、これに限定されない。本実施例では、モータ軸とシャフト123(及びビット130)とは同一直線上には配置されておらず偏心している(平行である)が、本発明は両者が同一直線状に配置されることを妨げるものではない。
シャフト123は、サーボモータ121によって回転駆動されると共にZ方向に付勢されている。シャフト123は、半円筒形状を有する係合部123aを下端に有する。また、上端にも円筒形状の切り欠きを形成して、例えば、PCT/JP2007/052752に開示された回転位置検出に使用されてもよい。
ビットホルダ124は、シャフト123の周りに設けられ、シャフト123の係合部123aとビット130の係合部131aの付近を保持し、両者の係合を保持又は開放する。
図4は、図3の部分拡大断面図である。図5は、図4に示す要部の分解斜視図である。図4及び図5を参照すると、ドライバ120は、スリーブ(別のスリーブ)126と、係止部材127と、ビット130と、スリーブ140と、スリーブホルダ150と、カバー160と、吸引プラグ170と、を更に有する。ビット130、スリーブ150、スリーブホルダ150、カバー160は同軸上に配置される。
スリーブ126は、中空の薄肉円筒部材であり、Z軸方向に延びる中央貫通孔126aと、径方向に延びる側面貫通孔126bと、環状底面126cと、を有する。Z軸方向はビット130の長手方向に一致する方向である。スリーブ126は、図10に示す従来のスリーブ50と同一径を有する。本実施例は、スリーブ126を後述するスリーブ140と一体に構成していないため、スリーブ140をビット130と共に回転してもスリーブ126は回転しない。スリーブ126乃至吸引プラグ170はユニット化されている。このため、本実施例のドライバ120は、スリーブ126以下の部材を図10に示すスリーブ50以下の部材と交換するだけで、図10に示すスリーブ50より上の構造をそのまま利用することができる。
スリーブ126は、中央貫通孔126aにビット130の基部133の一部を収納すると共にシャフト123の係合部123aとビット130の端部131の係合部131aを収納する。スリーブ126の下部に形成された側面貫通孔126bには吸引プラグ170が装着される。底面126cは、スリーブホルダ150のフランジ152が載置される。
ビット130は、Z軸方向に延びる棒状部材であり、端部131と、首部132と、基部133と、作用部134とを有する。
端部131には、シャフト123の係合部123aと係合する係合部131aが上端に形成される。係合部123aと131aはそれぞれ半円筒形状を有し、係合することにより円柱を形成する。係合部123aと131aにより、シャフト123にギアボックス122を介して伝達されたサーボモータ121の駆動力がZ軸周りの回転駆動力としてビット130に伝達される。なお、本発明はシャフト123とビット130とが一体である構造を排除するものではない。
首部132は、端部131と基部133との間に形成された括れであり、係止部材127を出し入れすることによってビット130をZ軸方向に拘束したり、ビットの拘束を解除する。係止部材127は、本実施例では、鋼球である。
基部133は、首部132を介して端部131の下端に結合され、シャフト123と同一径を有する。基部133は作用部134の径よりも大きい。しかし、本発明はそれに限定されず、例えば、基部133をシャフト123と別の径にすることも可能であり、作用部134と同一径にすることも可能である。基部133の周りには、圧縮バネ135が設けられ、側面133aの下部には一対の突起136が形成される。
圧縮バネ135は、一端135aがビットホルダ124の下端124aに係止され、他端135bがスリーブ140の上端面141aに係止される。但し、本実施例では、他端135bは、スリーブ140の上端面141aの上に配置されたワッシャ128に係止される。ワッシャ128を設けるべきかどうかは選択的である。これにより、圧縮バネ135はスリーブ140をZ方向に付勢する。圧縮バネ135はスリーブ140をカバー160の底部161の内面161aに押圧する。これにより、吸着孔145内の減圧時でも位置を維持することができる。
一対の突起136は、基部133の側面133aに設けられる。突起136はスリーブ140の溝141bに係合し、端部131に伝達されたモータ121の駆動力をスリーブ140に伝達する。突起136の数は問わないが、等角度間隔で形成されることが好ましい。本実施例では、一対の突起136が180°間隔で設けられるが、n個の突起が(360/n)°間隔で設けられてもよい。一対の突起136の構造や固定方法は特に限定されない。本実施例では、基部133に側面133aをZ軸方向に垂直な方向に貫通する貫通孔を形成して、ピンを挿入している。但し、接着、成形、ネジ止めによって突起136を形成してもよい。本実施例では、ビット130に突起136を設け、スリーブ140に溝141aを設けているが、ビットに溝を設けてスリーブに突起を設けてもよい。
作用部134は、ネジ10のリセス13に係合する係合部134aを先端に有する。係合部134aの形状はリセス13の形状に対応する。係合部134aがネジ10のリセス13と係合して回転することにより、モータ121から加えられた駆動力でビット130はネジ10をワークWに締結することができる。
スリーブ140は、係合部141と、中央部142と、フランジ143と、先端部144と、を有し、スリーブホルダ150に対して移動可能にスリーブホルダ150内に収納される。即ち、スリーブ140は、スリーブホルダ150内でZ軸方向に移動することができると共にZ軸周りに回転することができる。
係合部141は、中空円筒形状を有し、スリーブ140の中で最上部に位置する。係合部141は、Z軸に平行な上端面141aと、一対の同一形状の溝141bを有する。
上端面141aは、圧縮バネ135に直接に又はワッシャ128を介して接する。
各溝141bには突起136が挿入され、各溝141bはZ軸方向に延びる。溝141bの延びる方向は限定されないが、Z軸方向に延びればビット130が時計回りに回転しても反時計回りに回転してもビット130の回転がスリーブ140に伝達され易い。溝141bの数や間隔は突起136の数や間隔に対応する。溝141bの幅は突起136の幅(径)よりも多少広い。ビット130が回転すると、突起136が溝141bを規定する輪郭面141cに接触して押圧する。この結果、ビット130と共にスリーブ140が回転する。
中央部142は、外周側面142aを介してスリーブホルダ150の第2の円筒部153の内面153aと接触する。中央部142の外径はスリーブホルダ150の第2の円筒部153の内径と略等しく、第2の円筒部153に所定の嵌め合いで嵌合している。中央部142の外径はスリーブホルダ150の第1の円筒部151の内径よりも大きいので、図5では、スリーブ140が第1の円筒部151側から挿入されるように描いているが、実際には、スリーブホルダ150の下側(第2の円筒部153)側からスリーブホルダ150内に挿入される。
フランジ143は、圧縮バネ135によってカバー160の底部161の内面161a(貫通孔161b近傍)に押圧される。押圧力は吸着孔145内の減圧時、スリーブ140がZ2方向に移動する力より僅かに大きいものとする。これにより、スリーブ140のZ軸方向の位置が決定される。
先端部144は、ネジ10の上面16の一部を真空吸着するための吸着孔145を有する。吸着孔145は、スリーブ140の中央貫通孔であり、径の違う二種類の円筒を結合した形状を有する。しかし、本発明は上述したように基部133と作用部134とを同一径にすることも可能なため、その場合、吸着孔145は同一径の円筒形状を有する。吸着孔145は、基部133を収納可能な第1の孔部145aと、作用部134は収納可能であるが基部133は収納不可能な第2の孔部145bを有する。本実施例では、先端部144の外形及び第2の孔部145bの径はビット130が係合するネジ10のネジ頭12の径よりも小さい。但し、本発明は、図10に示すようなネジ頭12の径よりも大きい吸着孔を有するスリーブにも適用可能である。
本実施例のスリーブ140は制電樹脂から構成される。樹脂により、スリーブ140のスリーブホルダ150に対する回転が円滑になり、制電材料により電荷によるスリーブ140の破壊を防止することができる。
スリーブホルダ150は、断面凸形状を有し、本実施例ではステンレスによって構成される。スリーブホルダ150は、第1の円筒部151と、フランジ152と、第2の円筒部153と、中央貫通孔154とを有する。
第1の円筒部151は、スリーブ126の内部に挿入され、スリーブ126の内径と略等しい外径を有し、スリーブ126の内面に接触する。第1の円筒部151は、中空円筒形状を有し、側面151aに径方向に延びる側面貫通ネジ151bを有し、スリーブ126の側面貫通孔126b通して吸引プラグ170のネジ部171が装着される。
フランジ152は、スリーブ126の底面126cと接触して位置決めする。
第2の円筒部153は、第1の円筒部151よりも径が大きい。第2の円筒部153にカバー160の側面162の内面162aが接触してカバー160が挿入される。第2の円筒部153の径はスリーブ140の中央部142の径に略等しい。
第2の円筒部153は、中空円筒形状を有し、側面153aの上部に径方向に延びる側面貫通孔153bを有する。側面貫通孔153bは、カバー160の側面162の側面貫通孔162bに位置合わせされるネジ孔である。但し、側面貫通孔162bはZ軸方向に延びる長円である。側面貫通孔153bと162bには、ネジ129のネジ部129aが装着されカバー160はスリーブホルダ150に固定される。第2の円筒部153は、スリーブ140をZ軸方向に移動可能に収納するとともにZ軸周りに回転可能に収納する。
中央貫通孔154は、断面凸形状を有し、スリーブ140の吸着孔145に接続される。中央貫通孔154は、第1の円筒部151に形成される第1の穴部154aと、第2の円筒部153に形成される第2の穴部154bとを有する。第1の穴部154a及び第2の穴部154bは円筒形状を有し、第2の穴部154bの径は第1の穴部154aの径よりも大きい。第1の穴部154aは、ビット130と圧縮バネ135を収納している。第2の穴部154bは、ビット130、圧縮バネ135、ワッシャ128、スリーブ140を収納している。
カバー160は、上面が開口した中空円筒形状を有し、底部161と側面162とを有する。
底部161は、内面161aにおいてスリーブ140のフランジ143に接触する。底部161の中央には中央貫通孔161bが形成される。スリーブ140の中央部142の外周側面142aとスリーブホルダ150の第2の円筒部153の内面153aの径が略等しいので、この境界における空気の流入を少なくして減圧環境を維持している。
側面162の上部には、側面貫通孔162bが径方向に形成される。側面貫通孔153bと162aにはネジ129のネジ部129aが挿入され、これによってカバー160はZ軸方向においてスリーブホルダ150に固定される。但し、側面貫通孔162bはZ軸方向に長円に形成されている。これによって、カバー160のスリーブホルダ150のZ軸方向の位置は調節可能である。ネジ129と長円である側面貫通孔162bは、カバー160のスリーブホルダ150に対するZ軸方向の位置を調節すると共にカバー160とスリーブホルダ150を固定する固定機構を構成する。カバー160のスリーブホルダ150に対するZ軸方向の位置を調節可能であることは、図4において、スリーブ140のZ方向位置調節が可能であることを意味する。
吸引プラグ170は、スリーブホルダ150の中央貫通孔154内を真空引きする。吸引プラグ170は、ネジ部171と、接続部172とを有する。ネジ部171は、側面貫通孔126bと151bにネジ止めされる。接続部172には図示しないホースが接続され、かかるホースは図示しない真空ポンプが接続される。この結果、真空ポンプは吸引プラグ170を通じて吸着孔145内を減圧環境にすることができる。
以下、図5に示す構造の組み立て方法について説明する。まず、ビットホルダ124のビット保持を解除しビット130の係合部131aとシャフト123の係合部123aを係合させ、ビットホルダ124により、ビット130を保持する。なおビット130の周りには圧縮バネ135が取り付けられ、突起136と圧縮バネ135との間にワッシャ128を配置する。
この状態で、スリーブ126とスリーブホルダ150を吸引プラグ170によって固定する。次に、スリーブ140をスリーブホルダ150の下端から姿勢で挿入する。次いで、スリーブホルダ150をカバー160に収納してネジ129で側面貫通孔162b及び153bを固定する。その後、中央貫通孔126aにビット130を挿入しながらスリーブ126とカバー160を含む構造体を、スリーブ126をシャフト123回りの構造物に係合することによって固定する。この状態で、ネジ129を緩めてカバー160のZ軸方向の位置を調節する。これにより、ビット130の係合部134aに対するスリーブ140の先端部の位置調節を行うことができる。
ビット130の交換作業はスリーブ126とカバー160を含む一体となった構造体をネジ締め機より外すことで行う。
本実施例では、ネジ10の浮きを検出するための光センサを設けている。かかるネジ浮き検出機構は、例えば、PCT/JP2007/052752に開示された技術を適用することができる。
本実施例では、ビット130とスリーブ140の係合は分離可能である。但し、ビット130とスリーブとが一体で分離不可能であってもよい。図6は、かかる実施例の概略斜視図である。ビット130Aにはスリーブ140Aが一体化されている。一体化の方法は、接着、圧入、一体成形など限定されない。スリーブ140Aのビット130Aとの間には貫通孔145cが形成されている。
図7は、図6に示すスリーブ付きビット130Aを装着した場合の部分断面図である。図4では、カバー160を設けないと圧縮バネ135によって押圧されたスリーブ140が落下するが、図6に示す構造ではビット130Aとスリーブ140Aが一体であるのでカバー160を省略している。このように、スリーブ付きビット130Aにおいては、スリーブ140Aとスリーブホルダ150との間の境界Bが外部に露出してもよい。カバー160を設けなくてもよいので部品点数の削減になる。
移動機構180は、収納部110とワークWとの間でドライバ120を3次元的に移動する機能を有し、X軸ロボット182と、Y軸ロボット184と、Z軸ロボット186とを有する。X軸ロボット182は、図1に示す横方向にドライバ120を移動させる。Y軸ロボット184は、図1に示す縦方向にドライバ120を移動させる。Z軸ロボット186は、図1の紙面に垂直な方向にドライバ120を移動させる。これらのロボットには当業界で周知の構成を適用することができ、ここでは詳しい説明を省略する。
以下、図8及び図9を参照して、ネジ締め装置100のネジ締め動作について説明する。携帯電話の筐体の上型Pは下型(ワークW)に固定する。上型Pには、複数のザグリ穴Paが設けられており、ザグリ穴Paにネジ10を通して上型Pを下型にネジ止めする。ザグリ穴Paは狭い空間であるが、スリーブ140の先端部144はネジ10のネジ頭12の径よりも小さいので、先端部144はザグリ穴Paに挿脱可能である。図10に示す従来例では、ザグリ穴Paにスリーブ144の先端部が挿入できないので、本実施例のドライバ120の構造は効果的である。
図8(a)は、ネジ締め開始の状態を示すネジ締め装置100のドライバ120の部分断面図である。図8(b)は、ネジ締め終了時の状態を示すネジ締め装置100のドライバ120の部分断面図である。図9は、ネジ締め装置100の動作を説明するためのフローチャートである。図9に示す制御は、ネジ締め装置100の図示しない制御部が行う。
なお、本実施例では、ネジ10を収納部110に同じ姿勢で配置し、ビット130の姿勢を制御して無回転でビット130とネジ10のリセス13とを係合しているが、本発明はかかる実施例には限定されない。例えば、ビット130とネジ10のリセス13とを係合する際、ビット130を押し込みながら1〜2回転させて係合させてもよい。この場合、以下のステップ1002〜1004、1008〜1010が省略され、ステップ1012においてビット130を押し込みながら1〜2回転させて係合させる。
まず、初期作業としてビット位相調整又はティーチングを行う(ステップ1002)。例えば、センサが原点位置にあるビット130(シャフト123)を検出できるように調整する作業である。この場合、原点位置にあるビット130が無回転でリセス13に係合可能かどうかを実際にビット130を下降することによって確認する。
次に、リセス13が一定方向に揃ったネジ10を収納する収納部110が図示しない作業台に載置されたかどうかを判断する(ステップ1004)。かかる判断は、図示しない作業台に設けられた図示しない検出部の検出結果やカメラの画像を利用することができる。また、同時に、収納部110にネジがあるかどうかを判断する。本実施例では、収納部110は一つのネジ10のみを収納するが、本発明は複数のネジ10を同時にピックアップしてワークWに取り付ける場合にも適用可能である。例えば、複数のネジを複数のドライバ120を使用して同時にピックアップする場合には、収納部110に複数のネジ10が収納されているかどうかを判断する。この判断は収納部110のネジ穴が塞がっているかどうかを検出する検出部を収納部110に設けたり、カメラを設けたりすればよい。これらの条件が満足されるまでネジ締め処理を待機し、必要に応じてエラー表示を行う。
次に、ステップ1004の条件が満足されたと判断すると、ビット130がネジ10の上空に位置するように移動機構180のX軸ロボット182とY軸ロボット184を介してドライバ120を移動する(ステップ1006)。移動機構180には収納部110の穴112の中心位置の座標が予め入力されている。
次に、ビット130が原点位置にあるかどうかを判断する(ステップ1008)。上述したように、原点位置はビットが一定方向に揃ったリセス13に無回転で挿入されて係合する回転位置である。
ステップ1008でビット130が原点位置にないと判断した場合、モータ121を介してビット130が原点位置に移動するまで、ビット130を回転する(ステップ1010)。一方、ステップ1008でビット130が原点位置にあると判断した場合、移動機構180のZ軸ロボット186を介してドライバ120を下降させ、ビット130をネジ10に挿入して無回転で係合させる(ステップ1012)。同時に、吸引プラグ170から真空引きを開始する(ステップ1014)。これにより、ビット130がネジ10のリセス13に挿入された状態で吸着孔145からネジ10のネジ頭12が吸着される。
ドライバ120のビット130がネジ10をピックアップする(ステップ1014)前に、ビット130が原点位置に移動するようにモータ121の回転と移動機構180の移動を制御する。ビット130がリセス13と無回転で係合するのでビット130及び/又はリセス13の変形や損傷、磨耗粉の発生を防止することができる。この結果、磨耗粉による製品の汚染、電気的ショート、トルク伝達ロスの発生、ビット130の短命化、ビット130の交換による稼働率の低下などの問題を解決することができる。
次に、移動機構180のZ軸ロボット186を介してドライバ120を上昇させ、ネジ10をピックアップする(ステップ1016)。上述したように、ビット130は係合したネジ10を真空吸着によりピックアップする。このため、ネジ10が非磁性体から構成されていても安定して吸着することができる。
次に、移動機構180のX軸ロボット182とY軸ロボット184を介してドライバ120をワークWと部品Pのザグリ穴Pa上空まで移動させる(ステップ1018)。移動機構180にはザグリ穴Paの中心位置の座標が予め入力されている。次に、移動機構180のZ軸ロボット186を介してドライバ120を下降させ、図8(a)に示すように、ザグリ穴Paにネジ10を挿入する(ステップ1020)。このステップ1020において、ザグリ穴Paにネジ10を挿入する際、ネジ10を回転させながら挿入させても良い。
続いて、図8(b)に示すように、モータ121を介してネジ10をザグリ穴Pa内のネジ穴に締結する(ステップ1022)。ステップ1022においては、ビット130とスリーブ140がネジ10と共に回転し、スリーブ126、スリーブホルダ150及びカバー160は停止している。スリーブ140とネジ頭12の上面16とは相対移動しないので磨耗粉の発生を防止することができる。
なお、締結は本締めを意味するが、その前に必要に応じて仮締めを行ってもよい。仮締めはネジ10を着座させずに所定量だけ締め付けることをいう。本締めは、ネジを完全に締め付けて固定することをいう。しかし、ネジの本数が多い場合、部品のネジ孔と被締結物のネジ孔がずれてその後のネジ締めが困難又は不能になり易い。そこで、部品の取り付け位置を調整することができるように、ネジを着座位置から浮かせる仮締めを行う場合がある。この場合は、仮締め終了後に全てのネジを本締めする。本締めは着座とトルクアップを経る。着座は、ネジの座面がネジ穴の回りの面に接触することをいい、トルクアップとは着座したネジを所定のトルクで締め付けて固定することをいう。
次に、全てのネジ穴にネジ10が締結されたと判断すれば(ステップ1024)。ネジ締め処理を終了し、締結されていないと判断すればステップ1004に帰還する。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、様々な変形及び変更が可能である。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、ネジを真空吸着すると共に発塵を防止するネジ締め装置を提供することができる。

Claims (7)

  1. 吸着孔とフランジを有するスリーブと、
    前記スリーブに結合されて当該スリーブと共に回転するビットと、
    前記スリーブを収納すると共に前記吸着孔に接続する中央貫通孔を有するスリーブホルダと、
    前記スリーブホルダの側面に設けられて前記中央貫通孔に接続する側面貫通孔に設けられて真空引きする吸引プラグと、
    前記スリーブホルダの一部を収納する円筒形状を有し、当該円筒形状の底部に前記スリーブの一部を突出させる貫通孔を有するカバーと、
    前記スリーブの前記フランジを前記カバーの前記貫通孔の周りの底部の内面に前記ビットの長手方向に沿って付勢する圧縮バネと、
    前記カバーの前記スリーブホルダに対する前記ビットの前記長手方向に平行な位置を調節すると共に前記カバーと前記スリーブホルダを固定する固定機構と、
    を有することを特徴とするドライバ。
  2. 前記ドライバは、モータにより駆動されるシャフトと前記ビットの係合部を収納する別のスリーブを更に有し、
    前記スリーブホルダの前記中央貫通孔は、第1の径を有して前記別のスリーブに収納される第1の穴部と、第1の径よりも大きい第2の径を有する第2の穴部を有し、
    前記スリーブは、前記第1の径よりも大きい径を有し、前記第2の穴部に挿入されて前記スリーブホルダの内面と接触する中央部を有することを特徴とする請求項1に記載のドライバ。
  3. 前記ビットと前記スリーブの一方には突起が形成され、他方には前記突起が係合する溝が形成されることを特徴とする請求項1に記載のドライバ。
  4. 前記ビットは前記スリーブと一体であることを特徴とする請求項1に記載のドライバ。
  5. 前記スリーブと前記スリーブホルダの境界が外部に露出していることを特徴とする請求項1に記載のドライバ。
  6. 前記吸着孔の径は前記ビットが係合するネジのネジ頭の径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のドライバ。
  7. 前記スリーブは制電樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のドライバ。
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